(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025064939
(43)【公開日】2025-04-17
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20250410BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024146195
(22)【出願日】2024-08-28
(31)【優先権主張番号】10-2023-0132538
(32)【優先日】2023-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン ヒェオン
(72)【発明者】
【氏名】アン、セウン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ヒュン ドゥク
(72)【発明者】
【氏名】パク、チャエ ミン
(72)【発明者】
【氏名】クヮグ、 ジョーン フワン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ビュン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ホン セオク
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AC09
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E001AH07
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082JJ03
5E082JJ12
(57)【要約】
【課題】信頼性に優れ、内部電極と外部電極との間の電気的連結性を向上させ、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させる。
【解決手段】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記内部電極の端部に配置される界面めっき層と、上記内部電極間に配置された誘電体層の端部の少なくとも一部と接し、上記界面めっき層を覆うように配置され、導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂層を含む外部電極と、を含むことができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、
前記内部電極の端部に配置される界面めっき層と、
前記内部電極間に配置された誘電体層の端部の少なくとも一部と接し、前記界面めっき層を覆うように配置され、導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂層を含む外部電極と、を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記本体は、前記内部電極の端部が前記本体の一面から離隔した溝部を含み、
前記界面めっき層は、前記溝部に配置された第1領域及び前記本体の一面上に突出した第2領域を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記内部電極は前記誘電体層と第1方向に交互に配置され、前記本体は前記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面及び前記第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含み、
前記積層型電子部品の第1方向及び第2方向の断面において、前記第2領域は半円形状を有する、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記内部電極の平均厚さをte、前記誘電体層の平均厚さをtd、前記半円形状の半径をrとするとき、te/2≦r≦(te+td)/2を満たす、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記半円形状の半径をrとするとき、前記rは4μm以下である、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記内部電極は複数個であり、複数の前記内部電極のいずれか一つの端部に配置された界面めっき層は、他の内部電極の端部に配置された界面めっき層から離隔して配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記界面めっき層は非晶質構造を有する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記界面めっき層はNi及びPを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記界面めっき層に含まれたNi含有量に対するP含有量の質量比は8%以上15%以下である、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記界面めっき層はNi及びBを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記界面めっき層に含まれたNi含有量に対するB含有量の質量比は、2.5%以上10%以下である、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記導電性樹脂層に含まれた導電性金属は、Cu、Ag、Sn及びそれらの合金のうち1つ以上を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記導電性樹脂層に含まれた導電性金属は、複数の金属粒子、前記複数の金属粒子の少なくとも一部を連結する第1金属間化合物を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記金属粒子は、Ag及びCuのうち1つ以上を含み、
前記第1金属間化合物は、Ag3Sn、Cu6Sn5及びCu3Snのうち1つ以上を含む、請求項13に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記界面めっき層と外部電極の界面には、第2金属間化合物が配置され、前記第2金属間化合物はNi及びSnを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。
【0004】
最近では、電子機器の小型化及び高性能化に伴い、積層セラミックキャパシタも小型化及び高容量化する傾向にあり、このような流れにより積層セラミックキャパシタの高信頼性を確保する重要性が高まっている。
【0005】
このような積層セラミックキャパシタの高信頼性を確保するための方案として、機械的または熱的環境で発生する引張ストレス(stress)を吸収して、ストレスによって発生するクラック(crack)の発生を防止するために、外部電極に導電性樹脂層を適用する技術が開示されている。
【0006】
このような導電性樹脂層は、一般的に焼結電極層とめっき層との間に配置している。しかしながら、この場合、積層セラミックキャパシタの単位体積当たりの容量が低下するおそれがある。一方、本体上に直接導電性樹脂層を配置する場合、内部電極と外部電極との間の電気的連結性が低下するおそれがある。
【0007】
したがって、内部電極と外部電極との間の電気的連結性を確保しながらも単位体積当たりの容量を向上させることができる方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の様々な目的の一つは、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0009】
本発明の様々な目的の一つは、内部電極と外部電極との間の電気的連結性を向上させることである。
【0010】
本発明の様々な目的の一つは、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させることである。
【0011】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記内部電極の端部に配置される界面めっき層と、上記内部電極間に配置された誘電体層の端部の少なくとも一部と接し、上記界面めっき層を覆うように配置され、導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂層を含む外部電極と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の様々な効果の一つとして、内部電極の端部に界面めっき層を配置し、導電性樹脂層が内部電極間に配置された誘電体層の端部の少なくとも一部と接し、界面めっき層を覆うように配置することにより、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0014】
本発明の様々な効果の一つとして、内部電極と外部電極との間の電気的連結性を向上させることができる。
【0015】
本発明の様々な効果の一つとして、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させることができる。
【0016】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
【
図2】
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
【
図3】
図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
【
図5】
図2の本体の一部を概略的に示したものである。
【
図6】
図2のK1領域を拡大して示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0019】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0020】
図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0021】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものであり、
図3は、
図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示したものであり、
図4は、本体を分解して概略的に示したものであり、
図5は、
図2の本体の一部を概略的に示したものであり、
図6は、
図2のK1領域を拡大して示した拡大図である。
【0022】
以下、
図1~
図6を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について詳細に説明する。また、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシタ(Multi-layered Ceramic Capacitor、以下「MLCC」という)について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、セラミック材料を用いる多様な積層型電子部品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどにも適用されることができる。
【0023】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極121、122を含む本体110と、上記内部電極の端部に配置される界面めっき層141、142と、上記内部電極間に配置された誘電体層の端部の少なくとも一部と接し、上記界面めっき層を覆うように配置され、導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂層131a、132aを含む外部電極131、132と、を含むことができる。
【0024】
従来には、一般的に導電性樹脂層を本体上に配置された焼結電極層とめっき層との間に配置した。しかしながら、この場合、外部電極の厚さが厚くなって、積層セラミックキャパシタの単位体積当たりの容量が低下するおそれがある。一方、本体上に直接、導電性樹脂層を配置する場合、内部電極と外部電極との間の電気的連結性が低下するおそれがあった。
【0025】
本発明の一実施形態によると、内部電極の端部に界面めっき層を配置することにより、内部電極と外部電極との間の電気的連結性を向上させ、導電性樹脂層が内部電極間に配置された誘電体層の端部の少なくとも一部と接し、界面めっき層を覆うように配置することにより、外部電極と本体との間の接合力を確保して信頼性を向上させることができる。
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100に含まれる各構成について説明する。
【0027】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。
【0028】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0029】
本体110は、第1方向に向かい合う第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に向かい合う第3面3及び第4面4、第1面1及び第2面2と連結され、第3面3及び第4面4と連結され、第3方向に向かい合う第5面5及び第6面6を有することができる。
【0030】
誘電体層111上に内部電極121、122が配置されていないマージン領域が重なることによって、内部電極121、122の厚さによる段差が発生して、第1面と第3面~第5面を連結するコーナー及び/または第2面と第3面~第5面を連結するコーナーは、第1面または第2面を基準として見るとき、本体110の第1方向の中央側に収縮した形態を有することができる。または、本体の焼結過程での収縮挙動により、第1面1と第3面3、第4面4、第5面5及び第6面6を連結するコーナー及び/または第2面2と第3面3、第4面4、第5面5及び第6面6を連結するコーナーは、第1面または第2面を基準として見るとき、本体110の第1方向の中央側に収縮した形態を有することができる。または、チッピング不良などを防止するために本体110の各面を連結する角を別途の工程を行ってラウンド処理することで第1面と第3面~第6面を連結するコーナー及び/または第2面と第3面~第6面を連結するコーナーは、ラウンド形態を有することができる。
【0031】
一方、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極が本体の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向(幅方向)に積層してマージン部114、115を形成する場合には、第1面と第5面及び第6面を連結する部分及び第2面と第5面及び第6面を連結する部分が収縮した形態を有さないことができる。
【0032】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。誘電体層の積層数は特に制限する必要はなく、積層型電子部品のサイズを考慮して決定することができる。例えば、誘電体層を400層以上積層して本体を形成することができる。
【0033】
誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを設けた後、上記セラミックグリーンシートを焼成することで形成することができる。セラミック粉末は、十分な静電容量が得られる限り、特に制限されないが、例えば、セラミック粉末としてチタン酸バリウム系(BaTiO3)系粉末を用いることができる。より具体的な例を挙げると、セラミック粉末は、BaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)及びBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)のうち一つ以上であることができる。
【0034】
誘電体層111の平均厚さtdは特に限定する必要はないが、例えば0.01μm~10μmであることができる。また、誘電体層111の平均厚さtdは、所望の特性や用途に応じて任意に設定することができ、例えば、小型IT用電子部品の場合、小型化及び高容量化を達成するために複数の誘電体層111の少なくとも1つの平均厚さtdは0.4μm以下であり得る。
【0035】
ここで、誘電体層111の平均厚さtdは、内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の第1方向の大きさを意味することができる。誘電体層111の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的には、1つの誘電体層111の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、後述する容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0036】
本体110は本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと上記容量形成部Acの第1方向の上部及び下部に形成されたカバー部112、113を含むことができる。
【0037】
また、上記容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であり、誘電体層111を挟んで複数の第1内部電極121及び第2内部電極122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0038】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112及び上記容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0039】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0040】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。
【0041】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0042】
一方、カバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは15μm以下であることができる。
【0043】
カバー部112、113の平均厚さtcは、第1方向の大きさを意味することができ、容量形成部Acの上部または下部で等間隔の5個の地点で測定したカバー部112、113の第1方向の大きさを平均した値であることができる。
【0044】
また、上記容量形成部Acの側面には、マージン部114、115が配置されることができる。
【0045】
マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1マージン部114と第6面6に配置された第2マージン部115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の幅方向の両端面(end surfaces)に配置されることができる。
【0046】
マージン部114、115は、
図3に示されたように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面(cross-section)において、第1内部電極121及び第2内部電極122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0047】
マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0048】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるところを除いて導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することにより形成されたものであることができる。
【0049】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極が本体の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向(幅方向)に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0050】
一方、マージン部114、115の幅は特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、マージン部114、115の平均幅は15μm以下であることができる。
【0051】
マージン部114、115の平均幅は、内部電極が第5面から離隔した領域の第3方向の平均大きさ及び内部電極が第6面から離隔した領域の第3方向の平均大きさを意味することができ、容量形成部Acの側面で等間隔の5個の地点で測定したマージン部114、115の第3方向の大きさを平均した値であることができる。
【0052】
したがって、一実施形態において、内部電極121、122が第5面及び第6面から離隔した領域の第3方向の平均大きさはそれぞれ15μm以下であり得る。
【0053】
一方、本体110に誘電体物質の代わりに磁性体物質を適用する場合、積層型電子部品はインダクタとして機能することができる。磁性体物質は、例えばフェライト及び/または金属磁性粒子であり得る。積層型電子部品がインダクタとして機能する場合、内部電極はコイル状導体であり得る。
【0054】
また、本体110に誘電体物質の代わりに圧電体物質を適用する場合、積層型電子部品は圧電体素子として機能することができる。圧電体物質は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)であり得る。
【0055】
また、本体110に誘電体物質の代わりにZnO系またはSiC系物質を適用する場合、積層型電子部品はバリスタとして機能することができ、本体110に誘電体物質の代わりにスピネル系物質を適用する場合、積層型電子部品はサーミスタとして機能することができる。
【0056】
すなわち、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、本体110の材料や構造を適宜変更することで、積層セラミックキャパシタだけでなく、インダクタ、圧電体素子、バリスタまたはサーミスタとして機能することができる。
【0057】
内部電極121、122は、誘電体層111と交互に配置されることができ、例えば、互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122が誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置されることができる。第1内部電極121及び第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。このとき、内部電極121、122は、誘電体層111と第1方向に交互に配置されることができる。
【0058】
第1内部電極121は第4面4から離隔し、第3面3に向かって延びることができる。第2内部電極122は第3面3から離隔し、第4面4に向かって延びることができる。第1内部電極121は第3面3側で第1外部電極131と電気的に連結されることができ、第2内部電極122は第4面4側で第2外部電極132と電気的に連結されることができる。
【0059】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、Ni、Cu、Pd、Ag、Au、Pt、Sn、W、Ti及びこれらの合金のうち1つ以上であることができ、より好ましくはNiを含むことができるが、本発明はこれに限定されない。
【0060】
内部電極121、122を形成する方法は特に制限されない。例えば、内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することによって形成されることができる。内部電極用導電性ペーストの塗布方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0061】
内部電極121、122の平均厚さteは特に限定する必要はないが、例えば0.01μm~3μm以下であることができる。また、内部電極121、122の平均厚さteは、所望の特性や用途に応じて任意に設定することができ、例えば、小型IT用電子部品の場合、小型化及び高容量化を達成するために複数の内部電極121、122の少なくとも1つの平均厚さteは、0.4μm以下であり得る。
【0062】
ここで、内部電極の平均厚さteは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的には、1つの内部電極121、122の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0063】
外部電極131、132は本体110に配置され、内部電極121、122と連結されることができる。
【0064】
図2に示されたように、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ配置されて、界面めっき層141、142を介して第1内部電極121及び第2内部電極122とそれぞれ連結された第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。
【0065】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0066】
図6は、
図2のK1領域を拡大して示した拡大図である。
【0067】
上記K1領域は、第1外部電極131が配置された部分の一部を拡大して示したが、第1外部電極131は第3面に配置され、第2外部電極132は第4面に配置されるという差異があるだけで、第1外部電極131と第2外部電極132の構成は類似するため、以下では、第1外部電極131を基準に説明するが、これは第2外部電極132に関する説明を含むものと見なす。また、界面電極層141、142も第1界面電極層141を基準に説明するが、これは第2界面電極層142に関する説明を含むものと見なす。
【0068】
界面めっき層141、142は、内部電極121、122の端部に配置されて、内部電極121、122と外部電極131、132との間の電気的連結性を向上させる役割を果たすことができる。また、外部電極131、132の金属成分が内部電極121、122に拡散することを防止して、内部電極の体積膨張による放射クラックを抑制する役割を果たすことができる。界面めっき層141、142は、第1内部電極121の端部に配置される第1界面めっき層141と第2内部電極122の端部に配置される第2界面めっき層142を含むことができる。
【0069】
一実施形態において、本体110は、内部電極121、122の端部が本体110の一面から離隔した溝部G1、G2を含み、界面めっき層141、142は溝部G1、G2に配置された第1領域及び上記本体の一面上に突出した第2領域を含むことができる。
【0070】
溝部G1、G2は、本体110の焼成過程で内部電極121、122と誘電体層111との間の収縮挙動の差異によって形成されることができる。内部電極121、122の焼成収縮率が誘電体層111よりも大きい場合、溝部G1、G2によって内部電極121、122と外部電極131、132との間の連結性が低下するという問題点が発生する可能性がある。従来には、このような問題点を解決するために、サンドブラスト法などを用いて突出した誘電体層を除去する工程を追加して、このような問題点を解決しようとした。一方、本発明の一実施形態によると、界面めっき層141、142が溝部G1、G2に配置された第1領域及び上記本体の一面上に突出した第2領域を含むため、別途の研磨過程なしで内部電極121、122と外部電極131、132との間の連結性を向上させることができる。
【0071】
一実施形態において、積層型電子部品100の第1方向及び第2方向の断面において、上記第2領域は半円形状を有することができる。これにより、導電性樹脂層131a、132aとの接触面積を最大限に確保して電気的連結性をより向上させることができる。
【0072】
一実施形態において、上記内部電極の平均厚さをte、上記誘電体層の平均厚さをtd、上記半円形状の半径をrとするとき、te/2≦r≦(te+td)/2を満たすことができる。半円形状の半径rがte/2未満の場合には、外部電極と内部電極との間の連結性の向上効果が不十分であり、(te+td)/2超過である場合には、界面めっき層141、142同士が連結されて、1つの層(layer)形状になって、外部電極と本体との間の結合力が弱くなるおそれがある。
【0073】
一実施形態において、上記半円形状の半径rは4μm以下であり得る。半円形状の半径rが4μm超過である場合には、隣接する界面めっき層141、142同士が連結されて1つの層(layer)形状になって、外部電極と本体との間の結合力が弱くなるおそれがある。
【0074】
半円形状の半径rは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。また、任意の5つの界面電極層141、142で半円形状の半径rを測定して、その平均値を半円形状の半径rとすることができる。
【0075】
一実施形態において、上記内部電極121、122は複数個であり、上記複数の内部電極121、122のいずれか一つの端部に配置された界面めっき層141、142は他の内部電極の端部に配置された界面めっき層141、142から離隔して配置されることができる。これにより、導電性樹脂層131a、132aが誘電体層111の端部の少なくとも一部と接して外部電極131、132と本体110との間の結合力を向上させることができる。
【0076】
一実施形態において、界面めっき層141、142は非晶質構造を有することができる。結晶質構造は、3次元上の格子構造に長距離の周期性(long-range periodicity)があり、並進(translation)、回転(rotation)、反映(reflection)、反転(inversion)などの対称要素(symmetry element)を用いて格子構造を表現することができる構造を意味する。一方、非晶質構造は、長距離の周期性(long-range periodicity)を有しないが、基本単位となる原子構造が連結されて、短距離単位(short-range order)では反復的な構造を有することを意味することができる。
【0077】
界面めっき層141、142が非晶質構造を有することにより、外部電極131、132の金属成分が内部電極121、122に拡散することをより効果的に抑制することができる。
【0078】
一実施形態において、界面めっき層141、142はNi及びPを含むことができる。これにより、界面めっき層141、142が非晶質構造を有するように容易に制御することができ、外部電極の金属が内部電極に拡散することを容易に抑制することができる。
【0079】
このとき、界面めっき層141、142に含まれたNi含有量に対するP含有量の質量比は、8%以上15%以下であることができる。界面めっき層141、142に含まれたNi含有量に対するP含有量の質量比が15%超過である場合には、内部電極と外部電極との間のESR(equivalent series resistance)が高くなるおそれがあり、8%未満の場合には界面めっき層141、142の熱膨張係数が高くなるにつれて、高温で本体との熱膨張係数の差が大きくなることがあり、これにより界面めっき層と本体との間の接合力が弱くなるおそれがある。
【0080】
一実施形態において、界面めっき層141、142はNi及びBを含むことができる。これにより、界面めっき層141、142が非晶質構造を有するように容易に制御することができ、外部電極の金属が内部電極に拡散することを容易に抑制することができる。
【0081】
このとき、界面めっき層141、142に含まれたNi含有量に対するB含有量の質量比は、2.5%以上10%以下であることができる。これにより、界面めっき層141、142の電荷伝達抵抗を増加させて、外部の湿気露出、水分浸透などによる耐食性を向上させることができる。
【0082】
一方、界面めっき層141、142に含まれた元素の分析は、本体110の第3方向の中央を通る第1方向及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)及び分散型分光分析法(EDS)を利用して測定することができる。5個以上の界面めっき層141、142の中央部をEDSを用いて各元素の含有量を測定して各元素の平均値を求めた後、上記平均値を用いてNi含有量に対するP含有量の質量比またはNi含有量に対するB含有量の質量比を求めることができる。
【0083】
外部電極131、132は、内部電極間に配置された誘電体層111の端部の少なくとも一部と接し、界面めっき層141、142を覆うように配置され、導電性金属及び樹脂を含む導電性樹脂層131a、132aを含むことができる。ここで、誘電体層111の端部は本体110の第3面または第4面を構成することができる。
【0084】
導電性樹脂層131a、132aに含まれる導電性金属は、特に限定する必要はなく、例えば、Cu、Ni、Sn、Pd、Pt、Au、Ag、Pb及び/またはこれを含む合金等を含むことができ、より好ましくは、Cu、Ag、Sn及びそれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0085】
導電性樹脂層131a、132aは、めっき層131b、132bと内部電極121、122を電気的に連結させる役割を果たし、電子部品を基板に実装する際に機械的または熱的環境で発生する引張ストレス(stress)を吸収してクラック(crack)が発生することを防止し、基板の反り衝撃から積層セラミックキャパシタを保護する役割を果たすことができる。
【0086】
図6を参照すると、導電性樹脂層131aは、導電性金属131a-1、131a-3及び樹脂131a-2を含むことができ、導電性樹脂層131aに含まれた導電性金属は複数の金属粒子131a-1、上記複数の金属粒子の少なくとも一部を連結する第1金属間化合物131a-3を含むことができる。
【0087】
上記金属粒子131a-1は、Ag及びCuのうち1つ以上を含むことができ、より好ましくはAgからなることができる。
【0088】
第1金属間化合物131a-3は、複数の金属粒子の少なくとも一部を連結して電気的連結性を向上させる役割を果たすことができる。また、第1金属間化合物131a-3は、複数の金属粒子132aの少なくとも一部を囲む形態で配置されることができる。また、第1金属間化合物131a-3は、本体110の内部の応力を最小化させ、高温負荷と耐湿負荷特性を向上させることができる。
【0089】
第1金属間化合物131a-3は、低融点金属と金属粒子との間の金属間化合物であることができる。導電性樹脂層用ペーストに含まれた低融点金属が乾燥及び硬化熱処理工程を経る過程で一部溶融し、金属粒子の一部と第1金属間化合物131a-3を形成することができる。このとき、上記低融点金属は300℃以下の融点を有することができる。
【0090】
より具体的な例を挙げると、上記低融点金属は、Sn、Sn
96.5Ag
3.0Cu
0.5、Sn
42Bi
58及びSn
72Bi
28から選択された1種以上であることができる。導電性樹脂層用ペーストを本体上に塗布した後、乾燥及び硬化工程を経る過程でSnが溶融し、溶融したSnがAgまたはCuなどの高融点の金属粒子を毛細管現象により湿らせ、AgまたはCu金属粒子の一部と反応してAg
3Sn、Cu
6Sn
5、Cu
3Snなどの第1金属間化合物131a-3を形成するようになる。反応に関与していないAgまたはCuは、
図6に示されたように、金属粒子131a-1の形態で残る。また、乾燥及び硬化工程が完了されても一部Snは反応に関与せず、追って行われるめっき熱処理時にめっき層131b、132bと反応して金属間化合物を形成することができる。また、めっき熱処理後にも一部の低融点金属は第1金属間化合物に含まれて残存することがある。
【0091】
また、上記低融点金属は界面めっき層141a、142aと反応して界面めっき層141a、142aと導電性樹脂層131a、132aの界面に第2金属間化合物を形成することができる。このとき、第2金属間化合物はNi及びSnを含むことができる。
【0092】
樹脂132cは、電気絶縁性を有する熱硬化性樹脂を含むことができる。
【0093】
このとき、上記熱硬化性樹脂は、例えばエポキシ樹脂であることができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA樹脂、グリコールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂またはこれらの誘導体のうち分子量が小さくて、常温で液状の樹脂であることができる。
【0094】
外部電極131、132は、導電性樹脂層131a、132a上に配置されるめっき層131b、132bを含むことができる。
【0095】
めっき層131b、132bは実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち1つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。
【0096】
めっき層131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132bは、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることができ、Snめっき層、Niめっき層、及びSnめっき層が順次形成された形態であることができる。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0097】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0098】
また、本開示において用いされた「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0099】
本開示で用いられた用語は、単に一実施形態を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0100】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 電極層
131b、132b めっき層
141、142 界面めっき層