(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025064944
(43)【公開日】2025-04-17
(54)【発明の名称】共晶相低減のためのろう付け補修法
(51)【国際特許分類】
B22F 7/08 20060101AFI20250410BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20250410BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20250410BHJP
C22C 19/03 20060101ALI20250410BHJP
C22F 1/10 20060101ALI20250410BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20250410BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20250410BHJP
B22F 3/093 20060101ALN20250410BHJP
【FI】
B22F7/08 G
F02C7/00 D
F02C7/00 C
F01D25/00 L
F01D25/00 X
C22C19/03 G
C22F1/10 A
B22F1/00 M
C22F1/00 621
C22F1/00 627
C22F1/00 630D
C22F1/00 650A
C22F1/00 651B
C22F1/00 640Z
C22F1/00 614
B22F3/093
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024148455
(22)【出願日】2024-08-30
(31)【優先権主張番号】P.446083
(32)【優先日】2023-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリムチュク、ピーター アーサー
(72)【発明者】
【氏名】シエカ-クルチク、ジョアンナ
(72)【発明者】
【氏名】ミークス、マレク
(72)【発明者】
【氏名】コワルチク、マイケル
(57)【要約】
【課題】表面(106)及び欠陥(102)を有する物品(100)の補修方法を提供する。
【解決手段】本方法は、欠陥(102)及び表面(106)の位置で物品(100)に溝(108)を形成することを含む。本方法はさらに、超合金粉末(120)が欠陥(102)及び溝(108)を少なくとも部分的に埋めるように、超合金粉末(120)を溝(108)に供給することを含む。本方法はさらに、超合金粉末(120)の溝(108)及び表面(106)にろう粉末(122)を供給するステップを含む。本方法はさらに、ろう粉末(122)が液化ろう材となって、溝(108)及び欠陥(102)に浸透するように物品(100)を加熱することを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面(106)及び欠陥(102)を有する物品(100)の補修方法であって、当該方法が、
欠陥(102)及び表面(106)の位置で物品(100)に溝(108)を形成するステップと、
超合金粉末(120)が欠陥(102)及び溝(108)を少なくとも部分的に充填するように溝(108)に超合金粉末(120)を供給するステップと、
溝(108)及び表面(106)の超合金粉末(120)上にろう粉末(122)を供給するステップと、
ろう粉末(122)が液化ろう材となって溝(108)及び欠陥(102)に浸透するように物品(100)を加熱するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
加熱するステップが、ろう粉末(122)の融点よりも高く超合金粉末(120)の融点よりも低い温度に物品(100)を加熱することをさらに含んでおり、それによって、ろう粉末(122)が液化ろう材となって溝(108)及び欠陥(102)内の超合金粉末(120)に浸透する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加熱ステップ中に、液化ろう材が溝(108)及び欠陥(102)内の超合金粉末(120)と混合して、超合金粉末(120)が液化ろう材中に少なくとも部分的に溶解する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
物品(100)が超合金材料から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
形成するステップが、溝(108)が欠陥(102)の両側に配置されるように欠陥(102)及び表面(106)の位置で物品(100)に溝(108)を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
物品(100)の表面(106)に溝(108)を形成することによって欠陥(102)の少なくとも一部が除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
物品(100)がターボ機械部品(101)である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
溝(108)が第1の幅(124)を規定し、欠陥(102)が第2の幅(126)を規定し、第1の幅(124)が第2の幅(126)よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
液化ろう材が凝固するように物品(100)を冷却すること、及び物品(100)で1以上の後処理作業を実施することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
超合金粉末(120)が、重量基準で、約6.3%~約7.3%のクロム(Cr)、約11%~約13%のコバルト(Co)、約1%~約2%のモリブデン(Mo)、約2.3%~約3.3%のレニウム(Re)、約4.4%~約5.4%のタングステン(W)、約5.65%~約6.65%のアルミニウム(Al)、約5.85%~約6.85%のタンタル(Ta)、約1%~約2%のハフニウム(Hf)、約0.005%~約0.025%のホウ素(B)、約0.05%~約0.2%の炭素(C)、約0.01%~約0.03%のジルコニウム(Zr)及び残部のニッケル(Ni)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ろう粉末(122)が、重量基準で、約13%~約15%のクロム(Cr)、約9%~約11%のコバルト(Co)、約3.25~約3.75%のアルミニウム(Al)、約2.25~約2.75%のタンタル(Ta)、約2.5~約3.0%のホウ素(B)、約0.01~約0.10%のイットリウム(Y)及び残部のNiを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
表面(106)及び欠陥(102)を有するターボ機械部品(101)を補修する方法であって、当該方法が、
欠陥(102)及び表面(106)の位置でターボ機械部品(101)に溝(108)を形成するステップと、
超合金粉末(120)が欠陥(102)及び溝(108)を少なくとも部分的に充填するように溝(108)に超合金粉末(120)を供給するステップと、
溝(108)及び表面(106)の超合金粉末(120)上にろう粉末(122)を供給するステップと、
ろう粉末(122)の融点よりも高く超合金粉末(120)の融点よりも低い温度にターボ機械部品(101)を加熱するステップであって、それによって、ろう粉末(122)が液化ろう材となって溝(108)及び欠陥(102)内の超合金粉末(120)に浸透する、ステップと
を含む、方法。
【請求項13】
加熱ステップ中に、液化ろう材が溝(108)及び欠陥(102)内の超合金粉末(120)と混合して、超合金粉末(120)が液化ろう材中に少なくとも部分的に溶解する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ターボ機械部品(101)が超合金材料から形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
形成するステップが、溝(108)が欠陥(102)の両側に配置されるように欠陥(102)及び表面(106)の位置でターボ機械部品(101)に溝(108)を形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、例えば超合金のような高温性能合金の補修に関する。
【背景技術】
【0002】
金属及び合金部材は、疲労による様々な摩耗事象を経ることがある。例えば、亀裂、アブレージョン、エロージョンその他様々な作用によって、元の基材の除去又は摩耗が起こることがある。摩耗した部材を補修するため、充填材料を追加(例えば溶接又はろう付け)して、亀裂の充填、摩滅部のパッチ補修、その他エロージョンで欠損或いは作動中に欠陥を生じた材料の交換を行うことができる。補修部材全域に強靱で均一な機械的特性をもたらすために、基板材料と同一又は実質的に類似した充填材料を使用できる。
【0003】
しかし、高温性能合金(ガスタービン部材の高温ガス経路部品に使用されるニッケル基又はコバルト基超合金など)は、溶融温度が高いため、元の基板材料に施工できるようにするまでに多大なエネルギーを加える必要がある。そのため、かかる充填材料の溶融に使用される溶接装置で発生する大量の熱によって、近くの基板材料にも影響が及ぶおそれがある。例えば、熱は、元の基板材料のミクロ組織にスランピング、溶融その他の変化を生じるおそれがある。このような基板材料の変化は、元の部品の強度、靭性及び/又はその他の物理的特性を低下させてしまうおそれがある。
【0004】
溶融温度の低い他の充填材料で代用することもできるが、高温での性能が低下したり、元の基材材料の機械的特性との差異が増大してしまうことがある。さらに、充填材料が割れて補修の効果を低下させてしまうこともある。
【発明の概要】
【0005】
本開示に係る方法の態様及び利点について、以下の詳細な説明に記載するが、以下の詳細な説明から自明となるものもあろうし、或いは本技術の実施を通して習得できるものもあろう。
【0006】
一実施形態では、表面及び欠陥を有する物品を補修する方法を提供する。本方法は、欠陥及び上面の位置で物品に溝を形成することを含む。本方法はさらに、超合金粉末が欠陥及び溝を少なくとも部分的に充填するように溝に超合金粉末を供給することを含む。本方法はさらに、溝及び表面の超合金粉末上にろう粉末を供給することを含む。本方法はさらに、ろう粉末が液化ろう材となって溝及び欠陥に浸透するように物品を加熱することを含む。
【0007】
別の実施形態では、表面及び欠陥を有するターボ機械部品の補修方法を提供する。本方法は、欠陥及び上面の位置で物品に溝を形成することを含む。本方法はさらに、超合金粉末が欠陥及び溝を少なくとも部分的に充填するように溝に超合金粉末を供給することを含む。本方法はさらに、溝及び表面の超合金粉末上にろう粉末を供給することを含む。本方法はさらに、ろう粉末の融点よりも高く超合金粉末の融点よりも低い温度に物品を加熱することを含む。その結果、ろう粉末は液化ろう材となって、溝及び欠陥内の超合金粉末に浸透する。
【0008】
本方法の上記その他の特徴、態様及び利点については、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって理解を深めることができよう。添付の図面は、本明細書の内容の一部をなすものであり、本開示技術の様々な実施形態を例示するとともに、発明の詳細な説明と併せて本技術の原理を説明するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本方法について、以下の詳細な説明において、添付の図面を参照して、本システム及び方法の製造及び使用に関する最良の形態を含めて、当業者が実施できるように十分に開示する。
【
図1】本開示の実施形態に係るターボ機械の概略図。
【
図2】物品の欠陥を補修する方法の第1のステップにおける、欠陥を有する物品の断面図。
【
図3】物品の欠陥を補修する方法の第2のステップにおける、欠陥を有する物品の断面図。
【
図4】物品の欠陥を補修する方法の第3のステップにおける、欠陥を有する物品の断面図。
【
図5】物品の欠陥を補修する方法の第4のステップにおける、欠陥を有する物品の断面図。
【
図6】物品の欠陥を補修する方法の第5のステップにおける、欠陥を有する物品の断面図。
【
図7】表面及び欠陥を有する物品の本開示の実施形態に係る補修方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本方法の様々な実施形態について詳細に説明し、その1以上の実施例を図面に示す。各実施例は、本技術を限定するものではなく、例示のためのものである。実際、特許請求の範囲に記載された技術的範囲及び技術的思想を逸脱することなく、本技術に様々な修正及び変更をなし得ることは当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示又は記載された特徴を、別の実施形態と共に用いてさらに別の実施形態とすることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲に属する修正及び変更を包含する。
【0011】
「例示的」という用語は、本明細書では、「例、事例又は説明として役立つ」という意味で用いられる。本明細書で「例示的」と記載された実施態様は、必ずしも他の実施態様よりも好ましい又は有利であると解すべきではない。さらに、別途特定されていない限り、本明細書に記載されたすべての実施形態は例示的なものであると解される。
【0012】
発明の詳細な説明では、図面に記載された特徴を参照するために数字及び文字による符号を用いる。図面及び発明の詳細な説明において、同様又は類似の符号は本発明の同様又は類似の部材を示す。本明細書において、「第1」、「第2」及び「第3」という用語は、ある部品を他の部品と区別するために互換的に用いられ、個々の部品の位置又は重要性を意味するものではない。
【0013】
「流体」という用語は、気体又は液体である。「流体連通」という用語は、流体が所定の領域間を接続できることを意味する。
【0014】
本明細書で用いる[上流」(又は「前方」)及び「下流」(又は「後方」)という用語は、流体経路における流体の流れに関する相対的な方向を示す。例えば、「上流」は流体が流れてくる方向をいい、「下流」は流体が流れていく方向をいう。ただし、本明細書で用いる「上流」及び「下流」という用語は、電気の流れを示すこともある。「半径方向」という用語は、ある部品の軸方向中心線に対して実質的に垂直な相対的方向をいい、「軸方向」という用語は、ある部品の軸方向中心線に対して実質的に平行及び/又は同軸である相対的方向をいい、「周方向」という用語は、ある部品の軸方向中心線の周りの相対的方向をいう。
【0015】
「約」、「略」及び「実質的に」のような近似的用語は、記載された厳密な数値に限定されない。少なくとも幾つかの事例では、近似表現は、その値を測定する機器の精度或いは部品及び/又はシステムの構築又は製造のための方法又は機械の精度に対応する。例えば、近似表現は、個々の数値、数値範囲及び/又は数値範囲を限定するための上下限のいずれかの1%、2%、4%、5%、10%、15%又は20%以内の誤差をいうことがある。角度又は方向に関して用いる場合、かかる用語は、記載された角度又は方向の±10度以内を包含する。例えば、「略鉛直」とは、鉛直から任意の方向(例えば時計回り又は反時計回り)に10度以内の方向を包含する。
【0016】
「結合」、「固定」又は「取付け」などの用語は、本明細書で別途記載されていない限り、直接的な結合、固定又は取付けだけでなく、1以上の中間部品又は特徴を介しての間接的な結合、固定又は取付けも意味する。本明細書で用いる「含む」、「備える」及び「有する」という用語は、非排他的に含んでいることを包含する。例えば、列挙された特徴を含むプロセス、方法、物品又は装置は、必ずしもそれらの特徴に限定されるものではなく、明示的に列挙されておらず、またかかるプロセス、方法、物品又は装置に固有でもない別の特徴を含んでいてもよい。さらに、別途明示されていない限り、「又は」という用語は、排他的選択ではなく、包括的選択を意味する。例えば、A又はBという条件は、Aが真であり(又は存在し)、かつBが偽である(又は存在しない)場合、Aが偽であり(又は存在せず)、かつBが真である(又は存在する)場合のいずれにおいても成立する。
【0017】
本明細書及び特許請求の範囲において、数値限定の範囲は互いに結合及び/又は交換可能であり、かかる範囲は、前後関係等から別途明らかでない限り、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を特定しかつ包含する。例えば、本明細書に開示された範囲はすべて上下限を含んでおり、上下限は互いに独立して組合せることができる。
【0018】
図面を参照すると、
図1は、ターボ機械の一実施形態の概略図を示しており、本図に示す実施形態ではターボ機械はガスタービン10である。本明細書では、産業用又は陸用ガスタービンについて説明するが、本開示は、特許請求の範囲に記載されていない限り、陸用及び/又は産業用ガスタービンに限定されるものではない。例えば、本明細書に記載された発明は、限定されるものではないが、蒸気タービン、航空機用ガスタービン又は船舶用ガスタービンを始めとする、あらゆる種類のターボ機械に使用し得る。
【0019】
図に示すように、ガスタービン10は、一般に、吸気セクション12、吸気セクション12の下流に配置された圧縮機セクション14、圧縮機セクション14の下流に配置された燃焼器セクション16内の複数の燃焼器(図示せず)、燃焼器セクション16の下流に配置されたタービンセクション18及びタービンセクション18の下流に配置された排気セクション20を含む。さらに、ガスタービン10は、圧縮機セクション14とタービンセクション18との間を結合する1以上のシャフト22を含んでいてもよい。
【0020】
圧縮機セクション14は、一般に、複数のロータディスク24(その1つを図示する)及び各ロータディスク24から半径方向外側に延在しかつ接続した複数のロータブレード26を含む。各ロータディスク24は、圧縮機セクション14を貫通するシャフト22に結合しているか或いはシャフト22の一部をなす。圧縮機セクション14は、シャフトの周囲に周方向に配置された1以上のステータベーンをさらに含む。ステータベーンは、ロータブレード26の周囲に周方向に延在する圧縮機ケーシング又は静止ケーシングに固定し得る。
【0021】
タービンセクション18は、一般に、複数のロータディスク28(その1つを図示する)及び各ロータディスク28から半径方向外側に延在しかつ接続した複数のロータブレード30を含む。各ロータディスク28は、タービンセクション18を貫通するシャフト22に結合しているか或いはシャフト22の一部をなす。タービンセクション18は、シャフト22及びロータブレード30の一部を周方向に囲繞するタービンケーシング33をさらに含んでおり、タービンセクション18を通る高温ガス経路32を少なくとも部分的に画成する。タービンケーシング33は、タービンケーシングの内周から半径方向内側に延在する複数の段の静止ノズルを支持するように構成し得る。
【0022】
運転中、空気のような作動流体が吸気セクション12から圧縮機セクション14に流入し、そこで空気が漸次圧縮され、燃焼器セクション16の燃焼器に圧縮空気を供給する。圧縮空気は燃料と混合され、各燃焼器内で燃焼して燃焼ガス34を生成する。燃焼ガス34は、燃焼器セクション16から高温ガス経路32を通ってタービンセクション18に流れ込み、燃焼ガス34からロータブレード30にエネルギー(運動及び/又は熱)が伝達され、シャフト22を回転させる。機械的回転エネルギーは、圧縮機セクション14を駆動するため及び/又は発電のために使用し得る。タービンセクション18を出た燃焼ガス34は、次いで、排気セクション20を介してガスタービン10から排出し得る。
【0023】
図2~
図4は、本開示の様々な態様に従って、欠陥102(亀裂、ボイド、剥離など)を有する物品100の断面図を示す。例示的な実施形態では、物品100は、ターボ機械部品101、例えば、ロータブレード、ステータベーン、タービンもしくは圧縮機ケーシングの一部、シャフトの一部又は他のターボ機械部品(例えば
図1に関して上述したガスタービン10の部品のいずれか)であってもよい。図に示す通り、物品100は鉛直方向Vを規定し、鉛直方向Vは重力の方向と反対に延在し得る。本明細書において、「上」及び「下」は鉛直方向Vを基準とし得る。
【0024】
図に示すように、物品100は、上面104及び上面104と反対側の下面106とを有していてもよい。欠陥102は、上面104から下面106に向かって延在し得る。欠陥102は、欠陥102が上面104で周囲環境に暴露されるように、上面104を通って延在していてもよい。多くの実施形態では、欠陥102は、欠陥102が下面106を貫通しないように、下面106の手前で途切れていてもよい。他の実施形態では、欠陥102は、下面106を貫通していてもよい。
【0025】
図2~
図4は、それぞれ、物品100の欠陥102の補修方法における様々な段階における物品100を例示する。
図1は、機械加工並びに/或いは超合金粉末及び/又はろう粉末で充填する前の物品100を示す。この段階では、機械加工前に汚れ及び/又は残骸を取り除いておくため、成形品100をクリーニングしてもよい。例えば、上面104、下面106及び欠陥102の露出部分をクリーニングし得る。
【0026】
図3では、溝108が、欠陥102及び上面104の位置で物品100に形成されており、溝108は欠陥102につながっている。例えば、フライス加工、旋削加工、ブローチ加工、研削加工、放電加工(EDM)その他の適切なプロセスを用いて、部品に溝108を機械加工又は切削してもよい。溝108の形成は、欠陥102の周囲の材料の少なくとも一部を除去して、欠陥102の一部を除去することを含んでいてもよい。溝108は、溝108によって形成される空隙が欠陥102の空間につながるように、欠陥102と流体連結し得る。
【0027】
幾つかの実施形態では、
図3に最もよく示されているように、溝108は略矩形の形状であってもよく、第1の側壁110、第1の床112、第2の側壁114及び第2の床116によって画成し得る。第1の側壁110と第2の側壁114は、欠陥102の両側に配置し得る。第1の床112は第1の側壁110から欠陥102まで延在し、第2の床116は第2の側壁114から溝108まで延在する。他の実施形態では、溝108は、湾曲していてもよいし或いは略半円形としてもよい。
【0028】
図3に示すように、溝108は第1の幅124を規定し、欠陥102は第2の幅126を規定し得る。第1の幅124は、第1の側壁110と第2の側壁114の間で規定し得る。第2の幅126は、第1の幅124と同方向に測定した欠陥102の最大幅である。例示的な実施形態では、図に示す通り、第1の幅124は、第2の幅126よりも大きい。例えば、第1の幅124は、第2の幅126よりも50%以上大きく、又は第2の幅126よりも100%以上大きく、又は第2の幅126よりも150%以上大きく、又は第2の幅126よりも200%以上大きく、又は第2の幅126よりも500%以上大きくてもよい。
【0029】
同様に、
図2及び
図4にまとめて示すように、溝108は第1の長さ125を規定し、欠陥102は第2の長さ127を規定し得る。第1の長さ125は、上面104と床(例えば第1の床112及び/又は第2の床116)の間に規定し得る。第1の長さ125は、第2の長さ127よりも小さくてもよい。例えば、第1の長さ125は、第2の長さ127の約1%~約70%、又は第2の長さ127の約5%~約50%、又は第2の長さ127の約5%~約25%、又は第2の長さ127の約5%~約15%などとし得る。
【0030】
多くの実施形態では、物品100は、超合金材料から形成し得る。超合金は、ニッケル基、鉄基又はコバルト基超合金とし得る。特に、物品100は、高γ′(ガンマプライム)超合金で形成されたガスタービン部品であってもよい。超合金は、慣用鋳造(CC)、方向性凝固(DS)又は単結晶(SX)材料で形成し得る。かかる高γ′超合金の例としては、限定されるものではないが、B-1900、GTD-111、インコネル100、インコネル713、インコネル792、MAR-M-246、MAR-M-509、ルネ77、ルネ125、U-500、CMSX単結晶合金などが挙げられる。
【0031】
図4に示すように、超合金粉末120が欠陥102及び溝108を少なくとも部分的に充填するように溝108及び欠陥102に超合金粉末120を供給する。なお、超合金粉末120は縮尺通りではなく、説明及び図示の容易さのために拡大して示してある。超合金粉末120は物品100と同一の材料であってもよいし、超合金粉末120は物品100とは異なる材料であってもよい。幾つかの実施形態では、超合金粉末は、バインダー(例えば約5%~約15%のバインダー)と混合してもよい。多くの実施形態では、超合金粉末120は、ルネ142又は類似の合金(例えばレニウム含有ニッケル基超合金)とし得る。他の実施形態では、超合金粉末120は、CMSx4又はPWA1426とし得る。様々な態様では、超合金粉末120は、重量基準で、約6.3%~約7.3%のクロム(Cr)、約11%~約13%のコバルト(Co)、約1%~約2%のモリブデン(Mo)、約2.3%~約3.3%のレニウム(Re)、約4.4%~約5.4%のタングステン(W)、約5.65%~約6.65%のアルミニウム(Al)、約5.85%~約6.85%のタンタル(Ta)、約1%~約2%のハフニウム(Hf)、約0.005%~約0.025%のホウ素(B)、約0.05%~約0.2%の炭素(C)、約0.01%~約0.03%のジルコニウム(Zr)及び残部のニッケル(Ni)からなる。具体的には、例示的な実施形態では、超合金粉末120は、重量基準で、約6.8%のクロム(Cr)、約12%のコバルト(Co)、約1.5%のモリブデン(Mo)、約2.8%のレニウム(Re)、約4.9%のタングステン(W)、約6.15%のアルミニウム(Al)、約6.35%のタンタル(Ta)、約1.5%のハフニウム(Hf)、約0.015%のホウ素(B)、約0.12%の炭素(C)、約0.02%のジルコニウム(Zr)及び残部のニッケル(Ni)からなる。
【0032】
様々な態様では、
図4に示すように、超合金粉末120が物品100の上面104と面一になる(例えば上面104から突出も凹みもしなくなる)まで、超合金粉末120を溝108及び欠陥102に供給してもよい。これは、超合金粉末120が溝108及び欠陥102全体に達して収まる(例えば超合金粉末120が溝108の底に達する)ように、物品100に衝撃力を加えること或いは物品を振動(シェーカーテーブルや振動テーブルなど)に付すことを含んでいてもよい。超合金粉末120が欠陥102及び溝108を充填して、超合金粉末120が上面104と同じ高さになるまでこのプロセスを繰り返してもよい。
【0033】
図5に示すように、上面104並びに溝108及び欠陥102を充填する超合金粉末120の上にろう粉末122を供給してもよい。上述の通り、ろう粉末122及び超合金粉末120は、縮尺通りではなく、説明のために拡大して示してある。ろう粉末122は、ろう材と超合金材料(物品100と同じ超合金材料であっても、物品100とは異なる超合金材料であっても、或いは超合金粉末120であってもよい)の混合物であってもよい。かかる実施形態では、ろう粉末122混合物は、約70%~約100%のろう材を含んでいてもよく、残部は超合金材料である。同様に、超合金粉末120は、超合金材料とろう材の混合物(例えば約70%~100%の超合金材料と残部のろう材)であってもよい。
【0034】
様々な実施形態では、ろう粉末122中のろう材は、ニッケル基ろう合金であってもよく、これは単独で使用してもよいし、或いは上述の通り超合金粉末と混合してもよい。ろう粉末は、バインダー(例えば5%~15%)と混合してもよい。多くの実施形態では、ろう粉末122は、AmdryDF4B又は同様のろう合金(AmdryDF-3又はAmdry775など)であってもよい。様々な態様では、ろう粉末は、重量基準で、約13%~約15%のクロム(Cr)、約9%~約11%のコバルト(Co)、約3.25~約3.75%のアルミニウム(Al)、約2.25~約2.75%のタンタル(Ta)、約2.5~約3.0%のホウ素(B)、約0.01~約0.10%のイットリウム(Y)及び残部のNiからなる。特に、例示的な実施形態では、ろう粉末122は、重量基準で、約14%のクロム(Cr)、約10%のコバルト(Co)、約3.5%のアルミニウム(Al)、約2.5%のタンタル(Ta)、約2.75%のホウ素(B)、約0.05%のイットリウム(Y)、残部のニッケル(Ni)からなる。
【0035】
図6に示すように、物品100は、例えば、炉又はろう付けオーブン200内で加熱してもよい。すなわち、物品は、ろう付けサイクルとして知られる熱処理に付すことができ、高真空炉又はろう付けオーブン200で行われる。炉内での物品100の位置は、亀裂の向きに依存し、一般に、部材は、毛細管力と協働した重力によって、ろう付けすべき亀裂の大半でろう合金の流れが促進されるように配置される。ろう付けサイクル中に、ろう粉末122は液化して欠陥102に流入する。換言すると、物品100が加熱されると、ろう粉末122が溶融又は液化して溝108及び欠陥102に浸透する。すなわち、加熱ステップ中に、ろう粉末122は液体状態に移行し、重力によって溝108内を下方に移動し、固体のままの超合金粉末120の間の空間を埋めて、それらと混ざり合う。上面104からの液化ろう粉末は、下面106に向かって欠陥102に流れ込んで、ノッチ内の超合金粉末体120(固相のまま)に浸透し、固相超合金粉末体120が液体ろう材に溶解する。
【0036】
特に、例示的な実施形態では、物品100は、ろう付けオーブン200内で融点よりも高く超合金粉末の融点よりも低い温度に加熱してもよい。その結果、ろう粉末122は液化ろう材となって、溝108及び欠陥102内の依然として固体のままの超合金粉末体120に浸透する。
【0037】
次いで、溝108及び欠陥102内でろう材が凝固するように物品100を冷却してもよい。物品100の補修を完了するため、上面からの余分なろう材の除去、ろう付け継手のクリーニングなど、後処理手順を実施してもよい。例えば、余分なろう材を平滑化して、上面104と滑らかな表面を作り出すブレンディングツールを使用してもよい。
【0038】
次いで
図7を参照すると、本願実施形態に従って表面及び欠陥を有する物品を補修する方法700の一実施形態の流れ図が示してある。一般に、本明細書では、方法700については、
図2~
図6に関して説明した物品100を参照して説明する。さらに、
図7には、例示及び説明のために特定の順序で行われるステップが示してあるが、本明細書に記載された方法は、特許請求の範囲に別途記載されていない限り、特定の順序又は配置に限定されるものではない。本明細書に提供する開示内容を用いて、本明細書に開示された方法の様々なステップを、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な方法で省略、再構成、組合せ及び/又は適合させることができることは、当業者には明らかであろう。
【0039】
図7に示すように、方法700は、ステップステップ(702)で、欠陥及び上面の位置で物品に溝を形成するものを含んでいてもよい。溝は、フライス加工、旋削加工、ブローチ加工、研削、放電加工(EDM)などの適切なプロセスを用いて、物品を切削又は機械加工することができる。溝の形成は、欠陥の周囲の材料の少なくとも一部を除去することを含んでいてもよく、物品から欠陥の一部が除去される。溝及び欠陥が物品内で連続したボイドを形成するように、溝は欠陥と流体連結されていてもよい。形成ステップ702は、方法700の一環として実施される第1のステップであってもよい。幾つかの実施例では、形成ステップ702の前及び/又は後に、残渣を除去するため物品をクリーニングしてもよい。
【0040】
多くの実装形態では、方法は、欠陥の両側に溝が配置されるように、欠陥及び上面において物に溝を形成することを含んでいてもよい。他の実施形態では、溝は、欠陥の片側だけに配置してもよいが、依然として欠陥と流体連通している。さらに、様々な実施形態では、物品の上面に溝を形成することによって欠陥の少なくとも一部が除去される。例えば、溝の周囲の少なくとも部分的に溝を画成する物品の一部を除去して溝を形成すると、欠陥の一部が除去される。
【0041】
方法700は、ステップ(704)で、超合金粉末が欠陥及び溝を少なくとも部分的に埋めるように、超合金粉末を溝に供給することをさらに含んでいてもよい。様々な実施形態では、超合金粉末が物品の上面と同じ高さになる(例えば上面から突出も凹みもない)まで、超合金粉末を溝及び欠陥に供給してもよい。これは、例えば供給ステップ704中に、超合金粉末が溝及び欠陥全体に達して収まる(例えば超合金粉末120が溝の底に達する)ように、物品に衝撃力を加えること或いは物品を振動(シェーカーテーブルや振動テーブルなど)に付すことを含んでいてもよい。超合金粉末が欠陥及び溝を充填して、超合金粉末が上面と同じ高さになるまでこのプロセスを繰り返してもよい。例えば、第1の量の超合金粉末を溝及び欠陥に供給し、物品を衝撃力又は振動に付し、第2の量の粉末を溝及び欠陥に供給するなどである。
【0042】
本方法700は、さらにステップ(706)で、溝及び表面の超合金粉末上にろう粉末を供給することを含んでいてもよい。特に、ステップ706はステップ704の後であってもよく、溝及び欠陥に既に供給してある超合金粉末の上にろう粉末を供給してもよい。こうして、ろう粉末は、表面の上並びに溝内の超合金粉末の上にマウンド又は突起を形成することがある。
【0043】
方法700は、ステップ(708)で、ろう粉末が液化ろう材となって溝及び欠陥に浸透するように物品を加熱することを含んでいてもよい。特に、任意工程として破線で囲んで示す加熱ステップ(708)は、さらにステップ(710)で、ろう粉末の融点よりも高く超合金粉末の融点よりも低い温度に物品を加熱することを含んでいてもよく、これによって、ろう粉末は液化ろう材となって、溝及び欠陥内の超合金粉末に浸透する。加熱ステップ708及び710は、炉又はろう付けオーブン内で行うことができる。多くの実施形態では、加熱ステップ中に、液化ろう材は、溝及び欠陥内の超合金粉末(依然として固体状態にある)と混ざり合ってもよく、超合金粉末が液化ろう材に少なくとも部分的に溶解する。例えば、粒径の大きい超合金粉末は溶解しないこともあるが、粒径の小さい超合金粉末は溶解する。
【0044】
多くの実施形態では、方法700は、液化ろう材が凝固するように物品を冷却するステップ(712)をさらに含んでいてもよい。これは、物品をろう付けオーブン又は炉から取り出して、物品及び液化ろう材が欠陥及び溝内で凝固するようにしてもよい。さらに、方法700は、ステップ(714)で物品で1以上の後処理作業を実施することを含んでいてもよい。物品の補修を完了するために、上面からの余分なろう材の除去、ろう付け継手のクリーニングなどの、後処理作業を実施してもよい。
【0045】
本明細書に開示される方法は、好適には、従前の方法と比較して強度の増大したろう付け補修を提供する。具体的には、欠陥の上に形成した溝は、ろう付け補修時に共晶鎖の形成が低減するので、強度が増加したろう付け継手をもたらす。例えば、ろう付けプロセスで液体ろう材が上層から亀裂の底へと流れると、溝内の高融点超合金粉末に浸透する。この超合金粉末の小さな(例えばろう粉末粒子よりも小さい)固相粒子は、液体ろう材中に溶解する。超合金粉末の大きな粒子は、液体ろう材中に部分的に溶解し、欠陥に流入する材料全体(例えば液体ろう材と少なくとも部分的に溶解した固相超合金粉末)中の液相の量が減少する。これによって、欠陥の中心線に形成される共晶鎖が低減してろう付け継手の強度が増加する。
【0046】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、当業者が本発明を実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲と文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と非本質的な差しかない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【0047】
本発明の追加の態様を、以下の実施態様項に示す。
[実施態様項1]
表面及び欠陥を有する物品を補修する方法であって、当該方法は、欠陥及び表面の位置で物品に溝を形成するステップと、超合金粉末が欠陥及び溝を少なくとも部分的に充填するように溝に超合金粉末を供給するステップと、溝及び表面の超合金粉末上にろう粉末を供給するステップと、ろう粉末が液化ろう材となって溝及び欠陥に浸透するように物品を加熱するステップとを含む。
[実施態様項2]
加熱するステップが、ろう粉末の融点よりも高く超合金粉末の融点よりも低い温度に物品を加熱することをさらに含んでおり、それによって、ろう粉末が液化ろう材となって溝及び欠陥内の超合金粉末に浸透する、実施態様項1に記載の方法。
[実施態様項3]
加熱ステップ中に、液化ろう材が溝及び欠陥内の超合金粉末と混合して、超合金粉末が液化ろう材中に少なくとも部分的に溶解する、実施態様項1又は実施態様項2に記載の方法。
[実施態様項4]
物品が超合金材料から形成される、実施態様項1乃至実施態様項3のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項5]
形成するステップが、溝が欠陥の両側に配置されるように欠陥及び表面の位置で物品に溝を形成することをさらに含む、実施態様項1乃至実施態様項4のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項6]
物品の表面に溝を形成することによって欠陥の少なくとも一部が除去される、実施態様項1乃至実施態様項5のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項7]
物品がターボ機械部品である、実施態様項1乃至実施態様項6のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項8]
溝が第1の幅を規定し、欠陥が第2の幅を規定し、第1の幅が第2の幅よりも大きい、実施態様項1乃至実施態様項7のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項9]
液化ろう材が凝固するように物品を冷却すること、及び物品で1以上の後処理作業を実施することをさらに含む、実施態様項1乃至実施態様項8のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項10]
超合金粉末が、重量基準で、約6.3%~約7.3%のクロム(Cr)、約11%~約13%のコバルト(Co)、約1%~約2%のモリブデン(Mo)、約2.3%~約3.3%のレニウム(Re)、約4.4%~約5.4%のタングステン(W)、約5.65%~約6.65%のアルミニウム(Al)、約5.85%~約6.85%のタンタル(Ta)、約1%~約2%のハフニウム(Hf)、約0.005%~約0.025%のホウ素(B)、約0.05%~約0.2%の炭素(C)、約0.01%~約0.03%のジルコニウム(Zr)及び残部のニッケル(Ni)を含む、実施態様項1乃至実施態様項9のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項11]
ろう粉末が、重量基準で、約13%~約15%のクロム(Cr)、約9%~約11%のコバルト(Co)、約3.25~約3.75%のアルミニウム(Al)、約2.25~約2.75%のタンタル(Ta)、約2.5~約3.0%のホウ素(B)、約0.01~約0.10%のイットリウム(Y)及び残部のNiを含む、実施態様項1乃至実施態様項10のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項12]
表面及び欠陥を有するターボ機械部品の補修方法であって、当該方法が、欠陥及び表面の位置でターボ機械部品に溝を形成するステップと、超合金粉末が欠陥及び溝を少なくとも部分的に充填するように溝に超合金粉末を供給するステップと、溝及び表面の超合金粉末上にろう粉末を供給するステップと、ろう粉末の融点よりも高く超合金粉末の融点よりも低い温度にターボ機械部品を加熱するステップであって、それによって、ろう粉末が液化ろう材となって溝及び欠陥内の超合金粉末に浸透する、ステップとを含む、方法。
[実施態様項13]
加熱ステップ中に、液化ろう材が溝及び欠陥内の超合金粉末と混合して、超合金粉末が液化ろう材中に少なくとも部分的に溶解する、実施態様項12に記載の方法。
[実施態様項14]
ターボ機械部品が超合金材料から形成される、実施態様項12又は実施態様項13に記載の方法。
[実施態様項15]
形成するステップが、溝が欠陥の両側に配置されるように欠陥及び表面の位置でターボ機械部品に溝を形成することをさらに含む、実施態様項12乃至実施態様項14のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項16]
ターボ機械部品の表面に溝を形成することによって欠陥の少なくとも一部が除去される、実施態様項12乃至実施態様項15のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項17]
溝が第1の幅を規定し、欠陥が第2の幅を規定し、第1の幅が第2の幅よりも大きい、実施態様項12乃至実施態様項16のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項18]
液化ろう材が凝固するようにターボ機械部品を冷却すること、及びターボ機械部品で1以上の後処理作業を実施することをさらに含む、実施態様項12乃至実施態様項17のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項19]
超合金粉末が、重量基準で、約6.3%~約7.3%のクロム(Cr)、約11%~約13%のコバルト(Co)、約1%~約2%のモリブデン(Mo)、約2.3%~約3.3%のレニウム(Re)、約4.4%~約5.4%のタングステン(W)、約5.65%~約6.65%のアルミニウム(Al)、約5.85%~約6.85%のタンタル(Ta)、約1%~約2%のハフニウム(Hf)、約0.005%~約0.025%のホウ素(B)、約0.05%~約0.2%の炭素(C)、約0.01%~約0.03%のジルコニウム(Zr)及び残部のニッケル(Ni)を含む、実施態様項12乃至実施態様項18のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項20]
ろう粉末が、重量基準で、約13%~約15%のクロム(Cr)、約9%~約11%のコバルト(Co)、約3.25~約3.75%のアルミニウム(Al)、約2.25~約2.75%のタンタル(Ta)、約2.5~約3.0%のホウ素(B)、約0.01~約0.10%のイットリウム(Y)及び残部のNiを含む、実施態様項12乃至実施態様項19のいずれか1項に記載の方法。
【符号の説明】
【0048】
100 物品
101 ターボ機械部品
102 欠陥
104
106 表面
108 溝
110 溝の第1の側壁
112 溝の第1の床
114 溝の第2の側壁
116 溝の第2の床
120 超合金粉末
122 ろう粉末
【外国語明細書】