IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特開2025-64962冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション
<>
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図1
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図2
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図3
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図4
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図5
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図6
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図7
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図8
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図9
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図10
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図11
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図12
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図13
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図14
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図15
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図16
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図17
  • 特開-冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025064962
(43)【公開日】2025-04-17
(54)【発明の名称】冷却通路出口開口部断面積の変更によるタービンシステム構成要素冷却剤のリダイレクション
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/18 20060101AFI20250410BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20250410BHJP
【FI】
F01D5/18
F01D9/02 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024157114
(22)【出願日】2024-09-11
(31)【優先権主張番号】18/376,977
(32)【優先日】2023-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッキング、ケイトリン シー
(72)【発明者】
【氏名】ヤークス、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ドリエティ、ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン、スタンリー フランク
(72)【発明者】
【氏名】ルイス、カイル ジェイ.
(57)【要約】
【課題】冷却通路出口開口部の断面積を標的に変更を行うことにより、タービンシステム構成要素の冷却剤の熱プロファイルに基づいた方向転換を行う。
【解決方法】冷却剤の流れを方向転換するための方法(300)が提供される。方法(300)は、タービンシステム(200)の構成要素(200)の本体(210)の外面(212)上のホットスポットを特定する特定ステップを含む。構成要素(200)の第1のパラメータは、ホットスポットにおける外面(212)の温度が閾値を超えることを示す。別の特定ステップは、外面(212)のクールスポットを特定する。構成要素(200)の第2のパラメータは、クールスポットにおける外面(212)の温度が閾値未満であることを示す。再構成ステップは、冷却剤の一部をクールスポットからホットスポットに導くように、構成要素(200)の複数の冷却通路(202)を再構成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンシステム(110)の構成要素(200)の本体(210)の外面(212)上のホットスポットを特定するステップであって、構成要素(200)の第1のパラメータが、ホットスポットにおける外面(212)の温度が第1の閾値を超えることを示す、ステップと、
外面(212)上のクールスポットを特定するステップであって、構成要素(200)の第2のパラメータが、クールスポットにおける外面(212)の温度が第2の閾値未満であることを示す、ステップと、
複数の冷却通路(202)を再構成し、冷却剤の一部(242)をクールスポットからホットスポットに導くステップと、を含む、方法(300)。
【請求項2】
外面(212)は、そこへ延びる複数の冷却通路(202)を含み、各冷却通路(202)が第1の断面積と外面(212)における第1の出口開口(214)とを有し、冷却剤を方向転換することが、クールスポット内のクールスポット冷却通路(202)の断面積を、第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有するように変更することを含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
クールスポット冷却通路(202)の断面積を変更するステップが、クールスポット冷却通路(202)に中空部材(220)を挿入するステップであって、中空部材(220)が第2の断面積を有する、ステップと、中空部材(220)をクールスポット冷却通路(202)に結合するステップとを含む、請求項2に記載の方法(300)。
【請求項4】
中空部材(220)が、外面(212)に第2の断面積を有する第2の出口開口部(222)を画定する、請求項3記載の方法(300)。
【請求項5】
クールスポット冷却通路(202)が、複数の冷却通路(202)の第1のグループを含み、クールスポット冷却通路(202)の断面積を変更するステップは、パターンに従って第1のグループの各クールスポット冷却通路(202)の断面積を変更するステップを含む、請求項2に記載の方法(300)。
【請求項6】
ホットスポットを特定するステップが、タービンシステム(110)の運転後に構成要素(200)の第1のパラメータを測定するステップを含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項7】
クールスポットを特定するステップは、構成要素(200)の冷却プロファイルを使用するステップを含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項8】
冷却プロファイルが、複数の冷却通路(202)を通る冷却剤の流れに少なくとも部分的に基づく、請求項7に記載の方法(300)。
【請求項9】
クールスポットを特定するステップが、過剰冷却能力を有するクールスポット冷却通路(202)を特定するステップを含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項10】
タービンシステム(110)の構成要素(200)の本体(210)の外面(212)の第1の領域を特定するステップであって、第1の領域は、第1の領域が現在受けている冷却よりも多くの冷却を必要とし、第1の領域は、構成要素(200)の本体(210)内に画定され、その外面(212)まで延在する複数の冷却通路(202)のうちの第1の冷却通路(202)を含み、複数の冷却通路(202)の各冷却通路(202)は、第1の断面積と第1の出口開口部(214)とを有し、第1の冷却通路(202)は、第1の冷却通路(202)が現在受け入れているよりも多くの冷却を必要とする、ステップと、
複数の冷却通路(202)のうち、第2の冷却通路(202)が現在必要とするよりも多くの冷却を受ける第2の冷却通路(202)を含む外面(212)の第2の領域を特定するステップと、
冷却通路(202)の1つまたは複数を再構成して、冷却剤の一部を第2の冷却通路(202)から第1の冷却通路(202)に導くステップと、を含む、方法(300)。
【請求項11】
第1の領域を特定するステップは、構成要素(200)の冷却プロファイルを使用するステップを含む、請求項10に記載の方法(300)。
【請求項12】
構成要素(200)の冷却プロファイルを使用するステップは、構成要素(200)の冷却プロファイルを作成するステップを含む、請求項11に記載の方法(300)。
【請求項13】
冷却プロファイルは、タービンシステム(110)における構成要素(200)の使用後の外面(212)のパラメータに基づく、請求項11記載の方法(300)。
【請求項14】
パラメータは、外面(212)の酸化である、請求項13に記載の方法(300)。
【請求項15】
パラメータは、クリープである、請求項13に記載の方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にタービンシステム構成要素に関し、より詳細には、過剰な冷却能力を有する構成要素の冷却通路の断面積を減少させることなどにより、構成要素の冷却プロファイルなどの熱プロファイルに基づいて冷却流の方向転換を目標とすることに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンシステムの構成要素(Turbine system components:タービンシステム部品)は、ガスタービンや蒸気タービンのような高温環境での使用中に冷却するために、構成要素本体に冷却剤を供給する冷却通路を含むことが多い。冷却通路は、出口開口部で本体の外面から出る。
【0003】
タービンシステムの構成要素は、熱負荷の結果、あるいは構成要素の設計で使用されたパラメータ以外のパラメータで運転された結果、局所的なホットスポットやコールドスポットが発生することがある。その結果、再現可能な損傷モード(repeatable damage modes)が発生することがあり、この損傷モードは、目視で観察、測定、および/または熱/機械モデリングを使用して予測することができる。冷却システムなど構成要素に変更を加えなければ、損傷モードは再発し、追加修理が必要になることがある。このような損傷モードは、構成要素が設置されたシステムが設計パラメータから大きく外れて運転された場合(いわゆる「オーバーファイヤ:over-firing」または「ピーキング:peaking」)に悪化する可能性があり、過渡現象、サイクル、温度、その他の極端なパラメータ値が増加する可能性がある。その結果、修理コストがさらに増加し、より堅牢な修理能力が必要となったり、修理が不可能な場合は構成要素が廃棄される可能性がある(This can lead to further increased repair costs, the need for more robust repair capability, or even scrapping of components when repair is infeasible)。
【0004】
システムが設計パラメータの範囲内で運転されている場合でも、熱的・機械的解析では損傷モードが過小予測されることがあり、修理工程では新たな損傷や予想以上の損傷に対応しなければならない。このような事態に対処するために修正を導入することができるが、冷却エアフローの割り当てを変更する場合には、実行が困難になることがある。冷却空気流の配分を変更するために使用される方法の一つは、冷却通路の出口開口部のサイズを調整することである。
【0005】
冷却通路の出口開口部の大きさを調整することで、そこを通過する冷却剤の量、および冷却通路によって提供される冷却の量を変えることができる。出口開口部の大きさを変更する現在のプロセスには、冷却通路の出口開口部を完全に充填し、異なる大きさの開口部で出口開口部を再び開けることが含まれる。各出口開口部を充填し、ドリルなどで各出口開口部を個別に再開口する工程は、時間がかかり面倒であり、品質不良につながる。
【発明の概要】
【0006】
以下に述べるすべての側面、例、特徴は、技術的に可能なあらゆる方法で組み合わせることができる。
【0007】
本開示の一態様は、タービンシステムの構成要素の本体の外面上のホットスポットを特定することであって、構成要素の第1のパラメータが、ホットスポットにおける外面の温度が第1の閾値を超えることを示す、特定することと、外面上のクールスポットを特定することであって、構成要素の第2のパラメータが、クールスポットにおける外面の温度が第2の閾値を下回ることを示す、特定することと、クールスポットからホットスポットへ冷却剤の一部を導くように複数の冷却通路を再構成することと、を含む、方法を提供する。
【0008】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、外面は、そこに延びる複数の冷却通路を含み、各冷却通路は、第1の断面積および外面の第1の出口開口を有し、冷却剤を方向転換することは、第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有するように、クールスポットの冷却通路の断面積を変更することを含む。
【0009】
本開示の別の態様は、先の態様のいずれかを含み、クールスポット冷却通路の断面積を変更することは、クールスポット冷却通路に中空部材を挿入することを含み、中空部材は第2の断面積を有し、中空部材をクールスポット冷却通路に結合する。
【0010】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、中空部材は、第2の断面積を有する第2の出口開口を外面に画定する。
【0011】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、クールスポット冷却通路は、複数の冷却通路の第1のグループを含み、クールスポット冷却通路の断面積を変更することは、第1のグループの各クールスポット冷却通路の断面積をパターンに従って変更することを含む。
【0012】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、ホットスポットを特定することは、タービンシステムの運転後に構成要素の第1のパラメータを測定することを含む。
【0013】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、クールスポットを特定することは、構成要素の冷却プロファイルを使用することを含む。
【0014】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、冷却プロファイルは、複数の冷却通路を通る冷却剤の流れに少なくとも部分的に基づく。
【0015】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、クールスポットを特定することは、過剰な冷却能力を有するクールスポット冷却通路を特定することを含む。
【0016】
本開示の別の態様は、方法を提供する。方法は、タービンシステムの構成要素の本体の外面の第1の領域を特定することを含む。第1の領域は、第1の領域が現在受ける冷却よりも多くの冷却を必要とし、第1の領域は、構成要素の本体内に画定され、その外面に延びる複数の冷却通路の第1の冷却通路を含む。複数の冷却通路の各冷却通路は、第1の断面積と第1の出口開口部とを有し、第1の冷却通路は、第1の冷却通路が現在受ける冷却よりも多くの冷却を必要とする。方法は、複数の冷却通路のうち、第2の冷却通路が現在必要とするよりも多くの冷却を受ける第2の冷却通路を含む外面の第2の領域を特定し、第1の冷却通路および第2の冷却通路のうちの1つまたは複数を再構成して、第2の冷却通路から第1の冷却通路に冷却剤の一部を導くことを含む。
【0017】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、第1の領域を特定することは、構成要素の冷却プロファイルを使用することを含む。
【0018】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、構成要素の冷却プロファイルを使用することは、構成要素の冷却プロファイルを作成することを含む。
【0019】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、冷却プロファイルは、タービンシステムにおける構成要素の使用後の外面のパラメータに基づく。
【0020】
本開示の別の態様は、先の態様のいずれかを含み、パラメータは外面の酸化である。
【0021】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、パラメータはクリープである。
【0022】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、パラメータは測定される。
【0023】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、パラメータは、構成要素のデジタルモデルに基づいて予測される。
【0024】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、冷却プロファイルは、複数の冷却通路を通る冷却剤の流れに基づく。
【0025】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、再構成は、冷却通路の断面積を縮小することを含む。
【0026】
本開示の別の態様は、先の態様のいずれかを含み、冷却通路の断面積を縮小することは、冷却通路に中空部材を挿入することを含み、中空部材は、本体の外面まで延び、その中に第2の出口開口を画定し、中空部材の第2の出口開口は、第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する。
【0027】
本開示に記載されている2つ以上の態様は、本要約部に記載されているものを含め、本明細書に特に記載されていない実施態様を形成するために組み合わされてもよい。
【0028】
1つまたは複数の実施態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。他の特徴、目的および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本開示のこれらおよび他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す添付の図面と併せて取られる本開示の様々な態様の以下の詳細な説明から、より容易に理解されるであろう。
図1】ガスタービンシステムの形をした例示的なターボマシンの概略図である。
図2図1のガスタービンシステムと共に使用することができる例示的なガスタービンアセンブリの断面図である。
図3】本開示の実施形態による、回転ブレードの形態のタービンシステム構成要素の透視図である。
図4】本開示の実施形態による、ノズルの形態のタービンシステム構成要素の透視図である。
図5】本開示の実施形態による、シュラウドの形態のタービンシステム構成要素の透視図である。
図6】本開示の実施形態による、例示的なタービンシステム構成要素の冷却通路の概略縦断面図である。
図7】本開示の実施形態による、例示的なタービンシステム構成要素の冷却通路の概略幅方向断面図である。
図8】本開示の別の実施形態による、冷却通路の概略幅方向断面図である。
図9】本開示のさらに別の実施形態による中空部材および冷却通路の概略幅方向断面図である。
図10】本開示の別の実施形態による、中空部材および冷却通路の概略縦断面図である。
図11】本開示の実施形態による、中空部材をその中に有する複数の冷却通路の全てを備えたタービンシステム構成要素の本体の外面の端面図である。
図12】本開示の実施形態による、その中に中空部材を含む複数の冷却通路を含むタービンシステム構成要素の本体の外面の端面図である。
図13】本開示の実施形態による、その中に中空部材を含む複数の冷却通路を含むタービンシステム構成要素の本体の外面の端面図である。
図14】本開示の実施形態による、複数の冷却通路を含むタービンシステム構成要素の本体の外面の端面図である。
図15】本開示の実施形態による、中空部材を選択された冷却通路に結合することを含むタービンシステム構成要素の本体の外面の端面図である。
図16】本開示の実施形態による、本体の外面を越えて延びる中空部材の一部を除去することを含むタービンシステム構成要素の本体の外面の端面図である。
図17】本開示の実施形態による、タービンシステム構成要素における冷却剤方向転換方法の一例を示す概略図である。
図18】本開示の実施形態による、タービンシステム構成要素における冷却剤方向転換方法の別の例を示す概略図である。
【0030】
本開示の図面は必ずしも縮尺通りではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを描写することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様の番号は、図面間の同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
最初の事項として、本開示の主題を明確に説明するために、ターボ機械の形態の例示的な産業機械内の関連する機械構成要素を参照し説明する際に、特定の用語を選択する必要が生じる。可能な限り、一般的な業界用語が使用され、その受け入れられた意味と一致する方法で採用される。特に断らない限り、このような用語は、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲と一致する広範な解釈が与えられるべきである。当業者であれば、特定の構成要素が複数の異なる用語または重複する用語を用いて言及されることが多いことを理解するであろう。本明細書において単一の構成要素であると説明されるものは、別の文脈では複数の構成要素から構成されるものを含み、参照される場合がある。あるいは、本明細書において複数の構成要素を含むものとして説明されているものが、他の箇所では単一構成要素として言及されている場合もある。
【0032】
加えて、いくつかの説明的な用語が本明細書で定期的に使用されることがあるが、本節の冒頭でこれらの用語を定義しておくことは有益であろう。これらの用語およびその定義は、特に断りのない限り、以下の通りである。本明細書で使用する「下流」および「上流」という用語は、タービンエンジンを通る作動流体や、例えば、燃焼器を通る空気の流れ、またはタービンの構成システムの1つを通る冷却剤の流れなど、流体の流れに対する方向を示す用語である。「下流」という用語は流体の流れ方向に対応し、「上流」という用語は流れとは反対の方向(すなわち、流れが発生する方向)を指す。
【0033】
中心軸に対して異なる半径位置に配置された構成要素を説明する必要があることが多い。半径方向」という用語は、軸に垂直な移動または位置を指す。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸に近い位置にある場合、本明細書では、第1の構成要素が第2の構成要素よりも「半径方向内側」または「インボード」にあると述べる。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸から遠くに存在する場合、本明細書では、第1の構成要素が第2の構成要素の「半径方向外側」または「アウトボード」にあると記載することができる。軸方向」という用語は、軸に平行な移動または位置を指す。最後に、「円周方向」という用語は、軸の周りの移動または位置を指す。このような用語は、タービンの中心軸に関連して適用されてもよいことが理解されよう。
【0034】
さらに、本明細書では、以下に説明するように、いくつかの説明的用語が規則的に使用される場合がある。「第1」、「第2」、および「第3」という用語は、1つの構成要素を別の構成要素から区別するために互換的に使用することができ、個々の構成要素の位置または重要性を意味することを意図していない。
【0035】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される場合、用語“comprises”及び/又は“comprising”は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことがさらに理解されるであろう。“任意の:optional”または“任意に:optionally”とは、その後に記述される事象または状況が発生してもしなくてもよいこと、またはその後に記述される構成要素または要素が存在してもしなくてもよいこと、およびその記述が、その事象が発生する例または構成要素が存在する例と、それが発生しない例または存在しない例とを含むことを意味する。
【0036】
ある要素または層が他の要素または層上に「ある」、「係合されている」、「接続されている」、または「結合されている」と言及される場合、それは他の要素または層上に直接、係合されている、接続されている、または結合されている可能性があり、または介在する要素または層が存在する可能性がある。対照的に、ある要素が他の要素や層の上に「直接」、「直接係合」、「直接接続」、「直接結合」されていると呼ばれる場合、介在する要素や層が存在しないこともある。要素間の関係を説明するために使用される他の単語も同様に解釈されるべきである(例えば、「間」対「直接間」、「隣接」対「直接隣接」など)。本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙された項目の1つまたは複数の任意のおよびすべての組み合わせを含む。
【0037】
上記に示したように、本開示はタービンシステム構成要素を提供する。タービンシステム構成要素は、外面を有する本体と、本体内に画定された冷却通路とを含む。冷却通路は、ガスタービン構成要素の他の流量計測通路(flow metering passages)、オリフィス(orifices)、または他の同様の要素と同様に、冷却通路であってもよく、このプロセスが適用されると、システムのその部分を通る流れが減少する。冷却通路は、ボディの外面まで延びており、第1の断面積を有する。タービンシステム構成要素はまた、冷却通路内に結合され、本体の外面に第1の出口開口を画定する中空部材を含む。中空部材の第1の出口開口部は、第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有し、元の冷却通路よりも小さい寸法の出口開口部を形成する。本開示の方法の実施形態による1つ以上の冷却通路における中空部材の結合は、本体の外面における冷却通路の断面積の減少を可能にし、冷却通路の冷却能力を低下させる。タービンシステム構成要素の冷却プロファイルなどの熱プロファイルを生成して、過剰な冷却を有する冷却通路を特定し、それらの冷却通路の出口開口部の断面積を減少させることができ、節約された冷却ポテンシャルをタービンまたはタービンシステム構成要素の他の場所でより効率的に使用することができる。
【0038】
図1は、ターボマシン100の形態の例示的な産業機械の概略図を示す。ターボマシン100のタービンシステム構成要素の一部は、本開示の教示による冷却通路を含むことができる。実施例では、ターボマシン100は、燃焼またはガスタービンシステムの形態である。ターボマシン100は、圧縮機102と燃焼器104とを含む。燃焼器104は、燃焼領域106と燃料ノズルアセンブリ108とを含む。ターボマシン100はまた、タービンアセンブリ110と、共通の圧縮機・タービンシャフト112(ロータ112と呼ばれることもある)とを含む。一実施形態では、ターボマシン100は、GE Vernova社から市販されている7FA.04ガスタービン(GT)システムであってもよい。本開示は、任意の1つの特定のGTシステムに限定されず、例えば、GE Vernovaの他のHA、F、B、LM、GT、TM、およびEクラスのエンジンモデル 、および他社のエンジンモデルを含む他のエンジンに関連して移植され得る。本開示は、特定のタービンまたはターボ機械に限定されるものではなく、例えば、蒸気タービン、ジェットエンジン、圧縮機、ターボファンなどに適用することができる。さらに、本開示は、特定の構成要素に限定されず、例えば、燃焼器内の高温燃焼ガスまたはタービンの高温ガス経路に曝され、冷却を必要とする任意の形態の高温構成要素に適用することができる。また、本開示は、ターボ機械以外の、高温部品の冷却低減を必要とするあらゆる産業機械に適用することができる。
【0039】
図1を続けると、空気は圧縮機102を通って流れ、圧縮空気は燃焼器104に供給される。具体的には、圧縮空気は、燃焼器104と一体である燃料ノズルアセンブリ108に供給される。アセンブリ108は燃焼領域106と流路連通している。燃料ノズルアセンブリ108も燃料源と流路連通しており、燃料と空気を燃焼領域106に流す。燃焼器104は燃料に点火し燃焼させる。燃焼器104は、ガス流の熱エネルギーが機械的な回転エネルギーに変換されるタービンアセンブリ110と流路連通している。タービンアセンブリ110は、タービンシステムとも呼ばれ、ロータ112に回転可能に結合して駆動するタービン111を含む。圧縮機102もロータ112に回転可能に結合されている。図示の実施形態では、複数の燃焼器106と燃料ノズルアセンブリ108がある。
【0040】
図2は、ターボマシン100(図1)の例示的なタービンアセンブリ110の一部の断面図である。タービンアセンブリ110のタービン111は、ターボマシン100の静止ケーシング122に結合され、回転ブレード124の列又はステージ(段)に軸方向に隣接するノズル120の列又は段を含む。静止ノズル126(ベーンとも呼ばれる)は、半径方向外側のプラットフォーム128および半径方向内側のプラットフォーム130によってタービンアセンブリ110に保持される場合がある。タービンアセンブリ110内のブレード124の各段は、ロータ112に結合され、ロータと共に回転する回転ブレード132を含む。回転ブレード132は、ロータ112に結合された半径方向内側プラットフォーム134(ブレードの根元部)と、半径方向外側先端部136(ブレードの先端部)とを含むことができる。シュラウド138は、ノズル126と回転ブレード132の隣接する段を分離することができる。例えばガスタービンの燃焼ガスを含む作動流体140は、高温ガス経路(以下、単に「HGP」とする)と呼ばれるものに沿ってタービン111を通過する。HGPは、高温を有する燃焼ガスに曝されるタービン111の任意の領域であり得る。タービン111の様々な構成要素は、タービン111内のHGP、または燃焼器104内の高温燃焼ガスに直接的または間接的に曝され、高温ガスタービンシステム構成要素200(以下、「タービンシステム構成要素」)を構成することができる。例示のタービン111では、ノズル126、ブレード132、およびシュラウド138はすべて、本開示の教示の恩恵を受け得るタービンシステム構成要素の例である。HGPに直接的または間接的に曝されるタービン111の他の構成要素も、本開示の教示の恩恵を受けることができるタービンシステム構成要素と見なされ得ることが認識されるであろう。
【0041】
図3~5は、本開示の教示が採用され得るタービンシステム構成要素200の例の透視図を示す。図3は、回転ブレード132の形態のタービンシステム構成要素200の透視図である。回転ブレード132は、回転ブレード132がロータ112(図2)に取り付ける根元部142を含む。根元部142は、ロータ112(図2)のロータホイール146(図2)の外周の対応するダブテールスロットに取り付けるように構成されたダブテール144を含むことができる。根元部142は、ダブテール142とプラットフォーム134との間に延びるシャンク148をさらに含むことができ、このシャンクは、エアフォイル152と根元部142との接合部に配置され、タービンアセンブリ110を通るHGPのインボード境界の一部を画定する。エアフォイル152は、作動流体の流れを遮断し、ロータディスクを回転させる回転ブレード132の能動構成要素であることが理解されよう。回転ブレード132のエアフォイル152は、凹状の圧力側(PS)外壁154と、それぞれ対向する前縁158および後縁160の間に軸方向に延びる、周方向または横方向に対向する凸状の吸引側(SS)外壁156とを含むことが分かるであろう。側壁154および156はまた、プラットフォーム150から半径方向外側の先端部136まで半径方向に延びている。先端部136は、現在知られているまたは後に開発される任意の先端シュラウド(図示せず)を含むことができる。本開示の実施形態による冷却通路202(図6図16)は、例えば、エアフォイル152、プラットフォーム134または回転ブレード132の他の部分内で使用することができる。
【0042】
図4は、静止ノズル126の形態のタービンシステム構成要素200の透視図である。ノズル126は、ノズル126がターボマシンの静止ケーシング122(図2)に間接的に取り付ける半径方向外側プラットフォーム128を含む。外側プラットフォーム128は、ケーシング内の対応するマウントに取り付けるための、現在知られているまたは後に開発される任意の取り付け構成を含むことができる。ノズル126は、隣接するタービン回転ブレード132(図3)プラットフォーム134(図3)の間に位置決めするための半径方向内側プラットフォーム130をさらに含むことができる。プラットフォーム128、130は、タービンアセンブリ110を通るHGPのアウトボード境界およびインボード境界のそれぞれの部分を画定する。エアフォイル176は、作動流体の流れを遮り、タービン回転ブレード132(図3)に向けるノズル126の能動構成要素であることが理解されよう。ノズル126のエアフォイル176は、凹状の圧力側(PS)外壁178と、それぞれ対向する前縁および後縁182、184の間に軸方向に延びる円周方向または横方向に対向する凸状の吸引側(SS)外壁180とを含むことが分かるであろう。側壁178、180はまた、プラットフォーム130からプラットフォーム128まで半径方向に延びている。本開示の実施形態による冷却通路202(図6図16)は、例えば、エアフォイル176、プラットフォーム128、130、またはノズル126の他の部分内で使用され得る。
【0043】
図5は、シュラウド138の形態のタービンシステム構成要素200の透視図である。シュラウド138は、タービン回転ブレード132(図2~3)の先端136(図2~3)とノズル126(図2及び図4)の半径方向外側のプラットフォーム128(図2及び図4)との間に位置決めするためのプラットフォーム190を含むことができる。シュラウド138は、任意の方法でケーシング122(図2)に固定することができる。本開示の実施形態による冷却通路202(図6図16)は、例えば、シュラウド138の面192または内面194または他の部分内で使用され得る。
【0044】
図3図5をまとめて参照すると、前述のように、本明細書で説明する本開示の実施形態は、タービン回転ブレード132(図3)、ノズル126(図4)および/またはシュラウド138(図5)などのタービン111(図2)の任意のタービンシステム構成要素200に適用することができるが、これらに限定されない。しかしながら、本開示の教示は、燃料ノズル、ライナ、流路、ヘッドエンド構成要素(fuel nozzles, liners, flow channels, head end components)などの燃焼器104構成要素にも適用可能であることが強調される。タービンシステム構成要素200は、多くの場合、燃焼器104の高温燃焼ガスまたはタービン111のHGPに曝されるその構成要素に冷却剤、典型的には空気などの気体を供給し、それらの構成要素を冷却するための1つまたは複数の冷却通路202を含む1つまたは複数の冷却回路をその中に含むことが認識されるであろう。図6図16を参照すると、説明の目的のために、本開示の実施形態による冷却通路202が、それぞれ、回転ブレード132またはノズル126のためのエアフォイル152、176の後縁160、184などのタービンシステム構成要素200の任意の部分を含み得るが、これらに限定されない概略本体210に対して図示され、説明される。本開示の教示は、任意のタービンシステム構成要素200の本体200の外面212から出る任意の冷却通路202に適用され得ることが強調される。
【0045】
図6は、本開示の実施形態による、例示的なタービンシステム構成要素200の冷却通路202の概略縦断面図(schematic length-wise, cross-sectional view)であり、図7は、例示的なタービンシステム構成要素200の冷却通路202の概略幅方向断面図(schematic width-wise, cross-sectional view)である。タービンシステム構成要素200は、外面212を有する本体210を含む。前述のように、本体210は、タービン111(図2)の高温ガス経路構成要素の一部であってもよい。タービンシステム構成要素200は、本体210内に画定された冷却通路202も含む。冷却通路202は、本体210内の任意の冷却回路に流体連通していてもよい。本体210は、その外面212の(本来の)出口開口部214まで延びる冷却通路202をその中に有することができる任意の構造とすることができる。本体210は、高温部品の現在知られている材料または後に開発される材料を含むことができる。タービン111の場合、本体210は、ニッケルまたはコバルトベースの超合金を含むことができる。より詳細には、R108、MarM 247/CM-247、GTD-222/241/262/111/141/444、Rene N5/N4/N400/N500、Inco 738などのニッケル基超合金、または同様の構造のコバルト超合金(R108, MarM 247/CM-247, GTD-222/241/262/111/141/444, Rene N5/N4/N400/N500, Inco 738; or similarly structured cobalt superalloys)など、タービンシステム構成要素に適した超合金を含むことができるが、これらに限定されない。
【0046】
冷却通路202は、本明細書において“通路断面積:passage cross-sectional area”と呼ばれる、本体210内の断面積を有する。冷却通路202の断面積は、その長さに沿って変化し得る。通路断面積は、本明細書で説明するような中空部材(hollow member)220が使用される場合を除き、冷却通路202の長さにわたる平均断面積として計算することができる。図7において、冷却通路202は、通路断面積が円形であるように、概して円形の幅方向断面を有する。しかしながら、冷却通路202は、様々な非円形の断面形状を有してもよい。冷却通路202は、概ね直線状または直線状のレイアウトを有するが、多少の曲率を有していてもよい。冷却通路202の長さは、概ね直線状で、本体210の外面212と流体連通する部分であってもよい。
【0047】
図6および図7はまた、冷却通路202に結合され、本体210の外面212に(新たな)出口開口部222を画定する中空部材220を含むタービンシステム構成要素200を示している。中空部材220は、出口開口部222において、通路断面積よりも小さい断面積を有する。参考のため、中空部材220の断面積を、本明細書では“部材断面積”と呼ぶ。このようにして、中空部材220は、元の出口開口部214と比較して、冷却通路202を通過して出口開口部222から出る冷却剤の量を減少させ、冷却通路202の冷却能力を低下させる。出口開口部222の断面積の減少は、ユーザーが定義することができる。一実施例では、部材断面積は通路断面積の約30%~50%である。あるいは、通路断面積は部材断面積の約2~3倍である。断面積は、タービンシステム構成要素200の大きさ、冷却されるべきタービンシステム構成要素の位置、所望の冷却量、および/または特定の冷却通路など(ただし、これらに限定されない)の多数の要因に応じて変化し得ることが認識されよう。中空部材220は、冷却通路202の内部断面に結合できるような形状の外部断面を有する。
【0048】
中空部材220は、ろう付け、はんだ付け、抵抗溶接(brazing, soldering, resistance welding)などを含む任意の数の接合技術によって、本体210内の冷却通路202内に結合されてもよい。図7に示す一実施形態では、中空部材220は、ろう材226によって本体210内の冷却通路202内に結合されてもよい。別の実施形態では、ろう材26は、300μmの最大厚さを有することができる。ろう材226は、AMS4782、103、D15、DF4BまたはB1Pろう材(AMS4782, 103, D15, DF4B or B1P braze materials)などのニッケルベースの低融点ろう材(nickel-based, low-melt temperature braze materials)に限定されないが、本体210および中空部材220の材料をろう付けするための任意の適切な材料を含むことができる。中空部材220は、タービンシステムの動作温度よりも高い溶融温度を有する材料で作られている。したがって、タービンシステムの運転は中空部材220に影響を与えず、例えば、その内部断面積は変化しない。中空部材220は、例えば、ニッケル-クロム系超合金、コバルト系超合金、またはステンレス鋼を含むことができるが、これらに限定されないが、インコネル(Inconel)(登録商標) 625(Special Metals Corporationから入手可能)、または300シリーズステンレス鋼(a nickel-chromium-based superalloy, a cobalt-based superalloy, or a stainless steel, such as but not limited to: Inconel(TM) 625 (available from Special Metals Corporation), or 300 series stainless steels)などであるが、これらに限定されない。一実施形態では、中空部材220は、冷却通路202の水力直径より小さい出口開口部222で外面212の内側に延びることができる。ある実施形態では、中空部材220は、冷却通路の長さの一部から最大で冷却通路202の全長まで、出口開口部222において外面212の内側に(距離Dを参照)延びることができる。
【0049】
中空部材220は様々な形状を有することができる。図7では、冷却通路202は概ね円形の断面を有して示されている。ここで、中空部材220は、冷却通路202の少なくとも一部の内部断面の形状と一致する形状を有する外部断面を有する。この例では、中空部材220は管状であってもよい。中空部材220は、例えば0.1~0.3ミリメートルの範囲の最小壁厚を有してもよく、壁厚は長さに沿って概ね一定である。冷却通路202の内部断面は、中空部材220が対応するように形成され得る多数の異なる形状を有し得る。図8は、本開示の別の実施形態による冷却通路202の概略幅方向断面図を示す。図8の冷却通路202は、概ね円形の断面を有するが、その内面に複数のタービュレータ228、例えば、突起またはディンプルを含む。タービュレータ(turbulators)228は、例えば、そこを通る冷却剤流の冷却能力を向上させるために設けることができる。円形以外の断面形状も可能であり、例えば、楕円形またはその他の長円形、多角形などである。中空部材220は、本体210の外面212における冷却通路202の本来の出口開口部214への挿入、および/または冷却通路202内への結合を可能にするように、収容可能な外形断面を有することができる。例えば、中空部材220は、タービュレータ228間の最小直径よりも小さい円形断面を有してもよいし、タービュレータ228を捕捉するためのシートなどを含んでもよい。
【0050】
図9は、本開示のさらに別の実施形態による、中空部材220および冷却通路202の概略幅方向断面図である。特定の実施形態において、中空部材220は、管状である必要はなく、例えば、その長さに沿って円形である内側および外側の断面形状を有する。すなわち、中空部材220の外部断面は、中空部材220の内部断面とは異なっていてもよい。中空部材220は、冷却通路202の少なくとも一部の内部断面の形状に一致する形状を有する外部断面を有してもよい。図9では、例えば、中空部材202の外部断面は、冷却通路202の少なくとも一部の内部断面と一致するように概ね円形であり、中空部材220の内部断面(例えば、正方形などの多角形)は、中空部材220の外部断面(例えば、円形)と異なっていてもよい。中空部材220の外部断面および内部断面の両方について、他の形状も可能である。
【0051】
図10は、本開示の別の実施形態による、中空部材220および冷却通路202の概略的な長さ方向の断面図である。これまでの実施形態では、中空部材220は、同じ寸法を有するその長さに沿って同じ内部形状および外部形状を有してもよい。すなわち、任意の長さ方向の断面において、中空部材220の両側の壁の厚さは、均一な長さ方向の厚さを有するであろう。図10に示す代替実施形態では、中空部材220は、本体210の内部のその内端部230において、出口開口部222における部材断面積とは異なる断面積を有していてもよい。この場合、中空部材220は、出口開口部222における部材断面積よりも、本体210内で冷却通路202の通路断面積と流体的に会合する断面積が大きい。すなわち、冷却剤の流れが冷却通路202から出口開口部222に向かって進行するにつれて、その肉厚は増加し、その断面積は減少する。したがって、中空部材220は、流れが冷却通路202から出口開口部222に進むにつれて狭くなる。中空部材220は、フレア状端部、内側タービュレータなどを含むがこれらに限定されない様々な他の特徴を含むことができる。
【0052】
タービンシステム構成要素200は、多くの場合、複数の冷却通路202を含み、各冷却通路202は、外面212で本体210から出ることができる。図11は、複数の冷却通路202(本体210の内部)を含むタービンシステム構成要素200の本体210の外面212の端面図を示す。この例では、すべての冷却通路202(本体210の内部)は、その中に中空部材220を含む。したがって、すべての冷却通路202は、本体210内の、より小さい、部材断面積を有する。このようにして、全ての冷却通路202の冷却能力が低下している。代替的な実施形態では、冷却通路202の一部のみが、その中に中空部材220を含んでいてもよい。図12は、複数の冷却通路202A、202B(本体210の内部)を含むタービンシステム構成要素200の本体210の外面212の端面図であり、そのうちのいくつかは中空部材220を含み、いくつかは含まない。この場合、中空部材220は、本体210内に画定された複数の冷却通路のうち、選択された冷却通路202Aのみに使用することができる。図12において、中空部材220は、複数の冷却通路202A、202Bのうちの選択された冷却通路202Aの各々に対応する部材断面積を有する本体210の外面212に出口開口222を画定する。したがって、複数の冷却通路のうちの選択された冷却通路202Aの各々は、本体210の外面212におけるその出口開口部222において、本体210内の小さい方の部材断面積を有する。中空部材220を含まない他の冷却通路202Bは、元の出口開口214においてより大きな通路断面積を有するままである。すなわち、複数の他の冷却通路202Bが本体210内に画定されてもよく、本体210内の冷却通路202Bの各々は、より大きな通路断面積を有する本体210内に画定された出口開口部214において本体210の外面212から出る。冷却通路202Bもまた、本来の、より大きな冷却能力を有する。所定のタービンシステム構成要素200において、任意の数の冷却通路202または異なるセットの冷却通路202を、同じサイズの中空部材220または異なるサイズの中空部材220でサイズ変更することができる。
【0053】
異なる断面積を有する出口開口部222、214をそれぞれ有する1以上の冷却通路202Aおよび1以上の冷却通路202Bは、任意の所望の方法で配置することができる。図12では、例えば、2つの冷却通路202Bが、繰り返しても繰り返さなくてもよいパターンで6つの冷却通路202Aによって分離されている。図13に示す別の実施形態では、異なる冷却通路202A、202Bは、本体210の外面212に沿って交互に配置されてもよい。所望の冷却特性を得るために、どのようなパターンを採用してもよい。
【0054】
図14~16を参照して、本開示の様々な実施形態による方法を説明する。中空部材220が採用される冷却通路202は、多くの方法で選択することができる。前述のように、一例では、全ての冷却通路202がそれぞれの中空部材220(図11)を受容することができる。別の実施例では、それぞれの中空部材220を受容する冷却通路202をランダムに選択することができる。別の実施例では、それぞれの中空部材220を受ける冷却通路202は、あるパターンを形成するように選択することができる。例えば、他の多くの配置の中で、冷却通路202A、202Bは、以下のように配置することができる:交互の冷却通路;中空部材を有する1つまたは複数の冷却通路が、冷却通路を有さない1つまたは複数の冷却通路に隣接する;繰り返しのパターン;冷却通路の割合;および/またはタービンシステム構成要素200上の特定の位置(alternating cooling passages; one or more cooling passages with hollow members adjacent one or more cooling passage without; repeating patterns; a percentage of cooling passages; and/or on certain locations on turbine system component 200)。いずれにしても、中空部材220を受容するための複数の冷却通路から少なくとも1つの冷却通路202は、過剰な冷却能力を有する冷却通路202を示すタービンシステム構成要素200の冷却プロファイルに基づいて特定することができる。冷却プロファイルは、経験的データ、測定データ、および/または熱モデリングを採用する現在知られているまたは後に開発される任意のソフトウェアシステムを使用して確認することができる。経験的データに関しては、非限定的な一例として、構成要素を加圧し、冷却通路から出る空気の流れを測定するフローベンチを使用して、タービンシステムの構成要素の空気の流れを測定することができる。冷却プロファイルは、冷却属性、測定された流量特性、および/または他の流量特性に基づいて生成することができ、1以上の冷却通路202Cは、本明細書に記載の方法の一部として特定することができる。すなわち、本方法は、タービンシステム構成要素の冷却プロファイルに基づいて、タービンシステム構成要素200の本体210に画定された複数の冷却通路から1以上の冷却通路202Cを特定することを含み得る。あるいは、冷却プロファイルおよび/または識別は、他の方法で得ることができ、例えば、第三者によって作成され、本明細書に記載の方法と共に使用するために提供される。
【0055】
いずれにしても、冷却プロファイルは、過剰な冷却能力を有する冷却通路202を特定する。“過剰な冷却能力:Excess cooling capacity”は、例えば、必要な又は所望の空気流量閾値(required or desired airflow threshold)と比較した過剰な空気流量又は流量率(excess air flow volume or flow rate)によって特定することができ、或いは、他の選択肢の中でも、所定の冷却閾値、例えば、所望の温度、複数の冷却通路間の集合温度を超えて冷却することによって特定することができる。過剰な冷却能力を示す所望のパラメータの閾値は、任意の性能上の理由で調整することができる。特定された冷却通路の冷却通路202の断面積を小さくして、冷却能力を低下させることが有利な場合がある。節約された冷却能力は、別の場所で、または別の目的で使用することができ、例えば、タービンシステム構成要素200および/またはターボマシン100(図1)の全体的な効率を高めることができる。特定の冷却通路202の冷却能力は、出口開口部断面積、通路断面積、通路および出口開口部の物理的状態(例えば、物理的に閉じている)、目詰まり、外面212の酸化または他の摩耗、上流冷却通路または回路の状態、冷却通路202の数、その中の中空部材220の内径および外径、および/または冷却剤温度、圧力、流量などの多種多様な要因に基づくことができるが、これらに限定されない。中空部材220は、所望の冷却能力を得るように選択することができる。
【0056】
図14は、複数の冷却通路202(本体210内部)を含むタービンシステム構成要素200の本体210の外面212の端面図である。特定の冷却通路202Cは、過剰な冷却能力を有する位置として特定されており、したがって、中空部材220を受け入れる対象としている。図15は、タービンシステム構成要素200の本体212の外面212に設けられた冷却通路202C(6つ図示)に中空部材220を結合する様子を示している。前述のように、本体210に画定された冷却通路202Cは通路断面積を有する。中空部材210を冷却通路202Cに挿入する前に、冷却通路202C、例えばその内表面の洗浄を任意に行うことができる。この洗浄には、どのような接合技術が採用されるにせよ、中空部材220の適切な結合を確実にすることができる化学的または研磨剤/機械的洗浄(a chemical or abrasive/mechanical cleaning)が含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
図15に示すように、結合は、選択された冷却通路202Cに中空部材220を挿入することを含むことができる。中空部材220は、冷却通路202の水力直径以下の出口開口部222で外面212の内側に延びることができる。中空部材220が冷却通路202C内に延びる範囲は、例えば、冷却通路の長さ、または中空部材220が冷却通路202C内に配置される範囲によって設定することができる。図15はまた、それぞれの1以上の冷却通路202C内に1以上の中空部材220を物理的に結合すること、すなわち、取り外すことができないように結合することを示す。物理的結合は、1以上の中空部材220にろう付けプロセスなどの接合プロセスを実行することを含んでもよい。ろう付け工程は、1以上の中空部材220の少なくとも一部と本体210内のそれぞれの冷却通路(単数または複数)202Cとの間にろう材226を形成することを含み得る。例えば、ろう材は、他の技術の中でも、タービンシステム構成要素200と中空部材220との間に盛り上げられた冷却通路202の出口の液体ろう材、中空部材220とタービンシステム構成要素200との間のろう材箔、タービンシステム構成要素200と中空部材220との間に配置された乾燥ろう材粉末またはろう材ペースト/スラリー(a dry braze powder or a braze paste/slurry)として適用することができる。ろう付けプロセスは、熱処理プロセスを実行することも含むことができる。ろう付け工程は、使用される特定のろう材および/または本体210および中空部材220の材料に合わせてカスタマイズすることができる。結合は、任意の適切な接合装置(joining equipment)240を用いて実施することができる。図15に示すように、中空部材220の一部242は、本体210の外面212を越えて外側に延びている。
【0058】
図16は、タービンシステム構成要素200の端面図であり、本体210の外面212を越えて延びる中空部材220の除去部分242(removing portion、図15)を、例えば、切断または削り取ることによって除去している。除去後、中空部材220は、本明細書で説明するように、本体210の外面212の冷却通路202Cと流体連通する出口開口部222を画定する。出口開口部222の中空部材220は、通路断面積よりも小さい部材断面積を有し、冷却通路202Cを通る冷却剤の流れを減少させる。本体210はまた、タービンシステム構成要素200の本体210の外面212に、より大きい、本来の出口開口部214を有する1以上の冷却通路202Bを含むことができる。すなわち、1以上の冷却通路202Bは、本体210内に画定され、本体210の外面212の元の出口開口部214において、本体210内のより大きな、通路断面積を有する。一実施例では、通路断面積は、1.31~1.70平方ミリメートル(mm)の範囲内であってもよく、部材断面積は、0.58~0.62mmの範囲内であってもよい。その他の断面積も可能である。
【0059】
本開示の実施形態は、冷却通路の出口開口部の断面積を減少させ、冷却通路の冷却能力を選択的に減少させることを可能にするタービンシステム構成要素および方法を提供する。タービンシステム構成要素の冷却プロファイルを使用して、過剰冷却を有する冷却通路を特定し、それらの冷却通路の出口開口部の断面積を減少させることができ、節約された冷却ポテンシャルをタービンまたはタービンシステム構成要素の他の場所でより効率的に使用することができる。
【0060】
実施形態では、図17をさらに参照すると、冷却剤の流れを方向転換するために方法300を使用することができる。大まかに言えば、方法300は、タービンシステム110の構成要素200の本体210の外面212上のホットスポットを特定することP310と、外面212上のクールスポットを特定することP320と、冷却剤の一部をクールスポットからホットスポットに向けるように複数の冷却通路220を再構成することP330とを含むことができる。ホットスポットP310を特定する際に、構成要素200の第1のパラメータは、ホットスポットにおける外面212の温度Texが第1の閾値Tを超えることを示すことP312ができ、構成要素の第1のパラメータは、タービンシステム110の運転後に測定することができる。クールスポットを特定するP320際、構成要素200の第2のパラメータは、クールスポットにおける外面212の温度Texが第2の閾値Tより低いことを示すことP322ができ、構成要素200の冷却プロファイルを使用することができる。このような冷却プロファイルは、上述のように、複数の冷却通路220を通る冷却剤の流れに少なくとも部分的に基づくことができる。クールスポットを特定することは、構成要素200の冷却プロファイルを使用するなどして、過剰な冷却能力を有するクールスポット冷却通路を特定することを含むことができる。
【0061】
閾値(複数可)は温度範囲であってもよく、例えば、温度範囲T-Tは、冷却能力が過剰な構成要素の領域を示す場合がある。温度範囲T-Tは、適切または満足な冷却能力を有する領域を示す場合があり、温度範囲T以上は、冷却能力が不十分な構成要素の領域を示す場合がある。上付き数字n(例えば、T)は相対温度を示し、例えばTはT未満、TはT未満などである。この例では、T~Tの範囲にある構成要素の領域は十分に冷却されており、好ましくは変更されない。しかし、温度範囲T-Tにある構成要素の領域は、必要以上に低温で動作するため、これらの領域からの冷却剤流の一部を、Tまたはそれ以上の範囲にある構成要素の領域に振り向けることができる。このようにして、構成要素の高温領域は冷却流を増加させ、これらの領域を温度範囲T-Tまで下げることができる。3つの閾値温度範囲について説明したが、本明細書で説明する方法では、1つ、2つ、または3つ以上の閾値値または温度範囲を採用できることを理解されたい。
【0062】
上述したように、外面212は、そこに延びる複数の冷却通路202を含むことができ、各冷却通路202は、外面212において、第1の断面積および第1の出口開口214を有することができる。冷却剤P330を方向転換することは、クールスポットP332内のクールスポット冷却通路の断面積を、第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有するように変更することを含み得る。クールスポット冷却通路の断面積を変更することP332は、中空部材220をクールスポット冷却通路に挿入することP334と、中空部材220をクールスポット冷却通路に結合することP336とを含むことができる。中空部材220は、第2の断面積を有することができ、第2の断面積を有する外面212に第2の出口開口部222を画定することができる。実施形態において、クールスポット冷却通路は、複数の冷却通路202の第1のグループを含むことができ、クールスポット冷却通路P332の断面積を変更することは、上述のようなパターンに従って第1のグループの各クールスポット冷却通路の断面積を変更することを含むことができる。
【0063】
言い換えれば、図18をさらに参照すると、方法300は、タービンシステム110の構成要素200の本体210の外面212の第1の領域を特定することP350を含むことができ、第1の領域は、第1の領域が現在受ける冷却よりも多くの冷却を必要とするP352。第1の領域は、構成要素200の本体210内に画定され、その外面212まで延在する複数の冷却通路202のうちの第1の冷却通路を含み得る。複数の冷却通路の各冷却通路202は、第1の断面積および第1の出口開口部214を有することができる。第1の冷却通路は、第1の冷却通路が現在受け取るよりも多くの冷却を必要とする。方法300はまた、外面212の第2の領域を特定することP360を含むことができ、複数の冷却通路202のうち、第2の冷却通路が現在必要とするよりも多くの冷却を受ける第2の冷却通路を含むことP362ができる。さらに、方法300は、冷却剤の一部を第2の冷却通路から第1の冷却通路に向けるように冷却通路の1つ以上を再構成することP370を含むことができ、これは、第2の冷却通路の断面積を減少させることP372を含むことができる。
【0064】
第1の領域を特定することP350は、構成要素200の冷却プロファイルを使用することP354を含むことができ、この冷却プロファイルは、構成要素200の冷却プロファイルを作成することP356を含むことができる。このような冷却プロファイルは、タービンシステム110における構成要素200の使用後の外面212のパラメータに基づくことができる。パラメータは、例えば、酸化、クリープ、亀裂、ボイド、寸法の歪み、変色、コーティングの剥落(oxidation, creep, cracking, voiding, dimensional distortions, discoloration, coating spallation)、または現在適切であることが知られているかもしくは将来そうなることが知られているような別の適切なパラメータを含むことができる。加えて、実施形態におけるこのようなパラメータは、測定することができるが、他の実施形態では、このようなパラメータは、構成要素200のデジタルモデルを使用して予測することができる。上述したように、冷却プロファイルは、複数の冷却通路202を通る冷却剤の流れに基づくこともできる。
【0065】
実施形態において、冷却通路の断面積を減少させることは、上述のように、冷却通路に中空部材220を挿入することP374を含み得る。中空部材は、本体210の外面212まで延びることができ、その中に第2の出口開口部222を画定することができ、中空部材220の第2の出口開口部222は、上述もしたように、第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する。
【0066】
本発明のさらなる態様は、以下の条項の主題によって提供される。
[実施態様1]
タービンシステム(110)の構成要素(200)の本体(210)の外面(212)上のホットスポットを特定するステップ(identifying a hot spot on an exterior surface (212) of a body (210) of a component (200) of a turbine system (110))であって、前記構成要素(200)の第1のパラメータが、前記ホットスポットにおける前記外面(212)の温度が第1の閾値を超えることを示す(a first parameter of the component (200) indicates that a temperature of the exterior surface (212) in the hot spot exceeds a first threshold value)、前記ステップと、
前記外面(212)上のクールスポットを特定するステップ(identifying a cool spot on the exterior surface (212))であって、前記構成要素(200)の第2のパラメータが、前記クールスポットにおける前記外面(212)の温度が第2の閾値未満であることを示す(a second parameter of the component (200) indicates that the temperature of the exterior surface (212) in the cool spot is below a second threshold value)、前記ステップと、
複数の冷却通路(202)を再構成し、冷却剤の一部(242)を前記クールスポットから前記ホットスポットに導くステップ(reconfiguring a plurality of cooling passages (202) to direct a portion (242) of a coolant from the cool spot to the hot spot)と、を含む、方法(300)。
[実施態様2]
前記外面(212)は、そこに延びる複数の冷却通路(202)を含み(the exterior surface (212) includes the plurality of cooling passages (202) extending thereto)、各冷却通路(202)は、第1の断面積と前記外面(212)での第1の出口開口(214)とを有し(each cooling passage (202) having a first cross-sectional area and a first exit opening (214) in the exterior surface (212))、冷却剤を方向転換することが、前記第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有するように、前記クールスポット内のクールスポット冷却通路(202)の断面積を変更するステップを含む(the redirecting coolant includes altering a cross-sectional area of a cool spot cooling passage (202) in the cool spot to have a second cross-sectional area that is smaller than the first cross-sectional area)、先行する実施態様のいずれかに記載の方法(300)。
[実施態様3]
前記クールスポット冷却通路(202)の前記断面積を変更するステップが、前記クールスポット冷却通路(202)に中空部材(220)を挿入するステップ(altering the cross-sectional area of the cool spot cooling passage (202) includes inserting a hollow member (220) into the cool spot cooling passage (202))であって、前記中空部材(220)が第2の断面積を有している(the hollow member (220) having the second cross-sectional area)、前記ステップと、前記中空部材(220)を前記クールスポット冷却通路(202)に結合するステップ(coupling the hollow member (220) into the cool spot cooling passage (202))とを含む、先行する実施態様のいずれかに記載の方法(300)。
[実施態様4]
前記中空部材(220)が、前記外面(212)に第2の断面積を有する第2の出口開口部(222)を画定する(the hollow member (220) defines a second exit opening (222) in the exterior surface (212) that has the second cross-sectional area)、先行する実施態様のいずれかに記載の方法(300)。
[実施態様5]
前記クールスポット冷却通路(202)は、複数の冷却通路(202)の第1のグループを含み(the cool spot cooling passage (202) includes a first group of the plurality of cooling passages (202))、前記クールスポット冷却通路(202)の前記断面積を変更するステップが、パターンに従って前記第1のグループの各クールスポット冷却通路(202)の断面積を変更するステップ(altering the cross-sectional area of the cool spot cooling passage (202) includes altering the cross-sectional area of each cool spot cooling passage (202) of the first group according to a pattern)を含む、先行する実施態様のいずれかに記載の方法(300)。
[実施態様6]
前記ホットスポットを特定するステップは、前記タービンシステム(110)の運転後に前記構成要素(200)の前記第1のパラメータを測定するステップを含む(identifying the hot spot includes measuring the first parameter of the component (200) after operation of the turbine system (110))、先行する実施態様のいずれかに記載の方法(300)。
[実施態様7]
前記クールスポットを特定するステップは、前記構成要素(200)の冷却プロファイルを使用するステップを含む(identifying the cool spot includes using a cooling profile of the component (200))、先行する実施態様のいずれかに記載の方法(300)。
[実施態様8]
前記冷却プロファイルが、前記複数の冷却通路(202)を通る冷却剤の流れに少なくとも部分的に基づく(the cooling profile is based at least in part on flow of coolant through the plurality of cooling passages (202))、先行する実施態様のいずれかに記載の方法(300)。
[実施態様9]
前記クールスポットを特定するステップは、過剰冷却能力を有するクールスポット冷却通路(202)を特定するステップを含む(identifying the cool spot includes identifying a cool spot cooling passage (202) that has excess cooling capacity)、先行する実施態様のいずれかに記載の方法(300)。
[実施態様10]
タービンシステム(110)の構成要素(200)の本体(210)の外面(212)の第1の領域を特定するステップ(identifying a first region of an exterior surface (212) of a body (210) of a component (200) of a turbine system (110))であって、前記第1の領域は、前記第1の領域が現在受けている冷却よりも多くの冷却を必要とし(the first region requires more cooling than the first region currently receives)、前記第1の領域は、前記構成要素(200)の前記本体(210)内に画定され、その外面(212)まで延在する複数の冷却通路(202)のうちの第1の冷却通路(202)を含み(the first region including a first cooling passage (202) of a plurality of cooling passages (202) defined in a body (210) of the component (200) and extending to an exterior surface (212) thereof)、前記複数の冷却通路(202)の各冷却通路(202)は、第1の断面積と第1の出口開口部(214)とを有し(each cooling passage (202) of the plurality of cooling passages (202) having a first cross-sectional area and a first exit opening (214))、前記第1の冷却通路(202)は、前記第1の冷却通路(202)が現在受け入れているよりも多くの冷却を必要とする(the first cooling passage (202) requiring more cooling than the first cooling passage (202) currently receives)、前記ステップと、
前記複数の冷却通路(202)のうち、第2の冷却通路(202)が現在必要とするよりも多くの冷却を受ける第2の冷却通路(202)を含む、前記外面(212)の第2の領域を特定するステップ(identifying a second region of the exterior surface (212) including a second cooling passage (202) of the plurality of cooling passages (202) that receives more cooling than the second cooling passage (202) currently requires)と、
前記冷却通路(202)の1つまたは複数を再構成して、冷却剤の一部を前記第2の冷却通路(202)から前記第1の冷却通路(202)に導くステップ(reconfiguring one or more of the cooling passage (202) to direct a portion of a coolant from the second cooling passage (202) to the first cooling passage (202))と、を含む、方法(300)。
[実施態様11]
前記第1の領域を特定するステップは、前記構成要素(200)の冷却プロファイルを使用するステップを含む(identifying the first region includes using a cooling profile of the component (200))、先行する実施態様のいずれかに記載の方法(300)。
[実施態様12]
前記構成要素(200)の冷却プロファイルを使用するステップは、前記構成要素(200)の冷却プロファイルを作成するステップを含む(using a cooling profile of the component (200) includes creating a cooling profile of the component (200))、先行する実施態様のいずれかに記載の方法(300)。
[実施態様13]
前記冷却プロファイルは、前記タービンシステム(110)における前記構成要素(200)の使用後の前記外面(212)のパラメータに基づく(the cooling profile is based on a parameter of the exterior surface (212) after use of the component (200) in the turbine system (110))、先行する実施態様のいずれかに記載の方法(300)。
[実施態様14]
前記パラメータは、前記外面(212)の酸化である(the parameter is oxidation of the exterior surface (212))、先行する実施態様のいずれかに記載の方法(300)。
[実施態様15]
前記パラメータは、クリープである(the parameter is creep)、先行する実施態様のいずれかに記載の方法(300)。
【0067】
本明細書および特許請求の範囲を通じて使用される近似的な表現は、それが関連する基本的な機能の変化をもたらすことなく許容可能に変化し得るあらゆる定量的表現を修正するために適用することができる。したがって、「約」、「およそ」、「実質的に」などの用語によって修正される値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似的な表現は、値を測定するための機器の精度に対応することがある。本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、範囲の限定は組み合わされ、及び/又は入れ替えられてもよい。このような範囲は、文脈上又は文言上そうでない場合を除き、特定され、そこに含まれるすべてのサブ範囲を含む。範囲の特定の値に適用される“約”、両端値に適用され、値を測定する計器の精度に依存しない限り、記載された値の±10%を示す場合がある。
【0068】
以下の特許請求の範囲におけるすべての手段またはステッププラス機能要素の対応する構造、材料、行為、および等価物は、具体的に特許請求されるように、他の特許請求される要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または行為を含むことを意図している。本開示の説明は、例示および説明の目的で提示されたが、開示された形態での開示について網羅的または限定的であることを意図するものではない。本開示の範囲および精神から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。実施形態は、本開示の原理および実際的な適用を最もよく説明するために、また、当業者であれば、企図される特定の用途に適するように様々な変更を伴う様々な実施形態について本開示を理解することができるように、選択され、説明された。
【符号の説明】
【0069】
100ターボマシン 102:圧縮機 104:燃焼器 106:燃焼領域 108:燃料ノズルアセンブリ 110:タービンアセンブリ 111:タービン 112:ロータ/圧縮機・タービンシャフト 120ノズル列又はベーン列 122:静止ケーシング 124:回転ブレード 126:静止ベーン/ノズル 128:外側プラットフォーム/半径方向外側プラットフォーム 130:内側プラットフォーム 132:回転ブレード 134:内側プラットフォーム 136:先端部 138:シュラウド 142:根元部 144:ダブテール 146:ロータホイール 148:シャンク 150:プラットフォーム 152、176:エアフォイル 154、178:圧力側(PS)外壁 156、180:吸込側(SS)外壁 158、182:前縁 160、184:後縁 190:プラットフォーム 192:表面 194:内面 200:タービンシステム構成要素 202、202A、202B、202C:冷却通路 210:本体 212:外面 214、222:出口開口部 220:中空部材 226:ろう付け材料 228:タービュレータ 230:内部端部 240:接合装置 242:除去部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【外国語明細書】