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特開2025-6498建築用パネル、建築用パネル接合構造、建築用パネルの製造方法及び建築用パネル接合構造の施工方法
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  • 特開-建築用パネル、建築用パネル接合構造、建築用パネルの製造方法及び建築用パネル接合構造の施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006498
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】建築用パネル、建築用パネル接合構造、建築用パネルの製造方法及び建築用パネル接合構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/684 20060101AFI20250109BHJP
   E04B 1/80 20060101ALI20250109BHJP
   B29C 65/52 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
E04B1/684 D
E04B1/80 100G
B29C65/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107323
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】518088211
【氏名又は名称】積水ソフランウイズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和広
(72)【発明者】
【氏名】菜花 晴英
【テーマコード(参考)】
2E001
4F211
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001DD01
2E001FA03
2E001FA16
2E001GA15
2E001HB02
2E001HD03
2E001HD12
2E001HD14
2E001KA01
2E001LA01
2E001LA12
2E001MA06
4F211AA28
4F211AA31
4F211AD03
4F211AG01
4F211AG05
4F211AH46
4F211AR07
4F211TA04
4F211TC09
4F211TD20
4F211TN60
(57)【要約】
【課題】施工性及び生産性が高く、かつ複数の建築用パネルを接続して敷設した場合に接続部分からの漏水を防ぐことが可能な建築用パネル、建築用パネル接合構造、建築用パネルの製造方法及び建築用パネル接合構造の施工方法を提供する。
【解決手段】建築物を構成する建築用パネルであって、面材10と、面材10の端部10Aの全長に亘って設けられ、粘着剤によって形成された塗工層20とを備える、建築用パネル。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物を構成する建築用パネルであって、
面材と、前記面材の端部の全長に亘って設けられ、粘着剤によって形成された塗工層とを備える、建築用パネル。
【請求項2】
他の建築用パネルに対して、前記塗工層を介して前記面材の一部が重なるように隣接して配置される、請求項1に記載の建築用パネル。
【請求項3】
前記塗工層は、ホットメルト型粘着剤により形成される、請求項1に記載の建築用パネル。
【請求項4】
前記塗工層の厚みは、0.5mm以上3.0mm以下である、請求項1に記載の建築用パネル。
【請求項5】
前記塗工層の幅は、5mm以上30mm以下である、請求項1に記載の建築用パネル。
【請求項6】
前記面材は、断面形状が谷部と山部とが繰り返される波型である、請求項1に記載の建築用パネル。
【請求項7】
前記塗工層は、前記面材の最端部に設けられた前記谷部の内部に配置される、請求項6に記載の建築用パネル。
【請求項8】
前記面材の端部以外の部位に、断熱材を備える、請求項1に記載の建築用パネル。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の建築用パネルである第1の建築用パネルと、第2の建築用パネルとを備え、
前記第1の建築用パネルの面材は、前記第2の建築用パネルの面材の一部に重なるように配置され、
前記第1の建築用パネルの面材及び前記第2の建築用パネルの面材が、前記塗工層により、接合されている、建築用パネル接合構造。
【請求項10】
前記塗工層により接合された箇所において、前記第1の建築用パネルの面材及び前記第2の建築用パネルの面材を貫通する固定部材が設けられる、請求項9に記載の建築用パネル接合構造。
【請求項11】
建築物を構成する建築用パネルの製造方法であって、面材を用意し、前記面材の端部に全長に亘って粘着剤を塗工して塗工層を形成する、建築用パネルの製造方法。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか1項に記載の建築用パネルである第1の建築用パネルと、第2の建築用パネルとを用意し、前記第1の建築用パネルの面材と前記第2の建築用パネルの面材の一部が前記塗工層を介して重なるように配置し、前記第1の建築用パネルの面材及び第2の建築用パネルの面材を前記塗工層により接合する、建築用パネル接合構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物を構成する建築用パネル及びこの建築用パネルを用いた建築用パネル接合構造、並びに、この建築用パネルの製造方法及び建築用パネル接合構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物を構成する壁材及び屋根材等の建材として、板状の建築用パネルが広く用いられている。大型建築物を構成する建材として大型の建築用パネルを用いたいという要求があったが、建築用パネルの大きさは製造ラインの関係で制限があり、これまでの建築用パネルでは大きさ(幅、長さ)が足りず、大型建築物の建材として対応できなかった。また、建築用パネルを大きくし過ぎるとトラック等による運搬が困難となったり、施工の作業性が悪化したりするという問題がある。
【0003】
そこで、複数枚の建築用パネルを隣接させて敷設して大型建築物の壁材及び屋根材等を施工することが行われている。この際、隣接する建築用パネル同士は、例えば、防水帯を介して一部が互いに重ね合わせることが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、複数の建築用パネルが防水帯を介して重ね合わせられて接続し、屋根材等として敷設すると、建築用パネルの接続部分から漏水して不具合が発生するおそれがあった。
また、特許文献1に記載の構造では、防水帯を設けるために、建築用パネルの施工性や生産性を十分に高めることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭61-12061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、施工性及び生産性が高く、かつ複数の建築用パネルを接続して敷設した場合に接続部分からの漏水を防ぐことが可能な建築用パネル、建築用パネル接合構造、建築用パネルの製造方法及び建築用パネル接合構造の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]建築物を構成する建築用パネルであって、面材と、前記面材の端部の全長に亘って設けられ、粘着剤によって形成された塗工層とを備える、建築用パネル。
[2]他の建築用パネルに対して、前記塗工層を介して前記面材の一部が重なるように隣接して配置される、[1]に記載の建築用パネル。
[3]前記塗工層は、ホットメルト型粘着剤により形成される、[1]又は[2]に記載の建築用パネル。
[4]前記塗工層の厚みは、0.5mm以上3.0mm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の建築用パネル。
[5]前記塗工層の幅は、5mm以上30mm以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の建築用パネル。
[6]前記面材は、断面形状が谷部と山部とが繰り返される波型である、[1]~[5]のいずれかに記載の建築用パネル。
[7]前記塗工層は、前記面材の最端部に設けられた前記谷部の内部に配置される、[6]に記載の建築用パネル。
[8]前記面材の端部以外の部位に、断熱材を備える、[1]~[7]のいずれかに記載の建築用パネル。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の建築用パネルである第1の建築用パネルと、第2の建築用パネルとを備え、前記第1の建築用パネルの面材は、前記第2の建築用パネルの面材の一部に重なるように配置され、前記第1の建築用パネルの面材及び前記第2の建築用パネルの面材が、前記塗工層により、接合されている、建築用パネル接合構造。
[10]前記塗工層により接合された箇所において、前記第1の建築用パネルの面材及び前記第2の建築用パネルの面材を貫通する固定部材が設けられる、[9]に記載の建築用パネル接合構造。
[11]建築物を構成する建築用パネルの製造方法であって、面材を用意し、前記面材の端部に全長に亘って粘着剤を塗工して塗工層を形成する、建築用パネルの製造方法。
[12][1]~[8]のいずれかに記載の建築用パネルである第1の建築用パネルと、第2の建築用パネルとを用意し、前記第1の建築用パネルの面材と前記第2の建築用パネルの面材の一部が前記塗工層を介して重なるように配置し、前記第1の建築用パネルの面材及び第2の建築用パネルの面材を前記塗工層により接合する、建築用パネル接合構造の施工方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、施工性及び生産性が高く、かつ複数の建築用パネルを接続して敷設した場合に接続部分からの漏水を防ぐことが可能な建築用パネル、建築用パネル接合構造、建築用パネルの製造方法及び建築用パネル接合構造の施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(a)は、本発明の一実施形態に係る建築用パネルの断面図であり、図1(b)は、本発明の一実施形態に係る建築用パネルの平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る建築用パネルの断面図(その1)である。
図3】本発明の一実施形態に係る建築用パネルの断面図(その2)である。
図4図4(a)は、本発明の一実施形態に係る建築用パネル接合構造を施工するための前段階を示す断面図であり、図4(b)は、本発明の一実施形態に係る建築用パネル接合構造の断面図である。
図5図5(a)は、本発明の一実施形態に係る建築用パネルの断面図であり、図5(b)は、本発明の一実施形態に係る建築用パネルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分は同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0010】
[建築用パネル]
本発明の建築用パネルは、他の建築用パネルに一部が重なるように隣接して配置され、建築物を構成する建材として機能する。
以下、本発明の建築用パネルについて実施形態として詳細に説明する。
【0011】
本発明の実施形態に係る建築用パネル1aは、図1に示すように、面材10と、面材10の端部10Aの全長に亘って設けられ、粘着剤によって形成された塗工層20とを備える。以上の構成を有する建築用パネル1aは、施工性及び生産性が高く、かつ複数の建築用パネルを接続して敷設した場合に接続部分からの漏水を防ぐことができる。
なお、本明細書において、建築用パネル1aの面方向の一方向に沿う方向をX方向、面方向に沿い、かつX方向に直交する方向をY方向、X方向及びY方向に直交する建築用パネル1aの厚み方向をZ方向とする。塗工層20は、Y方向に沿って設けられるとよい。
【0012】
建築用パネル(以下、第1の建築用パネルということがある)1aは、面材10の一部である端部10Aにおいて、隣接して配置される建築用パネル1b(以下、第2の建築用パネルということがある)の一部と重なり、端部10Aの一方の面10C上に、建築用パネル1bの面材10の一部(面材10の端部)が重ねられる。
すなわち、端部10Aは、建築用パネル1aに隣接して配置される建築用パネル1bの一部に重ねられる重複部である。端部10aは、建築用パネル1aにおいてX方向における中央よりも外縁部側の領域に配置されればよいが、塗工層20は、例えば、建築用パネル1aをX方向に8等分した場合に最も外縁部側の領域に配置されるとよい。
【0013】
塗工層20は、粘着剤により形成され、好ましくはホットメルト型粘着剤により形成される。建築用パネル1aは、塗工層20を介して建築用パネル1bに貼り合わされる。粘着剤により形成された塗工層20は、粘着性を有するとよいが、貼り合わされた建築用パネル1bを貼り直しできるように弱粘着性を有することが好ましい。塗工層20が弱粘着性を有することで、隣接して配置される建築用パネル1bとの位置合わせのための貼り直しが可能となり、各パネルの位置調整を容易に行うことができる。また、塗工層20は、弾性を有するとよく、弾性を有することで、隣接して配置される建築用パネル1bと貼り合わせる際に、圧縮されて隙間を埋めながら貼り合わせることが可能となり、貼り合わせた後の止水性を強化することができる。
【0014】
また、塗工層20に使用されるホットメルト型粘着剤は、加熱により流動性を示すので、溶融させることで塗工可能であるとともに、塗工後に固化して上記したように粘着性、好ましくは弱粘着性を示す粘着剤である。
ホットメルト型粘着剤は、特に限定されないが、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、スチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー等の熱可塑性ポリマーと、粘着付与剤を含むとよい。粘着付与剤としては、ロジン、エステルガム、ポリテルペン樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、DCPD系石油樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、およびこれらの水添物等が挙げられる。また、ホットメルト型粘着剤は、さらに可塑剤、ポリブテン、ポリイソブチレン低重合体、ポリビニルイソブチルエーテル低重合体、ラノリン、解重合ゴム、プロセスオイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、加硫オイル等の軟化剤を含有してもよい。
【0015】
建築用パネル1aに設けられる塗工層20の厚みT(図2参照)は、0.5mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.75mm以上2.75mm以下であることがより好ましく、1.0mm以上2.5mm以下であることがさらに好ましく、1.3mm以上2.2mm以下であることが最も好ましい。塗工層20の厚みTが上記範囲内であることで、隣接して配置される建築用パネル1bと貼り合わせた後の止水性を強化することができる。
【0016】
建築用パネル1aに設けられる塗工層20の幅W(図2参照)は、5mm以上30mm以下であることが好ましく、7.5mm以上27.5mm以下であることがより好ましく、10mm以上20mm以下であることがさらに好ましく、13mm以上18mm以下であることが最も好ましい。塗工層20の幅Wが上記範囲内であることで、隣接して配置される建築用パネル1bと貼り合わせた後の止水性を強化することができる。
【0017】
面材10は、特に限定されず、鋼板などの金属材や、繊維強化プラスチック(FRP)、ポリカーボネートなどの樹脂材により形成されるとよく、鋼板などの金属材が好ましい。面材10は、図3に示すように、断面形状が谷部12と山部13とが繰り返される波型であることが好ましい。面材10が波型であることで、建築用パネル1aが屋根材を構成する場合に好適に使用できる。谷部12は、一方の面10C側からみて、凹部となっている箇所である。山部13は、一方の面10C側からみて、凸部となっている箇所である。面材10の断面形状としての波型は、図3に示すような、谷部12と山部13が曲面により形成される丸波型(小波型、大波型)であってもよく、谷部12と山部13が平面により形成される角波型(図示しない)であってもよい。なお、谷部12と山部13は、X方向に沿って繰り返されるとよい。そして、谷部12の凹部、及び山部13の凸部の長手方向は、Y方向に沿って配置されるとよい。
【0018】
面材10の断面形状が谷部12と山部13とが繰り返される波型である場合、塗工層20は、谷部12及び山部13のいずれに設けられてもよい。谷部12及び山部13のいずれに複数の塗工層20が設けられる場合、複数の塗工層20は、面材10の端部10Aの全長に亘って平行に設けられる。
また、塗工層20は、最端部の谷部12の内部に配置されるとよい。塗工層20を最端部の谷部12に配置することで、隣接して配置される建築用パネル1bと貼り合わせる際の作業性が向上する。また、塗工層20を最端部の谷部12に配置することで、隣接して配置される建築用パネル1bと貼り合わせた後の止水性を強化することができる。
面材10の断面形状は、谷部12と山部13とが繰り返される波型に限られず、谷部12と山部13のない平板状であってもよい。
【0019】
面材10は、塗工層20を備える面10Cにおける端部10A以外の部位10Bに、断熱材30を備えてもよい。断熱材30は、部位10B全体にわたって積層されるように設けられるとよい。断熱材30としては、例えば、ポリウレタンフォームなどの発泡体を採用することができる。断熱材30としてのポリウレタンフォームは、例えば、ポリオールを含有するポリオール液剤と、ポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート液剤とを混合して、ポリウレタン組成物を得て、得られたポリウレタン組成物を建築用パネル1aの面10C上で反応させ、発泡及び硬化させることにより形成することができる。この際、ポリオール液剤は、ポリオール以外に触媒、難燃剤などの添加剤を含有するとよい。また、発泡剤は、ポリオール液剤に配合してもよいし、ポリオール液剤とポリイソシアネート液剤を混合する際に合わせてこれらに混合してもよい。
【0020】
建築用パネル1aは、図1に示すように、面材10と、面材10の端部10Aの全長に亘って設けられ、粘着剤によって形成された塗工層20と、塗工層20を備える面10Cにおける端部10A以外の部位10Bに断熱材30とを備え、断熱材30の面材10が設けられる面との反対側には面材が設けられていない構成とすることができる。建築用パネル1aの面材10の断面形状は波型であることが好ましく、面材10の断面形状は波型であることで、波型の谷部に塗工層20を容易に設けることができる。面材10の断面形状は波型である場合、面材10の谷部の内部には断熱材30の山部が入り込み、面材10の山部の外部には断熱材30の谷部が覆うことで、面材10と断熱材30が密着した形態となる。
図1においては、建築用パネル1aの塗工層20は、面材10の断熱材30が設けられている面側に設けられる形態を示しているが、断熱材30の面材10が設けられる面との反対側に設けられる形態であってもよい。断熱材30の面材10が設けられる面との反対側に塗工層20が設けられる形態の場合、端部10Aの塗工層20が設けられた側とは反対側の面に断熱層30が存在し、建築用パネル1aに隣接して配置される建築用パネル1bの一部に重ねられる重複部としての端部上には断熱層が存在しない形態となる。
建築用パネル1aは、断熱材30の面材10が設けられる面との反対側には、さらに別の面材(図示しない)が設けられている構成としてもよい。反対側に設けられる別の面材は、断熱層30の上だけに存在し、面材10の端部10A上には存在しない。反対側に設けられる別の面材は、鋼板などの金属材、クラフト紙などの紙材などから形成されるとよい。
断熱材30の面材10が設けられる面との反対側の面の形態は、平坦面であってもよく、凹凸を有する面であってもよい。
【0021】
建築用パネル1aは、壁材及び屋根材等の建材を構成するとよいが、屋根材を構成することが好ましい。建築用パネル1aは、塗工層20により止水性を高めることで屋根材に好適に使用できる。
【0022】
[建築用パネルの製造方法]
本発明の建築用パネル1aの製造方法は、面材10を用意する工程と、面材10の端部10Aに全長に亘って粘着剤を塗工して塗工層20を形成する工程とを含む。
建築用パネル1aの製造方法の一例として、図1に示す建築用パネル1aの製造方法を以下に示す。
【0023】
まず、鋼板などの平板材を用意し、ベンディングマシーンによって平板材を波形に折り曲げることで面材10を形成する。面材10の波型は、ベンディングマシーンによって種々の形状とすることができる。
【0024】
次に、波形に形成した面材10の一方の面に、発泡性組成物を供給し、面材10の上で発泡性組成物を反応させ、発泡及び硬化させることにより発泡体である断熱材30を形成する。この際、発泡体(断熱材30)の面材10が設けられた面とは反対側の面には、発泡体の厚さ及び形状を規制するための別の面材がさらに積層されてもよい。
なお、発泡性組成物は、面材10の端部10Aに相当する部分の上には配置されず、面材10の端部10Aに相当する部分の上には発泡体(断熱材30)が形成されなくてよい。ただし、面材10の一方の面の全面に発泡性組成物が配置されて、発泡体が形成されてから、端部10Aに相当する部分の発泡体を取り除いてもよい。
【0025】
次に、面材10の発泡体(断熱材30)の設けられない部分の全長に亘って粘着剤、好ましくはホットメルト粘着剤を塗工して塗工層20を形成する。塗工層20を形成するための塗工方法としては、例えば、加熱して溶融したホットメルトをグルーガンによって塗工する等の公知の塗工方法を選択することができる。
【0026】
以上の製造方法によれば、断熱材が形成される面材10の上面に、塗工層20も形成されることになるので、断熱材形成後に面材10を反転させることなく粘着剤を塗工して塗工層20が形成できる。さらに、以上の各工程は、長尺状の面材がロールトゥロールで送られて行うことができる。したがって、本製造方法では、工程を簡略化することができ、工場生産性を向上させることができる。
なお、ロールトゥロールで送られる長尺状の面材は、切断することで、個々の面材10にするとよい。この場合、面材10の切断は、粘着剤を塗工する前に行ってもよいが、塗工した後に行ってもよい。
また、以上の製造方法では、面材10の一方の面に、断熱材、及び塗工層の順に形成したが、この順に形成する必要はなく、塗工層形成後に断熱材を形成してもよい。また、面材は、ロールトゥロールで送られる必要はなく、面材を搬送させずに面材の一方の面に、断熱材、及び塗工層を形成してもよい。
【0027】
[建築用パネル接合構造]
本発明の建築用パネル接合構造40は、図4(a)に示すように、第1の建築用パネル1aと第2の建築用パネル1bとを備える。図4(a)に示すように、建築用パネル接合構造40において、第1の建築用パネル1aの面材10は、第2の建築用パネル1bの面材10の一部に重なるように配置され、図4(b)に示すように、第1の建築用パネル1aの面材10及び第2の建築用パネル1bの面材10が、塗工層20により接合されている。
【0028】
第2の建築用パネル1bは、第1の建築用パネル1aと同じ部材を有しているとよいが、図1に示すとおりに、塗工層を省略してもよい。建築用パネル接合構造40において、第2の建築用パネル1bは、第2の建築用パネル1bの谷部が第1の建築用パネル1aの谷部の内部に入り込み、第2の建築用パネル1bの山部の内部に第1の建築用パネル1aの山部が入り込むようにして、第1の建築用パネル1aに重ねられるとよい。なお、図4では、第1及び第2の建築用パネル1a、1bは、2つの山部同士と2つの谷部同士が重なるように配置されるが、少なくとも1つの谷部同士が重なるように配置されればよい。ただし、少なくとも1つの谷部同士と、少なくとも1つの山部同士が重なるように配置されることが好ましい。
【0029】
建築用パネル接合構造40は、図4(b)に示すように、塗工層20により接合された箇所において、第1の建築用パネル1aの面材10及び第2の建築用パネル1bの面材10及び断熱材30を貫通する固定部材50が設けられてもよい。固定部材50は、第1の建築用パネル1aと、第2の建築用パネル1bとを貫通し、壁材及び屋根材等を構成する支持材51に固定することで、第1の建築用パネル1aと、第2の建築用パネル1bとの接合強度を向上させることができ、それにより、接合部の止水性を向上させることができる。また、固定部材50により、第1及び第2の建築用パネル1a、1bを支持材51に取り付けることができる。固定部材50としては、例えば、ビス、ネジ、タッカー等が挙げられる。
【0030】
建築用パネル接合構造40は、図4においては、第1の建築用パネル1aと第2の建築用パネル1bのそれぞれに断熱材30を備える形態を示したが、第1の建築用パネル1aと第2の建築用パネル1bの一方のみに断熱材30を備える形態でもよく、いずれにも断熱材30を備えない形態であってもよい。
また、建築用パネル接合構造40は、図4に示すように、第1の建築用パネル1aの面材10と重ねられる部分において、第2の建築用パネル1bは断熱材30が設けられている形態とするとよい。これにより、第1の建築用パネル1aと、第2の建築用パネル1aの接続部分でも、断熱材30が途切れることなく設けることができる。
【0031】
[建築用パネル接合構造の施工方法]
本発明の建築用パネル接合構造40の施工方法は、第1の建築用パネル1aと第2の建築用パネル1bとを用意する工程と、第1の建築用パネル1aの面材10と第2の建築用パネル1bの面材10の一部が塗工層20を介して重なるように配置する工程と、第1の建築用パネル1aの面材10及び第2の建築用パネル1bの面材10を塗工層により接合する工程とを有する。
【0032】
本発明の面材及び建築用パネル接合構造によれば、複数の建築用パネルを接続して敷設した場合に、接続部に配置された塗工層により、接続部分からの漏水を防ぐことが可能となる。隣接して配置される面材の接続部分の止水性を向上させるためには、ホットメルト型粘着剤により形成される塗工層を採用するとよい。
【0033】
[その他の実施形態]
本発明は、以上の実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない限りいかなる改良、変更を行ってもよい。
【0034】
例えば、以上の説明では、各建築用パネルに断熱材が設けられる構成を例に説明したが、断熱材は省略されてもよい。
【0035】
また、以上の説明では、面材10の谷部12と山部13はX方向に沿って繰り返すものとして記載したが、図5に示すように、面材10の谷部12と山部13はY方向に沿って繰り返すものであってもよい。この場合、塗工層20は、図5(b)に示すように、Y方向に沿って、谷部12と山部13の起伏に追随して、面材10の端部10Aの全長に亘って設けられる。そして、図5(a)に示すように、面材10の谷部12と山部13はY方向に沿って繰り返す第1の建築用パネル1aと第2の建築用パネル1bをX方向に並べて、第1の建築用パネル1aと第2の建築用パネル1bの谷部と山部がそれぞれ入り込むようにして重なるように配置するとよい。このように、第1の建築用パネル1aと第2の建築用パネル1bを配置して接合することで建築用パネル接合構造を形成することができる。
【符号の説明】
【0036】
1a…建築用パネル(第1の建築用パネル)
1b…隣接して配置される建築用パネル(第2の建築用パネル)
10…面材
10A…端部
10B…端部以外の部位
12…谷部
13…山部
20…塗工層
30…断熱材
40…建築用パネル接合構造
50…固定部材
51…支持材
図1
図2
図3
図4
図5