(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006508
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】データ分析支援装置及びデータ分析支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20250109BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20250109BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20250109BHJP
G06N 20/00 20190101ALN20250109BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B23/02 301P
G06F3/0481
G06N20/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107342
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100221556
【弁理士】
【氏名又は名称】金田 隆章
(72)【発明者】
【氏名】四方田 真美
(72)【発明者】
【氏名】和田 尭
(72)【発明者】
【氏名】藤平 雅信
【テーマコード(参考)】
3C223
5E555
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C223AA11
3C223BA01
3C223FF22
3C223FF24
3C223FF26
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH03
3C223HH08
5E555AA09
5E555AA28
5E555BA37
5E555BA86
5E555BB37
5E555BC04
5E555CB46
5E555DB56
5E555EA21
5E555FA00
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】製品の製造に関するデータを分析し易くするデータ分析支援装置を提供する。
【解決手段】データ分析支援装置は、データセット及び予測モデルを記憶する記憶部と、入力部と、制御部とを備える。データセットは、製品を製造するための少なくとも1つのパラメータを規定する説明変数及び製品の性質を示す少なくとも1つのパラメータを規定する目的変数を含む。予測モデルは、説明変数と目的変数とを関連付ける。入力部は、説明変数に対応する入力情報の入力を受け付ける。制御部は、入力情報に基づいて、予測モデルを用いて製品の性質を示す出力情報を得る。制御部は、データセットの説明変数と目的変数との間の関係を示す分布図データを生成し、分布図データが示す分布図上に入力情報と出力情報とをプロットし、入力情報と出力情報とがプロットされた分布図を表示装置に表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を製造するための少なくとも1つのパラメータを規定する説明変数及び前記製品の性質を示す少なくとも1つのパラメータを規定する目的変数を含むデータセット、及び前記説明変数と前記目的変数とを関連付ける予測モデルを記憶する記憶部と、
前記説明変数に対応する入力情報の入力を受け付ける入力部と、
前記入力情報に基づいて、前記予測モデルを用いて前記製品の性質を示す出力情報を得る制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記データセットの前記説明変数と前記目的変数との間の関係を示す分布図データを生成し、
前記分布図データが示す分布図上に前記入力情報と前記出力情報とをプロットし、
前記入力情報と前記出力情報とがプロットされた前記分布図を表示装置に表示させる、
データ分析支援装置。
【請求項2】
前記目的変数は、前記製品の性質を示す複数のパラメータを規定し、
前記分布図データは、前記目的変数の前記複数のパラメータ間の関係を示す情報を含む、
請求項1に記載のデータ分析支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記目的変数のヒストグラムを生成し、
前記ヒストグラムを前記分布図と共に前記表示装置に表示させる、
請求項1に記載のデータ分析支援装置。
【請求項4】
前記予測モデルは、前記説明変数の入力に対して前記目的変数を出力するように学習された学習済みモデルであり、
前記制御部は、前記予測モデルに前記入力情報を入力することによって、前記予測モデルから出力された前記出力情報を取得する、
請求項1に記載のデータ分析支援装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記予測モデルに基づいて、前記説明変数が変化したときの前記目的変数の変化の傾向を示す傾向情報を決定し、
前記傾向情報が示す画像を前記分布図上に重畳表示させる、
請求項1に記載のデータ分析支援装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記データセットの前記説明変数の範囲及び前記目的変数の範囲の少なくとも一方を示す参考情報を前記表示装置に表示させる、請求項1に記載のデータ分析支援装置。
【請求項7】
前記参考情報は、前記説明変数の範囲を示す情報を含み、
前記制御部は、
前記参考情報の前記説明変数の範囲内の参考入力情報を前記予測モデルに入力することで、前記予測モデルから出力された参考出力情報を取得し、
前記参考入力情報及び前記参考出力情報を前記表示装置に表示させる、請求項6に記載のデータ分析支援装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記入力部を介して、外部から、前記説明変数及び前記目的変数を含む外部データセットと、前記説明変数と前記目的変数とを関連付ける外部モデルとを取得可能に構成され、
前記入力部を介して、前記外部データセット又は前記外部モデルを取得した場合、取得した前記外部データセット又は前記外部モデルのクラス情報が、前記データセット又は前記予測モデルのクラス情報と一致するか否かを判断し、
前記外部データセット又は前記外部モデルのクラス情報が、前記データセット又は前記予測モデルのクラス情報と一致すると判断した場合、前記外部データセット又は前記外部モデルを前記記憶部に格納する、
請求項1~7のいずれかに記載のデータ分析支援装置。
【請求項9】
制御部によって実行されるデータ分析支援方法であって、
製品を製造するための少なくとも1つのパラメータを規定する説明変数及び前記製品の性質を示す少なくとも1つのパラメータを規定する目的変数を含むデータセットと、前記説明変数と前記目的変数とを関連付ける予測モデルと、を準備するステップと、
前記説明変数に対応する入力情報を取得するステップと、
前記入力情報に基づいて、前記予測モデルを用いて前記製品の性質を示す出力情報を得るステップと、
前記データセットの前記説明変数と前記目的変数との間の関係を示す分布図データを生成するステップと、
前記分布図データが示す分布図上に前記入力情報と前記出力情報とをプロットするステップと、
前記入力情報と前記出力情報とがプロットされた前記分布図を表示装置に表示させるステップと、を含む、
データ分析支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ分析支援装置及びデータ分析支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、構造体および構造体を構成する材料を規定するパラメータのうち設計変数として定められた少なくとも1つのパラメータと、構造体および構造体を構成する材料を規定するパラメータのうち特性値として定められた少なくとも1つのパラメータとの2種類のデータを対象としたデータの表示方法を開示する。特許文献1に開示されたコンピュータは、パレート解を目的関数空間で散布図として表示する際、設計変数の値に応じ、散布図で前記設計変数の値を表すシンボルを、その色、種類および大きさのうち、少なくとも1つを変えて表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、製品の製造に関するデータを分析し易くするデータ分析支援装置及びデータ分析支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るデータ分析支援装置は、
製品を製造するための少なくとも1つのパラメータを規定する説明変数及び前記製品の性質を示す少なくとも1つのパラメータを規定する目的変数を含むデータセット、及び前記説明変数と前記目的変数とを関連付ける予測モデルを記憶する記憶部と、
前記説明変数に対応する入力情報の入力を受け付ける入力部と、
前記入力情報に基づいて、前記予測モデルを用いて前記製品の性質を示す出力情報を得る制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記データセットの前記説明変数と前記目的変数との間の関係を示す分布図データを生成し、
前記分布図データが示す分布図上に前記入力情報と前記出力情報とをプロットし、
前記入力情報と前記出力情報とがプロットされた前記分布図を表示装置に表示させる。
【0006】
一態様において、前記目的変数は、前記製品の性質を示す複数のパラメータを規定し、
前記分布図データは、前記目的変数の前記複数のパラメータ間の関係を示す情報を含んでもよい。
【0007】
一態様において、前記制御部は、
前記目的変数のヒストグラムを生成し、
前記ヒストグラムを前記分布図と共に前記表示装置に表示させてもよい。
【0008】
一態様において、前記予測モデルは、前記説明変数の入力に対して前記目的変数を出力するように学習された学習済みモデルであり、
前記制御部は、前記予測モデルに前記入力情報を入力することによって、前記予測モデルから出力された前記出力情報を取得してもよい。
【0009】
一態様において、前記制御部は、
前記予測モデルに基づいて、前記説明変数が変化したときの前記目的変数の変化の傾向を示す傾向情報を決定し、
前記傾向情報が示す画像を前記分布図上に重畳表示させてもよい。
【0010】
一態様において、前記制御部は、前記データセットの前記説明変数の範囲及び前記目的変数の範囲の少なくとも一方を示す参考情報を前記表示装置に表示させてもよい。
【0011】
一態様において、前記参考情報は、前記説明変数の範囲を示す情報を含み、
前記制御部は、
前記参考情報の前記説明変数の範囲内の参考入力情報を前記予測モデルに入力することで、前記予測モデルから出力された参考出力情報を取得し、
前記参考入力情報及び前記参考出力情報を前記表示装置に表示させてもよい。
【0012】
一態様において、前記制御部は、
前記入力部を介して、外部から、前記説明変数及び前記目的変数を含む外部データセットと、前記説明変数と前記目的変数とを関連付ける外部モデルとを取得可能に構成され、
前記入力部を介して、前記外部データセット又は前記外部モデルを取得した場合、取得した前記外部データセット又は前記外部モデルのクラス情報が、前記データセット又は前記予測モデルのクラス情報と一致するか否かを判断し、
前記外部データセット又は前記外部モデルのクラス情報が、前記データセット又は前記予測モデルのクラス情報と一致すると判断した場合、前記外部データセット又は前記外部モデルを前記記憶部に格納してもよい。
【0013】
本発明の一態様に係るデータ分析支援方法は、制御部によって実行されるデータ分析支援方法であって、
製品を製造するための少なくとも1つのパラメータを規定する説明変数及び前記製品の性質を示す少なくとも1つのパラメータを規定する目的変数を含むデータセットと、前記説明変数と前記目的変数とを関連付ける予測モデルと、を準備するステップと、
前記説明変数に対応する入力情報を取得するステップと、
前記入力情報に基づいて、前記予測モデルを用いて前記製品の性質を示す出力情報を得るステップと、
前記データセットの前記説明変数と前記目的変数との間の関係を示す分布図データを生成するステップと、
前記分布図データが示す分布図上に前記入力情報と前記出力情報とをプロットするステップと、
前記入力情報と前記出力情報とがプロットされた前記分布図を表示装置に表示させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るデータ分析支援装置及びデータ分析支援方法よると、製品の製造に関するデータを分析し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るデータ分析支援システムの構成を示すブロック図
【
図3】本発明の一実施形態に係るデータ分析支援方法の予測動作を例示するフローチャート
【
図7】目的変数間グラフとヒストグラムとを示す第1のグラフ画面を例示する模式図
【
図8】分布図を示す第2のグラフ画面を例示する模式図
【
図9】傾向線を含む第3のグラフ画面を例示する模式図
【
図10】傾向線を生成するための処理の一例を説明するための模式図
【
図11】傾向線を生成するための処理の一例を説明するための模式図
【
図12】傾向線を生成するための処理の一例を説明するための模式図
【
図13】本発明の一実施形態に係るデータ分析支援方法の探索動作を例示するフローチャート
【
図14】探索条件を設定するための探索設定画面一例を示す模式図
【
図15】探索結果を示す探索結果画面の一例を示す模式図
【
図16】本発明の他の実施形態に係る外部情報の取込処理を例示するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。以下の説明は、本発明の技術的思想を具体化するための実施形態の一例に過ぎず、本発明の技術的思想は以下の実施形態に限定されない。
【0017】
1.構成
1-1.ハードウェア構成
図1は、本発明の一実施形態に係るデータ分析支援システム1の構成を示すブロック図である。データ分析支援システム1は、製品の製造に関するデータの分析を支援する。データ分析の一例は、製品の性質を示すパラメータの予測である。
【0018】
データ分析支援システム1は、データ分析支援装置10と、表示装置20とを含む。データ分析支援装置10は、制御部11と、記憶部12と、入力インタフェース(IF)13と、出力インタフェース(IF)14とを備える。
【0019】
制御部11は、例えばソフトウェアと協働して所定の機能を実現する演算回路を含み、情報処理を行ってデータ分析支援装置10の機能を実現する。このような情報処理は、例えば、制御部11が記憶部12に格納されたプログラムの指令に従って動作することにより実現される。例えば、制御部11は、演算部111及びグラフ生成部112として動作する。制御部11は、演算回路に代えて、又は演算回路として、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の種々の半導体集積回路を含んでもよい。また、本実施形態のデータ分析支援方法は、分散コンピューティングによって実行されてもよい。
【0020】
入力インタフェース13は、種々の情報をデータ分析支援装置10に入力するために、データ分析支援装置10と、マウス、タッチパネル、キーボード等の入力装置とを接続するインタフェース回路である。入力インタフェース13は、既存の有線通信規格又は無線通信規格に従ってデータ通信を行う通信回路であってもよい。
【0021】
出力インタフェース14は、データ分析支援装置10から情報を出力するために、データ分析支援装置10と出力装置とを接続するインタフェース回路である。このような出力装置は、例えば表示装置20、サーバ装置等の外部機器である。出力インタフェース14は、既存の有線通信規格又は無線通信規格に従ってデータ通信を行う通信回路であってもよい。入力インタフェース13及び出力インタフェース14は、同様のハードウェアにより実現されてもよい。
【0022】
入力インタフェース13及び出力インタフェース14は、
図1の例のように別個のインタフェースとしてではなく、一体的に構成されてもよい。
【0023】
表示装置20は、情報を表示可能な液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の装置を含む。
【0024】
記憶部12は、データ分析支援装置10の機能を実現するために必要なプログラムを含む種々の情報を記録する記録媒体である。記憶部12は、後述のデータセット121及び予測モデル122を記憶してもよい。記憶部12は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)等の半導体記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶装置、その他の記録媒体単独で又はそれらを組み合わせて実現される。記憶部12は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを含んでもよい。
【0025】
記憶部12は、内蔵型、外付け型、及びNAS(network-attached storage)型のいずれであってもよい。記憶部12は、クラウドネットワーク上に実装されたストレージであってもよいし、アクセスが制限された特定の記録サーバであってもよい。記憶部12に保存される情報にはそれぞれ固有IDが割り当てられてもよい。これにより、予測時に、IDをキーとして必要な情報を簡単に指定できる。記憶部12には、各IDの関連付け情報が保存されてもよい。IDの関連付け情報を利用することで、制御部11は、データ予測の設定条件が予測結果に与える影響を検証することができる。
【0026】
1-2.予測モデル及びデータセット
予測モデル122は、説明変数と目的変数とを関連付けるモデルである。予測モデル122は、説明変数に基づいて目的変数を予測する。
【0027】
説明変数は、鋼板等の製品を製造するための少なくとも1つのパラメータを規定する。説明変数の一例は、製品の材料の成分の量、配合比等である。説明変数の一例は、熱処理、圧延等の製造プロセスにおける製造条件である。
【0028】
目的変数は、製品の性質を示す少なくとも1つのパラメータを規定する。目的変数の一例は、製品の引張強度、破断伸び、穴広げ率、導電性、耐腐食性等の指標である。
【0029】
本実施形態では、予測モデル122は、説明変数の入力に対して目的変数を出力するように学習された学習済みモデルである。制御部11は、予測モデル122に説明変数を入力することによって、予測モデル122から出力された目的変数の予測結果を取得する。
【0030】
上記のような学習は、モデルに対して、学習用のデータセット121を用いた学習処理を実行することによって行われる。このような学習処理は、制御部11又は他の情報処理装置によって、深層学習、ガウス過程、k近傍法、決定木、ランダムフォレスト、勾配ブースティング等の技術を用いて実行される。学習用のデータセット121は、製品を製造するための種々の少なくとも1つの製造パラメータと、当該製造パラメータを用いて実際に製造された製品の所定の性質とが対応付けられた組合せである。製品の所定の性質は、例えば、製品に対して所定の試験を行うことによって得られる。
【0031】
図2は、データセット121の一例を示す表である。データセット121は、設計変数の各パラメータ(X1,X2,X3,・・・)及び目的変数の各パラメータ(Y1,Y2,・・・)の値を含む。設計変数及び目的変数は、数値に限らず、A、B、C等のランク情報(
図2のX4参照)、製造装置、製造工程等を区別するための情報を含んでもよい。本実施形態では、予測モデル122とデータセット121とは紐付けられて記憶部12に保存される。
【0032】
2.予測動作
2-1.概要
【0033】
ユーザが予測モデルと予測モデルへの入力データとに基づいて効率的に製品の設計を行うことができるようにするために、ユーザの理解、操作等を支援する機能が求められている。このような支援機能には、ユーザが予測モデルの取扱い又はデータ分析に明るくない場合であっても、ユーザに予測モデルの動作傾向、分析結果等を理解させることができる解釈性を提供することが求められる。また、データ分析に関する支援機能には、データ分析の結果についての信頼性が高いことが求められる。信頼性は、例えば、分析結果の確からしさを示す指標である。特に、信頼性と解釈性を両立させることが求められている。そこで、本実施形態では、予測モデル122を用いて得られる出力結果について、信頼性と解釈性を両立させることで、ユーザに対して、設計に有益な情報を簡便に提供できる手法を提案する。
【0034】
図3は、本実施形態に係るデータ分析支援方法の予測動作を例示するフローチャートである。
図3の処理は、例えばデータ分析支援装置10の制御部11によって実行される。
【0035】
2-2.予測条件の入力
まず、制御部11は、予測条件を取得する(S11)。予測条件は、予測モデル122の種類、ユーザが予測したい点(予測点)の個数及び説明変数に対応する入力情報の値等を含む。予測条件は、例えば、マウス、タッチパネル、キーボード等の入力装置を用いてユーザによって入力され、入力インタフェース13を介して制御部11に入力される。
【0036】
図4~6を用いて、予測条件の設定手段の一例を説明する。
【0037】
予測条件の設定は、モデル選択画面を用いて予測モデルを選択することを含む。
図4は、モデル選択画面21の一例を示す模式図である。
図4のモデル選択画面21は、制御部11によって出力インタフェース14を介して表示装置20に出力され、表示装置20に表示される。
【0038】
記憶部12は、複数の予測モデルを格納してもよい。記憶部12に複数の予測モデルが格納されている場合、ユーザは、
図4のモデル選択画面21において、所望の予測モデルを選択する。
図4に示した例では、ユーザは、モデルA~Gのいずれかを選択できる。ユーザは、タグ検索ウィンドウ211にキーワードを入力することにより、所望の予測モデルを検索することもできる。ユーザが所望の予測モデルに対応する予測ボタン212をクリック、タップ等の操作により選択すると、画面は
図5の予測実行画面322aに遷移する。
【0039】
図5は、予測実行画面322aの一例を示す模式図である。予測実行画面322aのモデル欄221には、
図4のモデル選択画面21において選択された予測モデル122に関する情報が表示される。モデル欄221に表示される予測モデル122に関する情報は、例えば、モデルのID、モデル名、モデルに適用される手法(技術)、説明変数、目的変数等を含む。
【0040】
ユーザは、予測点について、予測実行画面322aの予測点欄222に、説明変数の各パラメータの値を入力情報として入力することができる。
【0041】
予測実行画面322aには、参考情報欄223が含まれる。参考情報欄223には、予測モデル122の学習に用いられた学習用のデータセット121の説明変数の各パラメータの範囲が表示される。説明変数の各パラメータの範囲は、例えば、説明変数の各パラメータの最小値、最大値、平均値等を含む。
【0042】
ユーザは、参考情報欄223に表示された説明変数の各パラメータの範囲を参考にして、予測点欄222に入力する値を決定することができる。機械学習モデルでは、学習用のデータの範囲外(外挿領域)の入力値が入力された場合の予測精度は、範囲内(内挿領域)の入力値が入力された場合よりも悪くなる傾向にあることが知られている。本実施形態では、ユーザは、入力値と学習用のデータセット121の説明変数の各パラメータの範囲とを比較して、入力値が内挿領域にあるかどうかを確認することができる。このように、参考情報欄223は、説明変数の各パラメータの入力についてユーザを補助することができる。
【0043】
制御部11は、参考情報欄223に表示された説明変数の各パラメータの範囲内の参考入力情報を予測モデル122に入力し、これに応じて予測モデル122から出力された目的変数を参考出力情報として取得してもよい。この場合、制御部11は、参考入力情報と参考出力情報とを表示装置20に表示させてもよい。これにより、ユーザは、参考入力情報と参考出力情報とを参考にして、所望の出力値を得るための予測モデル122への入力値を効率的に選択することができる。
【0044】
2-3.予測
図3に戻り、制御部11は、ステップS11で取得した予測条件に従い、予測モデル122で予測を実行し、予測結果を得る(S12)。ステップS12の予測処理は、説明変数と予測モデル122とを用いて目的変数を予測することを含む。ステップS12の予測処理は、例えば制御部11の演算部111により実行される。
【0045】
例えば、ユーザは、
図6の予測実行画面322bに示すように予測点欄222に説明変数の各パラメータの値を入力し、予測実行ボタン224をクリック、タップ等の操作により押下する。これに応じて、制御部11は、予測点欄222に入力された説明変数を予測モデル122に入力し、予測モデル122からの出力を目的変数として得る。制御部11は、予測モデル122による予測結果である目的変数を、
図6に示すように予測点欄222に表示させる。
【0046】
2-4.グラフ生成
図3に戻り、制御部11は、ステップS12で得られた予測結果と、データセット121とに基づいて、グラフを生成する(S13)。ステップS13の処理は、例えば制御部11のグラフ生成部112により実行される。
【0047】
図6の予測実行画面322bでは、予測点欄222において、説明変数及び予測結果としての目的変数が表示されている。ユーザがグラフ表示ボタン225を押下すると、予測点欄222の各予測点が後述のようにグラフとして表示される。予測点欄222の予測点のうち、
図6に示すようにチェックボックスにチェックが付された予測点のみがグラフとして表示されてもよい。
【0048】
ステップS13で生成されるグラフは、例えば、学習用のデータセット121の目的変数のパラメータ間の関係と、ステップS12で得られた予測結果の目的変数のパラメータ間の関係とを示す目的変数間グラフを含む。また、ステップS13で生成されるグラフは、例えば、学習用のデータセット121における目的変数の各パラメータについてのヒストグラムを含む。
【0049】
図7は、このような目的変数間グラフ231、232とヒストグラム233、234とを示す第1のグラフ画面23を例示する模式図である。
【0050】
目的変数間グラフ231の横軸は、目的変数の第1のパラメータY1であり、縦軸は、目的変数の第2のパラメータY2である。目的変数間グラフ231には、データセット121に含まれる目的変数が黒い点で示されている。ユーザがクリック、タップ等の操作により目的変数間グラフ231内の目的変数を選択すると、選択された目的変数のパラメータY1、Y2の値と、選択された目的変数に対応する説明変数のパラメータX1~X4の値とが、変数表示欄235に表示される。
【0051】
目的変数間グラフ231には、さらに、ステップS12で得られた予測結果の目的変数231a、231b、231cがプロットされている。目的変数231a、231b、231cは、
図6の予測点欄222に表示された各予測点の目的変数に対応する。図示の例では、
図7の目的変数間グラフ231にプロットされた目的変数231a、231b、231cは、
図6の予測点欄222のデモa、デモb、デモcと題された予測点にそれぞれ対応する。
【0052】
目的変数間グラフ232の横軸はY1であり、縦軸はY2である。目的変数間グラフ232の表示態様は、前述の目的変数間グラフ231と同様である。目的変数間グラフ232には、さらに、ステップS12で得られた予測結果の目的変数232a、232b、232cがプロットされている。
【0053】
ユーザは、
図7の第1のグラフ画面23に表示するパラメータを、パラメータ選択欄236で選択することができる。ユーザがグラフ描画ボタン237を押下すると、パラメータ選択欄236で選択されたパラメータに関する目的変数間グラフ及びヒストグラムが第1のグラフ画面23に表示される。
【0054】
ユーザは、
図7の第1のグラフ画面23に表示された目的変数間グラフ231、232を見ることで、データセット121における目的変数の分布を把握することができる。例えば、製品の材料データにおいては、複数の目的変数同士がトレードオフの関係にある場合がある。このような場合に、ユーザは、目的変数間の関係性を目的変数間グラフ231、232から把握できる。また、ユーザは、ステップS12で得られた予測結果が目的変数間グラフ231、232上のどこに位置するかを確認することで、説明変数を種々選択することによる目的変数の結果の改良の見込みをより正確に予想することができる。
【0055】
図7に示した第1のグラフ画面23のヒストグラム233は、目的変数の第1のパラメータY1の分布を示す。ヒストグラム234は、目的変数の第2のパラメータY2の分布を示す。
【0056】
ユーザは、
図7の第1のグラフ画面23に表示されたヒストグラム233、234と、目的変数間グラフ231、232とを合わせて見ることで、ステップS12で得られた予測結果の信頼性を把握することができる。例えば、ステップS12で得られた予測結果がヒストグラム233、234の度数が高い位置に相当する場合、予測結果の信頼性が高いといえる。また、ユーザは、学習用のデータセット121におけるパラメータの偏りから、予測モデル122が得意であり正確な予測を行うことができる目的変数の値域、説明変数等を視覚的に把握することができる。
【0057】
さらに、ステップS13で生成されるグラフは、学習用のデータセット121の説明変数と目的変数との間の関係を示す分布図データが示す分布図を含む。
図8は、このような分布図を示す第2のグラフ画面24を例示する模式図である。
図8の例では、第2のグラフ画面24には、分布
図241-1、241-2、242-1、242-2、243-1、243-2、244-1、244-2が示されている。
【0058】
分布
図241-1、241-2の横軸はX1であり、分布
図242-1、242-2の横軸はX2であり、分布
図243-1、243-2の横軸はX3であり、分布
図244-1、244-2の横軸はX4である。分布
図241-1、242-1、243-1、244-1の縦軸は目的変数の第1のパラメータY1である。分布
図241-2、242-2、243-2、244-2の縦軸は目的変数の第2のパラメータY2である。
【0059】
ユーザは、
図8の第2のグラフ画面24に表示するパラメータを、パラメータ選択欄246で選択することができる。ユーザがグラフ描画ボタン247を押下すると、パラメータ選択欄246で選択されたパラメータに関する分布図が第2のグラフ画面24に表示される。
【0060】
各分布
図241-1、241-2、242-1、242-2、243-1、243-2、244-1、244-2には、それぞれ、
図7の目的変数間グラフ231、232と同様に、ステップS12で得られた予測結果を示す点がプロットされている。図示の例では、各分布図に、
図6の予測点欄222のデモa、デモb、デモcと題された予測点に対応するシンボルが示されている。
【0061】
第2のグラフ画面24には、推定描画時間248が表示されてもよい。推定描画時間248は、例えば
図8に示すようにプログレスバー及びテキストで表示されるが、これに限定されず、プログレスバー及びテキストのどちらか一方により表示されてもよい。推定描画時間248により、ユーザは、描画にかかる時間の目安を確認することができる。また、推定描画時間248により、ユーザは、分布図の描画の進捗を知ることができる。
【0062】
2-5.傾向線
図3に戻り、制御部11は、傾向線を生成する(S14)。傾向線は、説明変数が変化したときの目的変数の変化の傾向を示す傾向情報の一例である。傾向線は、データセット121に基づいて生成される。
【0063】
図9は、第3のグラフ画面24aを例示する模式図である。
図9の第3のグラフ画面24aでは、
図8の第2のグラフ画面24の各分布図に、傾向線が重畳表示されている。
【0064】
分布
図241-1の傾向線11a、11b、11cは、
図6の予測点欄222のデモa、デモb、デモcと題された予測点にそれぞれ対応する傾向線である。同様に、分布
図241-2の傾向線12a、12b、12cは、デモa、デモb、デモcと題された予測点にそれぞれ対応する傾向線である。分布
図242-1の傾向線21a、21b、21cは、デモa、デモb、デモcと題された予測点にそれぞれ対応する傾向線である。分布
図242-2の傾向線22a、22b、22cは、デモa、デモb、デモcと題された予測点にそれぞれ対応する傾向線である。分布
図243-1の傾向線31a、31b、31cは、デモa、デモb、デモcと題された予測点にそれぞれ対応する傾向線である。分布
図243-2の傾向線32a、32b、32cは、デモa、デモb、デモcと題された予測点にそれぞれ対応する傾向線である。
【0065】
ユーザは、第3のグラフ画面24aの傾向線を確認することにより、各説明変数を変化させると各目的変数がどのように変化するのかを把握することができる。例えば、ユーザは、分布
図241-1及び分布
図242-1の傾向線を確認することで、当該予測モデルにおいて目的変数Y1を大きくしたい場合には、説明変数X1及び/又はX2を大きくすればよいといった気付きを得ることができる。例えば、ユーザは、この気付きを材料設計に活用することで、効果的に材料開発を行うことができる。
【0066】
傾向線を生成するための処理の一例を、
図10~12を用いて説明する。
図10に示すように、制御部11は、予測実行画面322bの予測点欄222で選択された予測点について、分布図を生成する。この分布図の生成処理は、ステップS13と同様の処理である。
図10に示した分布
図245-1、245-2の横軸はX5である。
【0067】
予測点欄222の予測点222aに対応するX1-Y2平面(分布
図241-1)上の点241-1a、241-2aに関して、説明変数X1が変化したときの目的変数Y1、Y2の変化の傾向を示す傾向線を生成する処理を説明する。
【0068】
まず、制御部11は、点241-1a、241-2aを選択する。
図10に示すように予測点222aを示すパラメータは、(X1,X2,X3,X4,X5,Y1,Y2)=(0.05,0.05,0.05,0,0.05,1.883,0.534)である。したがって、点241-1aの座標は(X1,Y1)=(0.05,1.883)であり、点241-2aの座標は(X1,Y2)=(0.05,0.534)である。
【0069】
次に、制御部11は、
図11に示すように、点241-1a、241-2aの説明変数のパラメータX1を、最小値から最大値まで所定間隔で変化させることにより、データセットD1~Dnを得る。データセットD1~Dnでは、X1以外のパラメータX2~X5は固定値である。
【0070】
図11の例では、最小値は0であり、最大値は1であり、所定間隔は0.01である。しかしながら、本実施形態はこれに限定されず、X1の最小値は、学習用のデータセット121における説明変数のパラメータX1の最小値に設定され、X1の最大値は、データセット121における説明変数のパラメータX1の最大値に設定されてもよい。あるいは、X1の最小値は、データセット121における説明変数のパラメータX1より第1の所定値だけ小さい値に設定され、X1の最大値は、データセット121における説明変数のパラメータX1より第2の所定値だけ大きい値に設定されてもよい。第1の所定値と第2の所定値は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、上記の所定間隔は常に一定であってもよいが、一定でなくてもよい。
【0071】
次に、制御部11は、データセットD1~Dnのそれぞれを予測モデル122に入力し、出力結果である目的変数Y11~Y1n及びY21~Y2nを得る。
【0072】
次に、制御部11は、目的変数Y11~Y1n及びY21~Y2nに基づいて、分布
図241-1及び241-2上に傾向線を描画する。
【0073】
図12は、このようにして描画された傾向線を例示する模式図である。
図12では、
図10の第2のグラフ画面24の各分布図に、傾向線が重畳表示されている。制御部11は、データセットD1~Dnにおける説明変数X1の値と目的変数Y11~Y1nとに基づいて、傾向線11aを描画することができる。制御部11は、目的変数Y11~Y1nを分布
図241-1上に単にプロットするだけでもよいし、目的変数Y11~Y1nに基づく近似曲線として傾向線11aを描画してもよい。
【0074】
同様に、制御部11は、データセットD1~Dnにおける説明変数X1の値と目的変数Y21~Y2nとに基づいて、傾向線12aを描画する。
【0075】
制御部11は、上記と同様の処理により、説明変数X3が変化したときの目的変数Y1及びY2の変化の傾向を示す傾向線31a及び32aを描画することができる。制御部11は、説明変数X5が変化したときの目的変数Y1及びY2の変化の傾向を示す傾向線51a及び52aを描画することができる。
【0076】
制御部11は、
図10の予測点222a以外の予測点について上記と同様の処理を行うことにより、
図12に例示した傾向線11b、11c、12b、12c、31b、31c、32b、32c、51b、51c、52b、52cを描画することができる。
【0077】
2-6.表示
図3に戻り、制御部11は、ステップS13で生成されたグラフと、ステップS14で生成された傾向線とを表示装置20に表示させる(S15)。例えば、制御部11は、グラフ及び傾向線を画像データを出力インタフェース14を介して表示装置20に送信し、表示装置20は、受信した画像データが示す画像を表示する。
【0078】
3.探索動作
3-1.概要
図13は、本実施形態に係るデータ分析支援方法の探索動作を例示するフローチャートである。探索動作では、予測モデル122を用いて、ユーザによって探索目標として入力された目的変数を出力するような説明変数を探索する。あるいは、制御部11は、予測モデル122に代えて、探索用に準備された探索モデルに探索を実行させてもよい。
図13の処理は、例えばデータ分析支援装置10の制御部11によって実行される。
【0079】
3-2.探索条件の入力
まず、制御部11は、探索条件を取得する(S21)。探索条件は、予測モデル122の種類、目的変数に対応する入力情報(探索目標)の値、探索回数等を含む。探索条件は、例えば、マウス、タッチパネル、キーボード等の入力装置を用いてユーザによって入力され、入力インタフェース13を介して制御部11に入力される。
【0080】
図14を用いて、探索条件の設定手段の一例を説明する。
図14は、探索条件を設定するための探索設定画面25の一例を示す模式図である。ユーザは、探索設定画面25の探索目標欄251に、探索目標として所望の目的変数の値を入力することができる。例えば、ユーザは、
図14のY1のように、下限値及び上限値を入力することで、探索目標を指定する。
【0081】
あるいは、ユーザは、
図14のY2のように、ある目的変数のパラメータが最大(max)となるように目標を設定してもよい。このようにするためには、ユーザは、探索目標欄251の目標設定欄で「max」を選択する。目標設定として「max」が選択された場合、制御部11は、対象である目的変数のパラメータ(
図14ではY2)が最大となる説明変数を探索する。また、ユーザは、ある目的変数のパラメータが最小(min)となるように目標を設定してもよい。目標設定として「min」が選択された場合、制御部11は、対象である目的変数のパラメータが最小となる説明変数を探索する。
【0082】
あるいは、探索目標欄251の目標設定欄には、何も設定されなくてもよい。例えば、探索目標欄251の目標設定欄には、Null値が設定されてもよい。この場合、目標設定欄にNull値が設定された目的変数のパラメータに関する情報は、探索結果に制限を加えるなどの影響を与えない。
【0083】
探索設定画面25の説明変数欄252では、ユーザは、説明変数の各パラメータの範囲を指定することができる。指定された範囲内の点が、探索結果として得られる。
【0084】
探索設定画面25の探索回数欄253では、ユーザは、探索を行う回数を設定することができる。探索を2回以上行うように設定された場合、2回目以降の探索では、それまでに探索された点から所定距離内にある点は探索対象から除外されてもよい。これにより、似た探索結果が繰り返し出力されることを防止することができる。
【0085】
探索に使用される予測モデルは、
図4に示したモデル選択画面21と同様のモデル選択画面を用いて選択される。
【0086】
3-3.探索
ユーザが探索設定画面25の探索実行254ボタン(
図14参照)を押下すると、探索が実行される。制御部11は、ステップS21で取得した探索条件に従い、予測モデル122を用いて探索を実行し、探索結果を得る(
図13のS22)。
【0087】
図15は、ステップS22で得られる探索結果を示す探索結果画面26の一例を示す模式図である。探索結果画面26のモデル欄261には、ユーザによって選択され、探索に使用された予測モデル122に関する情報が表示される。モデル欄261に表示される予測モデル122に関する情報は、例えば、モデル名、探索目標、説明変数、獲得関数、最適化手法、探索回数、更新日時等を含む。
【0088】
探索結果画面26の探索結果欄262には、探索回数に応じた数の探索結果が表示される。
図15では探索回数が3回と設定されているため、探索結果欄262には3回分の探索結果が示されている。
【0089】
探索結果画面26の設定値表示欄263には、
図14の探索設定画面25の探索目標欄251で設定された探索目標としての目的変数の条件と、
図14の探索設定画面25の説明変数欄252で設定された説明変数の各パラメータの範囲とが表示される。
【0090】
3-4.グラフ生成
ユーザがグラフ表示ボタン264を押下すると、制御部11はグラフを生成する(
図13のS23)。ステップS23で生成されるグラフは、
図7に示した目的変数間グラフ231、232及びヒストグラム233、234と同様のグラフである。
【0091】
ユーザが
図14の探索目標欄251の目標設定欄で特定の目的変数について「範囲」を選択した場合、制御部11は、ステップS23で生成される当該目的変数を示すグラフに、当該目的変数の目標範囲を表す基準線を重畳表示させてもよい。
【0092】
ステップS23で生成されるグラフは、
図8に示したような分布図を含んでもよい。
【0093】
4.まとめ
以上のように、本実施形態に係るデータ分析支援装置10は、データセット121及び予測モデル122を記憶する記憶部12と、入力部の一例である入力インタフェース13と、制御部11とを備える。データセット121は、製品を製造するための少なくとも1つのパラメータを規定する説明変数と、製品の性質を示す少なくとも1つのパラメータを規定する目的変数とを含む。予測モデル122は、説明変数と目的変数とを関連付ける。入力インタフェース13は、説明変数に対応する入力情報の入力を受け付ける(S11)。制御部11は、入力情報に基づいて、予測モデル122を用いて製品の性質を示す出力情報を得る(S12)。制御部11は、データセット121の説明変数と目的変数との間の関係を示す分布図データを生成し、分布図データが示す分布図上に入力情報と出力情報とをプロットする(S13)。制御部11は、入力情報と出力情報とがプロットされた分布図を表示装置20に表示させる(S15)。
【0094】
データ分析支援装置10は、製品の製造に関するデータの分析を支援する。具体的には、例えば、データ分析支援装置10が、入力情報と出力情報とがプロットされた分布図を表示装置20に表示させることにより、ユーザは、製品を製造するためのパラメータを、所望の出力情報が得られるように選択し易くなる。このように、データ分析支援装置10は、入力情報の入力についてユーザを支援することができる。
【0095】
目的変数は、製品の性質を示す複数のパラメータを規定し、分布図データは、目的変数の複数のパラメータ間の関係を示す情報の一例である目的変数間グラフ231、232を含んでもよい。この構成によれば、ユーザは、目的変数間グラフ231、232を見ることで、データセット121における目的変数の分布を把握することができる。ユーザは、予測モデル122を用いて得られた出力情報が目的変数間グラフ231、232上のどこに位置するかを確認することで、入力情報を種々選択することによる出力情報を正確に予想することができる。
【0096】
制御部11は、目的変数のヒストグラム233、234を生成し、ヒストグラム233、234を分布図と共に表示装置20に表示させてもよい。この構成によれば、ユーザは、ヒストグラム233、234と、目的変数間グラフ231、232とを合わせて見ることで、予測モデル122を用いて得られた出力情報の信頼性を把握することができる。
【0097】
予測モデル122は、説明変数の入力に対して目的変数を出力するように学習された学習済みモデルであってもよい。この場合、制御部11は、予測モデル122に前記入力情報を入力することによって、予測モデル122から出力された出力情報を取得する。
【0098】
制御部11は、予測モデル122に基づいて、説明変数が変化したときの目的変数の変化の傾向を示す傾向情報を決定し、傾向情報が示す画像の一例である傾向線を分布図上に重畳表示させてもよい。ユーザは、傾向線を確認することにより、説明変数を変化させると目的変数がどのように変化するのかを把握することができる。
【0099】
制御部11は、データセット121の説明変数の範囲及び目的変数の範囲の少なくとも一方を示す参考情報を表示装置20に表示させてもよい。この構成によれば、ユーザは、参考情報を参考にして入力情報を決定することができる。
【0100】
参考情報は、説明変数の範囲を示す情報を含んでもよい。制御部11は、参考情報の説明変数の範囲内の参考入力情報を予測モデルに入力することで、予測モデルから出力された参考出力情報を取得し、参考入力情報及び参考出力情報を表示装置20に表示させてもよい。この構成によれば、ユーザは、参考入力情報と参考出力情報とを参考にして、所望の出力情報を得るために、入力情報を効率的に選択することができる。
【0101】
5.他の実施形態
以上のように、本発明における技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本発明における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置換、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施形態を例示する。
【0102】
上記の実施形態では、データセット121及び予測モデル122が予め記憶部12に格納されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御部11は、入力インタフェース13を介して、外部で作成された外部データセットを取り込んでもよい。また、制御部11は、外部で作成された外部モデルを取り込んでもよい。制御部11は、データセット121及び予測モデル122に代えて、あるいはデータセット121及び予測モデル122に加えて、外部データセット及び/又は外部モデルを使用して、予測、探索等の動作を実行することができる。
【0103】
このような外部モデルは、データ分析支援装置10に搭載済みの予測モデル122と同じクラス又は互換性のあるクラスを有する。クラスは、入力データ及び出力データの形式、メソッド等を定義する雛形である。制御部11は、予測モデル122と同じクラス又は互換性のあるクラスを継承して作成された外部モデルのみを受け付けるように構成される。この際、制御部11は、予測モデル122及び外部モデルの入力データの形式、出力データの形式、及びメソッドを比較し、これらが一致している場合に、予測モデル122と外部モデルのクラスが同一であると判断する。例えば、予測モデル122と同じクラスのモデルとは、説明変数Xを入力とし、Y=f(X)で表される計算により出力としての目的変数Yを導出できるモデルを指す。制御部11は、予測モデル122と同じクラスでも互換性のあるクラスでもないモデルを受信した場合、当該モデルを取り込まず、エラー文を表示装置20に表示させる。
【0104】
これにより、データ分析支援装置10に搭載済みの予測モデル122、外部モデル、及びデータセットの種類を統一することができ、制御部11は、予測及び探索で使用する際に、予測モデル122と外部モデルとを同様に扱うことができる。
【0105】
予測モデル122及び外部モデルは学習済みモデルに限定されない。例えば、予測モデル122及び外部モデルは、Y=aX(aは定数)で表されるYを算出するような、学習を必要としないモデルであってもよい。
【0106】
図16は、他の実施形態に係る外部情報の取込処理を例示するフローチャートである。外部情報は、外部データセット及び外部モデルの少なくとも一方を含む。
【0107】
図16において、制御部11は、入力インタフェース13を介して、外部データセット又は外部モデルを取得する(S31)。
【0108】
次に、制御部11は、外部データセット又は外部モデルのクラス情報と一致するデータセット又はモデルが記憶部12内にあるか否かを判定する(S32)。
【0109】
このようなデータセット又はモデルが記憶部12内にある場合(S32でYes)、制御部11は、ステップS31で取得した外部データセット又は外部モデルを記憶部12に保存する(S33)。この場合、制御部11は、保存した外部データセット又は外部モデルの識別情報(ID情報)も記憶部12に保存する。
【0110】
外部データセット又は外部モデルのクラス情報と一致するデータセット又はモデルが記憶部12内にない場合(S32でNo)、制御部11は、ステップS31で取得したデータセット又はモデルを取り込まず(保存せず)、エラー文を表示装置20に表示させる。
【0111】
6.態様例
以下、本発明の態様を例示する。
【0112】
<態様1>
製品を製造するための少なくとも1つのパラメータを規定する説明変数及び前記製品の性質を示す少なくとも1つのパラメータを規定する目的変数を含むデータセット、及び前記説明変数と前記目的変数とを関連付ける予測モデルを記憶する記憶部と、
前記説明変数に対応する入力情報の入力を受け付ける入力部と、
前記入力情報に基づいて、前記予測モデルを用いて前記製品の性質を示す出力情報を得る制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記データセットの前記説明変数と前記目的変数との間の関係を示す分布図データを生成し、
前記分布図データが示す分布図上に前記入力情報と前記出力情報とをプロットし、
前記入力情報と前記出力情報とがプロットされた前記分布図を表示装置に表示させる、
データ分析支援装置。
【0113】
<態様2>
前記目的変数は、前記製品の性質を示す複数のパラメータを規定し、
前記分布図データは、前記目的変数の前記複数のパラメータ間の関係を示す情報を含む、
態様1に記載のデータ分析支援装置。
【0114】
<態様3>
前記制御部は、
前記目的変数のヒストグラムを生成し、
前記ヒストグラムを前記分布図と共に前記表示装置に表示させる、
態様1又は2に記載のデータ分析支援装置。
【0115】
<態様4>
前記予測モデルは、前記説明変数の入力に対して前記目的変数を出力するように学習された学習済みモデルであり、
前記制御部は、前記予測モデルに前記入力情報を入力することによって、前記予測モデルから出力された前記出力情報を取得する、
態様1~3のいずれかに記載のデータ分析支援装置。
【0116】
<態様5>
前記制御部は、
前記予測モデルに基づいて、前記説明変数が変化したときの前記目的変数の変化の傾向を示す傾向情報を決定し、
前記傾向情報が示す画像を前記分布図上に重畳表示させる、
態様1~4のいずれかに記載のデータ分析支援装置。
【0117】
<態様6>
前記制御部は、前記データセットの前記説明変数の範囲及び前記目的変数の範囲の少なくとも一方を示す参考情報を前記表示装置に表示させる、態様1に記載のデータ分析支援装置。
【0118】
<態様7>
前記参考情報は、前記説明変数の範囲を示す情報を含み、
前記制御部は、
前記参考情報の前記説明変数の範囲内の参考入力情報を前記予測モデルに入力することで、前記予測モデルから出力された参考出力情報を取得し、
前記参考入力情報及び前記参考出力情報を前記表示装置に表示させる、態様6に記載のデータ分析支援装置。
【0119】
<態様8>
前記制御部は、
前記入力部を介して、外部から、前記説明変数及び前記目的変数を含む外部データセットと、前記説明変数と前記目的変数とを関連付ける外部モデルとを取得可能に構成され、
前記入力部を介して、前記外部データセット又は前記外部モデルを取得した場合、取得した前記外部データセット又は前記外部モデルのクラス情報が、前記データセット又は前記予測モデルのクラス情報と一致するか否かを判断し、
前記外部データセット又は前記外部モデルのクラス情報が、前記データセット又は前記予測モデルのクラス情報と一致すると判断した場合、前記外部データセット又は前記外部モデルを前記記憶部に格納する、
態様1~7のいずれかに記載のデータ分析支援装置。
【0120】
<態様9>
制御部によって実行されるデータ分析支援方法であって、
製品を製造するための少なくとも1つのパラメータを規定する説明変数及び前記製品の性質を示す少なくとも1つのパラメータを規定する目的変数を含むデータセットと、前記説明変数と前記目的変数とを関連付ける予測モデルと、を準備するステップと、
前記説明変数に対応する入力情報を取得するステップと、
前記入力情報に基づいて、前記予測モデルを用いて前記製品の性質を示す出力情報を得るステップと、
前記データセットの前記説明変数と前記目的変数との間の関係を示す分布図データを生成するステップと、
前記分布図データが示す分布図上に前記入力情報と前記出力情報とをプロットするステップと、
前記入力情報と前記出力情報とがプロットされた前記分布図を表示装置に表示させるステップと、を含む、
データ分析支援方法。
【符号の説明】
【0121】
1 データ分析支援システム
10 データ分析支援装置
11 制御部
12 記憶部
13 入力インタフェース
14 出力インタフェース
20 表示装置
21 モデル選択画面
23 第1のグラフ画面
24 第2のグラフ画面
24a 第3のグラフ画面
25 探索設定画面
26 探索結果画面
111 演算部
112 グラフ生成部
121 データセット
122 予測モデル
322a 予測実行画面
322b 予測実行画面