(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025065091
(43)【公開日】2025-04-17
(54)【発明の名称】分散樹脂、カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及び固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20250410BHJP
H10F 39/12 20250101ALI20250410BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20250410BHJP
C08F 8/14 20060101ALI20250410BHJP
【FI】
G02B5/20 101
H01L27/146 D
G03F7/004 505
G03F7/004 504
C08F8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024180603
(22)【出願日】2024-10-16
(62)【分割の表示】P 2023174160の分割
【原出願日】2023-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】山崎 智己
(72)【発明者】
【氏名】三上 譲司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】長井 裕之
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H148BC01
2H148BD11
2H148BF04
2H148BF07
2H148BF12
2H148BF16
2H148BG11
2H148BH04
2H225AC36
2H225AC43
2H225AC44
2H225AC47
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2H225AD06
2H225AD14
2H225AM13P
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM32P
2H225AM62P
2H225AM67P
2H225AM92P
2H225AM95P
2H225AM96P
2H225AN39P
2H225AN65P
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2H225AN98P
2H225BA16P
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2H225BA35P
2H225CA17
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
4J100AJ02Q
4J100AL08P
4J100BA03H
4J100BA10H
4J100BA16H
4J100BA51H
4J100BC43P
4J100CA31
4J100HA11
4J100HA61
4J100HC30
4J100HC70
4J100JA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】顔料の分散に使用する分散樹脂に着目し、その屈折率を高めた分散樹脂、屈折率の高いカラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタ、並びに感度特性の向上が図られた固体撮像素子を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、顔料と混合して使用される分散樹脂が提供される。この分散樹脂は、顔料との親和性を有する第1の部位と、顔料の粒子同士の凝集を阻止するように機能する第2の部位とを備える。分散樹脂は、その波長594nmにおける屈折率が1.54以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料と混合して使用される分散樹脂であって、
前記顔料との親和性を有する第1の部位と、
前記顔料の粒子同士の凝集を阻止するように機能する第2の部位とを備え、
前記分散樹脂は、その波長594nmにおける屈折率が1.54以上である、分散樹脂。
【請求項2】
請求項1に記載の分散樹脂において、
前記分散樹脂は、芳香族環を含み、
前記芳香族環の前記分散樹脂の全質量に占める割合は、25質量%以上である、分散樹脂。
【請求項3】
請求項2に記載の分散樹脂において、
前記分散樹脂は、前記第2の部位に前記芳香族環を主として含む、分散樹脂。
【請求項4】
請求項2に記載の分散樹脂において、
前記分散樹脂は、前記第2の部位が前記第1の部位から分岐して延びるグラフトコポリマー、又は前記第1の部位と前記第2の部位とが端部同士で結合したブロックコポリマーである、分散樹脂。
【請求項5】
請求項4に記載の分散樹脂において、
前記グラフトコポリマーは、前記第1の部位にカルボキシル基又はカルボキシル基残基の合計3つ以上が直接結合した芳香族環を含む、分散樹脂。
【請求項6】
請求項4に記載の分散樹脂において、
前記グラフトコポリマーは、前記第1の部位の構成単位がエステル結合で繋がったポリエステルである、分散樹脂。
【請求項7】
請求項4に記載の分散樹脂において、
前記グラフトコポリマーは、前記第2の部位がエチレン性不飽和結合を有する単量体の重合体部位である、分散樹脂。
【請求項8】
請求項4に記載の分散樹脂において、
前記第2の部位の前記グラフトコポリマーの全質量に占める割合は、50質量%以上である、分散樹脂。
【請求項9】
請求項4に記載の分散樹脂において、
前記ブロックコポリマーは、前記第1の部位に3級アミノ基及び4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上を含む、分散樹脂。
【請求項10】
請求項9に記載の分散樹脂において、
前記ブロックコポリマーは、前記第1の部位及び前記第2の部位のいずれもが、エチレン性不飽和結合を有する単量体の重合体部位である、分散樹脂。
【請求項11】
請求項9に記載の分散樹脂において、
前記第2の部位の前記ブロックコポリマーの全質量に占める割合は、30質量%以上である、分散樹脂。
【請求項12】
請求項1に記載の分散樹脂において、
前記分散樹脂は、その重量平均分子量が5,000以上50,000以下である、分散樹脂。
【請求項13】
カラーフィルタ用着色組成物であって、
少なくとも顔料と、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の分散樹脂とを含む、カラーフィルタ用着色組成物。
【請求項14】
請求項13に記載のカラーフィルタ用着色組成物において、
さらに重合性化合物及び光重合開始剤を含む、カラーフィルタ用着色組成物。
【請求項15】
請求項13に記載のカラーフィルタ用着色組成物において、
当該カラーフィルタ用着色組成物である緑色組成物は、前記顔料としてC.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Green 58及びC.I.Pigment Green 63から選ばれるグリーン顔料と、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 231及びC.I.Pigment Yellow 185から選ばれるイエロー顔料とを含み、厚さ0.6μmのサンプルを作製したとき、波長400~500nmの極大吸収波長における吸光度が1以上であり、波長600~700nm極大吸収波長における吸光度が1以上である、カラーフィルタ用着色組成物。
【請求項16】
カラーフィルタであって、
少なくとも隔壁で区画された空間に充填され、請求項13~請求項15のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物で構成された複数のフィルタユニットを備える、カラーフィルタ。
【請求項17】
固体撮像素子であって、
請求項16に記載のカラーフィルタと、
前記カラーフィルタを通過した光を受光する複数のフォトダイオードとを備える、固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散樹脂、カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及び固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子の単位画素の微細化が進み、そのサイズが、1.0μm□(単位画素の平面視において一辺の長さが1μmの正方形)より小さくなってきている。また、固体撮像素子が搭載される電子機器(スマートフォン、デジタルカメラ等)の小型化、薄型化により感度特性の確保と更なる向上化の技術が必要となる。
固体撮像素子の感度特性の向上化のためには、単位画素の微細化(2次元方向のシュリンク)に対応して、カラーフィルタを薄膜化すること等、縦方向の低背化(3次元方向のシュリンク)が必要になる。
【0003】
特に、固体撮像素子と光学レンズ等とが一体化された小型カメラモジュールでは、固体撮像素子の端部に入射する光が斜入射光となる。このため、固体撮像素子の感度特性が劣化することにより、感度シェーディングの悪化が顕著となり易い。
特許文献1には、カラーフィルタの屈折率より屈折率が低い隔壁を設け、この隔壁の開口部にカラーフィルタを形成することにより、固体撮像素子の感度特性の向上と混色の低減とを図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らの検討によれば、固体撮像素子の感度特性をさらに向上させるためには、カラーフィルタの屈折率を高めることが有効である。
そこで、本発明では上記事情に鑑み、顔料の分散に使用する分散樹脂に着目し、その屈折率を高めた分散樹脂、屈折率の高いカラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタ、並びに感度特性の向上が図られた固体撮像素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、顔料と混合して使用される分散樹脂が提供される。この分散樹脂は、顔料との親和性を有する第1の部位と、顔料の粒子同士の凝集を阻止するように機能する第2の部位とを備える。分散樹脂は、その波長594nmにおける屈折率が1.54以上である。
【0007】
かかる態様によれば、カラーフィルタの屈折率を高めて、固体撮像素子の感度特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、カメラモジュールを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、カメラ本体の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の分散樹脂、カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及び固体撮像素子ついて、図示の好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、以下の説明は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も、本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
例えば、本発明において「工程」は、他と区別して認識できる工程のみを意味するものではなく、他の操作と組み合わされたもの、実際上の複数の工程に分散されているもの、この「工程」中に他の工程要素が含まれているもの、及び1つの工程で複数の工程の操作を合わせて実施できるものが発明の趣旨に合致する限り、本発明の範疇に属し得る。
本明細書の用語を定義する。屈折率は、厚さ1μmの被膜を形成して測定する数値である。グラフトコポリマーは、主鎖に側鎖のポリマー鎖が結合した構造のポリマーである。分散樹脂は、ポリマーの分散剤である。
【0010】
<カメラモジュール及び固体撮像素子>
図1は、カメラモジュールを示す斜視図である。
図2は、カメラ本体の構成を示す縦断面図である。
図3は、
図2の一部を拡大して示す図である。なお、以下の説明では、
図2及び
図3中の上側を「上」又は「上方」とも言い、下側を「下」又は「下方」とも言う。
図1に示すカメラモジュール100は、固体撮像素子を有するカメラ本体1と、コネクタCと、カメラ本体1とコネクタCとを電気的に接続する可撓性配線基板Bとを備えている。なお、可撓性配線基板Bに代えてリジッド配線基板を使用してもよい。
【0011】
カメラ本体1は、
図2に示すように、固体撮像素子2と、固体撮像素子2の上側に接合部4を介して接合された光学系3とを有している。
固体撮像素子2は、受光基板21と、受光基板21の下側に密着するように形成された接合基板22と、受光基板21の上側にスペーサ24を介して接合されたカバー基板23とを備えている。
ここで、接合基板22には、例えば、シリコン基板が用いられる。シリコン基板には、ロジック回路基板が形成(積層)されてもよい。そして、接合基板22として形成されたロジック回路基板は、さらにDRAM(Dynamic Random Access Memory)基板等を含む多層積層基板としてもよい。
なお、受光基板21については、後に詳述する。
【0012】
接合基板22は、基板221と、基板221の表面及び/又は内部に形成された配線層(図示せず。)と、基板221を貫通して設けられた複数のビア(導電部)222と、各ビア222に対応して設けられ、電気的に接続された接続端子223とを有している。
基板221は、例えば、硬質な樹脂材料、セラミックス材料のような絶縁材料等で構成されている。ビア222及び接続端子223は、それぞれ、例えば、導電性材料で構成されている。
【0013】
スペーサ24は、各種の接着材料で構成され、必要に応じて、スペーサ粒子を混合することができる。なお、スペーサ24は、金属材料、セラミックス材料等で形成される枠体で構成することもできる。
カバー基板23は、ガラス材料(石英を含む。)、樹脂材料のような光透過性を有する材料で構成されている。
【0014】
光学系3は、開口311が形成された筐体31と、筐体31内に配置された第1の凸レンズ32及び第2の凸レンズ33と、筐体31の下側に接合部35を介して接合された赤外線カットフィルタ34とを備えている。
接合部35及び上記接合部4は、それぞれ、例えば、アクリル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂系接着剤等で構成することができる。
【0015】
筐体31は、カメラ本体1の内部の遮光性を確保するために、黒色又は暗色を呈する材料、又は遮光性を有する材料で構成されている。
第1の凸レンズ32及び第2の凸レンズ33は、いずれも下方に向かって突出する凸曲面を有している。
図2に示すように、筐体31の開口311を通過した入射光は、第1の凸レンズ32及び第2の凸レンズ33を通過する際に拡散されて、固体撮像素子2に入射する。
【0016】
受光基板21は、
図3に示すように、基板211と、複数のフォトダイオード(光電変換素子)212と、絶縁膜213と、隔壁216と、カラーフィルタ215と、マイクロレンズ217とを備えている。なお、
図3では、図面が見難くなるのを防止する観点から、断面を示すハッチングを省略している。
マイクロレンズ217及びカラーフィルタ215を通過した光は、フォトダイオード212に入射して受光される。すなわち、固体撮像素子2は、カラーフィルタ215と、カラーフィルタ215を通過した光を受光する複数のフォトダイオード212とを備えている。
【0017】
基板(基部)211は、例えば、シリコン基板、InGaAs基板等で構成することができる。また、基板211の表面には、密着性の向上、物質の拡散の防止、平坦性の向上等を目的として、下地層が形成されていてもよい。
なお、基板211は、例えば、プラズマ接合等により、接合基板22の基板221と一体的に形成されてもよい。この場合、固体撮像素子2は、裏面照射型固体撮像素子とも称される。
【0018】
基板211の上面(一方の面)側には、複数のフォトダイオード212が設けられている。複数のフォトダイオード212は、基板211と一体的に形成されていてもよく、基板211の上面に配置(実装)されていてもよい。
フォトダイオード212は、例えば、シリコンフォトダイオード、InGaAsフォトダイオード、有機又は無機光電変換層の単層体並びに有機又は無機光電変換層を含む積層体、量子ドットを含む光電変換層の単層体並びに量子ドットを含有する光電変換層を含む積層体等で構成することができる。
【0019】
ここで、
図2の左下には、受光基板21の点線で囲んだ部分を拡大した平面図が示されている。
本明細書中では、受光基板21の平面視において、フォトダイオード212と、このフォトダイオード212を含み、隣接するフォトダイオード212と間に形成された隔壁216の中心までの領域を「単位画素210」と定義する。
フォトダイオード212の平面視でのサイズは、特に限定されないが、好ましくは0.8μm□前後であり、必要に応じて大きいサイズ又は小さいサイズに変更することができる。
【0020】
複数のフォトダイオード212上には、絶縁膜213が設けられている。
絶縁膜213は、例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸窒シリコン膜、酸化ハフニウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化タンタル膜、酸化チタン(TiO2)膜等で構成することができる。
絶縁膜213上(すなわち、基板211の上面側)には、隔壁216が設けられている。この隔壁216は、複数のフォトダイオード212を区画するように、間隙に沿って絶縁膜213の上面に立設されている。
【0021】
隔壁216で画成された空間に充填されるとともに、隔壁216の上面(基板211と反対側の面)を覆うように、カラーフィルタ215が設けられている。
カラーフィルタ215は、複数のフォトダイオード212にそれぞれ対応して設けられた、赤色フィルタユニット215R、緑色フィルタユニット215G及び青色フィルタユニット215Bを有している。各フィルタユニット215R、215G、215Bは、後述するカラーフィルタ用着色組成物で形成される。
すなわち、カラーフィルタ215は、少なくとも隔壁216で区画された空間に充填され、カラーフィルタ用着色組成物で構成された複数のフィルタユニット215R、215G、215Bを備えている。
【0022】
赤色フィルタユニット215Rは、約580nm以上の波長の光に対して高い透過率を有し、それ以外の波長の光に対してできる限り低い透過率を有することが好ましい。
緑色フィルタユニット215Gは、約480nm以上600nm以上の波長の光に対して高い透過率を有し、それ以外の波長の光に対してできる限り低い透過率を有することが好ましい。
青色フィルタユニット215Bは、約400nm以上500nm以下の波長の光に対して高い透過率を有し、それ以外の波長の光に対してできる限り低い透過率を有することが好ましい。
【0023】
なお、カラーフィルタ215は、赤色フィルタユニット215R、緑色フィルタユニット215G及び青色フィルタユニット215Bに加えて、黄色フィルタユニット、シアン色フィルタユニット、マゼンタ色フィルタユニット、実質的に可視光に透明なクリアフィルタユニット、可視光の分光透過率が概ね一定(フラット)である減光フィルタユニット、近赤外線吸収フィルタユニット、近赤外透過フィルタユニット等を有していてもよい。
【0024】
カラーフィルタ215上(基板211と反対側)には、マイクロレンズ217が設けられている。マイクロレンズ217は、上側(カラーフィルタ215と反対側)に突出する複数の凸曲面2171を有している。
マイクロレンズ217は、例えば、スチレン-アクリル共重合体樹脂、窒化シリコン等により構成することができる。
なお、マイクロレンズ217とカラーフィルタ215との間には、反射防止層を追加で設けるようにしてもよい。
【0025】
赤色フィルタユニット215Rの厚さ(最も厚い部分)TRは、緑色フィルタユニット215Gの厚さ(最も厚い部分)TG及び青色フィルタユニット215Bの厚さ(最も厚い部分)TBと同一か又は薄いことが好ましい。一般に、赤色フィルタユニット215Rの厚さTRは、緑色フィルタユニット215Gの厚さTG及び青色フィルタユニット215Bの厚さTBより薄くすることが難しいが、後述する赤色組成物を使用することで実現可能である。
かかる構成によれば、カラーフィルタ215の薄膜化が可能であり、受光基板21(固体撮像素子2)を低背化して、その感度特性をより向上させることができる。
【0026】
赤色フィルタユニット215Rの厚さTR、緑色フィルタユニット215Gの厚さTG及び青色フィルタユニット215Bの厚さTBの最大値は、0.55μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.45μm以下であることがさらに好ましい。このように薄いカラーフィルタ215を備える受光基板21(固体撮像素子2)は、十分に低背化することができる。
上記最大値の下限値は、特に限定されないが、0.2μm以上であることが好ましく、0.25μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることがさらに好ましい。これにより、カラーフィルタ215は、必要かつ十分な分光特性を発揮することができる。その結果、固体撮像素子2は、高画質の画像を取得することができる。
【0027】
特に、厚さTRが0.55μmの赤色フィルタユニット215Rは、その波長620nmの光の透過率が80%以上、波長530nmの光の透過率が10%以下、波長650nmの光に対する屈折率が1.8以上であることが好ましい。かかる赤色フィルタユニット215Rは、優れた集光特性を発揮して、固体撮像素子2の感度特性をより高めることができる。
赤色フィルタユニット215Rの波長620nmの光の透過率は、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
赤色フィルタユニット215Rの波長530nmの光の透過率は、8%以下であることがより好ましく、6%以下であることがさらに好ましい。
赤色フィルタユニット215Rの波長650nmの光に対する屈折率は、1.85以上であることがより好ましく、1.9以上であることがさらに好ましい。
【0028】
また、赤色フィルタユニット215Rの波長650nmの光に対する屈折率をnRとし、緑色フィルタユニット215Gの波長550nmの光に対する屈折率をnGとし、青色フィルタユニット215Bの波長450nmの光に対する屈折率をnBとしたとき、nR > nG ≧ nBなる関係を満足するように設定することが好ましい。これにより、マイクロレンズ217での集光される角度がより小さい赤色光を、赤色フィルタユニット215Rに入射する際に、より大きい角度で屈折(集光)させることができる。このため、より多くの光をフォトダイオード212に到達させることできる。その結果、受光基板21の端部において、より良好な感度特性を得ることができる。
【0029】
フィルタユニット215R、215G、215Bの屈折率を上記関係に設定する場合、例えば、使用する色素(顔料)の種類及び量、色素のバインダの種類及び量、分散樹脂の種類及び量等のうちの1つを選択して、フィルタユニット215R、215G、215Bを形成するための着色樹脂組成物の組成を調整するようにすればよい。
屈折率nRの具体的な値は、特に限定されないが、1.7以上であることが好ましく、1.75以上であることがより好ましく、1.8以上であることがさらに好ましい。
屈折率nGの具体的な値は、特に限定されないが、1.6以上であることが好ましく、1.63以上であることがより好ましく、1.7以上であることがさらに好ましい。
また、屈折率nBの具体的な値は、特に限定されないが、1.6以上であることが好ましく、1.63以上であることがより好ましく、1.64以上であることがさらに好ましい。
【0030】
隔壁216は、その全体が赤色フィルタユニット215Rの屈折率nR、緑色フィルタユニット215Gの屈折率nG及び青色フィルタユニット215Bの屈折率nBより屈折率が低い低屈折率部で構成されている。
かかる構成によれば、光の全反射作用(光の透過防止作用)により、フィルタユニット215R、215G、215Bを通過した光は、隔壁216で反射されてフォトダイオード212に導かれるので、受光基板21(固体撮像素子2)の感度特性がより向上する。
フィルタユニット215R、215G、215Bの屈折率と隔壁216の屈折率との差をより大きくすれば、臨界角を小さくすることができる。このため、受光基板21の感度特性がより向上し易い。
【0031】
また、各フィルタユニットの屈折率(nR、nG、nB)と隔壁216の屈折率との差は、0.01以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.2以上であることがさらに好ましい。この場合、臨界角をより小さくすることができ、隔壁216の光の全反射特性をより高めることができる。
隔壁216の屈折率の具体的な値は、特に限定されないが、波長450nmの光に対する屈折率が1.44以下であることが好ましく、1.42以下であることがより好ましく、1.4以下であることがさらに好ましい。
【0032】
図3に示すように、隔壁216の幅Wは、50nm以上300nm以下であることが好ましく、50nm以上280nm以下であることがより好ましく、50nm以上260nm以下であることがさらに好ましい。この場合、光の全反射作用が劣化するのを防止又は抑制するとともに、隔壁216の機械的強度を維持しつつ、良好な画素サイズ(フォトダイオード212のサイズ)を確保することができる。
また、
図3に示すように、隔壁216の高さ(厚さ)Hは、カラーフィルタ215の厚さ(T
R、T
G、T
B)より薄く形成され、0.52μm以下であることが好ましい。このように、隔壁216がカラーフィルタ215より薄く形成され、その上面をカラーフィルタ215が覆うことにより、隔壁216を介した白色光混色の抑制が可能となり、且つ受光基板21を十分に低背化することもできる。
【0033】
隔壁216の構成材料としては、樹脂材料と無機粒子とを含む組成物が好適に使用される。
樹脂材料は、例えば、シロキサン樹脂、フッ素系樹脂等から選択される少なくとも1種が挙げられる。
無機粒子は、例えば、SiO粒子、SiOC粒子、中空シリカ粒子、金属フィラー、炭素粒子(例えば、カーボンブラック)等から選択される少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも。隔壁216の強度を高める観点から、無機粒子にはシリカ粒子が好適に使用される。これらの中でも。隔壁216の強度を高め、且つ屈折率を低くできることから、無機粒子には中空シリカ粒子が特に好適に使用される。
【0034】
なお、カラーフィルタ215の厚さは、隔壁216の高さとほぼ等しいか、又は若干小さく設定してもよい。この場合、受光基板21(固体撮像素子2)を低背化(高さを低く)することができる。
かかるカラーフィルタ215は、本発明のカラーフィルタ用着色組成物(以下、略して「着色組成物」とも記載する。)を使用して形成(構成)されている。
着色組成物は、少なくとも顔料と、分散樹脂(本発明の分散樹脂)とを含んでいる。
【0035】
<<顔料>>
顔料としては、できる限り粒径が小さいことが好ましい。着色組成物中での分散性及び顔料のハンドリング性を考慮して、顔料の平均粒子径は、0.001μm以上0.1μm以下であることが好ましく、0.005μm以上0.05μm以下であることがより好ましい。なお、顔料は、粒子径が0.01±0.005μmの範囲にある粒子を、顔料の総質量に対して75質量%以上含むことが好ましい。
ここで、平均粒子径とは、体積粒度分布において、粒子径の小さいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)を言う。平均粒子径は、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計等で測定することができる。
【0036】
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩のような金属化合物等が挙げられる。その具体例は、例えば、アルミニウム、鉄、コバルト、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモンのような金属を含む金属酸化物、上記金属を含む複合酸化物等が挙げられる。
一方、有機顔料は、例えば、カラーインデックス(以下、「C.I.」と記載する。)Pigment Yellow 11、24、31、53、83、93、99、108、109、110、138、139、147、150、151、154、155、167、180、185、199;C.I.Pigment Orange 36、38、43、71;C.I.Pigment Red 81、105、122、149、150、155、171、175、176、177、209、220、224、242、254、255、264、270;C.I.Pigment Violet 19、23、32、39;C.I.Pigment Blue 1、2、15、15:1、15:3、15:6、16、22、60、66;C.I.Pigment Green 7、36、37、58、59、62、63;C.I.Pigment Brown 25、28等が挙げられる。
【0037】
有機顔料は、単独で使用してもよいし、色純度を上げるため、2種以上を併用してもよい。
具体的には、赤色顔料としては、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料を単独で使用するか、又はこれらのうちの少なくとも1種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料又はペリレン系赤色顔料等と併用することができる。
例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.Pigment Red 177が、ペリレン系顔料としては、C.I.Pigment Red 155、C.I.Pigment Red 224が、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.Pigment Red 254が挙げられる。
【0038】
なお、色再現性の点で、赤色顔料は、C.I.Pigment Yellow138又はC.I.Pigment Yellow 139のような黄色顔料と併用することが好ましい。
この場合、赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5以上100:50以下であることが好ましく、100:10以上100:30以下であることがより好ましい。質量比が上記範囲内にあれば、赤色フィルタユニット215Rの光透過率を抑制して、色純度を向上させることができる。
また、異なる種類の赤色顔料を併用する場合、それらの質量比は、色度に併せて調整することができる。
【0039】
緑色顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で使用するか、又はこれとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料又はイソインドリン系黄色顔料と併用することができる。
緑色顔料は、例えば、C.I.Pigment Green 7、36、37、58、59、62、63等が好ましい。また、これらの緑色顔料と、黄色顔料として、例えば、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 150,C.I.Pigment Yellow 180又はC.I.Pigment Yellow 185とを併用することが好ましい。
この場合、緑色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5以上100:150以下であることが好ましく、100:30以上100:120以下であることがより好ましい。質量比が上記範囲にあれば、緑色フィルタユニット215Gにおける400nm以上450nm以下の波長の光の透過率を抑制して、色純度を向上させることができる。
【0040】
青色顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で使用するか、又はこれとジオキサジン系紫色顔料と併用することができる。
青色顔料は、例えば、C.I.Pigment Blue 15:6とC.I.Pigment Violet 23とを併用することが好ましい。
この場合、青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0以上100:30以下であることが好ましく、100:0以上100:10以下であることがより好ましい。
【0041】
顔料は、微細化処理を行った後、他の原料と混合することが好ましい。
微細化処理の方法は、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法等が挙げられる。
これらの中でも、微細化処理の方法は、湿式磨砕の一種であるニーダー法によるソルトミリング処理等が好ましい。
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、混練機を用いて加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。
【0042】
混練機は、例えば、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、プラネタリー型ミキサーのようなバッチ式又は連続式混練機を好適に使用することができる。
水溶性無機塩は、破砕助剤として働く化合物であり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。
顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布を有する顔料を得ることができる。
【0043】
水溶性無機塩は、例えば、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、水溶性無機塩は、安価に入手可能なことから、塩化ナトリウム(食塩)であることが好ましい。
水溶性無機塩の使用量は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対して、50質量部以上2,000質量部以下であることが好ましく、300質量部以上1,000質量部以下であることがより好ましい。
【0044】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する。
水溶性有機溶剤は、水に溶解(混和)し、水溶性無機塩を実質的に溶解しない化合物が好適に使用される。
水溶性有機溶剤は、ソルトミリング時の温度上昇で揮発し難い観点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤であることが好ましい。
【0045】
水溶性有機溶剤は、例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が挙げられる。
水溶性有機溶剤の使用量は、顔料100質量部に対して、5質量部以上1,000質量部以下であることが好ましく、50質量部以上500質量部以下であることがより好ましい。
【0046】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。
樹脂の種類としては、特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を使用することができる。
樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、且つ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。
樹脂の使用量は、顔料100質量部に対して、5質量部以上200質量部以下であることが好ましい。
【0047】
さらに、上記顔料を、例えば、アクリル系樹脂、マレイン酸系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体及びエチルセルロース樹脂等に微分散させて、粉末状加工顔料を生成することにより、分散性及び分散安定性の良好な着色組成物を得ることができる。
着色組成物は、粉末状、ペースト状、ペレット状、ペースト状等の形態で好適に使用することができる。
【0048】
<<分散樹脂>>
分散樹脂は、上述したような顔料と混合して使用される。この分散樹脂は、第1の部位と第2の部位とを備え、第1の部位が第2の部位より顔料に対する親和性が高くなっている。
このため、分散樹脂は、第1の部位が顔料の粒子側、第2の部位が顔料の粒子と反対側(溶剤側)となるように、顔料の粒子に対して配位する。これにより、第2の部位が立体反発部位として作用することで、顔料の粒子同士が凝集するのを阻止することができ、よって、分散安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
すなわち、分散樹脂は、顔料との親和性を有する第1の部位と、顔料の粒子同士の凝集を阻止するように機能する第2の部位とを備えている。
【0049】
分散樹脂は、その波長594nmにおける屈折率が1.54以上である。かかる高い屈折率を有する分散樹脂を使用することにより、屈折率の高いカラーフィルタ215(特に、赤色フィルタユニット215R)を形成することができる。このため、薄型化(低背化)しても、優れた感度特性を有する固体撮像素子が得られる。
分散樹脂の波長594nmにおける屈折率は、1.54以上であればよいが、1.54以上1.65以下であることが好ましく、1.55以上1.63以下であることがより好ましい。この場合、上記効果をより向上させることができる。なお、上記上限値を超えた屈折率を有する分散樹脂は、顔料の分散性を低下させる場合がある。
【0050】
分散樹脂の屈折率は、分散樹脂の分子構造を適切に設計することにより調整可能である。本発明者らの検討によれば、特に、芳香族環を含む分散樹脂は、その屈折率が高くなる傾向にあった。
ここで、芳香族環には、芳香族脂肪族環及び芳香族複素環が含まれ、これらは単環式であっても多環式であってもよい。また、多環式の芳香族環は、複数の芳香族環が結合した結合タイプ(例えば、ビフェニル環等)であっても、複数の芳香族環が縮合した縮合タイプ(例えば、ナフタレン環等)であってもよい。
芳香族環の分散樹脂の全質量に占める割合は、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、35質量%以上75質量%以下であることがさらに好ましい。かかる割合で芳香族環を含むことにより、分散樹脂の屈折率を上記範囲に設定することができる。なお、上記上限値を超えて芳香族環の割合を高めることと、顔料の分散性とはトレードオフになる。
【0051】
分散樹脂は、芳香族環を第1の部位のみ、第2の部位のみ、第1の部位及び第2の部位の双方に含んでいてもよい。ただし、分散樹脂は、第2の部位に芳香族環を主として含むことが好ましい。これにより、分散樹脂の顔料に対する親和性が低下するのを防止又は抑制しつつ、分散樹脂の屈折率を十分に高めることができる。また、顔料の粒子同士の凝集を阻止する機能が向上する傾向も示す。
分散樹脂は、その重量平均分子量が5,000以上50,000以下であることが好ましく、6,000以上40,000以下であることがより好ましく、7,000以上25,000以下であることがさらに好ましい。かかる重量平均分子量を有する分散樹脂は、顔料の粒子同士の凝集を阻止する機能を高度に発揮することができる。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)で測定されたポリスチレン換算の値である。
【0052】
分散樹脂は、例えば、第2の部位が第1の部位から分岐して延びるグラフトコポリマー(以下、「グラフトコポリマー」とも記載する。)、第1の部位と第2の部位とが端部同士で結合したブロックコポリマー(以下、「ブロックコポリマー」とも記載する。)、第1の部位と第2の部位とがランダムに結合したランダムコポリマー等が挙げられる。これらの中でも、分散樹脂は、グラフトコポリマー又はブロックコポリマーであることが好ましい。かかる分子構造の分散樹脂であれば、第1の部位による顔料との親和性の作用と、第2の部位による立体反発部位としての作用とがバランスよく発揮される。
【0053】
・グラフトコポリマー
グラフトコポリマーは、第1の部位に酸性基(例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基)を有することが好ましく、第1の部位にカルボキシル基又はカルボキシル基残基の合計3つ以上が直接結合した芳香族環を含むことがより好ましい。この場合、グラフトコポリマーの第1の部位は、強酸としての性質を有する酸性基(特に、カルボキシル基)を有することになるため、表面が塩基性の性質を示す顔料の粒子に対して極めて高い親和性を示すことができる。このようなグラフトコポリマーは、酸性分散樹脂と呼ぶこともできる。
なお、かかる芳香族環の一部又は全部を、2つのカルボキシル基残基が直接結合した他の芳香族環で置換してもよい。この他の芳香族環は、例えば、ナフタレン型の芳香族環、ビスフェノールA型の芳香族環、ビフェニル型の芳香族環等が挙げられる。
【0054】
また、グラフトコポリマーは、第1の部位の構成単位がエステル結合で繋がったポリエステルであることが好ましい。エステル結合を含む第1の部位は、カルボキシル基(又は酸無水物基)を有する化合物(単量体)と水酸基を有する化合物(単量体)との反応により形成される。かかる反応は、比較的容易に生じさせることができ、また反応に用いる化合物も比較的容易に入手可能であることから好ましい。
グラフトコポリマーの第2の部位は、立体反発部位として作用できれば、その分子構造は特に限定されないが、エチレン性不飽和結合を有する単量体の重合体部位であることが好ましい。かかる重合体部位は、その鎖長(重量平均分子量)を比較的容易に調整することができる。また、重合性(例えば、光重合性等)、アルカリ可溶性のような目的に応じた置換基(側鎖)を、重合体部位に導入し易いという利点もある。エチレン性不飽和結合を有する単量体(以下、「不飽和単量体」とも記載する。)には、二重結合を含有する基を有する単量体、(メタ)アクリロイル基を有する単量体等が好適に使用される。
【0055】
ここで、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表す。
【0056】
このようなグラフトコポリマーは、例えば、(I)テトラカルボン酸無水物及びトリカルボン酸無水物なる群から選択される少なくとも1種の酸無水物と、別途合成した末端付近に水酸基を有するビニル重合体とを反応させる方法、又は(II)上記酸無水物に水酸基含有チオールを反応させた後、チオールのチオール基を起点とした重合反応によりビニル重合体部位を形成する方法が挙げられる。
換言すれば、グラフトコポリマーは、カルボキシル基を有するポリエステル部位(第1の部位)と、ビニル重合体部位(第2の部位)とからなる樹脂(ポリマー)である。
【0057】
テトラカルボン酸二無水物は、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物の具体例は、例えば、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボルナン-2-酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]-オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0058】
芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例は、例えば、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3',4,4'-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4'-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4'-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
【0059】
芳香族テトラカルボン酸二無水物は、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0060】
一般式(1):
【化1】
[一般式(1)中、kは、1又は2である。]
【0061】
一般式(2):
【化2】
[一般式(2)中、Q
1は、直接結合、-O-、-CO-、-COOCH
2CH
2OCO-、-SO
2-、-C(CF
3)
2-、下記一般式(3)で表される基、又は下記一般式(4)で表される基である。]
【0062】
【0063】
【0064】
これらの中でも、テトラカルボン酸二無水物としては、顔料に対する吸着性が優れる観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、芳香族環を2つ以上有するテトラカルボン酸二無水物がより好ましい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物は、脂肪族テトラカルボン酸二無水物と併用してもよい。
【0065】
トリカルボン酸無水物は、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3-ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物]等)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5-ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8-ナフタレントリカルボン酸無水物等)、3,4,4'-ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4'-ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4'-ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2'-ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4'-ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4'-ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。
これらの中でも、トリカルボン酸無水物としては、トリメリット酸無水物が好ましい。
【0066】
本発明では、不飽和単量体には、芳香族環を有する不飽和単量体が好適に使用される。
芳香族環を有する不飽和単量体は、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニレン(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)(メタ)アクリレートのような(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート類;スチレン、α-メチルスチレン(ビニルトルエン)のようなスチレン類;ビニルカルバゾールのようなカルバゾール類等が挙げられる。
【0067】
また、不飽和単量体には、芳香族環を有する不飽和単量体に加えて、その他の不飽和単量体を使用することもできる。
その他の不飽和単量体は、例えば、直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;環状アルキル(メタ)アクリレート類;水酸基を有する(メタ)アクリレート類;(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;アルキルオキシシリル基を有する(メタ)アクリレート類;フルオロアルキ(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;ビニルエーテル類;脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
【0068】
直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0069】
環状アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシプロrピル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシ-3-メチルペンチル(メタ)アクリレートネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0070】
(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートは、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0071】
アルキルオキシシリル基を有する(メタ)アクリレートは、例えば、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
フルオロアルキ(メタ)アクリレートは、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0072】
ビニルエーテルは、例えば、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等が挙げられる。
脂肪酸ビニルは、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
【0073】
水酸基含有チオールは、2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物が好ましい。
水酸基含有チオールは、例えば、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセロール)、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプト-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0074】
酸無水物中の酸無水物基と、水酸基含有チオール中の水酸基との当量比は、酸無水物基/水酸基=0.15以上1.25以下であることが好ましく、0.3以上1以下であることがより好ましい。これにより、グラフトコポリマーによる顔料の分散安定性がより向上する。
グラフトコポリマー中のビニル重合体部位の重量平均分子量は、1,000以上20,000以下であることが好ましく、3,000以上15,000以下であることがより好ましい。ビニル重合体部位が適度な重量平均分子量を有することにより、グラフトコポリマーによる顔料の分散安定性がさらに向上する。
【0075】
ビニル重合体部位(第2の部位)のグラフトコポリマーの全質量に占める割合は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、グラフトコポリマーの顔料に対する親和性の低下を防止しつつ、グラフトコポリマーの第2の部位による立体反発性を十分に発揮させることができる。
グラフトコポリマーの酸価は、5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましく、10mgKOH/g以上170mgKOH/g以下であることがより好ましく、20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。グラフトコポリマーが適度な酸価を有することにより、グラフトコポリマーによる顔料の分散安定性がさらに向上する。
【0076】
・ブロックコポリマー
ブロックコポリマーは、第1の部位に塩基性基を有することが好ましく、第1の部位に3級アミノ基及び4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上を含むことがより好ましい。この場合、ブロックコポリマーの第1の部位は、塩基としての性質を有する3級アミノ基又は4級アンモニウム基を有することになるため、表面が酸性の性質を示す顔料の粒子に対して極めて高い親和性を示すことができる。このようなブロックコポリマーは、塩基性分散樹脂と呼ぶこともできる。
ブロックコポリマーの第1の部位及び第2の部位は、それぞれ顔料との親和性を示す部位及び立体反発部位として作用できれば、その分子構造は特に限定されないが、いずれもがエチレン性不飽和結合を有する単量体(不飽和単量体)の重合体部位であることが好ましい。かかる重合体部位は、その鎖長(重量平均分子量)を比較的容易に調整することができる。不飽和単量体には、二重結合を含有する基を有する単量体、(メタ)アクリロイル基を有する単量体等が好適に使用される。
【0077】
ブロックコポリマーは、第1の部位の分子構造が異なること、且つ全体として直鎖状の分子構造であること以外は、グラフトコポリマーと同様である。すなわち、第2の部位の分子構造は、グラフトコポリマーとブロックコポリマーとで同様である。
ブロックコポリマーは、好ましくはリビングラジカル重合で合成される、A-Bブロックポリマー、又はB-A-Bブロックポリマーである。
例えば、A-Bブロックポリマーは、まずA(第1の部位)を合成し、その後にB(第2の部位)を合成することにより製造することができる。また、B-A-Bブロックポリマーは、まずB(第2の部位)を合成し、次いでA(第1の部位)を合成し、さらにB(第2の部位)を合成することにより製造することができる。なお、A(第1の部位)及びB(第2の部位)を合成する順序が任意であることは言うまでもない。
【0078】
第1の部位は、下記一般式(5)~(7)で表される構造単位(繰り返し単位)からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0079】
一般式(5):
【化5】
[一般式(5)中、R
1~R
3は、それぞれ独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R
1~R
3のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R
4は、水素原子又はメチル基を示し、Xは、2価の連結基を示し、Y
-は、対アニオンを示す。]
【0080】
一般式(6):
【化6】
[一般式(6)中、R
5及びR
6は、それぞれ独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R
5及びR
6が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R
4は、水素原子又はメチル基を示し、Xは、2価の連結基を示す。]
【0081】
一般式(7):
【化7】
[一般式(7)中、R
7は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、アシル基、オキシラジカル基、又はOR
12を表し、R
12は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、又はアシル基を表し、R
8、R
9、R
10、R
11は、それぞれ独立してメチル基、エチル基、又はフェニル基を示す。R
4は、水素原子又はメチル基を示し、Xは、2価の連結基を示す。]
【0082】
一般式(5)におけるR1~R3は、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7~16のアラルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基であることがより好ましい。
一般式(6)におけるR5、R6は、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることがより好ましい。
【0083】
一般式(7)のR7において、炭素数1~18のアルキル基は、例えば、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられる。その具体例としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-オクチル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。
炭素数6~20のアリール基は、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
炭素数7~12のアラルキル基は、例えば、炭素数6~10のアリール基に炭素数1~8のアルキル基が結合した基が挙げられる。その具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基、2-フェニルプロパン-2-イル基等が挙げられる。
また、アシル基は、例えば、炭素数2~8のアルカノイル基、アロイル基が挙げられる。その具体例としては、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
これらの中でも、一般式(7)のR7としては、特に、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、オキシラジカル基であることが好ましく、水素原子、メチル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
【0084】
一般式(5)~(7)において、2価の連結基Xは、例えば、メチレン基、炭素数2~10のアルキレン基、アリーレン基、-CONH-R13-、-COO-R14-(但し、R13及びR14は、それぞれ独立して単結合、メチレン基、炭素数2~10のアルキレン基、又は炭素数2~10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)である。)等が挙げられ、-COO-R14-であることが好ましい。
また、一般式(5)において、対アニオンのY-は、例えば、Cl-、Br-、I-、ClO4
-、BF4
-、CH3COO-、PF6
-等が挙げられる。
【0085】
一般式(5)で表される構造単位を形成する単量体は、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライドのようなアルキル(メタ)アクリレート系4級アンモニウム塩;(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドのようなアルキル(メタ)アクリロイルアミド系4級アンモニウム塩;ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート;トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0086】
一般式(6)で表される構造単位を形成する単量体は、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのような3級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのような3級アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0087】
一般式(7)で表される構造単位を形成する単量体は、例えば、以下の構造式で表される化合物等が挙げられる。以下の構造式中、R4は、水素原子、又はメチル基を表す。
【0088】
【0089】
上記化合物の中でも、一般式(7)で表される構造単位を形成する単量体としては、2,2,6,6-テトラメチルピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレートであることが好ましく、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレートであることがより好ましい。
【0090】
一般式(5)~(7)で表される構造単位は、単独で又は2種以上が組み合わせて含有されていてもよく、ランダム共重合、ブロック共重合、又はグラフト共重合いずれかの態様で含有されていてもよいが、ブロック共重合体の態様で含有されることが好ましい。
一般式(5)~(7)で表される構造単位以外の構造単位を含んでもよい。
ブロックコポリマーの第1の部位の一般式(5)~(7)で表される構造単位以外の単量体単位の形成、及び第2の部位の合成には、前記ビニル重合体部位の合成に使用できる単量体等を使用することができる。
【0091】
リビングラジカル重合によりブロックコポリマーを製造する際に使用するラジカル重合開始剤は、例えば、アゾ化合物、過酸化物が好ましい。
アゾ化合物は、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2、2'-アゾビス(イソ酪酸メチル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4'-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2'-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。
【0092】
過酸化物は、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
以上のような重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0093】
重合反応の際の反応温度は、40℃以上150℃以上であることが好ましく、50℃以上110℃以上であることがより好ましい。
また、反応時間は、3時間以上30時間以上であることが好ましく、5時間以上20時間以下であることがより好ましい。
リビングラジカル重合は、公知の重合法で行い得るが、RAFT重合(可逆的付加開裂連鎖移動重合)であることが好ましい。
RAFT重合は、RAFT剤の存在下、単量体をラジカル重合する方法であり、得られるポリマー又はコポリマーの分子量及び分子量分布を制御し易いという利点がある。
【0094】
RAFT剤は、連鎖移動効果、及び重合開始効果を有する化合物である。かかるRAFT剤は、例えば、ジチオベンゾエート型の化合物、トリチオカーボネート型の化合物、ジチオカルバメート型の化合物、キサンテト型の化合物等、又はこれらの前駆体であるジスルフィド型の化合物が挙げられる。
ジチオベンゾエート型の化合物は、例えば、ジチオ安息香酸2-シアノ-2-プロピル、4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸、ベンゾジチオ酸2-フェニル-2-プロピル等が挙げられる。
【0095】
トリチオカーボネート型の化合物は、例えば、4-[(2-カルボキシエチルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]-4-シアノペンタン酸、2-{[(2-カルボキシエチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、2-シアノ-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン、2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸メチル、2-メチル-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸、S,S-ジベンジルトリチオ炭酸、トリチオ炭酸=ビス[4-(アリルオキシカルボニル)ベンジル]、トリチオ炭酸=ビス[4-(2,3-ジヒドロキシプロポキシカルボニル)ベンジル]、トリチオ炭酸=ビス{4-[エチル-(2-アセチルオキシエチル)カルバモイル]ベンジル}、トリチオ炭酸ビス{4-[エチル-(2-ヒドロキシエチル)カルバモイル]ベンジル}、トリチオ炭酸=ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンジル]等が挙げられる。
【0096】
ジチオカルバメート型の化合物は、例えば、4-クロロ-3,5-ジメチルピラゾ-ル-1-カルボジチオ酸2'-シアノブタン-2'-イル、3,5-ジメチルピラゾ-ル-1-カルボジチオ酸2'-シアノブタン-2'-イル、3,5-ジメチルピラゾ-ル-1-カルボジチオ酸シアノメチル、N-メチル-N-フェニルジチオカルバミン酸シアノメチル等が挙げられる。
ジスルフィド型の化合物は、例えば、ビス(ドデシルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィド、ビス(チオベンゾイル)ジスルフィド等が挙げられる。
以上のようなRAFT剤は、A-Bブロックポリマーの製造に好適に使用される。
【0097】
これらの中でも、合成時の反応制御が容易である観点から、RAFT剤としては、トリチオカーボネート型の化合物が好ましく、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、2-シアノ-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸メチル、トリチオ炭酸ビス{4-[エチル-(2-ヒドロキシエチル)カルバモイル]ベンジル}、ビス(ドデシルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィドがより好ましい。
RAFT剤の使用量は、単量体100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
【0098】
ブロックコポリマーの合成には、有機溶剤を使用することが好ましい。有機溶剤は、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
有機溶剤は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0099】
第2の部位のブロックコポリマーの全質量に占める割合は、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上45質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、ブロックコポリマーの第2の部位による立体反発性の低下を防止しつつ、ブロックコポリマーの顔料に対する優れた親和性を発揮させることができる。
ブロックコポリマーのアミン価は、10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましく、20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることがより好ましく、30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。適度なアミン価を有するブロックコポリマーは、顔料に対する親和性(吸着性)及び溶剤への溶解性の双方が向上し、顔料の分散安定性がより高まる。
【0100】
分散樹脂の含有量は、着色組成物の不揮発分中、3質量%以上35質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上25質量%以下であることがさらに好ましい。分散樹脂を適量使用することにより、ドライエッチング工程の剥離液に対する耐性及び屈折率に優れ、着色組成物の分散安定性がより向上する。
なお、使用する単量体の構造を設計することにより、塩基性分散樹脂もグラフトコポリマーとして合成してもよい。
【0101】
<<色素誘導体>>
着色組成物は、必要に応じて、色素誘導体を含有することができる。
色素誘導体は、有機色素残基に、酸性基、塩基性基、中性基等を有する化合物である。
色素誘導体は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基のような酸性基を有する化合物、又はこれらのアミン塩、スルホンアミド基、末端に3級アミノ基のような塩基性基を有する化合物、フェニル基、フタルイミドアルキル基のような中性基を有する化合物等が挙げられる。
【0102】
有機色素は、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドールのようなインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾのようなアゾ系顔料等が挙げられる。
【0103】
色素誘導体は、上記化合物を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
色素誘導体の使用量は、有機顔料100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下であることが好ましく、3質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましい。
有機顔料に色素誘導体を添加し、アシッドペースティング、アシッドスラリー、ドライミリング、ソルトミリング、又はソルベントソルトミリング等の微細化処理を行うことで、有機顔料表面に色素誘導体が吸着し、色素誘導体を添加しない場合と比較して有機顔料を微細に分散させることができる。
【0104】
<<有機成分>>
着色組成物は、さらに有機成分を含有することができる。
フィルタユニット215R、215G、215Bをドライエッチング法により形成する場合、すなわち着色組成物の硬化物をドライエッチング法により加工する場合、着色組成物は、有機成分として、側鎖に重合性基を有する第1の構造単位(第1の繰り返し単位)と、側鎖に酸性基又は塩基性基を有する第2の構造単位(第2の繰り返し単位)とを有する共重合体を含むことが好ましい。
かかる着色組成物は、熱及び/又は光により硬化する組成物とし得るが、硬化の均一性や、着色組成物中の顔料の含有量を高める観点からは、少なくとも熱により硬化する組成物(以下、「着色熱硬化性組成物」とも記載する。)であることが好ましい。
【0105】
以下、第1の構造単位と第2の構造単位とを有する共重合体を、「硬化性共重合体」とも記載する。
第1の構造単位を含むことにより、硬化性共重合体に硬化性を付与することができ、第2の構造単位を含むことにより、硬化性共重合体による顔料の分散性を高めることができる。
このため、顔料以外の成分(分散剤、熱硬化性化合物、硬化剤等)の使用量を低減し、多量に顔料を含有する着色組成物を得ることができる。また、この着色組成物を使用して、フィルタユニット215R、215G、215Bを形成することにより、より一層の薄膜化が可能となる。
【0106】
硬化性共重合体に重合性基を導入する方法は、側鎖に酸性基又は水酸基を有する共重合体に、重合性基を有する化合物を反応により付加させる態様が好ましい。
【0107】
重合性基は、例えば、アリル基、ビニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられ、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
重合性基を有するモノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、2-(ビニルオキシ)エチルメタクリレート、p-ビニルオキシスチレン、p-{2-(ビニルオキシ)エチル}スチレン等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0108】
硬化性共重合体に酸性基又は塩基性基を導入する方法は、酸性基又は塩基性基を有するモノマーを共重合させる態様が好ましい。
「酸性基又は塩基性基」(以下、「分散性基」とも言う。)は、各種の官能基から選択することができる。
【0109】
酸性基は、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。これらの中でも、酸性基としては、顔料の分散安定性の観点から、カルボキシル基、リン酸基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
酸性基を有するモノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アスパラギン酸、スルホン酸等が挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸、アスパラギン酸が好ましい。
水酸基を有するモノマーは、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
【0110】
塩基性基は、例えば、アミノ基、グアニジノ基、イミダゾール基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム等が挙げられる。
塩基性基を有するモノマーは、例えば、N,N-ジメチルラウリルアミン、N,N-ジメチルパルミチルアミンが好ましく、N,N-ジメチルパルミチルアミンがより好ましい。
【0111】
顔料が表面に酸性基を有する場合、塩基性基(例えば、1級から3級アミノ基等)を含む硬化性共重合体が好ましく、顔料が表面に塩基性基を有する場合、酸性基(例えば、カルボキシル基等)を含む硬化性共重合体が好ましい。
上記の観点から上記共重合体は、アリル基と顔料吸着基(分散性基)とを含む共重合体がより好ましい。アリル基については、熱により重合(硬化)すればよい。熱硬化方式によれば、着色組成物を均一に硬化させ易く、開始剤も不要なことから好ましい。また、着色組成物の不揮発分(全不揮発分)中の顔料の含有量を高め易い。
ここで、「着色組成物の不揮発分(全不揮発分)」とは、着色組成物から溶剤を除いた全成分のことを言う。
【0112】
また、側鎖に酸性基又は塩基性基を有する共重合体に、重合性基を有する化合物を反応により付加させる態様として、酸性基もしくは塩基性基を有するモノマーと、水酸基やカルボキシル基等の反応性官能基を有するモノマーとの共重合体を合成し、次いで前記反応性官能基と反応する反応性官能基を有するモノマーと反応させる方法も好ましい。
前記方法は、例えば、水酸基を有する共重合体に対し、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させる方法が挙げられる。また、カルボキシル基を有する共重合体に対し、グリシジルメタクリレートを反応させる方法が挙げられる。
【0113】
硬化性共重合体の重量平均分子量は、3,000以上300,000以下であることが好ましく、5,000以上100,000以下であることがより好ましく、7,000以上70,000以下であることがさらに好ましい。
また、分散性基に対する重合性基の比率(重合性基/分散性基)は、モル比で、95/5以上5/95以下であることが好ましく、85/15以上15/85以下であることがより好ましく、75/25以上25/75以下であることがさらに好ましい。
【0114】
着色組成物の不揮発分中の硬化性共重合体の含有量は、硬化性共重合体の種類によっても若干異なり、特に限定されないが、50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上40質量%%以下であることがさらに好ましい。
着色組成物においては、硬化性共重合体に加えて、任意成分である後述する熱硬化性化合物を使用することもできる。この場合、着色組成物における、硬化性共重合体と熱硬化性化合物との合計での含有量は、着色組成物の不揮発分(質量)中、50質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
【0115】
有機成分は、着色組成物の塗膜(液状被膜)の厚さの調整の容易性を向上する観点等から、硬化性共重合体に加えて、硬化性共重合体以外のバインダを含んでいてもよい。本態様(ドライエッチング用途)であれは、バインダは、アルカリ可溶性であることは必要とせず、有機溶剤に可溶であればよい。
かかるバインダは、例えばメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体のような側鎖にカルボキシル基を有するポリマー、側鎖にカルボキシル酸を有する酸性セルロース誘導体等が挙げられる。
【0116】
バインダとしては、上記の他、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させた付加物、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール等も有用である。
また、親水性を有するモノマーを共重合してもよい。かかるモノマーの例は、例えば、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、2級又は3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のブチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0117】
これらの中でも、バインダとしては、耐熱性の観点から、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選択されるモノマーからなる共重合体が挙げられる。かかる共重合体は、例えば、ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸共重合体、ベンジルメタアクリレート/ベンジルメタアクリルアミド共重合体、KSレジスト-106(大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業株式会社製)等が好ましい。
【0118】
バインダの重量平均分子量は、1,000以上2×105以下であることが好ましく、2,000以上1×105以下であることがより好ましく、5,000以上5×104以下であることがさらに好ましい。
着色組成物は、硬化性共重合体(必要に応じてバインダ)に、顔料を高い含有量で分散させることにより、硬化膜を形成した際に下層等との密着性を付与することができ、スピンコート、スリットコート時の成膜性にも寄与することができる。
【0119】
本態様(ドライエッチング用途)の場合、フォトリソグラフィ法では必須成分であるモノマー(重合性化合物)や光重合開始剤を、着色組成物に必ずしも添加する必要がない。このため、着色組成物の不揮発分(全不揮発分)、換言すれば、着色組成物の硬化物であるフィルタユニット215R、215G、215Bにおける顔料の含有量を65質量%以上に設定することができる。これにより、フィルタユニット215R、215G、215Bの分光特性を高めることができる。
着色組成物における顔料の含有量は、着色組成物の不揮発分中、65質量%以上100質量%未満であることが好ましく、70質量%以上98質量%以下であることがより好ましく、75質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。この場合、フィルタユニット215R、215G、215Bの分光特性及び色再現性が高く、着色組成物の硬化性が良好とすることができる。
【0120】
<<その他の成分>>
着色組成物は、上記成分以外のその他の成分を含有してもよい。
・染料
着色組成物では、上記顔料と併せて染料を使用してもよい。
染料は、例えば、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ベンジリデン系染料、オキソノール系染料、シアニン系染料、フェノチアジン系染料、ピロロピラゾールアゾメチン系染料、キサンテン系染料、フタロシアニン系染料、ベンゾピラン系染料、インジゴ系染料等が挙げられる。
【0121】
・熱硬化性化合物
熱硬化性化合物は、補助的に熱硬化性化合物を含んでいてもよい。この熱硬化性化合物は、加熱により硬化可能であれば、特に限定されず、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、ブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メラミン化合物、ブロックイソシアネート化合物が好ましく、エポキシ化合物がより好ましい。
【0122】
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物は、例えば、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノールと各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノールと芳香族ジメタノール(ベンゼンジメタノール、α,α,α',α'-ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α',α'-ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノールと芳香族ジクロロメチル類(α,α'-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノールと各種アルデヒドの重縮合物、アルコール等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0123】
エポキシ化合物の市販品は、例えば、油化シェルエポキシ社製のエピコート807,815,825,827,828,190P,191P、三井化学社製のTECHMORE VG3101L、日本化薬社製のEPPN-201,501H,502H、EOCN-102S,103S,104S,1020、ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1004,1256、JER1032H60,157S65,157S70,152,154、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、EHPE-3150、エポリードGT401、ナガセケムテックス社製のデナコールEX-211,212,252,313,314,321,411,421,512,521,611,612,614,614B,622,711,721、日産化学工業社製のTEPIC-L,H,S、DIC社製のEPICLON 830,840,850,860,1050,3050,4050,N-660、N-670,N-740,N-770,N865,HP-7200,HP-4700,HP-4770,HP-5000,HP-6000,HP-9500等が挙げられる。
【0124】
エポキシ化合物は、高温高湿耐性、溶剤耐性の観点から、分子内に2~50個のエポキシ基を有する化合物が好ましい。
エポキシ化合物のエポキシ当量は、50g/eq以上400g/eq以下が好ましく、100g/eq以上200g/eq以下がより好ましい。なお、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物の質量で定義される。
熱硬化性化合物は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
熱硬化性化合物の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0125】
・光重合開始剤
着色組成物は、補助的に光重合開始剤を含有してもよい。
光重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物アシルホスフィン化合物、キノン化合物;ボレート化合物、カルバゾール化合物等が挙げられる。
【0126】
光重合開始剤の市販品は、アセトフェノン化合物として、IGM Resins社製のOmnirad907、369E、379EG、127、184、1173、2959、アシルホスフィン化合物として、IGM Resins社製のOmnirad819、TPO、オキシム化合物として、BASFジャパン社製のIRGACURE OXE-01、02、03、04、ADEKA社製のN-1919、NCI-730、831、930、常州強力新材料社製のTRONLY TR-PBG-301、304、305、309、314、345、358、380、365、610、3054、3057、IGM Resins社製のOmnirad1312、1314、1316、サムヤンコーポレーション社製のSPI-02、03、04、05、06、07、ダイトーケミックス社製のDFI-020、306、EOX-01等が挙げられる。
これらの中での光硬化性の面でオキシムエステル化合物が好ましく、耐熱性、パターン形状がより向上する面で、下記一般式(6)で表される化合物、下記一般式(7)で表される化合物が好ましい。
【0127】
【0128】
一般式(6)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素原子数1~8のアルキル基を表す。R3は、水素原子、又は1価の置換基を表す。
一般式(7)中、X1及びX2は、それぞれ独立してカルボニル結合(-CO-)又は単結合を表す。R4は、炭素原子数1~20のアルキル基を表し、R5及びR6は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~30の複素環、炭素原子数6~30のアリール基、又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表す。R7及びR8は、それぞれ独立して炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~30の複素環基、炭素原子数6~30のアリール基、又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表す。
【0129】
一般式(6)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素原子数1~8のアルキル基を表す。
炭素原子数1~8のアルキル基としては、直鎖状でも、分岐状でも、環状でも、それらが結合したものであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。なかでも、炭素原子数3~8の直鎖のアルキル基が好ましく、炭素原子数4~6の直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0130】
一般式(6)中、R3は、水素原子、又は任意の1価の置換基を表す。
1価の置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素原子数1~20のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素原子数1~20のアルコキシ基;F、Cl、Br、I等のハロゲン原子;炭素原子数1~20のアシル基;炭素原子数1~20のアルキルエステル基;炭素原子数1~20のアルコキシカルボニル基;炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数4~20の芳香族環基;アミノ基;炭素原子数1~20のアミノアルキル基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;置換基を有してよいベンゾイル基;置換基を有してよいテノイル基等が挙げられる。ベンゾイル基、又はテノイル基が有してよい置換基としては、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。なかでも、ラジカル生成効率の観点から、水素原子、ニトロ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0131】
一般式(6)で表される化合物の製造方法は、例えば、特表2019-507108号公報、特表2019-528331号公報等に記載の方法が挙げられる。
以下、一般式(6)で表される化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0132】
【0133】
一般式(7)中、X1及びX2は、それぞれ独立してカルボニル結合(-CO-)又は単結合を表す。なかでも、有機溶剤への溶解性の観点から、X1及びX2の少なくとも1つはカルボニル結合(-CO-)が好ましく、2つともカルボニル結合(-CO-)がより好ましい。
【0134】
一般式(7)中、R4は、炭素原子数1~20のアルキル基を表す。
炭素原子数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でも、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
【0135】
一般式(7)中、R5及びR6は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~30の複素環、炭素原子数6~30のアリール基、又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表す。
炭素原子数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でも、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基が好ましい。
【0136】
炭素原子数2~30の複素環基は、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、イミダゾリジル基、オキサゾリジル基、ピペリジル基、モルホリニル基等が挙げられる。
炭素原子数6~30のアリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられ、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアリール基であってもよい。
炭素原子数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル基、α―メチルベンジル、α,α―ジメチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられ、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアリールアルキル基であってもよい。
これらの中でも、R5及びR6は、炭素原子数1~20の直鎖状のアルキル基と炭素原子数1~20の環状のアルキル基がより好ましい。
【0137】
一般式(7)中、R7及びR8は、それぞれ独立して炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~30の複素環基、炭素原子数6~30のアリール基、又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表す。
炭素原子数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
【0138】
炭素原子数2~30の複素環基は、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、イミダゾリジル基、オキサゾリジル基、ピペリジル基、モルホリニル基等が挙げられる。
炭素原子数6~30のアリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられ、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアリール基であってもよい。これらの中でも、反応性の観点から、フェニル基が好ましい。
炭素原子数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル基、α―メチルベンジル、α,α―ジメチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられ、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアリールアルキル基であってもよい。
【0139】
これらの中でも、R7及びR8は、反応性の観点から、メチル基、エチル基、又はフェニル基が好ましく、メチル基、又はエチル基がより好ましい。
一般式(7)で表される化合物の製造方法は、例えば、特表2017-523465号公報に記載の方法を使用できる。
一般式(7)で表される化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0140】
【0141】
光重合開始剤の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0142】
光重合開始剤を使用する場合、増感剤や光安定剤を併用することができる。
その具体例として、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、9-フルオレノン、2-クロロ-9-フルオレノン、2-メチル-9-フルオレノン、9-アントロン、2-ブロモ-9-アントロン、2-エチル-9-アントロン、9,10-アントラキノン、2-エチル-9,10-アントラキノン、2-t-ブチル-9,10-アントラキノン、2,6-ジクロロ-9,10-アントラキノン、キサントン、2-メチルキサントン、2-メトキシキサントン、2-エトキシキサントン、チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、アクリドン、10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、ジベンジルアセトン、p-(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p-(ジメチルアミノ)フェニル-p-メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(又はミヒラーケトン)、p-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾアントロン、ベンゾチアゾール化合物、5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルベンゼンプロパン酸メチル(チヌビン1130)、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール(チヌビン400)等が挙げられる。
【0143】
他の光重合開始剤は、例えば、ビシナールポリケトルアルドニル化合物、α-カルボニル化合物、アシロインエーテル、α-炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリルイミダゾールダイマー/p-アミノフェニルケトンの組み合わせ、ベンゾチアゾール化合物/トリハロメチール-s-トリアジン化合物の組み合わせ等が挙げられる。
【0144】
・硬化剤
熱硬化性化合物としてエポキシ樹脂を使用する場合、着色組成物には、硬化剤を添加することが好ましい。
硬化剤の具体例は、例えば、ジエチレントリアミン、メタフェニレンジアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、無水フタル酸、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、三フッ化ホウ素-モノエチルアミンコンプレックス、フェノール樹脂、ジシアンジアミド等が挙げられる。
【0145】
これらの硬化剤は、加熱によりエポキシ基と反応し、重合することによって架橋密度が上がり硬化する化合物である。着色組成物における硬化剤の含有量は、薄膜化のためには極力少量の方が好ましく、熱硬化性化合物に対して35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。
【0146】
・硬化触媒
着色組成物は、硬化触媒を含有することができる。
硬化性化合物としてエポキシ樹脂を用いる場合、硬化触媒は、例えば、イミダゾール化合物、三フッ化ホウ素錯体(特に、アミン錯体)、第三アミン類(グアニジン、ビグアニド)、チタン酸エステル、ホスフィン誘導体等を好適に使用することができる。
硬化触媒の使用量としては、エポキシ当量が150以上200以下のエポキシ樹脂に対して、質量比で、1/10以上1/1,000以下であることが好ましく、1/20以上1/500以下であることがより好ましく、1/30以上1/250以下であることがさらに好ましい。
【0147】
硬化触媒の市販品としては、特に限定さればいが、例えば、イミダゾールシランシリーズ「IS-1000」、「IS-1000D」、「IM-1000」、「SP-1000」、「IA-1000A」、「IA-100P」、「IA-100F」、「IA-100AD」、「IA-100FD」、「IM-100F」、「IS-3000」、「IS-4000」(いずれもジャパンエナジー株式会社製)、「1B2PZ」、「SFZ」(いずれも四国化成株式会社製)等が挙げられる。
【0148】
・溶剤
着色組成物は、少なくとも1種の溶剤を含有することができる。
溶剤は、各成分の溶解性、着色組成物の塗布性、安全性等を考慮して選択することが好ましい。
溶剤は、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類、エーテル類等が挙げられる。
ケトンは、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素は、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0149】
エステルは、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
【0150】
エーテルは、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0151】
・分散剤
着色組成物には、顔料の分散性を向上させるために、分散剤を補助的に添加することができる。
分散剤は、例えば、カチオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、高分子分散剤等が挙げられる。分散剤は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
例えば、主鎖に特定の酸アミド基含有モノマー及び四級アンモニウム塩モノマー残基を有するグラフト共重合体は、顔料を微分散する優れた作用を有することから、分散剤として用いることができる。グラフト共重合体を用いることにより、エネルギーや時間の消費を低減しながら顔料を微細に分散させることができる。また、分散した顔料が、時間経過しても凝集したり沈降したりすることがなく、長期にわたる分散安定性を維持することができる。
着色組成物における分散剤の含有量は、通常、顔料100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
【0152】
<着色組成物の調製方法>
次に、着色組成物の調製方法の一例について説明する。
なお、以下において、硬化性共重合体(及び、必要に応じてバインダー)を「硬化性樹脂」と言うこともある。
着色組成物は、硬化性樹脂の存在下に、顔料が分散された顔料分散液を用いて好適に調製することができる。
顔料の分散方法としては、顔料の粒子を微粒子化し、且つその粒子サイズ分布をシャープにした顔料を用いる方法が好適である。具体的には、平均粒子径が0.01μm程度であり、且つ粒子径が0.01±0.005μmの範囲にある顔料の粒子を75質量%以上含む顔料を用いる方法が好ましい。
【0153】
顔料の粒子サイズ分布を上述の範囲に調整する分散方法は、例えば、ニーダーや二本ロール等を使用して高粘度状態で分散する乾式分散(混練分散処理)と、三本ロールやビーズミル等を使用して比較的低粘度状態で分散する湿式分散(微分散処理)とを組み合わせた分散方法が挙げられる。分散方法においては、2種以上の顔料を共分散させたり、混練分散処理時には、溶剤を使用しないか若しくは使用量をできるだけ少なくすることも好ましい。
なお、ソルベントショックを和らげるために硬化性樹脂を混練分散処理時と微分散処理時とに分けて添加(2分割使用)したりすることが好ましい。また、混練分散処理から微分散処理に移行する際に顔料の粒子が再凝集するのを防止するために溶解性に優れた硬化性樹脂を用いることも好ましい。さらに、微分散処理時に使用するビーズミルのビーズに高硬度のセラミックスを使用したり、粒径の小さいビーズを使用したりすることも有効である。
【0154】
特に、2種以上の顔料を用い、さらに2種以上の顔料を50,000mPa・s以上の高粘度状態で分散した後に、1,000mPa・s以下の低粘度状態で分散して得られた顔料を用いることが好ましい。
一般に、これらの顔料は、合成後、種々の方法で乾燥を経て供給される。通常は、水媒体から乾燥させて粉末体として供給されるが、水が乾燥するには大きな蒸発潜熱を必要とするため、乾燥して粉末とするには大きな熱エネルギーを付与する。そのため、顔料は、一次粒子が集合した凝集体(二次粒子)を形成しているのが普通である。
【0155】
着色組成物の調製方法においては、まず、硬化性樹脂中で顔料が分散された顔料分散液を調製することが好ましい。
具体的には、顔料に、硬化性樹脂を混練分散処理後の粘度が50,000mPa・s以上(好ましくは、50,000mPa・s以上100,000mPa・s以下)の比較的高粘度になるように混練分散処理を施すことが好ましい。
ここで、混練分散処理は、高粘度分散であってもよいし、乾式分散であってもよい。
【0156】
次いで、必要に応じて、混練分散処理後の顔料分散物に硬化性樹脂や他の分散剤等を追加添加し、微分散処理後の粘度が1,000mPa・s以下(好ましくは、100mPa・s以下)の比較的低粘度になるように微分散処理を施すことが好ましい。
なお、微分散処理は、低粘度分散であってもよいし、湿式分散であってもよい。
【0157】
混練分散処理においては、溶剤の比率が被分散物に対して、0質量%以上20質量%以下であることが好ましい。このように、溶剤をあまり使用せずに分散を行うと、顔料の粒子の表面をビヒクルの樹脂成分を主体とした構成成分との濡れを促進させることができる。このため、顔料の粒子表面が形成する界面を、顔料の粒子と空気との固体/気体界面から、顔料の粒子とビヒクル溶液との固体/溶液界面に変換することができる。顔料の粒子の表面が形成する界面を空気から溶液に変換して混合攪拌すると、顔料を一次粒子に近い微小な状態にまで分散することができる。
【0158】
このように、顔料を高度に分散させるためには、顔料の粒子表面が形成する界面を空気から溶液に変換することが有効である。かかる変換には強い剪断力や圧縮力が必要である。このため、混練分散処理においては、強い剪断力や圧縮力を発揮できる混練機を使用し、被混練物として高粘度のものを使用するのが好ましい。
また、微分散処理時においては、ガラスやセラミックの微粒状の分散用メディアと共に混合攪拌することが好ましい。さらに、微分散処理時における溶剤の比率は、被分散物の20質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
【0159】
微分散処理時においては、顔料の粒子を微小な状態にまで均一に安定させて分布させることが必要であることから、凝集している顔料の粒子に衝撃力と剪断力とを付与できる分散機を使用し、被分散物として低粘度のものを使用するのが好ましい。
このようにして得られた顔料分散液に、必要に応じて硬化触媒又は硬化剤や、さらに熱硬化性化合物を添加し、必要に応じてさらに溶剤を添加することで着色組成物を調製することができる。
【0160】
フィルタユニット215R、215G、215Bを、フォトリソグラフィ法を用いて形成する場合、上記バインダとして、アルカリ可溶性樹脂が使用される。
【0161】
<<アルカリ可溶性樹脂>>
アルカリ可溶性樹脂の分子量としては、特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)が5000以上100,000以下であることが好ましい。また、数平均分子量(Mn)は、1,000以上20,000以下であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有する樹脂が挙げられる。
【0162】
アルカリ可溶性樹脂としては、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、「酸基」とも言う。)は、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。酸基は、有機溶剤に可溶で、且つ弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸由来の基が好ましい。これらの酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0163】
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば、ラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、適宜設定することができる。
アルカリ可溶性樹脂としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましく、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック型樹脂のようなアルカリ可溶性フェノール樹脂、側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等挙げられる。
【0164】
特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ビニル化合物は、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0165】
また、着色組成物の架橋効率を向上させるために、重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。重合性基としては、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂は、重合性基を側鎖に含有したアルカリ可溶性樹脂等が有用である。
重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂としては、ダイヤナ-ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(Diamond Shamrock Co.,Ltd.社製)、ビスコートR-264、KSレジスト106(いずれも、大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれも、株式会社ダイセル社製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)、アクリキュア-RD-F8(株式会社日本触媒社製)等が挙げられる。
【0166】
アルカリ可溶性樹脂には、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマー共重合体のような多元共重合体が好適に使用される。
また、アルカリ可溶性樹脂には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを共重合したポリマー、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体等も好適に使用される。
また、アルカリ可溶性樹脂の市販品は、例えば、FF-426(藤倉化成社製)等が挙げられる。
【0167】
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることが好ましく、40mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であることがより好ましく、50mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、60mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることが特に好ましく、50mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であることが最も好ましい。
【0168】
着色組成物におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量は、着色組成物の不揮発分(全不揮発分)中、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上18質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましく、2質量%以上12質量%以下であることが特に好ましく、3質量%以上10質量%以下であることが最も好ましい。
なお、着色組成物は、アルカリ可溶性樹脂を1種類のみを含有してもよいし、2種類以上を含有してもよい。また、2種類以上のアルカリ可溶性樹脂を含有する場合、その合計での含有量を上記範囲に調整することが好ましい。
本明細書において、分散樹脂及びバインダを含む全樹脂の含有量は、着色組成物中、3質量%以上35質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
【0169】
また、フィルタユニット215R、215G、215Bを、フォトリソグラフィ法を用いて形成する場合、着色組成物は、さらに重合性化合物及び光重合開始剤を含有することができる。
<<重合性化合物>>
重合性化合物には、重合性不飽和基を有するモノマー又はオリゴマーを使用することができる。
重合性化合物は、2以上の重合性不飽和基を有する化合物が好ましい。なお、重合性不飽和基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基等が挙げられる。
【0170】
重合性化合物は、例えば、直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;環状アルキル(メタ)アクリレート類;フルオロアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;複素環を有する(メタ)アクリレート類;芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート類;ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート類;(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ジ(メタ)アクリレート類;3級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;三官能以上の多官能(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロイル変性樹脂オリゴマー類;ビニル類;ビニルエーテル類;アミド類;アクリロニトリル等が挙げられる。
重合性化合物は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0171】
直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0172】
環状アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
フルオロアルキル(メタ)アクリレートは、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0173】
複素環を有する(メタ)アクリレートは、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、又は3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族環を有する(メタ)アクリレートは、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0174】
(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートは、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0175】
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0176】
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル(メタ)フタレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール-テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0177】
(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール-テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2-エチル,2-ブチル-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0178】
ジ(メタ)アクリレートは、例えば、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、テトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジアクリル酸亜鉛、エチレンオキサイド変性リン酸トリアクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0179】
3級アミノ基を有する(メタ)アクリレートは、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、又はジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0180】
三官能以上の多官能(メタ)アクリレートの具体例は、例えば、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0181】
エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、グリセロールトリグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、グリセロールジグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、1,6-ブタンジオールジグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、アリルグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、フェニルグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、スチレンオキサイド-(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、プロピレンオキサド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールFジグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、エピクロルヒドリン変性フタル酸―(メタ)アクリル酸付加物、エピクロルヒドリン変性ヘキサヒドロフタル酸―(メタ)アクリル酸付加物、エチレングリコールジグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル-(メタ)アクリル酸付加物、プロピレングリコールジグリシジルエーテル―(メタ)アクリル酸付加物、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル―(メタ)アクリル酸付加物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂-(メタ)アクリル酸付加物、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂-(メタ)アクリル酸付加物、その他のエポキシ樹脂-(メタ)アクリル酸付加物等が挙げられる。
【0182】
(メタ)アクリロイル変性樹脂オリゴマーは、例えば、(メタ)アクリロイル変性イソシアヌレート、(メタ)アクリロイル変性ポリウレタン、(メタ)アクリロイル変性ポリエステル、(メタ)アクリロイル変性メラミン、(メタ)アクリロイル変性シリコーン、(メタ)アクリロイル変性ポリブタジエン、又は(メタ)アクリロイル変性ロジン等が挙げられる。
ビニルは、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、又は(メタ)アクリル酸アリル等が挙げられる。
【0183】
ビニルエーテルは、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、又はペンタエリスリトールトリビニルエーテル等が挙げられる。
アミドは、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、又はN-ビニルホルムアミド等が挙げられる。
【0184】
重合性化合物の含有量は、着色組成物の不揮発分中、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
以上のような重合性化合物は、単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、着色組成物をフォトリソグラフィ法と組み合わせて使用する場合、着色組成物は、上記重合性化合物を含有することが好ましいが、着色組成物をドライエッチング法と組み合わせて使用する場合、着色組成物は、上記重合性化合物を含有しないことが好ましい。
<<光重合開始剤>>
光重合開始剤は、上述した通りである。
【0185】
着色組成物の調製に使用する顔料は、固体撮像素子2に対応する分光特性及び屈折率を高める観点から、芳香族環を有する化合物が好ましい。
また、着色組成物の調製に使用する顔料は、単独で使用してもよいし、色純度を上げるため、2種以上を併用してもよい。
2種以上の顔料を併用する際の好ましい比率については、前述のとおりである。
【0186】
赤色顔料は、例えば、C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、291、295、296等が挙げられる。これらの中でも、屈折率、耐光性、耐熱性、透明性に優れることから、赤色顔料としては、芳香族環を有する顔料であるC.I.Pigment Red 177、254、269が好ましい。
【0187】
黄色顔料は、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214、231、233等が挙げられる。これらの中でも、黄色顔料としては、芳香族環を有する顔料であるC.I.Pigment Yellow 138、139、150、185、231、233が好ましい。さらに、屈折率が高いことからC.I.Pigment Yellow 139、185を含むことが特に好ましい。
【0188】
緑色顔料は、例えば、C.I.Pigment Green 7、36、37、58、59、62、63等が好ましい。また、これらの緑色顔料と、黄色顔料として、例えば、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 150,C.I.Pigment Yellow 180又はC.I.Pigment Yellow 185とを併用することが好ましい。
【0189】
青色顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で使用するか、又はこれとジオキサジン系紫色顔料と併用することができる。
青色顔料は、例えば、C.I.Pigment Blue 15:6とC.I.Pigment Violet 23とを併用することが好ましい。
【0190】
顔料の含有量は、着色組成物の不揮発分中、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、60質量%以上90質量%以下であることが好ましい。顔料の含有量が上記範囲内にあれば、フィルタユニット215の屈折率がより向上する。
【0191】
フィルタユニット215を形成する着色組成物は、不揮発分中、顔料を50質量%以上95質量%以下、樹脂を3質量%以上50質量%以下含むことが好ましい。顔料の含有量は60質量%以上93質量%以下であることがより好ましく、65質量%以上90質量%以下であることがさらに好ましい。また、樹脂の含有量は、7質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。
着色組成物は、その不揮発分中、芳香族環を含有する化合物を80質量%以上含有することが好ましく、90質量%以上含有することがより好ましい。芳香族環を含有する化合物は、樹脂、顔料、色素誘導体、その他添加剤を含む。
【0192】
着色組成物を使用してドライエッチング法でフィルタユニット215を形成する場合、顔料、分散樹脂等を含む組成物が好ましい。なお、分散樹脂は、熱架橋性基を含有することが好ましい。
また、同じくフォトリソグラフィ法でフィルタユニット215を形成する場合、顔料、分散樹脂、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、重合性化合物等を含む組成物が好ましい。
【0193】
以上説明した着色組成物のうち緑色組成物は、顔料としてC.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Green 58及びC.I.Pigment Green63から選ばれるグリーン顔料と、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 231及びC.I.Pigment Yellow 185から選ばれるイエロー顔料とを含み、厚さ0.6μmのサンプルを作製したとき、波長400~500nmの極大吸収波長における吸光度が1以上であり、波長600~700nm極大吸収波長における吸光度が1以上であることが好ましい。
【0194】
カラーフィルタ215の屈折率を高める観点からは、高い屈折率を有するフィラー(例えば、二酸化チタン粒子)を着色組成物に添加する場合がある。この場合、フィラーの添加量が多いと、カラーフィルタの着色度が低下し、カラーフィルタとしての機能が損なわれる。一方、フィラーの添加量を少なくすると、カラーフィルタの屈折率を高めることができず、固体撮像素子の感度特性が劣化する。特に、固体撮像素子を薄型化(カラーフィルタを薄膜化)すると、上記不都合がより顕著となる。すなわち、フィラーを使用する場合、カラーフィルタの着色度を維持しつつ、屈折率を高めることが困難である。したがって、フィラーを添加した着色組成物を使用して作成したカラーフィルタでは、上記特性を満足することができない。
【0195】
これに対して、本発明では、高い屈折率を有する分散樹脂を使用するため、フィラーを使用する必要がないか、使用しても少量でよいので、上記不都合を防止することができる。
なお、カラーフィルタの着色度を維持し、且つ屈折率を高めることができるのであれば、本発明において、着色組成物にフィラーを添加することを排除するものではない。
【0196】
以上、分散樹脂、カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及び固体撮像素子について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、本発明の分散樹脂、カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及び固体撮像素子は、それぞれ、同様の機能が発揮される任意の構成と置換されてもよく、任意の目的の機能を発揮する構成を追加するようにしてもよい。なお、本明細書の分散樹脂は、インクジェットインキ及び樹脂成形体等の用途にも使用できる。
また、カメラモジュール100は、スマートフォン、デジタルカメラ、タブレット、パーソナルコンピュータのような電子デバイスに搭載することができる。なお、固体撮像素子2を、直接、電子デバイスに作り込むようにしてもよい。この場合、電子デバイスが本発明の電子機器に相当する。
【0197】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0198】
(1)顔料と混合して使用される分散樹脂であって、前記顔料との親和性を有する第1の部位と、前記顔料の粒子同士の凝集を阻止するように機能する第2の部位とを備え、前記分散樹脂は、その波長594nmにおける屈折率が1.54以上である、分散樹脂。
【0199】
(2)上記(1)に記載の分散樹脂において、前記分散樹脂は、芳香族環を含み、前記芳香族環の前記分散樹脂の全質量に占める割合は、25質量%以上である、分散樹脂。
【0200】
(3)上記(2)に記載の分散樹脂において、前記分散樹脂は、前記第2の部位に前記芳香族環を主として含む、分散樹脂。
【0201】
(4)上記(2)又は(3)に記載の分散樹脂において、前記分散樹脂は、前記第2の部位が前記第1の部位から分岐して延びるグラフトコポリマー、又は前記第1の部位と前記第2の部位とが端部同士で結合したブロックコポリマーである、分散樹脂。
【0202】
(5)上記(4)に記載の分散樹脂において、前記グラフトコポリマーは、前記第1の部位にカルボキシル基又はカルボキシル基残基の合計3つ以上が直接結合した芳香族環を含む、分散樹脂。
【0203】
(6)上記(4)又は(5)に記載の分散樹脂において、前記グラフトコポリマーは、前記第1の部位の構成単位がエステル結合で繋がったポリエステルである、分散樹脂。
【0204】
(7)上記(4)~(6)のいずれか1つに記載の分散樹脂において、前記グラフトコポリマーは、前記第2の部位がエチレン性不飽和結合を有する単量体の重合体部位である、分散樹脂。
【0205】
(8)上記(4)~(7)のいずれか1つに記載の分散樹脂において、前記第2の部位の前記グラフトコポリマーの全質量に占める割合は、50質量%以上である、分散樹脂。
【0206】
(9)上記(4)に記載の分散樹脂において、前記ブロックコポリマーは、前記第1の部位に3級アミノ基及び4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上を含む、分散樹脂。
【0207】
(10)上記(9)に記載の分散樹脂において、前記ブロックコポリマーは、前記第1の部位及び前記第2の部位のいずれもが、エチレン性不飽和結合を有する単量体の重合体部位である、分散樹脂。
【0208】
(11)上記(9)又は(10)に記載の分散樹脂において、前記第2の部位の前記ブロックコポリマーの全質量に占める割合は、30質量%以上である、分散樹脂。
【0209】
(12)上記(1)~(11)のいずれか1つに記載の分散樹脂において、前記分散樹脂は、その重量平均分子量が5,000以上50,000以下である、分散樹脂。
【0210】
(13)カラーフィルタ用着色組成物であって、少なくとも顔料と、上記(1)~(12)のいずれか1つに記載の分散樹脂とを含む、カラーフィルタ用着色組成物。
【0211】
(14)上記(13)に記載のカラーフィルタ用着色組成物において、さらに重合性化合物及び光重合開始剤を含む、カラーフィルタ用着色組成物。
【0212】
(15)上記(13)又は(14)に記載のカラーフィルタ用着色組成物において、当該カラーフィルタ用着色組成物である緑色組成物は、前記顔料としてC.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Green 58及びC.I.Pigment Green 63から選ばれるグリーン顔料と、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 231及びC.I.Pigment Yellow 185から選ばれるイエロー顔料とを含み、厚さ0.6μmのサンプルを作製したとき、波長400~500nmの極大吸収波長における吸光度が1以上であり、波長600~700nm極大吸収波長における吸光度が1以上である、カラーフィルタ用着色組成物。
【0213】
(16)カラーフィルタであって、少なくとも隔壁で区画された空間に充填され、上記(13)~(15)のいずれか1つに記載のカラーフィルタ用着色組成物で構成された複数のフィルタユニットを備える、カラーフィルタ。
【0214】
(17)固体撮像素子であって、上記(16)に記載のカラーフィルタと、前記カラーフィルタを通過した光を受光する複数のフォトダイオードとを備える、固体撮像素子。
もちろん、この限りではない。
【0215】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【実施例0216】
以下に、実施例により本発明を説明する。ただし、本発明は実施例に限定されない。なお、実施例中の「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。
【0217】
まず、顔料の平均一次粒子径、分散粒子径、分散樹脂の重量平均分子量(Mw)、分散樹脂の酸価、及び分散樹脂の不揮発分の測定方法を説明する。
【0218】
1.測定方法
(顔料の平均一次粒子径)
顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真から一次粒子の大きさを直接計測する一般的な方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
【0219】
(分散粒子径)
動的光散乱法(FFTパワースペクトル法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モード、粒子形状を非球形とし、D50を5nm刻みに数値を丸めて平均径とした。測定用の希釈溶剤は分散体に使用した溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定した。
【0220】
(分散樹脂の重量平均分子量(Mw))
分散樹脂の重合平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0221】
(分散樹脂の酸価)
分散樹脂の溶液0.5g以上1g以下に、アセトン80mL及び水10mLを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、分散樹脂溶液の酸価を測定した。そして、分散樹脂溶液の酸価と分散樹脂溶液の不揮発分濃度から、分散樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0222】
乾燥状態の分散樹脂の値として、酸価(mgKOH/g)を次式により求めた。
酸価(mgKOH/g)={(5.611×α×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
ただし、S:試料の採取量(g)
α:0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液の消費量(mL)
F:0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液の力価
【0223】
(分散樹脂の不揮発分)
分散樹脂の不揮発分を求める条件は、試料の質量を約1g、乾燥条件を200℃、乾燥時間を10分とした。
【0224】
2.分散樹脂の溶液の製造
2-1.グラフトコポリマーの製造
(実施例1:分散樹脂X1の溶液の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ベンジルメタクリレート75.0部、ベンジルアクリレート20.0部、メタクリル酸5.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)25.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6.0部を添加した。
反応容器内を90℃に昇温し、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc45.7部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
【0225】
次に、ピロメリット酸二無水物9.7部、PGMAc31.5部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.2部を追加し、120℃で5時間反応した、サンプリングして酸価を測定し、酸無水物の96%が反応したことを確認した。
次いで、3-メトキシブタノール9.0gを添加し、120℃で3時間反応した。サンプリングして酸価を測定し酸無水物の98%以上が反応していることを確認して反応を終了した。室温まで冷却後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して調製し、酸価98.5mgKOH/g、重量平均分子量8500の分散樹脂X1の溶液を得た。
【0226】
(実施例2~9、比較例1~2:分散樹脂X2~X9、比較分散樹脂Y1~Y2の溶液の製造)
表1に記載した原料及び配合量とした以外は、分散樹脂X1の溶液と同様にして、それぞれ分散樹脂X2~X9、比較分散樹脂Y1~Y2の溶液を得た。なお、表中の配合量は、部である。
【0227】
(実施例10:分散樹脂X10溶液の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ベンジルメタクリレート95部、メタクリル酸5部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、トリメリット酸無水物19.2部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。
PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価90、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する分散樹脂X10溶液を得た。
【0228】
(実施例11:分散樹脂X11溶液の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ベンジルメタクリレート95部、メタクリル酸5部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール2部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、ピロメリット酸無水物3.2部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。
PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価47、重量平均分子量18000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する分散樹脂X11溶液を得た。
【0229】
(実施例12:分散樹脂X12溶液の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ベンジルメタクリレート100部、PGMAc25.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を50℃に加熱し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6.0部を添加した。90℃に昇温し、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc45.7部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業社製)を14.5部、PGMAc38.0部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.2部を追加し、120℃で5時間反応させた。その後、3-メトキシブタノール12.1gを追加し、120℃で3時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。
反応終了後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して調製し、酸価95mgKOH/g、重量平均分子量9500の分散樹脂X12溶液の溶液を得た。
【0230】
(実施例13:分散樹脂X13溶液の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、大阪有機化学工業社製OXE-30((3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート)10部、メタクリル酸5部、t-ブチルメタクリレート20部、ベンジルメタクリレート65部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。
PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価75mgKOH/g、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する分散樹脂X13溶液を得た。
【0231】
【0232】
【0233】
表中の略語は以下の通りである。
BzMA :ベンジルメタクリレート
BzA :ベンジルアクリレート
MMA :メチルメタクリレート
EA :エチルアクリレート
MAA :メタクリル酸
t-BA :tert-ブチルアクリレート
2MTA :2-メトキシエチルアクリレート
4ClSt:4-クロロスチレン
MPD :3-メルカプト-1,2-プロパンジオール
RUVA93:重合性紫外線吸収剤(大塚化学社製)
【0234】
AIBN :2,2'-アゾビスイソブチロニトリル
PGMAc:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PMA :ピロメリット酸二無水物
TMA :トリメリット酸無水物
DBU :1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン
3MB :3-メトキシブタノール
PGME :プロピレングリコールモノメチルエーテル
DAA :ジアセトンアルコール
HPMA :ヒドロキシプロピルメタクリレート
MOI :2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)
【0235】
(実施例14:分散樹脂X14溶液の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1-チオグリセロール6部、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc(メトキシプロピルアセテート)36.9部、DBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。
次に、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート20部、ベンジルメタクリレート75部、メタクリル酸5部、PGMAc66.3部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.12部を添加し、12時間反応した(第二工程)。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
最後に、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)21.6部、ヒドロキノン0.1部を仕込み、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。
ピーク消失の確認後、反応溶液を冷却して、PGMAcで不揮発分調整することにより不揮発分40%の分散樹脂X13溶液を得た。得られた分散剤の酸価は68、不飽和二重結合当量は1593、重量平均分子量は10000であった。なお、分散樹脂X14は、メタアクリロイル基を有するため、熱硬化性、光硬化性を有する。
【0236】
(実施例15:分散樹脂X15溶液の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部、PMA14.5部、PGMAc70.8部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、5時間反応させた。その後、3-メトキシブタノール12.1gを追加し、120℃で3時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、ベンジルメタクリレート100部を仕込み、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解したPGMAc38.0部を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して調製し、酸価93mgKOH/g、重量平均分子量10800の分散樹脂X15溶液を得た。
【0237】
(実施例16:分散樹脂X16溶液の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部、PMA12部、トリメリット酸無水物11部、PGMAc35部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、ベンジルメタクリレート160部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート20部を仕込み、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解したPGMAc溶液200部を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。
PGMAcを加えて不揮発分40%に調整し、酸価53、重量平均分子量10000の分散樹脂X16溶液を得た。
【0238】
(実施例17:分散樹脂X17溶液の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部、PMA15部、ネオペンチルグリコール11部、トリメリット酸無水物14部、PGMAc52部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、ベンジルメタクリレート180部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート20部を仕込み、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解したPGMAc溶液200部を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。
PGMAcを加えて不揮発分40%に調整し、酸価63、重量平均分子量9000の分散樹脂X17溶液を得た。
【0239】
【0240】
2-2.ブロックコポリマーの製造
(実施例18:分散樹脂X18溶液の調製)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、ベンジルメタクリレート80部、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸メチル1.0部、PGMAc80部を仕込み、窒素を流しながら70℃まで加熱撹拌した。ここに2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル0.11部を仕込み第1ブロックの重合を開始した。
重合開始から6時間後、及び8時間にそれぞれ2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル0.01部を仕込んだ後、さらに1時間後に重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行った。不揮発分から換算して重合転化率が95%以上であることを確認し、第1ブロックの重合を完了した。
【0241】
次に、この反応槽に、ジメチルアミノエチルメタクリレート20部、PGMAc23部を仕込み、70℃窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル0.09部を仕込みAブロックの重合を開始した。重合開始から2時間後、及び3時間にそれぞれ2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル0.01部を仕込んだ後、さらに1時間後に重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行った。不揮発分から換算して重合転化率が95%以上であることを確認し、第2ブロックの重合を完了した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が71.4mgKOH/g、重量平均分子量20,000、不揮発分が40質量%の分散樹脂X18溶液を得た。
【0242】
(実施例19:分散樹脂X19溶液の調整)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、ベンジルメタクリレート80部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。
次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第1ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
【0243】
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第2ブロックのモノマーとしてメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液25.0部(三洋化成社製「DMC-80」、不揮発分80%)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第2の部位の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりの4級アンモニウム塩価が29.4mgKOH/g、重量平均分子量9800(Mw)の分散樹脂X19溶液を得た。
【0244】
(実施例20:分散樹脂X20溶液の調整)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、ベンジルメタクリレート60部、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸メチル1.0部、PGMAc80部を仕込み、窒素を流しながら70℃まで加熱撹拌した。ここに2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル0.11部を仕込み第1ブロックの重合を開始した。
重合開始から6時間後、及び8時間にそれぞれ2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル0.01部を仕込んだ後、さらに1時間後に重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行った。不揮発分から換算して重合転化率が95%以上であることを確認し、第1ブロックの重合を完了した。
【0245】
次に、この反応槽に、ジメチルアミノエチルメタクリレート40部、PGMAc23部を仕込み、70℃窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル0.09部を仕込み第2ブロックの重合を開始した。
重合開始から2時間後、及び3時間にそれぞれ2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル0.01部を仕込んだ後、さらに1時間後に重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行った。不揮発分から換算して重合転化率が95%以上であることを確認し、第2ブロックの重合を完了した。
このようにして不揮発分当たりのアミン価が145.0mgKOH/g、重量平均分子量24,000のブロックコポリマーの前駆体溶液を得た。
【0246】
さらに、この反応装置にベンジルクロライド2.0部を投入し、70℃・窒素雰囲気下を保持したまま3時間撹拌し顔料親和性部位を形成した。その後冷却した。最後に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。
このようにして、不揮発分当たりのアミン価が120mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が18.0mgKOH/g、不揮発分が40重量%の分散樹脂X20溶液得た。
【0247】
【0248】
表中の略語は以下の通りである。
DM :ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMCMA :メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド
BzCl :ベンジルクロライド
【0249】
(分散樹脂の屈折率)
得られた分散樹脂を透明基板の100μm厚の易接着処理ポリエステルフィルム(東洋紡社製「コスモシャインA4100」)上に乾燥厚さが2.0μmになるようにNo.20のバーコーターで塗工し、次いで100℃10分間乾燥することで試験用フィルムを作製した。
得られた試験用フィルムに対し、メトリコン社製「プリズムカプラモデル2010」を用いて、594nmにおける屈折率を求め、以下の基準で評価した。
【0250】
〇:1.55以上
△:1.53以上1.55未満
×:1.53未満
【0251】
【0252】
3.バインダ樹脂溶液の調製
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブル4口フラスコ(反応容器)に、PGMAc70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した。
その後、滴下管よりn-ブチルメタクリレート13.3部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製、「アロニックスM110」)7.4部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下しながら重合を行った。
滴下終了後、さらに3時間反応を継続し反応を終了した。室温まで冷却した後、溶液約2gをサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定した。その後、不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂であるバインダ樹脂溶液を調製した。なお、前記樹脂の重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
【0253】
4.顔料分散体の製造
(原料の準備)
((顔料))
・PR254(C.I.Pigment Red 254):BASFジャパン社製「イルガフォアレッドB-CF」
・PB15:6(C.I.Pigment Blue 15:6):トーヨーカラー社製「LIONOL BLUE ESP-S」
・PG36(C.I.Pigment Green 36):CLARIANT社製「Green8G」
・PG58(C.I.Pigment Green 58):DIC社製「FASTOGEN GREEN A110」
【0254】
・PY138(C.I.Pigment Yellow 138):(BASF社製「Paliotol Yellow K 0961HD」)
・PY150(C.I.Pigment Yellow 150(CLARIANT社製「Hostaperm Yellow HN4G」)
・PY185(C.I.Pigment Yellow 185(BASF社製「Paliotol Yellow D 1155」)
・PY139(C.I.Pigment Yellow 139(BASF社製「Paliotol Yellow L 2146HD」)
【0255】
【0256】
【0257】
【0258】
(顔料分散体1の製造)
PR254:11.7部、塩基性誘導体1:1.3部、分散樹脂X1の溶液:17.5部、PGMAc:78.25部を均一になるように攪拌混合した。
次いで、得られた混合物を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製、「ミニモデルM-250MKII」)で3時間分散した。
その後、得られた分散体を、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発分が20質量%の顔料分散体1を得た。
【0259】
(顔料分散体2~26の製造)
表6に記載した原料及び仕込み量とした以外は、顔料分散体1と同様に行い、顔料分散体2~26を得た。
【0260】
【0261】
5.感光性着色組成物の製造
(原料の準備)
(重合性化合物)
ジペンターエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(東亞合成化学社製、「アロニックスM-402」)
(光重合開始剤)
エタン-1-オン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル],1-(O-アセチルオキシム)(BASFジャパン社製、「イルガキュアOXE02」)
(増感剤)
4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製、「EAB-F」)
【0262】
(実施例21)
まず、顔料分散体1:60.0部、重合性化合物:1.0部、光重合開始剤:0.25部、増感剤:0.05部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc):38.7部を均一になるように撹拌混合した。
その後、得られた混合物を、孔径1μmのフィルタで濾過して、着色組成物1を得た。
【0263】
(実施例22~47)
実施例21の配合を表7に記載された材料及び配合量に変えた以外は、実施例21と同様に行い実施例22~47をそれぞれ得た。
【0264】
【0265】
6.分散樹脂及び着色組成物の評価
各試験を下記の方法で行った。
【0266】
<ろ過性>
得られた着色組成物60gを、1.5μmディスクフィルタ(トムシック社製、「Titan3PTFEFILTER」)にて、0.05MPasの圧力を一定時間かけ、その間にディスクフィルタを通過した液量を評価した。液量が多いほど、ろ過性が優れているといえる。
【0267】
そして、以下の評価基準に従って、ろ過性を評価した。
○:フィルタを通過した液量が45g以上(良好)
△:フィルタを通過した液量が30g以上45g未満(実用可能)
×:フィルタを通過した液量が30g未満(不良)
【0268】
<粘度安定性>
得られた着色組成物を下記の方法で粘度安定性を評価した。着色組成物を調製した翌日の初期粘度と、40℃で1週間経時促進させた経時粘度を、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。
これらの初期粘度及び経時粘度の値から、下記式で経時粘度変化率を算出した。得られた結果を以下の基準で評価した。
[経時粘度変化率]=|([初期粘度]-[経時粘度])/[初期粘度]|×100
[評価基準]
○:変化率5%未満(良好)
△:変化率5%以上10%未満(実用可能)
×:変化率10%以上(不良)
【0269】
<異物評価>
得られた着色組成物をスピンコート法により、予めブラックマトリックスが形成されているガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で20分間乾燥させた。
次いで、この基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外光を露光した。その後、この基板を23℃の0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間スプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥した。さらに、クリーンオーブン中で、230℃で30分間加熱処理を行い、基板上にストライプ状の着色画素層を形成した。作製した着色画素層を230℃で30分間の熱処理を行い厚さ2.0μmの試験用基板を得た。
得られた試験用基板を用いて、着色画素の異物の数を計測した。評価は、オリンパスシステム社製金属顕微鏡「BX60」)を用いて表面観察を行った。倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な異物の数を計測した。
【0270】
そして、以下の評価基準に従って、異物評価を行った。
[評価基準]
◎:異物の数が3個未満(極めて良好)
○:異物の数が3個以上、20個未満(良好)
△:異物の数が21個以上、100個未満(実用可能)
×:異物の数が100個以上(不良)
【0271】
<屈折率>
上記異物評価で作製した試験用基板を使用して、メトリコン社製「プリズムカプラモデル2010」を用いて屈折率を評価した。
【0272】
<再溶解性>
得られた着色組成物をスピンコート法によりガラス基板に塗工し、100℃3分間プレベークし厚さ2.0μmの試験用基板を得た。得られた試験用基板をPGMAcに5分間浸漬させた。
そして、以下の評価基準に従って、目視で溶解状態を観察し以下の基準で溶解性を評価した。
○:溶解(良好)
×:剥離(不良)
【0273】
【0274】
表5の結果から実施例の分散樹脂は、良好な屈折率である一方、比較例の比較分散樹脂は、屈折率が低かった。
表8の結果から実施例の着色組成物は、ろ過性、保存安定性、異物評価、再溶解性、及び屈折率が良好であった。
一方、比較例の着色組成物は、屈折率が劣る結果であった。