(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006511
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 4/02 20220101AFI20250109BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20250109BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20250109BHJP
F24H 15/174 20220101ALI20250109BHJP
F24H 15/281 20220101ALI20250109BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20250109BHJP
F24H 15/32 20220101ALI20250109BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20250109BHJP
F24H 15/196 20220101ALI20250109BHJP
【FI】
F24H4/02 F
F24H4/02 U
F24H1/18 G
F24H1/14 B
F24H15/174
F24H15/281
F24H15/269
F24H15/32
F24H1/00 A
F24H15/196 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107348
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】花井 悠哉
(72)【発明者】
【氏名】坂井 康弘
(72)【発明者】
【氏名】横山 武司
【テーマコード(参考)】
3L024
3L034
3L122
【Fターム(参考)】
3L024DD06
3L024HH18
3L034BA22
3L034BB03
3L122AA04
3L122AA23
3L122AA54
3L122AB22
3L122AB52
3L122BA44
3L122BB02
3L122DA15
3L122FA02
3L122GA05
(57)【要約】
【課題】たとえタンクを小型化したとしても、給湯に係る燃料ガスの消費量を抑えることができ、ひいては給湯器での燃焼に伴う二酸化炭素の排出量を削減することができるとともに、タンク内の湯水を効率良く利用することができる給湯システムを提供する。
【解決手段】使用箇所として浴槽41及び浴室を含むとともに、浴室で湯が使用される浴室使用時間帯における使用箇所への湯の供給であるか否かを、コントローラ4において判別するようにしており、コントローラ4は、浴室使用時間帯における湯の供給であると判別すると、タンク1内に貯留されている湯水を使用せず、水道水を給湯器3で加熱して湯とした後に使用箇所へ供給するようにした。また、リモコン5で足し湯ボタン54が操作された場合には、浴室使用時間帯であったとしてもタンク1内の湯水を浴槽41へ足し湯するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯留するタンクと、前記タンク内の湯水を加熱するヒートポンプと、供給された湯水を燃料ガスの燃焼熱により加熱する給湯器と、前記タンク内の湯水を所定の使用箇所側へ供給する第1供給路、及び前記タンクを介さずに水道水を前記給湯器で加熱した後に前記使用箇所側へ供給する第2供給路を含む前記使用箇所への湯水の供給に係る複数の供給路と、前記給湯器の動作及び前記供給路の選択を制御する制御手段とを備えた給湯システムであって、
前記使用箇所として浴室及び浴槽が含まれているとともに、前記浴室で湯が使用される浴室使用時間帯における前記使用箇所への湯の供給であるか否かを判別する時間帯判別手段と、前記制御手段に指令する指令手段とを備えており、
前記制御手段は、前記浴室使用時間帯における湯の供給であると判別すると、前記タンク内に貯留されている湯水を使用せず、前記第2供給路を介して前記使用箇所に湯を供給する一方、
前記指令手段により前記浴槽への足し湯が指令されると、前記浴室使用時間帯であっても前記第1供給路を介して前記浴槽へ足し湯することを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
湯水を貯留するタンクと、前記タンク内の湯水を加熱するヒートポンプと、供給された湯水を燃料ガスの燃焼熱により加熱する給湯器と、前記タンク内の湯水を所定の使用箇所側へ供給する第1供給路、及び前記タンクを介さずに水道水を前記給湯器で加熱した後に前記使用箇所側へ供給する第2供給路を含む前記使用箇所への湯水の供給に係る複数の供給路と、前記給湯器の動作及び前記供給路の選択を制御する制御手段とを備えた給湯システムであって、
前記使用箇所として浴室及び浴槽が含まれているとともに、前記浴室で湯が使用される浴室使用時間帯における前記使用箇所への湯の供給であるか否かを判別する時間帯判別手段と、前記制御手段に指令する指令手段とを備えており、
前記制御手段は、前記浴室使用時間帯における湯の供給であると判別すると、前記タンク内に貯留されている湯水を使用せず、前記第2供給路を介して前記使用箇所に湯を供給する一方、
前記指令手段により前記浴槽への足し湯が指令され、且つ、所定条件が充足されると、前記浴室使用時間帯であっても前記第1供給路を介して前記浴槽へ足し湯することを特徴とする給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナを備えて通水を加熱可能な給湯器と、ヒートポンプを備えて加熱された湯水を貯留するタンクとが併設されてなるハイブリッド式の給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプと、ヒートポンプで加熱された湯水を貯留するタンクとを備え、タンク内の湯を台所や浴室等に供給するヒートポンプ式の給湯システムが実用に供されている。ただ、従来のヒートポンプ式の給湯システムでは、浴槽への湯張り時に必要とされる多量の湯水を貯留可能とするために、タンクを非常に大型化しなければならないという問題があった。そこで、たとえば特許文献1に記載されているように、湯水が貯留されるタンクの下流側の供給路に、給湯器であるバーナ加熱装置を設置したハイブリッド式の給湯システムが考案されている。この特許文献1に記載のハイブリッド式の給湯システムでは、湯張りの際にタンク内の湯量が少ないと、ヒートポンプによる加熱に加えてバーナ加熱装置を作動させることで湯量の不足分を補うようになっており、結果としてタンクの小型化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の給湯システムでは、湯水が貯留されるタンクの小型化を図ることができる。しかしながら、タンクを小型化すると、湯張りやシャワーの使用等で特に湯の使用量が多い浴室での給湯動作時に、タンク内の湯量が足りない状況が起こりやすい。そして、タンク内の湯が足りなくなると、上述したように給湯器を作動させることで湯量の不足分を補うことになる。しかしながら、給湯に係る設定温度まで水道水を加熱するとなると、燃料ガスの消費量が増え、ひいては給湯器での燃焼に伴う二酸化炭素の排出量が多くなってしまう。したがって、浴室での給湯に際して、まずタンク内に貯留されている湯を給湯し、その湯が足りなくなると水道水を加熱して給湯するという構成では、二酸化炭素の排出量の削減という点で課題がある。特に、タンク内の湯量が足りなくなりやすい小型のタンクを採用したものにおいては、当該問題はより顕著なものとなる。一方で、浴室での給湯動作ではあるものの、所謂足し湯に関してはタンク内の湯で足りると考えられるため、タンク内の湯水を効率良く利用したいという課題もある。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、たとえタンクを小型化したとしても、給湯に係る燃料ガスの消費量を抑えることができ、ひいては給湯器での燃焼に伴う二酸化炭素の排出量を削減することができるとともに、タンク内の湯水を効率良く利用することができる給湯システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、湯水を貯留するタンクと、タンク内の湯水を加熱するヒートポンプと、供給された湯水を燃料ガスの燃焼熱により加熱する給湯器と、タンク内の湯水を所定の使用箇所側へ供給する第1供給路、及びタンクを介さずに水道水を給湯器で加熱した後に使用箇所側へ供給する第2供給路を含む使用箇所への湯水の供給に係る複数の供給路と、給湯器の動作及び供給路の選択を制御する制御手段とを備えた給湯システムであって、使用箇所として浴室及び浴槽が含まれているとともに、浴室で湯が使用される浴室使用時間帯における使用箇所への湯の供給であるか否かを判別する時間帯判別手段と、制御手段に指令する指令手段とを備えており、制御手段は、浴室使用時間帯における湯の供給であると判別すると、タンク内に貯留されている湯水を使用せず、第2供給路を介して使用箇所に湯を供給する一方、指令手段により浴槽への足し湯が指令されると、浴室使用時間帯であっても第1供給路を介して浴槽へ足し湯することを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項2に記載の発明は、湯水を貯留するタンクと、タンク内の湯水を加熱するヒートポンプと、供給された湯水を燃料ガスの燃焼熱により加熱する給湯器と、タンク内の湯水を所定の使用箇所側へ供給する第1供給路、及びタンクを介さずに水道水を給湯器で加熱した後に使用箇所側へ供給する第2供給路を含む使用箇所への湯水の供給に係る複数の供給路と、給湯器の動作及び供給路の選択を制御する制御手段とを備えた給湯システムであって、使用箇所として浴室及び浴槽が含まれているとともに、浴室で湯が使用される浴室使用時間帯における使用箇所への湯の供給であるか否かを判別する時間帯判別手段と、制御手段に指令する指令手段とを備えており、制御手段は、浴室使用時間帯における湯の供給であると判別すると、タンク内に貯留されている湯水を使用せず、第2供給路を介して使用箇所に湯を供給する一方、指令手段により浴槽への足し湯が指令され、且つ、所定条件が充足されると、浴室使用時間帯であっても第1供給路を介して浴槽へ足し湯することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用箇所として浴槽及び浴室が含まれているとともに、浴室で湯が使用される浴室使用時間帯における使用箇所への湯の供給であるか否かを判別する時間帯判別手段が設けられており、制御手段は、浴室使用時間帯における湯の供給であると判別すると、タンク内に貯留されている湯水を使用せず、第2供給路を介して使用箇所に湯を供給する。したがって、湯の使用量が多い浴室使用時間帯における給湯時には、基本的にタンク内の湯を使用しないため、タンク内の湯が少量となったり、タンク内の湯水の温度が低くなったりする所謂湯切れが起こりにくく、極めて効率良くタンク内の湯水を利用することができる。また、タンク内の湯水を利用中に湯切れが生じて給湯器での加熱を利用した給湯へと切り替えるとなると、この切り替え時には一時的に湯温が大きく変化することになるが、そのような事態が起こりにくいため、ユーザーに不快感を抱かせにくい給湯システムとすることができる。
さらに、制御手段に指令する指令手段を備えており、制御手段は、指令手段により浴槽への足し湯が指令される(請求項1)、若しくは指令手段により浴槽への足し湯が指令され、且つ、所定条件が充足される(請求項2)と、浴室使用時間帯であっても第1供給路を介して浴槽へ足し湯する。すなわち、湯張り等と比べると湯の使用量の少ない足し湯については、タンク内の湯水を利用するため、タンク内の湯水を効率良く利用することができる給湯システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】代表的と考えられる4人世帯における給湯等の開始時間、出湯量等を表した表である。
【
図3】コントローラによる給湯運転に係る制御を示したフローチャートである。
【
図4】コントローラによる湯張り運転に係る制御を示したフローチャートである。
【
図5】コントローラによる足し湯運転に係る制御を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態である給湯システムについて、図面にもとづき詳細に説明する。
図1は、給湯システムSの概略を示した説明図である。
給湯システムSは、湯水を貯留するタンク1と、タンク1内の湯水を加熱するヒートポンプ2と、供給された湯水を燃料ガスの燃焼により加熱する給湯器3と、コントローラ4と、リモコン5とを備えてなる。タンク1の容量は、一般的な浴槽41よりも十分に容量の少ない20Lとなっている。また、該タンク1には、外部の水道管に接続された給水管6が接続されている。ヒートポンプ2は、蒸発器、圧縮器、及び熱交換器等を備え、熱媒体と通水との熱交換で通水を加熱する公知の装置で、出力は2.0kWとなっている。
【0010】
また、タンク1の上部とヒートポンプ2の出口との間にはタンク往き管7が、タンク1の下部とヒートポンプ2の入り口との間にはタンク戻り管8が夫々接続されている。そして、タンク往き管7とタンク戻り管8とにより、タンク1とヒートポンプ2との間を湯水が循環する循環路9が形成されている。また、タンク戻り管8には、湯水を循環させるためのポンプ10と、タンク戻り管8内の湯水の温度を検出するための戻り温度サーミスタ11とが設けられている。さらに、タンク1の上部には、後述する給湯器3の給湯熱交換器23に接続される中継管12が接続されている。中継管12には、中継管12内を流れる湯水の温度を検出するための中継温度サーミスタ13と、中継管12内を流れる湯水の流量を検出するための中継流量センサ14とが設けられている。また、中継管12における給湯器3よりも上流側となる箇所と給水管6との間には、タンク1をバイパスして給水管6内の水を給湯器3側に直接給水するための直接給水管15が接続されている。さらに、中継管12と直接給水管15との接続部には、タンク1内の湯水を給湯熱交換器23側へ供給するか、それとも直接給水管15から水道水を給湯熱交換器23側へ供給するかで切り替え可能な切替電磁弁16が設けられている。なお、切替電磁弁16は、通常、タンク1内の湯水が給湯熱交換器23側へ供給されるような切替状態となっている。
【0011】
そして、リモコン5が操作されてヒートポンプ2による保温運転が指示されると、コントローラ4は、ヒートポンプ2及びポンプ10を稼働させる。すると、タンク1内の湯水が循環路9を循環し、ヒートポンプ2を通過する際に加熱される。タンク1内の湯水は、ヒートポンプ2において一旦高温(たとえば75℃)まで加熱された後、戻り温度サーミスタ11の検出温度にもとづいてヒートポンプ2がON/OFF制御されることにより、所定の保温温度(たとえば65℃)に維持される。
【0012】
一方、給湯器3は、給湯加熱部20と風呂加熱部21とを備えている。給湯加熱部20は、給湯バーナ22と給湯熱交換器23とを有しており、給湯熱交換器23の入口に、上記中継管12が接続されている。また、給湯熱交換器23の出口には、出湯管26が接続されており、出湯管26には、出湯温度を検出するための出湯温度サーミスタ27と、出湯管26内を流れる湯の流量を検出するための出湯流量センサ32とが設けられている。また、出湯管26には、たとえば洗面所、台所、浴室等に夫々配される複数の給湯栓29が設けられた外部配管28が接続されている。さらに、直接給水管15における切替電磁弁16よりも上流側となる箇所と出湯管26との間には、出湯管26内に水道水を供給して出湯温度を調整するためのミキシング管30が接続されている。そして、直接給水管15とミキシング管30との接続部には、直接給水管15からミキシング管30に流れる水量を制御可能な水量制御弁31が設けられている。
【0013】
風呂加熱部21は、風呂バーナ24と風呂熱交換器25とを有している。風呂熱交換器25の入口と外部の浴槽41との間には、風呂戻り管42が接続されている。風呂戻り管42には、循環ポンプ43と風呂温度サーミスタ44とが設けられている。風呂熱交換器25の出口と浴槽41との間には、風呂往き管45が接続されている。そして、風呂戻り管42と風呂往き管45とによって、風呂熱交換器25と浴槽41との間を湯水が循環する追い焚き循環路46が形成されている。また、風呂戻り管42と出湯管26との間には、落とし込み管47が接続されている。落とし込み管47には、落とし込み電磁弁48と落とし込み流量センサ49とが設けられている。
【0014】
さらに、給湯バーナ22及び風呂バーナ24への燃料ガスの供給を行うガス管34は、給湯加熱部20側の給湯分岐管35と、風呂加熱部21側の風呂分岐管36とに分岐している。給湯分岐管35が給湯バーナ22へ燃料ガスを供給し、風呂分岐管36が風呂バーナ24へ燃料ガスを供給する。給湯分岐管35に給湯ガス切替弁37が設けられ、風呂分岐管36に風呂ガス切替弁38が設けられている。また、分岐前のガス管34には、上流側から元電磁弁39、比例制御弁40が設けられている。
【0015】
リモコン5は、ユーザーにより適宜操作されるもので、たとえば湯温等を設定するための設定ボタン51、浴槽41への湯張りを指令するための湯張りボタン52、浴槽41内の湯水の追い焚きを指令するための追い焚きボタン53、及び浴槽41内への足し湯を指令するための足し湯ボタン54が設けられている。コントローラ4は、CPU、記憶手段、及びタイマ等を含んで構成され、各サーミスタ及び各センサ、各弁と電気的に接続されている。該コントローラ4は、リモコン5からの運転指令やリモコン5で設定された設定温度、各サーミスタ及び各センサから得られる情報等にもとづいて、記憶手段の一部である非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されているプログラムに従い、タンク1内の湯水の保温運転、給湯栓29から湯を出湯する給湯運転、浴槽41に湯張りする湯張り運転、浴槽41内の湯水を追い焚きする追い焚き運転、及び浴槽41内に湯を足し湯する足し湯運転等を実行する。
【0016】
ここで、上記コントローラ4による各種運転に係る制御を説明する前に、
図2にもとづいて、JIS2075に開示された湯の使用実態、すなわち代表的と考えられる4人世帯において、40℃の湯が一日でどう使用されるかの標準モデルについて説明する。
図2は、代表的と考えられる4人世帯における給湯等の開始時間、出湯量等を表した表である。
【0017】
JIS2075は、家庭用ガス・石油温水機器のモード効率測定法に関する規定であり、一般家庭における湯の使用形態を反映した標準使用モードを用いて温水機器の効率を測定する方法である。したがって、JIS2075に開示された湯の使用形態を、代表的と考えられる4人世帯において、40℃の湯が一日でどう使用されるかの標準モデルとして使用することができる。そこで、コントローラ4には、19時00分から24時00分までの時間帯が浴室使用時間帯として予め設定されている。
【0018】
そして、そのような浴室使用時間帯が設定されているコントローラ4による給湯運転、湯張り運転、及び足し湯運転について、
図3~
図5に示すフローチャートに沿って説明する。
図3は、コントローラ4による給湯運転に係る制御を示したフローチャートである。
図4は、コントローラ4による湯張り運転に係る制御を示したフローチャートである。
図5は、コントローラ4による足し湯運転に係る制御を示したフローチャートである。
【0019】
まず給湯運転について説明する。コントローラ4は、給湯栓29が開栓されて中継流量センサ14による通水を検出する(S1)と、現時刻が学習した上記浴室使用時間帯であるか否かを判別する(S2)。そして、現時刻が浴室使用時間帯でない(S2でNOと判別する)と、循環路9における湯水の温度、すなわち戻り温度サーミスタ11の検出温度が所定の保温温度以上であるか否かを判別する(S3)。そして、保温温度以上である(S3でYESと判別する)と、タンク1内の湯水が給湯熱交換器23側へ供給されるように切替電磁弁16の切替状態を保持したまま、給湯バーナ22への点火は行わずに、給湯熱交換器23を通してタンク1内の湯水を出湯管26へ流す。すなわち給湯熱交換器23で湯水を加熱することなく、タンク1内の湯水をそのまま出湯管26に流す(S6)。また、出湯管26に流されるタンク1内の湯の温度は、上述したように保温温度以上と比較的高温であるため、リモコン5で設定される設定温度よりも高い場合が多いと考えられる。そこで、出湯温度サーミスタ27で検出される湯の温度がリモコン5で設定される設定温度よりも高いと、水量制御弁31を所定開度に制御して、直接給水管15から水道水をミキシング管30へ流し、出湯管26内の湯に混合させて設定温度に調整する。このようにタンク1内の湯を給湯器3で加熱せずに出湯するとした給湯制御をタンク使用モードと称す。その後、給湯栓29が閉栓されて出湯流量センサ32による通水の停止を検出した(S7)ことをもって、タンク使用モードでの給湯運転を終了する。
【0020】
また、戻り温度サーミスタ11の検出温度が保温温度未満である(S3でNOと判別する)と、切替電磁弁16を制御して、タンク1内の湯水の給湯熱交換器23側への供給が停止され、代わりに直接給水管15から水道水が給湯熱交換器23側へ供給されるように切り替える。すなわち、タンク1内の湯水の使用を停止する(S4)。また、ガス管34の元電磁弁39、給湯ガス切替弁37を開弁させるとともに、比例制御弁40を所定開度で開弁させて、給湯バーナ22へ燃料ガスを供給する。さらに、イグナイタを作動させて給湯バーナ22に点火する。すると、水道水が、給水管6から直接給水管15を介して中継管12、そして給湯熱交換器23を通ることになり、給湯熱交換器23を通る際に燃焼排気との熱交換で加熱された後に出湯管26に流れる(S5)。このとき、出湯管26に流される給湯熱交換器23で加熱後の湯の温度は、リモコン5で設定される設定温度よりも高くなる。そこで、出湯温度サーミスタ27でそのように高温な湯の温度を検出すると、水量制御弁31を所定開度に制御して、直接給水管15から水道水をミキシング管30へ流し、出湯管26内の湯に混合させて設定温度に調整する。このように水道水を給湯器3で加熱してから出湯するとした給湯制御を給湯使用モードと称す。その後、給湯栓29が閉栓されて出湯流量センサ32による通水の停止を検出する(S7)と、給湯バーナ22の燃焼を停止させるとともに、切替電磁弁16を制御して当初の状態、すなわちタンク1内の湯水が給湯熱交換器23側へ供給される状態とし、給湯使用モードでの給湯運転を終了する。
【0021】
一方、中継管12内の通水確認後における判別の結果、現時刻が浴室使用時間帯である(S2でYESと判別する)と、上記給湯使用モードでの給湯運転を実行する。すなわち、切替電磁弁16を制御して、タンク1内の湯水の使用を停止して水道水を給湯熱交換器23へ供給する(S4)。また、給湯バーナ22に点火し、給湯熱交換器23で水道水を加熱した後に出湯管26へ流し(S5)、ミキシング管30を介して供給される水道水と混合して温度調整した後、給湯栓29から出湯させる。その後、給湯栓29が閉栓されて出湯流量センサ32による通水の停止を検出する(S7)と、給湯バーナ22の燃焼を停止させるとともに、切替電磁弁16を制御して当初の状態、すなわちタンク1内の湯水が給湯熱交換器23側へ供給される状態とし、給湯使用モードでの給湯運転を終了する。
【0022】
次に湯張り運転について説明する。コントローラ4は、ユーザーによる湯張りボタン52の操作を検出する(S11)と、上記給湯使用モードでの運転を実行する。すなわち、切替電磁弁16を制御して、タンク1内の湯水の使用を停止して水道水を給湯熱交換器23へ供給する(S12)。また、給湯バーナ22に点火し、給湯熱交換器23で水道水を加熱した後に出湯管26へ流し(S13)、上記同様にミキシング管30を介して供給される水道水と混合して温度調整する。さらに、コントローラ4は、落とし込み管47の落とし込み電磁弁48を開弁させて浴槽41への落とし込みを開始する。よって、給湯熱交換器23を通過して加熱された湯が出湯管26から落とし込み管47に流れ、風呂戻り管42から浴槽41へ供給される。加えて、コントローラ4は、落とし込み流量センサ49で検出された流量が予め設定された設定湯量に到達したことをもって湯張りの終了を判別し(S14でYESと判別し)、落とし込み電磁弁48を閉弁させるとともに給湯バーナ22の燃焼を停止させて、浴槽41への湯の供給、すなわち湯張り運転を終了する。
【0023】
なお、ユーザーによる湯張りボタン52の操作は、浴室使用時間帯になされることが想定されるため、上述したような湯張り運転は、浴室使用時間帯における給湯運転と同じ運転であると言える。また、湯張り運転の終了に伴い、切替電磁弁16の切替状態を、タンク1内の湯水が給湯熱交換器23側へ供給される状態へと復帰させる。
【0024】
さらに足し湯運転について説明する。コントローラ4は、ユーザーによる足し湯ボタン54の操作を検出する(S21)と、戻り温度サーミスタ11の検出温度が所定の保温温度以上であるか否か、すなわちタンク1内の湯水の温度は保温温度以上であるか否かを判別する(S22)。そして、保温温度以上である(S22でYESと判別する)と、上記タンク使用モードでの運転を実行する。すなわち、タンク1内の湯水が給湯熱交換器23側へ供給されるように切替電磁弁16の切替状態を保持したまま、給湯バーナ22への点火は行わずに、給湯熱交換器23を通してタンク1内の湯水を出湯管26へ流す。すると、タンク1内の湯水が、給湯熱交換器23で加熱されることなくそのまま出湯管26に流れる(S23)。一方、足し湯ボタン54の操作検出時にタンク1内の湯水の温度は保温温度未満であったり、足し湯運転中にタンク1内の湯水の温度が保温温度未満まで低下したりする(S22でNOと判別する)と、切替電磁弁16の切替状態は保持したまま給湯バーナ22に点火し、タンク1内の湯水を給湯熱交換器23で加熱した後に出湯管26へ流す(S24)。なお、タンク1内の湯をそのまま出湯管26へ流す場合と、給湯熱交換器23で加熱した後に出湯管26へ流す場合とのどちらであっても、上記同様にミキシング管30を介して供給される水道水を混合して温度調整する。
【0025】
また、コントローラ4は、落とし込み管47の落とし込み電磁弁48を開弁させて浴槽41への落とし込みを開始する。よって、タンク1から供給された湯が出湯管26から落とし込み管47に流れ、風呂戻り管42から浴槽41へ供給される。さらに、コントローラ4は、落とし込み流量センサ49で検出された流量が予め設定された足し湯量に到達したことをもって足し湯の終了を判別し(S25でYESと判別し)、落とし込み電磁弁48を閉弁させるとともに、給湯バーナ22を燃焼させていた場合には給湯バーナ22の燃焼を停止させて、浴槽41への足し湯、すなわち足し湯運転を終了する。
【0026】
なお、ユーザーによる足し湯ボタン54の操作は、浴室使用時間帯になされることが想定される。すなわち基本的にはタンク1内の湯水を使用しない給湯使用モードでの運転が想定される時間帯であるにもかかわらず、足し湯ボタン54が操作された場合には、タンク1内の湯水を使用した運転を実行することになる。また、足し湯運転では、タンク1内の湯水を給湯器3で加熱することになるが、タンク1内の湯水の温度は保温温度未満であるとは言え、水道水の温度よりは高いと考えられる。したがって、給湯使用モードで運転する際に水道水を設定温度まで加熱するにあたり、給湯バーナ22を第1燃焼能力範囲で燃焼させるとすると、足し湯運転に際してタンク1内の湯水を設定温度まで加熱するためには、給湯バーナ22を第1燃焼能力範囲よりも低能力な第2燃焼能力範囲で燃焼させればよい。
【0027】
最後に追い焚き運転について説明する。上述したような湯張り後、コントローラ4は、リモコン5において追い焚きボタン53が操作されると、浴槽41内の湯を加熱する追い焚き動作を実行する。つまり、循環ポンプ43を作動させるとともに、風呂ガス切替弁38を開弁させて風呂バーナ24に点火し、浴槽41内の湯を追い焚き循環路46で循環させて追い焚きする。なお、風呂温度サーミスタ44による検出温度が予め設定された追い焚き温度に達すると、循環ポンプ43を停止させるとともに風呂バーナ24の燃焼を停止させ、追い焚き動作を終了する。
【0028】
以上のような構成を有する給湯システムSによれば、コントローラ4は、リモコン5で足し湯ボタン54が操作されると、たとえタンク1内の湯水を使用しない給湯使用モードでの運転が想定される浴室使用時間帯であったとしても、タンク1内の湯水を浴槽41へ足し湯する。すなわち、湯張り等と比べると湯の使用量の少ない足し湯については、タンク1内の湯水を利用するため、タンク1内の湯水を効率良く利用することができる給湯システムSとすることができる。
【0029】
また、コントローラ4は、湯の使用量が多い浴室使用時間帯であると、足し湯時以外についてはタンク1内の湯水を使用しない給湯使用モードで給湯運転を実行するため、タンク1内の湯が少量となったり、タンク1内の湯水の温度が低くなったりする所謂湯切れが起こりにくく、極めて効率良くタンク1内の湯水を利用することができる。さらに、タンク1内の湯水を利用中に湯切れが生じて給湯器3での加熱を利用した給湯へと切り替えるとなると、この切り替え時には一時的に湯温が大きく変化することになるが、そのような事態が起こりにくいため、ユーザーに不快感を抱かせにくい給湯システムSとすることができる。
【0030】
加えて、足し湯ボタン54の操作検出時にタンク1内の湯水の温度は保温温度未満であったり、足し湯運転中にタンク1内の湯水の温度が保温温度未満まで低下したりする際には、タンク1内の湯水を給湯器3で加熱してから給湯する。このとき、タンク1内の湯水の温度は保温温度未満であるとは言え、水道水の温度よりは高いと考えられる。そのため、給湯使用モードで運転する際に水道水を設定温度まで加熱するにあたり、給湯バーナ22を第1燃焼能力範囲で燃焼させるとすると、足し湯運転に際してタンク1内の湯水を設定温度まで加熱するためには、給湯バーナ22を第1燃焼能力範囲よりも低能力な第2燃焼能力範囲で燃焼させればよい。したがって、給湯器3での燃焼に伴う二酸化炭素の排出量を削減することができる。
【0031】
なお、本発明に係る給湯システムは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、給湯システムの全体的な構成は勿論、タンク内の湯水使用の可否に係る制御についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0032】
たとえば、上記実施形態では、足し湯の指令がなされると必ずタンク内の湯水を使用するように構成しているが、足し湯の指令がなされた際、タンク内の湯水の温度やタンク内の湯の残量を判別し、湯水の温度が所定温度以上であったり、湯の残量が所定量以上であったりする(所定条件の充足)とタンク内の湯水を使用する一方、湯水の温度が所定温度未満であったり、湯の残量が所定量未満であったりすると、タンク内の湯水を使用せず、水道水を加熱して足し湯するように構成することも可能である。
【0033】
また、上記実施形態では、追い焚き運転として追い焚き循環路を循環させるという運転を実行しているが、そのような追い焚き運転に代えて、設定温度よりも高温にまで加熱した湯を浴槽に追加するという追い焚き運転を実行するように構成してもよい。そして、そのような追い焚き運転を実行する際には、上記足し湯運転同様に、追い焚きの指令がなされると、たとえ浴室使用時間帯であったとしてもタンク内の湯水を使用するように構成するとしてもよい。このような追い焚きも、湯張り等と比べると湯の使用量は少ないと考えられるため、タンク内の湯水を利用するように構成することで、上記実施形態同様に、タンク内の湯水を効率良く利用することができるという効果を奏することができる。
【0034】
さらに、上記実施形態では、浴室使用時間帯の設定に係り何曜日であるか祝日であるか等を考慮していないが、浴室使用時間帯であるか否かの判別を日付に関連付けて設定してもよい。たとえば、土曜日、日曜日、及び祝日には浴室使用時間帯を設定しないとしてもよい。また、土曜日、日曜日、及び祝日と平日とで、浴室使用時間帯を夫々別個に設定することも可能である。
【0035】
さらにまた、上記実施形態では、浴室使用時間帯を予め制御手段に設定するとしているが、予め浴室使用時間帯を設定しないとすることも可能である。たとえば制御手段が給湯システムの使用履歴を記憶するとともに、その使用履歴に応じて浴室使用時間帯を学習し(たとえば湯水の使用量が多い時間帯を浴室使用時間帯として学習する等)、学習結果にもとづいて自動的に浴室使用時間帯であるか否かを判別するという構成が考えられる。また、別の構成としては、リモコンから湯張り指令や足し湯指令がなされたことをもって制御手段が浴室使用時間帯と判別するというような構成であったり、リモコンで浴室優先ボタンが操作されている時間帯を制御手段が浴室使用時間帯と判別するという構成が考えられる。更には、浴室に人感センサを設置し、制御手段は、人感センサによって浴室内に人が検出されると浴室使用時間帯であると判別するという構成も考えられる。
【0036】
またさらに、上記実施形態では、指令手段としてユーザーが操作するリモコンを採用しているが、指令手段はリモコンに何ら限らない。たとえば、浴槽内の湯量を検出する湯量検出センサを設け、コントローラにおいて浴槽内の湯量を検出可能としたものにおいては、浴槽内の湯量が所定の足し湯指令量を超えて少なくなると、コントローラが自動的に足し湯を指令するように構成する、すなわちコントローラに指令手段としての機能をもたせるように構成することも可能である。
【0037】
加えて、タンクの容量は、上記形態の20Lに限らず、10.00L~25.00Lの間で適宜設定しても良い。
また、給湯器の熱交換器は、顕熱を回収する一次熱交換器と、潜熱を回収する二次熱交換器とを併設したものであってもよい。
さらに、上記形態の給湯器は、風呂加熱部を備えているが、風呂加熱部のない給湯器を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1・・タンク、2・・ヒートポンプ、3・・給湯器、4・・コントローラ(制御手段)、5・・リモコン(指令手段)、12・・中継管(第1供給路、第2供給路)、15・・直接給水管(第2供給路)、16・・切替電磁弁、20・・給湯加熱部、22・・給湯バーナ、23・・給湯熱交換器、26・・出湯管(第1供給路、第2供給路)、29・・給湯栓(使用箇所)、41・・浴槽(使用箇所)、54・・足し湯ボタン、S・・給湯システム。