(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006514
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】樹脂発泡ブロックと振動低減構造
(51)【国際特許分類】
E02D 27/34 20060101AFI20250109BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20250109BHJP
E04B 1/98 20060101ALI20250109BHJP
E04C 1/41 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
E02D27/34
F16F15/02 H
E04B1/98 E
E04B1/98 L
E04C1/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107351
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 貴士
【テーマコード(参考)】
2D046
2E001
3J048
【Fターム(参考)】
2D046DA11
2E001DG01
2E001FA21
2E001GA01
2E001GA82
2E001HD03
2E001HD08
2E001HD09
2E001LA10
3J048AC03
3J048BD02
3J048DA06
3J048EA38
(57)【要約】
【課題】低振動数帯から高振動数帯にかけての広範な振動数帯における振動を効果的に低減することのできる樹脂発泡ブロックと、大掛かりな施工を不要にしながら、振動低減性に優れた振動低減構造を提供すること。
【解決手段】地中Gに設置されて、地中Gを伝播する振動を低減する、樹脂発泡ブロック10,30であって、直方体状もしくは略直方体状の樹脂発泡本体11を有し、樹脂発泡本体11に剛性低下用空隙15が設けられている。振動低減構造60は、地中構造物50の少なくとも振動源に対向する側面50aに、複数の樹脂発泡ブロック30が配設されて構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に設置されて、地中を伝播する振動を低減する、樹脂発泡ブロックであって、
直方体状もしくは略直方体状の樹脂発泡本体を有し、
前記樹脂発泡本体に剛性低下用空隙が設けられていることを特徴とする、樹脂発泡ブロック。
【請求項2】
前記樹脂発泡本体は、複数の側面と、天端面と、下端面とを備え、
前記剛性低下用空隙は、前記樹脂発泡本体を貫通して前記天端面と前記下端面に臨み、
前記天端面と前記下端面にそれぞれ、樹脂発泡板が固定されて、前記剛性低下用空隙を塞いでいることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂発泡ブロック。
【請求項3】
地中構造物の少なくとも振動源に対向する側面に、請求項1又は2に記載の複数の樹脂発泡ブロックが配設されていることを特徴とする、振動低減構造。
【請求項4】
地中構造物の下方に、複数の前記樹脂発泡ブロックが配設され、該樹脂発泡ブロックの前記剛性低下用空隙に土が充填されており、
前記地中構造物の側方に、複数の前記樹脂発泡ブロックが配設されていることを特徴とする、請求項3に記載の振動低減構造。
【請求項5】
前記樹脂発泡本体には、複数の前記剛性低下用空隙が設けられ、隣接する剛性低下用空隙の間には隔壁が設けられており、
複数の前記樹脂発泡ブロックが、双方の前記隔壁をずらした状態で併設されていることを特徴とする、請求項4に記載の振動低減構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂発泡ブロックと振動低減構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物(もしくは建築物)には、常時においては、地球自体の微動、鉄道を含む車両の走行による交通振動や工場設備等の稼働時の振動、風荷重による振動などのいわゆる環境振動に起因する常時微動が生じ、地震時においては、地震動の規模に応じて常時微動よりも振幅の大きな振動が一般に生じる。地震時の建物振動もさることながら、上記する常時の微動レベルにおける建物障害の有無や住環境への影響は、居住者が日々受けるものであることに鑑みると、このような環境振動を低減することは極めて重要になる。
【0003】
上記する環境振動をはじめとして地中を伝播する振動を低減する措置としては、振動源と対象建物との間の地中に空溝を設けることが一般に行われており、このような空溝は防振溝などと称されることもある。この空溝を地中に設けることにより、振動源から建物へ伝播される振動を大幅に低減することができる。
【0004】
その一方で、地中に対して一定深度の空溝を一定の平面線形を有する態様で施工することから、施工に要する工費と工期が課題となる。また、施工された空溝の溝壁の崩壊も懸念され、溝壁の崩壊は周囲の地盤沈下に直結することから、溝壁を崩壊から防ぐ防護措置が必要になり、このことも工費の高騰に繋がる。
【0005】
このように、振動低減効果が高い一方で大掛かりな施工を余儀なくされる空溝の施工に代わり、地中構造物の側面や下方に、低密度の発泡スチロールのブロック(樹脂発泡ブロックの一例)を設置して基礎を包囲する、EPS(Expanded Poly-Styrol)工法が適用されることがある。発泡スチロールは軽量であることから施工性に優れていることに加えて、耐圧縮性や耐水性、耐候性、自立性に優れているといった様々な利点を有している。しかしながら、発泡スチロールのブロックは剛性が高いことから、例えば10Hz以上の高振動数帯には振動低減効果が認められる一方で、10Hz未満の数Hzの低振動数帯における振動低減効果が期待できないことが本発明者等により特定されている。
【0006】
以上のことから、大掛かりな施工を不要にしながら、地中を伝播する振動を低減するために地中に設置される樹脂発泡ブロックに関し、低振動数帯から高振動数帯にかけての広範な振動数帯における振動を効果的に低減することのできる樹脂発泡ブロックと、この樹脂発泡ブロックを備えた振動低減構造が望まれる。
【0007】
ここで、特許文献1には、建築物の防振構造が提案されている。この建築物の防振構造は、建築物の基礎部分と、基礎部分の少なくとも1つの外面を覆うように設置された、合成樹脂発泡体からなる防振材とを備えている。防振材は、作用する面圧に対する圧縮クリープ変形率が5%未満であり、かつ面圧が2.0t/m2以下である場合は、横波伝播速度が125m/秒以下となり、面圧が2.0t/m2よりも大きく10.0t/m2以下である場合は、横波伝播速度が125m/秒よりも大きく220m/秒以下となり、面圧が10.0t/m2よりも大きく40.0t/m2以下である場合は、横波伝播速度が220m/秒よりも大きく325m/秒以下となるように、せん断弾性率が設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の建築物の防振構造によれば、面圧に応じた複数の横波伝播速度が設定されている合成樹脂発泡体からなる防振材を備えていることにより、工事の施工性を確保しつつ、防振効果を良好にできるとしている。しかしながら、特許文献1においても、上記する課題、すなわち、低振動数帯から高振動数帯にかけての広範な振動数帯における振動を効果的に低減することのできる樹脂発泡ブロックを提供するものではない。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、低振動数帯から高振動数帯にかけての広範な振動数帯における振動を効果的に低減することのできる樹脂発泡ブロックと、大掛かりな施工を不要にしながら、振動低減性に優れた振動低減構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成すべく、本発明による樹脂発泡ブロックの一態様は、
地中に設置されて、地中を伝播する振動を低減する、樹脂発泡ブロックであって、
直方体状もしくは略直方体状の樹脂発泡本体を有し、
前記樹脂発泡本体に剛性低下用空隙が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、直方体状もしくは略直方体状の樹脂発泡本体に剛性低下用空隙が設けられていることにより、樹脂発泡本体が本来備える、軽量性と耐圧縮性、耐水性、耐候性、及び自立性に加えて、一定の剛性を確保しながらも低振動数帯から高振動数帯にかけての広範な振動数帯における振動低減性が奏される。
【0013】
ここで、樹脂発泡本体を形成する素材としては、発泡スチロール(EPS)等を挙げることができる。また、「略直方体状」には、直方体の各隅角部が面取りされている形状や、コンクリートブロックのように扁平ブロックの左右端面が内側に窪んだ形状等が含まれる。
【0014】
樹脂発泡本体に設けられている剛性低下用空隙には様々な形態があり、樹脂発泡本体の対向する一対の側面を貫通する1つもしくは複数の貫通孔の形態、樹脂発泡本体の内部に形成されている1つもしくは複数の球状や卵形等の中空の形態を一例として挙げることができる。
【0015】
また、本発明による樹脂発泡ブロックの他の態様において、
前記樹脂発泡本体は、複数の側面と、天端面と、下端面とを備え、
前記剛性低下用空隙は、前記樹脂発泡本体を貫通して前記天端面と前記下端面に臨み、
前記天端面と前記下端面にそれぞれ、樹脂発泡板が固定されて、前記剛性低下用空隙を塞いでいることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、樹脂発泡本体を貫通してその天端面と下端面に臨む1つもしくは複数の剛性低下用空隙を、当該天端面と下端面に樹脂発泡板が固定されることにより塞いでいる構成によって、地中に樹脂発泡ブロックが設置される際に、貫通孔である剛性低下用空隙に土が入り込むことを防止できる。
【0017】
また、本発明による振動低減構造の一態様は、
地中構造物の少なくとも振動源に対向する側面に、複数の前記樹脂発泡ブロックが配設されていることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、地中構造物の少なくとも振動源に対向する側面に、本発明の複数の樹脂発泡ブロックが配設されていることにより、大掛かりな施工を不要にしながら、地中を介して振動源から伝播する振動を複数の樹脂発泡ブロックにて効果的に低減することができる。
【0019】
ここで、地中構造物には、戸建て住宅やビル、マンション等の建物の基礎を一例として挙げることができる。また、「少なくとも振動源に対向する側面に樹脂発泡ブロックを配設する」とは、振動源に対向する側面のみに複数の樹脂発泡ブロックを配設する形態と、地中構造物の全周に複数の樹脂発泡ブロックを配設する形態、地中構造物の全周に加えて地中構造物の底面の全域にも複数の樹脂発泡ブロックを配設する形態等を含んでいる。
【0020】
また、本発明による振動低減構造の他の態様は、
地中構造物の下方に、複数の前記樹脂発泡ブロックが配設され、該樹脂発泡ブロックの前記剛性低下用空隙に土が充填されており、
前記地中構造物の側方に、複数の前記樹脂発泡ブロックが配設されていることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、地中構造物の下方に配設される樹脂発泡ブロックの剛性低下用空隙に土が充填されていることにより、剛性低下用空隙による広範な振動数帯における振動低減性に加えて、地中構造物の安定した荷重支持性が奏される。尚、地中構造物の側方に配設される樹脂発泡ブロックに関しては、地中構造物からの荷重支持性は不要であることから、剛性低下用空隙に土を充填する必要はない。
【0022】
また、本発明による振動低減構造の他の態様において、
前記樹脂発泡本体には、複数の前記剛性低下用空隙が設けられ、隣接する剛性低下用空隙の間には隔壁が設けられており、
複数の前記樹脂発泡ブロックが、双方の前記隔壁をずらした状態で併設されていることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、樹脂発泡本体が隔壁の左右に剛性低下用空隙を備えていて、複数の樹脂発泡ブロックが双方の隔壁をずらした状態で地中に併設されていることにより、連続した隔壁を介して振動が地中構造物に伝播することを効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0024】
以上の説明から理解できるように、本発明の樹脂発泡ブロックと振動低減構造によれば、低振動数帯から高振動数帯にかけての広範な振動数帯における振動を効果的に低減することのできる樹脂発泡ブロックを提供でき、大掛かりな施工を不要にしながら、振動低減性に優れた振動低減構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態に係る樹脂発泡ブロックの一例の斜視図である。
【
図2】実施形態に係る樹脂発泡ブロックの他の例の斜視図である。
【
図3】
図2に示す樹脂発泡ブロックの剛性低下用空隙に土が充填されている形態の斜視図である。
【
図4】実施形態に係る振動低減構造の一例の平面図である。
【
図5】
図4のV-V矢視図であって、実施形態に係る振動低減構造の一例の縦断面図である。
【
図6】併設されている樹脂発泡ブロックの隔壁がずらされた状態であることを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態に係る樹脂発泡ブロックと振動低減構造について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0027】
[実施形態に係る樹脂発泡ブロックと振動低減構造]
図1乃至
図6を参照して、実施形態に係る樹脂発泡ブロックと振動低減構造の一例について説明する。ここで、
図1と
図2は、実施形態に係る樹脂発泡ブロックの一例の斜視図であり、
図3は、
図2に示す樹脂発泡ブロックの剛性低下用空隙に土が充填されている形態の斜視図である。また、
図4は、実施形態に係る振動低減構造の一例の平面図であり、
図5は、
図4のV-V矢視図であって、実施形態に係る振動低減構造の一例の縦断面図である。
【0028】
図1に示す樹脂発泡ブロック10は、直方体状の樹脂発泡本体11を有し、樹脂発泡本体11は、複数(図示例は4つ)の側面12と、天端面13と、下端面14とを備えている。
【0029】
ここで、樹脂発泡本体11を形成する素材には、発泡スチロール(EPS)を挙げることができ、より詳細には、ポリウレタン(PUR)系発泡樹脂、ポリスチレン(PS)系発泡樹脂、ポリオレフィン系発泡樹脂(PE:ポリエチレン、PP:ポリプロピレン、EVA:エチレン酢酸ビニル共重合樹脂等)等のいずれか一種を適用できる。
【0030】
樹脂発泡本体11には、複数(図示例は3つ)の剛性低下用空隙15が、樹脂発泡本体11を貫通して天端面13と下端面14に臨む貫通孔の形態で設けられており、隣接する剛性低下用空隙15の間には隔壁17が設けられている。
【0031】
このように、樹脂発泡本体11に対して1つもしくは図示例のように複数の剛性低下用空隙15が設けられて樹脂発泡ブロック10が形成される。ここで、図示例は、剛性低下用空隙15が貫通孔であるが、剛性低下用空隙は、樹脂発泡本体11の内部にある例えば球状等の空隙であってもよい。
【0032】
樹脂発泡本体11は比較的剛性の高いブロックであるが、所定寸法の剛性低下用空隙15が所定数設けられていることにより、樹脂発泡本体11の剛性が低くなっている。
【0033】
従来一般のEPSブロックは、例えば10Hz以上の高振動数帯には振動低減効果が認められる一方で、10Hz未満の数Hzの低振動数帯における振動低減効果が期待できない。これに対して、図示例の樹脂発泡ブロック10は、一定の剛性を備えながらも、低振動数帯から高振動数帯にかけての広範な振動数帯における振動低減性を奏することができる。尚、樹脂発泡ブロック10は、本来的には、軽量性と耐圧縮性、耐水性、耐候性、及び自立性も有していることから、地中への設置施工性に優れたブロックである。
【0034】
一方、
図2に示す樹脂発泡ブロック30は、樹脂発泡本体11の天端面13と下端面14に樹脂発泡板20を固定した樹脂発泡ユニットである。ここで、天端面13等への樹脂発泡板20の固定は、接着剤による接着固定にて行われる。
【0035】
樹脂発泡ブロック30は地中に設置されることから、樹脂発泡本体11の天端面13と下端面14に樹脂発泡板20が固定されて剛性低下用空隙15が閉塞されることにより、土が剛性低下用空隙15に入り込むことを防止できる。
【0036】
一方、
図3に示す樹脂発泡ブロック40は、剛性低下用空隙15に土18を充填して樹脂発泡板20にて閉塞した樹脂発泡ユニットである。
【0037】
この樹脂発泡ユニット40は、地中構造物の下方に設置されて地中構造物の荷重を支持する部材として適用されることにより、剛性低下用空隙15による広範な振動数帯における振動低減性に加えて、地中構造物の安定した荷重支持性を奏することができる。
【0038】
次に、
図4乃至
図6を参照して、
図2と
図3に示す樹脂発泡ブロック30,40を適所に配置してなる振動低減構造の一例について説明する。
【0039】
図4には、振動源Sとなる道路の側方に、平面視矩形の布基礎55と、布基礎55の内側に配設されている鉄筋コンクリート製の底板51とを有する基礎50(地中構造物の一例)があることを示している。布基礎55の上には、建物躯体が設置されることになるため、布基礎55には大きな荷重が作用することになる。尚、図示例は、説明を容易とするべく、平面視矩形の基礎を地中構造物として例示したものであるが、振動低減構造を形成する地中構造物には、様々な形態の構造物が含まれる。
【0040】
図4に示すように、平面視矩形の基礎50のうち、振動源に対向する側面50aの側方には、複数の樹脂発泡ブロック30が併設されている。
【0041】
尚、図示例のように、道路Sに沿って車両C(実際の振動源で
図5参照)が移動することから、道路Sからの振動は、道路Sに正対している、振動源に対向する側面50aに対して図示例のようにX1方向に振動が伝播することの他に、斜め方向へX2方向に振動が伝播し得る。
【0042】
このことから、図示例のように振動源に対向する側面50aのみに複数の樹脂発泡ブロック30を設置することの他に、振動源に対向する可能性のある一対の側面50bにも複数の樹脂発泡ブロック30を設置してもよい。
【0043】
さらに、道路Sとは反対側にある、振動源に対向しない側面50cの近傍にも不図示の別途の振動源がある場合や、将来的に別途の振動源が配設される可能性がある場合は、振動源に対向しない側面50cにも複数の樹脂発泡ブロック30を設置し、従って基礎50の全周に対して複数の樹脂発泡ブロック30を設置してもよい。
【0044】
図4に示すように、基礎50のうち、振動源に対向する側面50aに複数の樹脂発泡ブロック30を設置することに加えて、
図5に示すように、布基礎55の下方には、剛性低下用空隙15に土18が充填されている複数の樹脂発泡ブロック40を設置し、布基礎55に比べて大きな荷重が作用しない底板51の下方には、複数の樹脂発泡ブロック30を設置することにより、振動低減構造60が形成される。
【0045】
図5に示すように、道路Sは、路盤S1,路床S2,及び路体S3の積層構造であり、この上を車両Cが走行する際に発生する交通振動(環境振動の一例)が、地中Gを伝播して基礎50へX1方向に入力され得る。これに対して、振動低減構造60では、基礎50における少なくとも振動源に対向する側面50aに複数の樹脂発泡ブロック30が併設された態様で設置されていることにより、基礎50への振動の伝播が効果的に低減される。
【0046】
ここで、
図6に示すように、振動源に対向する側面50aに併設される複数の樹脂発泡ブロック30において、隣接する樹脂発泡ブロック30は、双方の隔壁17がずらされた状態で併設される。
【0047】
図6では、2つの樹脂発泡ブロック30で1列のユニットを模擬しており、3列のユニットが併設されている状態を図示している。
図6に示すように、中央の2列目のユニットを若干ずらして配置することで、1列目と3列目のユニットの隔壁17と、それらの間の2列目のユニットの隔壁17が連続しない構成となる(2列目のユニットは、ラインL上に隔壁17ではなくて剛性低下用空隙15が存在する)。
【0048】
このように、各列の隔壁17が連続しない構成であることにより、連続した複数の隔壁17を介して振動源からの振動が基礎へ伝播されることを抑制できる。
【0049】
また、振動低減構造60では、大きな荷重が作用し得る布基礎55の下方において、剛性低下用空隙15に土18が充填されている複数の樹脂発泡ブロック40が設置されていることから、剛性低下用空隙15による広範な振動数帯における振動低減性に加えて、布基礎55の安定した荷重支持性が奏される。
【0050】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0051】
10:樹脂発泡ブロック
11:樹脂発泡本体
12:側面
13:天端面
14:下端面
15:剛性低下用空隙
17:隔壁
18:土
20:樹脂発泡板
30,40:樹脂発泡ユニット(樹脂発泡ブロック)
50:地中構造物(基礎)
51:底板
55:布基礎
50a:振動源に対向する側面
50b:振動源に対向する可能性のある側面
50c:振動源に対向しない側面
60:振動低減構造
S:振動源(道路)
C:振動源(車両)
S1:路盤
S2:路床
S3:路体
G:地中