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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006516
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】媒体給送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/52 20060101AFI20250109BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B65H3/52 330H
H04N1/00 567B
H04N1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107355
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】関 和仁
(72)【発明者】
【氏名】庭田 智行
【テーマコード(参考)】
3F343
5C062
【Fターム(参考)】
3F343FA03
3F343FB03
3F343FC01
3F343FC14
3F343JD09
3F343JD33
3F343JD40
3F343KB05
3F343LC20
3F343LD24
3F343LD30
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB31
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AB41
5C062AB42
5C062AC09
5C062AC11
5C062AC13
5C062AC65
5C062AE01
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】装置コストの増大を抑制しつつ、媒体をより良好に給送することが可能な媒体給送装置を提供する。
【解決手段】媒体給送装置は、媒体を給送する給送ローラと、給送ローラに対向して配置され、且つ、動力が伝達されていない回転軸に設けられた分離ローラと、回転軸に設けられ、所定のトルクより大きいトルクがかかった場合に、分離ローラを給送ローラに従動させるトルクリミッタと、回転軸を支持し、且つ、揺動可能に設けられたユニットと、分離ローラが給送ローラに向けて押圧されるように、ユニットを揺動させる押圧力をユニットに付与する押圧部と、分離ローラの回転に伴って、分離ローラが給送ローラから離間されるように、ユニットを揺動させる反力をユニットに付与する反力発生部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を給送する給送ローラと、
前記給送ローラに対向して配置され、且つ、動力が伝達されていない回転軸に設けられた分離ローラと、
前記回転軸に設けられ、所定のトルクより大きいトルクがかかった場合に、前記分離ローラを前記給送ローラに従動させるトルクリミッタと、
前記回転軸を支持し、且つ、揺動可能に設けられたユニットと、
前記分離ローラが前記給送ローラに向けて押圧されるように、前記ユニットを揺動させる押圧力を前記ユニットに付与する押圧部と、
前記分離ローラの回転に伴って、前記分離ローラが前記給送ローラから離間されるように、前記ユニットを揺動させる反力を前記ユニットに付与する反力発生部と、
を有することを特徴とする媒体給送装置。
【請求項2】
前記反力発生部は、
前記回転軸に設けられ、前記分離ローラが前記給送ローラに従動する方向の回転力を伝達する第1伝達部と、
前記ユニットの揺動軸に固定された係止部と、
前記回転力を前記係止部に伝達する第2伝達部と、を含み、
前記第2伝達部は、前記係止部により、前記回転力に対して前記反力が発生するように、前記回転力を前記係止部に伝達する、請求項1に記載の媒体給送装置。
【請求項3】
前記第1伝達部、前記係止部及び前記第2伝達部は、ギアである、請求項2に記載の媒体給送装置。
【請求項4】
前記第1伝達部及び前記係止部は、ギアであり、
前記第2伝達部は、前記第1伝達部及び前記係止部のそれぞれと係合するアームを有するカムである、請求項2に記載の媒体給送装置。
【請求項5】
前記押圧部は、弾性部材である、請求項1~4の何れか一項に記載の媒体給送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スキャナ等の媒体給送装置は、媒体を給送する給送ローラと、給送ローラに対向して配置された分離ローラとを用いて、複数の媒体を分離しながら給送する。
【0003】
原稿供給トレイ上に載せられた原稿を、セパレートローラ及びセパレートローラに弾性的に接するリタードローラの作用によって1枚ずつ分離して供給する原稿分離供給装置が開示されている(特許文献1を参照)。この原稿分離供給装置において、リタードローラと、リタードローラを同心的に保持するリタードローラ軸と、リタードローラ軸に同心的に固定された被駆動伝達ギアとによりリタードローラユニットが構成される。装置本体には、リタードローラに駆動伝達する為の駆動伝達手段が設置される。駆動伝達手段は、回転駆動軸と、被駆動伝達ギアに噛み合って回転駆動軸からの回転駆動力を伝達する駆動伝達ギアと、駆動伝達ギアの軸心回りに揺動自在に支持されリタードローラ軸を軸方向両端部で支持する軸受部を有する一対のブラケット部材とを備える。
【0004】
媒体を給送する給送ローラと、給送ローラに対向して配置され、且つ、媒体を分離する分離ローラと、分離ローラを媒体給送方向の逆方向に回転させるための駆動力を発生するモータと、を有する媒体搬送装置が開示されている(特許文献2を参照)。この媒体搬送装置は、モータが発生した駆動力に応じて回転する第1ギア、分離ローラの回転軸に設けられた第2ギア、及び、第1ギアと第2ギアの間に設けられた第3ギアを含み、第1ギアの軸を回転軸として揺動可能に支持されたユニットを有する。トルクリミッタによって、分離ローラが給送ローラの回転方向と逆方向に回転しようとするトルクを制限することによって発生する力により、分離ローラは給送ローラ側に押圧される。第1ギアは、モータの回転によって、分離ローラを給送ローラから離間させる力を発生する方向に回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-260612号公報
【特許文献2】特開2022-86609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
媒体給送装置では、装置コストの増大を抑制しつつ、媒体を良好に給送できることが求められている。
【0007】
本発明の目的は、装置コストの増大を抑制しつつ、媒体を良好に給送することを可能とする媒体給送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る媒体給送装置は、媒体を給送する給送ローラと、給送ローラに対向して配置され、且つ、動力が伝達されていない回転軸に設けられた分離ローラと、回転軸に設けられ、所定のトルクより大きいトルクがかかった場合に、分離ローラを給送ローラに従動させるトルクリミッタと、回転軸を支持し、且つ、揺動可能に設けられたユニットと、分離ローラが給送ローラに向けて押圧されるように、ユニットを揺動させる押圧力をユニットに付与する押圧部と、分離ローラの回転に伴って、分離ローラが給送ローラから離間されるように、ユニットを揺動させる反力をユニットに付与する反力発生部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体給送装置は、装置コストの増大を抑制しつつ、媒体をより良好に給送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】媒体給送装置100を示す斜視図である。
図2】媒体給送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図3】分離ローラユニット121について説明するための模式図である。
図4】媒体給送装置100の概略構成を示すブロック図である。
図5】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
図6】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図7】他の分離ローラユニット221について説明するための模式図である。
図8】他の分離ローラユニット321について説明するための模式図である。
図9】他の処理回路450の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一側面に係る媒体給送装置、媒体給送方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0012】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体給送装置100を示す斜視図である。媒体給送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙又はカード等である。媒体給送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体給送装置100はプリンタ等でもよい。
【0013】
図1において矢印A1は略鉛直方向(高さ方向)を示し、矢印A2は媒体搬送方向を示し、矢印A3は媒体排出方向を示し、矢印A4は媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の下流のことをいう。
【0014】
媒体給送装置100は、第1筐体101、第2筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を有する。
【0015】
第2筐体102は、第1筐体101の内側に配置され、媒体つまり時、又は、媒体給送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより第1筐体101に回転可能に係合している。
【0016】
載置台103は、搬送される媒体を載置するように第1筐体101に係合している。載置台103は、第1筐体101の媒体供給側の側面に、高さ方向A1に移動可能に、即ち上昇及び下降可能に設けられる。載置台103は、媒体が搬送されないときは媒体が容易に載置されるように下端の位置に配置され、媒体が搬送されるときは最も上側に載置された媒体が、後述するピックローラと接触する位置まで上昇する。
【0017】
排出台104は、第2筐体102上に形成される。排出台104は、第1筐体101及び第2筐体102の排出口から排出された媒体を載置する。
【0018】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。なお、表示装置106は、タッチパネル機能付きの液晶ディスプレイでもよい。その場合、操作装置105は、タッチパネルから入力信号を取得するインタフェース回路を有する。
【0019】
図2は、媒体給送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0020】
媒体給送装置100内部の搬送経路は、媒体センサ111、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114、トルクリミッタ115、第1~第6搬送ローラ116a~f、第1~第6従動ローラ117a~f及び撮像装置118等を有している。
【0021】
なお、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第6搬送ローラ116a~f及び/又は第1~第6従動ローラ117a~fのそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第6搬送ローラ116a~f及び/又は第1~第6従動ローラ117a~fは、それぞれ幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。
【0022】
第2筐体102は、媒体搬送路を挟んで第1筐体101と対向して配置される。第1筐体101の、第2筐体102と対向する面は媒体搬送路の第1ガイド101aを形成し、第2筐体102の、第1筐体101と対向する面は媒体搬送路の第2ガイド102aを形成する。
【0023】
媒体センサ111は、載置台103に、即ち給送ローラ113及び分離ローラ114より上流側に配置され、載置台103における媒体の載置状態を検出する。媒体センサ111は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、載置台103に媒体が載置されているか否かを判別する。媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。なお、媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0024】
ピックローラ112は、第2筐体102に、媒体搬送方向A2において給送ローラ113及び分離ローラ114より上流側に配置される。ピックローラ112は、載置台103の上方に配置され、載置台103に載置された媒体を給送する。ピックローラ112は、媒体搬送路と略同一の高さまで上昇した載置台103に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体に当接して、その媒体を下流側に向けて給送する。
【0025】
給送ローラ113は、第2筐体102内に、ピックローラ112より下流側に設けられ、載置台103に載置されてピックローラ112により給送された媒体をさらに下流側に向けて給送する。分離ローラ114は、第1筐体101内に、給送ローラ113と対向して配置される。分離ローラ114は、動力が伝達されていない回転軸であるシャフト114aに設けられる。分離ローラ114は、いわゆるブレーキローラであり、トルクリミッタ115により停止可能に設けられる。給送ローラ113及び分離ローラ114は、媒体の分離動作を行い、媒体を分離して一枚ずつ給送する。給送ローラ113は、分離ローラ114に対して上側に配置されており、媒体給送装置100は、いわゆる上取り方式により媒体を給送する。
【0026】
このように、分離ローラ114は、駆動源(モータ)による駆動力を用いずに、トルクリミッタ115を用いて、媒体を分離する。分離ローラ114が動力によって駆動しないことにより、媒体給送装置100は、分離ローラ114を駆動するためのモータを有さないため、装置コスト、装置サイズ及び装置重量の低減を図ることができる。また、媒体給送装置100は、モータからの駆動力を分離ローラ114に伝達するギア、プーリ、ローラ等の伝達機構を有さないため、装置コスト、装置サイズ及び装置重量の低減を図ることができる。
【0027】
トルクリミッタ115は、分離ローラ114の回転軸であるシャフト114aに設けられ、分離ローラ114にかかる負荷を制御する。トルクリミッタ115と分離ローラ114の間にはギア列が存在しないため、部品毎の製造誤差等により分離ローラ114に付与される分離力が変動することが抑制される。そのため、媒体給送装置100は、媒体を、部品毎の製造誤差によらず高精度に分離できる。
【0028】
第1~第6搬送ローラ116a~f及び第1~第6従動ローラ117a~fは、媒体搬送方向A2において、給送ローラ113及び分離ローラ114より下流側に、それぞれ相互に対向して配置される。第1~第6搬送ローラ116a~f及び第1~第6従動ローラ117a~fは、給送ローラ113及び分離ローラ114により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。第6搬送ローラ116f及び第6従動ローラ117fは、媒体を排出台104に排出する。
【0029】
撮像装置118は、媒体搬送方向A2において、第1~第2搬送ローラ116a~bより下流側に配置され、第1~第2搬送ローラ116a~b及び第1~第2従動ローラ117a~bにより搬送された媒体を撮像する。撮像装置118は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1撮像装置118a及び第2撮像装置118bを含む。第1撮像装置118aは、第2筐体102に設けられ、第2撮像装置118bは、第1筐体101に設けられる。
【0030】
第1撮像装置118aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置118aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置118aは、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0031】
同様に、第2撮像装置118bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置118bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置118bは、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0032】
なお、媒体給送装置100は、第1撮像装置118a及び第2撮像装置118bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0033】
載置台103に載置された媒体は、ピックローラ112、給送ローラ113がそれぞれ媒体給送方向A5、A6に回転することによって、第1ガイド101aと第2ガイド102aの間を媒体搬送方向A2に向かって搬送される。分離ローラ114が停止することにより、分離された媒体以外の媒体の給送が制限される(重送の防止)。
【0034】
媒体は、第1ガイド101aと第2ガイド102aによりガイドされながら、第1~第2搬送ローラ116a~bが矢印A7~8の方向に回転することによって、撮像装置118の撮像位置に送り込まれ、撮像装置118によって撮像される。さらに、媒体は、第3~第6搬送ローラ116c~fがそれぞれ矢印A9~12の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0035】
図3は、分離ローラユニット121について説明するための模式図である。
【0036】
図3に示すように、媒体給送装置100は、さらに分離ローラユニット121、押圧部122、第1伝達部123、係止部124及び第2伝達部125等を有する。
【0037】
分離ローラユニット121は、ユニットの一例である。分離ローラユニット121の媒体搬送方向A2の上流側の端部には、分離ローラ114の回転軸であるシャフト114aが取り付けられ、分離ローラユニット121は、シャフト114aを支持する。分離ローラユニット121は、媒体搬送方向A2の下流側の端部に設けられた揺動軸121aを中心に揺動可能に設けられる。これにより、分離ローラユニット121の媒体搬送方向A2の上流側の端部に取り付けられた分離ローラ114は、高さ方向A1に、即ち給送ローラ113側及び給送ローラ113から離れる側に移動可能に設けられる。
【0038】
押圧部122は、ねじりコイルばね等の弾性部材である。押圧部122は、分離ローラユニット121の下方に配置され、上方向A21に向けて押圧力を発生させる。押圧部122の一端(一方のアーム)は、第1筐体101内のフレームに固定され、押圧部122の他端(他方のアーム)は、分離ローラユニット121に取り付けられる。これにより、押圧部122は、分離ローラユニット121を上方に向けて押圧する。即ち、押圧部122は、分離ローラ114が給送ローラ113に向けて押圧されるように、分離ローラユニット121を揺動させる押圧力を分離ローラユニット121に付与する。押圧部122は、圧縮コイルばね、板ばね又はゴム等でもよい。媒体給送装置100は、押圧部122として弾性部材を利用することにより、低価格に且つ安定して、分離ローラ114に押圧力を付与することができる。
【0039】
第1伝達部123は、ギアである。第1伝達部123は、分離ローラユニット121の上流側の端部に取り付けられた分離ローラ114のシャフト114aに、シャフト114aの回転と連動して回転するように設けられる。第1伝達部123は、分離ローラ114が給送ローラ113に従動する媒体給送方向A22の回転力を、第2伝達部125を介して係止部124に伝達する。
【0040】
係止部124は、ギアである。係止部124は、分離ローラユニット121の下流側の端部に設けられた分離ローラユニット121の揺動軸121aに固定される。
【0041】
第2伝達部125は、カムである。第2伝達部125は、第1伝達部123と係止部124の間に設けられる。第2伝達部125は、媒体搬送方向A2において第1伝達部123と係止部124の間に配置された回転軸121bを中心として回転可能に分離ローラユニット121に取り付けられる。第2伝達部125は、媒体搬送方向A2の上流側に向けて延伸する第1アーム125aと、媒体搬送方向A2の下流側に向けて延伸する第2アーム125bとを有する。第1アーム125aの上流端には、第1伝達部123と係合する第1歯部125cが設けられる。第2アーム125bの下流端には、係止部124と係合する第2歯部125dが設けられる。媒体搬送方向A2において、第1伝達部123と係合する第1アーム125aは、係止部124と係合する第2アーム125bより長い。第2伝達部125は、第1伝達部123から伝達された、分離ローラ114が給送ローラ113に従動する方向の回転力を係止部124に伝達する。
【0042】
第2伝達部125は、媒体搬送方向A2に沿って延伸するように設けられることにより、第2伝達部125の高さ方向A1におけるサイズが低減される。第2伝達部125の高さ方向A1におけるサイズが低減されるため、媒体給送装置100の設計者は、第2伝達部125として単一の部材を使用しつつ、第2伝達部125が媒体搬送路に突出する等の影響を気にすることなく、媒体搬送路を設計できる。したがって、媒体給送装置100は、装置コストの増大を抑制しつつ、設計の自由度を向上させることができる。
【0043】
第1伝達部123、係止部124及び第2伝達部125は、反力発生部の一例である。
【0044】
上記したように、トルクリミッタ115は、分離ローラ114の回転軸であるシャフト114aに設けられる。即ち、トルクリミッタ115は、分離ローラ114とシャフト114aの間に設けられる。シャフト114aと連動して回転する第1伝達部123が、第2伝達部125を介して、固定された係止部124と接続することにより、シャフト114aは回転しないように設けられる。
【0045】
トルクリミッタ115のリミット値は、給送ローラ113と分離ローラ114の間の媒体が複数の場合は分離ローラ114とシャフト114aの間で回転力が伝達され、給送ローラ113と分離ローラ114の間の媒体が一つの場合は分離ローラ114とシャフト114aの間で回転力が遮断されるような値に設定される。これにより、トルクリミッタ115は、リミット値以下のトルクがかかっている場合に、分離ローラ114を停止させ、リミット値より大きいトルクがかかった場合に、分離ローラ114を給送ローラ113に従動させる。トルクリミッタ115のリミット値は、所定のトルクの一例である。即ち、媒体が複数搬送される場合、分離ローラ114は、停止し、給送ローラ113と接触している媒体とそれ以外の媒体とを分離して、重送の発生を防止する。一方、媒体が一つだけ搬送される場合、分離ローラ114は、給送ローラ113に従って従動回転する。
【0046】
以下、分離ローラ114に付与される力について説明する。分離ローラ114には、第1の力F1、第2の力F2及び第3の力F3が付与される。
【0047】
第1の力F1は、押圧部122からの押圧力による力である。上記したように、押圧部122により、分離ローラユニット121に上方向A21に向かう押圧力が付与される。これにより、分離ローラユニット121全体に上方向A23に向かう揺動力が付与され、分離ローラ114には、給送ローラ113側に向かう第1の力F1が付与される。第1の力F1は、押圧部122のばね定数等に応じて定まる静的な力であり、媒体の給送中であるか否かに関わらず、常時、分離ローラ114に付与される。
【0048】
第2の力F2は、分離ローラユニット121の回転モーメントによる力である。給送ローラ113により媒体Mが給送されるとき、給送ローラ113の媒体給送方向A6の回転力が媒体Mを介して分離ローラ114に伝達し、分離ローラ114には、媒体給送方向A22の回転力が付与される。これにより、分離ローラユニット121全体に媒体給送方向A22と同じ方向A23に向かう回転モーメントが付与され、分離ローラ114には、給送ローラ113側に向かう第2の力F2が付与される。即ち、第2の力F2は、トルクリミッタ115にかかるトルクに応じて、分離ローラユニット121の揺動軸121aにかかる回転モーメントによる動的な力であり、分離ローラ114を給送ローラ113側に食い込ませるように付与される。第2の力F2は、媒体の給送中にのみ、分離ローラ114に付与される。
【0049】
第2の力F2は、給送ローラ113と分離ローラ114のニップ位置と、分離ローラ114の揺動支点との位置関係に応じて変化する。第2の力F2は、以下の式(1)により算出される。
F2={(T/R)×L1}/L2 (1)
ここで、Tは、トルクリミッタ115のリミット値である。Rは、分離ローラ114の半径である。L1は、給送ローラ113及び分離ローラ114のニップ面と直交する方向における給送ローラ113及び分離ローラ114のニップ位置と、分離ローラユニット121の揺動中心(係止部124の位置)との間の距離である。L2は、給送ローラ113及び分離ローラ114のニップ面と平行な方向における給送ローラ113及び分離ローラ114のニップ位置と、分離ローラユニット121の揺動中心(係止部124の位置)との間の距離である。
【0050】
第3の力F3は、係止部124からの反力による力である。上記の通り、給送ローラ113により媒体Mが給送されるとき、給送ローラ113の媒体給送方向A6の回転力が媒体Mを介して分離ローラ114に伝達し、分離ローラ114には、媒体給送方向A22の回転力が付与される。この回転力により、分離ローラ114のシャフト114aと連動して回転する第1伝達部123と係合する第2伝達部125の第1アーム125aには、図3における時計回り方向A24の回転力が付与される。この回転力により、第2伝達部125の第2アーム125bは、係止部124に対して、係止部124と第2アーム125bが接する接線に沿った上方向に向かう回転力を付与する。
【0051】
上記したように、係止部124は固定されているため、第2アーム125bは、係止部124から、係止部124と第2アーム125bが接する接線に沿った下方向A25に向かう反力を受ける。この反力により、分離ローラユニット121全体に下方向A26に向かう揺動力が付与され、分離ローラ114には、給送ローラ113から離間する方向に向かう第3の力F3が付与される。即ち、第3の力F3は、トルクリミッタ115にかかるトルクに応じて発生する動的な力であり、分離ローラ114が給送ローラ113から逃げるように付与される。第3の力F3は、媒体の給送中にのみ、分離ローラ114に付与される。
【0052】
第3の力F3は、第2伝達部125を介した第1伝達部123と係止部124の間の減速比、即ち第1伝達部123にかかるトルクの大きさと係止部124にかかるトルクの大きさとの比に応じて変化する。第3の力F3は、以下の式(2)により算出される。
F3=(T/G)/L2 (2)
ここで、Gは、第2伝達部125を介した第1伝達部123と係止部124の間の減速比である。
【0053】
減速比Gは、例えば第1伝達部123、第1アーム125a、第2アーム125b及び係止部124の歯のモジュールが同一である場合、以下の式(3)により算出される。
G=(R1/R2)×(R3/R4) (3)
ここで、R1は第1伝達部123の回転半径であり、R2は第1アーム125aの回転半径であり、R3は第2アーム125bの回転半径であり、R4は係止部124の回転半径である。即ち、第3の力F3は、第1アーム125aの回転半径R2及び係止部124の回転半径R4が大きいほど大きくなり、第1伝達部123の回転半径R1及び第2アーム125bの回転半径の回転半径R3が小さいほど大きくなる。
【0054】
このように、第2伝達部125は、第1伝達部123から伝達された、分離ローラ114が給送ローラ113に従動する方向の回転力を係止部124に伝達する。特に、第2伝達部125は、係止部124により、その回転力に対して、分離ローラ114が給送ローラ113から離間されるように分離ローラユニット121を揺動させる反力が発生するように、その回転力を係止部124に伝達する。このように、第1伝達部123、係止部124及び第2伝達部125は、分離ローラ114の回転に伴って、分離ローラ114が給送ローラ113から離間されるように分離ローラユニット121を揺動させる反力を分離ローラユニット121に付与する。
【0055】
給送ローラ113及び分離ローラ114が媒体を適切に分離するためには、給送ローラ113と分離ローラ114は、所定の力で媒体を挟み込む必要がある。給送ローラ113と分離ローラ114が媒体を挟み込む力が大きすぎると、媒体の重送が発生する可能性がある。したがって、分離ローラ114を給送ローラ113側に押圧する力と、分離ローラ114を給送ローラ113から離間させる力とは、適切に釣り合っている必要がある。
【0056】
上記したように、分離ローラ114を給送ローラ113側に押圧する力は、押圧部122からの押圧力による第1の力F1と、分離ローラユニット121の回転モーメントによる第2の力F2とを含む。第1の力F1は、押圧部122の押圧力による静的な力であり、媒体給送時に変動しない。一方、第2の力F2は、媒体の給送に伴って発生する動的な力であり、給送ローラ113及び分離ローラ114の表面(ゴム)に形成された凹凸によるわずかな振動、又は、トルクリミッタ115内部の部材の係合タイミング等によって小刻みに変動する。
【0057】
第1の力F1に対して第2の力F2が大きい場合、給送時に媒体にかかる力の変動度合いが大きくなる。媒体にかかる力が大きくなると、給送ローラ113と分離ローラ114が媒体を挟み込む力が大きくなりすぎて、媒体の重送が発生する可能性がある。また、媒体にかかる力が小さくなると、給送対象でない媒体が給送ローラ113と分離ローラ114の間から進行してしまい、媒体の重送が発生する可能性がある。したがって、媒体にかかる力を安定させて媒体の重送の発生を抑制するためには、第1の力F1を大きくし且つ第2の力F2を小さくすることが望ましい。しかしながら、第2の力F2は、給送対象の媒体の特性に応じて調整されるべきトルクリミッタ115にかかるトルクに依存するため、分離ローラ114を給送ローラ113側に押圧する力を変更するために小さくすることは困難である。一方、第1の力F1を単純に大きくすると、給送ローラ113と分離ローラ114が媒体を挟み込む力が大きくなりすぎて、媒体の重送が発生しやすくなる。
【0058】
媒体給送装置100は、係止部124を固定させることにより、係止部124からの反力による第3の力F3を、分離ローラ114を給送ローラ113から離間させる力として分離ローラ114に付与する。これにより、媒体給送装置100は、係止部124からの反力による第3の力F3が分離ローラ114に付与される分だけ、押圧部122からの押圧力による第1の力F1を増大させることができる。したがって、媒体給送装置100は、媒体給送時に変動する第2の力F2に対して、媒体給送時に変動しない第1の力F1を大きくすることができ、媒体を安定して給送させることができる。
【0059】
なお、上記したように、第3の力F3も、第2の力F2と同様に、トルクリミッタ115にかかるトルクに依存する。しかしながら、第3の力F3は、第2伝達部125を介した第1伝達部123と係止部124の間の減速比を調整することにより、即ち第1アーム125aの長さと第2アーム125bの長さを調整することにより、調整することができる。したがって、媒体給送装置100は、第2伝達部125による減速比を調整することにより、分離ローラ114にかかる力を適切に調整しつつ、第3の力F3を増大させることができる。これにより、媒体給送装置100は、第1の力F1をより増大させることができ、媒体を安定して給送させることができる。
【0060】
特に、媒体給送装置100は、第1アーム125aの長さを第2アーム125bの長さより大きくすることにより、第1伝達部123にかかるトルクの大きさに対して、係止部124にかかるトルクの大きさを増大させ、第3の力F3をより増大させることができる。これにより、媒体給送装置100は、第1の力F1をより増大させることができ、媒体を安定して給送させることができる。
【0061】
例えば、給送ローラ113及び分離ローラ114のニップ面と平行な方向において給送ローラ113及び分離ローラ114のニップ位置を分離ローラユニット121の揺動中心から離間することにより、分離ローラユニット121の回転モーメントは低減する。また、給送ローラ113及び分離ローラ114のニップ面と直交する方向において給送ローラ113及び分離ローラ114のニップ位置を分離ローラユニット121の揺動中心に近付けることにより、分離ローラユニット121の回転モーメントは低減する。したがって、これらにより、第2の力F2を低減させることができる。しかしながら、分離ローラユニット121の形状が限定されると、媒体搬送路の形状が限定され、媒体搬送路を適切に設計することが困難になる。媒体給送装置100は、係止部124を固定させることによって、設計の自由度が制限されることを抑制しつつ、媒体を安定して給送させることができる。
【0062】
図4は、媒体給送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0063】
媒体給送装置100は、前述した構成に加えて、モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0064】
モータ131は、一又は複数のモータを含む。モータ131は、処理回路150からの制御信号によって、ピックローラ112、給送ローラ113、第1~第6搬送ローラ116a~fを回転させて媒体を給送及び搬送させる。なお、分離ローラ114は、モータからの駆動力によって回転しない。第1~第6従動ローラ117a~fは、第1~第6搬送ローラ116a~fに従動回転するのでなく、モータ131の駆動力に従って回転するように設けられてもよい。また、モータ131は、処理回路150からの制御信号によって、載置台103を移動させる。
【0065】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。通信部は、有線LAN等の通信プロトコルに従って、有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース回路を有してもよい。
【0066】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体給送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。また、コンピュータプログラムは、サーバ等から配信されて記憶装置140にインストールされてもよい。
【0067】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0068】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、媒体センサ111、撮像装置118、モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、各センサから受信した各信号に基づいて、各モータの駆動制御、撮像装置118の撮像制御等を行う。処理回路150は、撮像装置118から入力画像を取得し、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。
【0069】
図5は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0070】
図5に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141及び画像取得プログラム142等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路150は、制御部151及び画像取得部152として機能する。
【0071】
図6は、媒体給送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0072】
以下、図6に示したフローチャートを参照しつつ、媒体給送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体給送装置100の各要素と協働して実行される。
【0073】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置132から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0074】
次に、制御部151は、媒体センサ111から媒体信号を取得し、取得した媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、一連のステップを終了する。
【0075】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、モータ131を駆動して、媒体を給送可能な位置まで載置台103を上昇させるとともに、各ローラを回転させて、媒体を給送及び搬送させる(ステップS103)。
【0076】
次に、制御部151は、撮像装置118に媒体を撮像させて、撮像装置118から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS104)。
【0077】
次に、制御部151は、媒体センサ111から受信する媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS105)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、処理をステップS104へ戻し、ステップS104~S105の処理を繰り返す。
【0078】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、各ローラを停止させるように、モータ131を制御し(ステップS106)、一連のステップを終了する。
【0079】
以上詳述したように、媒体給送装置100は、動力が伝達されていない回転軸に設けられた分離ローラ114により媒体を分離する。また、媒体給送装置100は、分離ローラ114の回転に伴って分離ローラ114が給送ローラ113から離間されるように、分離ローラ114を支持する分離ローラユニット121に反力を付与する。これにより、媒体給送装置100は、装置コスト、装置サイズ及び装置重量の増大を抑制しつつ、媒体をより良好に給送することが可能となった。
【0080】
図7は、他の実施形態に係る媒体給送装置の分離ローラユニット221について説明するための模式図である。
【0081】
本実施形態に係る媒体給送装置は、分離ローラユニット121及び第2伝達部125に代えて、分離ローラユニット221及び第2伝達部225を有する。
【0082】
分離ローラユニット221は、分離ローラ114と同様の構造及び機能を有し、媒体搬送方向A2の下流側の端部に設けられた揺動軸221aを中心に揺動可能に設けられる。但し、分離ローラユニット221には、第2伝達部125に代えて、第2伝達部225が取り付けられる。
【0083】
第2伝達部225は、ギアである。第2伝達部225は、第1伝達部123と係止部124の間に設けられる。第2伝達部225は、媒体搬送方向A2において第1伝達部123と係止部124の間に配置された回転軸121bを中心として回転可能に分離ローラユニット221に取り付けられる。第2伝達部225は、第1ギア部225a及び第2ギア部225bを有する二段ギアである。第1ギア部225aには、第1伝達部123と係合する第1歯部225cが設けられる。第2ギア部225bには、係止部124と係合する第2歯部225dが設けられる。第1伝達部123と係合する第1ギア部225aの回転半径は、係止部124と係合する第2ギア部225bの回転半径より大きく、第1ギア部225aの歯数は、第2ギア部225bの歯数より多い。即ち、第2伝達部225は、第1伝達部123からの回転力を変更しつつ係止部124に伝達する減速ギアとして機能する。第2伝達部225は、第1伝達部123から伝達された、分離ローラ114が給送ローラ113に従動する方向の回転力を第1ギア部225a及び第2ギア部225bを介して係止部124に伝達する。
【0084】
第2伝達部225として汎用的な二段ギアが用いられることにより、媒体給送装置は、装置コストの増大を抑制することができる。
【0085】
本実施形態に係る媒体給送装置においても、媒体給送装置100と同様に、分離ローラ114には、第1の力F1、第2の力F2及び第3の力F3が付与される。
【0086】
第3の力F3は、媒体給送装置100における第3の力F3と同様に、係止部124からの反力による力である。分離ローラ114の媒体給送方向A22の回転力により、第2伝達部225の第1ギア部225aには、図7における時計回り方向A24の回転力が付与される。この回転力により、第2伝達部225の第2ギア部225bは、係止部124に対して、係止部124と第2ギア部225bが接する接線に沿った上方向に向かう回転力を付与する。係止部124は固定されており、第2ギア部225bは、係止部124から、係止部124と第2ギア部225bが接する接線に沿った下方向A25に向かう反力を受ける。この反力により、分離ローラユニット221全体に下方向A26に向かう揺動力が付与され、分離ローラ114には、給送ローラ113から離間する方向に向かう第3の力F3が付与される。
【0087】
第2伝達部225を介した第1伝達部123と係止部124の間の減速比Gは、例えば第1伝達部123、第1ギア部225a、第2ギア部225b及び係止部124の歯のモジュールが同一である場合、以下の式(4)により算出される。
G=(R1/R2)×(R3/R4)=(N1/N2)×(N3/N4) (4)
ここで、R1は第1伝達部123の回転半径であり、R2は第1ギア部225aの回転半径であり、R3は第2ギア部225bの回転半径であり、R4は係止部124の回転半径である。また、N1は第1伝達部123の歯数であり、N2は第1ギア部225aの歯数であり、N3は第2ギア部225bの歯数であり、N4は係止部124の歯数である。即ち、第3の力F3は、第1ギア部225aの回転半径R2及び係止部124の回転半径R4が大きいほど大きくなり、第1伝達部123の回転半径R1及び第2ギア部225bの回転半径R3が小さいほど大きくなる。また、第3の力F3は、第1ギア部225aの歯数N2及び係止部124の歯数N4が多いほど大きくなり、第1伝達部123の歯数N1及び第2ギア部225bの歯数N3が少ないほど大きくなる。
【0088】
第2伝達部225は、第2伝達部125と同様に、第1伝達部123から伝達された、分離ローラ114が給送ローラ113に従動する方向の回転力を係止部124に伝達する。特に、第2伝達部225は、係止部124により、その回転力に対して、分離ローラ114が給送ローラ113から離間されるように分離ローラユニット221を揺動させる反力が発生するように、その回転力を係止部124に伝達する。このように、第1伝達部123、係止部124及び第2伝達部225は、分離ローラ114の回転に伴って、分離ローラ114が給送ローラ113から離間されるように分離ローラユニット221を揺動させる反力を分離ローラユニット221に付与する。
【0089】
以上詳述したように、媒体給送装置は、分離ローラユニット221及び第2伝達部225を用いる場合も、装置コスト、装置サイズ及び装置重量の増大を抑制しつつ、媒体をより良好に給送することが可能となった。
【0090】
図8は、さらに他の実施形態に係る媒体給送装置の分離ローラユニット321について説明するための模式図である。
【0091】
本実施形態に係る媒体給送装置は、分離ローラユニット121、第1伝達部123、係止部124及び第2伝達部125に代えて、分離ローラユニット321及び第1伝達部323、係止部324及び第2伝達部325を有する。
【0092】
分離ローラユニット321は、分離ローラ114と同様の構造及び機能を有する。但し、分離ローラユニット321には、第1伝達部123、係止部124及び第2伝達部125に代えて、第1伝達部323、係止部324及び第2伝達部325が取り付けられる。
【0093】
第1伝達部323は、プーリである。第1伝達部323は、分離ローラ114のシャフト114aに、シャフト114aの回転と連動して回転するように設けられる。第1伝達部323は、分離ローラ114が給送ローラ113に従動する媒体給送方向A22の回転力を、第2伝達部325を介して係止部324に伝達する。
【0094】
係止部324は、プーリである。係止部324は、分離ローラユニット321の揺動軸321aに固定される。係止部324の回転半径は第1伝達部323の回転半径より大きく、係止部324の歯数は第1伝達部323の歯数より多い。
【0095】
第2伝達部325は、ベルトである。第2伝達部325は、第1伝達部323及び係止部324に係合するように第1伝達部323と係止部324の間に吊架される。第2伝達部325は、第1伝達部323から伝達された、分離ローラ114が給送ローラ113に従動する方向の回転力を係止部324に伝達する。
【0096】
第1伝達部323、係止部324及び第2伝達部325として汎用的なプーリ及びベルトが用いられることにより、媒体給送装置は、装置コストの増大を抑制することができる。
【0097】
本実施形態に係る媒体給送装置においても、媒体給送装置100と同様に、分離ローラ114には、第1の力F1、第2の力F2及び第3の力F3が付与される。
【0098】
第3の力F3は、媒体給送装置100における第3の力F3と同様に、係止部324からの反力による力である。分離ローラ114の媒体給送方向A22の回転力により、第2伝達部325には、図8における反時計回り方向A34の回転力が付与される。この回転力により、第2伝達部325は、係止部324に対して、反時計回り方向A34の回転力を付与する。係止部324は固定されており、第2伝達部325は、係止部324から、時計回り方向A35の反力を受ける。この反力により、分離ローラユニット321全体に下方向A26に向かう力(回転モーメント)が付与され、分離ローラ114には、給送ローラ113から離間する方向に向かう第3の力F3が付与される。
【0099】
第2伝達部325を介した第1伝達部323と係止部324の間の減速比Gは、以下の式(5)により算出される。
G=R1/R4=N1/N4 (5)
ここで、R1は第1伝達部323の回転半径であり、R4は係止部324の回転半径である。また、N1は第1伝達部323の歯数であり、N4は係止部124の歯数である。即ち、第3の力F3は、係止部124の回転半径R4が大きいほど大きくなり、第1伝達部123の回転半径R1が小さいほど大きくなる。また、第3の力F3は、係止部124の歯数N4が大きいほど大きくなり、第1伝達部123の歯数N1が少ないほど大きくなる。
【0100】
第2伝達部325は、第2伝達部125、225と同様に、第1伝達部323から伝達された、分離ローラ114が給送ローラ113に従動する方向の回転力を係止部324に伝達する。特に、第2伝達部325は、係止部324により、その回転力に対して、分離ローラ114が給送ローラ113から離間されるように分離ローラユニット321を揺動させる反力が発生するように、その回転力を係止部324に伝達する。このように、第1伝達部323、係止部324及び第2伝達部325は、分離ローラ114の回転に伴って、分離ローラ114が給送ローラ113から離間されるように分離ローラユニット321を揺動させる反力を分離ローラユニット321に付与する。
【0101】
以上詳述したように、媒体給送装置は、分離ローラユニット321及び第1伝達部323、係止部324及び第2伝達部325を用いる場合も、装置コスト、装置サイズ及び装置重量の増大を抑制しつつ、媒体をより良好に給送することが可能となった。
【0102】
図9は、他の実施形態に係る媒体給送装置の処理回路450の概略構成を示す図である。
【0103】
処理回路450は、媒体給送装置100の処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路450は、制御回路451及び画像取得回路452等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0104】
制御回路451は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路451は、操作装置105又はインタフェース装置132から操作信号を、媒体センサ111から媒体信号を受信する。制御回路451は、受信した各情報に基づいてモータ131を制御する。
【0105】
画像取得回路452は、画像取得部の一例であり、画像取得部152と同様の機能を有する。画像取得回路452は、撮像装置118から入力画像を取得し、インタフェース装置132に出力する。
【0106】
以上詳述したように、媒体給送装置は、処理回路450を用いる場合においても、装置コスト、装置サイズ及び装置重量の増大を抑制しつつ、媒体をより良好に給送することが可能となった。
【0107】
以上、好適な実施形態について説明してきたが、実施形態はこれらに限定されない。例えば、媒体給送装置において、給送ローラは、分離ローラに対して下側に配置され、載置台に載置された媒体を下側から順に給送及び搬送してもよい。
【符号の説明】
【0108】
100 媒体給送装置、113 給送ローラ、114 分離ローラ、115 トルクリミッタ、121、221、321 分離ローラユニット、122 押圧部、123、323 第1伝達部、124、324 係止部、125、225、325 第2伝達部
図1
図2
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図6
図7
図8
図9