(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006524
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】吐出キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20250109BHJP
F04B 9/14 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B65D47/34
F04B9/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107365
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【テーマコード(参考)】
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC04
3E084DC05
3E084EA03
3E084EB02
3E084FA01
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3H075AA01
3H075BB04
3H075CC34
3H075CC35
3H075CC36
3H075DA05
3H075DB13
3H075DB14
3H075DB38
3H075DB40
(57)【要約】
【課題】 レバーの押し下げ操作によって、押ボタン部を押圧し、ポンプ作用により容器内の内容液を吸い上げ、吐出部から吐出するとともに、不使用時にレバーを折り畳むことができる吐出キャップを提供すること。
【解決手段】 容器Aに装着されるキャップ本体Bと、キャップ本体Bの上部を覆う上蓋Cとを備える吐出キャップであって、キャップ本体Bは、容器A内の内容液を吸い上げるポンプ室αと、ポンプ室α内を加圧および減圧する押ボタン部23とを有し、上蓋Cは、ポンプ室αと連通し、吐出方向に形成される吐出部31と、吐出部31の上部に形成される頂壁33と、頂壁33に開口され、内方に吐出方向から押し下げ可能な押圧部38が形成される頂壁窓部36と、頂壁33の吐出側からヒンジ部34を介して折り畳まれるレバー35とを有し、レバー35は、ヒンジ部34で折り返すことにより、押圧部38を介して押ボタン部23を押圧することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に装着されるキャップ本体と、キャップ本体の上部を覆う上蓋とを備える吐出キャップであって、
キャップ本体は、容器内の内容液を吸い上げるポンプ室と、ポンプ室内を加圧および減圧する押ボタン部とを有し、
上蓋は、ポンプ室と連通し、吐出方向に形成される吐出部と、吐出部の上部に形成される頂壁と、頂壁に開口され、内方に吐出方向から押し下げ可能な押圧部が形成される頂壁窓部と、頂壁の吐出側からヒンジ部を介して折り畳まれるレバーとを有し、
レバーは、ヒンジ部で折り返すことにより、押圧部を介して押ボタン部を押圧することを特徴とする吐出キャップ。
【請求項2】
押圧部は、頂壁窓部に破断可能な弱化部を介して接続されることを特徴とする請求項1に記載の吐出キャップ。
【請求項3】
容器は、外容器と内容器からなり、内容器を減容変形させて内容液を吐出すると、外容器と内容器との間に外気が導入されて、外容器のみを元の形状に保持する二重容器であり、
ポンプ室は、減圧時に開口し、内容器からポンプ室内に内容液を吸い上げる第1弁部と、加圧時に開口し、ポンプ室から内容液を吐出部に吐出する第2弁部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の吐出キャップ。
【請求項4】
上蓋は、ヒンジを介してキャップ本体に連設されることを特徴とする請求項1または2に記載の吐出キャップ。
【請求項5】
上蓋は、ヒンジを介してキャップ本体に連設されることを特徴とする請求項3に記載の吐出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出キャップに関し、特に、容器内の内容液を押ボタン部の押圧により吐出部から吐出する吐出キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の食品調味料をはじめ、化粧料や薬剤等の内容液を収容する容器に装着され、押ボタン部を押圧し、ポンプ作用により内容液を吐出部から吐出する吐出キャップが知られている。
さらに、この種の吐出キャップの操作性を向上するために、押しボタン部を押圧する押圧操作体を着脱自在に装着し、押ボタン部の押圧操作を改善した吐出キャップも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の吐出キャップでは、押圧操作体の操作レバー部の押え板部を押圧操作し、操作レバー部のヒンジ部を軸に押え板部を押し下げることにより、テコの作用により小さい力で押ボタン部を押圧することができるようになった。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の吐出キャップは、押圧操作体を装着したままでは、不使用時に操作レバー部が邪魔になり、また、押圧操作体を外してしまうと紛失するおそれがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、レバーの押し下げ操作によって、押ボタン部を押圧し、ポンプ作用により容器内の内容液を吸い上げ、吐出部から吐出するとともに、不使用時にレバーを折り畳むことができる吐出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、吐出キャップとして、容器に装着されるキャップ本体と、キャップ本体の上部を覆う上蓋とを備える吐出キャップであって、キャップ本体は、容器内の内容液を吸い上げるポンプ室と、ポンプ室内を加圧および減圧する押ボタン部とを有し、上蓋は、ポンプ室と連通し、吐出方向に形成される吐出部と、吐出部の上部に形成される頂壁と、頂壁に開口され、内方に吐出方向から押し下げ可能な押圧部が形成される頂壁窓部と、頂壁の吐出側からヒンジ部を介して折り畳まれるレバーとを有し、レバーは、ヒンジ部で折り返すことにより、押圧部を介して押ボタン部を押圧することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
吐出キャップの実施形態として、押圧部は、頂壁窓部に破断可能な弱化部を介して接続されることを特徴とする構成、また、容器は、外容器と内容器からなり、内容器を減容変形させて内容液を吐出すると、外容器と内容器との間に外気が導入されて、外容器のみを元の形状に保持する二重容器であり、ポンプ室は、減圧時に開口し、内容器からポンプ室内に内容液を吸い上げる第1弁部と、加圧時に開口し、ポンプ室から内容液を吐出部に吐出する第2弁部とを有することを特徴とする構成、また、上蓋は、ヒンジを介してキャップ本体に連設されることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吐出キャップは、上記構成を採用することにより、使用時に、折り畳まれたレバーのヒンジ部を折り返し、レバーを押し下げることによって、押圧部を介して押ボタン部を押圧し、ポンプ作用により容器内の内容液を吸い上げ、吐出部から吐出することができる。
また、本発明の吐出キャップは、押圧部が、頂壁窓部に破断可能な弱化部を介して接続されることにより、弱化部の破断の有無を視認することで、容器の使用の有無を確認することができるので、不正使用を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例である吐出キャップを装着した二重容器の閉蓋時の側面断面図である。
【
図2】本発明の実施例である吐出キャップの閉蓋時の図で、(a)は上面図、(b)は吐出方向からの正面図である。
【
図3】本発明の実施例である吐出キャップの開蓋時の上面図である。
【
図4】本発明の実施例のキャップ本体および上蓋の閉蓋時の側面断面図である。
【
図5】本発明の実施例の栓体および第1弁部を示す図で、(a)は上面図、(b)は側面半断面図である。
【
図6】本発明の実施例である吐出キャップのレバーを背面方向側に折り返した時の側面断面図である。
【
図7】本発明の実施例である吐出キャップのレバーを押し下げた時の側面断面図である。
【
図8】本発明の実施例である吐出キャップのレバーの押し下げを解除した時の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の吐出キャップの実施形態について、実施例をあげ、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、
図1でみて、上方向を「上」、下方向を「下」、左方向を「吐出方向」、右方向を「背面方向」とする。
【0012】
(実施例)
図1において、Aは二重容器、Bは二重容器Aに装着されるキャップ本体、Cはキャップ本体BにヒンジDを介して連設される上蓋、Eは二重容器Aの口筒部1の開口を塞ぐとともに、キャップ本体B内に装着される栓体、Fは栓体Eの上面に装着され、逆止弁の機能を有する(開口からの内容液の戻りを止める)第1弁部であり、キャップ本体Bと、上蓋Cと、ヒンジDと、栓体Eと、第1弁部Fとにより吐出キャップが構成されている。
また、栓体Eの下部には、パイプPが装着されている。
【0013】
キャップ本体Bの本体部B1と上蓋CとヒンジDは、ある程度の剛性を有し、変形し難いポリプロピレンやポリエチレンなどの通常の基本樹脂Gで形成され、キャップ本体Bの押圧変形部B2は、弾性変形可能なエラストマーや低密度ポリエチレンなどの軟質材の弾性樹脂Hで形成されている。
【0014】
図1に示すように、二重容器Aは、外容器A1と、外容器A1の内側で外容器A1に対して剥離可能に積層される内容器A2とを有する積層剥離容器(デラミ容器)として形成され、外容器A1の口筒部1の上端面2には、内容器A2の端部3が積層されており、外容器A1内を閉塞している。
外容器A1の口筒部1の外周面には、上部に雄ねじ部5が形成され、その下に係合突条6が突設され、口筒部1の雄ねじ部5下端部付近の所定の個所には、雄ねじ部5の外側から内方に貫通し、外容器A1と内容器A2との間に外気を導入するための貫通口7が穿設され、また、雄ねじ部5の貫通口7が位置する個所には、上下方向に切り欠く溝部8が形成されている。
【0015】
内容器A2は、減容変形可能な樹脂で、外容器A1は、ある程度保形性のある樹脂で形成され、内容液の使用により内容器A2が外容器A1内で剥離して減容変形するとともに、貫通口7から外容器A1と内容器A2との間に外気が吸入され、外容器A1が復元される。
なお、内容器A2は、外容器A1内で剥離しないものでも、減容変形可能であれば、どのような形態(例えば、外容器内に収容された減容可能な内容器などの二重容器等)でも構わない。また、外容器A1は、胴部をスクイズ可能な形態としてもよい。
【0016】
キャップ本体Bと上蓋Cは、ヒンジDを介して開蓋した状態で形成されるキャビティ(第1金型)とコア(第2金型)とを係合させ、基本樹脂Gを射出して全体を形成した後、コアをキャビティに対してコアバックし、エラストマーなどの軟質材の弾性樹脂Hを射出し、キャップ本体Bの本体部B1の内方に押圧変形部B2を一体的に成形する二色成形技術(コアバック)で形成される。
また、二色成形技術に限らずインサート成形などで一体的に成形することができ、基本樹脂Gの部分と弾性樹脂Hの部分とを一体的に成形できれば、成形方法は問わない。なお、押圧変形部B2については、キャップ本体Bに接着や嵌合によって一体的に成形しても構わない。
本実施例では、キャップ本体Bと上蓋CをヒンジDを介して一体成形しているが、上蓋Cをキャップ本体Bに装着できれば、ヒンジDを無くして別体で成形するものでもよい。
【0017】
キャップ本体Bは、
図1~
図4に示すように、本体部B1と本体部B1の内方に形成される押圧変形部B2とから構成されている。
本体部B1は、基本樹脂Gにより形成され、二重容器Aの口筒部1の外周に装着される外周筒壁10と、外周筒壁10の上端内縁から内方に延設され、下面に栓体Eおよび第1弁部Fの外周上端面が係合して装着されるリング状の上壁11とを備えている。
【0018】
上壁11には、
図3に示すように、上から見て、ヒンジDから左側90°の位置に、流路開口12aが穿設され、流路開口12aの周囲から流路筒12が立設され、さらに、流路筒12の外周右側に隣接する直線状の直線縁13aと、直線縁13aの両端から流路筒12と反対側に上壁11の周縁から所定間隔を隔てて円弧状に湾曲する円弧縁13bとを形成するように、上から見て半月形状のボタン開口13が開口されており、押圧変形部B2の一部がボタン開口13を貫き上壁11の上方に突出して一体的に成形される。
流路筒12の内周下部には、流路開口12aの内周から突設される抜け止め突部14が複数配設されている。
【0019】
外周筒壁10の内周には、上部に栓体Eの外周と係合し固定する装着部15と、装着部15より間隔面10aを開けて下方に、二重容器Aの口筒部1に設けられた雄ねじ部5の外周部と係合(螺合)する縦リブ16が等間隔に複数配設され、縦リブ16より下方は係合突条6外周面と密着する内周下部面10bとなっており、また、装着部15の所定の個所には、上下に外気を案内する案内溝17が凹設されている。なお、本実施例では、キャップを二重容器Aに打栓して装着し、それぞれの縦リブ16の内側には、クリープ現象により応力緩和が生じることによって、口筒部1の雄ねじ部5の形状が転写され、ねじ溝が形成される。また、外周筒壁10に設けた縦リブ16を雄ねじ部5に、口筒部に設けた雄ねじ部5を縦リブ16に入れ替えてもよい。
外周筒壁10の外周には、上端部の所定の位置に、ヒンジDが連設されている。
【0020】
上壁11には、外周に上蓋Cの閉蓋を維持する蓋係合部18が設けられ、さらに、ヒンジD側に、上面から内面に貫通し、外周筒壁10の案内溝17に外気を導入する外気導入孔19が形成され、下面に、第1弁部Fを固定して装着する下凹部20が形成されている。
【0021】
押圧変形部B2は、弾性樹脂Hにより形成され、上壁11の下面に一体的に成形される平壁部22と、流路開口12a下端から下方に向けて形成され、下端内周が流路開口12aの内径より縮径される平壁部22の弁座開口22aと、平壁部22からボタン開口13を貫通し、ボタン開口13の上から見て半月形状に沿って上方に傾斜して延び、上壁11の上面から突出するとともに、内方を塞ぐドーム状の押ボタン部23とを備えている。
【0022】
押ボタン部23は、ボタン開口13の直線縁13aに沿って内方に傾斜して上方に延びる直線状傾斜壁24と、円弧縁13bに沿って内方に傾斜して上方に延びる円弧状傾斜壁25と、それぞれの上端内周から延びて塞ぐ天壁26とから構成され、上から見て半月形状のドーム状に形成されている。
【0023】
キャップ本体Bの成形時には、上壁11の流路開口12aの内周と、平壁部22の弁座開口22aの縁上面との間に、移動可能な金属あるいは合成樹脂からなるボール弁28を封入して第2弁部27が構成される。
第2弁部27は、平常時、ボール弁28が弁座開口22aを塞ぎ、内容液の吐出時に、押圧変形部B2の押ボタン部23を押圧し、後述するポンプ室α内の圧力が上昇したときに、ボール弁28が押され、弁座開口22a縁から離されて開口するとともに、複数の抜け止め突部14の内方に当接して止められるまで、移動できるように構成されるとともに、複数の抜け止め突部14の間および第2弁部27内周とボール弁28外周との間を流路としている。
【0024】
上蓋Cは、キャップ本体Bの上部外周に装着される装着壁30と、装着壁30の上方に、吐出方向側の吐出部31と、吐出部31の両側から背面方向を囲うように側壁部32が立設され、側壁部32上端内方に頂壁33が連設され、吐出部31の吐出方向側上端には、ヒンジ部34を介して吐出方向側と背面方向側とに反転回動可能に連設されるレバー35が形成されている。
【0025】
頂壁33の内方には、吐出部31の背面方向側を直線部36aとし、直線部36aの両側端から背面方向に伸びるとともに内方に湾曲する円弧部36bとする頂壁窓部36が開口され、吐出部31の直線部36a端に変形可能な薄肉部37を介して連設されるとともに、円弧部36bに沿って間に隙間をつくるように縮径された形の押圧部38が形成されており、押圧部38は、頂壁窓部36の円弧部36bの背面方向両側と破断可能な弱化部39を介して接続されている。
また、頂壁窓部36の円弧部36bの背面方向側中央から所定の幅で側壁部32下端まで切り欠き部40が切り欠かれている。
装着壁30の内周下端部には、閉蓋時にキャップ本体Bの蓋係合部18と嵌合し、閉蓋を維持する係合部42が形成されている。
【0026】
吐出部31は、吐出方向側中央上部に吐出口45aを穿設した吐出口部45が突設され、下面の背面方向側中央に、装着時にキャップ本体Bの本体部B1の流路筒12内周に嵌入し、密封する流路内筒46が垂設され、吐出口部45の吐出口45aと流路内筒46の内周との間は、流路47を介して連通している。
吐出部31は、背面方向側上端に、薄肉部37を介して押圧部38が連設され、吐出方向側上端の吐出口部45を避けた両側からヒンジ部34を介してレバー35が連設されている。
【0027】
レバー35は、吐出方向側に倒したときに、
図1、
図2および
図4に示すように、一対のヒンジ部34から吐出口部45の両側面に沿って吐出方向側下方に伸びる二又部50と、二又部50の下部を繋ぐとともに、装着壁30に沿って形成される連結部51と、連結部51の下端中央から、キャップ本体Bの外周筒壁10に沿って下方に伸びる操作部52とから構成されている。
【0028】
また、レバー35は、ヒンジ部34を介してレバー35を反転する際に、連結部51が、吐出口部45の先端と当接しない高さで設定され、反転させ、背面方向側に折り返したときに、
図6に示すように、連結部51の壁面が押圧部38上面の背面方向側に当接するようになっており、背面方向側に折り返した後、レバー35の操作時には、
図7に示すように、操作部52は、切り欠き部40内方で上下動可能な幅で形成されている。
ヒンジ部34は、レバー35を吐出部31に対して吐出方向側と背面方向側とに反転可能かつ所定の角度で折り畳み固定できるよう形成されている。
【0029】
図1および
図5に示すように、栓体Eは、外周がキャップ本体Bの外周筒壁10内周の装着部15に係合し固定されるとともに、下面が二重容器Aの内容器A2の端部3上面に当接するリング状の外壁部55と、外壁部55の下面から垂設され、内容器A2の内周上部に挿入される内筒56と、外壁部55の内周上端を塞ぐ隔壁栓部57とから構成されている。
また、外壁部55の外周縁には、キャップ本体Bと係合する位置決め凹部55aが凹設され、さらに、外壁部55の上面には、第1弁部Fを装着する上凹部58が凹設され、隔壁栓部57には、中央位置に上下を貫通する栓開口59が形成され、下面の栓開口59縁には、内方にパイプPを装着する装着筒60が垂設されている。
【0030】
図1および
図5に示すように、第1弁部Fは、上部がキャップ本体Bの上壁11の下凹部20に係合する上係合筒部65と、上係合筒部65の内周下部から内方に延設されるとともに、栓体Eの隔壁栓部57の上面に装着される隔壁弁部66と、隔壁弁部66の下面から垂設され、栓体Eの外壁部55の上凹部58に係合する下係合筒部67と、隔壁弁部66の上面から立設される突出部68とから構成されている。
上係合筒部65には、外周面から径方向外側に向けて形成され、栓体Eの位置決め凹部55aと係合可能な位置決め凸部65a(本実施例では、周方向に間隔をおいて3個所)が突設されている。
なお、本実施例では、突出部68は、第1弁部Fから第2弁部27に向けて立設されているが、これに限らず、栓体Eから第1弁部Fを貫通して、第2弁部27に向けて突出部68を立設してもよい。
【0031】
隔壁弁部66には、中央位置を中心として開口した弁口69と、弁口69内縁と間に隙間69aを介在し、栓体Eの隔壁栓部57の栓開口59周辺の上面と当接して栓開口59を塞ぐ弁板70と、弁口69と弁板70とを連設するとともに、変形可能に形成される複数(本実施例では等間隔で3個)の変形連結片71とが配設されている。
【0032】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例の吐出キャップは、
図3に示すように、キャップ本体Bと上蓋CとをヒンジDを介して開蓋した状態で、基本樹脂Gと弾性樹脂Hとで、二色成形により一体的に成形される。
また、図示はしないが、レバー35はヒンジ部34を介して上蓋C全体の成形に邪魔にならない角度で成形される。
【0033】
キャップの成形後は、ヒンジDを支点として折り曲げ、キャップ本体Bに対して上蓋Cを閉蓋方向に回動させて閉蓋するとともに、レバー35を上蓋Cに対して吐出方向側に折り畳む。
閉蓋時には、
図1に示すように、キャップ本体Bの外周筒壁10より上方を上蓋Cが覆うとともに、上蓋Cの装着壁30の内周に設けられた係合部42は、キャップ本体Bの上壁11外周の蓋係合部18に嵌合して、閉蓋状態を維持する。
【0034】
また、上蓋Cの流路内筒46の外周は、キャップ本体Bの流路筒12の内周上部に挿入され、流路筒12内を密封するとともに、流路筒12内から上蓋Cの流路47を介して吐出口部45の吐出口45aまで開通される。
さらに、上蓋Cの頂壁33内の押圧部38下面が、キャップ本体Bの押圧変形部B2の押ボタン部23の天壁26上面に当接または近接する。
【0035】
次に、栓体Eの位置決め凹部55aに第1弁部Fの位置決め凸部65aを係合させるように、上方から第1弁部Fを挿入し、栓体Eと第1弁部Fの位置合わせをして、栓体Eの外壁部55の上凹部58に第1弁部Fの下係合筒部67を係合させて装着する。
その際、第1弁部Fの弁板70下面は、栓体Eの栓開口59付近の隔壁栓部57上面に密着して栓開口59を閉塞する。
【0036】
第1弁部Fを装着した栓体Eは、位置決め凹部55aがキャップ本体Bの位置決め部(図示せず)に来るように位置合わせして、キャップ本体Bの下方から装着し、本実施例の吐出キャップとしてセットが完了する。
また、キャップ本体Bの押圧変形部B2の下面と、上壁11の内方面と、第1弁部Fの上面および内側面とでポンプ室αが形成される。
【0037】
次いで、セットされた吐出キャップの栓体Eの装着筒60内に、パイプPを装着した後、キャップ本体Bを、内容器A2に内容液が充填された二重容器Aの口筒部1に打栓すると、キャップ本体Bの縦リブ16の内側に雄ねじ部5の形状が転写され、縦リブ16に形成されたねじ溝を二重容器Aの雄ねじ部5に係合させるとともに、栓体Eの外壁部55下面および内筒56外周面は、二重容器Aの内容器A2の端部3上面および内周面に密着する。
本実施例では、吐出キャップを二重容器Aの口筒部1に打栓によって装着しているが、口筒部1に螺設された雄ねじ部5に、キャップ本体Bの外周筒壁10に螺設された雌ねじ部を螺合させて装着してもよい。
【0038】
セットしたキャップ本体Bの外周筒壁10の内周下部面10bに外容器A1の係合突条6外周が密着し、下方から外周筒壁10内が密封される。
また、キャップ本体Bの上壁11に開口した外気導入孔19から、外周筒壁10の装着部15の案内溝17、間隔面10aと二重容器Aの外周との隙間、外容器A1の雄ねじ部5の溝部8を導入路として、貫通口7から二重容器Aの外容器A1と内容器A2との間に外気が導入される。
【0039】
本実施例の容器をセットした後は、上蓋Cがキャップ本体Bの押圧変形部B2の押ボタン部23を覆うので、容器が落下しても、押ボタン部23を押してしまうことが無く、吐出口部45から液が漏れ出すことがない。
【0040】
二重容器A内の内容液を使用するには、最初に、吐出方向側にある上蓋Cのレバー35の操作部52に指を掛け、ヒンジ部34を支点に持ち上げ、操作部52側を背面方向側に反転させると、
図6に示すように、ヒンジ部34は、折り返されるとともに、レバー35は、上蓋Cに対して操作部52が背面方向側に来るように反転し、レバー35の連結部51は、上蓋Cの頂壁33の頂壁窓部36内の押圧部38上面に当接する。
【0041】
次に、レバー35をヒンジ部34を支点に押し下げると、
図7に示すように、連結部51は、押圧部38を押し込み、吐出部31に対して薄肉部37を介して押圧部38の背面方向側が押し下げられていく。
レバー35とともに押圧部38が薄肉部37を支点に背面方向側が押し下げられると、押圧部38は、頂壁33の頂壁窓部36と連設する弱化部39を破断して下降し、押圧部38の背面方向側下面が当接するキャップ本体Bの押圧変形部B2の押ボタン部23の天壁26を押圧するようになる。
押ボタン部23が押圧されると、押圧変形部B2の変形により、ポンプ室α内が加圧され、加圧されたポンプ室α内の空気は、第1弁部Fの弁板70を栓体Eの隔壁栓部57に押し付けるとともに、第2弁部27のボール弁28を押し上げ、弁座開口22a縁から離されることにより開口され、ボール弁28外周との間を流通路とし、流路筒12内から流路47を介して吐出口部45の吐出口45aから外に排出される。
【0042】
その後、レバー35による押ボタン部23の押圧を解除すると、押圧変形部B2の変形が復元していき、天壁26を押し上げ、押圧部38とレバー35の背面方向側を押し戻していくとともに、ポンプ室α内が負圧になる。
ポンプ室α内が負圧になると、第2弁部27のボール弁28は、弁座開口22aに向けて吸引され、再び弁座開口22aを塞ぐとともに、第1弁部Fの変形連結片71を介して連結された弁板70がポンプ室α内に向けて吸引され、弁板70は、栓体Eの隔壁栓部57上面から離れ、栓開口59が開口することにより、栓開口59およびパイプPを介して内容器A2内の内容液がポンプ室α内に吸い込まれる。
なお、本実施例では、第1弁部Fの突出部68は、上端面が第2弁部27のボール弁28と近接するように形成されているので、ボール弁28が弁座開口22aから抜け落ちることを防止できる。
【0043】
押圧変形部B2の変形が復元し終わると、
図8に示すように、ポンプ室α内が常圧に戻り、第1弁部Fの弁板70の吸引が止まり、弁板70が元の位置に戻り、弁板70と栓体Eの隔壁栓部57上面が密着し、速やかに栓開口59が封鎖され、ポンプ室α内に吸い込まれた内容液が残る。
同時に、内容器A2内の内容液が減少する。
【0044】
再び、レバー35により、押圧部38を介してキャップ本体Bの押ボタン部23を押圧すると、ポンプ室α内に残った内容液が加圧され、第2弁部27のボール弁28を押し出し、弁座開口22aを開口させ、加圧された内容液を流路開口12aを介して流路筒12内に流入させるので、押ボタン部23を押圧した分だけ内容液を流路筒12から流路47を介して吐出口部45の吐出口45aから吐出できる。
【0045】
レバー35による押ボタン部23の押圧および解除を繰り返すことで、内容液をポンプ室α内に吸い込んだ後、ポンプ室αから弁座開口22aおよび流路47を介して吐出口部45の吐出口45aから外部へ吐出することができる。
また、レバー35による押ボタン部23の押圧を解除すると、ポンプ室α内が負圧になり、ボール弁28を吸引し、弁座開口22aと密着し、弁座開口22aを塞ぐので、ポンプ室α内の負圧とボール弁28の着座のタイムラグにより、弁座開口22aから流路筒12内に残った内容液を内容器A2内にサックバックする(引き戻す)ので、内容液が外に垂れることがない。
【0046】
内容液は、使用することにより、内容器A2を減容しながらポンプ室α内に移動するので、最初の2、3回の押圧操作で、内容器A2内に残った空気およびポンプ室α内に残った空気を第2弁部27から排出でき、以降は、内容液に空気が触れることを抑制することができる。
【0047】
内容液の使用が終わり、容器の使用を止める際には、背面方向側にあるレバー35の操作部52に指を掛け、ヒンジ部34を支点に持ち上げ、吐出方向側に反転させて戻す。
レバー35を戻すと、上蓋Cの押圧部38を押し下げ、押圧変形部B2の押ボタン部23を押し下げることが無くなり、かつ、
図1に示すように、上蓋Cがキャップ本体Bの押圧変形部B2の押ボタン部23をカバーするので、ポンプ室αを加圧することを防止でき、吐出口部45から内容液が外に漏れることがない。
【0048】
最初に、レバー35の操作部52を押し下げることにより、押圧部38が押し下げられ、頂壁33の頂壁窓部36と連設する弱化部39を破断するので、内容物使用後に、レバー35を吐出方向側に戻しても、頂壁33の上方から視認して、弱化部39の破断の有無を確認することで、容器の使用の有無を確認することができるので、悪戯や不正使用を防止することができる。
【0049】
本実施例の吐出キャップは、キャップ本体Bの押圧変形部B2を弾性変形可能な弾性樹脂Hとし、キャップ本体Bの本体部B1を基本樹脂Gとして、両樹脂を一体的に成形することができるので、別々の樹脂で成形した後、組み立てる手間がなく、また、組み立て後に外れることもないので、生産性がよく、また、一体的に成形される弾性樹脂Hの押圧変形部B2を押したときの使用感および弾性変形の安定感がよい。
【0050】
レバー35の操作部52をヒンジ部34を支点に押し下げ、押圧部38を押し下げて押圧変形部B2を変形させるので、操作部52の背面方向側端を押し下げることで、てこの原理で、より弱い力で押圧変形部B2を変形させることができる。
また、押圧変形部B2の復元により、レバー35および押圧部38のヒンジ部34および薄肉部37を支点として押し上げられるので、より弱い力で押し戻すことができる。
さらに、レバー35は、操作部52の背面方向側を操作するので、吐出口部45から離れた位置で操作でき、レバー35の操作中に吐出口45aから吐出する内容液で、手指などを汚すことがない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の吐出キャップは、使用時に、折り畳まれたレバーのヒンジ部を折り返し、レバーを押し下げることによって、押圧部を介して押ボタン部を押圧し、ポンプ作用により容器内の内容液を吸い上げ、吐出部から吐出することができるので、各種の食品調味料をはじめ、化粧料や薬剤等の内容液を収容する容器の吐出キャップとして好適である。
【符号の説明】
【0052】
A 二重容器
A1 外容器
A2 内容器
B キャップ本体
B1 本体部
B2 押圧変形部
C 上蓋
D ヒンジ
E 栓体
F 第1弁部
G 基本樹脂
H 弾性樹脂
P パイプ
α ポンプ室
1 口筒部
2 上端面
3 端部
5 雄ねじ部
6 係合突条
7 貫通口
8 溝部
10 外周筒壁
10a 間隔面
10b 内周下部面
11 上壁
12 流路筒
12a 流路開口
13 ボタン開口
13a 直線縁
13b 円弧縁
14 抜け止め突部
15 装着部
16 縦リブ
17 案内溝
18 蓋係合部
19 外気導入孔
20 下凹部
22 平壁部
22a 弁座開口
23 押ボタン部
24 直線状傾斜壁
25 円弧状傾斜壁
26 天壁
27 第2弁部
28 ボール弁
30 装着壁
31 吐出部
32 側壁部
33 頂壁
34 ヒンジ部
35 レバー
36 頂壁窓部
36a 直線部
36b 円弧部
37 薄肉部
38 押圧部
39 弱化部
40 切り欠き部
42 係合部
45 吐出口部
45a 吐出口
46 流路内筒
47 流路
50 二又部
51 連結部
52 操作部
55 外壁部
55a 位置決め凹部
56 内筒
57 隔壁栓部
58 上凹部
59 栓開口
60 装着筒
65 上係合筒部
65a 位置決め凸部
66 隔壁弁部
67 下係合筒部
68 突出部
69 弁口
69a 隙間
70 弁板
71 変形連結片