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特開2025-6549ペレット製造装置及びペレット製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006549
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ペレット製造装置及びペレット製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/06 20060101AFI20250109BHJP
   B29B 7/38 20060101ALI20250109BHJP
   B29B 7/58 20060101ALI20250109BHJP
   B29B 7/72 20060101ALI20250109BHJP
   B29C 48/345 20190101ALI20250109BHJP
   B29C 48/25 20190101ALI20250109BHJP
   B29C 48/05 20190101ALI20250109BHJP
   B29C 48/88 20190101ALI20250109BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20250109BHJP
【FI】
B29B9/06
B29B7/38
B29B7/58
B29B7/72
B29C48/345
B29C48/25
B29C48/05
B29C48/88
B29C48/92
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107413
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 亮
(72)【発明者】
【氏名】木村 公一
【テーマコード(参考)】
4F201
4F207
【Fターム(参考)】
4F201AJ08
4F201AP05
4F201AP06
4F201AP11
4F201AR06
4F201AR07
4F201AR09
4F201BA01
4F201BA02
4F201BC01
4F201BC02
4F201BC13
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK74
4F201BL08
4F201BL23
4F201BL25
4F201BL36
4F207AJ08
4F207AP05
4F207AP06
4F207AP11
4F207AR06
4F207AR07
4F207AR09
4F207KA01
4F207KA17
4F207KL64
4F207KM06
4F207KM16
4F207KW23
(57)【要約】
【課題】ペレットの製造開始前の準備段階で、ストランドの直径にばらつきが生じることを抑制する。
【解決手段】ペレット製造装置10は、押出部20と、掴み部42と、移動部50と、ストランドカッター56と、を備える。押出部20は、溶融樹脂Rを紐状のストランドSとして押し出す。掴み部42は、押出部20から押し出されたストランドSを掴む。移動部50は、掴み部42を移動させる。ストランドカッター56は、掴み部42の移動によって搬送されたストランドSを切断する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融された樹脂材を紐状のストランドとして押し出す押出部と、
前記押出部から押し出された前記ストランドを掴む掴み部と、
前記掴み部を移動させる移動部と、
前記掴み部の移動によって搬送された前記ストランドを切断する切断部と、
を備える、ペレット製造装置。
【請求項2】
前記掴み部は、回転可能に設けられ前記ストランドを挟むローラー対を有する、
請求項1に記載のペレット製造装置。
【請求項3】
前記押出部と前記切断部との間に位置し前記ストランドを冷却する冷却部をさらに備える、
請求項1に記載のペレット製造装置。
【請求項4】
前記冷却部は、前記押出部と前記掴み部との間に位置し前記ストランドを冷却する上流冷却部を有する、
請求項3に記載のペレット製造装置。
【請求項5】
前記冷却部は、
液体を収容する収容槽と、
前記押出部と前記切断部との間に位置し前記ストランドを前記液体に浸漬させる浸漬部材と、
を有する、
請求項3に記載のペレット製造装置。
【請求項6】
前記押出部の位置に対する前記収容槽の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部で検出された前記収容槽の位置の検出結果に基づいて、前記収容槽の位置を変更する位置変更部と、
をさらに備える、
請求項5に記載のペレット製造装置。
【請求項7】
前記冷却部は、
前記液体の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部で測定された温度に基づいて前記液体の温度を変更する温度変更部と、
を有する、
請求項5に記載のペレット製造装置。
【請求項8】
前記押出部と前記切断部との間に位置し前記ストランドを支持する支持部をさらに備える、
請求項1に記載のペレット製造装置。
【請求項9】
前記支持部は、
前記ストランドに対する位置を変更可能に設けられた変位部材と、
前記変位部材に回転可能に設けられ、前記ストランドを支持する支持ローラーと、を備える、
請求項8に記載のペレット製造装置。
【請求項10】
前記切断部は、前記ストランドを挟むと共に回転しながら前記ストランドを搬送する一対の回転部材を有し、
前記ストランドの搬送方向と交差する交差方向の直径を計測する計測部と、
前記計測部で計測された前記ストランドの直径に基づいて前記一対の回転部材の回転速度を制御する制御部と、をさらに備える、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のペレット製造装置。
【請求項11】
以下の工程を含む、ペレット製造方法:
(a)溶融された樹脂材を紐状のストランドとして押出部から押し出す工程;
(b)前記押出部から押し出された前記ストランドを掴み部で掴む工程;
(c)前記掴み部を移動部によって移動させることで前記ストランドを切断部まで搬送する工程;
(d)前記切断部が前記ストランドを切断する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペレット製造装置及びペレット製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ペレット製造装置が示されている。ダイから吐出されたストランドは、冷却槽で固化された後、ストランドカッターに送られて切断されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-134497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、ペレットの製造開始前の準備段階で、ストランドの先端部分をストランドカッターまで到達させる構成について開示がない。ユーザーが手作業でストランドをストランドカッターまで搬送してから製造を開始する場合、ユーザーの技量に応じてストランドに作用する外力の大きさが異なることで、ストランドの直径にばらつきが生じる可能性がある。このため、ペレットの製造開始前の準備段階では、ストランドの取り扱いについて改善の余地がある。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、ペレットの製造開始前の準備段階で、ストランドの直径にばらつきが生じることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によるペレット製造装置では、掴み部が、押出部から押し出されたストランドを掴む。移動部は、掴み部を移動させる。
【0007】
一実施形態によるペレット製造方法は、押出部から押し出されたストランドを掴み部で掴む工程と、掴み部を移動部によって移動させることでストランドを切断部まで移動する工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るペレット製造装置によれば、ペレットの製造開始前の準備段階で、ストランドの直径にばらつきが生じることを抑制することができる。
【0009】
本開示に係るペレット製造方法によれば、ペレットの製造開始前の準備段階で、ストランドの直径にばらつきが生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るペレット製造装置を示す正面図である。
図2図1のペレット製造装置のブロック図である。
図3図1のペレット製造装置を用いてペレットが製造されている状態を示す正面図である。
図4図1のペレット製造装置のダイから溶融樹脂が押し出されることでストランドとなる状態を示す平面図である。
図5図1のペレット製造装置の搬送部を拡大した正面図である。
図6図1のペレット製造装置の上流側支持部を拡大した正面図である。
図7図1のペレット製造装置の下流側支持部を拡大した正面図である。
図8図1のペレット製造装置でペレット製造開始前の動作確認が行われている状態を示す正面図である。
図9図1のペレット製造装置でペレット製造開始前のストランドを搬送する動作が開始された状態を示す正面図である。
図10図1のペレット製造装置でペレット製造開始前のストランドを搬送する動作の途中の状態を示す正面図である。
図11図1のペレット製造装置でストランドを搬送する動作が終了した状態を示す正面図である。
図12】変形例1のペレット製造装置を示す正面図である。
図13】変形例2のペレット製造装置の搬送部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0012】
〔ペレット製造装置の構成〕
図1には、本実施の形態のペレット製造装置10が示されている。図2には、ペレット製造装置10の各構成のブロック図が示されている。図1に示されるように、ペレット製造装置10は、工場の床面2に設置されている。以下では、床面2が水平面であると仮定して、各方向を定義すると共に各構成の配置を説明する。床面2には、後述する台座14が設けられている。台座14は、上面14Aを有する。
【0013】
図2に示されるように、ペレット製造装置10は、押出部20と、制御部30と、掴み部42と、移動部50と、ストランドカッター56と、を備える。さらに、ペレット製造装置10は、操作パネル12と、上流カッター16と、冷却部60(図1)と、水槽位置検出部82と、水槽位置変更部86と、支持部110(図1)と、計測部130と、を備える。なお、図2に示された上記以外の構成については、後述する。
【0014】
ペレット製造装置10の動作開始、動作停止及び動作設定は、操作パネル12がユーザーによって操作されることで行われる。操作パネル12は、一例として、タッチパネルで構成されており、情報の入力及び表示が可能となっている。
【0015】
図8に示されるように、ペレット製造装置10では、ペレットP(図3)の製造が開始される前の準備段階の1つとして、ストランドSの仮押し出しが行われる。なお、ストランドSの仮押し出しについては、後述する。
【0016】
図9に示されるように、ペレット製造装置10では、ペレットPの製造開始前の準備段階の1つとして、押出部20から押し出されたストランドSが、冷却部60にて冷却されると共に、掴み部42及び移動部50によってストランドカッター56へ搬送される。なお、掴み部42及び移動部50によるストランドSの搬送は、ストランドSの仮押し出しが行われた後に実行される。
【0017】
図3に示されるように、ペレット製造装置10では、ペレットPの製造が開始された場合、押出部20から押し出されたストランドSが、冷却部60で冷却されながら搬送され、ストランドカッター56で切断されることで、ペレットPが形成される。このように、ペレット製造装置10を用いたペレットPの製造には、製造前の準備段階及び製造段階の2つの段階がある。
【0018】
以下、ペレット製造装置10の説明では、水平方向のうち、押出部20からストランドカッター56に向かう方向をY方向とする。Y方向に直交する方向で且つ鉛直方向となる方向をZ方向とする。Y方向及びZ方向の両方に直交する方向をX方向とする。
【0019】
Y方向は、ストランドSの搬送方向の一例である。X方向は、Y方向と交差する交差方向の一例である。矢印Yの先端側は、ストランドSの搬送方向の下流側に相当する。矢印Yの基端側は、ストランドSの搬送方向の上流側に相当する。矢印Zの先端側は、鉛直方向の上側に相当する。矢印Zの基端側は、鉛直方向の下側に相当する。矢印Xの先端側は、ペレット製造装置10の手前側に相当する。矢印Xの基端側は、ペレット製造装置10の奥側に相当する。以下、ペレット製造装置10の具体的な構成について説明する。
【0020】
<押出部>
図1に示されるように、押出部20は、駆動部22と、シリンダー24と、投入部27と、ダイ28と、上流カッター16とを含む。駆動部22は、例えばモーター及び減速機を含んで構成されている。シリンダー24は、Y方向を軸方向として延びる中空の部材である。シリンダー24の中空部には、スクリュー25が設けられ、外表面もしくは内部にはヒーター26が設けられている。スクリュー25は、Y方向を軸方向として配置されており、駆動部22によって回転される。スクリュー25の本数は、単数、複数のいずれであってもよい。
【0021】
投入部27は、シリンダー24の内部と繋がっている。投入部27では、ペレットP(図3)の原料となる樹脂材が投入される。樹脂材としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、生分解性樹脂(PLA、PBS、PBAT)などを用いることができる。これらの樹脂は、単体で用いられてもよく、また、複数種類の混合物として用いられてもよい。
【0022】
押出部20の動作は、後述する制御部30(図2)によって制御される。シリンダー24の内部に投入された原料は、スクリュー25の回転によって混練されると共に、ヒーター26から熱を受けることで溶融される。溶融された樹脂材(以下、溶融樹脂Rとする)は、ダイ28へ移送される。
【0023】
図4に示されるように、ダイ28には、X方向に間隔をあけて複数の貫通孔28Aが形成されている。溶融樹脂Rは、貫通孔28Aから押し出されることで紐状のストランドSとなる。換言すると、押出部20は、溶融樹脂Rを紐状のストランドSとして押し出す。なお、図4では、一例として、押出部20から3本のストランドS(S1、S2、S3)が示されている。Z方向の上側から見て、ストランドS1のX方向の直径W1、ストランドS2のX方向の直径W2、ストランドS3のX方向の直径W3とする。直径W1、直径W2、直径W3のそれぞれの大きさは、後述する計測部130(図2)で計測される。
【0024】
<制御部>
図2に示されるように、制御部30は、パーソナルコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)32及びメモリ34を有する。CPU32及びメモリ34は、共通のバス33に接続されている。メモリ34に記憶されたプログラムをCPU32が実行することによって、ペレット製造装置10の各種の処理が実現される。
【0025】
制御部30は、操作パネル12、上流カッター16、押出部20、掴み部42、移動部50、ストランドカッター56、上流シャワー64、下流シャワー66、水槽位置検出部82、水槽位置変更部86に対して情報の送信、受信が可能となっている。さらに、制御部30は、ローラー昇降部92、温度測定部102、温度変更部104、上流側駆動部114、下流側駆動部124、計測部130に対して情報の送信、受信が可能となっている。
【0026】
<掴み部>
図5に示されるように、掴み部42は、支持フレーム44と、軸受45A及び軸受45Bと、ローラー対46と、軸受駆動部49と、を有する。支持フレーム44は、Z方向に直立した縦壁部44Aを有する。縦壁部44Aは、X方向に間隔をあけて2つ設けられている。なお、図5では、1つの縦壁部44Aが示されている。軸受45Aは、縦壁部44Aに固定されている。軸受45Bは、Z方向の上側及び下側に移動可能となるように、縦壁部44Aに設けられている。軸受45Bは、軸受45Aに対してZ方向の上側に位置している。
【0027】
ローラー対46は、下ローラー47と、上ローラー48とを有する。下ローラー47は、X方向を軸方向として配置されている。下ローラー47のX方向の両端部は、軸受45Aによって回転可能に支持されている。下ローラー47は、外周面47Aを有する。上ローラー48は、X方向を軸方向として配置されている。上ローラー48のX方向の両端部は、軸受45Bに回転可能に支持されている。上ローラー48は、外周面48Aを有する。下ローラー47及び上ローラー48は、いずれもモーターによって回転駆動されない従動ローラーである。外周面47AのうちZ方向の最も上端に位置する部分と、外周面48AのうちZ方向の最も下端に位置する部分との間隔を、ニップ間隔dとする。また、ローラー対46の部位のうち、ニップ間隔dが得られる部位をニップ部Nとする。
【0028】
軸受駆動部49は、一例として、カム49Aと、カム49Aを回転させるモーター49Bとを含む。カム49Aは、縦壁部44Aに回転可能に設けられている。カム49Aの一部は、軸受45Bを支持している。モーター49Bは、制御部30(図2)によって動作が制御される。カム49Aの回転角が変更されることで、軸受45Bは、Z方向に沿って上側又は下側に移動するようになっている。つまり、軸受駆動部49が軸受45Bを駆動することで、上ローラー48がZ方向の上側又は下側に移動可能となっている。そして、上ローラー48がZ方向の上側又は下側に移動されることで、ニップ間隔dが変更可能となっている。
【0029】
ニップ間隔dは、一例として、下ローラー47と上ローラー48とでストランドSを挟む場合のニップ間隔d1と、上ローラー48がストランドSから離れた場合のニップ間隔d2(>d1)とを含む。ニップ間隔d1及びニップ間隔d2は、制御部30(図2)に予め設定されている。ニップ間隔d1は、ローラー対46がストランドSを挟む状態で、ストランドSに作用するZ方向の加圧力が許容範囲内となるように、予め設定されている。つまり、ニップ間隔d1は、ストランドSの変形が許容範囲内となるように、予め設定されている。さらに、ニップ間隔d1は、移動部50の移動時に、ストランドSをY方向の下流側に引っ張る力(搬送力)がストランドSに作用するように、予め設定されている。
【0030】
ストランドSがローラー対46によって挟まれることは、「ストランドSが掴み部42によって掴まれる」ことに含まれる。つまり、掴み部42は、押出部20(図1)から押し出されたストランドSを掴む。
【0031】
<移動部>
図5に示されるように、移動部50は、後述する支持フレーム77(図1)に設けられている。移動部50は、一例として、電動式のリニアアクチュエータとして構成されている。移動部50は、ガイドレール52と、キャリッジ54とを含む。ガイドレール52は、Y方向に延びている。キャリッジ54は、ガイドレール52に案内されることで、Y方向に沿った往復移動が可能となっている。キャリッジ54には、縦壁部44Aが固定されている。これにより、移動部50は、掴み部42をY方向に移動可能に支持している。移動部50の動作は、制御部30(図2)によって制御される。
【0032】
ここで、掴み部42と移動部50とで搬送部40が構成されている。つまり、搬送部40は、ストランドSを掴むと共に、ストランドSを後述するストランドカッター56(図1)に向けて搬送する。掴み部42がストランドSを掴む時点は、移動部50が移動を開始する時点に対して、前の時点、同時となる時点、後の時点のいずれであってもよい。
【0033】
(上流カッター)
図3に示されるように、上流カッター16は、ダイ28に対するY方向の下流側で且つ後述するカメラ132に対するY方向の上流側に位置する。上流カッター16は、Z方向に移動可能な刃部17を含む。刃部17がストランドSに対してZ方向に移動することで、ストランドSを切断可能となっている。なお、上流カッター16がストランドSを切断する時点としては、例えば、準備段階での押出部20の動作確認時点や、ペレットPの製造が終了した時点がある。
【0034】
<ストランドカッター>
図3に示されるように、ストランドカッター56は、掴み部42の移動によって搬送されたストランドSを切断する切断部の一例である。ストランドカッター56は、本体部57と、ストランド受部58と、回転刃59とを有する。本体部57は、床面2に設置されている。ストランド受部58は、本体部57のY方向の上流側部分に設けられている。ストランド受部58は、一対の回転部材の一例である上ローラー58Aと下ローラー58Bとを有する。
【0035】
上ローラー58A及び下ローラー58Bは、それぞれX方向を軸方向として回転可能に設けられている。上ローラー58A及び下ローラー58Bは、ストランドSを挟むと共に回転しながらストランドSを搬送する。回転刃59は、本体部57の内部にX方向を軸方向として回転可能に設けられている。
【0036】
上ローラー58A及び下ローラー58Bの回転動作と、回転刃59の回転動作とは、制御部30(図2)によって制御されている。ストランドカッター56は、掴み部42によって搬送されたストランドSをストランド受部58で受ける。そして、ストランドカッター56は、回転刃59の回転によってストランドSを切断する。回転刃59によって切断されたストランドSは、複数のペレットPとして外部に排出される。
【0037】
<冷却部>
図3に示されるように、冷却部60は、押出部20とストランドカッター56との間に位置し、ストランドSを冷却する。具体的には、冷却部60は、ストランドSに対してZ方向の上側に位置する上冷却部62と、上冷却部62に対してZ方向の下側に位置する下冷却部72と、を有する。
【0038】
(上冷却部)
上冷却部62は、上流シャワー64と、下流シャワー66と、を有する。上流シャワー64は、液体の一例である水WTを吐出する。また、上流シャワー64は、ストランドSのうち、後述するカメラ132が撮影する部位よりもY方向の下流側の部位で、且つ掴み部42が掴む部位よりもY方向の上流側の部位に向けて、水WTを吐出する。換言すると、上流シャワー64は、押出部20と掴み部42との間に位置しストランドSを冷却する上流冷却部の一例である。ストランドSは、水WTによって冷却されることで硬くなる。
【0039】
下流シャワー66は、上流シャワー64に対してY方向の下流側で且つストランドSに対してZ方向の上側に位置する。また、下流シャワー66は、一例として、Y方向に間隔をあけて3箇所に設けられている。さらに、下流シャワー66は、X方向の複数箇所で、ストランドSに向けて水WT(図10)を吐出可能となっている。
【0040】
(下冷却部)
下冷却部72は、水槽74と、浸漬ローラー96と、水槽位置検出部82と、水槽位置変更部86と、ローラー昇降部92と、温度測定部102と、温度変更部104(図2)と、を有する。
【0041】
水槽74は、水槽位置変更部86を介して上面14Aに載せられている。水槽74は、X方向の寸法に比べてY方向の寸法が大きい矩形状の底壁部75と、底壁部75からZ方向の上側に直立する側壁部76と、を有する。換言すると、水槽74は、Z方向の上側に開口する箱状に形成されており、Y方向に延びている。水槽74は、水WTを収容する収容槽の一例である。側壁部76には、Y方向に延びる支持フレーム77が取り付けられている。さらに、側壁部76には、後述するガイドフレーム93、94が取り付けられている。
【0042】
冷却水(水WT)は、ストランドSの移動方向の下流側から上流側に向かって流れるものとし、上流側の温度が設定温度となるように水温を調整するものとする。
【0043】
<水槽位置検出部>
図3に示されるように、水槽位置検出部82は、位置検出部の一例である。水槽位置検出部82は、押出部20のY方向の位置に対する水槽74のY方向の位置を検出する。具体的には、水槽位置検出部82は、レーザー送信機83と、レーザー受信機84と、を有する。レーザー送信機83は、水槽74のY方向の上流端部に取り付けられている。レーザー送信機83は、Z方向の下側に向けてレーザー光LTを出射している。
【0044】
レーザー受信機84は、レーザー光LTを受光する面がZ方向の上端に位置するように、床面2に固定されている。レーザー受信機84がレーザー光LTを受信(受光)した場合、水槽74のY方向の上流端が、移動可能範囲のうちY方向の上流端に位置していることが検出される。レーザー受信機84がレーザー光LTを受信していない場合、水槽74は、Y方向の下流側にずれた位置にあることが分かる。水槽74のY方向の下流側の位置については、後述する水槽位置変更部86の動作量等に基づいて検出すればよい。
【0045】
なお、底壁部75は、水平面(X-Y面)に沿って位置しているとは限らない。このため、水槽位置検出部82として、水槽74に加速度センサーを設けてもよい。つまり、加速度センサーの出力に基づいて水槽74の水平面に対する傾きを測定すると共に、水槽74のY方向及びZ方向の位置を検出してもよい。このように、水槽74の位置の検出には、水槽74の角度の検出も含まれる。
【0046】
<水槽位置変更部>
図3に示されるように、水槽位置変更部86は、位置変更部の一例である。水槽位置変更部86は、底壁部75に設けられており、上面14Aに載せられている。水槽位置変更部86は、水槽位置検出部82で検出された水槽74のY方向の位置の検出結果に基づいて、水槽74のY方向の位置を変更する。水槽位置変更部86は、一例として、上流側駆動ローラー87Aと、下流側駆動ローラー87Bと、複数の従動ローラー87Cとを有する。水槽位置変更部86は、制御部30(図2)によって動作が制御される。
【0047】
上流側駆動ローラー87Aが回転された場合、水槽74は、Y方向の上流側へ移動される。下流側駆動ローラー87Bが回転された場合、水槽74は、Y方向の下流側へ予め設定された距離だけ移動される。複数の従動ローラー87Cは、水槽74をY方向に移動可能に支持している。
【0048】
<ローラー昇降部>
図3に示されるように、ローラー昇降部92は、ガイドフレーム93、94と、複数の昇降フレーム95と、複数の浸漬ローラー96とを有する。ガイドフレーム93、94は、側壁部76に取り付けられており、Z方向に延びている。昇降フレーム95は、Y方向に延びている。昇降フレーム95のY方向の両端部は、ガイドフレーム93、94に支持されている。ガイドフレーム93、94及び昇降フレーム95は、リニアアクチュエータとして構成されている。つまり、昇降フレーム95は、Z方向に沿った上昇及び下降が可能である。
【0049】
複数の浸漬ローラー96は、浸漬部材の一例であり、それぞれX方向を軸方向として延びている。複数の浸漬ローラー96は、Y方向に間隔をあけて配置されている。複数の浸漬ローラー96のX方向の両端部は、複数の昇降フレーム95によって回転可能に支持されている。複数の浸漬ローラー96は、昇降フレーム95の下降動作に合わせて下降されることで、ストランドSと接触すると共に、ストランドSを水槽74の水WTに浸漬させる。このように、複数の浸漬ローラー96は、押出部20とストランドカッター56との間に位置し、ストランドSを水WTに浸漬させるようになっている。
【0050】
<温度測定部>
図3に示されるように、温度測定部102は、水槽74に設けられている。温度測定部102は、水槽74に収容されている水WTの温度を測定する。測定された温度データは、制御部30(図2)に送られる。
【0051】
<温度変更部>
図3に示されるように、温度変更部104は、タンク105と、パイプ106と、ポンプ107と、ヒーター108と、クーラー109とを有する。タンク105の内部には、水WTが貯留されている。パイプ106は、タンク105の内部と水槽74の内部とを接続している。ポンプ107は、タンク105の水WTを汲み上げてパイプ106に送り込む。ヒーター108は、タンク105の水WTを加熱可能に設けられている。クーラー109は、タンク105の水WTを冷却可能に設けられている。
【0052】
温度変更部104は、温度測定部102で測定された温度T1(図2)に基づいて、水WTの温度を変更する。例えば、予め設定された温度範囲が温度T2以上温度T3以下の範囲(図2)であり、温度T1が温度T2よりも低い場合、温度変更部104は、ヒーター108を動作させることで水WTを加熱する。また、温度T1が温度T3よりも高い場合、温度変更部104は、クーラー109を動作させることで水WTを冷却する。このように、加熱又は冷却された水WTが水槽74に供給されることで、水槽74の水WTの温度が変更(調整)されるようになっている。
【0053】
<支持部>
図3に示されるように、支持部110は、押出部20とストランドカッター56との間に位置し、ストランドSを支持する。具体的には、支持部110は、上流側支持部112と、下流側支持部122とを有する。
【0054】
(上流側支持部)
図6に示されるように、上流側支持部112は、アーム部材113と、上流側駆動部114と、支持ローラー115と、連結ピン116とを備える。アーム部材113は、X方向から見て矩形状の板部材である。アーム部材113は、X方向に間隔をあけて2つ設けられているが、図6では1つのアーム部材113が示されている。アーム部材113の軸方向の一端部は、連結ピン116によって角部76Aに連結されている。角部76Aは、側壁部76のY方向の上流側端部で且つZ方向の上端部に位置する部位である。
【0055】
上流側駆動部114は、モーター及びギヤを含み、アーム部材113を連結ピン116の周りに回転させる。換言すると、アーム部材113は、変位部材の一例であり、ストランドSに対する位置を変更可能に設けられている。支持ローラー115は、アーム部材113の軸方向の他端部に回転可能に設けられている。支持ローラー115は、外周面115Aを有する。支持ローラー115は、外周面115Aの一部がストランドSと接触することで、ストランドSを支持する。なお、ストランドSを支持する必要が無い場合、アーム部材113がZ方向の下側に向けて回転されることで、支持ローラー115がZ方向の下側へ退避される。
【0056】
(下流側支持部)
図7に示されるように、下流側支持部122は、アーム部材123と、下流側駆動部124と、支持ローラー125と、連結ピン126とを備える。アーム部材123は、X方向から見て矩形状の板部材である。アーム部材123は、X方向に間隔をあけて2つ設けられているが、図7では1つのアーム部材123が示されている。アーム部材123の軸方向の一端部は、連結ピン126によって角部76Bに連結されている。角部76Bは、側壁部76のY方向の下流側端部で且つZ方向の上端部に位置する部位である。
【0057】
下流側駆動部124は、モーター及びギヤを含み、アーム部材123を連結ピン126の周りに回転させる。換言すると、アーム部材123は、変位部材の一例であり、ストランドSに対する位置を変更可能に設けられている。支持ローラー125は、アーム部材123の軸方向の他端部に回転可能に設けられている。支持ローラー125は、外周面125Aを有する。支持ローラー125は、外周面125Aの一部がストランドSと接触することで、ストランドSを支持する。なお、ストランドSを支持する必要が無い場合、アーム部材123がZ方向の下側に向けて回転されることで、支持ローラー125は、Z方向の下側へ退避される。
【0058】
<計測部>
図1図2及び図4を用いて、計測部130について説明する。計測部130は、一例として、カメラ132と、演算部134とを有する。そして、計測部130は、ストランドSのX方向の直径Wを計測する。なお、演算部134は、制御部30(図2)に組み込まれていてもよい。
【0059】
カメラ132は、ダイ28から押し出されたストランドSをZ方向の上側から撮影する。カメラ132によって取得された画像情報は、演算部134に送られる。演算部134は、制御部30と同様にCPU及びメモリ等を有している。そして、演算部134は、画像情報を二値化処理することで、ストランドS1の直径W1、ストランドS2の直径W2、ストランドS3の直径W3を算出する。さらに、演算部134は、直径W1、直径W2及び直径W3の平均値を算出する。算出された平均値情報は、制御部30に送られる。
【0060】
制御部30は、計測部130で計測されたストランドSのX方向の直径Wに基づいて、移動部50の移動速度を制御する。具体的には、制御部30は、ストランドSのX方向の直径Wの平均値が、予め設定された設定値よりも小さい場合、移動部50の移動速度を低下させる制御を行う。また、制御部30は、ストランドSのX方向の直径Wの平均値が、予め設定された設定値よりも大きい場合、移動部50の移動速度を増加させる制御を行う。制御部30は、ストランドSのX方向の直径Wについて平均値と設定値がほぼ等しい場合、移動部50の移動速度を維持する制御を行う。
【0061】
〔ペレット製造装置の作用〕
ペレット製造装置10では、操作パネル12(図2)で動作の開始が選択された後、動作の停止が選択されるまで、後述する各処理(工程)が自動的に行われる。各処理は、CPU32がメモリ34からプログラムを読み出して展開し、実行することによって行われる。
【0062】
図8に示されるように、ペレット製造装置10では、製造開始前の準備段階として、ストランドSの仮押し出し処理が行われる。このとき、水槽74は、ストランドカッター56に寄せて配置されている。掴み部42は、上流側支持部112に最も近い位置(開始位置)に配置されている。この状態で、押出部20は、溶融樹脂RをストランドSとして押し出す。押し出されたストランドSは、カメラ132によって撮像され、上流シャワー64によって冷却される。
【0063】
制御部30では、カメラ132による撮像の情報に基づいて、画像解析(例えば、色の違いに基づく解析)が行われる。これにより、ストランドS中の異物(ゴミ等)の有無が判定される。ストランドSに異物が混入している場合、ペレット製造装置10の動作が停止され、操作パネル12(図2)に警告メッセージが表示される。一方、ストランドSに異物が混入していない場合、ストランドSの押し出しが停止されると共に、押し出し済のストランドSが上流カッター16によって切断される。切断されたストランドSは、落下後に容器に回収される。そして、次の工程に進む。
【0064】
なお、ストランドS中の「異物」とは、ストランドカッター56の動作に影響を与える可能性のある物を意味しており、具体的には、ストランドカッター56を摩耗させるような、金属粉などの固体物を意味している。ゲル状の物や未溶融物などについては、ストランドSの押し出しを止める必要はないため、「異物」には含まれない。
【0065】
図9に示されるように、水槽位置変更部86が動作することで、水槽74がY方向の上流側に移動される。水槽74は、レーザー受信機84がレーザー光LTを受信した場合、移動が停止される。続いて、溶融樹脂Rが、紐状のストランドSとして、押出部20から押し出される(ストランドSを押し出す工程の一例)。このとき、上流側駆動部114(図2)が駆動されることで、上流側支持部112がストランドSを支持する。
【0066】
図5に示されるように、押し出されたストランドSは、下ローラー47と、上側に退避している上ローラー48との間を通ってY方向の下流側へ進む。ここで、ストランドSのうち、掴み部42よりも下流側に延びている(突出している)部分のY方向の長さL1(図10)が、予め設定された長さとなるとき、カム49Aが回転動作される。これにより、上ローラー48の位置が下がることで、ストランドSが、ローラー対46によって挟まれた状態となる(ストランドSが掴み部42によって掴まれる工程の一例)。
【0067】
なお、掴み部42がストランドSを掴む力は、ストランドSをY方向の下流側へ移動させることが可能となる最小の力に抑えられている。このため、仮に、掴み部42の動作によってストランドSが変形したとしても、ストランドSの変形部分は、掴み部42が掴んでいる部分に限定される。換言すると、掴み部42が掴んでいない部分は、変形されにくい。
【0068】
図10に示されるように、ストランドSが掴み部42によって掴まれた後、移動部50は、掴み部42をストランドカッター56に向けて移動させる。このとき、複数の下流シャワー66が、ストランドSに水WTをかけることで、ストランドSが冷却される。このように、移動部50によって移動するストランドSは、冷却前に比べて硬化された状態で移動(搬送)される。ストランドSを掴んだ掴み部42は、ストランドカッター56まで移動される(掴み部42を移動部50によって移動させることでストランドSをストランドカッター56まで搬送する工程の一例)。
【0069】
図11に示されるように、掴み部42がガイドレール52(図5)のY方向の下流端に到達する時点に合わせて、下流側駆動部124(図2)が駆動されることで、下流側支持部122がストランドSを支持する。そして、ストランドSの先端部(下流端部)は、移動部50の移動に伴ってストランド受部58に進入する。このようにして、ストランドSの先端部がストランド受部58に受け渡される。ストランドSの先端部がストランドカッター56に到達したことで、準備工程でのストランドSの搬送が完了する。
【0070】
図5に示されるように、上ローラー48は、複数の浸漬ローラー96(図11)が下降を開始する前に、Z方向の上側に移動される。換言すると、ニップ部NでのストランドSのニップ状態が解除される。そして、掴み部42は、移動部50によって、ガイドレール52のY方向の上流端(開始位置)へ移動される。
【0071】
図3に示されるように、ストランドSがストランド受部58に受け渡された状態で、ローラー昇降部92による下降動作が行われる。これにより、ストランドSは、複数の浸漬ローラー96によって水槽74の水WTに浸漬され、冷却される。なお、複数の下流シャワー66の動作は停止される。そして、製造工程が開始される。具体的には、ストランドSの押し出し及び移動が再開されると共に、ストランドSがストランドカッター56によって切断される(ストランドカッター56がストランドSを切断する工程の一例)。これにより、複数のペレットPが形成される。形成された複数のペレットPは、回収される。
【0072】
以上、説明した通り、ペレット製造装置10によれば、ペレットPの製造前の準備段階で、掴み部42は、押出部20から押し出されたストランドSを掴む。移動部50は、掴み部42を移動させる。これにより、ストランドSがストランドカッター56まで自動で搬送される。ペレットPの製造が開始された場合、ストランドカッター56がストランドSを切断することで、複数のペレットPが製造される。このように、ペレットPの製造開始前の準備段階で、ストランドカッター56までのストランドSの搬送が自動化されることで、ストランドSに作用する外力のばらつきが抑制されるので、ストランドSの直径Wにばらつきが生じることを抑制することができる。
【0073】
ペレット製造装置10によれば、ストランドSに作用するY方向の引張力が必要以上に大きくなる可能性がある場合、ローラー対46が従動回転することで、ローラー対46とストランドSとが接触する面に作用する摩擦力が低下する。これにより、ストランドSに作用する引張力が必要以上に大きくなるのを抑制することができる。
【0074】
ペレット製造装置10によれば、冷却部60がストランドSを冷却することで、ストランドSの硬化が進む。これにより、搬送中のストランドSが変形するのを抑制することができる。
【0075】
ペレット製造装置10によれば、冷却部60が上流シャワー64を有している。これにより、押出部20から押し出された直後の比較的温度が高いストランドSを、上流シャワー64による冷却で硬化させることが可能となるので、搬送中のストランドSが変形するのを抑制することができる。
【0076】
ペレット製造装置10によれば、ストランドSは、押出部20とストランドカッター56との間で水槽74の水WTに浸漬される。浸漬されたストランドSは、水WTとの熱交換が行われることによって温度が低下する。これにより、ストランドSが空気によって冷却されるものと比べて、短時間でストランドSを冷却することができる。
【0077】
ペレット製造装置10によれば、水槽位置検出部82が、押出部20の位置に対する水槽74の位置を検出する。そして、水槽位置変更部86は、水槽位置検出部82で検出された水槽74の位置の検出結果に基づいて、水槽74の位置を変更する。例えば、押出部20の位置に対して水槽74の位置が離れすぎている場合、水槽74を押出部20に近づける。押出部20の位置に対して水槽74の位置が近すぎる場合、水槽74を押出部20から遠ざける。このように、押出部20と水槽74との間隔を自動で管理することができる。
【0078】
ペレット製造装置10によれば、温度変更部104が、温度測定部102で測定された温度に基づいて水WTの温度を変更する。例えば、ペレット製造装置10が設置された環境の温度の変化等によって、水WTの温度が上昇した場合は、クーラー109を用いて水WTの温度を低下させることができる。水WTの温度が低下した場合は、ヒーター26を用いて水WTの温度を上昇させることができる。これにより、水WTの温度を管理することができる。
【0079】
ペレット製造装置10によれば、支持部110が、押出部20とストランドカッター56との間でストランドSを支持する。これにより、ストランドカッター56に向けて搬送中のストランドSが、搬送中に変形するのを抑制することができる。
【0080】
ペレット製造装置10によれば、支持部110がストランドSを支持できるように、アーム部材113、123のY方向及びZ方向の位置が、ストランドSに対して変更された場合、支持ローラー115、125は、ストランドSと接触する。ここで、支持ローラー115、125とストランドSとが接触した後も、アーム部材113、123の位置が続けて変更されたとする。この場合、支持ローラー115、125では、回転に伴って、ストランドSとの接触位置が周方向に変わる。これにより、支持ローラー115、125が回転しない構成に比べて、ストランドSに作用する摩擦力を低く抑えられるので、ストランドSが支持部110によって引っ張られることを抑制できる。
【0081】
ペレット製造装置10によれば、計測部130は、ストランドSのX方向の直径Wを計測する。制御部30は、計測部130で計測されたストランドSのX方向の直径Wに基づいて、ストランドカッター56(上ローラー58A、下ローラー58B(図3))の回転速度を制御する。例えば、ストランドSのX向の直径Wが、予め設定した直径よりも小さい場合、制御部30が上ローラー58A、下ローラー58Bの回転速度を下げる。これにより、ストランドSの搬送方向に作用する張力が減ることで、ストランドSのX方向の直径が設定した直径に近づく。
【0082】
一方、ストランドSのX方向の直径Wが、設定直径よりも大きい場合、制御部30が上ローラー58A、下ローラー58Bの回転速度を上げる。これにより、ストランドSの搬送方向であるY方向に作用する張力が増えることで、ストランドSのX方向の直径Wが設定直径に近づく(直径Wが小さくなる)。このように、ストランドSのX方向の直径Wを設定した直径に近づけることができる。
【0083】
本実施形態のペレット製造方法によれば、ペレットPの製造前の準備段階で、掴み部42は、押出部20から押し出されたストランドSを掴む。移動部50は、掴み部42を移動させる。これにより、ストランドSがストランドカッター56まで自動で搬送される。製造が開始された場合、ストランドカッター56がストランドSを切断することで、複数のペレットPが製造される。このように、ペレットPの製造開始前の準備段階で、ストランドカッター56までのストランドSの搬送が自動化されることで、ストランドSに作用する外力のばらつきが抑制されるので、ストランドSの直径Wにばらつきが生じることを抑制することができる。
【0084】
本実施形態のペレット製造装置10またはペレット製造方法によれば、ペレットPの製造開始前の準備段階で、ストランドカッター56までのストランドSの搬送が自動化される。このため、熟練の技術者が樹脂温度やストランドダイからのストランドの吐出状態などを観察したうえで、手動で装置の運転条件を調整する構成と比べて、運転条件の最適化が可能になり、ペレットPの品質を向上させることが可能となる。運転条件の最適化が可能となることで、ストランドSの成形初期の廃棄物の発生を抑制することが可能となる。ペレットPの品質を向上させることが可能となることで、低粘度樹脂をストランド化することが可能となる。
【0085】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内で種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。以下、本実施形態のペレット製造装置10の各変形例について説明する。ペレット製造装置10と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0086】
<変形例1>
図12には、ペレット製造装置140が示されている。ペレット製造装置140は、水槽74及び水槽位置変更部86(図1)に替えて、基台142を有している。つまり、ペレット製造装置140は、ストランドSが水WTに浸漬されない方式の装置である。押出部20から押し出されたストランドSは、上流シャワー64の水WTで冷却された後、掴み部42に掴まれた状態で、移動部50によってストランドカッター56まで移動される。ストランドSは、移動部50による移動中に下流シャワー66の水WTを受けることでさらに冷却される。これにより、ストランドSが硬化された状態でストランドカッター56まで到達するので、製造前の準備段階でのストランドSの変形を抑制することができる。つまり、ペレット製造装置10(図1)と同様に、ペレットPの製造開始前の準備段階で、ストランドSの直径Wにばらつきが生じることを抑制することができる。製造開始後は、ストランドSがストランドカッター56により切断されることで、ペレットPが製造される。このように、水槽74が無いペレット製造装置140を用いてもよい。
【0087】
<変形例2>
図13には、搬送部150が示されている。搬送部150は、ペレット製造装置10の搬送部40(図1)に替えて設けられている。搬送部150は、掴み部152と、移動部50とを有する。掴み部152は、支持ブロック154と、可動ブロック156と、ブロック駆動部158と、を備える。ブロック駆動部158は、モーター及びギヤを含む。ブロック駆動部158は、制御部30(図2)によって動作が制御される。
【0088】
支持ブロック154は、キャリッジ54に固定されている。支持ブロック154には、複数の溝155が形成されている。溝155は、Z方向の上側に向けて開口されており、Y方向に延びている。溝155は、Y方向から見て、1つの底面155Aと2つの傾斜面155Bとを有する逆台形状に形成されている。
【0089】
可動ブロック156は、支持ブロック154に対してZ方向の上側に位置する。可動ブロック156は、ブロック駆動部158によってZ方向の上昇及び下降が可能とされている。可動ブロック156には、複数の溝157が形成されている。溝157は、Z方向の下側に向けて開口されており、Y方向に延びている。溝157は、Y方向から見て、1つの底面157Aと2つの傾斜面157Bとを有する台形状に形成されている。
【0090】
押出部20(図1)から押し出されたストランドSは、複数の溝155に進入することで、支持ブロック154により支持される。そして、ストランドSは、可動ブロック156が下降することで、底面155A、傾斜面155B、底面157A及び傾斜面157Bによって挟まれる。つまり、ストランドSが掴み部152によって掴まれる。掴まれたストランドSは、移動部50によってY方向に移動される。このように、掴み部152は、回転しないクリップ状の部材でストランドSを掴む構成を有してもよい。
【0091】
<他の変形例>
ペレット製造装置10、140では、下流シャワー66が無くてもよい。さらに、押出部20から押し出されたストランドSの硬化状態が、ストランドSを移動(搬送)することが可能な状態である場合は、上流シャワー64が無くてもよい。ペレット製造装置10、140は、水槽74が固定され、水槽位置検出部82及び水槽位置変更部86を有していないものであってもよい。冷却部60は、温度測定部102及び温度変更部104を有していなくてもよい。つまり、水槽74の水WTの温度を変更しなくてもよい。
【0092】
ペレット製造装置10、140では、支持部110が設けられていなくてもよい。支持部110は、アーム部材113、123、支持ローラー115、125を有していなくてもよい。例えば、Z方向又はZ方向と交差する方向に移動可能なパッドを設けて、当該パッドの位置を変更することで、ストランドSの位置を変更してもよい。計測部130を設けずに、移動部50を予め設定した速度で移動させてもよい。切断部は、ストランドカッター56のように回転刃59を有するものに限らず、Z方向に上昇及び下降する刃部を有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0093】
2 床面、10 ペレット製造装置、12 操作パネル、14 台座、14A 上面、
16 上流カッター、17 刃部、20 押出部、22 駆動部、24 シリンダー、
25 スクリュー、26 ヒーター、27 投入部、28 ダイ、28A 貫通孔、
30 制御部、33 バス、34 メモリ、40 搬送部、42 掴み部、
44 支持フレーム、44A 縦壁部、45A 軸受、45B 軸受、
46 ローラー対、47 下ローラー、47A 外周面、48 上ローラー、
48A 外周面、49 軸受駆動部、49A カム、49B モーター、50 移動部、
52 ガイドレール、54 キャリッジ、56 ストランドカッター、57 本体部、
58 ストランド受部、58A 上ローラー、58B 下ローラー、59 回転刃、
60 冷却部、62 上冷却部、64 上流シャワー、66 下流シャワー、
72 下冷却部、74 水槽、75 底壁部、76 側壁部、76A 角部、
76B 角部、77 支持フレーム、82 水槽位置検出部、83 レーザー送信機、
84 レーザー受信機、86 水槽位置変更部、87A 上流側駆動ローラー、
87B 下流側駆動ローラー、87C 従動ローラー、92 ローラー昇降部、
93 ガイドフレーム、94 ガイドフレーム、95 昇降フレーム、
96 浸漬ローラー、102 温度測定部、104 温度変更部、105 タンク、
106 パイプ、107 ポンプ、108 ヒーター、109 クーラー、
110 支持部、112 上流側支持部、113 アーム部材、
114 上流側駆動部、115 支持ローラー、115A 外周面、116 連結ピン、
122 下流側支持部、123 アーム部材、124 下流側駆動部、
125 支持ローラー、125A 外周面、126 連結ピン、130 計測部、
132 カメラ、134 演算部、140 ペレット製造装置、142 基台、
150 搬送部、152 掴み部、154 支持ブロック、155 溝、
155A 底面、155B 傾斜面、156 可動ブロック、157 溝、
157A 底面、157B 傾斜面、158 ブロック駆動部、d ニップ間隔、
d1 間隔、d2 間隔、L1 長さ、LT レーザー光、N ニップ部、
P ペレット、R 溶融樹脂、S ストランド、S1 ストランド、S2 ストランド、
S3 ストランド、T1 温度、T2 温度、T3 温度、W1 直径、W2 直径、
W3 直径、WT 水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13