IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ロボットシステム 図1
  • 特開-ロボットシステム 図2
  • 特開-ロボットシステム 図3
  • 特開-ロボットシステム 図4
  • 特開-ロボットシステム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006554
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20250109BHJP
【FI】
G05D1/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107426
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】オドレン エルヴェ
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB05
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】精度よく荷物を運搬することができるロボットシステムを提供する。
【解決手段】荷物200を荷下ろし場所3に運搬するロボットシステム1であって、ロボット100が、荷物200を持ち上げるために荷物200の下まで移動する本体部10と、荷物200までの距離を検出する距離センサ13と、マーカ300の画像を撮像するカメラ21と、本体部10よりも高い位置でカメラ21を支持する支持部材20と、ロボット100が荷物200に接近するときは、距離センサ13の検出結果に応じてロボット100を荷物200まで移動し、ロボット100が荷下ろし場所3に接近するときは、マーカ300の画像に応じてロボット100を荷下ろし場所3まで移動するように、ロボットを制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を荷下ろし場所に運搬するロボットシステムであって、
ロボットが、
前記荷物を持ち上げるために荷物の下まで移動する本体部と、
前記荷物までの距離を検出する距離センサと、
床面に形成されたマーカを撮像するカメラと、
前記本体部に取り付けられ、前記本体部よりも高い位置で前記カメラを支持する支持部材と、
前記ロボットが荷物に接近するときは、前記距離センサでの検出結果に応じて前記ロボットを荷物まで移動し、前記ロボットが荷下ろし場所に接近するときは、前記マーカの画像に応じてロボットを荷下ろし場所まで移動するように、ロボットを制御する制御部と、を備えたロボットシステム。
【請求項2】
前記マーカが前記荷下ろし場所の内側に形成されている請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記荷下ろし場所の前記ロボットから遠い側の端部に前記マーカが形成されている請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記荷物が、前記本体部よりも高い脚部によって支持されている請求項1~3のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記脚部は、光を反射する反射部材を含んでいる請求項4に記載のロボットシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、台車を搬送する移動体を開示している。特許文献1の移動体は台車の下側に移動体本体部が入り込んだ状態で、移動体が台車を持ち上げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-128197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の移動体は、加速度センサ、速度センサ又はジャイロセンサを含んでいる。これらのセンサが移動体の挙動を検知している。特許文献1の移動体は、LiDAR又はレーダを用いて、検知領域の周辺状況を検知している。LiDARは、移動体と物体との距離、及び物体の方向を検知している。しかしながら、台車を下ろす荷下ろし位置に接近する場合、位置精度が低下してしまうおそれがある。よって、適切な位置に台車を下ろすことができない場合がある。
【0005】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、荷物を精度よく運搬することができるロボットシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様のロボットシステムは、荷物を荷下ろし場所に運搬するロボットシステムであって、ロボットが、前記荷物を持ち上げるために荷物の下まで移動する本体部と、前記荷物までの距離を検出する距離センサと、前記床面に形成されたマーカのマーカ画像を撮像するカメラと、前記本体部に取り付けられ、前記本体部よりも高い位置で前記カメラを支持する支持部材と、前記ロボットが荷物に接近するときは、前記距離センサでの検出結果に応じて前記ロボットを荷物まで移動し、前記ロボットが荷下ろし場所に接近するときは、前記マーカの画像に応じてロボットを荷下ろし場所まで移動するように、ロボットを制御する制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、荷物を精度よく運搬することができるロボットシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ロボットシステムの全体構成を示す模式図である。
図2】ロボットの制御系を示すブロック図である。
図3】荷物の積み込み時の動作を説明するための図である。
図4】荷下ろし時の動作を説明するための図である。
図5】カメラの画角を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。図が煩雑にならないように、いくつかの符号及びハッチングが省略されている。
【0010】
以下、図面を参照して実施形態に係るロボットシステム1について説明する。図1は、ロボットシステムの全体構成を示す模式図である。図2は、ロボット100の構成を示す制御ブロック図である。
【0011】
図1に示すように、ロボットシステム1は、荷物200と、荷物200を運搬するロボット100とを備えている。ロボット100は、例えば、自律移動ロボットである。ロボット100は、図示しない管理サーバから荷物200の運搬の指示を受ける。例えば、ロボット100は、無線通信などによって、搬送する荷物、荷物の積み込み場所2、荷下ろし場所3などの情報を管理サーバ等から受信する。すると、ロボット100は、積み込み場所2まで移動して、荷物200を積み込む。ロボット100は、荷物200を目的地である荷下ろし場所3まで移動する。ロボット100は、荷下ろし場所3で荷物200を下ろす。これにより、ロボット100は、積み込み場所2から荷下ろし場所3まで、荷物200を運搬することができる。
【0012】
ロボット100は、本体部10と、車輪11と、距離センサ13と、支持部材20とを備えている。本体部10は、車輪11を回転可能に保持する車台となっている。本体部10は、荷物200を運搬する運搬台車となる。本体部10は直方体状の筐体となっている。
【0013】
また、図2に示すように、本体部10は、バッテリ17、車輪11の駆動機構16、制御部30などを搭載している。さらに、本体部10は、距離センサ13、昇降機構12を搭載している。バッテリ17は、駆動機構16、カメラ21,距離センサ13、昇降機構12,制御部30等に電源を供給する。
【0014】
駆動機構16は、車輪11を回転駆動するためのモータなどを備えている。例えば、制御部30が駆動機構16に駆動指令を出力することで、駆動機構16は、左右の車輪11を独立して駆動する。これにより、ロボット100が床面上を走行して、積み込み場所2及び荷下ろし場所3まで移動することができる。なお、車輪11の数は1つでもよく、2以上あってもよい。また車輪11の少なくとも一つは補助輪であってもよい。
【0015】
積み込み場所2では、荷物200を持ち上げるために、本体部10が荷物200の下まで移動する。例えば、荷物200は、搬送物205と、搬送物205の下側に設けられた脚部201とを備えている。搬送物205は、2つの脚部201によって支持されている。搬送物205の両端が脚部201によって支持されているため、搬送物205の直下に空間Sが形成される。本体部10は、脚部201の高さよりも低くなっている。よって、本体部10は、搬送物205の直下の空間Sに入り込むことができる。なお、脚部201には、反射部材202が設けられていてもよい。反射部材202は、光を反射する金属テープなどである。
【0016】
本体部10の上部には、荷物200を積み卸すための昇降機構12が設けられている。昇降機構12は、鉛直上下方向に駆動する昇降ステージである。昇降機構12は、荷物200をリフトアップ及びリフトダウンするリフタであり、モータやガイド機構を有している。
【0017】
積み込み場所2において、ロボット100が荷物200を積み込む場合、本体部10が荷物200の下側の空間Sにある状態で、昇降機構12が上昇する。これにより、荷物200が持ち上げられて、脚部201が床面から離れる。荷物200が本体部10の上に搭載され、ロボット100が荷物200を運搬することができる。
【0018】
ロボット100が荷物200を荷下ろしする場合、昇降機構12が下降する。これにより、脚部201が床面に接触するため、荷物200が床面に下ろされる。ロボット100が荷物200を荷下ろしすると、次の積み込み場所2まで移動する。
【0019】
本体部10の側面には距離センサ13が搭載されている。距離センサ13は、例えば光学センサであり、荷物200までの距離を測定する。なお、距離センサ13は、本体部10の前後左右の4側面に設けられていてよく、一部の側面のみに設けられていてもよい。距離センサ13は、光源及びフォトセンサを有している。距離センサ13は、例えば、移動方向前方に向けて測定光を出射する。そして、距離センサ13は、荷物200等で反射した反射光を検出する。
【0020】
例えば、距離センサ13はLiDAR(Light Detection And Ranging)等である。例えば、距離センサ13は、周辺にある周辺物体までの距離を点群データとして測定する。距離センサ13は測定光を走査することで、それぞれの方向における周辺物体までの距離を検出する。周辺物体は、荷物200に限らず、壁、障害物、他のロボット、人などを含む。距離センサ13は、2次元LiDARであることが好ましい。例えば、距離センサ13が水平面内でレーザ光を一定の角度間隔で走査する。水平面内における荷物200等の形状に応じた点群データが得られる。
【0021】
さらに、本体部10には、支持部材20が取り付けられている。支持部材20は、本体部10の側面から上方に延びている。支持部材20は、上下方向に沿って設けられたポールなどを有している。支持部材20は、荷物200を持ち上げる際に、荷物200と干渉しないように配置されている。支持部材20は、カメラ21を支持する支柱又は支持棒となる。カメラ21は、支持部材20の上部に搭載されている。支持部材20は、カメラ21を本体部10よりも高い位置で支持している。
【0022】
カメラ21は、床面を撮像するように、斜め下方を向いて配置されている。カメラ21は、移動方向前方を向いて配置されている。カメラ21は、荷下ろし場所3に設けられたマーカ300を撮像する。これにより、カメラ21は、マーカ画像を取得することができる。マーカ300は、床面に貼り付けられたシール、テープ、又はシートなどである。また、マーカ300は床面に塗装又は印刷されていてもよい。
【0023】
マーカ300は、画像処理により認識可能なパターンなどを有している。マーカ300は、二次元バーコードなどのパターンであってもよい。また、複数の荷下ろし場所3が設けられている場合、マーカ300はそれぞれの荷下ろし場所3を識別するための固有パターンなどであってもよい。また、荷下ろし場所3には、ユーザ等が他の物体を置くことを防ぐために、枠線などが設けられていてもよい。つまり、荷下ろし場所3は枠線などで囲まれた領域であってもよい。
【0024】
荷下ろし場所3は、通常、何も置かれていない空きスペースとなっている。マーカ300は、荷下ろし場所3の内側に形成されていることが好ましい。これにより、マーカ300を設けるための余分なスペースが不要となるため、フットプリントを小さくすることができる。よって、スペースを効率よく利用することができる。
【0025】
制御部30は、積み込み場所2、及び荷下ろし場所3までの移動を制御する。具体的には、制御部30は、CPU31(Central Processing Unit)、メモリ32、及びインタフェース部(I/F)33等を有している。CPU31、メモリ32、およびインタフェース部33は、データバスなどを介して相互に接続されている。制御部30は、制御用のマイクロコンピュータを備えていてもよい。
【0026】
メモリ32は、CPU31によって実行される制御プログラム、演算プログラム等を格納している。CPU31は、これらのプログラムを実行することで、各種の制御処理、演算処理等を行う。さらに、メモリ32は、自律移動のために制御パラメータや地図データ等を格納している。インタフェース部33は、外部との信号の入出力を行う。インタフェース部33は、カメラ21や距離センサ13からの検出データを受信する。また、インタフェース部33は、駆動機構16、昇降機構12に制御信号や駆動指令などを出力する。
【0027】
例えば、ロボット100が、地図データ上での積み込み場所2、荷下ろし場所3などの座標を示す位置情報を受信すると、制御部30は、積み込み場所2から荷下ろし場所3までの経路を探索する。制御部30は、経路に沿ってロボット100が自律移動するように、駆動機構16を制御する。自律移動については、公知のオドメトリなどを用いることができるため、詳細な説明を省略する。また、積み込み場所2、及び荷下ろし場所3の周辺では、高い位置精度で移動するように、制御部30が、以下の制御を行っている。以下、図を参照して積み卸しの手順について説明する。
【0028】
図3を用いて、積み込み場所2の周辺での制御について説明する。図3は、積み込み時の動作を模式的に示す側面図である。図3では、上段にロボット100が荷物200に接近中の状態が示されている。図3では、下段に昇降機構12が上昇中の状態が示されている。つまり、図3の下段は、本体部10が荷物200の下に移動した後、昇降機構12が荷物200をリフトアップしている状態を示す図である。
【0029】
ロボット100が荷物200に接近するときは、距離センサ13での検出結果に応じてロボット100が荷物200に移動するように、制御部30が制御を行う。つまり、距離センサ13で検出された距離Dに応じて、ロボット100が荷物200に接近していくように、制御部30が駆動機構16を制御する。ロボット100が荷物200に徐々に近づいていって、荷物200の直下の空間Sに入ることができる。このようにすることで、ロボット100が高い位置精度で、積み込み場所2まで移動することができる。
【0030】
具体的には、積み込み場所2への移動中では、制御部30が距離センサ13での測定結果に基づいて位置制御を行っている。距離センサ13は、距離センサ13から荷物200までの距離Dを測定している。このようにすることで、ロボット100に対する荷物200の相対的な位置関係を測定することができる。また、距離センサ13は、点群データなどによって、荷物200の形状を測定してもよい。
【0031】
また、距離センサ13は、脚部201の高さに設けられていることが好ましい。例えば、距離センサ13は、移動方向前方に測定光を出射して、荷物200の脚部201で反射した反射光を検出する。これにより、距離センサ13が、脚部201までの距離を検出することができる。さらに、距離センサ13は、測定光を走査することで、脚部201までの方向を特定することができる。よって、ロボット100が、2つの脚部201の間に移動することができる。
【0032】
距離センサ13が2次元LiDARである場合、距離センサ13が脚部201の形状や方向を精度よく測定することができる。例えば、水平面内における脚部201の形状に応じた点群データ等が得られる。脚部201の形状に応じた位置にロボット100が移動することができる。よって、前後方向及び左右方向における荷物200の相対位置を正確に検出することができる。点群データから得られる荷物200の位置に基づいて、制御部30が車輪11の回転速度や回転数などをフィードバック制御する。
【0033】
さらに、脚部201は、反射部材202を備えている。反射部材202は高い光反射率を有する反射テープ等である。距離センサ13が検出する戻り光の検出光量を高くすることができる。これにより、距離センサ13の検出精度を向上することができる。反射部材202は、テープに限られるものではない。例えは、脚部201に反射率の高い材料で塗装又は印刷してもよい。脚部201を反射率の高い金属材料や樹脂材料等で形成してもよい。
【0034】
本体部10が、荷物200の下の空間Sまで移動したら、昇降機構12が上昇する。これにより、本体部10が荷物200を持ち上げることができる。つまり、脚部201が床面Fから離れる。ロボット100が高い位置精度で、積み込み場所2まで移動するため、本体部10が確実に荷物200を持ち上げることができる。左右方向や前後方向の位置ずれを低減することができるため、本体部10が、荷物200を安定して持ち上げることができる。
【0035】
次に、荷下ろし場所3の周辺での制御について、図4を用いて説明する。図4は、荷下ろし時の動作を模式的に示す側面図である。図4では、ロボット100が荷下ろし場所3に移動中の状態が示されている。荷下ろし場所3は、壁Wの手前に設けられている。従って、荷下ろし場所3に向かっているロボット100は、壁Wに近づくように移動している。また、荷下ろし場所3では、床面Fにマーカ300が形成されている。
【0036】
ロボット100が荷下ろし場所3に接近するときは、カメラ21で撮像されたマーカ300の画像に応じてロボット100を荷下ろし場所3まで移動するように、制御部30がロボット100を制御する。つまり、制御部30は、マーカ画像に基づいて、ロボット100に対するマーカ300の相対位置を算出する。マーカ300の相対位置に応じて、ロボット100が荷下ろし場所3に接近するように、制御部30が駆動機構16を制御する。
【0037】
具体的には、荷下ろし場所3への移動中では、カメラ21が床面Fを撮像する。カメラ21は、ロボット100の前方斜め下を向いて配置されている。したがって、マーカ300がカメラ21に画角Aに入ると、カメラ21は、マーカ300を含む床面Fを撮像する。ロボット100が荷下ろし場所3から離れた位置において、カメラ21がマーカ画像を撮像することができる。
【0038】
カメラ21の画像にマーカ300が含まれると、制御部30がマーカ画像に基づいて位置制御を行う。制御部30は、画像処理を行うことで、画像中のマーカ300の位置を特定する。これにより、制御部30は、ロボット100に対する荷下ろし場所3の相対的な位置を精度よく検出することができる。制御部30は、左右方向及び前後方向における荷下ろし場所3の位置を精度よく検出することができる。よって、マーカ画像から得られるマーカ300の位置に基づいて、制御部30が車輪11の回転速度や回転数などをフィードバック制御する。
【0039】
このようにすることで、ロボット100が高い位置精度で、荷下ろし場所3まで移動することができる。さらに、荷下ろし場所3の内部や周辺に距離センサ13が距離を検知可能な構造物を設ける必要がない。よって、スペースを有効的に利用することができる。特に、荷下ろし場所3は、壁Wの近傍に設けられることが多い。壁Wは、通常、鉛直方向に沿った平面であるため、LiDARなどでは左右方向の位置の特定が困難である。床面Fに所定のパターンを有するマーカ300を形成することで、位置精度を向上することができる。さらに、スペースを効率良く利用することができるため、運搬の効率を向上することができる。
【0040】
カメラ21は本体部10よりも高い位置になるように、支持部材20に固定されている。カメラ21は前方斜め下を向いて、支持部材20に設置されている。このようにすることで、ロボット100が荷下ろし場所3に移動する手前で、カメラ21がマーカ画像を撮像することができる。つまり、荷下ろし場所3からある程度離れていても、カメラ21の画角にマーカ300が含まれるようになる。そして、カメラ21の画像にマーカ300が含まれると、制御部30がマーカ画像に基づいて、ロボット100の位置を制御する。よって、制御部30が、ロボット100の移動を適切に制御することができる。
【0041】
また、昇降機構12が下降して、荷物200を荷下ろし場所3に下ろすと、ロボット100が後退していく。これにより、荷物200が荷下ろし場所に運搬される。このとき、距離センサ13で検出結果に基づいて、制御部30がロボット100の移動を制御している。つまり、荷物200を下ろした後は、マーカ300が荷物200で隠れてしまうため、カメラ21が、マーカ300を撮像することができない。よって、距離センサ13で検出された荷物200までの距離に応じて、制御部30がロボット100の位置制御を行う。積み込み場所2への移動制御と同様に、距離センサ13で測定された距離に従って、ロボット100が移動する。つまり、積み込み場所2への接近と反対の手順で、ロボット100が荷下ろし場所3から離れていく。これにより、ロボット100が荷物200の空間から移動することができる。ロボット100が荷下ろし場所3から適切に離れていくことができる。
【0042】
図5は、カメラ21の画角Aを説明するための模式図である。具体的には、図5は、カメラ21で撮像された画像P1、画像P2をそれぞれ模式的に示している。図5の画像P1は、ロボット100が荷下ろし場所3に接近中の撮像画像を示している。画像P1では、ロボット100が壁Wに近づくように、上方向にロボット100が移動している。画像P2は昇降機構12が下降中の撮像画像が示されている。つまり、画像P2は、ロボット100が荷下ろし場所3までの移動を終了した時点の状態が示されている。
【0043】
画像P1、画像P2には、マーカ300が含まれている。画像P1、P2には、本体部10、及び荷物200の一部が含まれている。画像P1、画像P2の下側の端部に本体部10及び荷物200が写っている。荷物200の運搬中は、カメラ21と、本体部10及び荷物200の位置関係は、一定であるため、画像P1、P2における本体部10、及び荷物200の位置は一定である。カメラ21は、本体部10の前側の一部を含むように、画角Aが設定されている。カメラ21は、本体部10をわずかに含むように、前方斜め下を向いて、支持部材20に設置されている。このようにすることで、マーカ300の位置を精度よく検出することができる。
【0044】
具体的には、制御部30が、本体部10からマーカ300までの画素数をカウントする。制御部30が、画素数に基づいて、本体部10からマーカ300までの距離を測定することができる。制御部30は、画像P1、P2における水平方向と鉛直方向の画素数を、前後方向と左右方向の距離に換算することできる。本体部10からマーカ300までの距離を正確に測定することができるため、位置精度を向上することができる。画角Aには、本体部10だけでなく、荷物200の一部が含まれていてもよい。もちろん、荷物200の搭載位置や荷物200の大きさによっては、カメラ21の画角Aに本体部10が写らずに、荷物200のみが含まれていてもよい。この場合、荷物200からマーカ300まで画素数に応じて、距離を求めることができる。
【0045】
図5に示すように、荷下ろし場所3のロボット100に近い側の端部を近端部NEとし、荷下ろし場所3のロボット100から遠い側の端部を遠端部FEとする。図5では、ロボット100が上方向に移動しているため、荷下ろし場所3の下端が近端部NEとなり、上端が遠端部FEとなる。
【0046】
マーカ300は、荷下ろし場所3の遠端部FEに形成されていることが好ましい。このようにすることで、マーカ300をより長時間撮像することができる。よって、位置精度を向上することができる。つまり、荷下ろし位置への移動終了時点まで、あるいは荷下ろし位置の直前まで、カメラ21がマーカ300を撮像することができる。一方、近端部NEにマーカ300を形成した場合、移動中にマーカ300が本体部10や荷物200で隠れてしまう。よって、カメラ21がマーカ300を撮像することができなくなってしまう。このように、マーカ300は、荷下ろし場所3の遠端部FEに形成されていることが好ましい。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。さらに、本開示は、ロボットシステム1における制御処理の一部又は全部を、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することが可能である。例えば、制御部30等は、例えば、コンピュータの中央演算処理装置等のプログラムを実行可能な装置として実装可能である。そして、各種機能はプログラムにより実現することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 ロボットシステム
2 積み込み場所
3 荷下ろし場所
100 ロボット
10 本体部
11 車輪
12 昇降機構
13 距離センサ
20 支持部材
21 カメラ
200 荷物
201 脚部
202 反射部材
300 マーカ
S 空間
F 床面
図1
図2
図3
図4
図5