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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006559
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電動工具システム
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/14 20060101AFI20250109BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B25B23/14 640W
B25F5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107437
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀規
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅道
(72)【発明者】
【氏名】岡本 景太
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 秀和
【テーマコード(参考)】
3C038
3C064
【Fターム(参考)】
3C038CA06
3C064AA01
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA22
3C064BB89
3C064CA53
3C064CA80
3C064CB17
3C064CB62
3C064CB71
3C064CB81
3C064CB95
3C064EA02
3C064EA04
3C064EA06
(57)【要約】
【課題】送信先において、電動工具からの第1測定値が検査用の第1測定値か検査以外の用途の第1測定値かの区別、ひいては電動工具からの第1測定値と検査装置からの第2測定値との紐づけ、の容易化を図る。
【解決手段】電動工具1は、提示部11と締付部12と第1測定部13と第1通信部14とを備える。提示部11は、電動工具1を識別する工具識別情報を提示する。第1測定部13は、締付部12の締付トルクを測定し、第1測定値を出力する。第1通信部14は、第1測定値を工具識別情報と共に送信する。検査装置2は、取込部21と第2測定部22と第2通信部25とを備える。取込部21は、電動工具1が検査装置2の検査を受けている被検査期間に、提示部11から工具識別情報を取り込む。第2測定部22は、締付部12の締付トルクを測定し、第2測定値を出力する。第2通信部25は、第2測定値を、締付部12が取り込んだ工具識別情報と共に送信する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具と、
前記電動工具のトルク検査の少なくとも一部を行う検査装置と、を備え、
前記電動工具は、
前記電動工具を識別する工具識別情報を提示する提示部と、
動力源の駆動力により締付対象の被取付部材への締付を行う締付部と、
前記締付部の締付トルクを測定し、第1測定値を出力する第1測定部と、
前記第1測定値を前記工具識別情報と共に外部システムに送信する第1通信部と、を備え、
前記検査装置は、
前記電動工具が前記検査装置の検査を受けている被検査期間に、前記電動工具が備える前記提示部から前記工具識別情報を取り込む取込部と、
前記電動工具が備える前記締付部の前記締付トルクを測定し、第2測定値を出力する第2測定部と、
前記第2測定値を、前記取込部が取り込んだ前記工具識別情報と共に前記外部システムに送信する第2通信部と、を備える、
電動工具システム。
【請求項2】
前記電動工具は、出力軸を有し、
前記検査装置は、前記出力軸が差し込まれる差込孔を有し、
前記被検査期間は、前記電動工具の前記出力軸が前記検査装置の前記差込孔に差し込まれている状態である被検査状態、に対応する期間であり、
前記提示部と前記取込部とは、前記電動工具が前記被検査状態にあるとき、前記取込部が前記提示部から前記工具識別情報の取り込みを行える位置関係にある、
請求項1に記載の電動工具システム。
【請求項3】
前記トルク検査は、前記出力軸が前記差込孔に差し込まれている状態で、前記第1測定部及び前記第2測定部の各々が、前記締付部の前記出力軸への前記締付トルクを測定することにより行われる、
請求項2に記載の電動工具システム。
【請求項4】
前記電動工具は、複数の電動工具の各々であり、
前記第1測定部及び前記第2測定部の各々は、前記複数の電動工具のうち前記被検査状態にある前記電動工具、が備える前記締付部の前記出力軸への前記締付トルクを測定する、
請求項3に記載の電動工具システム。
【請求項5】
前記取込部は、前記複数の電動工具のうち前記被検査状態にある電動工具、が備える前記提示部から前記工具識別情報を取り込み、
前記複数の電動工具のうち、
前記被検査状態にある電動工具、の前記第1通信部は、前記第1測定値を、前記被検査状態にある前記電動工具を識別する前記工具識別情報、及び前記被検査状態を示す状態情報、と共に前記外部システムに送信し、
前記被検査状態とは異なる状態にある電動工具、の前記第1通信部は、前記第1測定値を、前記被検査状態とは異なる状態にある前記電動工具を識別する前記工具識別情報と共に前記外部システムに送信し、
前記第2通信部は、前記第2測定値を、前記取込部が取り込んだ前記工具識別情報と共に前記外部システムに送信する、
請求項4に記載の電動工具システム。
【請求項6】
前記外部システムは、
前記複数の電動工具の各々から前記第1測定値を前記状態情報及び前記工具識別情報と共に受信し、かつ前記検査装置から前記第2測定値を前記工具識別情報と共に受信する外部通信部と、
前記外部通信部が前記状態情報及び前記工具識別情報と共に受信した前記第1測定値と、前記外部通信部が前記工具識別情報と共に受信した前記第2測定値と、を紐づける紐付部と、
前記紐付部が紐づけた前記第1測定値及び前記第2測定値、の差分を、前記工具識別情報で識別される電動工具に通知する差分通知部と、を備え、
前記複数の電動工具の各々は、前記差分を基に前記第1測定部に対する校正を行う校正部、を更に備える、
請求項5に記載の電動工具システム。
【請求項7】
前記校正部は、前記校正が完了した場合に、校正完了の報知を行う、
請求項6に記載の電動工具システム。
【請求項8】
前記検査装置は、
前記第2測定値を表示する表示部と、
前記第2測定値に対する許可操作を受け付ける受付部と、を更に備え、
前記第2通信部は、前記許可操作を前記受付部が受け付けた場合に、前記第2測定値を、前記取込部が取り込んだ前記工具識別情報と共に前記外部システムに送信する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の電動工具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動工具システムに関し、より詳細には、電動工具と検査装置とを備える電動工具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動工具と、電動工具の締付トルクを検査する検査装置と、を備える電動工具システムが記載されている。この電動工具システムにおいて、電動工具による第1トルク測定値と、検査装置による第2トルク測定値と、がほぼ同じ時間に管理システムに送信され、管理システムにおいてほぼ同じ時間に受信された第1トルク測定値と第2トルク測定値とが互いに紐づけられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-10963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電動工具システムでは、管理システム(外部システム)等の送信先において、電動工具からの第1トルク測定値(第1測定値)が検査用の第1測定値か、検査以外の用途(例えば、作業の際の締付トルクの監視用)の第1測定値か、の区別が困難となる可能性がある。そして、このような区別が困難になると、電動工具からの第1測定値と、検査装置からの第2測定値と、の紐づけも困難となる。
【0005】
本開示の目的は、送信先において、電動工具からの第1測定値が検査用の第1測定値か検査以外の用途の第1測定値かの区別、ひいては電動工具からの第1測定値と検査装置からの第2測定値との紐づけ、の容易化を図ることができる電動工具システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電動工具システムは、電動工具と検査装置とを備える。前記検査装置は、前記電動工具のトルク検査の少なくとも一部を行う。前記電動工具は、提示部と締付部と第1測定部と第1通信部とを備える。前記提示部は、前記電動工具を識別する工具識別情報を提示する。前記締付部は、動力源の駆動力により締付対象の被取付部材への締付を行う。前記第1測定部は、前記締付部の締付トルクを測定し、第1測定値を出力する。前記第1通信部は、前記第1測定値を前記工具識別情報と共に外部システムに送信する。前記検査装置は、取込部と第2測定部と第2通信部とを備える。前記取込部は、前記電動工具が前記検査装置の検査を受けている被検査期間に、前記電動工具が備える前記提示部から前記工具識別情報を取り込む。前記第2測定部は、前記電動工具が備える前記締付部の締付トルクを測定し、第2測定値を出力する。前記第2通信部は、前記第2測定値を、前記取込部が取り込んだ工具識別情報と共に前記外部システムに送信する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電動工具システムは、送信先において、電動工具からの第1測定値が検査用の第1測定値か検査以外の用途の第1測定値かの区別、ひいては電動工具からの第1測定値と検査装置からの第2測定値との紐づけ、の容易化を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係る電動工具システムと外部システムとで実現される管理システムの概念図である。
図2図2は、同上の管理システムのブロック図である。
図3図3は、同上の電動工具システムに含まれる複数の電動工具、の各々のフローチャートである。
図4図4は、同上の電動工具システムに含まれる検査装置、のフローチャートである。
図5図5は、同上の外部システムのフローチャートである。
図6図6Aは、同上の検査装置の第1変形例を示す模式図であり、図6Bは、同上の検査装置の第2変形例を示す模式図である。
図7図7は、本開示の第2実施形態に係る電動工具システムと外部システムとで実現される管理システムの概念図である。
図8図8は、同上の管理システムのブロック図である。
図9図9は、同上の電動工具システムに含まれる複数の電動工具、の各々のフローチャートである。
図10図10は、同上の電動工具システムに含まれる検査装置、のフローチャートである。
図11図11は、同上の外部システムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)第1実施形態
以下で説明する電動工具及び検査装置の構造、提示部及び取込部の位置関係、並びに外部システムの構成、等はいずれも例示であり、適宜変更が可能である。
【0010】
(1-1)システム構成
本開示の第1実施形態に係る電動工具システム10は、図1に示すように、複数の電動工具1と検査装置2とを備える。複数の電動工具1及び検査装置2は、例えば、工場等の建物内の作業室で使用される。複数の電動工具1及び検査装置2の各々は、例えば、無線LAN(Local area network)又はBluetooth(登録商標)等の無線通信媒体を介して、外部システム30と通信可能に接続される。
【0011】
(1-1-1)電動工具
電動工具1は、締付対象を被取付部材に締め付ける締付作業を行うための、携帯型の機器である。電動工具1は、図1に示すように、工具本体100とバッテリパック103と出力軸113とトリガスイッチ141とを有する。バッテリパック103は、工具本体100に装着され、工具本体100に収納されている各種の部品が動作するための電力を供給する。各種の部品は、例えば、出力軸113を回転駆動するためのモータ、及びトリガスイッチ141の操作に応じてモータを制御する制御回路、等である。
【0012】
そして、図1に示すように、工具本体100の下端側の前面(出力軸113の先端に向かう向きを法線とするような面)に、提示部11が設けられる。提示部11は、例えば、QRコード(登録商標:以下同様)若しくはバーコード等の光学読み取りが可能なコード、又はNFC(Near Field Communication)等の非接触通信が可能なICタグ(ICチップともいう)、を含む。コードには、工具識別情報等の情報が光学読み取り可能に埋め込まれている。ICタグには、工具識別情報等の情報が非接触通信で受信(読み取り)可能に記憶されている。
【0013】
なお、工具本体100の適宜な位置に、校正完了の報知(後述)などのために、ディスプレイ及びスピーカの少なくとも一方が設けられていてもよい。
【0014】
このように、電動工具1では、コード又はICタグを含む提示部11によって、取込部21への工具識別情報等の情報の提示(光学的に読み取られること、又は非接触通信での送信)が可能である。
【0015】
(1-1-2)検査装置
検査装置2は、電動工具1のトルク検査(後述)の少なくとも一部を行う装置である。本実施形態の検査装置2は、電動工具1及び外部システム30と協働してトルク検査を実現する。ただし、検査装置2は、トルク検査の全部を行ってもよい。
【0016】
検査装置2は、台座201と本体202と第2測定部22と支持部材205と取込部21と表示部23と受付部24とを備える。本実施形態の検査装置2では、板状の台座201の上面に、直方体状の本体202の下面が取り付けられる。本体202の上面の中央に、第2測定部22が設けられる。第2測定部22は、電動工具1の出力軸113が差し込まれる差込孔203を有する。また、本体202の上面の一端側に、ディスプレイを含む表示部23が設けられる。
【0017】
本体202の4つの側面のうち、表示部23が設けられた側の第1側面202aに、操作ボタンを含む受付部24が設けられ、また、第1側面202aとは反対側の第2側面202bに、逆L字型の支持部材205が設けられる。
【0018】
そして、支持部材205の上面に、取込部21が設けられる。取込部21は、例えば、コードに埋め込まれた工具識別情報等の情報を光学的に読み取るコードリーダ、又はICタグから非接触通信によって工具識別情報等の情報を受信するタグリーダ、を含む。
【0019】
以上のように構成された電動工具システム10において、図1に示すように、電動工具1の出力軸113が検査装置2の差込孔203に差し込まれると、工具本体100の下端側の前面に設けられた提示部11は、支持部材205の上面に設けられた取込部21と対向する。この状態で、検査装置2の取込部21は、電動工具1の提示部11からの工具識別情報等の情報の取り込み(光学読み取り又は非接触通信による受信)を行うことができる。
【0020】
(1-1-3)外部システム
外部システム30は、電動工具1の管理(後述)の一部を行うシステムである。外部システム30は、図1に示すように、通信機4及びサーバ5を備える。通信機4は、前述したように、複数の電動工具1及び検査装置2の各々との間で、無線通信媒体を介した通信を行うことができる。また、通信機4は、例えば、インターネットなどの広域通信網NT1を介して、サーバ5と通信可能に接続される。通信機4は、ディスプレイ44を有しており、各種の情報をディスプレイ44に表示する。各種の情報とは、例えば、複数の電動工具1の各々から受信された第1測定値、及び検査装置2から受信された第2測定値、などである。サーバ5は、例えば、建物内の管理室などに設置される。ただし、サーバ5は、インターネット上のクラウドサーバなどでもよく、その所在は問わない。
【0021】
(1-1-4)管理システム
このような電動工具システム10と外部システム30とで、複数の電動工具1のトルク検査を含む管理、を行う管理システムが実現される。
【0022】
トルク検査とは、電動工具1において、締付部12による締付トルクを第1測定部13が測定した第1測定値、が適正な値か否かの検査である。第1測定値が適正な値でない場合、つまり、第1測定値と、締付部12による締付トルクを第2測定部22が測定した第2測定値と、が一致しないと判断された場合、第1測定部13に対する校正が行われる。より詳しくは、第1測定値と第2測定値との差分が閾値以上である場合に、第1測定値は第2測定値と一致しないと判断され、第1測定部13に対する校正が行われる。
【0023】
管理は、上記のようなトルク検査のために、複数の電動工具1に対応する複数の工具識別情報、の各々について、被検査状態か否かの判断を行うこと、及び、被検査状態と判断された工具識別情報に、電動工具1の第1測定部13による第1測定値と、被検査状態を示す状態情報と、の組を紐づけることにより検査用情報を取得すること、を更に含む。
【0024】
また、管理は、複数の工具識別情報の各々に、検査装置2の第2測定部22による第2測定値を紐づけること、を更に含む。そして、管理は、同じ工具識別情報に紐づいた検査用情報及び第2測定値の間で、検査用情報を構成する第1測定値と第2測定値との差分を取得し、取得した差分を基に、工具識別情報で識別される電動工具1、の第1測定部13に対する校正を行うこと、を更に含む。
【0025】
(1-2)詳細
(1-2-1)電動工具の詳細
複数の電動工具1の各々は、図2に示すように、提示部11と締付部12と第1測定部13と第1通信部14と第1処理部15とを備える。
【0026】
提示部11は、各種の情報を提示する。各種の情報とは、例えば、電動工具1を識別する工具識別情報である。各種の情報は、例えば、電動工具1の属性に関する属性情報を更に含んでいてもよい。属性情報は、例えば、電動工具1の種類又は所属(使用者、使用場所)などに関する情報である。
【0027】
締付部12は、締付を行う。締付とは、バッテリ等の動力源の駆動力により、ネジ等の締付対象を被取付部材に締め付ける動作である。締付部12は、出力軸113を介して締付対象に対する締付を行う。第1測定部13は、例えば、締付部12による締め付けに応じて出力軸113に生じる歪み、に応じた電気信号を出力する第1トルクセンサを含む。第1測定部13は、第1トルクセンサの出力を基に、締付部12による締付トルクを測定し、測定結果を示す第1測定値を取得する。
【0028】
第1通信部14は、外部システム30(外部通信部31)との間で無線通信を行う。第1通信部14は、例えば、後述する第1処理部15が、電動工具1は被検査状態でない(つまり、被検査状態とは異なる状態である:例えば、作業状態である)と判断した場合に、第1測定部13による第1測定値を、電動工具1を識別する工具識別情報と共に、外部システム30に送信する。
【0029】
また、第1通信部14は、第1処理部15が、電動工具1は被検査状態であると判断した場合に、第1測定部13による第1測定値を、被検査状態を示す状態情報、及び電動工具を識別する工具識別情報と共に、外部システム30に送信する。ただし、第1通信部14の通信相手(第1測定値等の送信先)は、外部システム30に限らない。
【0030】
第1処理部15は、各種の処理を実行する。各種の処理とは、例えば、校正部151の処理である。また、第1処理部15は、図3のフローチャートで説明する各種の判断なども行う。各種の判断には、例えば、被検査状態か否かの判断(ステップS13参照)が含まれる。
【0031】
第1処理部15は、校正部151を備える。校正部151は、外部システム30から通知された差分を基に、第1測定部13に対する校正を行う。校正は、通知された差分が0に近付くように、第1トルクセンサの調整を行うこと、又は第1トルクセンサの出力を補正することである。
【0032】
なお、校正部151は、校正が完了した場合に、校正完了の報知を行ってもよい。報知とは、例えば、工具本体100に設けられたディスプレイへの表示、工具本体100に設けられたスピーカからの音声出力などである。
【0033】
(1-2-2)検査装置の詳細
検査装置2は、図2に示すように、取込部21と第2測定部22と表示部23と受付部24と第2通信部25と第2処理部26とを備える。
【0034】
取込部21は、複数の電動工具1のうち一の電動工具1の出力軸113が差込孔203に差し込まれた状態で、当該一の電動工具1の提示部11から、工具識別情報等の情報を取り込む。
【0035】
第2測定部22は、第2トルクセンサを含む。第2トルクセンサは、複数の電動工具1のうち一の電動工具1の出力軸113が差込孔203に差し込まれた状態で、締付部12による締め付けに応じて出力軸113に生じる歪み、に応じた電気信号を出力する。なお、以下では、複数の電動工具1のうち、出力軸113が差込孔203に差し込まれた状態にある電動工具1を、「被検査状態にある電動工具1」と記す場合がある。
【0036】
第2測定部22は、第2トルクセンサの出力を基に、被検査状態にある電動工具1の締付部12による締付トルクを測定し、測定結果を示す第2測定値を取得する。
【0037】
表示部23は、ディスプレイを含み、第2測定部22が取得した第2測定値をディスプレイに表示する。受付部24は、操作ボタンを含み、表示部23が表示した第2測定値の外部システム30への送信を許可する許可操作を、操作ボタンを介して受け付ける。
【0038】
第2通信部25は、外部システム30(外部通信部31)との間で無線通信を行う。第2通信部25は、例えば、第2測定部22が取得した第2測定値を表示部23が表示し、受付部24が許可操作を受け付けた場合に、取得された第2測定値を、取込部21が被検査状態にある電動工具1の提示部11から取り込んだ工具識別情報に対応付けて、外部システム30に送信する。ただし、第2通信部25の通信相手(第2測定値等の送信先)は、外部システム30に限らない。
【0039】
第2処理部26は、各種の処理を実行する。各種の処理とは、例えば、図4のフローチャートで説明する各種の判断などである。
【0040】
(1-2-3)外部システムの詳細
外部システム30は、図2に示すように、外部通信部31と記憶部32と外部処理部33とを備える。
【0041】
外部通信部31は、複数の電動工具1に対応する複数の第1通信部14、及び検査装置2の第2通信部、の各々との間で無線通信を行う。
【0042】
記憶部32は、各種の情報を記憶する。各種の情報とは、例えば、外部通信部31が複数の電動工具1及び検査装置2の各々から受信した情報であり、具体的には、第1測定値、第2測定値、工具識別情報、及び状態情報などである。
【0043】
外部処理部33は、各種の処理を実行する。各種の処理は、例えば、紐付部331の処理、及び差分通知部332の処理などである。また、外部処理部33は、図5のフローチャートで説明する各種の判断なども行う。
【0044】
外部処理部33は、紐付部331と差分通知部332とを備える。紐付部331は、工具識別情報と各種の情報との間の紐づけを行う。各種の情報とは、例えば、第1測定値及び状態情報を含む検査用情報、及び第2測定値などである。
【0045】
紐付部331は、例えば、外部通信部31が第1測定値と共に工具識別情報を受信した場合に、工具識別情報に対応付けて第1測定値を記憶部32に記憶することにより、工具識別情報と第1測定値との紐づけを行う。
【0046】
また、紐付部331は、例えば、外部通信部31が第1測定値と共に工具識別情報及び状態情報を受信した場合に、工具識別情報に対応付けて、第1測定値及び状態情報を含む検査用情報を記憶部32に記憶することにより、工具識別情報と検査用情報との紐づけを行う。
【0047】
さらに、紐付部331は、例えば、外部通信部31が第2測定値と共に工具識別情報を受信した場合に、工具識別情報に対応付けて第2測定値を記憶部32に記憶することにより、工具識別情報と第2測定値との紐づけを行う。
【0048】
なお、紐付部331が、工具識別情報と検査用情報との紐づけ、及び工具識別情報と第2測定値との紐づけを行うことで、同じ工具識別子に対応付いた検査用情報及び第2測定値、の間で、検査用情報に含まれる第1測定値と第2測定値とが紐づけられる結果となる。これにより、差分通知部332による差分の算出が可能となる。
【0049】
差分通知部332は、同じ工具識別子に対応付いた検査用情報及び第2測定値、の間で、検査用情報に含まれる第1測定値と第2測定値との差分を算出する。そして、差分通知部332は、その工具識別子で識別される電動工具1に、外部通信部31を介して差分を通知する。
【0050】
(1-3)動作例
(1-3-1)電動工具の動作例
複数の電動工具1の各々(以下、単に「電動工具1」と記す)は、例えば、図3のフローチャートに従って動作する。図3の処理は、例えば、電動工具1の起動に応じて開始され、動作停止に応じて終了される。
【0051】
第1処理部15は、締付部12による締付が実行されたか否かを判断する(ステップS11)。締付部12による締付が実行されていない(ステップS11でNo)と判断された場合、処理はステップS16に進む。
【0052】
ステップS11で締付部12による締付が実行された(Yes)と判断された場合、第1測定部13は、締付部12による締付トルクの測定を行う(ステップS12)。
【0053】
次に、第1処理部15は、電動工具1が被検査状態か否かを判断する(ステップS13)。電動工具1が被検査状態でない(ステップS13でNo)と判断された場合、処理はステップS15に進む。
【0054】
ステップS13で電動工具1が被検査状態である(Yes)と判断された場合、第1通信部14は、第1測定部13による第1測定値を、被検査状態を示す状態情報、及び電動工具1を識別する工具識別情報と共に、外部システム30に送信する(ステップS14)。その後、処理はステップS11に戻る。
【0055】
ステップS13で電動工具1が被検査状態でない(No:つまり作業状態である)と判断された場合、第1通信部14は、第1測定部13による第1測定値を、電動工具1を識別する工具識別情報と共に、外部システム30に送信する(ステップS15)。その後、処理はステップS11に戻る。
【0056】
ステップS11で締付部12による締付が実行されていない(No)と判断された場合、第1処理部15は、第1通信部14が外部システム30から差分を受信したか否かを判断する(ステップS16)。第1通信部14が外部システム30から差分を受信していない(ステップS16でNo)と判断された場合、処理はステップS11に戻る。
【0057】
ステップS16で第1通信部14が外部システム30から差分を受信した(Yes)と判断された場合、校正部151は、受信した差分を基に、第1測定部13に対する校正を行う(ステップS17)。その後、処理はステップS11に戻る。
【0058】
(1-3-2)検査装置の動作例
検査装置2は、例えば、図4のフローチャートに従って動作する。図4の処理は、例えば、検査装置2の起動に応じて開始され、動作停止に応じて終了される。
【0059】
第2処理部26は、検査装置2に電動工具1が装着されたか否かを判断する(ステップS21)。電動工具1が装着されていない(ステップS21でNo)と判断された場合、処理はステップS21に戻る。
【0060】
ステップS21で検査装置2に電動工具1が装着された(Yes)と判断された場合、取込部21は、電動工具1の提示部11からの工具識別情報の取込を行う(ステップS22)。
【0061】
次に、第2測定部22は、電動工具1の締付部12による締付トルクの測定を行う(ステップS23)。
【0062】
次に、表示部23は、ステップS23で測定された第2測定値を表示する(ステップS24)。
【0063】
第2処理部26は、受付部24によって許可操作が受け付けられたか否かを判断する(ステップS25)。受付部24によって許可操作が受け付けられていない(ステップS25でNo)と判断された場合、処理はステップS27に進む。
【0064】
ステップS25で受付部24によって許可操作が受け付けられた(Yes)と判断された場合、ステップS23で測定された第2測定値を、電動工具1を識別する工具識別情報と共に外部システム30に送信する(ステップS26)。その後、処理はステップS21に戻る。
【0065】
ステップS25で受付部24によって許可操作が受け付けられていない(No)と判断された場合、第2処理部26は、電動工具1が検査装置2から離脱したか否かを判断する(ステップS27)。電動工具1が検査装置2から離脱していない(ステップS27でNo)と判断された場合、処理はステップS25に戻る。
【0066】
ステップS27で電動工具1が検査装置2から離脱した(Yes)と判断された場合、処理はステップS21に戻る。
【0067】
(1-3-3)外部システムの動作例
外部システム30は、例えば、図5のフローチャートに従って動作する。図5の処理は、例えば、外部システム30の起動に応じて開始され、動作停止に応じて終了される。
【0068】
外部処理部33は、外部通信部31が第1測定値及び工具識別情報を受信したか否かを判断する(ステップS31)。外部通信部31が第1測定値及び工具識別情報を受信していない(ステップS31でNo)と判断された場合、処理はステップS33に進む。
【0069】
ステップS31で外部通信部31が第1測定値及び工具識別情報を受信した(Yes)と判断された場合、紐付部331は、工具識別情報に対応付けて第1測定値を記憶部32記憶することにより、工具識別情報と第1測定値との紐づけを行う(ステップS32)。その後、処理はステップS33に進む。
【0070】
ステップS33では、外部処理部33は、外部通信部31が第1測定値、状態情報及び工具識別情報を受信したか否かを判断する。外部通信部31が第1測定値、状態情報及び工具識別情報を受信していない(ステップS33でNo)と判断された場合、処理はステップS35に進む。
【0071】
ステップS33で外部通信部31が第1測定値、状態情報及び工具識別情報を受信した(Yes)と判断された場合、紐付部331は、工具識別情報に対応付けて、第1測定値及び状態情報を含む検査用情報を記憶部32に記憶することにより、工具識別情報と検査用情報との紐づけを行う(ステップS34)。その後、処理はステップS35に進む。
【0072】
ステップS35では、外部処理部33は、外部通信部31が第2測定値及び工具識別情報を受信したか否かを判断する。外部通信部31が第2測定値及び工具識別情報を受信していない(ステップS35でNo)と判断された場合、処理はステップS37に進む。
【0073】
ステップS35で外部通信部31が第2測定値及び工具識別情報を受信した(Yes)と判断された場合、紐付部331は、工具識別情報に対応付けて第2測定値を記憶部32に記憶することにより、工具識別情報と第2測定値との紐づけを行う(ステップS36)。その後、処理はステップS37に進む。
【0074】
ステップS37では、外部処理部33は、共通の工具識別情報に対応付いた検査用情報及び第2測定値、が記憶部32に記憶されているか否かを判断する。共通の工具識別情報に対応付いた検査用情報及び第2測定値、が記憶部32に記憶されていない(ステップS37でNo)と判断された場合、処理はステップS40に進む。
【0075】
ステップS37で共通の工具識別情報に対応付いた検査用情報及び第2測定値、が記憶部32に記憶されている(Yes)と判断された場合、差分通知部332は、検査用情報に含まれる第1測定値と第2測定値との差分を算出する(ステップS38)。次に、差分通知部332は、工具識別情報で識別される電動工具1に、外部通信部31を介して差分を通知する(ステップS39)。その後、処理はステップS31に戻る。
【0076】
ステップS40では、外部処理部33は、他の処理を行う。その後、処理はステップS31に戻る。
【0077】
(1-4)変形例
変形例では、第1実施形態における事項と共通する事項の説明は省略又は簡略化し、相違点を詳しく説明する。
【0078】
(1-4-1)第1変形例
この変形例の電動工具システム10では、図6Aに示すように、検査装置2の本体202の、支持部材205が設けられた第2側面202bとは反対側の第1側面202aに沿って、壁部材206が設けられる。電動工具1の提示部11は、工具本体100の上面に設けられ、検査装置2の取込部21は、壁部材206の上端側の所定の位置に設けられる。所定の位置は、電動工具1が検査装置2に装着された状態(出力軸113が差込孔203に差し込まれた状態)で、取込部21と提示部11とが互いに対向する位置、である。
【0079】
なお、互いに対向する位置とは、完全に対抗する位置に限らず、取込部21が提示部11から工具識別情報を取り込み可能な程度に対向していればよい(第2変形例でも同様)。
【0080】
表示部23及び受付部24は、この変形例では、第1側面202a及び第2側面202bに挟まれる一対の第3側面202cのいずれか一方に設けられる。
【0081】
なお、この変形例において、検査装置2は、支持部材205を備えていなくてもよい(第2変形例でも同様)。
【0082】
(1-4-2)第2変形例
この変形例の電動工具システム10では、図6Bに示すように、一対の第3側面202cのいずれか一方に沿って、壁部材206が設けられる。電動工具1の提示部11は、工具本体100の側面に設けられる。検査装置2の取込部21は、壁部材206の上端側の所定の位置に設けられる。所定の位置とは、電動工具1が検査装置2に装着された状態(出力軸113が差込孔203に差し込まれた状態)で、取込部21と提示部11とが互いに対向する位置、である。
【0083】
(1-4-3)提示部と取込部との位置関係
一般に、提示部11と取込部21とは、電動工具1が被検査状態、つまり出力軸113が差込孔203に差し込まれている状態のとき、取込部21が提示部11から工具識別情報の取り込みを行える位置関係、にあればよい。このような位置関係は、例えば、第1実施形態並びに第1変形例及び第2変形例で説明したように、出力軸113が差込孔203に差し込まれている状態で、取込部21と提示部11とが互いに対向するような位置関係である。ただし、被検査状態は、必ずしも出力軸113が差込孔203に差し込まれている状態でなくてもよく、出力軸113への締付トルクを検査装置2が測定可能であればよい。また、被検査状態で、取込部21と提示部11とは、必ずしも互いに対向していなくてもよく、取込部21が提示部11から工具識別情報を取り込み可能であればよい。
【0084】
(2)第2実施形態
以下では、第1実施形態における事項と共通する事項の説明は省略又は簡略化し、相違点を詳しく説明する。
【0085】
(2-1)システム構成
本開示の第2実施形態に係る電動工具システム10は、図7に示すように、複数の電動工具1及び検査装置2の各々が無線通信媒体を介して外部システム30と通信可能に接続されるのに加えて、複数の電動工具1の各々と検査装置2との間も、無線通信媒体を介して通信可能に接続される。
【0086】
(2-1-1)電動工具
本実施形態の電動工具1では、図7に示すように、工具本体100の下端側の前面には、提示部11に代えて設定部16が設けられる。設定部16は、設定ボタンを含み、設定ボタンの押下に応じて、第1実施形態における被検査状態に対応する被検査モード、の設定及び設定解除を行う。なお、被検査モードの設定解除は、被検査モードとは異なるモード(例えば、第1実施形態における作業状態に対応する作業モード)、の設定であってもよい。
【0087】
例えば、被検査モードが設定解除されている(又は、作業モードが設定されている)状態で設定ボタンが押下されると、設定部16は、被検査モードを設定する。また、被検査モードが設定されている状態で設定ボタンが押下されると、設定部16は、被検査モードの設定解除(又は、作業モードの設定)を行う。
【0088】
(2-1-2)検査装置
本実施形態の検査装置2では、図7に示すように、支持部材205の上面に取込部21は設けられておらず、検査装置2は、工具本体100の出力軸113が検査装置2の差込孔203に差し込まれたことに応じて、電動工具1と無線通信を行うことにより、電動工具1から工具識別情報を取得する。
【0089】
(2-1-3)外部システム
本実施形態における外部システム30は、第1実施形態における外部システム30と同様である。
【0090】
(2-1-4)管理システム
このような電動工具システム10と外部システム30とで、複数の電動工具1のトルク検査を含む管理、を行う管理システムが実現される。本実施形態におけるトルク検査は、第1実施形態におけるトルク検査と、以下の点を除き同様である。
【0091】
すなわち、本実施形態におけるトルク検査において、第1測定値と第2測定値との差分の算出は、外部システム30ではなく、電動工具1において行われる。詳しくは、本実施形態の検査装置2は、第2測定値を工具識別情報と共に外部システム30に送信する際に、当該工具識別情報で識別される電動工具1に第2測定値を通知する。電動工具1は、測定した第1測定値と、検査装置2から通知された第2測定値との差分を算出し、算出した差分が閾値以上である場合に、第1測定値が適正な値でないと判断し、第1測定部13に対する校正を行う。
【0092】
また、第1実施形態における管理は、検査装置2の状態(被検査状態か作業状態か)に基づく管理であったのに対し、本実施形態における管理は、検査装置2に設定されているモード(被検査モードか作業モードか)に基づく管理である点、が異なる。
【0093】
すなわち、本実施形態における管理は、複数の電動工具1に対応する複数の工具識別情報、の各々について、被検査モードか否かの判断を行うこと、及び、被検査モードと判断された工具識別情報に、電動工具1の第1測定部13による第1測定値と、被検査モードを示すモード情報と、の組を紐づけることにより検査用情報を取得すること、を含む。
【0094】
また、管理は、第1実施形態における管理と同様、複数の工具識別情報の各々に第2測定値を紐づけることを更に含む。そして、管理は、同じ工具識別情報に紐づいた検査用情報及び第2測定値の間で第1測定値と第2測定値との差分を取得し、取得した差分を基に第1測定部13に対する校正を行うことを更に含む。
【0095】
(2-2)詳細
(2-2-1)電動工具
複数の電動工具1の各々は、図8に示すように、設定部16と締付部12と第1測定部13と第1通信部14と第1処理部15とを備える。第1処理部15は、校正部151を備える。
【0096】
すなわち、本実施形態における電動工具1は、第1実施形態における電動工具1(図2参照)において、提示部11に代えて設定部16を備える。設定部16は、被検査モードの設定及び設定解除を行う。電動工具1は、検査装置2の検査を受ける前に、設定部16を介して被検査モードに設定される。また、電動工具1は、検査装置2の検査を受けた後に、設定部16を介して被検査モードが設定解除(作業モードに復帰)される。
【0097】
第1通信部14は、外部システム30(外部通信部31)及び検査装置2(第2通信部25)の各々との間で無線通信を行う。第1通信部14は、例えば、第1処理部15が、電動工具1は被検査モードでない(つまり作業モードである)と判断した場合に、第1測定部13による第1測定値を、電動工具1を識別する工具識別情報と共に、外部システム30に送信する。
【0098】
また、第1通信部14は、第1処理部15が、検査装置2に装着されている電動工具1は被検査モードであると判断した場合に、第1測定部13による第1測定値を、被検査モードを示すモード情報、及び電動工具1を識別する工具識別情報と共に、外部システム30に送信する。
【0099】
第1処理部15は、校正部151の処理を含む各種の処理を実行する。また、第1処理部15は、図9のフローチャートで説明する各種の判断なども行う。各種の判断には、検査装置2に装着されている電動工具1が被検査モードか否かの判断(ステップS13参照)が含まれる。
【0100】
本実施形態における校正部151は、第1測定部13が測定した第1測定値と、検査装置2から通知された第2測定値と、の差分を算出し、算出した差分を基に、第1測定部13に対する校正を行う。
【0101】
なお、校正部151は、第1実施形態の校正部151と同様、校正が完了した場合に、校正完了の報知を行ってもよい。または、本実施形態における校正部151は、例えば、第1通信部14を介して検査装置2に報知を行わせてもよい。つまり、校正部151は、校正完了を検査装置2に第1通信部14を介して通知し、この通知に応じて、検査装置2の表示部23が校正完了の報知を行ってもよい。
【0102】
(2-2-2)検査装置
検査装置2は、図8に示すように、第2測定部22と表示部23と受付部24と第2通信部25と第2処理部26とを備える。第2処理部26は、測定値通知部261と取得部262とを備える。
【0103】
すなわち、本実施形態における検査装置2は、第1実施形態における検査装置2(図2参照)において、取込部21を備えず、代わりに、第2処理部26が測定値通知部261と取得部262とを備える。第2測定部22、表示部23及び受付部24は、第1実施形態における第2測定部22、表示部23及び受付部24と同様の動作を行う。
【0104】
第2通信部25は、外部システム30(外部通信部31)に加えて、複数の電動工具1(複数の第1通信部14)の各々との間でも、無線通信を行う。詳しくは、複数の電動工具1のうち一の電動工具1が被検査モードに設定され、その被検査モードに設定された電動工具1が検査装置2に装着され、第2測定値が表示部23に表示され、許可操作が受付部24によって受け付けられた場合、第2通信部25は、第2測定値を、検査装置2に装着されている被検査モードの電動工具1、を識別する工具識別情報と共に、外部システム30に送信する。本実施形態では、これに加えて、測定値通知部261が、同上の工具識別情報で識別される電動工具1に、第2通信部25を介して第2測定値を通知する。
【0105】
第2処理部26は、各種の処理を行う。各種の処理には、例えば、測定値通知部261の処理、取得部262の処理、及び図10のフローチャートで説明する各種の判断、などが含まれる。
【0106】
(2-2-3)外部システム
外部システム30は、図8に示すように、外部通信部31と記憶部32と外部処理部33とを備える。外部処理部33は、紐付部331を備える。すなわち、本実施形態における外部システム30は、第1実施形態における外部システム30(図2参照)から差分通知部332を省いた構成を有する。
【0107】
外部通信部31は、第1実施形態における外部通信部31と同様、複数の第1通信部14及び第2通信部25の各々との間で無線通信を行う。記憶部32は、第1測定値、第2測定値、工具識別情報、及びモード情報など情報を記憶する。
【0108】
外部処理部33は、紐付部331の処理、及び図11のフローチャートで説明する各種の判断、などを含む各種の処理を実行する。
【0109】
紐付部331は、工具識別情報と各種の情報との間の紐づけを行う。各種の情報とは、例えば、第1測定値及びモード情報を含む検査用情報、及び第2測定値などである。
【0110】
紐付部331は、第1実施形態における紐付部331と同様、外部通信部31が第1測定値と共に工具識別情報を受信した場合に、工具識別情報に対応付けて第1測定値を記憶部32に記憶し、外部通信部31が第2測定値と共に工具識別情報を受信した場合には、工具識別情報に対応付けて第2測定値を記憶部32に記憶する。
【0111】
そして、紐付部331は、例えば、外部通信部31が第1測定値と共に工具識別情報及びモード情報を受信した場合に、工具識別情報に対応付けて、第1測定値及びモード情報を含む検査用情報を記憶部32に記憶する。
【0112】
(2-3)動作例
(2-3-1)電動工具の動作例
複数の電動工具1の各々(以下、単に「電動工具1」と記す)は、例えば、図9のフローチャートに従って動作する。図9のフローチャートは、図3のフローチャートにおいて、ステップS11の直前に2つのステップS10A及びS10Bを追加すると共に、ステップS16をステップS16aに、ステップS17をステップS17aに、それぞれ置き換えたものである。図9の処理は、例えば、電動工具1の起動に応じて開始され、動作停止に応じて終了される。
【0113】
第1処理部15は、設定操作が受け付けられたか否かを判断する(ステップS10A)。設定操作が受け付けられていない(ステップS10AでNo)と判断された場合、処理はステップS11に進む。
【0114】
ステップS10Aで設定操作が受け付けられた(Yes)と判断された場合、設定部16はモード設定を行う(ステップS10B)。その後、処理はステップS11に進む。なお、ステップS11~S15は、第1実施形態におけるステップS11~S15と同様である。ただし、2つのステップS14及びS15の各々の実行後、処理はステップS10Aに戻る。
【0115】
ステップS11で締付部12による締付が実行されていない(No)と判断された場合、第1処理部15は、第1通信部14が検査装置2から第2測定値を受信したか否かを判断する(ステップS16a)。第1通信部14が検査装置2から第2測定値を受信していない(ステップS16aでNo)と判断された場合、処理はステップS10Aに戻る。
【0116】
ステップS16aで第1通信部14が検査装置2から第2測定値を受信した(Yes)と判断された場合、校正部151は、ステップS12で取得した第1測定値と、ステップS16aで受信した第2測定値と、の差分を算出し、算出した差分を基に、第1測定部13に対する校正を行う(ステップS17a)。その後、処理はステップS10Aに戻る。
【0117】
(2-3-2)検査装置の動作例
検査装置2は、例えば、図10のフローチャートに従って動作する。図10のフローチャートは、図4のフローチャートにおいて、ステップS22をステップS22aに置き換えると共に、ステップS26の直後にステップS26Aを追加したものである。図10の処理は、例えば、検査装置2の起動に応じて開始され、動作停止に応じて終了される。
【0118】
ステップS21は、第1実施形態におけるステップS21と同様である。
【0119】
ステップS21で検査装置2に電動工具1が装着された(Yes)と判断された場合、取得部262は、第2通信部25を介して第1通信部14と無線通信を行うことにより、電動工具1から工具識別情報を取得する(ステップS22a)。続くステップS23~S27は、第1実施形態におけるステップS23~S27と同様である。
【0120】
ステップS26で、測定された第2測定値が工具識別情報と共に外部システム30に送信された後、測定値通知部261は、工具識別情報で識別される電動工具1に、第2通信部25を介して第2測定値を通知する。その後、処理はステップS21に戻る。
【0121】
(2-3-3)外部システムの動作例
外部システム30は、例えば、図11のフローチャートに従って動作する。図11のフローチャートは、図5のフローチャートにおいて、ステップS33をステップS33aに、ステップS34をステップS34aに、それぞれ置き換えると共に、ステップS37~S39を省いたものである。図11の処理は、例えば、外部システム30の起動に応じて開始され、動作停止に応じて終了される。
【0122】
ステップS31及びS32は、第1実施形態におけるステップS31及びS32と同様である。
【0123】
ステップS33aでは、外部処理部33は、外部通信部31が第1測定値、モード情報及び工具識別情報を受信したか否かを判断する。外部通信部31が第1測定値、モード情報及び工具識別情報を受信していない(ステップS33aでNo)と判断された場合、処理はステップS35に進む。
【0124】
ステップS33aで外部通信部31が第1測定値、モード情報及び工具識別情報を受信した(Yes)と判断された場合、紐付部331は、工具識別情報に対応付けて、第1測定値及びモード情報を含む検査用情報を記憶部32に記憶することにより、工具識別情報と検査用情報との紐づけを行う(ステップS34a)。その後、処理はステップS35に進む。
【0125】
ステップS35及びS36は、第1実施形態におけるステップS35及びS36と同様である。ステップS35で外部通信部31が第2測定値及び工具識別情報を受信していない(No)と判断された場合、処理はステップS40に進む。ステップS36で紐付部331が工具識別情報に対応付けて第2測定値を記憶部32に記憶した後、処理はステップS40に進む。
【0126】
ステップS40は、第1実施形態におけるステップS40と同様である。
【0127】
(3)その他の変形例
この変形例では、電動工具システム10は、一の電動工具1と検査装置2とで構成されてもよい。
【0128】
第1通信部14は、電動工具1が、被検査状態(又は被検査モード)であると判断された場合に、被検査状態を示す第1状態情報(又は被検査モードを示す第1モード情報)を第1測定値と共に送信し、作業状態(又は作業モード)であると判断された場合には、作業状態を示す第2状態情報(又は作業モードを示す第2モード情報)を第1測定値と共に送信してもよい。
【0129】
または、第1通信部14は、電動工具1が作業状態(又は作業モード)であると判断された場合に、作業状態を示す状態情報(又は作業モードを示すモード情報)を第1測定値と共に送信し、被検査状態(又は被検査モード)であると判断された場合には、状態情報(又はモード情報)なしで第1測定値を送信してもよい。
【0130】
つまり、第1通信部14は、第1測定値の送信先において、被検査状態(又は被検査モード)である被検査期間の第1測定値(検査用の第1測定値)と、被検査期間以外の期間(例えば、作業期間)の第1測定値(検査以外の用途の第1測定値)と、を区別可能であればよい。
【0131】
また、この変形例では、検査装置2が、外部システム30の機能の一部を有していてもよい。例えば、第1実施形態の変形例の場合、検査装置2は、外部システム30が備える紐付部331及び差分通知部332、に対応する紐づけ機能及び差分通知機能を有していてもよい。その場合、外部システム30は省略可能である。
【0132】
(4)まとめ
第1の態様に係る電動工具システム(10)は、電動工具(1)と検査装置(2)とを備える。検査装置(2)は、電動工具(1)のトルク検査の少なくとも一部を行う。電動工具(1)は、提示部(11)と締付部(12)と第1測定部(13)と第1通信部(14)とを備える。提示部(11)は、電動工具(1)を識別する工具識別情報を提示する。締付部(12)は、動力源の駆動力により締付対象の被取付部材への締付を行う。第1測定部(13)は、締付部(12)の締付トルクを測定し、第1測定値を出力する。第1通信部(14)は、第1測定値を工具識別情報と共に外部システム(30)に送信する。検査装置(2)は、取込部(21)と第2測定部(22)と第2通信部(25)とを備える。取込部(21)は、電動工具(1)が検査装置(2)の検査を受けている被検査期間に、電動工具(1)が備える提示部(11)から工具識別情報を取り込む。第2測定部(22)は、電動工具(1)が備える締付部(12)の締付トルクを測定し、第2測定値を出力する。第2通信部(25)は、第2測定値を、取込部(21)が取り込んだ工具識別情報と共に外部システム(30)に送信する。
【0133】
この態様は、第1実施形態に対応する。この態様によれば、送信先において、電動工具(1)からの第1測定値が検査用の第1測定値か検査以外の用途の第1測定値かの区別、ひいては電動工具(1)からの第1測定値と検査装置(2)からの第2測定値との紐づけ、の容易化を図ることができる。
【0134】
第2の態様に係る電動工具システム(10)では、第1の態様において、電動工具(1)は、出力軸(113)を有する。検査装置(2)は、出力軸(113)が差し込まれる差込孔(203)を有する。被検査期間は、被検査状態に対応する期間である。被検査状態は、電動工具(1)の出力軸(113)が検査装置(2)の差込孔(203)に差し込まれている状態である。提示部(11)と取込部(21)とは、電動工具(1)が被検査状態にあるとき、取込部(21)が提示部(11)から工具識別情報の取り込みを行える位置関係にある。
【0135】
この態様は、第1実施形態に対応する。この態様によれば、電動工具(1)を被検査状態にするだけで、電動工具(1)から工具識別情報が検査装置(2)に自動的に取り込まれるので、作業性の向上を図りつつ、第1トルク測定値と第2トルク測定値との紐づけの容易化を図ることができる。
【0136】
第3の態様に係る電動工具システム(10)では、第2の態様において、トルク検査は、出力軸(113)が差込孔(203)に差し込まれている状態で、第1測定部(13)及び第2測定部(22)の各々が、締付部(12)の出力軸(113)への締付トルクを測定することにより行われる。
【0137】
この態様は、第1実施形態に対応する。この態様によれば、出力軸(113)が差込孔(203)に差し込まれている状態にある電動工具(1)の締付トルクを、電動工具(1)及び検査装置(2)の各々で同時に測定することが可能となる。
【0138】
第4の態様に係る電動工具システム(10)では、第3の態様において、電動工具(1)は、複数の電動工具(1)の各々である。第1測定部(13)及び第2測定部(22)の各々は、複数の電動工具のうち被検査状態にある電動工具(1)、が備える締付部(12)の出力軸(113)への締付トルクを測定する。
【0139】
この態様は、第1実施形態に対応する。この態様によれば、外部システム(30)において、複数の電動工具(1)のうち被検査状態にある電動工具(1)、による第1測定値と、検査装置(2)による第2測定値と、の紐づけを図ることができる。
【0140】
第5の態様に係る電動工具システム(10)では、第4の態様において、取込部(21)は、複数の電動工具(1)のうち被検査状態にある電動工具(1)、が備える提示部(11)から工具識別情報を取り込む。複数の電動工具(1)のうち、被検査状態にある電動工具(1)、の第1通信部(14)は、第1測定値を、工具識別情報及び状態情報と共に外部システム(30)に送信する。工具識別情報は、被検査状態にある電動工具(1)を識別する情報である。状態情報は、被検査状態を示す情報である。被検査状態とは異なる状態にある電動工具(1)、の第1通信部(14)は、第1測定値を、被検査状態とは異なる状態にある電動工具(1)を識別する工具識別情報と共に外部システム(30)に送信する。第2通信部(25)は、第2測定値を、取込部(21)が取り込んだ工具識別情報と共に外部システム(30)に送信する。
【0141】
この態様は、第1実施形態に対応する。この態様によれば、検査装置(2)の取込部(21)が、複数の電動工具(1)のうち被検査状態にある電動工具(1)、の提示部(11)から工具識別情報を取り込むことで、工具識別情報を介して第1測定値と第2測定値との紐づけの容易化を図ることができる。また、第1通信部(14)が、第1測定値を、被検査状態にある電動工具(1)の工具識別情報及び被検査状態を示す状態情報、と共に外部システム(30)に送信することで、外部システム(30)において、電動工具(1)による被検査期間の第1測定値と、検査装置(2)による第2測定値と、の紐づけを図ることができる。
【0142】
第6の態様に係る電動工具システム(10)では、第5の態様において、外部システム(30)は、外部通信部(31)と紐付部(331)と差分通知部(332)とを備える。外部通信部(31)は、複数の電動工具(1)の各々から第1測定値を状態情報及び工具識別情報と共に受信し、かつ検査装置(2)から第2測定値を工具識別情報と共に受信する。紐付部(331)は、外部通信部(31)が状態情報及び工具識別情報と共に受信した第1測定値と、外部通信部(31)が工具識別情報と共に受信した第2測定値と、を紐づける。差分通知部(332)は、紐付部(331)が紐づけた第1測定値及び第2測定値、の差分を、工具識別情報で識別される電動工具(1)に通知する。複数の電動工具(1)の各々は、校正部(151)を更に備える。校正部(151)は、差分を基に第1測定部(13)に対する校正を行う。
【0143】
この態様は、第1実施形態に対応する。この態様によれば、外部システム(30)において、工具識別情報を介した第1測定値と第2測定値との紐づけが行われ、外部システム(30)から、紐づけられた第1測定値及び第2測定値の差分が通知されることで、電動工具(1)は、通知された差分を基に第1測定部(13)に対する校正を行える。
【0144】
第7の態様に係る電動工具システム(10)では、第6の態様において、校正部(151)は、校正が完了した場合に、校正完了の報知を行う。
【0145】
この態様は、第1実施形態に対応する。この態様によれば、電動工具(1)において校正が完了したことの作業者による認識、の容易化を図ることができる。
【0146】
第8の態様に係る電動工具システム(10)では、第1~第7のいずれかの態様において、検査装置(2)は、表示部(23)と受付部(24)とを更に備える。表示部(23)は、第2測定値を表示する。受付部(24)は、第2測定値に対する許可操作を受け付ける。第2通信部(25)は、許可操作を受付部(24)が受け付けた場合に、第2測定値を、取込部(21)が取り込んだ工具識別情報と共に外部システム(30)に送信する。
【0147】
この態様は、第1実施形態に対応する。この態様によれば、作業者によって許可された第2測定値しか、工具識別情報と共に外部システム(30)に送信されないので、不適切な第2測定値が第1測定値と紐づけられることの回避を図ることができる。
【符号の説明】
【0148】
10 電動工具システム
1 電動工具
11 提示部
12 締付部
13 第1測定部(測定部)
14 第1通信部(通信部)
16 設定部
151 校正部
2 検査装置
21 取込部
22 第2測定部
23 表示部
24 受付部
25 第2通信部
261 測定値通知部
262 取得部
30 外部システム
31 外部通信部
331 紐付部
332 差分通知部
113 出力軸
203 差込孔
図1
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