IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イビデン株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006569
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20250109BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20250109BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L23/12 N
H05K3/18 B
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107448
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 有紅
【テーマコード(参考)】
5E316
5E343
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA15
5E316AA43
5E316CC09
5E316CC32
5E316DD12
5E316DD17
5E316DD23
5E316DD24
5E316DD32
5E316DD33
5E316EE33
5E316FF07
5E316FF13
5E316FF14
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG23
5E316HH40
5E343AA17
5E343BB24
5E343CC62
5E343CC71
5E343DD25
5E343DD43
5E343ER02
5E343ER16
5E343ER18
5E343GG20
(57)【要約】
【課題】熱衝撃によりシード層が破断し難いプリント配線板の提供。
【解決手段】プリント配線板は、第1樹脂絶縁層と、前記第1樹脂絶縁層の上に形成されている第1導体層と、第1面と前記第1面と反対側の第2面を有し、前記第2面が前記第1導体層と対向するように前記第1樹脂絶縁層と前記第1導体層の上に形成されていて、前記第1導体層に至るビア導体用の開口を有する第2樹脂絶縁層と、前記第2樹脂絶縁層上に形成されている第2導体層と、前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層を接続するビア導体、とを有する。前記第2導体層は、前記第2樹脂絶縁層上のシード層と前記シード層上の電解めっき膜とからなり、前記シード層は、単結晶からなる複数の銅粒子で形成されていて、前記銅粒子のそれぞれは横に並んでいる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂絶縁層と、
前記第1樹脂絶縁層の上に形成されている第1導体層と、
第1面と前記第1面と反対側の第2面を有し、前記第2面が前記第1導体層と対向するように前記第1樹脂絶縁層と前記第1導体層の上に形成されていて、前記第1導体層に至るビア導体用の開口を有する第2樹脂絶縁層と、
前記第2樹脂絶縁層上に形成されている第2導体層と、
前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層を接続するビア導体、とを有するプリント配線板であって、
前記第2導体層は、前記第2樹脂絶縁層上のシード層と前記シード層上の電解めっき膜とからなり、
前記シード層は、単結晶からなる複数の銅粒子で形成されていて、前記銅粒子のそれぞれは横に並んでいる。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記銅粒子の(1,1,1)面と前記第2樹脂絶縁層の前記第1面は略平行である。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板であって、前記シード層の厚みと前記銅粒子の厚みは略等しい。
【請求項4】
請求項1のプリント配線板であって、前記銅粒子は不純物として炭素と酸素、シリコンを含む。
【請求項5】
請求項4記載のプリント配線板であって、前記シード層中の前記不純物の量は、前記第2樹脂絶縁層側から前記電解めっき膜側に向かって、徐々に小さい。
【請求項6】
請求項1記載のプリント配線板であって、前記シード層中の銅の量は、前記第2樹脂絶縁層側から前記電解めっき膜側に向かって、徐々に大きい。
【請求項7】
請求項4のプリント配線板であって、前記第2樹脂絶縁層は、炭素と酸素、シリコンを含む。
【請求項8】
請求項1のプリント配線板であって、前記シード層はスパッタリングにより形成されている。
【請求項9】
請求項1のプリント配線板であって、前記銅粒子の粒径は50nm以上200nm以下である。
【請求項10】
請求項1のプリント配線板であって、前記銅粒子の厚みは30nm以上800nm以下である。
【請求項11】
請求項1のプリント配線板であって、前記銅粒子の前記第2樹脂絶縁層側の表面粗さは20nm以上100nm以下であって前記電解めっき膜側の表面粗さは20nm以上100nm以下である。
【請求項12】
請求項1のプリント配線板であって、前記シード層を形成する前記銅粒子の全てが前記第2樹脂絶縁層に接している。
【請求項13】
請求項1のプリント配線板であって、前記銅粒子は縦に積まれない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、樹脂基板と樹脂基板上に形成されている樹脂絶縁層と導体回路を有するプリント配線板を開示する。導体回路は、特定の金属を含む合金層を介して樹脂絶縁層上に形成されている。例えば、特許文献1の段落[0008]に特定の金属は示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-124602号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1の合金層を備えるプリント配線板では、熱衝撃により、シード層が破断すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板は、第1樹脂絶縁層と、前記第1樹脂絶縁層の上に形成されている第1導体層と、第1面と前記第1面と反対側の第2面を有し、前記第2面が前記第1導体層と対向するように前記第1樹脂絶縁層と前記第1導体層の上に形成されていて、前記第1導体層に至るビア導体用の開口を有する第2樹脂絶縁層と、前記第2樹脂絶縁層上に形成されている第2導体層と、前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層を接続するビア導体、とを有する。前記第2導体層は、前記第2樹脂絶縁層上のシード層と前記シード層上の電解めっき膜とからなり、前記シード層は、単結晶からなる複数の銅粒子で形成されていて、前記銅粒子のそれぞれは横に並んでいる。
【0006】
本発明の実施形態のプリント配線板では、シード層は、単結晶からなる複数の銅粒子により形成されている。銅粒子のそれぞれは横に並んでいる。そのため、シード層を形成する各粒子の熱膨張係数がほぼ等しい。そのため、シード層は熱衝撃で破断し難い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
図2A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図2D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図3A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図3B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図3C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図3D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図3E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態のプリント配線板>
図1は実施形態のプリント配線板100の断面図である。図1に示されるように、プリント配線板100は、基板1と基板1の表裏に形成されているビルドアップ層80U,80Lを有する。基板1上には下層導体回路9及び導体層10からなる第1導体層が形成されている。
【0009】
ビルドアップ層80U,80Lは、樹脂絶縁層12U,12Lとシード層14及びシード層14上の電解銅めっき膜(電解めっき膜)15からなる第2導体層と樹脂絶縁層12U,12Lを貫通し隣接する導体層を接続するビア導体15Aで形成されている。樹脂絶縁層12U,12Lは第2樹脂絶縁層である。樹脂絶縁層12U,12Lは、第1面12aと第1面12aと反対側の第2面12bを有する。第2面12bは下層導体回路9及び導体層10と対向する。樹脂絶縁層12U,12Lは、基板1と下層導体回路9及び導体層10上に形成されている。樹脂絶縁層12U,12Lは、下層導体回路9及び導体層10に至るビア導体用開口13を有する。ビア導体15Aは、ビア導体用開口13内に形成されている。樹脂絶縁層12U,12Lは、ガラス粒子を含む。樹脂絶縁層12U,12Lは、炭素と酸素、シリコンを含む。
【0010】
シード層14は樹脂絶縁層12U,12L上に形成されている。図1中の拡大図に示されるように、シード層14は、単結晶からなる複数の銅粒子で形成されていて、銅粒子のそれぞれは横に並んでいる。銅粒子上に別の銅粒子が形成されていない。銅粒子は縦に積まれない。そのため、シード層14を形成する各粒子の熱膨張係数がほぼ等しい。そのため、シード層は熱衝撃で破断し難い。
【0011】
銅粒子の(1,1,1)面と樹脂絶縁層12U,12Lの第1面12aは略平行である。シード層14の厚みと銅粒子の厚みは略等しい。シード層14を形成する銅粒子の全てが樹脂絶縁層12U,12Lに接している。
【0012】
銅粒子の粒径は50nm以上200nm以下である。銅粒子の厚みは30nm以上800nm以下である。銅粒子の樹脂絶縁層12U,12L側の表面粗さは20nm以上100nm以下である。銅粒子の電解銅めっき膜15側の表面粗さは20nm以上100nm以下である。
【0013】
銅粒子は不純物として炭素と酸素、シリコンを含む。そのため、炭素、酸素、シリコンを含む樹脂絶縁層12U,12Lとの接着力が大きい。シード層14と樹脂絶縁層12U,12Lの密着力が高い。シード層14と樹脂絶縁層12U,12Lの間の接着力が高い。シード層14中の不純物の量は、樹脂絶縁層12U,12L側から電解銅めっき膜15側に向かって、徐々に小さい。シード層14中の銅の量は、樹脂絶縁層12U,12L側から電解銅めっき膜15側に向かって、徐々に大きい。
【0014】
なお、図1においては、後述する多層化の工程を省略し、後述の図5Cで形成される上層導体回路19等を有する基板1の上に、樹脂絶縁層12U,12Lと第2導体層とビア導体15Aからなるビルドアップ層80U,80Lが形成されている態様にて図示を行っている。実際は、上記多層化の工程により、ビルドアップ層80U,80Lにおいては、最外層の樹脂絶縁層(第2樹脂絶縁層)の内層側に最外層から2層目の樹脂絶縁層(第1樹脂絶縁層)が積層されている。最外層から2層目の樹脂絶縁層上には導体層(第1導体層)が形成されている。最外層の樹脂絶縁層は、最外層から2層目の樹脂絶縁層と第1導体層上に形成されている。最外層の樹脂絶縁層の第2面は第1導体層と対向する。最外層の樹脂絶縁層の上に形成されている導体層(第2導体層)と最外層から2層目の樹脂絶縁層上には導体層(第1導体層)の間が、第1導体層に至るビア導体用の開口に形成されるビア導体によって接続されている。
【0015】
プリント配線板100は、ビルドアップ層80A,80B上にソルダーレジストパターン層18U,18Lを有する。ソルダーレジストパターン層18U,18Lは開口21U,21Lを有する。開口21U,21Lにより露出される第2導体層は電子部品を搭載するためのパッドとして機能する。パッド上に電子部品を実装するための半田バンプ23が形成されている。
【0016】
<実施形態のプリント配線板の製造方法>
図2A図5Dは実施形態のプリント配線板100の製造方法を示す。図2A図5Dは断面図である。
【0017】
図2Aに示されるように、基板1の両面に銅箔2が貼られている銅貼積層板が出発材料とされる。図2Bに示されるように、銅貼積層板がドリル削孔されてスルーホール用の貫通孔が形成される。その後、無電解めっきが施され、基板1全面に無電解めっき膜が形成される。さらに、電気銅めっきが施されて電解銅めっき膜が形成される。図2Cに示されるように、基板1の全表面にスルーホール3aを含む導体層3が形成される。
【0018】
導体層3が形成されている基板1が水洗いされ、乾燥される。その後、該基板1を所定の水溶液からなる酸化浴(黒化浴)、及び、還元浴を用いた酸化還元処理に供され、図2Dに示されるように、スルーホール3aを含む導体層3の全表面に粗化面4が形成される。
【0019】
図3Aに示されるように、銅粒子を含む金属粒子ペースト5が、スルーホール3a内にスクリーン印刷によって充填され、乾燥、硬化される。その後、導体層3表面に形成される粗化面4及びスルーホール3aからはみ出る金属粒子ペースト5が研磨により除去され、基板1表面が平坦化される。
【0020】
図3Bに示されるように、平坦化されている基板1表面に、無電解めっきが施されることにより無電解銅めっき膜6が形成される。
【0021】
その後、所定条件で電気銅めっきが施されて電気銅めっき膜7が形成され、後述する図3Dの工程において下層導体回路9となる部分の厚付け、及び、スルーホール3aに充填されている金属粒子ペースト5を覆う導体層10となる部分が形成される。
【0022】
図3Cに示されるように、下層導体回路9及び導体層10となる部分が形成されている基板1の両面に、感光性ドライフィルムを貼り付け、マスクを載置して露光後、現像処理し、エッチングレジスト8が形成される。
【0023】
図3Dに示されるように、エッチングレジスト8を形成していない部分のめっき膜がエッチングにて溶解除去される。その後、エッチングレジスト8が剥離除去されることにより、独立した下層導体回路9及び導体層10が形成される。
【0024】
図3Eに示されるように、下層導体回路9及び導体層10の表面に粗化層11が形成され、さらにこの粗化層11の表面にSn層(図示省略)が形成される。
【0025】
図4Aに示されるように、エポキシ樹脂の組成物が基板1の両面に塗布され、樹脂絶縁層12U,12Lとなる樹脂層120U,120Lが形成される。
【0026】
図4Bに示されるように、樹脂層120U,120Lの形成後に適宜に紫外線で露光及び現像処理が行われ、ビア導体用開口13が形成される。さらに、熱硬化が行われることにより樹脂絶縁層12U,12Lが形成される。
【0027】
図4Cに示されるように、所定のスパッタリングにより、樹脂絶縁層12とビア導体用開口13と下層導体回路9と導体層10上に、シード層14が形成される。
【0028】
図4Dに示されるように、シード層14が形成されている基板1の両面に、感光性ドライフィルムが貼り付けられ、フォトマスクフィルムを載置して露光後、現像処理され、めっきレジスト16のパターンが形成される。
【0029】
図5Aに示されるように、所定条件で電気めっきが施されて電解銅めっき膜15が形成される。なお、この電解銅めっき膜15により、下層導体回路9部分の厚付け及びビアホール部分のめっき充填(後述の図5B参照)が行われる。ビアホール部分の電解銅めっき膜15によりビア導体15Aが形成される。
【0030】
図5Bに示されるように、めっきレジスト16を剥離除去後、そのめっきレジスト16の下に存在しているシード層14がエッチングで除去される。シード層14及びビア導体15Aを含む電解銅めっき膜15からなる、上層導体回路19が形成される。
【0031】
図5Cに示されるように、上層導体回路19が形成されている基板1に、所定のスパッタリングが行われ、上層導体回路19の表面にNi-Snからなる合金層20が形成される。その後、図4A図5Cの工程が繰り返されることにより、多層化が行われる。
【0032】
基板1の両面に、適宜のソルダーレジスト組成物を塗布して乾燥処理が行われる。その後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画されているフォトマスクをソルダーレジスト層に密着させて紫外線で露光し、現像処理し、開口が形成される。さらに、所定条件で加熱処理してソルダーレジスト層を硬化させることで、図5Dに示されるように、開口21U,21Lを有するソルダーレジストパターン層18U,18Lが形成される。
【0033】
ソルダーレジストパターン層18U,18Lが形成されている基板1が、所定の無電解めっき液に浸漬されて、ニッケルめっき層上に金めっき層22が形成される。その後、ソルダーレジストパターン層18U,18Lの開口21U,21Lにはんだペーストが印刷され、リフローされることにより半田バンプ23が形成される。実施形態のプリント配線板100が得られる(図1参照)。
【符号の説明】
【0034】
1 :基板
2 :銅箔
3 :導体層
3a :スルーホール
4 :粗化面
5 :金属粒子ペースト
6 :電解銅めっき膜
7 :電気銅めっき膜
8 :エッチングレジスト
9 :下層導体回路
10 :導体層
11 :粗化層
12 :樹脂絶縁層
12a :第1面
12b :第2面
12L :樹脂絶縁層
12U :樹脂絶縁層
13 :ビア導体用開口
14 :シード層
15 :電解銅めっき膜
15A :ビア導体
16 :めっきレジスト
18L :ソルダーレジストパターン層
18U :ソルダーレジストパターン層
19 :上層導体回路
20 :合金層
21L :開口
21U :開口
22 :金めっき層
23 :半田バンプ
80L :ビルドアップ層
80U :ビルドアップ層
100 :プリント配線板
120L:樹脂層
120U:樹脂層
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D