(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025065762
(43)【公開日】2025-04-22
(54)【発明の名称】射出成形機、および射出成形機の異常検出方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20250415BHJP
【FI】
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175184
(22)【出願日】2023-10-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小末 将吾
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM10
4F206JA07
4F206JL01
4F206JL08
4F206JP14
4F206JP27
4F206JP30
4F206JQ88
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】成形品の生産性の低下を抑制しつつ、駆動装置の異常を検出することである。
【解決手段】射出成形機100は、第1駆動装置の異常検出するための物理量を取得するための第1取得処理を、フラッシング処理の期間中に実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を収容するシリンダと、
前記シリンダ内に配置されているスクリュと、
前記スクリュを駆動する第1駆動装置と、
前記第1駆動装置の第1物理量を検出する第1センサと、
前記シリンダ内に残存している残存樹脂を除去するためのフラッシング処理を、前記第1駆動装置を制御して前記スクリュを駆動することにより実行する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第1駆動装置を制御して前記スクリュを駆動している期間中に前記第1センサにより検出された前記第1物理量を取得する第1取得処理を実行し、
前記制御装置は、前記第1取得処理により取得された前記第1物理量に基づいて、前記第1駆動装置の異常を検出し、
前記制御装置は、前記フラッシング処理の期間中に前記第1取得処理を実行する、射出成形機。
【請求項2】
前記フラッシング処理は、
前記シリンダに新たな樹脂を導入せずに前記残存樹脂を除去するための第1フラッシング処理と、
前記シリンダに新たな樹脂を導入して前記残存樹脂を除去するための第2フラッシング処理とを含み、
前記制御装置は、前記第1フラッシング処理の実行後に、前記第1取得処理および前記第2フラッシング処理を実行する、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記射出成形機は、前記第2フラッシング処理の実行後、前記新たな樹脂を用いて成形品を生成し、
前記制御装置は、前記第1フラッシング処理の実行後であり前記第2フラッシング処理の実行前に、前記第1取得処理を実行する、請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記第1フラッシング処理は、
前記スクリュの進行方向における移動量が最大量ではない場合には、前記スクリュの移動量が前記最大量となるように前記スクリュを駆動する処理であり、
前記移動量が前記最大量である場合には、何ら処理を実行しない処理である、請求項2または請求項3に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記射出成形機は、さらに、
前記スクリュとは異なる所定部材と、
前記所定部材を駆動する第2駆動装置と、
前記第2駆動装置の第2物理量を検出する第2センサとを備え、
前記制御装置は、前記第2駆動装置を制御して前記所定部材を駆動している期間中に前記第2センサにより検出された前記第2物理量を取得する第2取得処理を実行し、
前記制御装置は、前記第2取得処理により取得された前記第2物理量に基づいて、前記第2駆動装置の異常を検出する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1取得処理および前記第2取得処理を交互に規定回数実行する、請求項5に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第1取得処理を規定回数実行し、かつ、前記第2取得処理を規定回数実行する、請求項5に記載の射出成形機。
【請求項8】
前記制御装置は、
所定条件が成立したときに、前記フラッシング処理の期間中に前記第2取得処理を実行せずに前記第1取得処理を実行し、
次の所定条件が成立したときに、前記フラッシング処理の期間中に前記第1取得処理を実行せずに前記第2取得処理を実行する、請求項5に記載の射出成形機。
【請求項9】
前記制御装置は、
所定条件が成立したときに、前記フラッシング処理の期間中に前記第1取得処理を実行し、
前記フラッシング処理の期間中に前記第1取得処理を実行したときから所定期間が経過するまでは、前記所定条件が成立したときには、前記第1取得処理を実行せずに前記フラッシング処理を実行し、
前記フラッシング処理の期間中に前記第1取得処理を実行したときから前記所定期間が経過した以降、前記所定条件が成立したときには、前記フラッシング処理の期間中に前記第1取得処理を実行する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項10】
前記射出成形機は、前記第1取得処理および前記第1駆動装置の異常を検出する処理を前記フラッシング処理の期間中に実行する場合に、該期間の終了タイミングを表示するディスプレイをさらに備える、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項11】
射出成形機の異常検出方法であって、
前記射出成形機は、
樹脂を収容するシリンダと、
前記シリンダ内に配置されているスクリュと、
前記スクリュを駆動する第1駆動装置と、
前記第1駆動装置の第1物理量を検出する第1センサとを備え、
前記異常検出方法は、
前記シリンダ内に残存している残存樹脂を除去するためのフラッシング処理を、前記第1駆動装置を制御して前記スクリュを駆動することにより実行することと、
前記第1駆動装置を制御して前記スクリュを駆動している期間中に前記第1センサにより検出された前記第1物理量を取得する第1取得処理を実行することと、
前記第1取得処理により取得された前記第1物理量に基づいて、前記第1駆動装置の異常を検出することとを備え、
前記フラッシング処理の期間中に、前記第1取得処理を実行する、射出成形機の異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形機、および射出成形機の異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2021-74917号公報(特許文献1)には、ボールねじを備える射出成形機が開示されている。この射出成形機は、ボールねじの振動強度に対して周波数解析を行うことにより、該ボールねじの異常を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の射出成形機においては、駆動装置(たとえば、上述のボールねじ)の物理量(たとえば、上述の振動強度)を取得するために、該駆動装置を制御する。しかしながら、上述の射出成形機においては、駆動装置を制御するタイミングについては、鑑みられていなかった。したがって、上述の射出成形機においては、成形品の生産を一旦停止して、駆動装置を制御することから、成形品の生産性が低下するという問題が生じ得る。また、射出成形機は、駆動装置の異常検出処理自体を怠ってしまう問題も生じ得る。
【0005】
この発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、成形品の生産性の低下を抑制しつつ、駆動装置の異常検出処理を怠ることなく実行することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示による射出成形機および射出成形機の異常検出方法は、第1駆動装置を制御してスクリュを駆動している期間中に第1センサにより検出された第1物理量を取得する第1取得処理を実行する。また、本開示による射出成形機および射出成形機の異常検出方法は、第1取得処理により取得された第1物理量に基づいて、第1駆動装置の異常を検出する。そして、本開示による射出成形機および射出成形機の異常検出方法は、フラッシング処理の期間中に第1取得処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、成形品の生産性の低下を抑制しつつ、駆動装置の異常検出処理を怠ることなく実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】射出成形機の構成を説明するための図である。
【
図4】制御装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【
図5】第1フラッシング処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】取得処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】第2フラッシング処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】別の実施形態の取得処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】別の実施形態の取得処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】ディスプレイ132の表示例を示す図である。
【
図11】別の実施形態の射出成形機100の処理の時系列の一例を示す図である。
【
図12】別の実施形態の射出成形機100の処理の時系列の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
<第1実施形態>
[射出成形機の構成]
図1は、射出成形機100の構成を説明するための図である。なお、説明の便宜上、
図1において射出成形機100が配置される床面をXY平面とし、該床面に垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸の正方向を上面側または上方、負方向を下面側または下方と称する場合がある。なお、射出成形機100は、横型の射出成形機として示されているが、横型に限られず、竪型の射出成形機であってもよい。なお、X軸方向は、後述のシリンダ122の延伸方向とされる。
【0011】
射出成形機100は、金型を型締めするための型締装置110、射出材料を溶融して射出するための射出装置120、操作盤130、および、制御装置140を含んで構成されている。
図1においては、型締装置110は、射出装置120に対してX軸の負方向側に配置されている。
【0012】
型締装置110は、ベッド111と、固定盤112と、型締ハウジング113と、可動盤114と、タイバー115と、型締機構116と、金型117,118と、ボールねじ119と、ボールねじナット137と、第2振動センサ82とを含む。ベッド111は床面に配置されており、その上面に、固定盤112、型締ハウジング113、可動盤114等の機器が搭載されている。
【0013】
固定盤112は、ベッド111上において、射出装置120に近い側(すなわち、X軸の正方向)の端部に固定されている。型締ハウジング113は、ベッド111上におけるX軸の負方向の端部に配置されている。固定盤112と型締ハウジング113とは、複数のバーを含むタイバー115によって連結されている。型締ハウジング113は、ベッド111上において、X軸方向に移動可能である。
【0014】
可動盤114は、ベッド111上において、固定盤112と型締ハウジング113との間に配置されている。可動盤114は、X軸方向に移動可能に構成されている。型締ハウジング113と可動盤114とは、型締機構116によって連結されている。型締機構116はトグル機構を有している。トグル機構には、ボールねじナット137を介してボールねじ119が連結されている。そして、型締ハウジング113に配置されるサーボモータ151を駆動して該ボールねじ119を回転させることによって、型締ハウジング113に対して可動盤114をX軸方向に相対移動させることができる。なお、型締機構116として、油圧によって駆動される直動式のシリンダを用いてもよい。
【0015】
このように、制御装置140は、サーボモータ151を駆動して該ボールねじ119を回転させることによって、可動盤114を制御する。サーボモータ151およびボールねじ119は、本開示の「第2駆動装置162」に対応する。可動盤114は、本開示の「所定部材」に対応する。
【0016】
第2振動センサ82は、ボールねじナット137に設置される。第2振動センサ82として、たとえば、加速度センサが用いられる。第2振動センサ82は、ボールねじ119(第2駆動装置162)の駆動中のボールねじ119の振動値を検出する。該振動値は、ボールねじ119(第2駆動装置162)の異常検出処理に用いられる。第2振動センサ82は、本開示の「第2センサ」に対応する。また、駆動中のボールねじ119の振動値は、本開示の「第2物理量」に対応する。
【0017】
可動盤114および固定盤112には、金型117,118がそれぞれ配置されている。金型117および金型118は、可動盤114と固定盤112との間において互いに対向して配置されている。型締機構116を用いて金型117をX軸方向に移動させることによって、金型117と、金型118とを密着させたり、金型117を金型118から離間させたりすることができる。以降の説明においては、金型117および金型118が離間した状態から密着する状態へ移行させる工程を「型締」と称する。また、金型117および金型118が密着している状態から離間した状態へ移行させる工程を「型開」と称する。
【0018】
型締工程によって金型117と、金型118とが密着させた状態で、金型内部に溶融材料(樹脂)を充填し、冷却して固化させることによって、所望の形状の製品(成形品)を成形することができる。製品の成形後、型開工程によって金型117を金型118から離間させた状態で、可動盤114に配置された突出機構(図示せず)を動作させることによって、成形された製品を金型117から取り出すことができる。突出機構は、可動盤114に配置されたサーボモータ152によって駆動される。なお、突出機構を用いて製品を取り出す工程を「突出」工程と称する。
【0019】
射出装置120は、基台121と、シリンダ122と、作動装置124と、ホッパ125と、温度センサ128とを含む。基台121は、ベッド111のX軸の正方向側の床面に配置され、その上面に作動装置124が搭載されている。作動装置124には、射出用のサーボモータ153および可塑化用のサーボモータ154などが配置されている。
【0020】
作動装置124には、X軸方向に延在するシリンダ122が配置されている。シリンダ122は、内部を加熱するためのヒータ(図示せず)と、スクリュ123と、射出ノズル126とを含む。スクリュ123は、シリンダ122内に配置される。スクリュ123は、作動装置124内のサーボモータ154によって駆動され、X軸方向を回転軸として回転可能に構成される。また、スクリュ123は、サーボモータ153によって駆動され、X軸方向に移動可能に構成されている。射出ノズル126は、シリンダ122における型締装置110側の端部(すなわち、X軸の負方向の端部)に配置されている。ホッパ125には、ビーズ状の樹脂材料αが投入される。シリンダ122は、樹脂材料αを加熱溶融し、スクリュ123を用いて混練することによって溶融材料を生成する。このように、樹脂材料を溶融する工程を「可塑化」工程と称する。
【0021】
また、後述するように、作動装置124によってスクリュ123がX軸方向に移動されることにより、射出成形機100は、射出ノズル126を型締装置110における金型118のスプルーブッシュに接触させる。そして、射出成形機100は、射出ノズル126から溶融材料を射出することによって、金型117,118のキャビティ内に溶融材料が充填される。以上により、ノズルタッチ機構の構成が実現される。サーボモータ153は、シリンダ122内のスクリュ123をX軸の負方向に移動させることによって溶融材料に圧力を付与し、金型117,118内への溶融材料の注入、および、注入後の溶融材料の圧力を一定に保持する。
【0022】
なお、金型117,118内に溶融材料を注入する工程を「射出」工程と称する。また、射出工程後、金型117,118内に充填された溶融材料を一定圧力に保持して冷却する工程を「保圧」工程と称する。
【0023】
温度センサ128は、シリンダ122における射出ノズル126の近傍に配置されている。温度センサ128は、シリンダ122内部の溶融材料の温度を検出し、制御装置140へ出力する。制御装置140は、温度センサ128の検出値に基づいてヒータを制御して、溶融材料の温度を所望の温度に調整する。
【0024】
保圧工程が完了すると、型開工程および突出工程が実行されて、成形された製品が取り出される。
【0025】
射出成形機100は、型締工程、射出工程、保圧工程、可塑化工程、型開工程および突出工程をサイクリックに繰り返し実行することによって、製品を連続的に形成することができる。本実施形態では、型締工程、射出工程、保圧工程、可塑化工程、型開工程および突出工程は、まとめて、「成形サイクル」とも称される。
【0026】
制御装置140は、基台121の内部に格納されている。制御装置140は、CPU141と、メモリ142と、各モータを駆動するためのサーボアンプ143とを含む。制御装置140は、射出成形機100に配置された各種センサの検出値を取得し、射出成形機100を統括的に制御する。
【0027】
操作盤130は、オペレータが射出成形機100を操作するための機器であり、様々な画像を表示するディスプレイ132、および、キーボードなどの入力装置を含む。操作盤130は制御装置140に接続されており、射出成形機100の状態を取得して表示したり、入力装置からユーザにより入力された操作信号を制御装置140に出力したりすることができる。操作盤130は、ディスプレイ132および入力装置が一体化されたタッチパネルであってもよい。また、操作盤130は、射出成形機100のベッド111あるいは基台121に取り付けられていてもよいし、射出成形機100とは独立した位置に配置されていてもよい。
【0028】
[作動装置の構成]
図2は、
図1における作動装置124の詳細構成を示す図である。以下の作動装置124の説明では、主に
図2を参照するが、
図1についても適宜参照する。なお、
図2においては、シリンダ122の一部およびスクリュ123の一部が示されている。
図1でも説明したように、作動装置124は、サーボモータ153とサーボモータ154とを備える。
【0029】
さらに、作動装置124は、固定プレート27、エンドプレート28、リニアガイド43、および可動プレート30を備える。サーボモータ154は、可動プレート30に配置されている。サーボモータ153は、エンドプレート28に配置されている。固定プレート27とエンドプレート28とはガイドバー31によって連結されている。可動プレート30は、リニアガイド43上に配置される。リニアガイド43は、可動プレート30をX軸方向に案内する。また、可動プレート30はガイドバー31にガイドされてX軸方向に移動する。
【0030】
固定プレート27には孔33が形成されており、この孔33とシリンダ122の孔とが整合するようにシリンダ122の後端部が固定されている。スクリュ123の後端部は、孔33を貫通して回転駆動軸35に固定されている。また、回転駆動軸35は、後述の減速機47の出力軸47Bに連結されている。
【0031】
作動装置124は、さらに、ボールねじ39と、ボールねじナット38と、ベアリング51と、第1タイミングベルト61と、リニアガイド43と、第1振動センサ81とを備える。第1振動センサ81は、本開示の「第1センサ」に対応する。ベアリング51は、エンドプレート28に収容されている。ベアリング51は、ボールねじ39の一部を回転可能に支持する。
【0032】
ボールねじナット38は、後述の減速機47を介して可動プレート30に固定されている。ボールねじナット38は、ボールねじ39に装着される。ボールねじナット38のボールねじ39は、エンドプレート28を貫通して、ボールねじ39の先端がエンドプレート28から突出している。この突出箇所に第1プーリ41が設けられている。サーボモータ153の回転軸には第2プーリ42が設けられ、第1プーリ41と第2プーリ42とに第1タイミングベルト61が掛け回されている。第1タイミングベルト61は、サーボモータ153の動力をボールねじ39に伝達する。
【0033】
従って、制御装置140の制御によりサーボモータ153が駆動すると、サーボモータ153の動力は第1タイミングベルト61によりボールねじ39に伝達される。また、ボールねじ39が該動力により回転することにより、ボールねじナット38がX軸方向に移動し、可動プレート30もX軸方向に移動する。そして、可動プレート30のX軸方向の移動により、スクリュ123は、X軸方向に移動する。以上により、制御装置140の制御によりサーボモータ153が駆動すると、スクリュ123は、X軸方向に移動する。
【0034】
作動装置124は、さらに、減速機47と、第2タイミングベルト62と、第2ベアリング52と、ロードセル68とを備える。第2ベアリング52は、スクリュ123を回転可能に支持する。減速機47は、サーボモータ154の回転軸の回転を減速させる。また、減速機47の入力軸47Aに第3プーリ48が設けられている。また、サーボモータ154の回転軸に第4プーリ49が設けられている。また、第3プーリ48と第4プーリ49とに第2タイミングベルト62が掛け回されている。第2タイミングベルト62は、サーボモータ154の動力を、回転駆動軸35を介してスクリュ123に伝達する。従って、制御装置140の制御によりサーボモータ154が駆動すると、スクリュ123が回転する。
【0035】
ロードセル68は、可動プレート30に配置される。ロードセル68は、出力軸47Bの回転トルクを検出する。
【0036】
このように、制御装置140は、サーボモータ153、およびサーボモータ154を駆動して該ボールねじ39を回転させることによって、スクリュ123を制御する。サーボモータ153、サーボモータ154、およびボールねじ39は、本開示の「第1駆動装置161」に対応する。
【0037】
第1振動センサ81は、ボールねじナット38に設置される。第1振動センサ81として、たとえば、加速度センサが用いられる。第1振動センサ81は、ボールねじ39(第1駆動装置161)の駆動中のボールねじ39の振動値を検出する。該振動値は、ボールねじ39(第1駆動装置161)の異常検出処理に用いられる。第1振動センサ81は、本開示の「第1センサ」に対応する。また、駆動中のボールねじ39の振動値は、本開示の「第1物理量」に対応する。
【0038】
[制御装置の機能ブロック図]
図3は、制御装置140の機能ブロック図である。以下の制御装置140の説明では、主に
図3を参照するが、
図1および
図2についても適宜参照する。制御装置140は、モータ制御部146と、FFT(Fast Fourier Transform)部144と、診断部145とを有する。
【0039】
モータ制御部146は、射出成形機100のモータ(サーボモータ153およびサーボモータ154など)を制御する。モータ制御部146は、サーボモータ153およびサーボモータ154を制御することにより、スクリュ123を駆動する(
図2の説明参照)。
【0040】
本実施の形態においては、モータ制御部146は、成形品を生成するのみならず、異常検出処理、およびフラッシング処理のために、スクリュ123を駆動する。異常検出処理は、上述のように、第1駆動装置161および第2駆動装置162の異常を検出するための診断処理である。本実施の形態においては、異常検出処理として、第1駆動装置161の異常を検出する処理が説明され、第2駆動装置162の異常を検出する処理については、後述の別の実施形態で説明される。
【0041】
フラッシング処理は、シリンダ122内に残存している樹脂(以下、「残存樹脂」とも称される。)を除去するための処理である。制御装置140は、スクリュ123の移動およびスクリュ123の回転のうち少なくとも一方を実行することによりフラッシング処理を実行する。制御装置140は、所定のフラッシング条件が成立したときまたはユーザの手動により、フラッシング処理を実行する。フラッシング条件は、たとえば、射出成形機100が起動されるという条件、短期間停止(いわゆるチョコ停)が実行されるという条件、樹脂の入替が実行されるという条件などを含む。本実施の形態のフラッシング処理は、第1フラッシング処理と、第2フラッシング処理とを含む。フラッシング処理の詳細については
図4などで説明される。フラッシング条件は、本開示の「所定条件」に対応する。
【0042】
第1振動センサ81は、振動値の時系列を示す振動データを制御装置140に出力する。FFT部144は、振動データに対してフーリエ変換を実行することにより、振動データを周波数領域のデータ(以下、「周波数データ」または、「周波数スペクトル」とも称される。)に変換する。
【0043】
変換された周波数データは、診断部145に出力される。診断部145は、FFT部144からの周波数データに基づいて、ボールねじ39(第1駆動装置161)の異常検出処理を実行する。そして、異常検出処理の結果(第1駆動装置161異常の有無)をディスプレイ132に表示する。
【0044】
[制御装置140の主な制御の流れ]
次に、制御装置140の主な制御の流れを説明する。
図4は、制御装置140の制御の流れを示すフローチャートである。以下の制御装置140の制御の説明では、主に
図4を参照するが、
図1~
図3についても適宜参照する。
図4のフローチャートの処理は、たとえば、所定期間(たとえば、1秒)毎に実行される。
【0045】
まず、ステップS2において、制御装置140は、上述のフラッシング条件が成立したか否かを判断する。フラッシング条件が成立した場合には(ステップS2でYES)、処理は、ステップS4に進む。一方、フラッシング条件が成立していない場合には(ステップS2でNO)、
図4の処理は終了する。
【0046】
ステップS4において、制御装置140は、第1フラッシング処理を実行する。第1フラッシング処理については後述の
図5で説明される。
【0047】
ステップS4の処理の実行後、ステップS6において、制御装置140は、取得処理を実行する。取得処理は、制御装置140が第1駆動装置161を制御してスクリュ123を駆動している期間中に第1振動センサ81により検出された振動値(第1物理量)を取得する処理である。取得処理の詳細は、後述の
図6で説明される。なお、第1物理量を取得するための取得処理は、「第1取得処理」とも称される。
【0048】
ステップS6の処理の実行後、ステップS8において、制御装置140は、異常検出処理を実行する。上述のように異常検出処理は、ボールねじ39の振動値の周波数データを用いて、第1駆動装置161の異常を検出する処理である。
【0049】
ステップS8の処理の実行後、ステップS10において、第2フラッシング処理を実行する。第2フラッシング処理については後述の
図7で説明される。
【0050】
ステップS10の処理の実行後、たとえば、ユーザの手動操作などにより制御装置140は、成形処理(成形品を生成する処理)を実行する。
【0051】
図4にも示されているように、ステップS4の第1フラッシング処理が開始されたときから、第2フラッシング処理が終了するときまでの期間が、本開示の「フラッシング処理の期間」に対応する。
【0052】
[第1フラッシング処理]
図5は、
図4のステップS4の第1フラッシング処理の流れを示すフローチャートである。以下の第1フラッシング処理の説明では、主に
図5を参照するが、
図1についても適宜参照する。
【0053】
ステップS42において、制御装置140は、スクリュ123が最前進位置であるか否かを判断する。最前進位置とは、スクリュ123の進行方向(
図1のX軸負方向)における、スクリュ123が最大量移動した位置である。
【0054】
ステップS42において、スクリュ123が最前進位置である場合には(ステップS42でYES)、
図5の処理は終了する。一方、ステップS42において、スクリュ123が最前進位置ではない場合には(ステップS42でNO)、処理はステップS44に進む。
【0055】
ステップS44において、制御装置140は、スクリュ123を最前進位置に前進させる。制御装置140は、ステップS44の処理により、シリンダ122内においてスクリュ123の進行方向に存在する残留樹脂を排出できる。
【0056】
図5で説明したように、第1フラッシング処理は、シリンダ122に新たな樹脂を導入せずに残存樹脂を除去するためのフラッシング処理である。
【0057】
[取得処理]
図6は、
図4のステップS6の取得処理の流れを示すフローチャートである。以下の制御装置140の制御の説明では、主に
図6を参照するが、
図1、
図2、および
図4についても適宜参照する。
【0058】
ステップS62において、制御装置140は、スクリュ123を回転させずに異常検出処理(
図4のステップS8)のための速度でスクリュ123を後退させる。該速度は、予め定められた速度である。そして、制御装置140は、該後退中に第1振動センサ81(
図2参照)で検出された振動値を取得する。
【0059】
ステップS64において、制御装置140は、スクリュ123が所定の位置に到達したか否かを判断する。所定の位置は、異常検出処理(
図4のステップS8)のために予め定められた位置である。制御装置140は、ステップS64において、スクリュ123が所定の位置に到達していなければ(ステップS64でNO)、スクリュ123が所定の位置に到達するまで、ステップS62の処理を繰返す。ステップS64において、スクリュ123が所定の位置に到達した場合には(ステップS64でYES)、処理は、ステップS66に進む。
【0060】
ステップS66において、制御装置140は、スクリュ123を回転させずに異常検出処理(
図4のステップS8)のための速度でスクリュ123を前進させる。該速度は、予め定められた速度である。そして、制御装置140は、該前進中に第1振動センサ81(
図2参照)で検出された振動値を取得する。
【0061】
ステップS68において、制御装置140は、スクリュ123が最前進位置(
図5のステップS42参照)に到達したか否かを判断する。制御装置140は、ステップS68において、スクリュ123が最前進位置に到達していなければ(ステップS68でNO)、スクリュ123が最前進位置に到達するまで、ステップS66の処理を繰返す。ステップS68において、スクリュ123が最前進位置に到達した場合には(ステップS68でYES)、処理は、ステップS70に進む。
【0062】
ステップS70においては、制御装置140は、前後進回数が規定回数に到達したか否かを判断する。前後進回数は、スクリュ123が前後進処理した回数である。スクリュ123の前後進処理とは、ステップS64の所定の位置とステップS68の最前進位置との往復をいう。つまり、前後進回数は、スクリュ123の往復の回数である。規定回数は、予め定められた回数であり、たとえば、1以上の値である。
【0063】
ステップS70において、前後進回数が規定回数に到達していない場合には(ステップS70でNO)、処理は、ステップS62に戻る。また、前後進回数が規定回数に到達した場合には(ステップS70でYES)、取得処理は終了する。
【0064】
[第2フラッシング処理]
図7は、
図4のステップS10の第2フラッシング処理の流れを示すフローチャートである。以下の制御装置140の制御の説明では、主に
図7を参照するが、
図1、
図2、および
図4についても適宜参照する。
【0065】
ステップS102において、制御装置140は、スクリュ123の位置を固定し、所定のフラッシング回転速度でスクリュ123を回転させる。
【0066】
次に、ステップS104において、制御装置140は、ステップS102の処理を開始したときから、所定の時間が経過したか否かを判断する。所定の時間は、フラッシング回転時間とも称される。フラッシング回転時間が経過していなければ(ステップS104でNO)、制御装置140は、フラッシング回転時間が経過するまで、ステップS102の処理を繰返す。制御装置140は、ステップS102の処理を繰返すことにより、スクリュ123に付着された残存樹脂を押出す。この押出し処理は、押出し回転動作とも称される。ステップS104において、フラッシング回転時間が経過した場合には(ステップS104でYES)、処理は、ステップS106に進む。
【0067】
ステップS106において、制御装置140は、フラッシング処理のための速度でスクリュ123の回転および後退を実行する。
【0068】
次に、ステップS108において、制御装置140は、スクリュ123がフラッシングストローク位置に到達したか否かを判断する。フラッシングストローク位置は、予め定められた位置である。スクリュ123がフラッシングストローク位置に到達していなければ(ステップS108でNO)、制御装置140は、スクリュ123がフラッシングストローク位置に到達するまで、ステップS106の処理を繰返す。制御装置140は、ステップS106の処理を繰返すことにより、新たな樹脂の計量動作を行う。なお、当該新たな樹脂は、ステップS106の処理の前にユーザにより射出成形機100に導入される。スクリュ123がフラッシングストローク位置に到達した場合には(ステップS108でYES)、処理は、ステップS110に進む。
【0069】
ステップS110において、制御装置140は、フラッシング処理のための射出速度でスクリュ123を前進させる。スクリュ123の前進により、ステップS106で計量された樹脂が射出される。つまり、ステップS110の処理は、射出動作である。
【0070】
次に、ステップS112において、制御装置140は、スクリュ123が最前進位置(
図5のステップS44も参照)に到達したか否かを判断する。スクリュ123が最前進位置に到達していなければ(ステップS112でNO)、制御装置140は、スクリュ123が最前進位置に到達するまで、ステップS110の処理を繰返す。スクリュ123が最前進位置に到達した場合には(ステップS112でYES)、処理は、ステップS114に進む。
【0071】
制御装置140は、ステップS114においては、制御装置140は、フラッシング回数が規定回数に到達したか否かを判断する。フラッシング回数は、ステップS102の処理からステップS112でYESと判断されるまでの一連の処理であるフラッシング処理の回数である。規定回数は、予め定められた回数であり、たとえば、1以上の値である。
【0072】
ステップS114において、フラッシング回数が規定回数に到達していない場合には(ステップS114でNO)、処理は、ステップS102に戻る。また、フラッシング回数が規定回数に到達した場合には(ステップS114でYES)、第2フラッシング処理は終了する。
【0073】
本実施の形態の射出成形機100は、新たな樹脂を用いた第2フラッシング処理を実行することにより、シリンダ122の内壁に付着した残存樹脂(第1フラッシング処理では除去できなかった残存樹脂)を、該新たな樹脂とともに射出(排出)できる(ステップS110参照)。また、第2フラッシング処理の終了後には、該新たな樹脂は残存するが、射出成形機100は、該残存した新たな樹脂を用いて、成形処理を実行する。したがって、射出成形機100は、該新たな樹脂を無駄なく使用できる。
【0074】
[小括]
(1) 本実施の形態の射出成形機100は、フラッシング条件が成立して成形処理が停止しているときまたはユーザによる手動により、フラッシング処理を実行する。フラッシング処理は、スクリュを駆動してシリンダ122内に残存している残存樹脂を除去するための処理である。そこで、本実施の形態の射出成形機100は、フラッシング処理の期間中(
図4参照)に、第1物理量の取得処理(第1取得処理)を実行する。そして、射出成形機100は、該第1物理量に基づいて、第1駆動装置161の異常を検出する。したがって、射出成形機100は、第1物理量の取得処理のためのみに、成形処理を停止する必要がないことから、成形品の生産性の低下を抑制できる。また、射出成形機100は、フラッシング処理の期間中(
図4参照)に、(第1取得処理)を実行することから、異常検出処理を怠ることなく実行することができる。
【0075】
また、
図5~
図7などで説明したように、本実施の形態のフラッシング処理(第1フラッシング処理および第2フラッシング処理)は、スクリュ123を駆動する処理であり、第1物理量の取得処理もスクリュ123を駆動する処理である。したがって、フラッシング処理と、第1物理量の取得処理とにおいて、スクリュ123を駆動する処理を共通化させることができることから、フラッシング処理の期間中の第1物理量の取得処理を簡易な処理とすることができる。
【0076】
(2) また、射出成形機100は、第1フラッシング処理(
図4のステップS4)と、第2フラッシング処理(
図4のステップS10)とを、フラッシング処理として実行する。第1フラッシング処理は、シリンダ122に新たな樹脂を導入せずに残存樹脂を除去するための処理である。また、第2フラッシング処理は、シリンダ122に新たな樹脂を導入して残存樹脂を除去するための処理である。そして、
図4に示すように、射出成形機100は、第1フラッシング処理の実行後に、第1取得処理および第2フラッシング処理を実行する。したがって、射出成形機100は、第1フラッシング処理により残存樹脂を除去した後に、第1取得処理を実行することから、精度の高い第1物理量を取得できる。
【0077】
(3) たとえば、ステップS10の第2フラッシング処理の後に、ステップS6の取得処理を実行する構成が考えられる。しかしながら、このような構成であれば、第2フラッシング処理で計量された新たな樹脂が、取得処理(スクリュ123の駆動処理)により損なわれてしまう場合がある。この場合には、取得処理の後の成形処理において生成される成形品の品質が低下し得る。そこで、本実施の形態の射出成形機100は、
図4で説明したように、射出成形機100は、第1フラッシング処理の実行後であり第2フラッシング処理の実行前に、第1取得処理を実行する。したがって、成形処理において生成される成形品の品質の低下を抑制できる。
【0078】
(4) また、
図5に示すように、第1フラッシング処理においては、制御装置140は、スクリュ123の進行方向における移動量が最大量ではない場合(ステップS42でNO)には、スクリュ123の移動量が最大量となるようにスクリュ123を駆動する(スクリュ123が最前進位置に位置させる)。したがって、制御装置140は、残存樹脂を除去できる。また、一般的に、スクリュ123が最前進位置に存在する(スクリュ123の移動量が最大量である)場合には、シリンダ122には樹脂は殆ど残存していない(残存樹脂の量は極めて少ない)。したがって、スクリュ123の移動量が最大量である場合には(ステップS42でYES)、何ら処理を実行しない。したがって、射出成形機100は、スクリュ123の駆動コストを削減できる。
【0079】
<第2実施形態>
第1実施形態の射出成形機100による異常検出対象の装置は、第1駆動装置161である構成が説明された。第2実施形態の射出成形機100による異常検出対象の装置は、第1駆動装置161および第2駆動装置162である。
【0080】
第2実施形態の射出成形機100による主な処理は、
図4のステップS6の取得処理が、ステップS6Aの取得処理に代替された処理となる。
図8は、ステップS6Aの取得処理の流れを示すフローチャートである。以下の取得処理の説明では、主に
図8を参照するが、
図1および
図4についても適宜参照する。
【0081】
ステップS122において、制御装置140は、スクリュ123の上述の前後進処理を実行し、スクリュ123の前後進処理の実行中(スクリュ123の駆動中)で第1振動センサ81により検出された振動値を取得する。つまり、ステップS122においては、制御装置140は、スクリュ123の1往復中における第1振動センサ81により検出された振動値を取得する。該振動値を取得する処理は、本開示の「第1取得処理」に対応する。
【0082】
ステップS122の処理は、スクリュ123の駆動(移動)が停止したときに終了となる。ステップS122の処理が終了すると、処理は、ステップS124に進む。
【0083】
ステップS124において、制御装置140は、第2駆動装置162(
図1参照)を制御して、可動盤114の前後進処理を実行する。可動盤114の前後進処理は、可動盤114の移動方向(X軸方向)における最前進位置および最後進位置を、可動盤114が往復する処理である。ステップS124においては、制御装置140は、可動盤114の前後進処理の実行中(可動盤114の駆動中)で第2振動センサ82により検出された振動値を取得する。つまり、ステップS124においては、制御装置140は、可動盤114の1往復中における第2振動センサ82により検出された振動値を取得する。ステップS124の振動値を取得する処理は、本開示の「第2取得処理」に対応する。
【0084】
ステップS124の処理は、可動盤114の駆動(移動)が停止したときに終了となる。ステップS124の処理が終了すると、処理は、ステップS126に進む。
【0085】
ステップS126において、制御装置140は、ステップS122の第1取得処理およびステップS124の第2取得処理の取得処理実行回数が規定回数に到達したか否かを判断する。本実施の形態においては、制御装置140は、取得処理実行回数は、1回の第1取得処理および1回の第2取得処理が実行されたときに、取得処理実行回数を1回として計数する。
【0086】
ステップS126において、制御装置140は、取得処理実行回数が規定回数に到達していない場合には(ステップS126でNO)、取得処理実行回数が規定回数に到達するまで、ステップS122およびステップS124の処理を繰返す。
【0087】
ステップS126において、取得処理実行回数が規定回数に到達した場合には(ステップS126でYES)、
図8の取得処理は終了し、処理は、ステップS8(
図4参照)に進む。このステップS8において、制御装置140は、規定回数実行された第1取得処理(ステップS122)により取得された第1振動センサ81の振動値に基づいて、第1駆動装置161の異常を検出する。これとともに、このステップS8において、制御装置140は、規定回数実行された第2取得処理により取得された第2振動センサ82の振動値に基づいて、第2駆動装置162の異常を検出する。
【0088】
このような構成によれば、制御装置140は、第2取得処理(
図8のステップS124)を実行する。そして、制御装置140は、該第2取得処理により取得された振動値に基づいて、第2駆動装置162の異常を検出する(
図4のステップS8)。したがって、射出成形機100は、第1駆動装置161の異常のみならず、第2駆動装置162の異常も検出できる。
【0089】
また、制御装置140は、1回の第1取得処理および1回の第2取得処理を個別に規定回数実行する。換言すれば、制御装置140は、第1取得処理および第2取得処理を交互に規定回数実行する。したがって、制御装置140は、第2取得処理を、第1取得処理による第1駆動装置161のパラメータの変化による影響が抑制された状態で実行することができる。また、第1取得処理を、第2取得処理による第2駆動装置162のパラメータの変化による影響が抑制された状態で実行することができる。
【0090】
第1駆動装置161のパラメータおよび第2駆動装置162のパラメータについては、それぞれ、第1駆動装置161の温度および第2駆動装置162の温度とされる。この場合には、制御装置140は、第1取得処理を実行すると、スクリュ123を駆動することから、第1駆動装置161(たとえば、ボールねじ39)の温度が上昇する。しかしながら、制御装置140は、該第1取得処理後の第2取得処理を実行する場合には、第1取得処理は終了していることから、該第2取得処理中に、第1駆動装置161の温度は低下する。したがって、制御装置140は、第1駆動装置161の温度が低下した状態(つまり、第1駆動装置161のパラメータの変化による影響が抑制された状態)で、再度の第1取得処理を実行できる。したがって、制御装置140は、該第1取得処理により精度の高い振動値を取得できる。
【0091】
同様に、制御装置140は、第2取得処理を実行すると、可動盤114(
図1参照)を駆動することから、第2駆動装置162(たとえば、ボールねじ119)の温度が上昇する。しかしながら、制御装置140は、該第2取得処理後の第1取得処理を実行する場合には、第2取得処理は終了していることから、該第1取得処理中に、第2駆動装置162の温度は低下する。したがって、制御装置140は、第2駆動装置162の温度が低下した状態(つまり、第2駆動装置162のパラメータの変化による影響が抑制された状態)で、再度の第2取得処理を実行できる。したがって、制御装置140は、該第2取得処理により精度の高い振動値を取得できる。
【0092】
また、第1駆動装置161のボールねじ39のベアリング51(
図2参照)、および第2駆動装置162のボールねじ119のベアリング(図示せず)に対して、所定期間毎に、潤滑油を供給する供給装置(図示せず)を備える構成が採用される。このような構成が採用された場合には、第1駆動装置161のパラメータおよび第2駆動装置162のパラメータについては、それぞれ、第1駆動装置161のベアリング51の潤滑油膜厚および第2駆動装置162のベアリングの潤滑油膜厚とされる。
【0093】
この場合には、制御装置140は、第1取得処理を実行すると、スクリュ123を駆動することから、第1駆動装置161の潤滑油膜厚が減少する。しかしながら、制御装置140は、該第1取得処理後の第2取得処理を実行する場合には、第1取得処理は終了していることから、該第2取得処理中に、第1駆動装置161の潤滑油膜厚を供給装置が供給することにより、第1駆動装置161の潤滑油膜厚は増加する。したがって、制御装置140は、第1駆動装置161の潤滑油膜厚が増加した状態(つまり、第1駆動装置161のパラメータの変化による影響が抑制された状態)で、再度の第1取得処理を実行できる。したがって、制御装置140は、該第1取得処理により精度の高い振動値を取得できる。
【0094】
同様に、制御装置140は、第2取得処理を実行すると、可動盤114(
図1参照)を駆動することから、第2駆動装置162の潤滑油膜厚が減少する。しかしながら、制御装置140は、該第2取得処理後の第1取得処理を実行する場合には、第2取得処理は終了していることから、該第1取得処理中に、第2駆動装置162の潤滑油膜厚を供給装置が供給することにより、第2駆動装置162の潤滑油膜厚は増加する。したがって、制御装置140は、第2駆動装置162の潤滑油膜厚が増加した状態(つまり、第2駆動装置162のパラメータの変化による影響が抑制された状態)で、再度の第2取得処理を実行できる。したがって、制御装置140は、該第2取得処理により精度の高い振動値を取得できる。
【0095】
また、第1取得処理で取得する物理量(第1物理量)および第2取得処理で取得する物理量(第2物理量)は、共に、振動値である。仮に、第1取得処理の実行期間および第2取得処理の実行期間を重畳させる構成が考えられる。しかしながら、該重畳している期間(以下、「重畳期間」とも称される。)においては、第1取得処理の実行中に発生した振動が第2振動センサ82に伝達されることから、第2振動センサ82が検出する振動値にはノイズが含まれる。これとともに、重畳期間においては、第2取得処理の実行中に発生した振動が第1振動センサ81に伝達されることから、第1振動センサ81が検出する振動値にはノイズが含まれる。したがって、制御装置140は、第1振動センサ81および第2振動センサ82から、精度が低い振動値を取得してしまう。
【0096】
これに対し、本実施の形態においては、
図8に示すように、制御装置140は、第1取得処理の実行期間および第2取得処理の実行期間を重畳させないように、第1取得処理および第2取得処理を実行する。したがって、制御装置140が取得する振動値の精度を担保することができる。
【0097】
<第3実施形態>
第2実施形態のステップ6Aの取得処理(
図8参照)においては、第1取得処理および第2取得処理を交互に規定回数実行する射出成形機100が説明された。第3実施形態の取得処理は、第1取得処理を個別に規定回数実行し、かつ、第2取得処理を個別に規定回数実行する処理である。
【0098】
第3実施形態の射出成形機100による主な処理は、
図4のステップS6の取得処理が、ステップS6Bの取得処理に代替された処理となる。
図9は、ステップS6Bの取得処理の流れを示すフローチャートである。以下の取得処理の説明では、主に
図9を参照するが、
図8についても適宜参照する。
【0099】
ステップS122において、制御装置140は、第1取得処理を実行する。次に、ステップS134において、制御装置140は、第1取得処理の実行回数が規定回数に到達したか否かを判断する。ステップS134において、第1取得処理の実行回数が規定回数に到達していない場合には(ステップS134でNO)、処理は、ステップS122に戻る。制御装置140は、第1取得処理の実行回数が規定回数に到達するまで、第1取得処理を繰返す。そして、第1取得処理の実行回数が規定回数に到達した場合には(ステップS134でYES)、処理は、ステップS124に進む。
【0100】
ステップS124において、制御装置140は、第2取得処理を実行する。次に、ステップS138において、制御装置140は、第2取得処理の実行回数が規定回数に到達したか否かを判断する。ステップS138において、第2取得処理の実行回数が規定回数に到達していない場合には(ステップS138でNO)、処理は、ステップS124に戻る。制御装置140は、第2取得処理の実行回数が規定回数に到達するまで、第2取得処理を繰返す。そして、第2取得処理の実行回数が規定回数に到達した場合には(ステップS138でYES)、ステップS6Bの取得処理は終了する。
【0101】
このような構成によれば、制御装置140は、第1取得処理をまとめて規定回数実行し、また、第2取得処理を規定回数実行する。したがって、制御装置140は、第1取得処理および第2取得処理をスムーズに実行できる。なお、ステップS134の規定回数と、ステップS138の規定回数とは同一の値としてもよく、異なる値としてもよい。
【0102】
<第4実施形態>
第4実施形態の射出成形機100のディスプレイ132は、取得処理(第1取得処理)および第1駆動装置161の異常を検出する処理(
図4のステップS8の異常検出処理)をフラッシング処理の期間中(
図4参照)に実行する場合に、該期間の終了タイミングを表示する。
【0103】
図10は、第4実施形態のディスプレイ132の表示例を示す図である。
図10の例では、ディスプレイ132は、フラッシング処理の期間が終了するタイミング(終了タイミング)として、現時点からA(Aは正の実数)分後のタイミングを表示する。具体的には、
図10の例では、ディスプレイ132は、「A分後にフラッシング処理と異常検出処理とが終了します」という文言画像を表示する。
【0104】
第4実施形態の射出成形機100は、フラッシング処理の期間の終了タイミングをユーザに認識させることができることから、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0105】
<第5実施形態>
以下では、第1振動センサ81が検出した振動値に基づいて第1駆動装置161の異常を検出する処理は、「第1異常検出処理」とも称され、第2振動センサ82が検出した振動値に基づいて第2駆動装置162の異常を検出する処理は、「第2異常検出処理」とも称される。
【0106】
図11は、第5実施形態の射出成形機100の処理の時系列の一例を示す図である。
図11および後述の
図12の横軸は時間軸を示す。タイミングt1において、フラッシング条件が成立したとする。制御装置140は、該フラッシング条件の成立時(タイミングt1)においては、フラッシング処理の期間中に第2取得処理を実行せずに第1取得処理を実行する。そして、制御装置140は、第1取得処理で取得した振動値に基づいて第1異常検出処理を実行する。
【0107】
タイミングt1の後のタイミングt2において、再びフラッシング条件が成立したとする。制御装置140は、該フラッシング条件の成立時(タイミングt2)においては、フラッシング処理の期間中に第1取得処理を実行せずに第2取得処理を実行する。そして、制御装置140は、第2取得処理で取得した振動値に基づいて第2異常検出処理を実行する。
【0108】
射出成形機100が、全てのフラッシング処理の期間中に第1取得処理および第2取得処理の双方を実行すると、フラッシング処理の期間が過度に長くなってしまう場合がある。そこで、本実施の形態の射出成形機100は、任意のフラッシング処理の期間中に第2取得処理を実行せずに第1取得処理を実行する。そして、射出成形機100は、次のフラッシング処理の期間中に第1取得処理を実行せずに第2取得処理を実行する。したがって、第1異常検出処理および第2異常検出を実行しつつ、フラッシング処理の期間が過度に長くなってしまうことを抑制できる。
【0109】
<第6実施形態>
図12は、第6実施形態の射出成形機100の処理の時系列の一例を示す図である。
図12に示すように、第6実施形態の射出成形機100は、所定期間Tを用いる。所定期間Tは、たとえば、所定時間の概念、および所定のショット数の概念の少なくとも一方を含む。つまり、所定期間Tが経過するとは、「所定時間が経過するという概念」と、「射出成形機100が所定のショット数、成形処理を実行したという概念」との少なくとも一方を含む。所定時間は、たとえば、1か月とされ、また、所定のショット数は、たとえば、該1か月に生成される成形品の数とされる。
【0110】
タイミングt1において、フラッシング条件が成立したとする。制御装置140は、該フラッシング条件の成立時(タイミングt1)においては、フラッシング処理の期間中にフラッシング処理、取得処理、および該取得処理で取得した振動値に基づいて異常検出処理を実行する。
【0111】
タイミングt1の後のタイミングt2において、再びフラッシング条件が成立したとする。タイミングt2は、タイミングt1から所定期間Tが経過するまでのタイミングであるとする。制御装置140は、該フラッシング条件の成立時(タイミングt2)においては、フラッシング処理の期間中に、フラッシング処理を実行するが取得処理(異常検出処理)を実行しない。
【0112】
タイミングt2の後のタイミングt3において、再びフラッシング条件が成立したとする。タイミングt3は、タイミングt1から所定期間Tが経過した以降のタイミングであるとする。制御装置140は、該フラッシング条件の成立時(タイミングt3)においては、フラッシング処理の期間中に、フラッシング処理、取得処理、および該取得処理で取得した振動値に基づいて異常検出処理を実行する。
【0113】
射出成形機100は、フラッシング条件が成立する毎に、取得処理、および異常検出処理を実行すると、成形処理の効率が低下する場合がある。そこで、本実施の形態の射出成形機100は、フラッシング処理の期間中に取得処理を実行したとき(
図12のタイミングt1)から所定期間Tが経過するまでは、フラッシング条件が成立したとき(タイミングt2)には、取得処理を実行せずにフラッシング処理を実行する。また、フラッシング処理の期間中に取得処理を実行したとき(タイミングt1)から所定期間が経過した以降、フラッシング条件が成立したとき(タイミングt3)には、フラッシング処理の期間中にフラッシング処理、取得処理、および第1異常検出処理を実行する。
【0114】
このように、射出成形機100は、フラッシング処理の期間中に取得処理を実行したときから所定期間Tが経過した以降にのみ、所定条件が成立したときには、フラッシング処理の期間中に取得処理を実行する。したがって、本実施の形態の射出成形機100は、成形処理の効率の低下を抑制できる。
【0115】
<その他の実施形態>
(1) 上述の実施の形態においては、駆動装置(第1駆動装置161および第2駆動装置162)の異常検出処理に用いられる物理量は、振動値である構成が説明された。しかしながら、駆動装置の異常検出処理に用いられる物理量は、他の値としてもよい。該物理量は、駆動装置の温度、駆動装置から発せられる音量、駆動装置が含むモータに供給される電流または電圧、該モータのトルクなどとしてもよい。
【0116】
(2)
図4のステップS8の異常検出処理は、第2フラッシング処理の前に実行される構成が説明された。しかしながら、制御装置140は異常検出処理を他の期間で実行するようにしてもよい。たとえば、制御装置140は、第2フラッシング処理と並行して異常検出処理を実行するようにしてもよく、第2フラッシング処理が終了した後に異常検出処理を実行するようにしてもよい。
【0117】
(3) 上述の実施の形態においては、第2駆動装置162は、可動盤114を駆動するための駆動装置である構成が説明された。しかしながら、第2駆動装置162は、所定の部材を駆動する装置してもよい。所定の部材は、たとえば、可動盤114,突出機構、および樹脂を計量するための機構のうち少なくとも1つを含む。
【0118】
[付記]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0119】
(第1項) 本開示の主出成形機は、シリンダと、スクリュと、第1駆動装置と、第1センサと、制御装置とを備える。シリンダは、樹脂を収容する。スクリュは、シリンダ内に配置されている。第1駆動装置は、スクリュを駆動する。第1センサは、第1駆動装置の第1物理量を検出する。制御装置は、シリンダ内に残存している残存樹脂を除去するためのフラッシング処理を、第1駆動装置を制御してスクリュを駆動することにより実行する。制御装置は、第1駆動装置を制御してスクリュを駆動している期間中に第1センサにより検出された第1物理量を取得する第1取得処理を実行する。制御装置は、第1取得処理により取得された第1物理量に基づいて、第1駆動装置の異常を検出する。制御装置は、フラッシング処理の期間中に第1取得処理を実行する。
【0120】
(第2項) 第1項に記載の射出成形機において、フラッシング処理は、シリンダに新たな樹脂を導入せずに残存樹脂を除去するための第1フラッシング処理と、シリンダに新たな樹脂を導入して残存樹脂を除去するための第2フラッシング処理とを含む。制御装置は、第1フラッシング処理の実行後に、第1取得処理および第2フラッシング処理を実行する。
【0121】
(第3項) 第2項に記載の射出成形機において、射出成形機は、第2フラッシング処理の実行後、新たな樹脂を用いて成形品を生成する。制御装置は、第1フラッシング処理の実行後であり第2フラッシング処理の実行前に、第1取得処理を実行する。
【0122】
(第4項) 第2項または第3項に記載の射出成形機において、第1フラッシング処理は、スクリュの進行方向における移動量が最大量ではない場合には、スクリュの移動量が最大量となるようにスクリュを駆動する処理である。また、第1フラッシング処理は、移動量が最大量である場合には、何ら処理を実行しない処理である。
【0123】
(第5項) 第1項~第4項のいずれか1項に記載の射出成形機において、射出成形機は、さらに、所定部材と、第2駆動装置と、第2センサとを備える。所定部材は、スクリュとは異なる部材である。第2駆動装置は、所定部材を駆動する。第2センサは、第2駆動装置の第2物理量を検出する。制御装置は、第2駆動装置を制御して所定部材を駆動している期間中に第2センサにより検出された第2物理量を取得する第2取得処理を実行する。制御装置は、第2取得処理により取得された第2物理量に基づいて、第2駆動装置の異常を検出する。
【0124】
(第6項) 第5項に記載の射出成形機において、制御装置は、第1取得処理および第2取得処理を交互に規定回数実行する。
【0125】
(第7項) 第5項に記載の射出成形機において、制御装置は、第1取得処理を規定回数実行し、かつ、第2取得処理を規定回数実行する。
【0126】
(第8項) 第5項に記載の射出成形機において、制御装置は、所定条件が成立したときに、フラッシング処理の期間中に第2取得処理を実行せずに第1取得処理を実行する。また、制御装置は、次の所定条件が成立したときに、フラッシング処理の期間中に第1取得処理を実行せずに第2取得処理を実行する。
【0127】
(第9項) 第1項~第8項のいずれか1項に記載の射出成形機において、制御装置は、所定条件が成立したときに、フラッシング処理の期間中に第1取得処理を実行する。また、制御装置は、フラッシング処理の期間中に第1取得処理を実行したときから所定期間が経過するまでは、所定条件が成立したときには、第1取得処理を実行せずにフラッシング処理を実行する。そして、制御装置は、フラッシング処理の期間中に第1取得処理を実行したときから所定期間が経過した以降、所定条件が成立したときには、フラッシング処理の期間中に第1取得処理を実行する。
【0128】
(第10項) 第1項~第9項のいずれか1項に記載の射出成形機において、射出成形機は、第1取得処理および第1駆動装置の異常を検出する処理をフラッシング処理の期間中に実行する場合に、該期間の終了タイミングを表示するディスプレイをさらに備える。
【0129】
(第11項) 本開示においては、射出成形機の異常検出方法が開示される。射出成形機は、シリンダと、スクリュと、第1駆動装置と、第1センサとを備える。シリンダは、樹脂を収容する。スクリュは、シリンダ内に配置されている。第1駆動装置は、スクリュを駆動する。第1センサは、第1駆動装置の第1物理量を検出する。異常検出方法は、シリンダ内に残存している残存樹脂を除去するためのフラッシング処理を、第1駆動装置を制御してスクリュを駆動することにより実行することを備える。また、異常検出方法は、第1駆動装置を制御してスクリュを駆動している期間中に第1センサにより検出された第1物理量を取得する第1取得処理を実行することを備える。異常検出方法は、第1取得処理により取得された第1物理量に基づいて、第1駆動装置の異常を検出することを備える。そして、異常検出方法は、フラッシング処理の期間中に、第1取得処理を実行する。
【0130】
なお、上述した実施形態および変更例について、明細書内で言及されていない組み合わせを含めて、不都合または矛盾が生じない範囲内で、実施形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。
【0131】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0132】
27 固定プレート、28 エンドプレート、30 可動プレート、31 ガイドバー、33 孔、35 回転駆動軸、38,137 ボールねじナット、39,119 ボールねじ、41 第1プーリ、42 第2プーリ、43 リニアガイド、47 減速機、47A 入力軸、47B 出力軸、48 第3プーリ、49 第4プーリ、51 ベアリング、52 第2ベアリング、61 第1タイミングベルト、62 第2タイミングベルト、68 ロードセル、81 第1振動センサ、82 第2振動センサ、100 射出成形機、110 型締装置、111 ベッド、112 固定盤、113 型締ハウジング、114 可動盤、115 タイバー、116 型締機構、117,118 金型、120 射出装置、121 基台、122 シリンダ、123 スクリュ、124 作動装置、125 ホッパ、126 射出ノズル、128 温度センサ、130 操作盤、132 ディスプレイ、140 制御装置、142 メモリ、143 サーボアンプ、144 FFT部、145 診断部、146 モータ制御部、151,152,153,154 サーボモータ、161 第1駆動装置、162 第2駆動装置。