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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006590
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/77 20230101AFI20250109BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
H04N25/77
H04N25/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107483
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】谷平 出帆
(72)【発明者】
【氏名】大迫 洋平
(72)【発明者】
【氏名】江藤 慎一郎
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CY42
5C024GX02
5C024HX23
5C024HX29
5C024HX35
5C024HX40
5C024HX50
(57)【要約】
【課題】参照信号の信号配線の負荷を軽減することで、AD変換とフレームレートの高速化と低消費電力化を実現できる。
【解決手段】撮像装置は、互いに交差する第1方向及び第2方向に配列され、それぞれが入射光の光量に応じた電荷を蓄積する複数の光電変換素子と、前記複数の光電変換素子に蓄積された電荷に応じた画素信号をそれぞれ出力する複数の画素回路と、前記複数の画素回路から出力された複数の前記画素信号のそれぞれと参照信号とを比較する複数の比較器と、前記複数の比較器の比較結果に基づいて前記複数の画素信号をアナログ-デジタル変換したデジタル信号を生成するデジタル信号生成器と、前記参照信号を前記複数の比較器に入力するか否かを切り替える複数の切替器と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する第1方向及び第2方向に配列され、それぞれが入射光の光量に応じた電荷を蓄積する複数の光電変換素子と、
前記複数の光電変換素子に蓄積された電荷に応じた画素信号をそれぞれ出力する複数の画素回路と、
前記複数の画素回路から出力された複数の前記画素信号のそれぞれと参照信号とを比較する複数の比較器と、
前記複数の比較器の比較結果に基づいて前記複数の画素信号をアナログ-デジタル変換したデジタル信号を生成するデジタル信号生成器と、
前記参照信号を前記複数の比較器に入力するか否かを切り替える複数の切替器と、を備える、
撮像装置。
【請求項2】
前記複数の切替器は、2以上の前記比較器に同時に前記参照信号が入力されないように、前記複数の比較器のいずれか一つを順次に選択して前記参照信号を入力する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2方向に配列される2以上の前記画素回路から出力される前記複数の画素信号を伝送する信号線と、
前記信号線で伝送される前記複数の画素信号をアナログ-デジタル変換する変換回路と、を備え、
前記変換回路は、
前記比較器と、前記デジタル信号生成器とを有する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1方向に配列される複数の前記信号線と、
前記複数の信号線に接続される複数の前記変換回路と、を備える、
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記信号線は、前記第2方向に沿って分割される複数の分割信号線を有し、
前記複数の分割信号線のそれぞれは、前記第2方向に沿って配置される2以上の前記画素回路から出力された前記画素信号を伝送し、
前記複数の分割信号線のそれぞれごとに、一つ以上の前記比較器が設けられる、
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記複数の比較器のそれぞれは、前記複数の画素回路のそれぞれごとに設けられる、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記複数の切替器は、前記第1方向又は前記第2方向に配列される2以上の前記画素回路を含む画素群ごとに、対応する2以上の前記比較器に前記参照信号を入力するか否かを切り替える、
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記複数の切替器は、前記第1方向又は前記第2方向に配列される2以上の前記画素回路をそれぞれ含む複数の画素群のうち、注目画素領域に対応する複数の前記画素群のいずれか一つを順次に切り替えて選択する、
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記複数の切替器は、前記第1方向又は前記第2方向に配列される2以上の前記画素回路をそれぞれ含む複数の画素群のうち、前記第1方向又は前記第2方向に隣接する2以上の画素群のうちいずれか一つを順次に切り替えて選択する、
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記デジタル信号生成器は、前記複数の比較器のそれぞれにて前記画素信号と前記参照信号とが一致するタイミングに応じたカウント値を前記デジタル信号として出力するカウンタを有する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記複数の切替器の少なくとも一つは、
第1ノード及び第2ノードを導通させるか遮断させるかを切替制御信号により切り替える第1導電型の第1トランジスタと、
前記第1ノード及び前記第2ノードを導通させるか遮断させるかを前記切替制御信号とは逆の論理の反転切替制御信号により切り替える第2導電型の第2トランジスタと、を有する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記複数の切替器の少なくとも一つは、
前記第1ノードに接続されるソース及びドレインと、前記反転切替制御信号が入力されるゲートと、を有する第1導電型の第3トランジスタと、
前記第2ノードに接続されるソース及びドレインと、前記反転切替制御信号が入力されるゲートと、を有する第1導電型の第4トランジスタと、
前記第1ノードに接続されるソース及びドレインと、前記切替制御信号が入力されるゲートと、を有する第2導電型の第5トランジスタと、
前記第2ノードに接続されるソース及びドレインと、前記切替制御信号が入力されゲートと、を有する第2導電型の第6トランジスタと、を有する、
請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第2ノードと基準電圧ノードとの間に配置されるキャパシタを備え、
前記第2ノードは、前記複数の比較器の入力ノードに接続される、
請求項11に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記複数の切替器の少なくとも一つは、
第1ノード及び第2ノードを導通させるか遮断させるかを切替制御信号により切り替える第1トランジスタと、
第3ノード及び第4ノードの間にバイアス電圧を出力する電圧源と、
前記第3ノードと基準電圧ノードとの間に直列に接続される第1切替器、第2切替器、及び第3切替器と、
前記第4ノードと前記第1ノードとの間に直列に接続される第4切替器及び第5切替器と、
前記第1切替器及び前記第2切替器の接続ノードと、前記第4切替器及び前記第5切替器の接続ノードとの間に接続される第1キャパシタと、
前記第2ノードと前記基準電圧ノードとの間に接続される第2キャパシタと、を有し、
前記第2切替器及び前記第3切替器の接続ノードから出力される前記切替制御信号は、前記第1トランジスタのゲートに入力され、
前記第1ノード及び前記第2ノードを導通させる際には、前記第1切替器、前記第3切替器、及び前記第4切替器を遮断させるとともに、前記第2切替器及び前記第5切替器を導通させ、
前記第1ノード及び前記第2ノードを遮断させる際には、前記第1切替器、前記第3切替器、及び前記第4切替器を導通させるとともに、前記第2切替器及び前記第5切替器を遮断させる、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記複数の切替器の少なくとも一つは、
第1ノード及び第2ノードを導通させるか遮断させるかを切替制御信号により切り替える第1トランジスタと、
第1基準電圧ノードと第2基準電圧ノードとの間に直列に接続される第1切替器、第2切替器、及び第3切替器と、
前記第2基準電圧ノードと前記第1ノードとの間に直列に接続される第4切替器及び第5切替器と、
前記第1切替器及び前記第2切替器の接続ノードと、前記第4切替器及び前記第5切替器の接続ノードとの間に接続される第1キャパシタと、
前記第2ノードと前記第2基準電圧ノードとの間に接続される第2キャパシタと、を有し、
前記第2切替器及び前記第3切替器の接続ノードから出力される前記切替制御信号は、前記第1トランジスタのゲートに入力され、
前記第1ノード及び前記第2ノードを導通させる際には、前記第1切替器、前記第3切替器、及び前記第4切替器を遮断させるとともに、前記第2切替器及び前記第5切替器を導通させ、
前記第1ノード及び前記第2ノードを遮断させる際には、前記第1切替器、前記第3切替器、及び前記第4切替器を導通させるとともに、前記第2切替器及び前記第5切替器を遮断させる、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記複数の切替器と前記複数の比較器との間に配置され、前記複数の切替器から出力された前記参照信号のインピーダンスを変換する複数のソースフォロワ回路を有する複数のプリアンプを備え、
前記複数のソースフォロワ回路のそれぞれは、
対応する前記切替器から出力された前記参照信号がゲートに入力される第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのドレイン側に接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力するときにオンし、かつ対応する前記切替器が前記参照信号を出力しないときにオフする第1導電型の第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのソース側に接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力するときにオンし、かつ対応する前記切替器が前記参照信号を出力しないときにオフする第2導電型の第3トランジスタと、を備える、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記複数のソースフォロワ回路のそれぞれは、
電流源として機能する第4トランジスタと、
対応する前記比較器の入力ノードの電圧を調整する第5トランジスタと、を有し、
第1基準電圧ノードと第2基準電圧ノードとの間に、前記第4トランジスタ、前記第3トランジスタ、前記第5トランジスタ、前記第1トランジスタ、及び前記第2トランジスタの順に接続されるか、又は、前記第4トランジスタ、前記第5トランジスタ、前記第3トランジスタ、前記第1トランジスタ、及び前記第2トランジスタの順に接続される、
請求項16に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記複数の切替器と前記複数の比較器との間に配置され、前記複数の切替器から出力された前記参照信号のインピーダンスを変換する複数のソースフォロワ回路を有する複数のプリアンプを備え、
前記複数のソースフォロワ回路のそれぞれは、
対応する前記切替器から出力された前記参照信号がゲートに入力される第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのドレイン側に接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力するときにオンし、かつ対応する前記切替器が前記参照信号を出力しないときにオフする第1導電型の第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのソース側に接続され、電流源として機能する第3トランジスタと、
対応する前記比較器の入力ノードの電圧を調整する第4トランジスタと、
前記第4トランジスタのゲートに接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力する際にオンして前記第4トランジスタをオンさせる第5トランジスタと、
前記第4トランジスタのゲートに接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力しないときにオンして前記第4トランジスタをオフさせる第6トランジスタと、を備える、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記複数のソースフォロワ回路のうち、前記第1トランジスタのソースから前記参照信号を出力しないソースフォロワ回路における前記第1トランジスタのソースにプリチャージ信号を供給するプリチャージ回路をさらに備える、
請求項16に記載の撮像装置。
【請求項20】
前記プリチャージ回路は、前記複数のソースフォロワ回路と同じ回路構成を有し、前記複数の比較器が比較動作を開始する際の前記参照信号の基準電圧を前記プリチャージ信号として生成するレプリカ回路をさらに有し、
前記プリチャージ回路は、前記複数のソースフォロワ回路のうち、対応する前記比較器に前記参照信号を入力しないソースフォロワ回路における前記第1トランジスタのソースに、前記レプリカ回路で生成された前記基準電圧を供給する、
請求項19に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置では、画素列ごとに垂直信号線を設けて、画素列内の各画素の画素信号を垂直信号線でカラム信号処理回路まで伝送して、アナログ-デジタル変換(以下、AD変換)などの信号処理を行うのが一般的である。
【0003】
しかしながら、撮像装置の画素数が多くなると、画素の位置によって、カラム信号処理回路までの距離が異なるため、垂直信号線上で画素信号の伝搬遅延が生じ、かつ信号レベルが変化するという問題がある。このような問題を解決するために、垂直信号線を複数に分割し、分割された垂直信号線ごとにAD変換を行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2023/058720A1明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画素信号をAD変換するには、一般にランプ信号と呼ばれる参照信号と画素信号とを比較する必要がある。特許文献1では、分割された複数の垂直信号線ごとに別個にAD変換器を備えている。このため、参照信号を複数のAD変換器に分配しなければならず、参照信号を伝送する信号配線の負荷が大きくなり、AD変換に時間がかかることから、フレームレートの高速化と低消費電力化の障害となりうる。
【0006】
そこで、本開示では、参照信号の信号配線の負荷を軽減することで、AD変換とフレームレートの高速化と低消費電力化を実現できる撮像装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、互いに交差する第1方向及び第2方向に配列され、それぞれが入射光の光量に応じた電荷を蓄積する複数の光電変換素子と、
前記複数の光電変換素子に蓄積された電荷に応じた画素信号をそれぞれ出力する複数の画素回路と、
前記複数の画素回路から出力された複数の前記画素信号のそれぞれと参照信号とを比較する複数の比較器と、
前記複数の比較器の比較結果に基づいて前記複数の画素信号をアナログ-デジタル変換したデジタル信号を生成するデジタル信号生成器と、
前記参照信号を前記複数の比較器に入力するか否かを切り替える複数の切替器と、を備える、撮像装置が提供される。
【0008】
前記複数の切替器は、2以上の前記比較器に同時に前記参照信号が入力されないように、前記複数の比較器のいずれか一つを順次に選択して前記参照信号を入力してもよい。
【0009】
前記第2方向に配列される2以上の前記画素回路から出力される前記複数の画素信号を伝送する信号線と、
前記信号線で伝送される前記複数の画素信号をアナログ-デジタル変換する変換回路と、を備え、
前記変換回路は、
前記比較器と、前記デジタル信号生成器とを有してもよい。
【0010】
前記第1方向に配列される複数の前記信号線と、
前記複数の信号線に接続される複数の前記変換回路と、を備えてもよい。
【0011】
前記信号線は、前記第2方向に沿って分割される複数の分割信号線を有し、
前記複数の分割信号線のそれぞれは、前記第2方向に沿って配置される2以上の前記画素回路から出力された前記画素信号を伝送し、
前記複数の分割信号線のそれぞれごとに、一つ以上の前記比較器が設けられてもよい。
【0012】
前記複数の比較器のそれぞれは、前記複数の画素回路のそれぞれごとに設けられてもよい。
【0013】
前記複数の切替器は、前記第1方向又は前記第2方向に配列される2以上の前記画素回路を含む画素群ごとに、対応する2以上の前記比較器に前記参照信号を入力するか否かを切り替えてもよい。
【0014】
前記複数の切替器は、前記第1方向又は前記第2方向に配列される2以上の前記画素回路をそれぞれ含む複数の画素群のうち、注目画素領域に対応する複数の前記画素群のいずれか一つを順次に切り替えて選択してもよい。
【0015】
前記複数の切替器は、前記第1方向又は前記第2方向に配列される2以上の前記画素回路をそれぞれ含む複数の画素群のうち、前記第1方向又は前記第2方向に隣接する2以上の画素群のうちいずれか一つを順次に切り替えて選択してもよい。
【0016】
前記デジタル信号生成器は、前記複数の比較器のそれぞれにて前記画素信号と前記参照信号とが一致するタイミングに応じたカウント値を前記デジタル信号として出力するカウンタを有してもよい。
【0017】
前記複数の切替器の少なくとも一つは、
第1ノード及び第2ノードを導通させるか遮断させるかを切替制御信号により切り替える第1導電型の第1トランジスタと、
前記第1ノード及び前記第2ノードを導通させるか遮断させるかを前記切替制御信号とは逆の論理の反転切替制御信号により切り替える第2導電型の第2トランジスタと、を有してもよい。
【0018】
前記複数の切替器の少なくとも一つは、
前記第1ノードに接続されるソース及びドレインと、前記反転切替制御信号が入力されるゲートと、を有する第1導電型の第3トランジスタと、
前記第2ノードに接続されるソース及びドレインと、前記反転切替制御信号が入力されるゲートと、を有する第1導電型の第4トランジスタと、
前記第1ノードに接続されるソース及びドレインと、前記切替制御信号が入力されるゲートと、を有する第2導電型の第5トランジスタと、
前記第2ノードに接続されるソース及びドレインと、前記切替制御信号が入力されゲートと、を有する第2導電型の第6トランジスタと、を有してもよい。
【0019】
前記第2ノードと基準電圧ノードとの間に配置されるキャパシタを備え、
前記第2ノードは、前記複数の比較器の入力ノードに接続されてもよい。
【0020】
前記複数の切替器の少なくとも一つは、
第1ノード及び第2ノードを導通させるか遮断させるかを切替制御信号により切り替える第1トランジスタと、
第3ノード及び第4ノードの間にバイアス電圧を出力する電圧源と、
前記第3ノードと基準電圧ノードとの間に直列に接続される第1切替器、第2切替器、及び第3切替器と、
前記第4ノードと前記第1ノードとの間に直列に接続される第4切替器及び第5切替器と、
前記第1切替器及び前記第2切替器の接続ノードと、前記第4切替器及び前記第5切替器の接続ノードとの間に接続される第1キャパシタと、
前記第2ノードと前記基準電圧ノードとの間に接続される第2キャパシタと、を有し、
前記第2切替器及び前記第3切替器の接続ノードから出力される前記切替制御信号は、前記第1トランジスタのゲートに入力され、
前記第1ノード及び前記第2ノードを導通させる際には、前記第1切替器、前記第3切替器、及び前記第4切替器を遮断させるとともに、前記第2切替器及び前記第5切替器を導通させ、
前記第1ノード及び前記第2ノードを遮断させる際には、前記第1切替器、前記第3切替器、及び前記第4切替器を導通させるとともに、前記第2切替器及び前記第5切替器を遮断させてもよい。
【0021】
前記複数の切替器の少なくとも一つは、
第1ノード及び第2ノードを導通させるか遮断させるかを切替制御信号により切り替える第1トランジスタと、
第1基準電圧ノードと第2基準電圧ノードとの間に直列に接続される第1切替器、第2切替器、及び第3切替器と、
前記第2基準電圧ノードと前記第1ノードとの間に直列に接続される第4切替器及び第5切替器と、
前記第1切替器及び前記第2切替器の接続ノードと、前記第4切替器及び前記第5切替器の接続ノードとの間に接続される第1キャパシタと、
前記第2ノードと前記第2基準電圧ノードとの間に接続される第2キャパシタと、を有し、
前記第2切替器及び前記第3切替器の接続ノードから出力される前記切替制御信号は、前記第1トランジスタのゲートに入力され、
前記第1ノード及び前記第2ノードを導通させる際には、前記第1切替器、前記第3切替器、及び前記第4切替器を遮断させるとともに、前記第2切替器及び前記第5切替器を導通させ、
前記第1ノード及び前記第2ノードを遮断させる際には、前記第1切替器、前記第3切替器、及び前記第4切替器を導通させるとともに、前記第2切替器及び前記第5切替器を遮断させてもよい。
【0022】
前記複数の切替器と前記複数の比較器との間に配置され、前記複数の切替器から出力された前記参照信号のインピーダンスを変換する複数のソースフォロワ回路を有する複数のプリアンプを備え、
前記複数のソースフォロワ回路のそれぞれは、
対応する前記切替器から出力された前記参照信号がゲートに入力される第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのドレイン側に接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力するときにオンし、かつ対応する前記切替器が前記参照信号を出力しないときにオフする第1導電型の第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのソース側に接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力するときにオンし、かつ対応する前記切替器が前記参照信号を出力しないときにオフする第2導電型の第3トランジスタと、を備えてもよい。
【0023】
前記複数のソースフォロワ回路のそれぞれは、
電流源として機能する第4トランジスタと、
対応する前記比較器の入力ノードの電圧を調整する第5トランジスタと、を有し、
第1基準電圧ノードと第2基準電圧ノードとの間に、前記第4トランジスタ、前記第3トランジスタ、前記第5トランジスタ、前記第1トランジスタ、及び前記第2トランジスタの順に接続されるか、又は、前記第4トランジスタ、前記第5トランジスタ、前記第3トランジスタ、前記第1トランジスタ、及び前記第2トランジスタの順に接続されてもよい。
【0024】
前記複数の切替器と前記複数の比較器との間に配置され、前記複数の切替器から出力された前記参照信号のインピーダンスを変換する複数のソースフォロワ回路を有する複数のプリアンプを備え、
前記複数のソースフォロワ回路のそれぞれは、
対応する前記切替器から出力された前記参照信号がゲートに入力される第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのドレイン側に接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力するときにオンし、かつ対応する前記切替器が前記参照信号を出力しないときにオフする第1導電型の第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのソース側に接続され、電流源として機能する第3トランジスタと、
対応する前記比較器の入力ノードの電圧を調整する第4トランジスタと、
前記第4トランジスタのゲートに接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力する際にオンして前記第4トランジスタをオンさせる第5トランジスタと、
前記第4トランジスタのゲートに接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力しないときにオンして前記第4トランジスタをオフさせる第6トランジスタと、を備えてもよい。
【0025】
前記複数のソースフォロワ回路のうち、前記第1トランジスタのソースから前記参照信号を出力しないソースフォロワ回路における前記第1トランジスタのソースにプリチャージ信号を供給するプリチャージ回路をさらに備えてもよい。
【0026】
前記プリチャージ回路は、前記複数のソースフォロワ回路と同じ回路構成を有し、前記複数の比較器が比較動作を開始する際の前記参照信号の基準電圧を前記プリチャージ信号として生成するレプリカ回路をさらに有し、
前記プリチャージ回路は、前記複数のソースフォロワ回路のうち、対応する前記比較器に前記参照信号を入力しないソースフォロワ回路における前記第1トランジスタのソースに、前記レプリカ回路で生成された前記基準電圧を供給してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】各実施形態に共通して適用可能な電子機器の一例の構成を示すブロック図。
図2】本開示の各実施形態における撮像装置の一例の構成を示すブロック図。
図3】既存技術による画素信号に対する信号処理を概略的に示す模式図。
図4A】本開示に係る撮像装置を2層構造の積層型CISにより形成した例を示す図。
図4B】本開示に係る撮像装置を3層構造の積層型CISにより形成した例を示す図。
図5】撮像装置の一例の構造を示す模式図。
図6】本開示に係る画素信号に対する信号処理を概略的に示す模式図。
図7】画素アレイ部を垂直方向に複数領域に分割した例を示す模式図。
図8】本開示に係る撮像装置に係る画素信号に対する信号処理を概略的に示す模式図。
図9】本開示に係る撮像装置に係るVSLの分割を説明するための模式図。
図10A】4つのカラム読出部のうち一番上を選択する図。
図10B】4つのカラム読出部のうち上から二番目を選択する図。
図11】同時にオンする参照信号切替器の数と参照信号線の負荷との関係を示すグラフ。
図12図12A図12Bは参照信号線上の参照信号のセトリング時間と信号帯域との関係を示すグラフ。
図13】第1の実施形態に係る撮像装置のタイミング図。
図14】参照信号切替器の第1例を示す回路図。
図15】参照信号切替器の第2例を示す回路図。
図16】参照信号切替器の第3例を示す回路図。
図17】参照信号切替器の第4例を示す回路図。
図18】参照信号切替器の第5例を示す回路図。
図19A】第2の実施形態に係る撮像装置のカラム読出部の周辺のブロック図。
図19B】第2の実施形態に係る撮像装置のカラム読出部の周辺のブロック図。
図20】プリアンプの内部構成の第1例を示す回路図。
図21】プリアンプの内部構成の第2例を示す回路図。
図22】プリアンプの内部構成の第3例を示す回路図。
図23】プリアンプの内部構成の第4例を示す回路図。
図24】ソースフォロワ回路の出力ノードをプリチャージする場合とプリチャージしない場合のカラム読出部に入力される参照信号のセトリング時間を示すグラフ。
図25】第3の実施形態に係る撮像装置のカラム読出部17周辺の回路図。
図26A】第3の実施形態に係る撮像装置のプリチャージ動作を説明する図。
図26B】第3の実施形態に係る撮像装置のプリチャージ動作を説明する図。
図27図26A及び図26Bの説明に対応するタイミング図。
図28】第4の実施形態に係る撮像装置のブロック図。
図29図28における2つのカラム読出部の配置場所の一例を示す図。
図30】第4の実施形態の一変形例に係る撮像装置のブロック図。
図31図30における2つのカラム読出部の配置場所を示す図。
図32】第4の実施形態に係る撮像装置のタイミング図。
図33】第4の実施形態の一変形例に係る撮像装置のタイミング図。
図34】第5の実施形態に係る撮像装置を説明する図。
図35】第5の実施形態の一変形例に係る撮像装置を説明する図。
図36】第6の実施形態に係る撮像装置を説明する図。
図37】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図。
図38】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、撮像装置の実施形態について説明する。以下では、撮像装置の主要な構成部分を中心に説明するが、撮像装置には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0029】
(各実施形態に共通して適用可能な電子機器)
図1は、各実施形態に共通して適用可能な電子機器の一例の構成を示すブロック図である。図1において、電子機器1000は、光学系1002と、制御部1003と、撮像装置1004と、画像処理部1005と、メモリ1006と、記憶部1007と、表示部1008と、インタフェース(I/F)部1009と、入力デバイス1012と、を備える。ここで、電子機器1000としては、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、撮像機能付きの携帯電話やスマートフォンなどを適用することができる。また、電子機器1000として、監視カメラや車載用カメラ、医療用のカメラなどを適用することも可能である。
【0030】
撮像装置1004は、例えば行列状の配列で配置される複数の光電変換素子を含む。光電変換素子は、受光した光を光電変換にて電荷に変換する。撮像装置1004は、この複数の光電変換素子を駆動する駆動回路と、複数の光電変換素子それぞれから電荷を読み出し、読み出した電荷に基づき画像データを生成する信号処理回路と、駆動回路に電源を供給するための電源回路と、を含む。
【0031】
光学系1002は、1又は複数枚のレンズの組み合わせによる主レンズと、主レンズを駆動するための機構と、を含み、被写体からの像光(入射光)を、主レンズを介して撮像装置1004の受光面上に結像させる。また、光学系1002は、制御信号に従いフォーカスを調整するオートフォーカス機構や、制御信号に従いズーム率を変更するズーム機構を備える。また、電子機器1000は、光学系1002を着脱可能とし、他の光学系1002と交換できるようにしてもよい。
【0032】
画像処理部1005は、撮像装置1004から出力された画素データに対して所定の画像処理を実行する。例えば、画像処理部1005は、フレームメモリなどによるメモリ1006が接続され、撮像装置1004から出力された画像データをメモリ1006に書き込む。画像処理部1005は、メモリ1006に書き込まれた画素データに対して所定の画像処理を実行し、画像処理された画素データを再びメモリ1006に書き込む。なお、メモリ1006は、1フレーム分の画素データを、画像データとして記憶することができる。
【0033】
記憶部1007は、例えばフラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性のメモリであって、画像処理部1005から出力された画像データを不揮発に記憶する。表示部1008は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)といった表示デバイスと、当該表示デバイスを駆動する駆動回路と、を含み、画像処理部1005が出力された画像データに基づく画像を表示することができる。I/F部1009は、画像処理部1005から出力された画像データを外部に送信するためのインタフェースである。I/F部1009としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)を適用することができる。これに限らず、I/F部1009は、有線通信又は無線通信によりネットワークに接続可能なインタフェースであってもよい。
【0034】
入力デバイス1012は、ユーザ入力を受け付けるための操作子などを含む。電子機器1000が例えばデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、撮像機能付きの携帯電話やスマートフォンであれば、入力デバイス1012は、撮像装置1004による撮像を指示するためのシャッタボタン、あるいは、シャッタボタンの機能を実現するための操作子を含むことができる。
【0035】
制御部1003は、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含み、ROMに予め記憶されたプログラムに従い、RAMをワークメモリとして用いて、この電子機器1000の全体の動作を制御する。例えば、制御部1003は、入力デバイス1012に受け付けられたユーザ入力に応じて、電子機器1000の動作を制御することができる。また、制御部1003は、画像処理部1005の画像処理結果に基づき、光学系1002におけるオートフォーカス機構を制御することができる。
【0036】
(第1の実施形態)
図2は、本開示の第1の実施形態に係る撮像装置1004のブロック図である。図2において、撮像装置1004は、画素アレイ部11、垂直駆動部12、システム制御部13、DAC14(Digital to Analog Converter)14、カラム制御部15、複数の参照信号切替器(切替器)16、複数のカラム読出部17、カラム信号処理部18、及び水平駆動部19を備える。撮像装置1004は、これら各部がCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いて一体的に形成されたCMOSイメージセンサ(CIS)として構成することができる。
【0037】
画素アレイ部11は、第1方向(例えば、水平方向又は行方向)X及び第2方向(例えば、垂直方向又は列方向)Yに配列される複数の画素10を備える。
【0038】
画素アレイ部11において、各画素10は、受光した光に応じて電荷を生成する光電変換素子と、光電変換素子で生成された電荷に基づき画素信号を出力する画素回路と、を含む。垂直駆動部12は、画素アレイ部11に含まれる各画素10を行ごとに駆動し、各画素10から画素信号を出力させる。このとき、垂直駆動部12は、各画素10を行の順序に従い順次で駆動し、画素信号を出力させる。すなわち、垂直駆動部12は、光電変換素子からの電荷の読み出しと、画素信号の出力とを制御する読み出し制御回路として機能する。
【0039】
システム制御部13は、垂直同期信号VSYNCに同期して、垂直駆動部12、DAC14、カラム制御部15、複数のカラム読出部17、カラム信号処理部18、及び水平駆動部19のそれぞれの動作タイミングを制御する。垂直同期信号VSYNCは、撮像タイミングを示す所定周波数(例えば60(Hz(ヘルツ)))の周期信号である。
【0040】
DAC14は、DA(Digital to Analog)変換により、所定の参照信号を生成する。参照信号として、例えば、鋸刃状のランプ(RAMP)信号が用いられる。DAC14は、参照信号をカラム信号処理部18に供給する。
【0041】
第1の実施形態に係る撮像装置1004では、画素アレイ部11の第2方向(列方向)Yに延びる複数の垂直信号線VSLのそれぞれを複数に分割し、分割された複数の分割信号線に対応して複数のカラム制御部15が設けられる。
【0042】
複数のカラム制御部15は、システム制御部13からの指示により、複数の参照信号切替器16を切替制御する。複数の参照信号切替器16は、DAC14が生成した参照信号を複数のカラム読出部17に入力するか否かを切り替える。
【0043】
複数のカラム読出部17のそれぞれは、複数のアナログ-デジタル変換器(以下、ADC)を有し、各ADCは画素信号をデジタル信号に変換する。ADCは、後述するように、コンパレータ(比較器とも呼ばれる)20とカウンタ30(デジタル信号生成器)を有する。上述した複数の参照信号切替器16は、複数のカラム読出部17に対応して設けられる。複数の参照信号切替器16は、2以上のカラム読出部17に同時に参照信号が入力されないように、複数のカラム読出部17のいずれか一つを順次に選択して参照信号を入力する。
【0044】
カラム信号処理部18は、複数のカラム読出部17がAD変換した画素信号のデジタル信号に対して、CDS(Correlated Double Sampling)処理などの信号処理を、列ごとに行う。カラム信号処理部18は、信号処理後のデジタル方式の画素信号(画素データ)を出力する。カラム信号処理部18から出力された画素データは、画像処理部1005に供給される。
【0045】
水平駆動部19は、シフトレジスタ及びアドレスデコーダなどを有し、カラム信号処理部18がカラムごとに信号処理を行った画素データを順次に出力させる。
【0046】
(既存技術による処理の流れ)
次に、既存技術による画素信号に対する信号処理について、概略的に説明する。図3は、既存技術による画素信号に対する信号処理を概略的に示す模式図である。図3において、コンパレータ20及びカウンタ30は、例えば図2のカラム読出部17に含まれ、ロジック回路は、例えば図2のカラム信号処理部18に含まれる。
【0047】
画素10から出力されたアナログ方式の画素信号は、コンパレータ20に供給される。コンパレータ20には、さらに、DAC14から参照信号としての参照信号RAMPが供給される。参照信号RAMPは、例えば所定のクロックパルスに従い時系列に沿って段階的にレベル(電圧値)が低くなる信号である。コンパレータ20は、画素信号と参照信号RAMPとを比較し、比較結果をカウンタ30に供給する。例えば、コンパレータ20は、参照信号RAMPのレベルが画素信号のレベルより大きい場合、High(ハイ)の差信号をカウンタ30に出力する。一方、コンパレータ20は、参照信号RAMPのレベルが画素信号のレベルと同一又はそれ以下となった場合、出力を反転させ、Low(ロー)の差信号をカウンタ30に出力する。
【0048】
カウンタ30は、P相(Preset Phase)期間及びD相(Data Phase)期間それぞれにおいて、コンパレータ20から入力された差信号に応じて、参照信号RAMPが電圧降下を開始してから画素信号と同一又はそれ以下のレベルとなるまでの時間をカウントし、それぞれのカウント結果をロジック回路40に出力する。なお、P相期間は、CDS処理において画素信号のリセットレベルを検出する期間であり、D相期間は、CDS処理において画素信号の信号レベルを検出する検出期間である。
【0049】
ロジック回路40は、カウンタ30から入力されるP相期間のカウント結果と、D相期間のカウント結果とに基づきCDS処理及びAD変換処理を行って、デジタル方式の画素信号(画素データ)を生成し、出力する。
【0050】
(各実施形態に適用可能な撮像装置1004の構造)
次に、各実施形態に適用可能な撮像装置1004の構造について、概略的に説明する。実施形態に係る撮像装置1004は、複数層の半導体チップを積層した積層構造により形成することができる。
【0051】
一例として、撮像装置1004を、半導体チップを2層に積層した2層構造により形成することができる。図4Aは、各実施形態に係る撮像装置1004を2層構造の積層型CISにより形成した例を示す図である。図4Aの構造では、第1層の半導体チップに画素部2010を形成し、第2層の半導体チップにメモリ+ロジック部2011を形成している。
【0052】
画素部2010は、少なくとも画素アレイ部11を含む。メモリ+ロジック部2011は、例えば、垂直駆動部12、システム制御部13、DAC14、カラム信号処理部18及び水平駆動部19と、撮像装置1004と外部との通信を行うためのインタフェースと、を含むことができる。また、メモリ+ロジック部2011は、例えばカラム信号処理部18から出力された画素データを記憶するメモリを含むことができる。
【0053】
図4Aの右側に示されるように、第1層の半導体チップと、第2層の半導体チップとを電気的に接触させつつ貼り合わせることで、撮像装置1004を1つの固体撮像素子2000aとして構成する。
【0054】
別の例として、撮像装置1004を、半導体チップを3層に積層した3層構造により形成することができる。図4Bは、各実施形態に係る撮像装置1004を3層構造の積層型CISにより形成した例を示す図である。図4Bの構造では、第1層の半導体チップに画素部2010を形成し、第2層の半導体チップにメモリ部2012を形成し、第3層の半導体チップにロジック部2011’を形成している。この場合、ロジック部2011’は、垂直駆動部12、システム制御部13、DAC14、カラム信号処理部18及び水平駆動部19と、撮像装置1004と外部との通信を行うためのインタフェースと、を含むことができる。また、メモリ部2012は、例えばカラム信号処理部18から出力された画素データを記憶するメモリを含むことができる。
【0055】
図4Bの右側に示されるように、第1層の半導体チップと、第2層の半導体チップと、第3層の半導体チップとを電気的に接触させつつ貼り合わせることで、撮像装置1004を1つの固体撮像素子2000bとして構成する。
【0056】
(積層構造)
図4A及び図4Bに示したように、第1の実施形態に係る撮像装置1004は、複数の半導体基板を積層して構成することができる。積層数は任意である。図5は、第1の実施形態に係る撮像装置1004の積層構造を示す模式図である。図5の例では、撮像装置1004は、図4Aを用いて説明した、2層構造の固体撮像素子2000aを適用している。ここで、裏面照射型のイメージセンサの場合、光電変換素子が基板の第1層2010aに形成され、光電変換素子で生成された電荷を画素信号に変換して出力する画素回路が当該基板の第2層2010bに形成される。これら第1層2010aと第2層2010bとにより、画素部2010が構成される。
【0057】
図5において、第1層2010aに対して、光電変換素子と、光電変換素子からの電荷の読み出しを制御するためのトランジスタとを含む光電変換部100が、行列状の配列で配置される。第2層2010bに対して、光電変換部100から読み出された電荷を画素信号に変換する画素回路を含む回路部101が、第1層2010aにおける光電変換部100と対応して、行列状の配列で配置される。より具体的には、回路部101は、第1層2010a上で位置が対応する光電変換部100と1対1の関係で、第1層2010aと第2層2010bとの間で電気的に接触させつつ、配置される。
【0058】
各実施形態では、さらに、回路部101(図ではPixel-CMP(1)と記載)は、コンパレータ20の一部を含む。すなわち、各実施形態では、コンパレータ20は、少なくとも、画素回路から直接的に画素信号が供給される第1回路(CMP(1)と記載)と、第1回路の出力が供給される第2回路及び第3回路(CMP(2),(3)と記載)と、の2つの部分に分割されて構成される。第1回路は、例えば、画素回路から出力された画素信号と、DAC14から供給される参照信号RAMPとを比較する回路を含む。
【0059】
図5において、メモリ+ロジック部2011に対して、垂直駆動部12と、カウンタ30と、ロジック回路40と、周辺回路50と、インタフェース回路60(図ではIF回路とも記載)と、が配置される。
【0060】
周辺回路50は、DAC14を含む。また、インタフェース回路60は、この固体撮像素子2000aとしての撮像装置1004と外部との間で信号の送受信を行うためのインタフェースである。
【0061】
図5の例では、垂直駆動部12は、画素アレイ部11における列方向に沿って、メモリ+ロジック部2011の行方向の一方の端(図の例では右端)に配置されている。また、インタフェース回路60は、画素アレイ部11における列方向に沿って、メモリ+ロジック部2011の行方向の他方の端(図の例では左端)に配置されている。
【0062】
また、メモリ+ロジック部2011に対し、コンパレータ20が分割された第2回路210が配置される。図5の例では、第2回路210は、メモリ+ロジック部2011の行方向に沿って、列方向の一端及び他端(図5の例では上下端)に配置されている。第2回路210は、画素アレイ部11における列を単位として設けられる。図5の例では、第2回路210は、画素アレイ部11における行方向に沿って、メモリ+ロジック部2011の列方向の両端に設けられる。
【0063】
第2回路210は、第2層2010bにおいて、列に沿って配置される複数の回路部101により共有される。例えば、メモリ+ロジック部2011の列方向の一端(例えば図における上端)に配置される各第2回路210は、列ごとに、第2層2010bに配置される各回路部101のうち、当該一端側の半分(図5の例では上側の半分)に配置される各回路部101により共有される。同様に、メモリ+ロジック部2011の列方向の他端(例えば図5における下端)に配置される各第2回路210は、列ごとに、第2層2010bに配置される各回路部101のうち、当該他端側の半分(図5の例では下側の半分)に配置される各回路部101により共有される。
【0064】
なお、各画素10(各光電変換部100及び各回路部101)は、矢印で示されるように、列方向すなわち垂直方向に走査される。各画素10(各回路部101)からの出力は、行ごとにメモリ+ロジック部2011に転送される。
【0065】
図6は、本開示に係る画素信号に対する信号処理を概略的に示す模式図である。本開示に係るコンパレータ20は、複数の回路に分割して構成することができる。図6の例では、コンパレータ20は、初段コンパレータ201、中段コンパレータ202及び後段コンパレータ203の3つの回路に分割されている。初段コンパレータ201は、図5を用いて説明した第1回路に相当し、例えば、画素10から出力された画素信号と、DAC14から供給される参照信号RAMPとを比較する回路を含む。中段コンパレータ202及び後段コンパレータ203は、図5を用いて説明した第2回路に相当し、第1回路の出力を閾値と比較する。中段コンパレータ202及び後段コンパレータ203は、1つの回路として構成することも可能である。
【0066】
(画素アレイ部11を領域分割する例)
画素アレイ部11を垂直方向で複数領域に分割し、分割した領域ごとに画素信号を転送することで、画素信号の伝送距離を短縮することが可能である。図7は、画素アレイ部11を垂直方向に複数領域に分割した例を示す模式図である。
【0067】
図7の例では、画素部2010において、画素アレイ部11は、垂直方向に画素領域11Up1及び11Up2、ならびに、画素領域11Dwn1及び11Dwn2の4つの領域に分割されている。これらのうち、画素領域11Up1及び11Up2は、それぞれ上側の第1及び第2の画素領域であり、画素領域11Dwn1及び11Dwn2は、それぞれ下側の第1及び第2の画素領域である。
【0068】
メモリ+ロジック部2011において、画素領域11Up1に対応する位置にアナログ回路80Up1及びロジック回路40Up1が配置され、画素領域11Up2に対応する位置にアナログ回路80Up2及びロジック回路40Up2が配置される。同様に、画素領域11Dwn1に対応する位置にアナログ回路80Dwn1及びロジック回路40Dwn1が配置され、画素領域11Up2に対応する位置にアナログ回路80Up2及びロジック回路40Dwn2が配置される。
【0069】
なお、アナログ回路80Up1、80Up2、80Dwn1及び80Dwn2は、それぞれ例えば画素回路と、コンパレータ20及びカウンタ30とを含むものとする。
【0070】
画素領域11Up1の各画素から出力された画素信号は、行ごとに、画素領域11Up内の垂直信号線VSLを介して、画素領域11Upの端部からメモリ+ロジック部2011に転送され、アナログ回路80Up1に入力される。アナログ回路80Up1の出力は、ロジック回路40Up1に入力される。画素領域11Up2、11Dwn1及び11Dwn2についても、同様である。
【0071】
図7の構成によれば、各画素から出力された画素信号は、最長でも画素アレイ部11の列方向における両端間の距離の1/4の距離で転送される。しかしながら、画素信号が垂直信号線VSLを介して伝送される点については、既存の構成と変わっていない。したがって、短縮化された垂直信号線VSLの寄生容量は、画素10におけるセトリングにのみ影響し、ノイズの影響などの特性向上に繋がりにくい。
【0072】
これに対して、本開示の各実施形態では、画素10で生成された電荷に応じた画素信号が初段コンパレータ201に伝送される距離が極めて短くされているため、画素10におけるセトリング時間を短縮することができ、これにより画素10からの電荷の読み出し時間を高速化することが可能である。また、大きな負荷となる垂直信号線VSLが初段コンパレータ201の出力側に接続されるため、垂直信号線VSLに転送される信号の帯域幅を狭めることができ、低ノイズ化が可能である。
【0073】
上述した説明では、垂直信号線VSLを垂直方向で分割し、垂直信号線VSLの負荷を軽減している。しかしながら、垂直信号線VSLの分割数を増やしても、カラム信号処理部18に設けられるADCへの入力端への引き回し配線が必要になるため、処理の高速化が困難であり、高フレームレート化が難しい。例えば、2層の積層構造では、垂直信号線VSLの分割数は、2程度が上限となる。また、複数の画素に対して1つのADCが対応するため、画素切り替え箇所における負荷が重くなる。
【0074】
このため、本開示に係る撮像装置1004では、第1の基板の第1層及び第2層、ならびに、第2の基板の3層からなる構成の中間層(第1の基板の第2層)に対し、垂直信号線VSLの分割領域ごとに1つの初段コンパレータ201を配置し、初段コンパレータ201の出力をセレクトスイッチで切り替えて中段コンパレータ202に入力する。こうした構成を取ることで、垂直信号線VSLの分割数を増やした分だけVSL負荷が軽くなり、処理の高速化、高フレームレート化が可能となる。
【0075】
また、本開示に係る撮像装置1004では、1つの初段コンパレータ201に対して、複数の画素(光電変換部100)を接続する。すなわち、本開示に係る撮像装置1004では、画素と初段コンパレータ201との間、初段コンパレータ201と中段コンパレータ202との間、の2箇所で接続を切り替える構成とする。これにより、画素の切り替え箇所(すなわちVSL配線)における負荷を低減させることができる。
【0076】
図8は、本開示に係る撮像装置1004に係る画素信号に対する信号処理を概略的に示す模式図である。
【0077】
図8において、上述した図6と同様に、コンパレータ20は、初段コンパレータ201、中段コンパレータ202及び後段コンパレータ203を含み、後段コンパレータ203の出力がカウンタ30に入力され、カウンタ30の出力がロジック回路40に入力される構成となっている。また、DAC14から出力される参照信号RAMPが初段コンパレータ201に供給される。
【0078】
図8に示す構成において、初段コンパレータ201には、N個(N≧1)の画素101、102、…、10Nからの画素信号が入力される。この初段コンパレータ201と画素101、102、…、10Nとをそれぞれ含む、M個(M≧2)の画素・初段コンパレータ部2501、2502、…、250Mの出力が中段コンパレータ202に入力される。
【0079】
また、これらのうち、画素・初段コンパレータ部2501、2502、…、250Mに含まれる、各画素101、102、…、10Nが画素部2010の第1層2010aに配置され、各初段コンパレータ201が画素部2010の第2層2010bに配置される。中段コンパレータ202以降の構成は、メモリ+ロジック部2011に配置される。
【0080】
図9は、本開示に係る撮像装置1004に係るVSLの分割を説明するための模式図である。なお、図9において、初段コンパレータ2011~201Mは、それぞれ第1回路CMP(1)としても示されている。また、後段回路251は、中段コンパレータ202及び後段コンパレータ203(第2回路及び第3回路CMP(2),(3))、ならびに、カウンタ30を含む。
【0081】
図9に示されるように、VSLは、画素・初段コンパレータ部2501、2502、…、250Mのそれぞれにおいて、各画素101~10Nと、対応する初段コンパレータ2011~201Mとを接続する。すなわち、本開示に係る撮像装置1004においては、VSLは、初段コンパレータ2011~201Mごとに分割される。
【0082】
このように、本開示に係る撮像装置1004では、各画素101~10Nと初段コンパレータ201との間と、各画素・初段コンパレータ部2501~250Mの間とで、信号経路を切替える構成とされている。このため、VSLが初段コンパレータ2011~201Mごとに分割され、VSL配線に係る負荷が低減される。
【0083】
(第1の実施形態の詳細説明)
図2に示したように、第1の実施形態に係る撮像装置1004は、複数のカラム読出部17に対応させて複数の参照信号切替器16を有する。複数の参照信号切替器16は、カラム制御部15によりオン又はオフに切り替えられる。複数の参照信号切替器16は、オンすることにより、参照信号を対応するカラム読出部17に入力する。2以上の参照信号切替器16が同時にオンすることはない。カラム制御部15は、複数の参照信号切替器16を順次にオンさせて、複数のカラム読出部17に順次に参照信号を入力させる。これにより、参照信号を伝送する参照信号線Srampの負荷が低減され、AD変換処理とフレームレートを高速化できる。
【0084】
図10A及び図10Bは、垂直信号線VSLを4つに分割した4つの分割信号線に対応させて4つのカラム読出部17と4つの参照信号切替器16を設ける例を示す。図10Aは4つの参照信号切替器16のうち、一番上の参照信号切替器16をオンさせる例を示し、図10Bは4つの参照信号切替器16のうち、上から二番目の参照信号切替器16をオンさせる例を示す。参照信号切替器16がオンになると、参照信号が対応するカラム読出部17に入力されて、AD変換が行われる。
【0085】
カラム制御部15は、第1の実施形態に係る撮像装置1004が1フレーム分の撮像画像を生成する間に、4つの参照信号切替器16を順次にオンさせる。
【0086】
上述したように、第1の実施形態では、複数の参照信号切替器16のうち2以上の参照信号切替器16を同時にオンさせないようにして、参照信号線Srampの負荷の低減を図っている。
【0087】
図11は、同時にオンする参照信号切替器16の数と参照信号線Srampの負荷との関係を示すグラフである。図11の横軸は同時にオンする参照信号切替器の数、縦軸は信号帯域比である。信号帯域比が小さいほど、負荷が大きいことを示す。図11に示すように、同時にオンする参照信号切替器16の数が増えるほど、信号帯域比が減少し、参照信号線Srampの負荷は増大する。
【0088】
図12は参照信号線Sramp上の参照信号RAMPのセトリング時間と信号帯域との関係を示すグラフである。図12Aは同時にオンする参照信号切替器16が一つだけの場合のグラフを示し、図12Bは2以上の参照信号切替器16が同時にオンする場合のグラフを示す。図12A及び図12Bの横軸は時間、縦軸は信号レベルである。
【0089】
図12A及び図12Bからわかるように、2以上の参照信号切替器16が同時にオンする場合には、参照信号線Srampの負荷が増大して、セトリング時間が長くなり、信号帯域が狭くなる。
【0090】
図13は第1の実施形態に係る撮像装置1004のタイミング図である。図13には、垂直同期信号XVS、水平同期信号XHS、カラム制御部15が出力する複数の切替制御信号、DAC14から出力されて複数の参照信号切替器16に入力される参照信号、及び複数の参照信号切替器16の出力信号の各波形が図示されている。本明細書では、複数の参照信号切替器16を参照信号切替器16a、16b、16c、16dと呼ぶ。図13において、時刻t1~t5が1フレーム期間であり、時刻t1とt5で垂直同期信号XVSが出力される。
【0091】
カラム制御部15は、4つの参照信号切替器16a~16dをオン又はオフさせる4つの切替制御信号の位相をそれぞれずらす。各切替制御信号がハイレベルの時に、対応する参照信号切替器16がオンする。4つの位相制御信号の位相をそれぞれずらすことで、1フレーム期間の間に、4つのカラム読出部17に順次に参照信号が入力される。これにより、時刻t1~t2と、時刻t2~t3と、時刻t3~t4と、時刻t4~t5では、それぞれ異なるカラム読出部17に参照信号が入力されて、各カラム読出部17で画素信号のAD変換処理が行われる。
【0092】
このように、本実施形態では、1本の参照信号線Srampで4つのカラム読出部17に同時に参照信号を入力するのではなく、4つの参照信号切替器16a~16dを一つずつ時間をずらしてオンさせて、4つのカラム読出部17に時間をずらして参照信号を入力するため、各カラム読出部17の入力ノードの負荷を低減でき、AD変換を高速化でき、ひいてはフレームレートを高速化できる。
【0093】
図14は参照信号切替器16の第1例を示す回路図である。第1例に係る参照信号切替器16は、第1ノードn1と第2ノードn2との間に接続されるPMOSトランジスタQ1と、同じく第1ノードn1と第2ノードn2との間に接続されるNMOSトランジスタQ2とを有する。PMOSトランジスタQ1のゲートとNMOSトランジスタQ2のゲートには、互いに論理が逆の切替制御信号Φ1、Φ2が入力される。
【0094】
このように、第1ノードn1と第2ノードn2の間にPMOSトランジスタとNMOSトランジスタを並列に接続することにより、第1ノードn1に入力された参照信号の信号レベルを減衰させることなく、第2ノードn2から出力することができる。
【0095】
図15は参照信号切替器16の第2例を示す回路図である。第2例に係る参照信号切替器16は、第1例の回路構成に加えて、第2ノードn2と基準電圧ノード(例えば、接地ノード)との間に接続されるキャパシタC1を備える。このキャパシタC1は、ホールド容量として機能し、切替制御信号が短時間だけパルスを出力して参照信号切替器16が短時間だけオンしても、参照信号を長期間にわたって保持できる。
【0096】
図16は参照信号切替器16の第3例を示す回路図である。第3例に係る参照信号切替器16は、インジェクション電流に対する対策を行う回路構成を備える。インジェクション電流とは、スイッチの切替時にゲートから信号配線に流れ込む電荷であり、信号配線の電圧レベルを変動させる要因になる。第3例に係る参照信号切替器16は、第1ノードn1及び第2ノードn2の間に並列に接続されるPMOSトランジスタQ1及びNMOSトランジスタQ2と、PMOSトランジスタQ3、Q4と、NMOSトランジスタQ5、Q6と、キャパシタC1とを有する。トランジスタQ3のソース及びドレインは第1ノードn1に接続される。トランジスタQ4のソース及びドレインは第2ノードn2に接続される。トランジスタQ3、Q4のゲートには、トランジスタQ1のゲートに入力される切替制御信号と逆の論理の反転切替制御信号が入力される。トランジスタQ5のソース及びドレインは第1ノードn1に接続される。トランジスタQ6のソース及びドレインは第2ノードn2に接続される。トランジスタQ5、Q6のゲートには、トランジスタQ1のゲートに入力される切替制御信号と同じ論理の切替制御信号が入力される。
【0097】
トランジスタQ1とQ3の各ゲートに印加する切替制御信号の論理を互いに逆にすることで、矢印線y1のように、トランジスタQ1のゲートからトランジスタQ3のゲートにインジェクション電流を逃がすことができる。同様に、トランジスタQ1とQ4の各ゲートに印加する切替制御信号の論理を互いに逆にすることで、矢印線y2のように、トランジスタQ1のゲートからトランジスタQ3のゲートにインジェクション電流を逃がすことができる。同様に、トランジスタQ2とQ5の各ゲートに印加する切替制御信号の論理を互いに逆にすることで、矢印線y3のように、トランジスタQ2のゲートからトランジスタQ5のゲートにインジェクション電流を逃がすことができる。同様に、トランジスタQ2とQ6の各ゲートに印加する切替制御信号の論理を互いに逆にすることで、矢印線y4のように、トランジスタQ2のゲートからトランジスタQ6のゲートにインジェクション電流を逃がすことができる。
【0098】
このように、図16に示す第3例に係る参照信号切替器16は、トランジスタQ1のゲートとトランジスタQ3、Q4のゲートに入力される切替制御信号の論理を互いに逆にし、かつトランジスタQ2のゲートとトランジスタQ5、Q6のゲートに入力される切替制御信号の論理を互いに逆にすることで、インジェクション電流を逃がすことができ、第2ノードn2の電圧レベルの変動を抑制できる。
【0099】
図17は参照信号切替器16の第4例を示す回路図である。第4例に係る参照信号切替器16は、主スイッチのゲート-ソース間の電圧を一定に維持する回路構成を備える。第4例に係る参照信号切替器16は、図17に示すように、第1ノードn1及び第2ノードn2の間に接続される主スイッチであるNMOSトランジスタQ1と、第3ノードn3及び第4ノードn4の間にバイアス電圧を出力する電圧源21と、第3ノードn3と基準電圧(例えば、接地電圧)ノードとの間に直列に接続される第1切替器22、第2切替器23、及び第3切替器24と、第4ノードn4と第1ノードn1の間に直列に接続される第4切替器25及び第5切替器26と、第1切替器22及び第2切替器23の接続ノードと、第4切替器25及び第5切替器26の接続ノードとの間に接続される第1キャパシタC1と、第2ノードn2と基準電圧(例えば、接地電圧)ノードの間に接続される第2キャパシタC2とを備える。
【0100】
第2切替器23及び第3切替器24の接続ノードから出力される切替制御信号は、トランジスタQ1のゲートに入力される。第1ノードn1及び第2ノードn2を導通させる際には、第1切替器22、第3切替器24、及び第4切替器25を遮断させるとともに、第2切替器23及び第5切替器26を導通させる。第1ノードn1及び第2ノードn2を遮断させる際には、第1切替器22、第3切替器24、及び第4切替器25を導通させるとともに、第2切替器23及び第5切替器26を遮断させる。
【0101】
第1キャパシタC1には、バイアス電圧Vbに応じた電荷が蓄積される。主スイッチであるトランジスタQ1のゲート-ソース間電圧Vgsは、以下の式(1)に示すように、バイアス電圧Vb、第1キャパシタC1の容量Cbと、トランジスタQ1のゲート容量Cgを用いて表される固定値となる。
【0102】
Vgs=(Cb×Vb)/Cg …(1)
カラム制御部15は、第1切替器22、第3切替器24、及び第4切替器25を切替制御する切替制御信号φ1と、第2切替器23及び第5切替器26を切替制御する切替制御信号φ2を出力する。切替制御信号φ1、φ2は互いに逆の論理を有する。
【0103】
切替制御信号φ1がハイレベルで切替制御信号φ2がローレベルの場合、第1切替器22、第3切替器24、及び第4切替器25は導通し、第2切替器23及び第5切替器26は遮断する。このとき、第1キャパシタC1はバイアス電圧Vbに応じた電荷を蓄積するサンプリング動作を行う。また、トランジスタQ1はオフする。
【0104】
切替制御信号φ1がローレベルで切替制御信号φ2がハイレベルの場合、第1切替器22、第3切替器24、及び第4切替器25は遮断し、第2切替器23及び第5切替器26は導通する。このとき、第1キャパシタC1は蓄積電荷を保持し、トランジスタQ1はオンする。
【0105】
第4例に係る参照信号切替器16では、トランジスタQ1のゲート-ソース間電圧Vgsが一定になるため、参照信号切替器16のオン抵抗を一定にすることができる。よって、参照信号の信号レベルが変化しても、参照信号切替器16の出力ノードである第2ノードn2の信号品質(リニアリティなど)を保持できる。
【0106】
また、主スイッチであるトランジスタQ1のゲート-ソース間電圧Vgsを高電圧に保持することで、オン抵抗を低減でき、信号帯域及びノイズなどの信号品質を改善できる。通常、信号品質の改善のために主スイッチのアスペクト比を大きくする必要があり、トランジスタQ1と第1キャパシタC1の面積を縮小できる。
【0107】
なお、バイアス電圧Vbの電圧レベルを高くすると、トランジスタQ1のゲートの耐圧マージンに対する配慮が必要になる。
【0108】
図18は参照信号切替器16の第5例を示す回路図である。第5例に係る参照信号切替器16は、図18に示すように、第1ノードn1及び第2ノードn2の間に接続される主スイッチであるNMOSトランジスタQ1と、第1基準電圧(例えば、電源電圧)ノードと第2基準電圧(例えば、接地電圧)ノードとの間に直列に接続される第1切替器22、第2切替器23、及び第3切替器24と、第2基準電圧(例えば、接地電圧)ノードと第1ノードn1の間に直列に接続される第4切替器25及び第5切替器26と、第4切替器25及び第5切替器26の接続ノードとの間に接続される第1キャパシタC1と、第2ノードn2と基準電圧(例えば、接地電圧)ノードの間に接続される第2キャパシタC2とを備える。
【0109】
第5例に係る参照信号切替器16における第1切替器22、第2切替器23、第3切替器24、第4切替器25、及び第5切替器26は、第4例に係る参照信号切替器16における第1切替器22~第5切替器26と同様に、切替制御信号φ1、φ2で切替制御される。
【0110】
第5例に係る参照信号切替器16は、第4例に係る参照信号切替器16の電圧源21を省略し、バイアス電圧Vbを電源電圧VDDと接地電圧VSSとの差分電圧にすることを特徴とする。 このように、第1の実施形態に係る撮像装置1004は、複数の参照信号切替器16をオンさせるタイミングを順次にずらすことで、複数のカラム読出部17に一つずつ時間をずらして参照信号が入力されるようにする。これにより、参照信号線Srampの負荷を低減でき、各カラム読出部17でのAD変換とフレームレートを高速化できるとともに、消費電力の削減を図ることができる。
【0111】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、複数の参照信号切替器16のうちいずれか一つを順次にオンして、参照信号RAMPを対応するカラム読出部17に順次に入力するようにしたが、各カラム読出部17の前段にプリアンプを配置して、参照信号のドライブ能力を向上させる構成も考えられる。
【0112】
図19A及び図19Bは、第2の実施形態に係る撮像装置1004のカラム読出部17の周辺のブロック図である。第2の実施形態に係る撮像装置1004は、複数のカラム読出部17のそれぞれの前段に配置されるプリアンプ31を有する。各カラム読出部17の前段にプリアンプ31が配置されている以外は、図10A及び図10Bと同様に構成されている。
【0113】
図19Aは、4つの参照信号切替器16のうち、一番上の参照信号切替器16がオンして、参照信号RAMPが一番上のプリアンプ31を介してカラム読出部17に入力される例を示す。図19Bは、4つの参照信号切替器16のうち、上から2番目の参照信号切替器16がオンして、参照信号RAMPが上から2番目のプリアンプ31を介してカラム読出部17に入力される例を示す。
【0114】
プリアンプ31は、ソースフォロワ回路32を有する。プリアンプ31は、ソースフォロワ回路32により参照信号のインピーダンス変換を行い、出力インピーダンスを下げるとともに、入力された参照信号RAMPの信号レベルの変化に忠実に変化する参照信号RAMPを出力できる。
【0115】
図20はプリアンプ31の内部構成の第1例を示す回路図である。第1例に係るプリアンプ31は、第1基準電圧(例えば、電源電圧)ノードと第2基準電圧(例えば、接地電圧)ノードとの間に直列に接続される電流源トランジスタQ11と、第1電流カットトランジスタQ12と、カスコードトランジスタQ13と、入力トランジスタQ14と、第2電流カットトランジスタQ15とを有するソースフォロワ回路32である。ソースフォロワ回路32内の第2電流カットトランジスタQ15のみがNMOSトランジスタであり、その他のトランジスタはPMOSトランジスタである。
【0116】
電流源トランジスタQ11は、電流源として機能し、ゲートには所定の電圧が入力される。第1電流カットトランジスタQ12と第2電流カットトランジスタQ15は、入力トランジスタQ14がオンするときに入力トランジスタQ14のソース-ドレイン間に電流を流さないようにするためのものである。入力トランジスタQ14のゲートには参照信号RAMPが入力される。
【0117】
入力トランジスタQ14のソース及びカスコードトランジスタQ13のドレインは、プリアンプ31の出力ノードに接続されている。プリアンプ31の出力ノードからは、インピーダンス変換された参照信号RAMPが出力される。プリアンプ31の出力ノードから出力された参照信号RAMPは、対応するカラム読出部17に入力されて、AD変換処理が行われる。
【0118】
参照信号RAMPが入力されないカラム読出部17の前段に接続されるソースフォロワ回路32内の第1電流カットトランジスタQ12と第2電流カットトランジスタQ15はオフに設定される。これにより、対応するカラム読出部17の入力ノードをハイインピーダンスにすることができるとともに、ソースフォロワ回路32に無駄な電流が流れなくなり、消費電力を削減できる。一方、参照信号RAMPが入力されるカラム読出部17の前段に接続されるソースフォロワ回路32内の第1電流カットトランジスタQ12と第2電流カットトランジスタQ15はオンに設定される。これにより、ソースフォロワ回路32の出力ノードからは、出力インピーダンスの低い参照信号RAMPが出力されて、対応するカラム読出部17に入力される。
【0119】
プリアンプ31を構成するソースフォロワ回路32の内部構成には、種々の変形例が考えられる。図21はプリアンプ31の内部構成の第2例を示す回路図である。第2例に係るプリアンプ31は、第1例に係るプリアンプ31における第1電流カットトランジスタQ12とカスコードトランジスタQ13の接続順序を逆にしたものであり、それ以外の回路構成は同じである。
【0120】
図21において、第1電流カットトランジスタQ12をオフにすると、第1電流カットトランジスタQ12のドレイン側はハイインピーダンスになるため、カスコードトランジスタQ13をオフにした場合と同じ回路動作になることから、第1電流カットトランジスタQ12とカスコードトランジスタQ13の接続順序を逆にすることができる。
【0121】
図22はプリアンプ31の内部構成の第3例を示す回路図である。第3例に係るプリアンプ31は、図20の第1電流カットトランジスタQ12を省略するとともに、第1電流カットトランジスタQ12と同じ機能を有する電流カット切替器39をゲートに接続する。これにより、実質的にカスコードトランジスタQ13が第1電流カットトランジスタQ12を兼ねることになる。電流カット切替器39は、カスコードトランジスタQ13のゲートと第1基準電圧(例えば、電源電圧)ノードとの間に接続されるPMOSトランジスタQ16と、カスコードトランジスタQ13のゲートと第2基準電圧(例えば、接地電圧)ノードとの間に接続されるPMOSトランジスタQ17とを有する。
【0122】
PMOSトランジスタQ16のゲートとPMOSトランジスタQ17のゲートには、互いに逆の論理の切替制御信号が入力される。PMOSトランジスタQ16がオンする場合にはPMOSトランジスタQ17はオフし、カスコードトランジスタQ13はオフする。PMOSトランジスタQ16がオフする場合にはPMOSトランジスタQ17はオンし、カスコードトランジスタQ13はオンする。このように、電流カット切替器39を用いることで、カスコードトランジスタQ13を確実にオフさせることができる。
【0123】
図23はプリアンプ31の内部構成の第4例を示す回路図である。第4例に係るプリアンプ31は、第1~第3例のいずれかに係るプリアンプ31の出力ノードに接続されるプリチャージ回路33を備える。図23は、第1例に係るプリアンプ31の出力ノードにプリチャージ回路33を接続した構成を示すが、図21又は図22に示すプリアンプ31の出力ノードにプリチャージ回路33を接続してもよい。
【0124】
プリチャージ回路33は、プリアンプ31の出力ノードに接続されるプリチャージ切替器34を有する。プリチャージ切替器34は、プリアンプ31の出力ノードにプリチャージ信号を供給するか否かを切り替える。プリチャージ信号は、後述するように、例えば参照信号RAMPの基準電圧レベルの信号である。
【0125】
複数のカラム読出部17のうち、複数の参照信号切替器16と複数のプリアンプ31を介して参照信号RAMPが入力されるのは一つだけであり、参照信号RAMPが入力されるカラム読出部17は順次に切り替えられる。参照信号RAMPが入力されないカラム読出部17の入力ノードは、参照信号RAMPの信号レベルとは大きく相違する信号レベルになるおそれがあり、参照信号RAMPが入力されたときにセトリング時間が長くなる。そこで、参照信号RAMPが入力されないカラム読出部17の入力ノードの信号レベルをプリチャージ信号でプリチャージすることで、参照信号RAMPが入力されたときのセトリング時間を短縮できる。
【0126】
このように、第2の実施形態では、各カラム読出部17の前段にプリアンプ31を配置し、複数の参照信号切替器16のオン/オフに同期して、プリアンプ31内のソースフォロワ回路32の第1電流カットトランジスタQ12及び第2電流カットトランジスタQ15をオン/オフさせる。これにより、カラム読出部17に参照信号RAMPを入力しない場合にはソースフォロワ回路32内に無駄な電流が流れないようにすることができ、消費電力を削減できる。
【0127】
また、プリアンプ31の出力ノードにプリチャージ回路33を接続することで、参照信号RAMPが入力されないプリアンプ31の出力ノードをプリチャージすることができ、その後に参照信号RAMPが入力された際にプリアンプ31の出力ノードを迅速に所望の電圧レベルに設定でき、セトリング時間を短縮できる。
【0128】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第2の実施形態におけるプリアンプ31内のソースフォロワ回路32の出力ノードをプリチャージするためのプリチャージ信号を生成する回路に関する。
【0129】
図24は、ソースフォロワ回路32の出力ノードをプリチャージする場合とプリチャージしない場合のカラム読出部17に入力される参照信号のセトリング時間を示すグラフである。図24の横軸は時間、縦軸はカラム読出部17の入力ノードの電圧レベルである。上の波形はソースフォロワ回路32の出力ノードをプリチャージしない場合のカラム読出部17の入力ノードの電圧波形を示し、下の波形はソースフォロワ回路32の出力ノードをプリチャージする場合のカラム読出部17の入力ノードの電圧波形を示す。
【0130】
図24の2つの波形を比較すればわかるように、ソースフォロワ回路32の出力ノードをプリチャージしない場合は、プリチャージするよりもセトリング時間が長くなる。図24の例では、ソースフォロワ回路32の出力ノードをプリチャージすることで、セトリング時間がほぼゼロまで短縮される。AZレベルとは、カラム読出部17内のコンパレータ20の基準レベルである。
【0131】
第2の実施形態で説明したように、ソースフォロワ回路32内の第1電流カットトランジスタQ12と第2電流カットトランジスタQ15をオフすると、ソースフォロワ回路32の出力ノードがハイインピーダンス状態になり、電圧レベルは不定になる。このため、図23に示したように、第1電流カットトランジスタQ12と第2電流カットトランジスタQ15をオフする場合は、ソースフォロワ回路32の出力ノードをプリチャージ信号でプリチャージするのが望ましい。プリチャージ信号の電圧レベルは、電源電圧又は接地電圧と同レベルでもよく、また、プリチャージ信号を入力する回路は、プルアップ抵抗又はプルダウン抵抗などの単純な回路でもよい。ただし、プリチャージ信号の電圧レベルが適切でないと、参照信号の入力時のセトリング時間が長くなり、カラム読出部17におけるAD時間が長くなる。
【0132】
第3の実施形態では、ソースフォロワ回路32の出力ノードを、カラム読出部17でAD変換する際に用いられる参照信号RAMPの基準電圧レベル(AZレベル)にプリチャージすることで、カラム読出部17に参照信号RAMPが入力される際のセトリング時間を短縮することを特徴とする。
【0133】
図25は第3の実施形態に係る撮像装置1004のカラム読出部17周辺の回路図である。第3の実施形態に係る撮像装置1004は、複数の参照信号切替器16と、複数のプリアンプ31と、複数のカラム読出部17と、プリチャージ回路33とを備える。
【0134】
プリチャージ回路33は、プリアンプ31内のソースフォロワ回路32と実質的に同一の回路構成のレプリカ回路36を有する。レプリカ回路36は、例えば、電流源トランジスタQ11、第1電流カットトランジスタQ12、カスコードトランジスタQ13、入力トランジスタQ14、及び第2電流カットトランジスタQ15を有する。
【0135】
複数の参照信号切替器16は、例えば図14図18のいずれかの回路構成を有する。複数の参照信号切替器16は、複数のプリアンプ31に対応して設けられる。また、プリチャージ回路33用の参照信号切替器16が新たに設けられる。
【0136】
プリチャージ回路33を構成するレプリカ回路36は、参照信号の基準電圧レベルの信号を出力する。レプリカ回路36の出力ノードと、複数のプリアンプ31内の複数のソースフォロワ回路32の出力ノードとの間には、複数のプリチャージ切替器34が接続される。複数のプリチャージ切替器34のうち、参照信号が入力されるカラム読出部17以外のすべてのカラム読出部17の前段側のソースフォロワ回路32の出力ノードに接続されるプリチャージ切替器34はオンし、ソースフォロワ回路32の出力ノードがプリチャージされる。一方、参照信号が入力されるカラム読出部17の前段側のソースフォロワ回路32の出力ノードに接続されるプリチャージ切替器34はオフし、ソースフォロワ回路32から出力された参照信号RAMPがカラム読出部17に入力される。
【0137】
本実施形態では、説明の簡略化のために、2つの参照信号切替器16(16a、16b)(以下、第1参照信号切替器16aと第2参照信号切替器16b)と、レプリカ回路36用の参照信号切替器16(以下、第3参照信号切替器16c)と、2つのソースフォロワ回路32(第1ソースフォロワ回路32aと第2ソースフォロワ回路32b)と、2つのカラム読出部17(第1カラム読出部17と第2カラム読出部17)を備える撮像装置1004について説明する。本明細書では、第1ソースフォロワ回路32aをSF1、第2ソースフォロワ回路32bをSF2と略することがある。
【0138】
図26A及び図26Bは第3の実施形態に係る撮像装置1004のプリチャージ動作を説明する図、図27図26A及び図26Bの説明に対応するタイミング図である。図27には、参照信号RAMP、第1ソースフォロワ回路32a内の第1電流カットトランジスタQ12のゲート電圧、第1ソースフォロワ回路32a内の第2電流カットトランジスタQ15のゲート電圧、第1参照信号切替器16aの切替制御信号、第1ソースフォロワ回路32aの出力電圧、第2ソースフォロワ回路32b内の第1電流カットトランジスタQ12のゲート電圧、第2ソースフォロワ回路32b内の第2電流カットトランジスタQ15のゲート電圧、第2参照信号切替器16bの切替制御信号、第2ソースフォロワ回路32bの出力電圧の各波形が図示されている。
【0139】
図26Aは、第1参照信号切替器16aがオンして、第2参照信号切替器16bがオフする場合のプリチャージ動作を示す。図26Bは、第1参照信号切替器16aがオフして、第2参照信号切替器16bがオンする場合のプリチャージ動作を示す。
【0140】
図27の時刻t1~t2は垂直ブランキング(V-blank)期間である。垂直ブランキング期間に第1参照信号切替器16aと第3参照信号切替器16cが一時的にオンする。これにより、第1参照信号切替器16aと第3参照信号切替器16cは参照信号RAMPをそれぞれサンプリングして保持する。
【0141】
時刻t2~t6の期間内は、第1参照信号切替器16aがオンして、第1参照信号切替器16aを通過した参照信号RAMPは第1ソースフォロワ回路32aに入力される。この期間には、第2参照信号切替器16bはオフする。また、時刻t2、t3、t4,t5のそれぞれにおいて、第3参照信号切替器16cが一時的にオンし、第3参照信号切替器16cは参照信号RAMPをサンプリングして保持する。これにより、レプリカ回路36の出力ノードの電圧レベルは段階的に上昇する。レプリカ回路36の出力ノードは、プリチャージ切替器34を介して第2ソースフォロワ回路32bの出力ノードに接続されている。プリチャージ切替器34はオン状態であるため、図26Aに示すように、第2ソースフォロワ回路32bの出力ノードはレプリカ回路36の出力ノードと同じ電圧レベルにプリチャージされる。
【0142】
よって、時刻t6で第2ソースフォロワ回路32b内の第1電流カットトランジスタQ12と第2電流カットトランジスタQ15がオンすると、図26Bに示すように、第2ソースフォロワ回路32bは、時刻t6以前とほぼ同じ電圧レベルの参照信号RAMPの出力を開始することができる。
【0143】
このように、第3の実施形態では、ソースフォロワ回路32と同じ回路構成のレプリカ回路36を設けて、参照信号RAMPが入力されないカラム読出部17に接続されたすべてのソースフォロワ回路32の出力ノードをプリチャージするため、参照信号の入力時にカラム読出部17の入力ノードのセトリング時間を短縮できる。
【0144】
(第4の実施形態)
第1~第3の実施形態では、垂直信号線VSLを複数に分割した分割信号線ごとにカラム読出部17を設ける例を説明したが、垂直信号線VSLを複数に分割せずに複数のカラム読出部17を設ける構成にも適用可能である。以下では、垂直信号線VSLを複数に分割せずに2つのカラム読出部17を設ける撮像装置1004について説明する。
【0145】
図28は第4の実施形態に係る撮像装置1004のブロック図である。第4の実施形態に係る撮像装置1004は、図28に示すように、垂直駆動部12、システム制御部13、DAC14、カラム制御部15、2つの参照信号切替器16(16a、16b)、画素アレイ部11、2つのカラム読出部17を備える。なお、図28では、カラム信号処理部18と水平駆動部19を省略している。
【0146】
図29図28における2つのカラム読出部17の配置場所の一例を示す図である。2つのカラム読出部17は、図29に示すように、第2方向(垂直方向)Yの下端部付近に近接して配置される。2つのカラム読出部17とDAC14の間には2つの参照信号切替器16(16a、16b)が配置される。
【0147】
2つのカラム読出部17は、第2方向(垂直方向)Yの上端側と下端側に離隔して配置してもよい。
【0148】
図30は第4の実施形態の一変形例に係る撮像装置1004のブロック図である。図30では、図29と比べて、カラム制御部15が2つに分割されて上端側と下端側に配置され、これらカラム制御部15の脇に、2つの参照信号切替器16(16a、16b)と2つのカラム読出部17が配置される。図30では、2つのカラム制御部15に対応づけて2つのシステム制御部13を有するが、1つのシステム制御部13が2つのカラム制御部15を制御するようにしてもよい。
【0149】
図31図30における2つのカラム読出部17の配置場所を示す図である。DAC14は画素アレイ部11の第2方向(垂直方向)Yの中央部付近に配置され、DAC14から略等距離の位置に2つの参照信号切替器16(16a、16b)が配置され、2つの参照信号切替器16(16a、16b)から略等距離の位置に2つのカラム読出部17が配置される。これにより、参照信号線Srampの伝搬遅延と配線負荷を等しくする。
【0150】
以下では、図28図30に示す2つの参照信号切替器16(16a、16b)を第1参照信号切替器16a及び第2参照信号切替器16bと呼び、2つのカラム読出部17を第1カラム読出部17及び第2カラム読出部17と呼ぶ。
【0151】
図32は第4の実施形態に係る撮像装置1004のタイミング図である。図32は、2つのカラム読出部17のいずれか一方に入力する参照信号をフレーム単位で切り替える場合のタイミングを示す。図32には、垂直同期信号XVS、水平同期信号XHS、第1参照信号切替器16aの切替制御信号、第2参照信号切替器16bの切替制御信号、第1及び第2参照信号切替器16bに入力される参照信号、第1参照信号切替器16aの出力信号、第2参照信号切替器16bの出力信号の各波形が図示されている。
【0152】
時刻t1~t2の1フレーム期間内は、第1参照信号切替器16aがオンして、第2参照信号切替器16bがオフする。よって、第1参照信号切替器16aから参照信号が出力されて、第1カラム読出部17に入力される。第2参照信号切替器16bの出力はローレベルのままであり、第2カラム読出部17には参照信号が入力されない。
【0153】
図32では、2つのカラム読出部17のいずれか一方に入力される参照信号をフレームごとに切り替える例を示したが、各水平ラインの走査期間内に2つのカラム読出部17に入力される参照信号を切り替えてもよい。
【0154】
図33は第4の実施形態の一変形例に係る撮像装置1004のタイミング図である。図33には、水平同期信号XHS、第1参照信号切替器16aの切替制御信号、第2参照信号切替器16bの切替制御信号、第1参照信号切替器16aの出力信号、及び第2参照信号切替器16bの出力信号の各波形が図示されている。
【0155】
時刻t1~t2と時刻t3~t4では、第1参照信号切替器16aがオンで第2参照信号切替器16bがオフし、時刻t2~t3では、第1参照信号切替器16aがオフで第2参照信号切替器16bがオンする。
【0156】
時刻t1~t2と時刻t3~t4では、低変換効率用の参照信号が生成され、時刻t2~t3では高変換効率用の参照信号が生成される。また、時刻t1~t2ではリセットレベルのAD変換が行われ、時刻t3~t4では画素信号レベルのAD変換が行われる。時刻t1~t2では、リセットレベルと画素信号レベルのAD変換が連続して行われる。
【0157】
このように、第4の実施形態では、垂直信号線VSLを分割せずに複数のカラム読出部17を設ける場合であっても、複数の参照信号切替器16で順次にいずれか一つのカラム読出部17に参照信号を供給することで、参照信号線Srampの負荷を低減でき、AD時間の短縮と高フレームレート化が可能となる。
【0158】
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、本開示に係る撮像装置1004を画素ADC又はエリアADCに適用するものである。
【0159】
図34は第5の実施形態に係る撮像装置1004を説明する図である。図34の撮像装置1004は、画素ごとにAD変換器を有し、各画素のAD変換器で用いられる参照信号RAMPを伝送する参照信号線Srampが画素列ごとに設けられる。
【0160】
これら複数の参照信号線Srampは、第1方向(水平方向)Xに並んでおり、複数の参照信号線Srampには複数の参照信号切替器16が接続されている。複数の参照信号切替器16のいずれか一つがオンし、オンした参照信号切替器16から出力される参照信号RAMPは、対応する画素列の各画素の各AD変換器に入力される。
【0161】
図35は第5の実施形態の一変形例に係る撮像装置1004を説明する図である。図35に示す撮像装置1004は、画素ごとにAD変換器を有するものの、任意のサイズの画素領域だけをROI(Region Of Interest)として撮像することができる。
【0162】
図35では、ROIの画素領域に対応する画素列に接続された参照信号切替器16のみを順次にオンし、ROIの画素領域以外の画素領域に対応する画素列に接続された参照信号切替器16はオフにする。これにより、AD変換時間及びフレームレートを高速化することができる。
【0163】
このように、第5の実施形態では、画素ごとにAD変換器を設けるとともに、画素列ごとに参照信号線Srampを設ける場合に、複数の参照信号線Srampに複数の参照信号切替器16を接続し、複数の参照信号切替器16のいずれか一つを順次にオンして、いずれか1本の参照信号線Srampのみに参照信号を供給するため、参照信号線Srampの負荷を軽減でき、AD変換とフレームレートの高速化を図ることができる。また、ROIの画素領域のみを撮像する場合も、ROIの画素領域に対応する複数の参照信号線Srampのいずれか1本を順次に選択して参照信号を供給するため、AD変換とフレームレートをより高速化できる。
【0164】
(第6の実施形態)
図36は第6の実施形態に係る撮像装置1004を説明する図である。第6の実施形態に係る撮像装置1004は、いわゆるカラムADCであり、第2方向(垂直方向)Yに延びる垂直信号線VSLごとにAD変換を行うカラム読出部17が設けられる。カラム読出部17には、第1方向(水平方向)Xに配列される複数の垂直信号線VSLが接続されている。カラム読出部17は、各垂直信号線VSLで伝送される画素信号のAD変換を行う複数のAD変換器を有する。すなわち、カラム読出部17は、垂直信号線VSLの数と同数のAD変換器を有する。
【0165】
本実施形態では、複数の垂直信号線VSLのうち、奇数番目の垂直信号線VSLからの画素信号が入力されるAD変換器に参照信号を入力するか否かを切り替える第1参照信号切替器16aと、偶数番目の垂直信号線VSLからの画素信号が入力されるAD変換器に参照信号を入力するか否かを切り替える第2参照信号切替器16bとを有する。
【0166】
第1参照信号切替器16aと第2参照信号切替器16bは排他的にオン/オフし、いずれか一方がオンするときに他方はオフする。これにより、DAC14で生成された参照信号を伝送する参照信号線Srampの負荷を低減できる。
【0167】
また、本実施形態の一応用例として、隣接する2本の垂直信号線VSL上の画素信号を加算した結果をいずれか1本の垂直信号線VSLで伝送してAD変換を行うことも可能である。この場合、加算結果が伝送される垂直信号線VSL上の画素信号が入力されるAD変換器に参照信号を入力する参照信号切替器16をオンし、加算結果を伝送しない垂直信号線VSLが接続されるAD変換器に参照信号を入力する参照信号切替器16をオフする。これにより、参照信号線Srampの負荷を低減できる。
【0168】
このように、第6の実施形態では、複数の垂直信号線VSLに接続される複数のAD変換器を有するカラム読出部17に2つの参照信号切替器16(第1参照信号切替器16aと第2参照信号切替器16b)を接続し、第1参照信号切替器16aは奇数番目のAD変換器に参照信号を入力するか否かを切り替えるようにし、第2参照信号切替器16bは偶数番目のAD変換器に参照信号を入力するか否かを切り替えるようにする。第1参照信号切替器16aと第2参照信号切替器16bのいずれか一方をオンさせ、他方をオフさせることで、参照信号線Srampの負荷を低減でき、AD変換とフレームレートの高速化を図れる。
【0169】
(第7の実施形態)
上述した第1~第6の実施形態を包含する概念として、第7の実施形態に係る撮像装置1004は、複数の光電変換素子と、複数の画素回路と、複数の比較器と、デジタル信号生成器と、複数の切替器とを備える。
【0170】
複数の光電変換素子は、例えば図2に示すように、互いに交差する第1方向X及び第2方向Yに配列されて、それぞれが入射光の光量に応じた電荷を蓄積する。
【0171】
複数の画素回路は、複数の光電変換素子に蓄積された電荷に応じた画素信号をそれぞれ出力する。
【0172】
複数の比較器(コンパレータ20)は、複数の画素回路から出力された複数の画素信号のそれぞれと参照信号とを比較する。比較器は、図2等のカラム読出部17に含まれる。
【0173】
デジタル信号生成器は、複数の比較器の比較結果に基づいて複数の画素信号をアナログ-デジタル変換したデジタル信号を生成する。デジタル信号生成器は、例えば、図6等に示すカウンタ30である。
【0174】
複数の切替器(参照信号切替器16)は、参照信号を複数の比較器に入力するか否かを切り替える。第1の実施形態に係る撮像装置1004では、図2に示すように、複数の切替器は、複数のカラム読出部17に対応して設けられる。第5の実施形態に係る撮像装置1004では、図34に示すように、複数の切替器は、複数の垂直信号線VSLに接続された複数のADCに対応して設けられる。複数の切替器は、2以上の比較器に同時に参照信号が入力されないように、複数の比較器のいずれか一つを順次に選択して参照信号を入力する。
【0175】
第7の実施形態によれば、複数の比較器に同時に参照信号が入力されないようにするため、参照信号線の負荷を低減でき、比較器を含むADCのAD変換とフレームレートを高速化できる。
【0176】
<移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0177】
図37は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0178】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図37に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0179】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0180】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0181】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0182】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0183】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0184】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0185】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0186】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0187】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図37の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0188】
図38は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0189】
図38では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0190】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0191】
なお、図38には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0192】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0193】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0194】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0195】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0196】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像装置1004に適用され得る。本開示に係る技術を適用することにより、撮像装置1004のノイズをより削減できる。
【0197】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)互いに交差する第1方向及び第2方向に配列され、それぞれが入射光の光量に応じた電荷を蓄積する複数の光電変換素子と、
前記複数の光電変換素子に蓄積された電荷に応じた画素信号をそれぞれ出力する複数の画素回路と、
前記複数の画素回路から出力された複数の前記画素信号のそれぞれと参照信号とを比較する複数の比較器と、
前記複数の比較器の比較結果に基づいて前記複数の画素信号をアナログ-デジタル変換したデジタル信号を生成するデジタル信号生成器と、
前記参照信号を前記複数の比較器に入力するか否かを切り替える複数の切替器と、を備える、
撮像装置。
(2)前記複数の切替器は、2以上の前記比較器に同時に前記参照信号が入力されないように、前記複数の比較器のいずれか一つを順次に選択して前記参照信号を入力する、
(1)に記載の撮像装置。
(3)前記第2方向に配列される2以上の前記画素回路から出力される前記複数の画素信号を伝送する信号線と、
前記信号線で伝送される前記複数の画素信号をアナログ-デジタル変換する変換回路と、を備え、
前記変換回路は、
前記比較器と、前記デジタル信号生成器とを有する、
(1)又は(2)に記載の撮像装置。
(4)前記第1方向に配列される複数の前記信号線と、
前記複数の信号線に接続される複数の前記変換回路と、を備える、
(3)に記載の撮像装置。
(5)前記信号線は、前記第2方向に沿って分割される複数の分割信号線を有し、
前記複数の分割信号線のそれぞれは、前記第2方向に沿って配置される2以上の前記画素回路から出力された前記画素信号を伝送し、
前記複数の分割信号線のそれぞれごとに、一つ以上の前記比較器が設けられる、
(3)又は(4)に記載の撮像装置。
(6)前記複数の比較器のそれぞれは、前記複数の画素回路のそれぞれごとに設けられる、
(1)又は(2)に記載の撮像装置。
(7)前記複数の切替器は、前記第1方向又は前記第2方向に配列される2以上の前記画素回路を含む画素群ごとに、対応する2以上の前記比較器に前記参照信号を入力するか否かを切り替える、
(6)に記載の撮像装置。
(8)前記複数の切替器は、前記第1方向又は前記第2方向に配列される2以上の前記画素回路をそれぞれ含む複数の画素群のうち、注目画素領域に対応する複数の前記画素群のいずれか一つを順次に切り替えて選択する、
(6)に記載の撮像装置。
(9)前記複数の切替器は、前記第1方向又は前記第2方向に配列される2以上の前記画素回路をそれぞれ含む複数の画素群のうち、前記第1方向又は前記第2方向に隣接する2以上の画素群のうちいずれか一つを順次に切り替えて選択する、
(6)に記載の撮像装置。
(10)前記デジタル信号生成器は、前記複数の比較器のそれぞれにて前記画素信号と前記参照信号とが一致するタイミングに応じたカウント値を前記デジタル信号として出力するカウンタを有する、
(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(11)前記複数の切替器の少なくとも一つは、
第1ノード及び第2ノードを導通させるか遮断させるかを切替制御信号により切り替える第1導電型の第1トランジスタと、
前記第1ノード及び前記第2ノードを導通させるか遮断させるかを前記切替制御信号とは逆の論理の反転切替制御信号により切り替える第2導電型の第2トランジスタと、を有する、
(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(12)前記複数の切替器の少なくとも一つは、
前記第1ノードに接続されるソース及びドレインと、前記反転切替制御信号が入力されるゲートと、を有する第1導電型の第3トランジスタと、
前記第2ノードに接続されるソース及びドレインと、前記反転切替制御信号が入力されるゲートと、を有する第1導電型の第4トランジスタと、
前記第1ノードに接続されるソース及びドレインと、前記切替制御信号が入力されるゲートと、を有する第2導電型の第5トランジスタと、
前記第2ノードに接続されるソース及びドレインと、前記切替制御信号が入力されゲートと、を有する第2導電型の第6トランジスタと、を有する、
(11)に記載の撮像装置。
(13)前記第2ノードと基準電圧ノードとの間に配置されるキャパシタを備え、
前記第2ノードは、前記複数の比較器の入力ノードに接続される、
(11)又は(12)に記載の撮像装置。
(14)前記複数の切替器の少なくとも一つは、
第1ノード及び第2ノードを導通させるか遮断させるかを切替制御信号により切り替える第1トランジスタと、
第3ノード及び第4ノードの間にバイアス電圧を出力する電圧源と、
前記第3ノードと基準電圧ノードとの間に直列に接続される第1切替器、第2切替器、及び第3切替器と、
前記第4ノードと前記第1ノードとの間に直列に接続される第4切替器及び第5切替器と、
前記第1切替器及び前記第2切替器の接続ノードと、前記第4切替器及び前記第5切替器の接続ノードとの間に接続される第1キャパシタと、
前記第2ノードと前記基準電圧ノードとの間に接続される第2キャパシタと、を有し、
前記第2切替器及び前記第3切替器の接続ノードから出力される前記切替制御信号は、前記第1トランジスタのゲートに入力され、
前記第1ノード及び前記第2ノードを導通させる際には、前記第1切替器、前記第3切替器、及び前記第4切替器を遮断させるとともに、前記第2切替器及び前記第5切替器を導通させ、
前記第1ノード及び前記第2ノードを遮断させる際には、前記第1切替器、前記第3切替器、及び前記第4切替器を導通させるとともに、前記第2切替器及び前記第5切替器を遮断させる、
(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(15)前記複数の切替器の少なくとも一つは、
第1ノード及び第2ノードを導通させるか遮断させるかを切替制御信号により切り替える第1トランジスタと、
第1基準電圧ノードと第2基準電圧ノードとの間に直列に接続される第1切替器、第2切替器、及び第3切替器と、
前記第2基準電圧ノードと前記第1ノードとの間に直列に接続される第4切替器及び第5切替器と、
前記第1切替器及び前記第2切替器の接続ノードと、前記第4切替器及び前記第5切替器の接続ノードとの間に接続される第1キャパシタと、
前記第2ノードと前記第2基準電圧ノードとの間に接続される第2キャパシタと、を有し、
前記第2切替器及び前記第3切替器の接続ノードから出力される前記切替制御信号は、前記第1トランジスタのゲートに入力され、
前記第1ノード及び前記第2ノードを導通させる際には、前記第1切替器、前記第3切替器、及び前記第4切替器を遮断させるとともに、前記第2切替器及び前記第5切替器を導通させ、
前記第1ノード及び前記第2ノードを遮断させる際には、前記第1切替器、前記第3切替器、及び前記第4切替器を導通させるとともに、前記第2切替器及び前記第5切替器を遮断させる、
(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(16)前記複数の切替器と前記複数の比較器との間に配置され、前記複数の切替器から出力された前記参照信号のインピーダンスを変換する複数のソースフォロワ回路を有する複数のプリアンプを備え、
前記複数のソースフォロワ回路のそれぞれは、
対応する前記切替器から出力された前記参照信号がゲートに入力される第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのドレイン側に接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力するときにオンし、かつ対応する前記切替器が前記参照信号を出力しないときにオフする第1導電型の第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのソース側に接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力するときにオンし、かつ対応する前記切替器が前記参照信号を出力しないときにオフする第2導電型の第3トランジスタと、を備える、
(1)又は(15)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(17)前記複数のソースフォロワ回路のそれぞれは、
電流源として機能する第4トランジスタと、
対応する前記比較器の入力ノードの電圧を調整する第5トランジスタと、を有し、
第1基準電圧ノードと第2基準電圧ノードとの間に、前記第4トランジスタ、前記第3トランジスタ、前記第5トランジスタ、前記第1トランジスタ、及び前記第2トランジスタの順に接続されるか、又は、前記第4トランジスタ、前記第5トランジスタ、前記第3トランジスタ、前記第1トランジスタ、及び前記第2トランジスタの順に接続される、
(16)に記載の撮像装置。
(18)前記複数の切替器と前記複数の比較器との間に配置され、前記複数の切替器から出力された前記参照信号のインピーダンスを変換する複数のソースフォロワ回路を有する複数のプリアンプを備え、
前記複数のソースフォロワ回路のそれぞれは、
対応する前記切替器から出力された前記参照信号がゲートに入力される第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのドレイン側に接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力するときにオンし、かつ対応する前記切替器が前記参照信号を出力しないときにオフする第1導電型の第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのソース側に接続され、電流源として機能する第3トランジスタと、
対応する前記比較器の入力ノードの電圧を調整する第4トランジスタと、
前記第4トランジスタのゲートに接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力する際にオンして前記第4トランジスタをオンさせる第5トランジスタと、
前記第4トランジスタのゲートに接続され、対応する前記切替器が前記参照信号を出力しないときにオンして前記第4トランジスタをオフさせる第6トランジスタと、を備える、
(1)乃至(15)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(19)前記複数のソースフォロワ回路のうち、前記第1トランジスタのソースから前記参照信号を出力しないソースフォロワ回路における前記第1トランジスタのソースにプリチャージ信号を供給するプリチャージ回路をさらに備える、
(16乃至18のいずれか一項に記載の撮像装置。
(20)前記プリチャージ回路は、前記複数のソースフォロワ回路と同じ回路構成を有し、前記複数の比較器が比較動作を開始する際の前記参照信号の基準電圧を前記プリチャージ信号として生成するレプリカ回路をさらに有し、
前記プリチャージ回路は、前記複数のソースフォロワ回路のうち、対応する前記比較器に前記参照信号を入力しないソースフォロワ回路における前記第1トランジスタのソースに、前記レプリカ回路で生成された前記基準電圧を供給する、
(19)に記載の撮像装置。
【0198】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0199】
10 画素、11 画素アレイ部、12 垂直駆動部、13 システム制御部、15 カラム制御部、16 参照信号切替器、16a 第1参照信号切替器、16b 第2参照信号切替器、16c 第3参照信号切替器、17 カラム読出部、18 カラム信号処理部、19 水平駆動部、20 コンパレータ、21 電圧源、22 第1切替器、23 第2切替器、24 第3切替器、25 第4切替器、26 第5切替器、30 カウンタ、31 プリアンプ、32 ソースフォロワ回路、32a 第1ソースフォロワ回路、32b 第2ソースフォロワ回路、33 プリチャージ回路、34 プリチャージ切替器、36 レプリカ回路、39 電流カット切替器、40 ロジック回路、50 周辺回路、60 インタフェース回路、100 光電変換部、101 画素、101 回路部、102 画素、201 初段コンパレータ、202 中段コンパレータ、203 後段コンパレータ
図1
図2
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図4A
図4B
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図10A
図10B
図11
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