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特開2025-65918流体殺菌装置および流体殺菌装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025065918
(43)【公開日】2025-04-22
(54)【発明の名称】流体殺菌装置および流体殺菌装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/32 20230101AFI20250415BHJP
【FI】
C02F1/32
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175452
(22)【出願日】2023-10-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】木内 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 隼人
(72)【発明者】
【氏名】森 肇
(72)【発明者】
【氏名】田坂 勝次
(72)【発明者】
【氏名】岩永 匡紀
【テーマコード(参考)】
4D037
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AB03
4D037BA18
(57)【要約】
【課題】設置スペースの制約が少ない流体殺菌装置を提供する。
【解決手段】流体殺菌装置10は、流路管50の側壁54を貫通する取付口56に挿通され、流路管50の内部52において流路管50の軸方向と交差または直交する方向に延びる光源室16を区画する筐体12と、光源室16に配置され、紫外光18を出力するLED30を備える光源14と、を備える。筐体12は、紫外光18を透過する材料から構成される透光部材20と、透光部材20よりも熱伝導率が高い材料から構成される放熱部材22と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路管の側壁を貫通する取付口に挿通され、前記流路管の内部において前記流路管の軸方向と交差または直交する方向に延びる光源室を区画する筐体と、
前記光源室に配置され、紫外光を出力するLEDを備える光源と、を備え、
前記筐体は、前記紫外光を透過する材料から構成される透光部材と、前記透光部材よりも熱伝導率が高い材料から構成される放熱部材と、を備える、
流体殺菌装置。
【請求項2】
前記透光部材の外面は、前記軸方向に突出する形状を有する、
請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項3】
前記放熱部材の外面は、前記軸方向に突出する形状を有する、
請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項4】
前記放熱部材は、前記軸方向に突出するフィンを有する、
請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記流路管の外部と前記光源室との間を接続する開口部をさらに備える、
請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項6】
前記取付口において、前記筐体を前記流路管に対して固定する固定部材をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項7】
前記流路管の中心軸を挟んだ前記取付口の反対側において、前記筐体を前記流路管に対して固定する固定部材をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項8】
前記流路管の内部において前記軸方向および前記光源室の延在方向の双方に直交する方向に延在し、前記筐体を前記流路管に対して固定する固定部材をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記流路管の前記側壁と溶接される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項10】
前記筐体は、前記流路管の中心軸を挟んだ前記取付口の反対側において、前記流路管の内面から離れている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項11】
前記筐体は、前記流路管の中心軸を挟んだ前記取付口の反対側において、前記流路管の前記側壁を貫通しない、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項12】
前記光源は、前記軸方向に紫外光を照射するように配置される第1LEDと、前記流路管の径方向に紫外光を照射するように配置される第2LEDと、を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項13】
前記流路管をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項14】
流路管の側壁を貫通する取付口を形成する工程と、
紫外光を出力するLEDを備える光源が配置される光源室を区画する筐体であって、前記紫外光を透過する材料から構成される透光部材と、前記透光部材よりも熱伝導率が高い材料から構成される放熱部材とを備える筐体を、前記取付口を通じて前記流路管の内部に挿入する工程と、
前記筐体を前記流路管に対して固定する工程と、を備える、
流体殺菌装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流路内を流れる水などの流体に紫外光を照射し、連続的に流体を殺菌する流体殺菌装置が知られている。例えば、流路の端部に配置される光源を用いて、流体の流れ方向に紫外光を照射する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6080937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紫外光による殺菌処理がなされていない流路に対し、後付けで流体殺菌装置を導入したいというニーズがある。流路を構成する配管の周辺には、十分なスペースの余裕がない場合があり、後付けの流体殺菌装置を設置したり、後付けの流体殺菌装置に流路を迂回させるための配管を追加したりすることが難しい場合がある。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、設置スペースの制約が少ない流体殺菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の流体殺菌装置は、流路管の側壁を貫通する取付口に挿通され、流路管の内部において流路管の軸方向と交差または直交する方向に延びる光源室を区画する筐体と、光源室に配置され、紫外光を出力するLEDを備える光源と、を備える。筐体は、紫外光を透過する材料から構成される透光部材と、透光部材よりも熱伝導率が高い材料から構成される放熱部材と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、流体殺菌装置の製造方法である。この方法は、流路管の側壁を貫通する取付口を形成する工程と、紫外光を出力するLEDを備える光源が配置される光源室を区画する筐体であって、紫外光を透過する材料から構成される透光部材と、透光部材よりも熱伝導率が高い材料から構成される放熱部材とを備える筐体を、取付口を通じて流路管の内部に挿入する工程と、筐体を流路管に対して固定する工程と、を備える。
【0008】
本発明のある態様によれば、設置スペースの制約が少ない流体殺菌装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図2】第1実施形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図3】第1実施形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す外観図である。
図4】第1実施形態に係る溶接部の構成を概略的に示す上面図である。
図5】第2実施形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図6】第3実施形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図7】第4実施形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図8】第5実施形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図9】第6実施形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図10】第6実施形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す背面図である。
図11】第7実施形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図12】第8実施形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図13】第9実施形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図14】第10実施形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の寸法比と一致しない。
【0011】
(第1実施形態)
図1および図2は、第1実施形態に係る流体殺菌装置10の構成を概略的に示す断面図である。流体殺菌装置10は、流路管50の内部52を流れる流体に紫外光18を照射し、流体を殺菌するよう構成される。流体の一例は水であり、この場合、流体殺菌装置10は、流水殺菌装置ということができる。
【0012】
流体殺菌装置10は、筐体12と、光源14とを備える。筐体12は、光源14を収容する光源室16を区画するよう構成される。筐体12は、流路管50の側壁54を貫通する取付口56に挿通される。筐体12は、流路管50の内部52において、流路管50の軸方向と交差または直交する所定方向に延びる。光源14は、光源室16に配置される。光源14は、紫外光18を照射するよう構成される。紫外光18の波長は、例えば、200nm以上320nm以下であり、例えば240nm以上280nm以下である。
【0013】
図面において、流路管50の軸方向をz方向としている。図1および図2の例では、流路管50の内部52において矢印Fで示される流体の流れ方向を+z方向としている。また、流路管50の中心軸から取付口56に向かう方向を+y方向とし、y方向およびz方向に直交する方向をx方向としている。これらの方向は、説明のために便宜的に設定されるものであり、流体殺菌装置10の設置や使用時の方向を何ら限定するものではない。
【0014】
筐体12は、透光部材20と、放熱部材22と、第1キャップ24と、第2キャップ26とを備える。透光部材20および放熱部材22は、光源室16に沿って所定方向(例えばy方向)に延びる部材である。第1キャップ24および第2キャップ26は、透光部材20および放熱部材22の所定方向の両端に設けられる。光源室16は、透光部材20、放熱部材22、第1キャップ24および第2キャップ26によって区画され、これらの部材によって流路管50の内部52を流れる流体に対して密閉される。
【0015】
透光部材20は、紫外光18を透過する材料から構成される。透光部材20は、例えば、石英(SiO)、サファイア(Al)、または非晶性フッ素樹脂などから構成される。透光部材20は、流路管50の内部52を流れる流体に露出する外面20aと、光源室16に露出する内面20bとを有する。透光部材20は、例えば、外面20aから内面20bまでの厚さが一定となるように構成される。透光部材20の外面20aは、軸方向に突出する形状を有し、例えば円筒状の曲面で構成される。透光部材20の外面20aが軸方向に突出することにより、流路管50の内部52の流体の流れを阻害しにくい構造にできる。透光部材20は、第1端部20cと、第2端部20dとを有し、第1端部20cから第2端部20dに向けて所定方向に延びる。
【0016】
放熱部材22は、透光部材20よりも熱伝導率が高い材料から構成される。放熱部材22は、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウムなどの金属材料から構成される。放熱部材22は、流路管50の内部52を流れる流体に露出する外面22aと、光源室16に露出する内面22bとを有する。放熱部材22の外面22aは、軸方向に突出する形状を有し、例えば円筒状の曲面で構成される。放熱部材22の外面22aが軸方向に突出することにより、流路管50の内部52の流体の流れを阻害しにくい構造にできる。放熱部材22の内面22bは、光源14が取り付けられる面であり、例えば平坦面である。放熱部材22は、第1端部22cと、第2端部22dとを有し、第1端部22cから第2端部22dに向けて所定方向に延びる。放熱部材22と透光部材20との間にはガスケットやシールリングなどの封止部材(不図示)を設けることができる。
【0017】
第1キャップ24は、透光部材20および放熱部材22の第1端部20c,22cに設けられる。第2キャップ26は、透光部材20および放熱部材22の第1端部20c,22cとは反対側の第2端部20d,22dに設けられる。第1キャップ24および第2キャップ26は、例えば放熱部材22に対して固定され、透光部材20を挟み込んで固定する。第1キャップ24および第2キャップ26のそれぞれと透光部材20との間にはガスケットやシールリングなどの封止部材(不図示)を設けることができる。第1キャップ24および第2キャップ26は、例えば透光部材20よりも熱伝導率が高い材料から構成され、例えば透光部材20と同様の金属材料から構成される。
【0018】
第1キャップ24は、流路管50の取付口56に挿通され、流路管50に対して固定される。第1キャップ24は、例えば流路管50に溶接される。第1キャップ24は、取付口56の縁の全周にわたって形成される。溶接部40によって流路管50に固定される。第1キャップ24は、流路管50に固定された状態において流路管50の外部に露出する部分を有する。
【0019】
第1キャップ24は、流路管50の外部と光源室16との間を接続する開口部28を有することができる。開口部28は、例えば、流路管50の外部から光源14に電力を供給する電源線34を通すために用いられる。開口部28は、光源14が通過可能となるサイズを有してもよい。この場合、開口部28を通じて光源14をメンテナンスすることができる。開口部28には、開口部28を塞ぐように構成される着脱可能なカバー(不図示)が設けられてもよい。
【0020】
第2キャップ26は、流路管50の中心軸を挟んだ取付口56の反対側において、流路管50の内面58と接触する。第2キャップ26は、例えば流路管50の内面58に突き当たることにより、流路管50に対して固定される。
【0021】
光源14は、LED30と、基板32とを備える。LED30は、紫外光18を出力するよう構成される発光ダイオード(Light Emitting Diode)であり、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を用いた半導体発光素子である。LED30は、基板32上に実装され、軸方向(例えば-z方向)に紫外光18を照射するように配置される。光源14は、基板32に実装される複数のLED30を備えることができる。複数のLED30は、例えば、第1キャップ24から第2キャップ26に向けて所定方向に並べられる。図1に示される例では、光源14は、5個のLED30を備えるが、LED30の個数は特に限られず、4個以下でもよいし、6個以上でもよい。
【0022】
基板32は、第1キャップ24から第2キャップ26に向けて所定方向に延びる。基板32は、放熱部材22の内面22bに沿って配置される。基板32は、放熱部材22の内面22bに接触することにより、LED30の駆動熱を放熱部材22に伝える。基板32は、例えば透光部材20よりも熱伝導率が高い材料から構成され、例えば放熱部材22と同様の金属材料から構成される。基板32の表面は、紫外光18の反射率が高い材料から構成されてもよく、アルミニウムやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から構成されてもよい。
【0023】
つづいて、流体殺菌装置10の製造方法または取付方法について説明する。図3は、流路管50に取り付ける前の流体殺菌装置10の構成を概略的に示す外観図である。図3に示されるように、流体殺菌装置10は、全体として筒状または柱状の形状を有するように構成される。流体殺菌装置10は、流路管50の側壁54を貫通する取付口56に挿入することができる。取付口56は、例えば、第1キャップ24および第2キャップ26の直径以上となる直径を有するように形成することができる。取付口56は、例えば既存の流路管50に対して事後的に形成することができる。
【0024】
次に、流体殺菌装置10の筐体12を流路管50に対して固定する。例えば、筐体12を流路管50に溶接することにより、筐体12を流路管50に固定できる。流路管50の取付口56と流体殺菌装置10の第1キャップ24との間の隙間を溶接し、例えば図4に示されるように取付口56の縁の全周にわたって溶接部40を形成することにより、筐体12を流路管50に固定するとともに、流路管50の取付口56を密閉できる。
【0025】
図1および図2に示される例では、紫外光18の照射方向が矢印Fで示される流体の流れ方向(例えば+z方向)とは反対方向(例えば-z方向)となっている。紫外光18の照射方向は、矢印Fで示される流体の流れ方向(例えば+z方向)と同じ方向(例えば+z方向)であってもよい。流体殺菌装置10は、取付口56に斜めに挿通されてもよく、紫外光18の照射方向が流体の流れ方向に対して傾斜してもよい。
【0026】
本実施形態によれば、流体殺菌装置10が筒状または柱状に構成されるため、流路管50の取付口56に流体殺菌装置10を挿通して固定するだけで、流路管50の内部52を流れる流体を紫外光18を用いて殺菌できる。流体殺菌装置10の大部分が流路管50の内部52に配置されるため、流路管50の周囲に十分なスペースの余裕がない場合であっても流体殺菌装置10を設置できる。また、工場の配管などの既存設備に対し、取付口56を事後的に形成するだけで流体殺菌装置10を事後的に導入できる。
【0027】
本実施形態によれば、流路管50の内部52における流体の流れ方向に沿って紫外光18を照射することができるため、流体に対して紫外光18を効率的に作用させることができ、殺菌性能を向上できる。また、流路管50の内部52に放熱部材22が配置されるため、流路管50の内部52を流れる流体を利用して放熱部材22を冷却することができ、LED30を効率的に冷却できる。
【0028】
本実施形態によれば、筐体12を流路管50の側壁54に溶接することにより、流体殺菌装置10を流路管50に対して固定するとともに、取付口56を密閉することができる。また、筐体12を流路管50の側壁54に溶接することにより、側壁54を利用して放熱部材22を冷却することができ、LED30を効率的に冷却できる。
【0029】
本実施形態によれば、流路管50の中心軸を挟んで取付口56の反対側には貫通口が設けられていない。つまり、流路管50の全体を貫通するように二つの貫通口を設ける必要がないため、流路管50に対する事後的な加工の手間を削減できる。仮に、取付口56と対向する位置に貫通口を設けようとする場合、取付口56に対する貫通口の位置精度が重要となる。つまり、二つの貫通口を筐体12が通過できるように、二つの貫通口の位置精度を高める必要がある。このような位置精度を維持しながら、流路管50に対して事後的な加工することは容易ではない場合がある。本実施形態によれば、一つの取付口56のみを形成すればよいため、二つの貫通口を形成する手間が不要となる。その結果、流体殺菌装置の事後的な設置を容易にでき、ユーザの利便性を向上できる。
【0030】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る流体殺菌装置10Aの構成を概略的に示す断面図である。第2実施形態では、溶接ではなく、固定部材42Aを介して筐体12が流路管50の側壁54に対して固定される点で第1実施形態と相違する。以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0031】
流体殺菌装置10Aは、筐体12Aと、光源14と、固定部材42Aとを備える。筐体12Aは、透光部材20と、放熱部材22と、第1キャップ24Aと、第2キャップ26とを備える。光源14、透光部材20、放熱部材22および第2キャップ26は、上述の第1実施形態と同様に構成されることができる。
【0032】
固定部材42Aは、取付口56の周囲に設けられ、流路管50の側壁54の外側に溶接などによって固定される。固定部材42Aは、ねじやボルトなどの締結部材44を取り付けるための取付孔を有する。
【0033】
第1キャップ24Aは、上述の第1実施形態に係る第1キャップ24と同様に構成されることができるが、フランジ46をさらに備える点で相違する。フランジ46は、締結部材44によって固定部材42Aに固定される。固定部材42Aとフランジ46との間には、ガスケットやシールリングなどの封止部材(不図示)を設けることができる。
【0034】
つづいて、流体殺菌装置10Aの製造方法または取付方法について説明する。まず、流路管50の側壁54に取付口56を形成し、取付口56の周囲に固定部材42Aを取り付ける。次に、取付口56に流体殺菌装置10Aを挿通し、締結部材44を用いて、第1キャップ24Aのフランジ46を固定部材42Aに固定する。
【0035】
本実施形態においても、上述の第1実施形態と同様に構成されることができる。本実施形態によれば、固定部材42Aおよび締結部材44を用いることにより、流体殺菌装置10Aを流路管50に対して着脱可能に固定することができる。これにより、流体殺菌装置10Aの清掃や交換といったメンテナンスを容易にすることができる。
【0036】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態に係る流体殺菌装置10Bの構成を概略的に示す断面図である。第3実施形態では、流路管50の中心軸を挟んで取付口56とは反対側に設けられる固定部材42Bによって筐体12が固定される点で第1実施形態と相違する。以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0037】
流体殺菌装置10Bは、筐体12と、光源14と、固定部材42Bとを備える。筐体12および光源14は、上述の第1実施形態と同様に構成されることができる。固定部材42Bは、流路管50の中心軸を挟んで取付口56とは反対側の位置に設けられ、第2キャップ26と流路管50の内面58との間に設けられる。固定部材42Bは、溶接などによって流路管50の内面58に取り付けられる。固定部材42Bは、ねじやボルトなどの締結部材によって流路管50の側壁54に固定されてもよい。固定部材42Bは、第2キャップ26を受け入れるための凹部48を備える。固定部材42Bは、第2キャップ26と係合し、第2キャップ26の軸方向(例えばz方向)の変位を規制する。
【0038】
本実施形態によれば、第1キャップ24および第2キャップ26の双方の位置で筐体12を固定することができ、流路管50に対して筐体12の両端をしっかりと固定できる。
【0039】
本実施形態は、上述の第2実施形態と組み合わされてもよい。この場合、第2実施形態に係る固定部材42Aは、第1固定部材ということができ、第3実施形態に係る固定部材42Bは、第2固定部材ということができ、流体殺菌装置は、第1固定部材および第2固定部材の双方を備えることができる。
【0040】
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態に係る流体殺菌装置10Cの構成を概略的に示す断面図である。第4実施形態では、流路管50の中心軸を挟んで取付口56とは反対側に設けられる固定部材42Cによって筐体12が固定される点で第1実施形態と相違する。以下、第4実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0041】
流体殺菌装置10Cは、筐体12と、光源14と、固定部材42Cとを備える。筐体12および光源14は、上述の第1実施形態と同様に構成されることができる。固定部材42Cは、流路管50の中心軸を挟んで取付口56とは反対側の位置に設けられる。固定部材42Cは、ねじやボルトなどの締結部材であり、流路管50の外側から取り付けられる。固定部材42Cは、流路管50の側壁54を貫通して筐体12を所定方向(+y方向)に押圧する。固定部材42Cは、第2キャップ26と係合し、第2キャップ26の軸方向(例えばz方向)の変位を規制する。
【0042】
本実施形態によれば、第1キャップ24および第2キャップ26の双方の位置で筐体12を固定することができ、流路管50に対して筐体12の両端をしっかりと固定できる。
【0043】
本実施形態は、上述の第2実施形態と組み合わされてもよい。この場合、第2実施形態に係る固定部材42Aは、第1固定部材ということができ、第4実施形態に係る固定部材42Cは、第2固定部材ということができ、流体殺菌装置は、第1固定部材および第2固定部材の双方を備えることができる。
【0044】
(第5実施形態)
図8は、第5実施形態に係る流体殺菌装置10Dの構成を概略的に示す断面図である。第5実施形態は、流路管50の内部52において筐体12を固定する第1固定部材60および第2固定部材62をさらに備える点で第1実施形態と相違する。以下、第5実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0045】
流体殺菌装置10Dは、筐体12と、光源14と、第1固定部材60と、第2固定部材62とを備える。筐体12および光源14は、上述の第1実施形態と同様に構成されることができる。
【0046】
第1固定部材60は、取付口56の近くに設けられる。第1固定部材60は、放熱部材22の第1端部22cを固定するように構成される。第1固定部材60は、第1取付部分60aと、第1支持部分60bとを備える。第1取付部分60aは、流路管50の内面58に沿って軸方向に延在し、流路管50に対して取り付けられる。第1取付部分60aは、流路管50の側壁54に対して溶接によって固定されてもよいし、ネジやボルトなどの締結部材によって固定されてもよい。第1支持部分60bは、放熱部材22に沿って所定方向に延び、放熱部材22の外面22aと接する。
【0047】
第2固定部材62は、流路管50の中心軸を挟んで取付口56の反対側に設けられる。第2固定部材62は、例えば、流路管50の中心軸を挟んで第1固定部材60の反対側に設けられる。第2固定部材62は、放熱部材22の第2端部22dを固定するように構成される。第2固定部材62は、第2取付部分62aと、第2支持部分62bとを備える。第2取付部分62aは、流路管50の内面58に沿って軸方向に延在し、流路管50に対して取り付けられる。第2取付部分62aは、流路管50の側壁54に対して溶接によって固定されてもよいし、ネジやボルトなどの締結部材によって固定されてもよい。第2支持部分62bは、放熱部材22に沿って所定方向に延び、放熱部材22の外面22aと接触する。
【0048】
第1固定部材60および第2固定部材62は、流体殺菌装置10Dの軸方向(例えばz方向)の変位を規制する。第1固定部材60および第2固定部材62は、流体の流れを阻害しないようにするために、矢印Fで示される流れ方向(+z方向)に向けて内面58からの高さまたは突出量が小さくなるように構成されることができる。
【0049】
本実施形態によれば、第1固定部材60および第2固定部材62をさらに設けることにより、第1キャップ24および第2キャップ26の双方の位置で筐体12を固定することができ、流路管50に対して筐体12の両端をしっかりと固定できる。
【0050】
変形例においては、第1固定部材60および第2固定部材62の一方のみが設けられてもよい。第5実施形態に係る第1固定部材60および第2固定部材62の少なくとも一方は、上述の第2実施形態、第3実施形態または第4実施形態と組み合わされてもよい。
【0051】
(第6実施形態)
図9は、第6実施形態に係る流体殺菌装置10Eの構成を概略的に示す断面図である。図10は、第6実施形態に係る流体殺菌装置10Eの構成を概略的に示す背面図であり、図9に矢印Fで示される流れ方向とは反対方向(-z方向)に見た構成を示す。第6実施形態は、流路管50の内部52において筐体12が延びる方向とは異なる方向に延びる固定部材64をさらに備える点で第5実施形態と相違する。以下、第6実施形態について、第5実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0052】
流体殺菌装置10Eは、筐体12と、光源14と、固定部材64とを備える。筐体12および光源14は、上述の第1実施形態と同様に構成されることができる。
【0053】
固定部材64は、軸方向と直交する方向であって、筐体12が延びる所定方向(例えばy方向)とは異なる方向に延びる。図9および図10に示される例では、固定部材64が筐体12が延びる所定方向(例えばy方向)に直交する方向(例えばx方向)に延びる。固定部材64は、流路管50の側壁54に取り付けられる第1端部64aおよび第2端部64bを有する。第1端部64aおよび第2端部64bは、流路管50の側壁54に対して溶接によって固定されてもよいし、ネジやボルトなどの締結部材によって固定されてもよい。固定部材64は、放熱部材22の外面22aと接触する。
【0054】
図9および図10に示されるように、複数の固定部材64を設けることができる。複数の固定部材64は、筐体12が延びる所定方向(例えばy方向)に並ぶように配置することができる。複数の固定部材64の個数は特に限られず、2個であってもよいし、3個以上であってもよい。
【0055】
本実施形態によれば、固定部材64をさらに設けることにより、第1キャップ24および第2キャップ26から離れた位置で筐体12を固定することができ、流路管50に対して筐体12をしっかりと固定できる。
【0056】
第6実施形態に係る固定部材64は、上述の第2実施形態、第3実施形態または第4実施形態と組み合わされてもよいし、第5実施形態に係る第1固定部材60および第2固定部材62の少なくとも一方と組み合わされてもよい。
【0057】
(第7実施形態)
図11は、第7実施形態に係る流体殺菌装置10Fの構成を概略的に示す断面図である。第7実施形態は、放熱部材22の外面22aにフィン22fが設けられる点で第1実施形態と相違する。以下、第7実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0058】
流体殺菌装置10Eは、筐体12Fと、光源14とを備える。光源14は、上述の第1実施形態と同様に構成されることができる。筐体12Fは、放熱部材22にフィン22fが設けられる点を除いて、上述の第1実施形態と同様に構成されることができる。
【0059】
放熱部材22は、複数のフィン22fを有する。複数のフィン22fは、軸方向に突出するように構成される。複数のフィン22fは、筐体12Fが延びる所定方向(例えばy方向)に並ぶように配置することができる。本実施形態によれば、放熱部材22が複数のフィン22fを有することにより、流体の流れによる冷却性能を向上させることができる。
【0060】
第7実施形態に係るフィン22fは、上述の第2実施形態、第3実施形態または第4実施形態と組み合わされてもよいし、第5実施形態に係る第1固定部材60および第2固定部材62の少なくとも一方と組み合わされてもよいし、第6実施形態に係る固定部材64と組み合わされてもよい。
【0061】
(第8実施形態)
図12は、第8実施形態に係る流体殺菌装置10Gの構成を概略的に示す断面図である。第8実施形態では、筐体12Gが円筒状または円柱状ではなく、角筒状または角柱状である点で上述の第1実施形態と相違する。以下、第8実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0062】
流体殺菌装置10Gは、筐体12Gと、光源14とを備える。光源14は、上述の第1実施形態と同様に構成されることができる。筐体12Gは、透光部材20と、放熱部材22と、第1キャップ24と、第2キャップ26とを備える。筐体12Gは、全体が角筒状または角柱状である点を除いて、上述の第1実施形態と同様に構成されることができる。
【0063】
透光部材20の外面20aは、軸方向に突出する形状を有し、例えば角筒状の平面で構成される。同様に、放熱部材22の外面22aは、軸方向に突出する形状を有し、例えば角筒状の平面で構成される。透光部材20および放熱部材22の外面20a,22aが軸方向に突出することにより、流路管50の内部52の流体の流れを阻害しにくい構造にできる。
【0064】
図12に示される例では、所定方向(例えばy方向)に直交する断面における筐体12Gの外形は、四角形であるが、四角形以外の形状を有してもよく、五角形、六角形、八角形などの任意の多角形状を有してもよい。
【0065】
第8実施形態に係る筐体12Gの形状は、上述の第2実施形態、第3実施形態または第4実施形態と組み合わされてもよいし、第5実施形態に係る第1固定部材60および第2固定部材62の少なくとも一方と組み合わされてもよいし、第6実施形態に係る固定部材64と組み合わされてもよいし、第7実施形態に係るフィン22fと組み合わされてもよい。
【0066】
(第9実施形態)
図13は、第9実施形態に係る流体殺菌装置10Hの構成を概略的に示す断面図である。第9実施形態では、流路管50の内部52に挿入される筐体12の長さL1が流路管50の内径Dよりも小さく、流路管50の内面58と第2キャップ26の間に隙間70が設けられる点で第1実施形態と相違する。以下、第9実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0067】
流体殺菌装置10Hは、筐体12Hと、光源14Hとを備える。筐体12Hおよび光源14Hは、所定方向(例えばy方向)の長さが相対的に小さい点を除いて、上述の第1実施形態と同様に構成されることができる。流路管50の内部52に挿入される筐体12の長さL1は、例えば、流路管50の内径の半分D/2よりも大きく、隙間70の距離L2よりも大きい。流路管50の内部52に挿入される筐体12の長さL1は、流路管50の内径の半分D/2と一致してもよいし、流路管50の内径の半分D/2より小さくてもよい。
【0068】
本実施形態によれば、流路管50の内部52に挿入される筐体12の長さL1が相対的に小さいため、流体の流れを阻害しにくい構成とすることができる。
【0069】
第9実施形態に係る流体殺菌装置10Hは、上述の第2実施形態と組み合わされてもよいし、第5実施形態に係る第1固定部材60と組み合わされてもよいし、第6実施形態に係る固定部材64と組み合わされてもよいし、第7実施形態に係るフィン22fと組み合わされてもよいし、第8実施形態に係る角筒状または角柱状の筐体12Gと組み合わされてもよい。
【0070】
図14は、第10実施形態に係る流体殺菌装置10Jの構成を概略的に示す断面図である。第10実施形態では、筐体12Jが延びる所定方向(例えばy方向)に第2紫外光18bを照射する第2LED30bがさらに設けられる点で、上述の第9実施形態と相違する。以下、第10実施形態について、第9実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0071】
流体殺菌装置10Jは、筐体12Jと、光源14Jとを備える。筐体12Jは、放熱部材22と、第1キャップ24と、第2キャップ26と、第1透光部材36aと、第2透光部材36bとを備える。放熱部材22、第1キャップ24および第2キャップ26は、第1実施形態と同様に構成されることができる。光源14Jは、第1LED30aと、第2LED30bと、基板32とを備える。
【0072】
第1透光部材36aは、上述の実施形態に係る透光部材20と同様に構成されることができる。第1透光部材36aは、第1LED30aから軸方向(例えば-z方向)に照射される第1紫外光18aを透過するように構成される。第2透光部材36bは、第2キャップ26に設けられ、第2LED30bから所定方向(例えば-y方向)に照射される第2紫外光18bを透過するように構成される。
【0073】
第1LED30aは、上述の実施形態に係るLED30と同様に構成されることができ、軸方向(例えば-z方向)に第1紫外光18aを照射するように配置される。光源14Jは、複数の第1LED30aを備えることができ、複数の第1LED30aは、第1キャップ24から第2キャップ26に向けて所定方向に並べられる。
【0074】
第2LED30bは、第1キャップ24から第2キャップ26に向かう所定方向に第2紫外光18bを照射するように配置される。第2LED30bは、流路管50の径方向に第2紫外光18bを照射するよう構成される。第2LED30bは、第2キャップ26と流路管50の内面58との間の隙間70を流れる流体に向けて第2紫外光18bを照射する。光源14Jは、複数の第2LED30bを備えてもよい。
【0075】
本実施形態によれば、第2LED30bを組み合わせることにより、筐体12Jと流路管50の内面58との間の隙間70を流れる流体に対して第2紫外光18bを照射することができ、流体に対する紫外光の作用量を増やして殺菌性能を向上させることができる。
【0076】
第9実施形態に係る流体殺菌装置10Hは、上述の第2実施形態と組み合わされてもよいし、第5実施形態に係る第1固定部材60と組み合わされてもよいし、第6実施形態に係る固定部材64と組み合わされてもよいし、第7実施形態に係るフィン22fと組み合わされてもよいし、第8実施形態に係る角筒状または角柱状の筐体12Gと組み合わされてもよい。
【0077】
上述の実施形態に係る流体殺菌装置10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10Jは、一つの流路管50に対して複数設けられてもよい。複数の流体殺菌装置は、例えば、流路管50の側壁54に設けられる複数の取付口56に挿通されてもよい。複数の取付口56は、例えば流路管50の軸方向に並んで配置され、流路管50の径方向の位置が共通となるように設けられてもよい。複数の取付口56は、例えば流路管50の径方向に並んで配置され、流路管50の軸方向の位置が共通となるように設けられてもよい。複数の取付口56は、流路管50の軸方向および径方向の少なくとも一方の位置が異なるように配置されてもよい。複数の流体殺菌装置を組み合わせて用いることにより、流体に対する紫外光の作用量を増やして殺菌性能を向上させることができる。
【0078】
上述の実施形態に係る流体殺菌装置10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10Jは、流路管50をさらに備えてもよい。例えば、流路管50を備える流体殺菌装置を配管の途中に組み込むことにより、配管を流れる流体に対して紫外光の照射による殺菌機能を提供できる。
【0079】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0080】
以下、本発明のいくつかの態様について説明する。
【0081】
本発明の第1の態様は、流路管の側壁を貫通する取付口に挿通され、前記流路管の内部において前記流路管の軸方向と交差または直交する方向に延びる光源室を区画する筐体と、前記光源室に配置され、紫外光を出力するLEDを備える光源と、を備え、前記筐体は、前記紫外光を透過する材料から構成される透光部材と、前記透光部材よりも熱伝導率が高い材料から構成される放熱部材と、を備える流体殺菌装置である。第1の態様によれば、流体殺菌装置が流路管の内部に配置されるため、流路管の周囲に十分なスペースの余裕がない場合であっても流体殺菌装置を設置できる。また、工場の配管などの既存設備に対し、取付口を事後的に形成して流体殺菌装置を事後的に導入できる。光源を収容する筐体が放熱部材を備えるため、流体の流れを利用してLEDを効率的に冷却できる。
【0082】
本発明の第2の態様は、前記透光部材の外面は、前記軸方向に突出する形状を有する、第1の態様に記載の流体殺菌装置である。第2の態様によれば、流路管の内部の流体の流れを阻害しにくい構造を実現できる。
【0083】
本発明の第3の態様は、前記放熱部材の外面は、前記軸方向に突出する形状を有する、
第1または第2の態様に記載の流体殺菌装置である。第3の態様によれば、流路管の内部の流体の流れを阻害しにくい構造を実現できる。
【0084】
本発明の第4の態様は、前記放熱部材は、前記軸方向に突出するフィンを有する、第1から第3のいずれか一つの態様に記載の流体殺菌装置である。第4の態様によれば、放熱部材がフィンを有することにより、LEDをより効率的に冷却できる。
【0085】
本発明の第5の態様は、前記筐体は、前記流路管の外部と前記光源室との間を接続する開口部をさらに備える、第1から第4のいずれか一つの態様に記載の流体殺菌装置である。第5の態様によれば、開口部を通じて光源室内に配置される光源のメンテナンスの手間を削減できる。
【0086】
本発明の第6の態様は、前記取付口において、前記筐体を前記流路管に対して固定する固定部材をさらに備える、第1から第5のいずれか一つの態様に記載の流体殺菌装置である。第6の態様によれば、取付口に固定部材を設けることにより、流体殺菌装置の設置の手間を削減できる。
【0087】
本発明の第7の態様は、前記流路管の中心軸を挟んだ前記取付口の反対側において、前記筐体を前記流路管に対して固定する固定部材をさらに備える、第1から第6のいずれか一つの態様に記載の流体殺菌装置である。第7の態様によれば、取付口の反対側において筐体を固定することにより、流体の流れに対して筐体をしっかりと固定することができる。
【0088】
本発明の第8の態様は、前記流路管の内部において前記軸方向および前記光源室の延在方向の双方に直交する方向に延在し、前記筐体を前記流路管に対して固定する固定部材をさらに備える、第1から第7のいずれか一つの態様に記載の流体殺菌装置である。第8の態様によれば、筐体が延びる方向と直交する方向に延びる固定部材を用いることにより、流体の流れに対して筐体をしっかりと固定することができる。
【0089】
本発明の第9の態様は、前記筐体は、前記流路管の前記側壁と溶接される、第1から第8のいずれか一つの態様に記載の流体殺菌装置である。筐体を溶接することにより、筐体をしっかりと固定することができる。筐体を溶接することにより、流路管の側壁を放熱部材として用いることができ、LEDをより効率的に冷却できる。
【0090】
本発明の第10の態様は、前記筐体は、前記流路管の中心軸を挟んだ前記取付口の反対側において、前記流路管の内面から離れている、第1から第9のいずれか一つの態様に記載の流体殺菌装置である。第10の態様によれば、筐体と流路管の内面との間に隙間が設けられるため、流路管の内部の流体の流れを阻害しにくい構造を実現できる。
【0091】
本発明の第11の態様は、前記筐体は、前記流路管の中心軸を挟んだ前記取付口の反対側において、前記流路管の前記側壁を貫通しない、第1から第10のいずれか一つの態様に記載の流体殺菌装置である。第11の態様によれば、取付口と対向する位置に貫通口を設ける必要がないため、流路管に対する事後的な加工の手間を削減できる。特に、取付口と対向する位置に貫通口を設ける場合、取付口に対する貫通口の位置精度が重要となるため、位置精度を維持しながら流路管に対して事後的な加工することは容易ではない。第11の態様によれば、このような手間が不要となるため、流体殺菌装置の事後的な設置を容易にでき、ユーザの利便性を向上できる。
【0092】
本発明の第12の態様は、前記光源は、前記軸方向に紫外光を照射するように配置される第1LEDと、前記流路管の径方向に紫外光を照射するように配置される第2LEDと、を備える、第1から第11のいずれか一つの態様に記載の流体殺菌装置である。第12の態様によれば、径方向に紫外光を照射する第2LEDを組み合わせることにより、流路管の内部を流れる流体に対する紫外光の作用量を増やすことができ、殺菌性能を向上できる。
【0093】
本発明の第13の態様は、前記流路管をさらに備える、第1から第12のいずれか一つの態様に記載の流体殺菌装置である。第13の態様によれば、流路管に固定された状態の流体殺菌装置を提供することができる。配管の途中に流路管を接続することにより、配管を流れる流体に対して紫外光の照射による殺菌機能を提供できる。
【0094】
本発明の第14の態様は、流路管の側壁を貫通する取付口を形成する工程と、紫外光を出力するLEDを備える光源が配置される光源室を区画する筐体であって、前記紫外光を透過する材料から構成される透光部材と、前記透光部材よりも熱伝導率が高い材料から構成される放熱部材とを備える筐体を、前記取付口を通じて前記流路管の内部に挿入する工程と、前記筐体を前記流路管に対して固定する工程と、を備える、流体殺菌装置の製造方法である。第14の態様によれば、工場の配管などの既存設備に対し、取付口を事後的に形成して流体殺菌装置を事後的に導入できる。流体殺菌装置が流路管の内部に配置されるため、流路管の周囲に十分なスペースの余裕がない場合であっても流体殺菌装置を設置できる。また、光源を収容する筐体が放熱部材を備えるため、流体の流れを利用してLEDを効率的に冷却できる。
【符号の説明】
【0095】
10…流体殺菌装置、12…筐体、14…光源、16…光源室、18…紫外光、20…透光部材、22…放熱部材、28…開口部、30…LED、50…流路管、52…内部、54…側壁、56…取付口、58…内面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路管の軸方向に延びる側壁を貫通する取付口に挿通され、前記流路管の内部において前記軸方向と交差または直交する方向に延びる光源室を区画する筐体と、
前記光源室に配置され、紫外光を出力するLEDを備える光源と、を備え、
前記筐体は、前記紫外光を透過する材料から構成される透光部材と、前記透光部材よりも熱伝導率が高い材料から構成される放熱部材と、を備える、
流体殺菌装置。
【請求項2】
前記透光部材の外面は、前記軸方向に突出する形状を有する、
請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項3】
前記放熱部材の外面は、前記軸方向に突出する形状を有する、
請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項4】
前記放熱部材は、前記軸方向に突出するフィンを有する、
請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記流路管の外部と前記光源室との間を接続する開口部をさらに備える、
請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項6】
前記取付口において、前記筐体を前記流路管に対して固定する固定部材をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項7】
前記流路管の中心軸を挟んだ前記取付口の反対側において、前記筐体を前記流路管に対して固定する固定部材をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項8】
前記流路管の内部において前記軸方向および前記光源室の延在方向の双方に直交する方向に延在し、前記筐体を前記流路管に対して固定する固定部材をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記流路管の前記側壁と溶接される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項10】
前記筐体は、前記流路管の中心軸を挟んだ前記取付口の反対側において、前記流路管の内面から離れている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項11】
前記筐体は、前記流路管の中心軸を挟んだ前記取付口の反対側において、前記流路管の前記側壁を貫通しない、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項12】
前記光源は、前記軸方向に紫外光を照射するように配置される第1LEDと、前記流路管の径方向に紫外光を照射するように配置される第2LEDと、を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項13】
前記流路管をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項14】
流路管の軸方向に延びる側壁を貫通する取付口を形成する工程と、
紫外光を出力するLEDを備える光源が配置される光源室を区画する筐体であって、前記紫外光を透過する材料から構成される透光部材と、前記透光部材よりも熱伝導率が高い材料から構成される放熱部材とを備える筐体を、前記取付口を通じて前記流路管の内部に挿入する工程と、
前記筐体を前記流路管に対して固定する工程と、を備える、
流体殺菌装置の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路管の軸方向に延びる側壁を貫通する取付口に挿通され、前記流路管の内部において前記軸方向と交差または直交する所定方向に延びる光源室を区画する筐体と、
前記所定方向に延びる基板と、前記基板上に配置され、前記軸方向に紫外光を出力するLEDを備え、前記光源室に配置される光源と、を備え、
前記筐体は、前記紫外光を透過する材料から構成される透光部材と、前記透光部材よりも熱伝導率が高い材料から構成される放熱部材と、を備える、
流体殺菌装置。
【請求項2】
前記透光部材の外面は、前記軸方向に突出する形状を有する、
請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項3】
前記放熱部材の外面は、前記軸方向に突出する形状を有する、
請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項4】
前記放熱部材は、前記軸方向に突出するフィンを有する、
請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記流路管の外部と前記光源室との間を接続する開口部をさらに備える、
請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項6】
前記取付口において、前記筐体を前記流路管に対して固定する固定部材をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項7】
前記流路管の中心軸を挟んだ前記取付口の反対側において、前記筐体を前記流路管に対して固定する固定部材をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項8】
前記流路管の内部において前記軸方向および前記所定方向の双方に直交する方向に延在し、前記筐体を前記流路管に対して固定する固定部材をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記流路管の前記側壁と溶接される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項10】
前記筐体は、前記流路管の中心軸を挟んだ前記取付口の反対側において、前記流路管の内面から離れている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項11】
前記筐体は、前記流路管の中心軸を挟んだ前記取付口の反対側において、前記流路管の前記側壁を貫通しない、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項12】
前記光源は、前記軸方向に紫外光を照射するように配置される第1LEDと、前記流路管の径方向に紫外光を照射するように配置される第2LEDと、を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項13】
前記流路管をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項14】
流路管の軸方向に延びる側壁を貫通する取付口を形成する工程と、
所定方向に延びる基板と、前記基板上に配置され、紫外光を出力するLEDを備える光源が配置される光源室を区画する筐体であって、前記紫外光を透過する材料から構成される透光部材と、前記透光部材よりも熱伝導率が高い材料から構成される放熱部材とを備える筐体を、前記取付口を通じて前記流路管の内部に挿入する工程と、
前記紫外光が前記軸方向に照射されるように前記筐体を前記流路管に対して固定する工程と、を備える、
流体殺菌装置の製造方法。