IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特開-ポンプ付き2重容器 図1
  • 特開-ポンプ付き2重容器 図2
  • 特開-ポンプ付き2重容器 図3
  • 特開-ポンプ付き2重容器 図4
  • 特開-ポンプ付き2重容器 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006607
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ポンプ付き2重容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20250109BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B65D1/02 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107504
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【テーマコード(参考)】
3E014
3E033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC02
3E014PC03
3E014PC07
3E014PC12
3E014PD12
3E014PE11
3E014PF05
3E033AA02
3E033BA13
3E033DA03
3E033DB03
3E033DD03
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】吐出ポンプへの内容器の抱着により吐出ポンプの引抜きが困難になるという不都合を解消する。
【解決手段】2重容器体1の口頸部6へ離脱可能に装着され、当該口頸部6の内側へ挿入されたシリンダ20の下端部に吸込口28の周囲から連結部30を下方へ延設させた吐出ポンプ10と、前記連結部30から前記2重容器体1の底部2側へ延びる脚体46を有するポンプアダプタ40とを具備する。前記脚体46は、前記吐出ポンプ10を前記口頸部6へ装着するときに、前記2重容器体1の底部2へ突き当たることにより、側外方へ膨出した形態へ変形している。また前記口頸部6から前記吐出ポンプ10を外すことで前記脚体46の膨出状態が解消され、脚体46の外面から内容器1bが離れる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部(4)から立設する口頸部(6)を有しており、外殻部である外容器(1a)の内側に負圧化による減容変形が可能な内容器(1b)を配備させてなる2重容器体(1)と、
前記口頸部(6)へ離脱可能に装着され、当該口頸部(6)の内側へ挿入されたシリンダ(20)の下端部に吸込口(28)を、前記口頸部(6)の上方に昇降可能に配置された吐出ヘッド(38)に吐出口(39)をそれぞれ開口するとともに、前記吸込口(28)の周囲から連結部(30)を下方へ延設させた吐出ポンプ(10)と、
前記連結部(30)に連結させており、当該連結部(30)から前記2重容器体(1)の底部(2)側へ延びる脚体(46)を有し、この脚体(46)の内部に前記吸込口(28)への液体導入路(P)を形成したポンプアダプタ(40)と、
を具備しており、
前記脚体(46)は、弾性を有し、前記吐出ポンプ(10)を前記口頸部(6)へ装着するときに前記底部(2)へ突き当たることにより、側外方へ膨出した形態へ変形するように形成されており、
前記2重容器体(1)の内圧の減少により前記内容器(1b)が少なくとも前述の膨出形態の脚体(46)の外面に抱着するとともに、前記口頸部(6)から前記吐出ポンプ(10)を外すことで前記脚体(46)の膨出状態が解消されることにより、前記脚体(46)の外面と前記内容器(1b)とが離れるように構成したことを特徴とする、ポンプ付き2重容器。
【請求項2】
前記脚体(46)は、下方から見て、仮想の周状線(I)に沿って、相互に離して配置された複数の脚支柱(48)からなり、隣接する前記脚支柱(48)同士の間に、前記脚体(46)の外部と前記液体導入路(P)とを連通させる縦長の連通口(U)を形成したことを特徴とする、請求項1に記載のポンプ付き2重容器。
【請求項3】
前記複数の脚支柱(48)の下部同士を相互に結束させる結束手段(B)が形成されたことを特徴とする、請求項2に記載のポンプ付き2重容器。
【請求項4】
前記脚支柱(48)は、縦長の板状部に形成されており、かつ、長手方向全長に亘って側外方へ凸形で弧状の断面形状を有することを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載のポンプ付き2重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ付き2重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
胴部から口頸部を立設する容器体と、口頸部に装着された吐出ポンプとからなり、前記容器体は外層及び内層からなる積層容器体であり、容器体の底部を隆起させるとともに隆起部の内側で外層の間に内層を挟みこんで保持リブを形成したものが知られている(特許文献1)。内層は、内容物の吸上げによる負圧化により、保持リブ及び口頸部で外層への固定箇所を残したまま、胴部において外層から剥離して減容変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-193741
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の容器では、吐出作業により柔軟な内層が吐出ポンプに抱き着く(以下「抱着」という)現象が生じ、内容物を使い切った後の詰め替え作業で吐出ポンプを引き抜く際に、吐出ポンプに抱着した内層が引抜き動作に対する大きな抵抗となるという不都合があり、吐出ポンプの吸上げパイプが抜け落ちてしまうおそれもあった。
【0005】
本発明の目的は、ポンプ付き2重容器において吐出ポンプへの内容器の抱着により吐出ポンプの引抜きが困難になるという不都合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、胴部4から立設する口頸部6を有しており、外殻部である外容器1aの内側に負圧化による減容変形が可能な内容器1bを配備させてなる2重容器体1と、
前記口頸部6へ離脱可能に装着され、当該口頸部6の内側へ挿入されたシリンダ20の下端部に吸込口28を、前記口頸部6の上方に昇降可能に配置された吐出ヘッド38に吐出口39をそれぞれ開口するとともに、前記吸込口28の周囲から連結部30を下方へ延設させた吐出ポンプ10と、
前記連結部30に連結させており、当該連結部30から前記2重容器体1の底部2側へ延びる脚体46を有し、この脚体46の内部に前記吸込口28への液体導入路Pを形成したポンプアダプタ40と、
を具備しており、
前記脚体46は、弾性を有し、前記吐出ポンプ10を前記口頸部6へ装着するときに前記底部2へ突き当たることにより、側外方へ膨出した形態へ変形するように形成されており、
前記2重容器体1の内圧の減少により前記内容器1bが少なくとも前述の膨出形態の脚体46の外面に抱着するとともに、前記口頸部6から前記吐出ポンプ10を外すことで前記脚体46の膨出状態が解消されることにより、前記脚体46の外面と前記内容器1bとが離れるように構成した。
【0007】
本手段では、図1に示す如く、吐出ポンプ10のシリンダ20の下端側と連結させて、2重容器体1の底部2側へ延びる脚体46を具備する。この脚体46は、弾性を有し、吐出ポンプ10を2重容器体1の口頸部6へ装着するときに前記底部2へ突き当たることにより、側外方へ膨出した形態に変形する。そして、内容物を吐出したときには、内圧の減少により、図4に示す如く、内容器1bが少なくとも前述の膨出形態の脚体46の外面に抱着し、口頸部6から吐出ポンプ10を外したときには、図5に示す如く、脚体46の膨出状態が解消され、脚体46の外面と内容器1bとが離れるように構成している。
この構造によれば、2重容器体1の底部2の突き当てにより側外方へ膨出した脚体46の形態が、その口頸部6から吐出ポンプ10を外すことにより解消される。故に前述の膨出形態の脚体46に抱着した内容器1bが、吐出ポンプ10の取り外しにより脚体46から離れ、吐出ポンプ10に引抜きに対する抵抗を低減できる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記脚体46は、下方から見て、仮想の周状線Iに沿って、相互に離して配置された複数の脚支柱48からなり、隣接する前記脚支柱48同士の間に、前記脚体46の外部と前記液体導入路Pとを連通させる縦長の連通口Uを形成した。
【0009】
本手段では、図1に示す如く、前記脚体46を複数の脚支柱48で構成するとともに、図2(B)に示す如く、隣り合う脚支柱48同士の間に連通口Uを形成した。
この構造によれば、連通口Uを介して脚体46の内外の間の液体の移動がスムーズに行われ、吐出ポンプ10を口頸部6から外す際に、脚体46への内容器1bの抱着状態が迅速に解消されるので、吐出ポンプ10を僅かな力で手際よく引き抜くことができる。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記複数の脚支柱48の下部同士を相互に結束させる結束手段Bが形成された。
【0011】
本手段では、図2(A)に示す如く、前記脚体46を構成する複数の脚支柱48の下部同士を相互に結束させる結束手段Bを形成した。
この構造によれば、脚体46が下端側で広がることを防止でき、脚体46の側外方への膨出状態を確実に実現できる。
【0012】
第4の手段は、第2の手段又は第3の手段を有し、かつ前記脚支柱48は、縦長の板状部に形成されており、かつ、長手方向全長に亘って側外方へ凸形で弧状の断面形状を有する。
【0013】
本手段では、前記脚支柱48は、長手方向全長に亘って側外方へ凸形で弧状の断面形状を有する(図2(B)参照)。
この構造によれば、2重容器体1の底部2への突き当てにより、例えば一部の脚支柱48が内方へ不意に折れ曲がるなどの不都合を防止することができ、脚体46の側外方への膨出状態を安定的に実現できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、吐出ポンプへの内容器の抱着により吐出ポンプの引抜きが困難になるという不都合を解消することができ、吐出ポンプの付け替えが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るポンプ付き2重容器の構造(2重容器体に吐出ポンプを締め込み終わった状態の構造)の断面図である。
図2図1に示す容器の主要部材(ポンプアダプタ)を容器に組み込む前の構造を示しており、同図(A)は当該ポンプアダプタの側方から見た図、同図(B)は下面図である。
図3図2の容器の使用前の作用説明図であり、2重容器体に吐出ポンプを締め込む途中の段階を示している。
図4図2の容器の使用後の作用説明図であり、内容物が無くなり、内容器が吐出ポンプ及びポンプアダプタに抱き着いた状態を示している。
図5図4の状態から吐出ポンプを引き抜く工程の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から図5は、本発明の実施形態に係るポンプ付き2重容器を示している。この容器は、2重容器体1と、吐出ポンプ10と、ポンプアダプタ40とで構成されている。これら各部材は、例えば合成樹脂又は金属で形成することができる。
【0017】
2重容器体1は、本実施形態において、図1に示す如く、底部2と連設された胴部4の上端から肩部5を介して口頸部6を立設させている。この口頸部6の外面には、オネジ部8が形成されている。もっとも、これらの構造は適宜変更できる。
前記2重容器体1は、外殻部である外容器1aと、この外容器1aの内側に配備された柔軟な内容器(内袋)1bとからなり、内部の負圧化により内容器1bの減容変形が可能に形成されている。
本実施形態の2重容器体1は、外容器である外層1aの内側に、内容器である内層1bを積層させてなる積層容器(デラミ容器)である。前述の底部2、胴部4、肩部5、及び口頸部6は、それぞれ外層相当部分と内層相当部分とで形成されている。そして、前記内層1bが、内部の負圧化により、口頸部6と底部2の一部(後述の保持リブ3a)を外層1aへの固定部位(剥離不能部位)として、底部2の外周側と胴部4と肩部5とにおいて外層1aから剥離することが可能に形成している。
また外層1aの適所には、外層1a及び内層1bの間に外気を導入するための外気導入孔(図示せず)が形成されている。
もっとも、2重容器体1の構成は、内部の負圧化により、前記内容器1bが減容変形して前述の抱着を生ずる可能性があるものであれば、どういう構造でも構わない。
【0018】
前記底部2は、本実施形態において、その外周部を外部の載置面への接地部2aとするとともに、その中央部を上方へ隆起した隆起部3に形成している。この隆起部の内側には、前後方向に延びる保持リブ3aが形成されている。
この保持リブ3aは、金型のピンチオフ部において、左右方向から外層1aの間に内層1bを挟み込み、接合することにより形成される。図1中、符号jは接合部を表している。これら接合部は、金型のピンチオフ部に付設されたピンを利用して、外層1a及び内層1bの該当部分に穴部を凹設させることにより形成できる。
なお、本明細書においては、説明の都合上、図1の右側を「後」、左側を「前」、紙面に直交する方向を「左右」と称する。
前記保持リブ3aの下端面は、前記接地部2aと面一に形成されている。そして、後述の脚体46を隆起部3に押圧させたときに、その押圧力に対して前記保持リブ3aの剛性で対抗できるように形成している。
【0019】
吐出ポンプ10は、前記口頸部6へ離脱可能に装着された部材であり、当該口頸部6の内側へ挿入されたシリンダ20の下端部に吸込口28を、前記口頸部6の上方に昇降可能に配置された吐出ヘッド38に吐出口39をそれぞれ開口している。そして、吐出ヘッド38の昇降により、2重容器体1内の液体を吸込口28から吸い込み、前記吐出口39から吐出するように構成されている。
吐出ポンプ10の構造の大部分は公知であるため、簡単に説明する。本実施形態の吐出ポンプ10は、図1に示す如く、装着部材12と、シリンダ20と、弁部材32と、抜止め筒33と、作動部材34とで形成されている。
前記装着部材12は、前記口頸部6に着脱自在に装着された部材であり、図示例では、口頸部6の外面に嵌合させた装着筒14の上端から内向きフランジ16を突設させてなる。前記装着筒14の内面には、前記オネジ部8とかみ合うメネジ部15が形成されている。
前記シリンダ20は、その周壁(シリンダ周壁)の上端部に鍔部22を、当該周壁の下端部に環状底板26をそれぞれ周設しており、そして、その鍔部22を、パッキン23を介して前記口頸部6の上端面に載置することで、2重容器体1内に垂設されている。前記鍔部22及びパッキン23は、前記内向きフランジ16と口頸部6との間に挟持されている。
前記環状底板26の内側には、吸込口28が開口されており、また、環状底板26の下面からは、筒状の連結部(連結筒部)30が下方へ延設されている。従来技術では、この連結筒部に対して、吸い上げパイプの上端部を連結していたが、本発明では、吸上げパイプに代えて、後述のポンプアダプタ40の基部42を連結している。
前記弁部材32は、前記シリンダ20の下部内に配置されている。弁部材32は、前記環状底板26の上に配置された弁筒部32aと、弁筒部32aの内側に弾性的に支承された弁板32bとを有する。この弁板32bと前記環状底板26とで第1逆止弁V1が形成されている。
前記抜止め筒33は、後述のピストン37の抜け止め手段であり、前記シリンダ20の周壁から上方へ延設した延長周壁24内に組み付けられている。
前記作動部材34は、本実施形態では、前記シリンダ20の内面へ摺接するピストン37を、ピストンガイド35の周囲に上下動可能に取り付け、このピストンガイド35にステム36の下部を外嵌させ、かつ、ステム36の上端に吐出ヘッド38を付設してなる。図示例では、ピストン37の下端とピストンガイド35との間に第2逆止弁V2が形成されている。ピストンガイド35と弁部材32の適所との間には作動部材34の付勢手段であるコイルスプリングCが介装されている。
前記吐出ヘッド38は、天板38aから小径の取付筒部38bと中径の内周壁38eと大径の外周壁38dとを同心状に垂設するとともに、前記取付筒部38bの上端から前記内周壁38e及び外周壁38dを介してノズル筒38cを前方へ突設してなる。前記取付筒部38bは前記ステム36に嵌合されている。また前記ノズル筒38cの先端に吐出口39を開口している。
【0020】
ポンプアダプタ40は、吐出ポンプ10の連結部30に装着され、前述の内容器1bの抱着を規制するための部材である。
本実施形態において、ポンプアダプタ40は、図2(A)に示す如く、基部42と、この基部42から垂設された中空の脚体46とで形成されている。この脚体46の内部には、前記吸込口28への液体導入路Pが形成されている。
もっとも、ポンプアダプタ40の構造は適宜変更することができる。
【0021】
前記基部42は、前記シリンダ20の連結筒部30へ組み付けるための部位である。図示例では、前記基部42は、円筒形状の連結筒部30の内外面両側に嵌着する内筒部43及び外筒部45の下端側を結合端部44で結合してなる2重筒状に形成されている。もっとも、基部42及び連結筒部30の構造は適宜変更することができる。
【0022】
前記脚体46は、本実施形態において、前記基部の適所(図示例では内筒部43)と連設させた複数(図示例では4本)の脚支柱48で形成されている。
これら脚支柱48は弾性を有し、側外方への屈曲変形が可能に形成されている。図示例の脚支柱48は、長手方向の全長に亘って、図2(B)に示すように、下方から見て、外方へ凸形の弧状(図示例では円弧状)の横断面を有し、全体として樋形状の縦板状部に形成する。これにより、一部の脚支柱48があらぬ方向(例えば内方)へ屈曲することを防止し、側外方への脚体46の膨出状態を安定的に実現できる。これら脚支柱の配置に関しては、さらに後述する。
また、脚体46の長さは、図3に示す、装着筒14を口頸部6に装着する前の状態において、脚支柱48の下端から口頸部6の上端面に対する吐出ポンプ10の当接箇所(図示例ではパッキン23の下面)までの高さH2が、2重容器体1の隆起部3から口頸部6の上端面までの高さH1よりも大きくなるように設計する。
前述の2つの高さH1,H2の高さの差異は、例えば、0.1mm~2mm程度の範囲で適宜選択することができる。
こうすることにより、2重容器体1の口頸部6に吐出ポンプ10を組み付けた状態で、前記基部42から下方へ突設された脚体46の先端(下端)が、前記隆起部3へ突き当たるように設けている。
この突き当てにより、前記複数の脚支柱48が、図1に示すように、側外方へ屈曲変形し、これにより、脚体46の輪郭が全体として中太状(或いは樽状)に膨出する形成されている。
そして、吐出ポンプ10を2重容器体1の内部から引き抜くことにより、図5に示す如く、屈曲した形態から垂直な原形態に復帰し、前記脚体46の輪郭も成形時の原形態(直筒状)に戻るように設ける。これにより、脚体46が内容器1bから離れ、脚体46及び内容器1bの間に間隙Gが形成される。
従って、吐出ポンプ10の引抜きの際に、脚体46が膨出形態から原形態に戻る動作により、吐出作業中にポンプアダプタ40の外面に抱着した内容器1bを、ポンプアダプタ40から分離させることができる。
従来技術のように連結筒部30に吸上げパイプを連結した構造と比較すると、当該吸上げパイプの全長に亘って内容器が抱着し、密着した状態に比べて、吐出ポンプ10を引き抜く際の抵抗は大幅に低減される。また従来技術の吸上げパイプのように、ポンプアダプタ40が連結筒部30から抜け落ちるリスクも回避できる。
【0023】
本実施形態では、前記脚体46は、前記連結筒部30から垂設する円筒状の筒壁Tの周方向に、等角的に、複数の縦長の連通口Uを穿設することにより、これら連通口U同士の間の筒壁部分を前記脚支柱48に形成している。
複数の連通口Uを等角的に配置することにより、脚体46の全周に亘って前記内容器との間隙Gが形成されるように設けている。
なお、本実施形態では、複数の脚支柱48は、下方から見て、図2(B)に示すように、仮想の単一の周状線I(図示例では連結筒部30の円形の輪郭に一致する円周状線)の上に沿って配置されている。しかし、脚体46が側外方へ膨出した状態と原形態(非膨出形態)との間で変形し、それにより、脚体46に抱着した内容器1bを引き離すという作用が達成されるならば、脚支柱48の配置・形状は変更して構わない。
前述の複数の脚支柱は、互いに同一の形状及び強度を有しており、吐出ポンプ10を2重容器体1側へ垂直に下降させたときに、均等に屈曲するように形成されている。
前記連通口Uは、前記脚体46の内側と外側とを連通させる役目を有する。具体的には、吐出作業において、脚体46の外側から内側(液体導入路P)へ入る流入口になる。
また、吐出ポンプ10の引抜き作業において、脚体46が図4に示す膨出形態から図5に示す原形態へ復帰する際に、脚体46の内側から脚体46及び内容器1bの間への液体のスムーズな移動を可能となる。故に脚体46への内容器1bの抱着状態が速やかに解消されるので、吐出ポンプ10の引抜きを手際よく行うことができる。
連通口Uは、図示例では、脚体46の全長に亘るスリッ状に形成されているが、その形状は適宜変更することができる。
【0024】
本実施形態では、前記基部42から突設する複数の脚支柱48の先部(下部)同士を相互に結束させる結束手段Bを設けている。図示例では、前記脚支柱48の先端部を上内方への折り返し片50に形成するとともに、結束手段Bとして、これら折り返し片50を連結する結束リング52を連設している。これにより、脚体46が下端側で広がることを防止している。もっとも、これらの構造は適宜変更することができる。
【0025】
前記構成において、図1の容器を組み立てる際には、まず、図2(A)に示すポンプアダプタ40の基部42を、吐出ポンプ10の連結筒部30に連結する。
そして、そのポンプアダプタ40の脚体46を、2重容器体1の口頸部6内へ挿入し、図3に示す如く、脚体46の先部を2重容器体1の底部2に突き当てる。
この突き当て後に、装着筒14を口頸部6に螺合させる(締め込む)ことにより、吐出ポンプ10及びポンプアダプタ40を更に下降させると、前記脚体46を構成する複数の脚支柱48が側外方へ屈曲する。これにより、前記脚体46の輪郭は側外方へ膨出し、図1に示す状態となる。
図1の容器を使用するときには、従来の容器と同様に、吐出ヘッド38を押し下げればよい。吐出ヘッド38の昇降により、シリンダ20内の液体が吐出口39から外部へ吐出されるとともに、2重容器体1内の液体が連通口Uを通って液体導入路Pに入り、吸込口28を介してシリンダ20内に吸い込まれる。これらの工程において、内容器1bの内部が負圧化するため、内容器1bは、図4に示すように、胴部4及び肩部5において、外容器1aから剥離し、前記膨出形態の脚体46の外面に抱着する。
内容物を使い切り、2重容器体1を詰め替え用の新たな2重容器体に交換するに代えるときには、前記装着筒14を口頸部6から螺脱させ、吐出ポンプ10を2重容器体1から引き抜けばよい。そうすると、図5に示す如く、前記脚体46が側外方への膨出形態から原形態へ復帰し、内容器1bから分離する。これにより、脚体46への内容器1bの抱着状態が解消されるので、吐出ポンプ10を引き抜くための力が大幅に低減される。なお、図5に示す態様では、内容器1bが脚体46の上部から離れていないが、脚体46の長手方向の一部に対して局部的に緩く接触しているだけであるため、吐出ポンプ10の引抜きに対して大きな支障とはならない。
そして、引き抜いた吐出ポンプ10を、予め用意した詰め替え用の新たな2重容器体1に装着して、再び使用することができる。
【0026】
前記構成及び作用によれば、2重容器体1の底部2の突き当てにより側外方へ膨出した脚体46の形態が、口頸部6から吐出ポンプ10を外すことにより原形態に戻り、脚体46の外面へ内容器1bの抱着状態が解消されるので、吐出ポンプ10の引抜きに対する抵抗を小さくすることができる。
脚支柱48同士の間に形成した連通口Uを介して脚体46の内外の間の液体の移動がスムーズになるので、吐出ポンプ10を僅かな力で手際よく取り外すことができる。
前記脚体46を構成する複数の脚支柱48の下部同士を相互に結束させる結束手段Bを形成したから、脚体46が下端側で広がることを防止できる。
前記脚支柱48は、長手方向全長に亘って側外方へ凸形で弧状の断面形状を有するから、脚体46の側外方への膨出状態を安定的に実現できる。
【符号の説明】
【0027】
1…2重容器体(積層容器体)1a…外容器(外層) 1b…内容器(内層)
2…底部 2a…接地部 3…隆起部 3a…保持リブ 4…胴部 5…肩部
6…口頸部 8…オネジ部
10…吐出ポンプ 12…装着部材 14…装着筒 15…メネジ部
16…内向きフランジ 20…シリンダ 22…鍔部 23…パッキン
24…延長筒部 26…環状底板 28…吸込口 30…連結部(連結筒部)
32…弁部材 32a…弁筒部 32b…弁板 33…抜止め筒
34…作動部材 35…ピストンガイド 36…ステム
37…ピストン 38…吐出ヘッド 38a…天板 38b…取付筒部
38c…ノズル筒 38d…外周壁 38e…内周壁 39…吐出口
40…ポンプアダプタ 42…基部 43…内筒部 44…結合端部
45…外筒部 46…脚体 48…脚支柱 50…折り返し片 52…結束リング
B…結束手段 C…コイルスプリング G…間隙 P…液体導入路 I…周状線
j…接合部 T…筒壁 U…連通口 V1…第1逆止弁 V2…第2逆止弁
23-06-07
図1
図2
図3
図4
図5