(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006616
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】工作機械及び工作機械システム
(51)【国際特許分類】
B23Q 7/14 20060101AFI20250109BHJP
B23Q 41/00 20060101ALI20250109BHJP
B23B 15/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B23Q7/14
B23Q41/00 C
B23B15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107517
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】河合 秀貢
【テーマコード(参考)】
3C033
3C042
3C045
【Fターム(参考)】
3C033HH00
3C033JJ00
3C033PP04
3C033PP07
3C033PP16
3C033PP20
3C042RA11
3C042RE06
3C042RE07
3C042RJ11
3C045FB10
(57)【要約】
【課題】物品の搬送は、工場内における工作機械を設置するためのスペースに制約を生じさせることなく、作業者に対する負担を抑えて実施できることが望まれる。
【解決手段】本発明の第1態様は、ワークを加工する工作機械である。工作機械は、物品を搬送するための通路を備える。通路は、ワークを加工するときにワークを搬送するための空間とは異なる位置に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工する工作機械であって、
物品を搬送するための通路を備え、
前記通路は、ワークを加工するときにワークを搬送するための空間とは異なる位置に設けられる、工作機械。
【請求項2】
ワークを所要の位置に搬送するローダー装置を備え、
前記ローダー装置は、水平方向における特定方向にワークを搬送可能であり、
前記通路は、前記特定方向に沿って設けられ、
前記ローダー装置は、前記特定方向に動くことにより、前記通路にて物品を搬送させる、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
作業の工程を数値情報で指令する数値制御装置を備え、
前記数値制御装置は、物品の搬送指令を実行可能であり、
前記ローダー装置は、物品の搬送指令があると、ワークを加工する作業のサイクル内であっても、前記通路にて物品を搬送させるべく動作する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記通路にて搬送する物品は、段取りに要する物品を含み、
前記数値制御装置は、ワークを加工する作業のサイクル内であっても、前記段取りが行われる特定タイミングよりも前に物品を搬送させるべく搬送指令を実行可能であり、
前記ローダー装置は、前記特定タイミングよりも前の期間においてワークを搬送していないときに、前記通路にて物品を搬送させるべく動作する、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記通路にて搬送する物品は、工作機械により加工するワークを含み、
前記数値制御装置は、ワークを加工した後に物品を搬送させるべく搬送指令を実行可能であり、
前記ローダー装置は、ワークを加工した後に搬送させる搬送指令があると、工作機械によりワークを加工させるべく動作し、ワークが加工された後に、前記通路にて物品を搬送させるべく動作する、請求項3に記載の工作機械。
【請求項6】
ワークを加工する複数の工作機械を備える工作機械システムであって、
第1工作機械と、
前記第1工作機械とは別の第2工作機械と、を備え、
前記第1工作機械及び前記第2工作機械は、
物品を搬送するための通路を備え、
前記第1工作機械の前記通路、及び前記第2工作機械の前記通路は、ワークを加工するときにワークを搬送するための空間とは異なる位置に設けられ、
前記第2工作機械の前記通路は、前記第1工作機械の前記通路に連結して設けられる、工作機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械及び工作機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械により加工されるワークや、ワークの加工における段取りに用いられる部品は、様々な手段を用いて搬送される。例えば、ワークは、所定の型にセットされてバケットに収容され、コンベアによって搬送される。段取りに用いられる部品は、バケットに収容され、作業者によって運ばれる。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、数値制御旋盤において、ワーク、及び工具やチャック等の交換部品を、単一の搬送手段によって搬送する段取り方法に関する。特許文献1に記載の技術は、搬送手段の保持装置を交換することによって、種々のワークや交換部品の搬送及び受け渡しが単一の搬送手段によって行われるように作用する。特許文献1に記載の技術は、単一の搬送手段によって種々のワークや交換部品を搬送できるが、搬送する物品の種類に応じて搬送手段の保持装置を交換しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンベアによってバケットを搬送する方法は、バケットを搬送するための搬送装置が必要であり、工場内において工作機械を設置するためのスペースに制約を生じさせる要因となり得る。作業者によってバケットを運ぶ方法は、作業者に対する負担が大きい。
【0006】
物品の搬送は、工場内における工作機械を設置するためのスペースに制約を生じさせることなく、作業者に対する負担を抑えて実施できることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様は、ワークを加工する工作機械である。工作機械は、物品を搬送するための通路を備える。通路は、ワークを加工するときにワークを搬送するための空間とは異なる位置に設けられる。
【0008】
本発明の第2態様は、ワークを加工する複数の工作機械を備える工作機械システムである。工作機械システムは、第1工作機械を備える。工作機械システムは、第1工作機械とは別の第2工作機械を備える。第1工作機械及び第2工作機械は、物品を搬送するための通路を備える。第1工作機械の通路、及び第2工作機械の通路は、ワークを加工するときにワークを搬送するための空間とは異なる位置に設けられる。第2工作機械の通路は、第1工作機械の通路に連結して設けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る工作機械及び工作機械システムは、工場内における工作機械を設置するためのスペースに制約を生じさせることなく、作業者に対する負担を抑えて、物品を搬送できる。
【0010】
工作機械は、ワークを所要の位置に搬送するローダー装置を備えてよい。ローダー装置は、水平方向における特定方向にワークを搬送可能であってよい。通路は、特定方向に沿って設けられてよい。ローダー装置は、特定方向に動くことにより、通路にて物品を搬送させてよい。この態様に係る工作機械は、通路にて物品を搬送するための駆動源を別途設けることなく、ワークを所要の位置に搬送するローダー装置の動きを利用して物品を搬送できる。
【0011】
工作機械は、作業の工程を数値情報で指令する数値制御装置を備えてよい。数値制御装置は、物品の搬送指令を実行可能であってよい。ローダー装置は、物品の搬送指令があると、ワークを加工する作業のサイクル内であっても、通路にて物品を搬送させるべく動作してよい。この態様に係る工作機械は、ワークを加工する作業のサイクル内であっても、ワークを搬送していない適切なタイミングに物品を搬送できる。
【0012】
通路にて搬送する物品は、段取りに要する物品を含んでよい。数値制御装置は、ワークを加工する作業のサイクル内であっても、段取りが行われる特定タイミングよりも前に物品を搬送させるべく搬送指令を実行可能であってよい。ローダー装置は、特定タイミングよりも前の期間においてワークを搬送していないときに、通路にて物品を搬送させるべく動作してよい。この態様に係る工作機械は、ワークを加工する作業のサイクル内であっても、段取りが行われる特定タイミングよりも前に物品を搬送できる。
【0013】
通路にて搬送する物品は、工作機械により加工するワークを含んでよい。数値制御装置は、ワークを加工した後に物品を搬送させるべく搬送指令を実行可能であってよい。ローダー装置は、ワークを加工した後に搬送させる搬送指令があると、工作機械によりワークを加工させるべく動作し、ワークが加工された後に、通路にて物品を搬送させるべく動作してよい。この態様に係る工作機械は、工作機械により加工したワークを通路にて搬送できる。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションは、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】旋盤100の構成の一例を示す平面図である。
【
図3】旋盤100の構成の一例を示す側面図である。
【
図4】バケットB1を搬送する方法の一例を示す図である。
【
図5】バケットB1を搬送する方法の一例を示す図である。
【
図6】バケットB1を搬送する方法の一例を示す図である。
【
図7】ローダー装置120の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】ローダー装置120の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】工作機械システム200の構成の一例を示す図である。
【
図10】旋盤100の構成の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせは、全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、旋盤100の構成の一例を示す図である。旋盤100は、ワークを回転させ、主としてバイト等の工具T1を使用して、切削加工を行う工作機械である。旋盤100は、工作機械の一例である。切削加工は、加工の一例である。
【0018】
旋盤100は、平行に設けられた2つの主軸MSを備える。旋盤100は、タレットヘッドTHに多数の工具T1を取り付け、タレットヘッドTHを割り出して切削する。また、旋盤100は、反転装置IDによってワークを反転させることができる。旋盤100は、数値制御装置110、ローダー装置120及び通路130を備える。
【0019】
数値制御装置110は、NC(Numerical Control)プログラムを解析して、旋盤100を操作するための装置である。数値制御装置110は、NCプログラムを解析して、旋盤100を操作するために、ワークに対する工具経路、加工に必要な作業の工程等を、数値と符号とで構成した数値情報で指令する。
【0020】
ローダー装置120は、ワークを自動的に所要の位置に搬送する装置である。主軸MSにワークを搬送する場合、ローダー装置120は、主軸MSにワークを自動的に取り付ける。主軸MS取り付けられているワークを搬送する場合、ローダー装置120は、主軸MSからワークを自動的に取り外す。反転装置IDにワークを搬送する場合、ローダー装置120は、反転装置IDにワークを自動的に取り付ける。反転装置IDに取り付けられているワークを搬送する場合、ローダー装置120は、反転装置IDからワークを自動的に取り外す。ローダー装置120は、ローダーチャックユニット121、ローダーヘッド122、昇降ロッド123、Zスライダー124及びXスライダー125を備える。
【0021】
ローダーチャックユニット121は、ワークを搬送するときにワークをつかむ装置である。ローダーチャックユニット121は、ローダーヘッド122に取り付けられている。ローダーヘッド122は、昇降ロッド123に固定されている。
【0022】
昇降ロッド123は、ローダーチャックユニット121が取り付けられたローダーヘッド122をY方向に往復動させる棒状の部材である。昇降ロッド123は、Y方向に往復動可能に、Zスライダー124に設けられている。ローダー装置120は、ローダーチャックユニット121がワークをつかんだ状態で、昇降ロッド123が往復動することにより、ワークをY方向に搬送する。
【0023】
Zスライダー124は、ローダーヘッド122等を取り付けた昇降ロッド123を、Z方向に往復動させる装置である。Zスライダー124は、Z方向に往復動可能に、Xスライダー125の上部に設けられている。ローダー装置120は、ローダーチャックユニット121がワークをつかんだ状態で、Zスライダー124が往復動することにより、ワークをZ方向に搬送する。
【0024】
Xスライダー125は、昇降ロッド123等を取り付けたZスライダー124を、X方向に往復動させる装置である。Xスライダー125は、X方向に往復動可能に、XガイドXGの上部に設けられている。XガイドXGは、X方向に延びて設けられ、Xスライダー125をX方向に往復動可能に案内するための部材である。ローダー装置120は、ローダーチャックユニット121がワークをつかんだ状態で、Xスライダー125が往復動することにより、ワークをX方向に搬送する。X方向は、水平方向における特定方向の一例である。
【0025】
通路130は、バケットB1を搬送するための通り道である。バケットB1は、工作機械により加工されるワークや、ワークの加工における段取りに用いられる部品を収容する容器である。ワークの加工における段取りは、工具T1やワークの取り付け、ワーク座標系原点や各種補正の設定、プログラムの転送等を行うことである。段取りに用いられる部品は、工作機械に取り付ける工具T1等である。バケットB1は、物品の一例である。
【0026】
図2は、旋盤100の構成の一例を示す平面図である。
図3は、旋盤100の構成の一例を示す側面図である。
図2及び
図3は、通路130の位置について分かり易く説明することを目的として、ローダー装置120が図示されていない。
【0027】
通路130は、搬送空間TSとは異なる位置に設けられる。搬送空間TSは、ワークを加工するときにワークを搬送するためのである。例えば、搬送空間TSは、ローダー装置120が主軸MSにワークを搬送するときの搬送経路となり得る空間である。例えば、搬送空間TSは、ローダー装置120が主軸MSに取り付けられているワークを取り外して搬送するときの搬送経路となり得る空間である。例えば、搬送空間TSは、ローダー装置120が反転装置IDにワークを搬送するときの搬送経路となり得る空間である。例えば、搬送空間TSは、ローダー装置120が反転装置IDに取り付けられているワークを取り外して搬送するときの搬送経路となり得る空間である。
図1に示す通路130は、主軸MS及びタレットヘッドTHよりも上方の位置であって、反転装置IDよりも背面側の位置に、X方向に沿って設けられる。
【0028】
通路130は、ガイド131とカバー132とに囲まれた空間である。ガイド131及びカバー132は、X方向に沿って設けられる。ガイド131は、通路130にてバケットB1を搬送するときに、バケットB1を案内する板状の部材である。ガイド131は、通路130の底面を形成する。カバー132は、通路130を覆う部材である。カバー132は、通路130の側面及び天面を形成する。カバー132は、正面側の側面にスリットS1を有する。スリットS1は、X方向に沿って設けられる。
【0029】
バケットB1は、スライダー133に載置されて搬送される。スライダー133は、バケットB1を搬送するときに、バケットB1を載置するための板状の部材である。スライダー133は、X方向に往復動可能に、ガイド131の上部に設けられている。スライダー133は、突出片PP及び把手H1を備える。
【0030】
突出片PPは、正面側の側部から正面側に突出する部材である。突出片PPは、カバー132のスリットS1を介して、通路130からカバー132の外側に突出して設けられる。突出片PPのZ方向の長さは、平面視において、反転装置IDのチャックよりも突出片PPの端部が旋盤100の正面側に位置するように設定される。把手H1は、カバー132の外側において、突出片PPの上部に設けられる。把手H1は、突出片PPから上方に向けて延びる。突出片PPの上部における把手H1の位置は、側面視において、反転装置IDのチャックよりも把手H1が旋盤100の正面側に位置するように設定される。
【0031】
図4から
図6は、バケットB1を搬送する方法の一例を示す図である。
図4から
図6は、正面視において、通路130の左側から右側へバケットB1を搬送する様子を示す。
【0032】
通路130にて搬送される前のバケットB1は、例えば、
図1に示すように、旋盤100の傍らに設けられた搬入台CPに載置される。バケットB1は、通路130にて搬送されるにあたり、例えば、作業者により、スライダー133に載置される。
【0033】
数値制御装置110は、バケットB1の搬送指令を実行可能である。数値制御装置110によるバケットB1の搬送指令があると、ローダー装置120は、通路130にてバケットB1を搬送させるべく動作する。まず、ローダー装置120は、ローダーチャックユニット121によりスライダー133の把手H1をつかむことが可能な位置に移動する。そして、ローダー装置120は、
図4に示すように、ローダーチャックユニット121によりスライダー133の把手H1をつかむ。そして、ローダー装置120は、ローダーチャックユニット121によりスライダー133の把手H1をつかんだまま、
図5及び
図6に示すように、X方向に移動する。ローダーチャックユニット121がスライダー133の把手H1をつかんだままローダー装置120がX方向に移動することにより、スライダー133は、通路130をX方向に移動する。スライダー133が通路130をX方向に移動することにより、スライダー133に載置されたバケットB1は、通路130にて搬送される。
【0034】
図7は、ローダー装置120の動作の一例を示すフローチャートである。
図7に示す動作は、ワークを加工する作業のサイクル内に、バケットB1の搬送指令があったときの、ローダー装置120の動作の一例である。ローダー装置120は、数値制御装置110の指令に従って動作する。
【0035】
段取りに用いられる部品を搬送する場合、数値制御装置110は、ワークを加工する作業のサイクル内であっても、段取りが行われる特定タイミングよりも前に物品を搬送させるべく搬送指令を実行する。
【0036】
段取りのタイミングがない場合(S101:NO)、ローダー装置120は、ワークを加工する作業のサイクルを継続する(S102→S102;NO→・・・)。ワークを加工する作業のサイクルが終了すると(S102:YES)、ローダー装置120は、バケットB1を搬送させるべく動作する(S103)。ローダー装置120は、バケットB1の搬送が完了するまでバケットB1を搬送させるべく動作する(S103→S104:NO→・・・)。バケットB1の搬送が完了すると(S104;YES)、中断したサイクルはないため(S105;NO)、ローダー装置120は、
図7に示す動作を終了する。
【0037】
段取りのタイミングがある場合(S101;YES)、サイクル終了後に対応しても段取りに間に合うのであれば(S106;YES)、ローダー装置120は、サイクルを継続する(S102→S102;NO・・・)。ワークを加工する作業のサイクルが終了すると(S102:YES)、ローダー装置120は、バケットB1を搬送させるべく動作する(S103)。ローダー装置120は、バケットB1の搬送が完了するまでバケットB1を搬送させるべく動作する(S103→S104:NO→・・・)。バケットB1の搬送が完了すると(S104;YES)、中断したサイクルはないため(S105;NO)、ローダー装置120は、
図7に示す動作を終了する。
【0038】
サイクル終了後に対応すると段取りに間に合わない場合(S106;NO)、ワークの搬送中でなければ(S107;NO)、ローダー装置120は、サイクルを中断する(S109)。そして、ローダー装置120は、バケットB1を搬送させるべく動作する(S103)。ローダー装置120は、バケットB1の搬送が完了するまでバケットB1を搬送させるべく動作する(S103→S104:NO→・・・)。バケットB1の搬送が完了すると(S104;YES)、中断したサイクルがあるため(S105;YES)、ローダー装置120は、中断したサイクルを再開し(S110)、
図7に示す動作を終了する。
【0039】
サイクル終了後に対応すると段取りに間に合わない場合(S106;NO)、ワークの搬送中であれば(S107;YES)、ローダー装置120は、ワークの搬送を継続する(S108→S108;NO・・・)。ワークの搬送が完了すると(S108;YES)、ローダー装置120は、サイクルを中断する(S109)。そして、ローダー装置120は、バケットB1を搬送させるべく動作する(S103)。ローダー装置120は、バケットB1の搬送が完了するまでバケットB1を搬送させるべく動作する(S103→S104:NO→・・・)。バケットB1の搬送が完了すると(S104;YES)、中断したサイクルがあるため(S105;YES)、ローダー装置120は、中断したサイクルを再開し(S110)、
図7に示す動作を終了する。
【0040】
図8は、ローダー装置120の動作の一例を示すフローチャートである。
図8に示す動作は、通路130にて搬送するワークを、旋盤100により事前に加工するときの、ローダー装置120の動作の一例である。ローダー装置120は、数値制御装置110の指令に従って動作する。
【0041】
通路130にて搬送するワークを、旋盤100により事前に加工する場合、数値制御装置110は、ワークを加工した後にバケットB1を搬送させるべく搬送指令を実行する。
【0042】
ワークを加工した後にバケットB1を搬送させる搬送指令があると、ローダー装置120は、バケットB1に収容されたワークを取り出し(S201)、ワークを加工する作業のサイクルの動作を実行する(S202)。ローダー装置120は、ワークの加工が完了するまで、ワークを加工する作業のサイクルの動作を実行する(S202→S203;NO→・・・)。
【0043】
ワークの加工が完了すると(S203;YES)、ローダー装置120は、加工されたワークをバケットB1に戻し(S204)、バケットB1を搬送させるべく動作する(S205)。ローダー装置120は、バケットB1の搬送が完了するまでバケットB1を搬送させるべく動作する(S205→S206:NO→・・・)。バケットB1の搬送が完了すると(S206;YES)、ローダー装置120は、
図8に示す動作を終了する。
【0044】
以上、旋盤100は、ワークを加工する。旋盤100は、バケットB1を搬送するための通路130を備える。通路130は、搬送空間TSとは異なる位置に設けられる。この実施形態に係る旋盤100は、工場内における旋盤100を設置するためのスペースに制約を生じさせることなく、作業者に対する負担を抑えて、バケットB1を搬送できる。
【0045】
旋盤100は、ワークを所要の位置に搬送するローダー装置120を備える。ローダー装置120は、X方向にワークを搬送可能である。通路130は、X方向に沿って設けられる。ローダー装置120は、X方向に動くことにより、通路130にてバケットB1を搬送させる。この実施形態に係る旋盤100は、通路130にてバケットB1を搬送するための駆動源を別途設けることなく、ワークを所要の位置に搬送するローダー装置120の動きを利用してバケットB1を搬送できる。
【0046】
旋盤100は、作業の工程を数値情報で指令する数値制御装置110を備える。数値制御装置110は、バケットB1の搬送指令を実行可能である。ローダー装置120は、バケットB1の搬送指令があると、ワークを加工する作業のサイクル内であっても、通路130にてバケットB1を搬送させるべく動作する。この実施形態に係る旋盤100は、ワークを加工する作業のサイクル内であっても、ワークを搬送していない適切なタイミングに物品を搬送できる。
【0047】
通路130にて搬送するバケットB1は、段取りに要する部品を収容することがある。数値制御装置110は、ワークを加工する作業のサイクル内であっても、段取りが行われる特定タイミングよりも前にバケットB1を搬送させるべく搬送指令を実行可能である。ローダー装置120は、特定タイミングよりも前の期間においてワークを搬送していないときに、通路130にてバケットB1を搬送させるべく動作する。この実施形態に係る旋盤100は、ワークを加工する作業のサイクル内であっても、段取りが行われる特定タイミングよりも前にバケットB1を搬送できる。
【0048】
通路130にて搬送するバケットB1は、旋盤100により加工するワークを収容することがある。数値制御装置110は、ワークを加工した後にバケットB1を搬送させるべく搬送指令を実行可能である。ローダー装置120は、ワークを加工した後に搬送させる搬送指令があると、旋盤100によりワークを加工させるべく動作し、ワークが加工された後に、通路130にてバケットB1を搬送させるべく動作する。この実施形態に係る旋盤100は、旋盤100により加工したワークを通路130にて搬送できる。
【0049】
図9は、工作機械システム200の構成の一例を示す図である。工作機械システム200は、第1旋盤100A及び第2旋盤100Bを備えるシステムである。第1旋盤100A及び第2旋盤100Bは、ワークを加工する工作機械である。第1旋盤100A及び第2旋盤100Bは、
図1から
図6に示す旋盤100と同様の構成である。第1旋盤100Aのローダー装置120、及び第2旋盤100Bのローダー装置120は、
図7及び
図8に示す旋盤100のローダー装置120と同様の動作を実行可能である。第1旋盤100Aは、第1工作機械の一例である。第2旋盤100Bは、第2工作機械の一例である。
【0050】
第1旋盤100A及び第2旋盤100Bは、
図1に示す旋盤100と同様、通路130を備える。第2旋盤100Bの通路130は、第1旋盤100Aの通路130に連結して設けられる。例えば、第2旋盤100Bにおける通路130のガイド131は、第1旋盤100Aにおける通路130のガイド131に対して、互いの上面が同一平面上にあり、平滑となるように連結される。例えば、第2旋盤100Bにおける通路130のカバー132は、第1旋盤100Aにおける通路130のカバー132に対して、互いのスリットS1が正面視においてズレないように連結される。
【0051】
数値制御装置110によるバケットB1の搬送指令があると、第1旋盤100Aのローダー装置120は、ローダーチャックユニット121によりスライダー133の把手H1をつかみ、+X方向に移動する。例えば、第1旋盤100Aのローダー装置120は、第2旋盤100Bのローダー装置120がスライダー133の把手H1をつかめる位置までスライダー133を移動させる。第1旋盤100Aのローダー装置120が+X方向に移動することにより、スライダー133は、第1旋盤100Aの通路130を+X方向に移動する。第1旋盤100Aのローダー装置120は、スライダー133を移動させると、第2旋盤100Bのローダー装置120の動作に干渉しない位置まで退避する。
【0052】
第1旋盤100Aのローダー装置120が退避すると、第2旋盤100Bのローダー装置120は、ローダーチャックユニット121によりスライダー133の把手H1をつかみ、+X方向に移動する。第2旋盤100Bのローダー装置120が+X方向に移動することにより、スライダー133は、第2旋盤100Bの通路130を+X方向に移動する。第1旋盤100Aの通路130と第2旋盤100Bの通路130とをスライダー133が+X方向に移動することにより、バケットB1は、第1旋盤100A及び第2旋盤100Bを横断するように搬送される。
【0053】
以上、工作機械システム200は、ワークを加工する複数の旋盤100を備える。工作機械システム200は、第1旋盤100Aを備える。工作機械システム200は、第1旋盤100Aとは別の第2旋盤100Bを備える。第1旋盤100A及び第2旋盤100Bは、バケットB1を搬送するための通路130を備える。第1旋盤100Aの通路130、及び第2旋盤100Bの通路130は、搬送空間TSとは異なる位置に設けられる。第2旋盤100Bの通路130は、第1旋盤100Aの通路130に連結して設けられる。この実施形態に係る工作機械システム200は、工場内における第1旋盤100A及び第2旋盤100Bを設置するためのスペースに制約を生じさせることなく、作業者に対する負担を抑えて、バケットB1を搬送できる。
【0054】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能であることは、当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0055】
図10は、旋盤100の構成の他の例を示す図である。
図10に示す旋盤100は、
図1に示す旋盤100とは通路130の構成が異なる。
図10に示す旋盤100は、通路130以外の構成については、
図1に示す旋盤100と同様の構成を備える。通路130は、搬送空間TSとは異なる位置に設けられていればよく、
図1に示す実施形態に限らない。例えば、
図10に示すように、中空のXガイドXGを
図1に示すカバー132として代用し、XガイドXG内にガイド131を設け、通路130は、ガイド131とXガイドXGとに囲まれた空間であってよい。ガイド131とXガイドXGとに囲まれた空間を通路130とする場合、XガイドXGは、正面側の側面にスリットS1を有していればよい。
【0056】
上記実施形態は、工作機械の一例として旋盤100を示している。しかし、工作機械は、物品を搬送するための通路130を備え、搬送空間TSとは異なる位置に通路130が設けられていればよく、旋盤100に限らない。例えば、工作機械は、ボール盤、フライス盤、研削盤、多軸制御工作機械、複合工作機械、表面仕上げ機械、歯切り盤、歯車仕上げ盤、平削り盤、立て削り盤、形削り盤、ブローチ盤、切断機であってよい。また、例えば、工作機械は、特殊加工機械、専用工作機械、その他の工作機械であってよい。
【0057】
上記実施形態は、物品の一例としてバケットB1を示している。しかし、物品は、通路130にて搬送されるものであればよく、バケットB1に限らない。例えば、物品は、工作機械により加工されるワークや、ワークの加工における段取りに用いられる部品であってよい。
【0058】
上記実施形態において、搬入台CPは、バケットB1を載置する載置部が昇降可能であってよい。例えば、ローダー装置120は、載置部をつかんで昇降させてよい。ローダー装置120が載置部をつかんで昇降させる場合、載置部の上面がスライダー133の上面と同じ高さになったときに、載置部が動かないようにロックされればよい。載置部の上面がスライダー133の上面と同じ高さになったとき、ローダー装置120は、バケットB1を載置部からスライダー133に移し換えるべく、バケットB1を押すように動作すればよい。
【0059】
上記実施形態において、バケットB1は、ローダー装置120がX方向に動くことにより、通路130にて搬送される。しかし、バケットB1は、他の方法により、通路130にて搬送されてよい。例えば、通路130は、ガイド131及びスライダー133に代えて、コンベヤーを備えてよい。通路130がコンベヤーを備える場合、バケットB1は、コンベヤーが動作することにより、通路130にて搬送されればよい。
【0060】
上記実施形態において、段取りのタイミングがない場合、ローダー装置120は、ワークを加工する作業のサイクルを継続し、サイクルが終了すると、バケットB1を搬送させるべく動作する。しかし、段取りのタイミングがない場合、ローダー装置120は、ワークを加工する作業のサイクルを中断し、バケットB1を搬送させるべく動作してよい。例えば、ローダー装置120は、ワークを搬送していないときに、サイクルを中断すればよい。
【0061】
上記実施形態において、ワークを加工する作業のサイクル終了後に対応しても段取りに間に合うのであれば、ローダー装置120は、サイクルを継続し、サイクルが終了すると、バケットB1を搬送させるべく動作する。しかし、ワークを加工する作業のサイクル終了後に対応しても段取りに間に合う場合であっても、ローダー装置120は、ワークを加工する作業のサイクルを中断し、バケットB1を搬送させるべく動作してよい。例えば、ローダー装置120は、ワークを搬送していないときに、サイクルを中断すればよい。
【0062】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システムにおける動作、手順、ステップ及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示していない。また、各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現し得ることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0063】
100 旋盤
100A 第1旋盤
100B 第2旋盤
110 数値制御装置
120 ローダー装置
121 ローダーチャックユニット
122 ローダーヘッド
123 昇降ロッド
124 Zスライダー
125 Xスライダー
130 通路
131 ガイド
132 カバー
133 スライダー
200 工作機械システム
B1 バケット
CP 搬入台
H1 把手
ID 反転装置
MS 主軸
PP 突出片
S1 スリット
T1 工具
TH タレットヘッド
TS 搬送空間
XG Xガイド