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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006619
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/45 20220101AFI20250109BHJP
   F24H 15/464 20220101ALI20250109BHJP
   F24H 15/457 20220101ALI20250109BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20250109BHJP
   F24H 15/479 20220101ALI20250109BHJP
【FI】
F24H15/45 101
F24H15/464
F24H15/457
H04Q9/00 301D
F24H15/479
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107523
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】井上 晴喜
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 遥
(72)【発明者】
【氏名】輿水 連太郎
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048BA14
5K048FC01
5K048GC00
(57)【要約】
【課題】給湯器およびリモートコントローラにそれぞれ記憶されている設定情報をより確実に同期させることが可能な給湯装置を提供する。
【解決手段】給湯装置10は、給湯器11と、給湯器11の動作に関する設定情報を入力可能な浴室リモコン12および台所リモコン13と、を備える、給湯器11は、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信するための通信部115と、制御部111と、設定情報を記憶する記憶部112と、を備える。給湯器11の制御部111は、自身に対するファームウェアの更新後に、給湯器11の記憶部112に記憶されている設定情報を浴室リモコン12および台所リモコン13に送信し、浴室リモコン12および台所リモコン13の制御部123、133は、受信した設定情報を記憶部124、134に更新記憶させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器と、
前記給湯器の動作に関する設定情報を入力可能なリモートコントローラと、を備え、
前記給湯器は、
前記リモートコントローラと通信するための通信部と、
給湯器用制御部と、
前記設定情報を記憶する給湯器用記憶部と、を備え、
前記リモートコントローラは、
前記給湯器の前記通信部と通信するための通信部と、
リモートコントローラ用制御部と、
前記設定情報を記憶するリモートコントローラ用記憶部と、を備え、
前記給湯用制御部は、自身に対するファームウェアの更新後に、前記給湯器用記憶部に記憶されている前記設定情報を前記リモートコントローラに送信し、前記リモートコントローラ用制御部は、受信した前記設定情報を前記リモートコントローラ用記憶部に更新記憶させる、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯装置において、
前記リモートコントローラ用制御部は、自身のリセットを行うと、前記給湯器用記憶部に記憶されている前記設定情報の送信要求を前記給湯器用制御部に送信する機能を備え、
前記給湯器用制御部は、自身に対するファームウェアの更新後に、前記リモートコントローラ用制御部をリセットさせるためのリセット指令を前記リモートコントローラ用制御部に送信する、
ことを特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器およびリモートコントローラを備える給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器およびリモートコントローラを備えた給湯装置が知られている。この種の給湯装置では、給湯器の制御ソフトウエアであるファームウェアが、随時、最新のものに更新されて給湯器に適用される。
【0003】
以下の特許文献1には、ファームウェアの更新を漏れなく行うことが可能な給湯装置が記載されている。この給湯装置では、給湯装置がサーバに通信可能に接続されている場合は、サーバから第1通信部を通じてダウンロードされた更新ファームウェアによりファームウェアの更新が行われる。また、給湯装置がサーバに通信可能に接続されてない場合には、サービスマン等が、端末装置を第2通信部に通信可能に接続することによって、端末装置から第2通信部を通じてダウンロードされた更新ファームウェアによりファームウェアの更新が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-097297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
給湯装置では、リモートコントローラを介して給湯温度等が設定される。給湯装置がふろ機能を有する場合は、さらに、ふろ温度、ふろ水位および浴槽内の湯水の保温時間等がリモートコントローラを介して設定される。これらの設定情報は、給湯器とリモートコントローラとで共有される。すなわち、これらの設定情報は、入力に応じてリモートコントローラの記憶部に記憶されるとともに、給湯器に転送され、給湯器の記憶部に記憶される。また、たとえば、給湯装置の電源が遮断された後、再投入されると、リモートコントローラの制御部がリセットされる。この場合、給湯器に記憶されている設定情報がリモートコントローラに送信されて、リモートコントローラの記憶部に更新記憶される。
【0006】
しかしながら、リモートコントローラに記憶されている設定情報が、外乱等によって書き換わることが起こり得る。また、給湯器に保持されている設定情報が、外乱等によって書き換わることも起こり得る。このような場合、給湯器とリモートコントローラにそれぞれ記憶されている設定情報に齟齬が生じる。このため、リモートコントローラに表示されている設定情報と、給湯器に記憶されている設定情報とが異なることとなり、給湯装置の実動作時に使用者に違和感を与える結果となってしまう。
【0007】
かかる課題に鑑み、本発明は、給湯器およびリモートコントローラにそれぞれ記憶されている設定情報をより確実に同期させることが可能な給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる態様に係る給湯装置は、給湯器と、前記給湯器の動作に関する設定情報を入力可能なリモートコントローラと、を備える、前記給湯器は、前記リモートコントローラと通信するための通信部と、給湯器用制御部と、前記設定情報を記憶する給湯器用記憶部と、を備え、前記リモートコントローラは、前記給湯器の前記通信部と通信するための通信部と、リモートコントローラ用制御部と、前記設定情報を記憶するリモートコントローラ用記憶部と、を備える。前記給湯器用制御部は、自身に対するファームウェアの更新後に、前記給湯器用記憶部に記憶されている前記設定情報を前記リモートコントローラに送信し、前記リモートコントローラ用制御部は、受信した前記設定情報を前記リモートコントローラ用記憶部に更新記憶させる。
【0009】
本態様に係る給湯装置によれば、給湯器用制御部に対するファームウェアの更新に基づいて、給湯器用記憶部に記憶されている設定情報がリモートコントローラに送信され、リモートコントローラ用記憶部に更新記憶される。これにより、給湯器とリモートコントローラにそれぞれ保持される設定情報が同期される。よって、給湯器およびリモートコントローラにそれぞれ記憶されている設定情報をより確実に同期させることができる。
【0010】
本態様に係る給湯装置において、前記リモートコントローラ用制御部は、自身のリセットを行うと、前記給湯器用記憶部に記憶されている前記設定情報の送信要求を前記給湯器用制御部に送信する機能を備え、前記給湯器用制御部は、自身に対するファームウェアの更新後に、前記リモートコントローラ用制御部をリセットさせるためのリセット指令を前記リモートコントローラ用制御部に送信するよう構成され得る。
【0011】
この構成によれば、リモートコントローラ用制御部のリセット動作に伴う機能をそのまま用いて、給湯器用記憶部に記憶されている設定情報を給湯器からリモートコントローラに送信できる。よって、給湯器およびリモートコントローラにそれぞれ記憶されている設定情報の同期を簡易な処理により行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、本発明によれば、給湯器およびリモートコントローラにそれぞれ記憶されている設定情報をより確実に同期させることが可能な給湯装置を提供することができる。
【0013】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る、給湯システムの構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る、給湯装置を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
図3図3は、実施形態に係る、給湯器と浴槽との間の接続形態を模式的に示す図である。
図4図4は、実施形態に係る、浴室リモコンおよび台所リモコンの制御部がリセット時に実行する設定情報の更新処理を示すフローチャートである。
図5図5(a)は、実施形態に係る、ファームウェアの更新時に給湯器の制御部が実行する処理を示すフローチャートである。図5(b)は、実施形態に係る、給湯器の制御部がリセットされたときの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、実施形態に係る、給湯システム1の構成を示す図である。
【0017】
図1に示すように、給湯システム1は、給湯装置10と、サーバ40とを備える。給湯装置10は、外部通信網30を介して、サーバ40と通信可能である。また、給湯装置10は、サーバ40を介して、図示しない携帯端末装置(たとえば、携帯電話機)により遠隔制御可能である。
【0018】
給湯装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13とを備えている。給湯器11は、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器である。すなわち、給湯装置10は、ガス燃料を燃焼させて生じる燃焼ガスで水を温めるガス燃焼式給湯装置である。給湯器11により生成された湯は、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。
【0019】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定や実行指示を行うために用いられる。リモートコントローラ12は、液晶パネルからなる表示部121と、入力部122とを備え、リモートコントローラ13は、タッチパネルからなる表示入力部131と、運転ボタン132とを備える。操作者は、表示部121に表示された画面に従って入力部122を操作することにより、湯張り機能の実行指示や、給湯温度、ふろ温度、ふろ水位および浴槽内の湯の保温時間等の設定を行うことができる。また、操作者は、表示入力部131を操作することによっても、湯張り等の設定を行える。
【0020】
リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。リモートコントローラ12、13には、音声を入出力するための音声窓12a、13aが設けられている。
【0021】
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0022】
ルータ20は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する各機器を、外部通信網30に接続するための通信中継器である。外部通信網30は、たとえば、インターネットである。外部通信網30には、給湯装置10を管理するためのサーバ40が接続されている。台所リモコン13は、ルータ20および外部通信網30を介して、サーバ40と通信を行う。
【0023】
台所リモコン13には、給湯システム1のアプリケーションプログラムが、サーバ40からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムに、サーバ40にアクセスするためのアドレス情報(たとえば、IPアドレス)が含まれている。台所リモコン13は、このアドレス情報に基づいて、サーバ40にアクセスし、通信を行う。
【0024】
台所リモコン13のアドレス情報は、初期設定の際に、サーバ40に送信されて、サーバ40に登録される。さらに、台所リモコン13のID情報(識別情報)が、台所リモコン13からサーバ40に送信されて、サーバ40に登録される。
【0025】
図1には、さらに、給湯器11に対してファームウェアを更新するための構成として、操作端末50が示されている。操作端末50は、サービスマン等の作業者が別途準備した情報処理端末(パーソナルコンピュータやタブレットコンピュータ等)である。ファームウェアの更新時に、操作端末50は、通信線により、給湯器11に通信可能に接続される。
【0026】
図2は、給湯装置10を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【0027】
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、駆動部113と、検出部114と、通信部115と、を備える。
【0028】
制御部111は、マイクロコンピュータを備え、内蔵メモリに記憶されたプログラム(ファームウェア)に従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、ファームウェア実行時の外部メモリ(ワーク領域)として用いられる。また、記憶部112は、EEPROM等の不揮発性メモリを備えている。後述の設定情報は、この不揮発性メモリに記憶される。
【0029】
駆動部113は、後述するガス電磁弁等の給湯動作に必要な種々の駆動手段を備える。検出部114は、給湯器11に配置された各種センサを含んでいる。たとえば、検出部114は、湯水の温度を検出するための温度センサや、湯水の供給を検出するための流量センサ、および、浴槽内の湯水の水位を検出するための水位センサ等を含んでいる。
【0030】
通信部115は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。通信部115は、2芯通信線L1、L2を介して、浴室リモコン12の通信部125および台所リモコン13の通信部135と接続されている。また、2芯通信線L1、L2は、通信部115の内部において、互いに接続されている。したがって、浴室リモコン12の通信部125と台所リモコン13の通信部135は、2芯通信線L1、L2によって互いに接続されている。このため、通信部115、125、135の何れかから送信された信号は、他の通信部に同時に送信される。また、通信部115は、ファームウェアの更新時に、制御部111からの制御に従って、図1の操作端末50と通信を行う。
【0031】
浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125と、スピーカ126と、マイク127と、を備える。表示部121は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部122は、温度設定ボタン等の各種操作ボタンを備える。表示部121が、タッチパネルであってもよい。
【0032】
制御部123は、マイクロコンピュータを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。後述の設定情報は、記憶部124に記憶される。
【0033】
通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11および台所リモコン13と通信を行う。スピーカ126は、制御部123により生成された音声信号に基づく音声を出力する。制御部123は、記憶部124に記憶されている音声情報を随時読み出して、音声信号を生成する。スピーカ126から出力された音声は、図1の音声窓12aから出力される。マイク127は、図1の音声窓12aを介して、音声を集音する。
【0034】
台所リモコン13は、上述の表示入力部131および運転ボタン132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135と、スピーカ136と、マイク137と、無線通信部138と、を備える。
【0035】
制御部133は、マイクロコンピュータを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。後述の設定情報は、記憶部134に記憶される。
【0036】
通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11および浴室リモコン12と通信を行う。スピーカ136は、制御部133により生成された音声信号に基づく音声を出力する。制御部133は、記憶部134に記憶されている音声情報を随時読み出して、音声信号を生成する。スピーカ136から出力された音声は、図1の音声窓13aから出力される。マイク137は、図1の音声窓13aを介して、音声を集音する。無線通信部138は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。
【0037】
図3は、給湯器11と浴槽2との間の接続形態を模式的に示す図である。
【0038】
図3に示すように、給湯器11は、給湯部210と、追い焚き部220と、バイパス部230とを備える。
【0039】
給湯部210は、給水管路211と、給湯熱交換器212と、給湯管路213と、給湯燃焼器214と、給気ファン215とを含む。給水管路211は、水道管と給湯熱交換器212とに繋がり、給湯管路213は、給湯熱交換器212と浴室水栓3および外部水栓4とに繋がる。給湯燃焼器214には、ガス電磁弁216により開閉される給湯ガス管路217を通じてガス(燃料ガス)が供給される。給湯燃焼器214は、ガスを燃料として燃焼する。給気ファン215は、給湯燃焼器214に燃焼用の空気を供給する。
【0040】
追い焚き部220は、戻り管路221と、ふろ熱交換器222と、往き管路223と、ふろ燃焼器224と、循環ポンプ225とを含む。戻り管路221は、浴槽2の循環アダプタ2aとふろ熱交換器222とに繋がり、往き管路223は、ふろ熱交換器222と循環アダプタ2aとに繋がる。
【0041】
ふろ燃焼器224には、ガス電磁弁226により開閉されるふろガス管路227を通じてガス(燃料ガス)が供給される。ふろ燃焼器224は、ガスを燃料として燃焼する。給気ファン215が給湯部210と追い焚き部220との間で共用され、給気ファン215からふろ燃焼器224に燃焼用の空気が供給される。戻り管路221に、循環ポンプ225および水位センサ228が配置される。水位センサ228は、戻り管路221内の水圧に基づいて浴槽2内の水位を検出する。
【0042】
バイパス部230は、バイパス管路231と、給湯電磁弁232とを含む。バイパス管路231は、給湯管路213と戻り管路221とに繋がる。給湯電磁弁232は、バイパス管路231を開閉する。
【0043】
制御部111は、給湯部210の給湯燃焼器214、給気ファン215およびガス電磁弁216、追い焚き部220のふろ燃焼器224、循環ポンプ225、水位センサ228およびガス電磁弁226、バイパス部230の給湯電磁弁232などを制御する。
【0044】
浴室水栓3または外部水栓4が開かれると、給湯機能が実行される。浴室水栓3または外部水栓4から流出する水が図示しない流量センサで検出されることで、浴室水栓3または外部水栓4が開かれたことが検出される。
【0045】
浴室水栓3または外部水栓4が開かれることにより、水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入されるとともに、給湯燃焼器214が燃焼して給湯熱交換器212が加熱される。給湯熱交換器212に導入された水が加熱されて湯となり、湯が給湯管路213を通じて浴室水栓3または外部水栓4に供給される。浴室水栓3または外部水栓4が閉じられると、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0046】
また、浴室リモコン12または台所リモコン13から浴槽2への湯張りの指令を受けると、制御部111は、湯張り機能(ふろ自動機能)を実行する。この場合、給湯電磁弁232が開放されるとともに、水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入され、給湯熱交換器212で加熱される。そして、給湯熱交換器212からの湯が給湯管路213およびバイパス管路231を通じて戻り管路221に導入される。
【0047】
戻り管路221に導入された湯の一部は、戻り管路221を循環アダプタ2a側へと流れ、循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。戻り管路221に導入された湯の残りは、戻り管路221をふろ熱交換器222側へと流れ、さらにふろ熱交換器222および往き管路223を流れて循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。
【0048】
給湯が行われて浴槽2内に湯が溜められると、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223が水で満たされた状態となる。これにより、水位センサ228での浴槽2内の水位検出が可能となる。浴槽2内の水位が予め設定された水位に到達したことが水位センサ228により検出されると、給湯電磁弁232が閉じられ、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0049】
なお、湯が張られた浴槽2内に人が入ると浴槽2内の水位が上昇する。また、浴槽2内から人が出ると水位が下降する。この浴槽2内への人の出入りに基づく水位変動を、水位センサ228によって検出することができる。
【0050】
また、追い焚き機能の実行時には、循環ポンプ225が作動するとともにふろ燃焼器224が燃焼する。浴槽2内の湯が、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223からなる循環路と浴槽2との間で循環し、その間にふろ熱交換器222で加熱される。浴槽2内の湯温が予め設定された温度よりも高くなると、循環ポンプ225とふろ燃焼器224が停止する。
【0051】
足し湯機能では、湯張り機能(ふろ自動機能)と同様の制御により、所定量の湯が浴槽2に注入される。足し水機能の実行時には、給湯燃焼器214およびふろ燃焼器224を停止させた状態で、湯張り機能(ふろ自動機能)と同様の制御が実行され、所定量の水が浴槽2に注入される。
【0052】
図3に示す構成の他、給湯器11には、浴室水栓3または外部水栓4から給湯される湯水の流量を検出するための流量センサや、この湯水の温度を検出するための温度センサ、および、浴槽2内の湯水の温度を検出するための温度センサ等の各種センサが、対応する配管に配置されている。浴槽2内の湯水の温度は、たとえば、循環ポンプ225を駆動させて浴槽2内の湯水を戻り管路221に循環させ、この湯水の温度を、戻り管路221に配置された温度センサで検出することによって取得される。
【0053】
制御部111は、これらセンサから入力される温度に基づいて、浴室水栓3または外部水栓4から出湯される湯水の温度が所定の設定温度(給湯温度)となるよう、給湯時の燃焼動作を制御し、また、浴槽2に張られる湯水の温度が所定の設定温度(ふろ温度)となるよう、湯張り時の燃焼動作を制御する。また、制御部111は、湯張り後に、浴槽2内の湯水を戻り管路221に循環させて湯水の温度を取得し、取得した温度に基づいて、浴槽2内の湯水の温度が所定の設定温度(ふろ温度)に維持されるよう、追い焚き動作を実行する。制御部111は、この動作(保温動作)を、所定の設定時間(保温時間)の間、実行する。この他、制御部111は、水位センサ228による水位の検出結果から、浴槽2に所定の設定水位(ふろ水位)の湯水が張られるよう、湯張り動作を制御する。
【0054】
ここで、上述の「給湯温度」、「ふろ温度」、「保温時間」および「ふろ水位」は、浴室リモコン12および台所リモコン13を介して、使用者により設定される。これらの設定情報は、給湯器11と浴室リモコン12および台所リモコン13とで共有される。すなわち、浴室リモコン12または台所リモコン13を介して入力された設定情報は、そのリモコンの記憶部に記憶されるとともに、2芯通信線L1、L2を介して、他のリモコンおよび給湯器11に転送され、他のリモコンおよび給湯器11の記憶部に記憶される。
【0055】
また、浴室リモコン12および台所リモコン13の制御部123、133は、自身がリセットされたときに、給湯器11側に保持されている設定情報を給湯器11から取得して、自身の記憶部124、134に更新記憶させる機能を備えている。
【0056】
たとえば、給湯装置10の電源が遮断された後、再投入されると、浴室リモコン12および台所リモコン13の制御部123、133がそれぞれリセットされる。この場合、これらの制御部123、133は、自身をリセットしたことに応じて、給湯器11に対し、給湯器11の記憶部112に記憶されている設定情報の送信要求を送信し、給湯器11から設定情報を取得する。制御部123、133は、受信した設定情報を、自身の記憶部124、134に更新記憶させる。これにより、給湯器11と浴室リモコン12および台所リモコン13にそれぞれ保持される設定情報が同期される。
【0057】
図4は、浴室リモコン12および台所リモコン13の制御部123、133がリセット時に実行する設定情報の更新処理を示すフローチャートである。便宜上、以下には、台所リモコン13の制御部133における処理について説明する。
【0058】
制御部133は、たとえば上述の電源投入時に自身に対するリセット処理を実行すると(S101:YES)、設定情報の送信要求を給湯器11に送信する(S102)。これに応じて、給湯器11の制御部111は、自身の記憶部112に記憶されている設定情報を台所リモコン13に送信する。台所リモコン13の制御部133は、給湯器11から送信された設定情報を受信すると(S103:YES)、受信した設定情報を自身の記憶部134に更新記憶させる(S104)。これにより、記憶部134に記憶されている設定情報が、給湯器11から受信した設定情報に書き換えられる。こうして、給湯器11と台所リモコン13にそれぞれ保持される設定情報が同期される。
【0059】
浴室リモコン12の制御部123も、たとえば上述の電源投入時に、上記と同様の処理により、給湯器11から設定情報を取得し、取得した設定情報を、自身の記憶部124に更新記憶させる。これにより、給湯器11と浴室リモコン12にそれぞれ保持される設定情報が同期される。こうして、給湯器11と浴室リモコン12および台所リモコン13にそれぞれ保持される設定情報が同期される。
【0060】
このように、給湯装置10に対する電源投入時には、浴室リモコン12および台所リモコン13の制御部123、133がリセットされることにより、給湯器11と浴室リモコン12および台所リモコン13にそれぞれ保持される設定情報が同期される。しかしながら、浴室リモコン12および台所リモコン13に記憶されている設定情報が、外乱等によって書き換わってしまうことが起こり得る。また、給湯器11に保持されている設定情報も、外乱等によって書き換わることが起こり得る。
【0061】
このような場合、給湯器11と浴室リモコン12および台所リモコン13にそれぞれ記憶されている設定情報が互いに異なる状態となる。このため、浴室リモコン12および台所リモコン13に表示されている設定情報と、給湯器11に記憶されている設定情報とが異なることとなり、給湯装置10の実使用時に使用者に違和感を与える結果となってしまう。
【0062】
そこで、本実施形態では、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13にそれぞれ記憶されている設定情報をより確実に同期させるための処理が実行される。具体的には、給湯器11の制御部111は、自身に対するファームウェアの更新に基づいて、給湯器11の記憶部112に記憶されている設定情報を浴室リモコン12および台所リモコン13に送信し、浴室リモコン12および台所リモコン13の制御部123、133は、受信した設定情報を浴室リモコン12および台所リモコン13の記憶部124、134に更新記憶させる。
【0063】
図5(a)は、ファームウェアの更新時に給湯器11の制御部111が実行する処理を示すフローチャートである。
【0064】
上記のように、給湯器11の制御部111(マイクロコンピュータ)に対するファームウェアの更新は、図1の操作端末50を用いて行われる。ファームウェアの更新時に、操作端末50は、通信線により、給湯器11に通信可能に接続される。
【0065】
操作端末50は、サービスマンからの操作により、更新対象のファームウェアをサーバ40から取得する。更新対象のファームウェアは、USBメモリ等の記憶媒体から読み出す方法によって取得されてもよい。この場合、更新対象のファームウェアを記憶したUSBメモリが操作端末50に装着される。その後、作業者から、ファームウェアを更新するための操作が行われると、操作端末50は、更新対象のファームウェアを給湯器11に送信する。
【0066】
給湯器11の制御部111は、操作端末50を介してファームウェアの更新モードに設定された状態において、更新対象のファームウェアを操作端末50から受信すると(S201:YES)、ファームウェアの更新を行うことを示す更新フラグを記憶部112の不揮発性メモリに記憶させる(S202)。上記のように、給湯温度等の設定情報は、この不揮発性メモリに記憶されている。
【0067】
こうして、更新フラグを不揮発性メモリに記憶させた後(S202)、制御部111は、ファームウェア更新処理を実行する(S203)。これにより、制御部111(マイクロコンピュータ)の内蔵メモリに記憶されているファームウェアが、受信したファームウェアに書き換えられる。その後、制御部111は、自身に対するリセット処理を実行する(S204)。これにより、制御部111(マイクロコンピュータ)は、内蔵メモリに書き換えた更新後のファームウェアにより起動される。こうして、ファームウェア更新処理が完了する。
【0068】
このとき、設定情報は、記憶部112の不揮発性メモリに記憶されているため、ファームウェアの更新処理および制御部111のリセット処理が行われても、そのまま記憶部112に保持される。
【0069】
図5(b)は、給湯器11の制御部111がリセットされたときの処理を示すフローチャートである。
【0070】
給湯器11の制御部111は、自身に対するリセット処理により起動されると(S211:YES)、記憶部112の不揮発性メモリを参照し、不揮発性メモリに上述の更新フラグが記憶されているか否かを確認する(S212)。不揮発性メモリに更新フラグが記憶されている場合(S212:YES)、制御部111は、浴室リモコン12および台所リモコン13をリセットさせるためのリセット指令を、浴室リモコン12および台所リモコン13に送信する(S213)。他方、不揮発性メモリに更新フラグが記憶されていない場合(S212:NO)、制御部111は、ステップS213の処理をスキップして、図5(b)の処理を終了する。
【0071】
ステップS213において、リセット指令が浴室リモコン12および台所リモコン13に送信されると、浴室リモコン12および台所リモコン13の制御部123、133は、自身に対するリセット処理を実行する。このリセット処理により、制御部123、133が起動されると、図4のステップS101の判定がYESとなる。これにより、制御部123、133は、ステップS102以降の処理を実行する。この処理により、制御部123、133は、上記のように、給湯器11の記憶部112(不揮発性メモリ)に記憶されている設定情報を給湯器11から取得し、取得した設定情報を自身の記憶部124、134に更新記憶する。こうして、給湯器11と、浴室リモコン12および台所リモコン13とにそれぞれ記憶されている設定情報が同期される。
【0072】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0073】
図4および図5(a)、(b)を参照して説明したように、給湯器11の制御部111(給湯器用制御部)に対するファームウェアの更新後に(S203)、給湯器11の記憶部112(給湯器用記憶部)に記憶されている設定情報が浴室リモコン12および台所リモコン13に送信され(S102、S103)、浴室リモコン12および台所リモコン13の記憶部124、134(リモートコントローラ用記憶部)に更新記憶される(S104)。これにより、給湯器11と浴室リモコン12および台所リモコン13とにそれぞれ保持される設定情報が同期される。よって、給湯器11と浴室リモコン12および台所リモコン13とにそれぞれ記憶されている設定情報をより確実に同期させることができる。
【0074】
図4に示したように、浴室リモコン12および台所リモコン13の制御部123、133(リモートコントローラ用制御部)は、自身のリセットを行うと(S101:YES)、給湯器11の記憶部112に記憶されている設定情報の送信要求を給湯器11の制御部111に送信し(S102)、これにより受信した設定情報(S103)を自身の記憶部124、134に更新記憶(S104)させる機能を備えている。そして、給湯器11の制御部111は、自身に対するファームウェアの更新後に(S201~S203)、浴室リモコン12および台所リモコン13の制御部123、133をリセットさせるためのリセット指令を浴室リモコン12および台所リモコン13の制御部123、133に送信する(S204)。
【0075】
これにより、浴室リモコン12および台所リモコン13の制御部123、133におけるリセット動作に伴う機能(図4)をそのまま用いて、給湯器11の記憶部112に記憶されている設定情報を給湯器11から浴室リモコン12および台所リモコン13に送信できる。よって、給湯器11および浴室リモコン12および台所リモコン13にそれぞれ記憶されている設定情報の同期を簡易な処理により行うことができる。
【0076】
<変更例>
上記実施形態では、浴室リモコン12および台所リモコン13におけるリセット動作時の機能を用いて、給湯器11の制御部111におけるファームウェアの更新時に、給湯器11の記憶部124に記憶されている設定情報が浴室リモコン12および台所リモコン13に送信され更新記憶されたが、ファームウェアの更新時に給湯器11から浴室リモコン12および台所リモコン13に設定情報を送信させる方法は、これに限られない。
【0077】
たとえば、給湯器11の制御部111におけるファームウェアの更新後に、給湯器11の制御部111が、更新指令とともに、記憶部112に記憶されている設定情報を浴室リモコン12および台所リモコン13に送信し、浴室リモコン12および台所リモコン13の制御部123、133は、受信した更新指令に基づき、受信した設定情報を、自身の記憶部124、134に更新記憶させてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、給湯器11の設定情報を共有する機器が浴室リモコン12および台所リモコン13であったが、給湯器11の設定情報を共有する機器はこれに限られるものではなく、設定情報を共有する他の機器が給湯装置10に含まれる場合は、この機器に対しても、ファームウェアの更新時に同様の処理により、給湯器11の設定情報が送信され、この機器の記憶部に更新記憶されてもよい。また、給湯装置にリモコンが1つしか配置されない場合は、このリモコンに対して上記の処理により設定情報の更新記憶が行われ、浴室リモコン12および台所リモコン13以外に他のリモコンが給湯装置10に配置される場合は、このリモコンに対して上記の処理により設定情報の更新記憶が行われればよい。
【0079】
また、上記実施形態では、操作端末50を用いてファームウェアの更新が行われたが、台所リモコン13がファームウェアの更新に用いられてもよい。この場合、制御部133は、表示入力部131に対する作業者からの操作に応じてサーバ40にアクセスして、更新対象のファームウェアをサーバ40から取得する。そして、制御部133は、取得した設定情報を、2芯通信線L2を介して給湯器11に送信する。これにより、図5(a)のステップS201の判定がYESとなり、ステップS202以降の処理および図5(b)の処理が実行される。
【0080】
また、浴室リモコン12が給湯器11の制御部111のファームウェア更新に用いられてもよく、その他のリモートコントローラが給湯器11に接続される場合は、このリモートコントローラがファームウェアの更新に用いられてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、設定情報として、給湯温度、ふろ温度、ふろ水位および保温時間が例示されたが、給湯器11と各リモコンとで共有される設定情報はこれに限られるものではない。たとえば、給湯装置10が床暖房機能等を有する場合は、床暖房の設定温度等が設定情報に含まれてもよい。
【0082】
また、給湯装置10の構成は、上記実施形態に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。たとえば、給湯装置10が、上記のような床暖房機能等の他の機能をさらに有していてもよい。また、給湯装置10が、ふろ機能を有さず、給湯機能のみを有する構成であってもよい。
【0083】
さらに、上記実施形態では、給湯装置10が、ガス燃料を燃焼させて生じる燃焼ガスで水を温めるガス燃焼式給湯装置であったが、給湯装置10の構成はこれに限られるものではない。たとえば、給湯装置10が、オイル燃料を燃焼させて水を温める方式の給湯装置であってもよい。また、給湯装置10が、ガス燃焼式給湯装置とともに、電力を生成する発電機からの排熱を利用して温水を生成する構成を備えた、コジェネレーション型給湯装置であってもよい。
【0084】
また、給湯器11の燃焼系および配管の構成は、図3に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。
【0085】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0086】
10 給湯装置
11 給湯器
111 制御部(給湯器用制御部)
112 記憶部(給湯器用記憶部)
12 浴室リモコン(リモートコントローラ)
123 制御部(リモートコントローラ用制御部)
124 記憶部(リモートコントローラ用記憶部)
13 台所リモコン(リモートコントローラ)
133 制御部
134 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5