IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジコーの特許一覧

<>
  • 特開-空気清浄装置 図1
  • 特開-空気清浄装置 図2
  • 特開-空気清浄装置 図3
  • 特開-空気清浄装置 図4
  • 特開-空気清浄装置 図5
  • 特開-空気清浄装置 図6
  • 特開-空気清浄装置 図7
  • 特開-空気清浄装置 図8
  • 特開-空気清浄装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006631
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】空気清浄装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20250109BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20250109BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20250109BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20250109BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20250109BHJP
   F24F 8/167 20210101ALI20250109BHJP
   F24F 8/20 20210101ALI20250109BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20250109BHJP
【FI】
A61L9/20
A61L9/16 F
A61L9/00 C
F24F8/108 110
F24F8/22
F24F8/167
F24F8/20
F24F8/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107547
(22)【出願日】2023-06-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2023年6月27日に株式会社PR TIMES(東京都港区赤坂1-11-44赤坂インターシティ8F)のウェブサイトページにおいて、本発明の空気清浄装置に基づき製造された空気消臭除菌装置(ブルーデオS型)について、製品紹介の情報のプレスリリース記事を公開した。 [刊行物等] 2023年6月27日に株式会社PR TIMESのプレスリリース配信サービスを介して、サービスに会員登録しているテレビ局、新聞社及び雑誌社の中から、株式会社フジコーが選択した219社に対して、上記プレスリリース記事のデータを配信した。 [刊行物等] 2023年6月27日に北九州商工会議所(福岡県北九州市小倉北区紺屋町13-1毎日西部会館1・2階)のプレスリリース活用支援事業の配信先である北九州経済・金融記者クラブに所属する新聞社、放送局及び通信社の14社に対して、上記プレスリリース記事をFAXで配信した。 [刊行物等] 2023年6月27日に北九州市役所広報室広報課(福岡県北九州市小倉北区城内1番1号)のプレスリリース事業の配布先である北九州市市政記者クラブに所属する新聞社、放送局及び通信社の13社に対して、上記プレスリリース記事を配布した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2023年6月27日に株式会社マスクフジコー(福岡県北九州市小倉北区馬借1丁目5番18号ランドスペース馬借2F)のホームページにおいて、本発明の空気清浄装置に基づき製造された空気消臭除菌装置(ブルーデオS型)について、製品紹介の情報、取扱説明書及び製品カタログを公開した。 株式会社マスクフジコーのホームページ(製品紹介の情報) https://www.massc.jp/products/blue-deo.php 取扱説明書 https://www.massc.jp/products/files/manual-MC-S201-01.pdf 製品カタログ https://www.massc.jp/products/files/blue-deo_pafu01.pdf
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2023年6月27日に株式会社フジコー(福岡県北九州市戸畑区中原西2丁目18番12号)の公式Youtubeにて、本発明の空気清浄装置に基づき製造された空気消臭除菌装置(ブルーデオS型)について、製品説明動画(PR動画)を公開した。 株式会社フジコーの公式Youtube https://www.youtube.com/watch?v=K-zwTwYlfgg
(71)【出願人】
【識別番号】591209280
【氏名又は名称】株式会社フジコー
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】柴田 将貴
(72)【発明者】
【氏名】坂口 昇平
(72)【発明者】
【氏名】樋口 友彦
(72)【発明者】
【氏名】松下 祐介
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CC03
4C180DD01
4C180DD03
4C180DD04
4C180DD09
4C180EA05X
4C180EA06X
4C180EA07X
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180HH05
4C180HH14
4C180HH15
4C180HH19
4C180LL11
4C180LL14
(57)【要約】
【課題】空気中の細菌やウイルス、悪臭となるガス成分等を充分に分解または除去することが可能な空気清浄装置を提供する。
【解決手段】本発明を適用した空気清浄装置の一例である空気清浄装置A1は、ケース1と、メタルフォーム2と、光源3と、ファン4を備えている。また、空気清浄装置A1は、LED光源30を有している。メタルフォーム2は、ファン4を介してケース1内に導入された空気を除菌すると共に、空気中に含まれる悪臭成分となる有機物を分解して脱臭するフィルタ部材である。メタルフォーム2は、その前方面2a、後方面2b及び外表面より内側に位置する気孔を形成する面に、除菌部材となる銀(Ag)と、光触媒となる二酸化チタン(TiO)を含むコーティング層が形成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口及び吹出口を有するケースと、
前記ケース内に設けられ、前記吸気口から空気を導入し、前記吹出口から空気を吹き出すためのファンと、
前記吸気口と前記吹出口間の空気の流路に設けられ、多孔質体で本体が形成されると共に、前記空気の流路に沿った前記本体の第1の面及び前記第1の面の反対側の面である第2の面で、菌類を除菌する除菌部材及び光に反応して有機物を分解する有機物分解部材を担持するフィルタと、
前記フィルタに向けて紫外光を照射する光源とを備える
空気清浄装置。
【請求項2】
前記本体の外表面より内側に位置する気孔を形成する面で、前記除菌部材及び前記有機物分解部材を担持する
請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記多孔質体は、前記第1の面から前記第2の面まで気孔が繋がって形成された連続気孔体構造である
請求項1または請求項2に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記フィルタは、金属体である
請求項1または請求項2に記載の空気清浄装置。
【請求項5】
吸気口及び吹出口を有するケースと、
前記ケース内に設けられ、前記吸気口から空気を導入し、前記吹出口から空気を吹き出すためのファンと、
前記吸気口と前記吹出口間の空気の流路に設けられると共に、前記空気の流路に沿った第1の面で菌類を除菌する除菌部材を担持し、前記第1の面の反対側の面である第2の面で光に反応して有機物を分解する有機物分解部材を担持するフィルタと、
前記第2の面に向けて光を照射する光源とを備える
空気清浄装置。
【請求項6】
前記光源から照射する光は紫外光である
請求項5に記載の空気清浄装置。
【請求項7】
前記フィルタは、前記第1の面から前記第2の面まで気孔が繋がって形成された連続気孔体構造を有する多孔質体である
請求項5または請求項6に記載の空気清浄装置。
【請求項8】
前記フィルタは、金属体である
請求項5または請求項6に記載の空気清浄装置。
【請求項9】
吸気口及び吹出口を有するケースと、
前記ケース内に設けられ、前記吸気口から空気を導入し、前記吹出口から空気を吹き出すためのファンと、
前記吸気口と前記吹出口間の空気の流路に設けられ、多孔質体で本体が形成されると共に、前記空気の流路に沿った前記本体の第1の面及び前記第1の面の反対側の面である第2の面の少なくともいずれか一方に、光に反応して有機物を分解する有機物分解部材を担持するフィルタと、
前記フィルタに向けて紫外光を照射する光源とを備える
空気清浄装置。
【請求項10】
前記本体の前記有機物分解部材を担持した外表面より内側に位置する気孔を形成する面で、前記有機物分解部材を担持する
請求項9に記載の空気清浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気清浄装置に関する。詳しくは、空気中の細菌やウイルス、悪臭となるガス成分等を充分に分解または除去することが可能な空気清浄装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内等の空気環境を良好に保つために、空気清浄装置が用いられている。空気清浄装置の主な構造として、環境中の空気を吸気口から導入し、装置内部に設けられたフィルタを通過させ、これを再度、吹出口から排出するように構成されている。
【0003】
ここで、従前の空気清浄装置には、取り込んだ空気に含まれる細菌やウイルス、悪臭となるガス成分をフィルタに吸着させる方式がある。しかし、同方式では、フィルタ上で細菌やウイルスが生存したままであり、これらを分解または除去することができなかった。
【0004】
また、従前の空気清浄装置には、装置から空気中にオゾン、イオン、次亜塩素酸を放出して、細菌やウイルスを除去する方式もあるが、放出するオゾン等の濃度によっては、人体や室内で飼われているペットに影響が出るおそれがあった。
【0005】
こうしたなか、空気中の細菌やウイルス、悪臭となるガス成分等を、効率良く分解または除去することを試みた空気清浄装置(特許文献1参照)が提案されている。
【0006】
ここで、特許文献1に記載された空気清浄装置では、吸気口と吹出口間の空気の流路に設けられた第一のフィルタと、第一のフィルタよりも上流側の流路に所定の間隙を介して設けられた第二のフィルタと、間隙に設けられ、対向する第一のフィルタと第二のフィルタの面に対し紫外光を照射する第一の光源と、第二のフィルタの、第一の光源が紫外光を照射するのとは反対側の面に対し、第一の光源から照射される紫外光よりも波長の短い紫外光を照射する第二の光源と、を有し、第一のフィルタ及び第二のフィルタの少なくとも一方に、第一の光源が照射する紫外光に反応して有機物を分解する部材が担持されている。
【0007】
この、特許文献1に記載された空気清浄装置では、第一の光源(悪臭成分分解用光源)から照射された紫外光により励起された第一のフィルタ(光触媒フィルタ)の光触媒または第二のフィルタ(捕集フィルタ)に担持された光触媒との協働作用により悪臭成分を分解することによる脱臭の効果と、第二のフィルタ(捕集フィルタ)に補足された細菌やウイルスを、第二の光源(不活化用光源)により不活化することによる細菌やウイルスの不活化効果の両方が得られる。
【0008】
また、特許文献1に記載された空気清浄装置では、第一のフィルタと第二のフィルタの間の空間(間隙)に第一の光源を設けたことから、第二のフィルタで捕捉しきれなかった細菌やウイルスを、両フィルタ間の間隙を通過する間に、この間隙に設けられた第一の光源が発する紫外光の波長を、必要に応じてランプの波長を調整したり、あるいは、異なる波長のLEDを組み合わせたりして調整することにより、補充的に不活化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2022-078685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、特許文献1に記載された空気清浄装置では、悪臭成分を分解することによる脱臭の効果と細菌やウイルスの不活化効果を得られるが、その分解や除去の効果を、より一層高められる余地があった。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、空気中の細菌やウイルス、悪臭となるガス成分等を充分に分解または除去することが可能な空気清浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の空気清浄装置は、吸気口及び吹出口を有するケースと、前記ケース内に設けられ、前記吸気口から空気を導入し、前記吹出口から空気を吹き出すためのファンと、前記吸気口と前記吹出口間の空気の流路に設けられ、多孔質体で本体が形成されると共に、前記空気の流路に沿った前記本体の第1の面及び前記第1の面の反対側の面である第2の面で、菌類を除菌する除菌部材及び光に反応して有機物を分解する有機物分解部材を担持するフィルタと、前記フィルタに向けて紫外光を照射する光源とを備える。
【0013】
ここで、ケースが吸気口及び吹出口を有し、ファンが、ケース内に設けられ、吸気口から空気を導入し、吹出口から空気を吹き出すことによって、ケースの外部環境から空気を取り込み、ケースの内部を通過させ、再度、空気をケースの外部に排出するという、空気の流れを形成することができる。
【0014】
また、フィルタが、吸気口と吹出口間の空気の流路に設けられることによって、ケースの外部環境から取り込んだ空気を、フィルタを通過させてから、吹出口から排出することができる。
【0015】
また、フィルタが、空気の流路に沿った本体の第1の面及び第1の面の反対側の面である第2の面で、菌類を除菌する除菌部材及び光に反応して有機物を分解する有機物分解部材を担持することによって、フィルタの第1の面及び第2の面の両方の面で、空気に含まれる細菌やウイルスを除菌すると共に、空気に含まれる悪臭成分となる有機物を分解して、脱臭効果を得ることができる。また、空気の流路に沿った本体の第1の面及び第2の面、即ち、空気の流路における上流側の位置と、下流側の位置のそれぞれで、除菌と有機物の分解を行うことができるため、細菌やウイルス、悪臭成分の分解または除去の効果を向上させることができる。なお、ここでいう有機物分解部材は、例えば、紫外光、可視光、または、赤外光に反応して有機物を分解するものを含むものである。
【0016】
また、フィルタが、多孔質体で本体が形成されることによって、第1の面及び第2の面の面上に気孔が形成され、第1の面及び第2の面の表面積を大きくすることができる。これに伴い、第1の面及び第2の面において、除菌部材及び有機物分解部材を担持できる量が増え、細菌やウイルス、悪臭成分の分解または除去の効果を向上させることができる。
【0017】
また、光源が、フィルタに向けて紫外光を照射することによって、フィルタに担持された有機物分解部材が紫外光に反応して、空気に含まれる悪臭成分となる有機物を分解することができる。また、紫外光が、空気に含まれる細菌やウイルスに直接照射され、紫外光によっても、細菌やウイルスを除菌することができ、装置全体の除菌効果を向上させることができる。
【0018】
また、本体の外表面より内側に位置する気孔を形成する面で、除菌部材及び有機物分解部材を担持する場合には、本体の第1の面及び第2の面に加えて、外表面より内側に位置する気孔を形成する面の部分でも除菌部材及び有機物分解部材が担持され、フィルタ全体として、より高密度に除菌部材及び有機物分解部材を配置可能となり、細菌やウイルス、悪臭成分の分解または除去の効果を、より一層向上させることができる。なお、ここでいう気孔とは、多孔質体における空隙となる孔部に相当するものである。
【0019】
また、多孔質体が、第1の面から第2の面まで気孔が繋がって形成された連続気孔体構造である場合には、フィルタに対して、その連続気孔を介して、光源から照射した紫外光を透過させることが可能となる。即ち、フィルタにおける第1の面または第2の面のどちらか一方の面に紫外光を照射すれば、他方の面側に紫外光を届かせることができ、紫外光の照射に必要な光源が1つで足り、装置を小型化しやすくすることができる。
【0020】
また、フィルタが金属体である場合には、フィルタの耐久性を向上させることができる。
【0021】
また、上記の目的を達成するために、本発明の空気清浄装置は、吸気口及び吹出口を有するケースと、前記ケース内に設けられ、前記吸気口から空気を導入し、前記吹出口から空気を吹き出すためのファンと、前記吸気口と前記吹出口間の空気の流路に設けられると共に、前記空気の流路に沿った第1の面で菌類を除菌する除菌部材を担持し、前記第1の面の反対側の面である第2の面で光に反応して有機物を分解する有機物分解部材を担持するフィルタと、前記第2の面に向けて光を照射する光源とを備える。
【0022】
ここで、フィルタが、空気の流路に沿った第1の面で菌類を除菌する除菌部材を担持し、第1の面の反対側の面である第2の面で光に反応して有機物を分解する有機物分解部材を担持することによって、フィルタの第1の面で空気に含まれる細菌やウイルスを除菌すると共に、フィルタの第2の面で空気に含まれる悪臭成分となる有機物を分解して、脱臭効果を得ることができる。なお、ここでいう有機物分解部材は、例えば、紫外光、可視光、または、赤外光に反応して有機物を分解するものを含むものである。
【0023】
また、光源が、フィルタの第2の面に向けて光を照射することによって、フィルタに担持された有機物分解部材が光に反応して、空気に含まれる悪臭成分となる有機物を分解することができる。
【0024】
また、光源から照射する光は紫外光である場合には、有機物分解部材を担持したフィルタの第2の面において、紫外光が、空気に含まれる細菌やウイルスに直接照射され、紫外光によって、細菌やウイルスを除菌することができ、装置全体の除菌効果を向上させることができる。
【0025】
また、フィルタが、第1の面から第2の面まで気孔が繋がって形成された連続気孔体構造を有する多孔質体である場合には、第2の面に向けて照射した光源の光を、連続気孔を介してフィルタを通過して、第1の面に到達させることができる。即ち、光源の光を、第1の面及び第2の面のいずれにも届かせることができ、光源の配置の自由度を向上させることができる。
【0026】
また、フィルタが金属体である場合には、フィルタの耐久性を向上させることができる。
【0027】
また、上記の目的を達成するために、本発明の空気清浄装置は、吸気口及び吹出口を有するケースと、前記ケース内に設けられ、前記吸気口から空気を導入し、前記吹出口から空気を吹き出すためのファンと、前記吸気口と前記吹出口間の空気の流路に設けられ、多孔質体で本体が形成されると共に、前記空気の流路に沿った前記本体の第1の面及び前記第1の面の反対側の面である第2の面の少なくともいずれか一方に、光に反応して有機物を分解する有機物分解部材を担持するフィルタと、前記フィルタに向けて紫外光を照射する光源とを備える。
【0028】
ここで、フィルタが、空気の流路に沿った前記本体の第1の面及び第1の面の反対側の面である第2の面の少なくともいずれか一方に、光に反応して有機物を分解する有機物分解部材を担持することによって、フィルタの第1の面または第2の面の少なくともいずれか一方で、空気に含まれる悪臭成分となる有機物を分解して、脱臭効果を得ることができる。なお、ここでいう有機物分解部材は、例えば、紫外光、可視光、または、赤外光に反応して有機物を分解するものを含むものである。
【0029】
また、フィルタが、多孔質体で本体が形成されることによって、第1の面及び第2の面の少なくともいずれか一方の面上に気孔が形成され、その面の表面積を大きくすることができる。これに伴い、有機物分解部材を担持できる量が増え、悪臭成分の分解または除去の効果を向上させることができる。
【0030】
また、光源が、フィルタに向けて紫外光を照射することによって、フィルタに担持された有機物分解部材が紫外光に反応して、空気に含まれる悪臭成分となる有機物を分解することができる。また、紫外光が、空気に含まれる細菌やウイルスに直接照射され、紫外光によっても、細菌やウイルスを除菌することができ、装置全体の除菌効果を向上させることができる。
【0031】
また、本体の有機物分解部材を担持した外表面より内側に位置する気孔を形成する面で、有機物分解部材を担持する場合には、本体の有機物分解部材を担持した外表面、即ち、有機物分解部材を担持した第1の面、有機物分解部材を担持した第2の面、または、有機物分解部材を担持した第1の面及び第2の面の両方の面のいずれかに該当する面に加えて、有機物分解部材を担持した外表面より内側に位置する気孔を形成する面の部分でも有機物分解部材が担持され、フィルタ全体として、より高密度に有機物分解部材を配置可能となり、悪臭成分の分解または除去の効果を、より一層向上させることができる。なお、ここでいう気孔とは、多孔質体における空隙となる孔部に相当するものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る空気清浄装置は、空気中の細菌やウイルス、悪臭となるガス成分等を充分に分解または除去することが可能なものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の第1の実施の形態である空気清浄装置A1の外観を示す概略斜視図である。
図2】空気清浄装置A1の分解斜視図である。
図3】フロントパネル、プレフィルタ及び集塵フィルタと、その周辺構造を示す分解斜視図である。
図4】メタルフォーム及び本体ケースと、その周辺構造を示す分解斜視図である。
図5】ブロアファン及びバックパネルと、その周辺構造を示す分解斜視図である。
図6図1に示す矢印Aの方向で見た概略断面図である。
図7】(a)は、メタルフォームの全体図であり、(b)は、図7(a)の一部の拡大図である。
図8】光源から照射された紫外光がメタルフォームの連続気孔を通過する状態を示す概略断面図である。
図9】空気清浄装置A1の内部における空気の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
なお、以下に示す内容は本発明を適用した空気清浄装置の一例であり、本発明の内容はこれに限定されるものではなく、適宜設定変更することが可能である。
【0035】
なお、以下の説明においては、図2を基準に、光源3から見たメタルフォーム2の方を前または前方と称し、メタルフォーム2から見た光源3の方を後ろまたは後方と称する。また、図4を基準に、ケース本体12から見たトップパネル13の方を上または上方と称し、トップパネル13から見たケース本体12の方を下または下方と称する。
【0036】
また、以下の説明においては、必要に応じて、部材の前方側の面を前面または前方面と称し、部材の後方側の面を背面または後方面と称する。
【0037】
[本発明の第1の実施の形態]
本発明を適用した空気清浄装置の一例である空気清浄装置A1は、図1に示すような全体外観を有している。
【0038】
また、図2に示すように、空気清浄装置A1は、ケース1と、メタルフォーム2と、光源3と、ファン4を備えている。
【0039】
ケース1は、空気清浄装置A1の各種部材を収容する部材であり、空気清浄装置A1の本体となる部材でもある。
【0040】
また、メタルフォーム2は、ファン4を介してケース1内に吸入された空気を除菌すると共に、空気中に含まれる悪臭成分となる有機物を分解して脱臭するフィルタ部材である。
【0041】
また、光源3は、メタルフォーム2に向けて紫外光を照射する光源部材である。
【0042】
また、ファン4は、空気清浄装置A1の前方からケース1内に空気を導入し、メタルフォーム2を通過した空気をケース1の上方に吹き出して排出する空気の流れを発生させるための部材である。
【0043】
以下、詳細な構造を説明する。
【0044】
[ケース]
ケース1は、フロントパネル10と、フィルタホルダ11と(図3及び図6参照)、ケース本体12と、トップパネル13と(図4及び図6参照)、バックパネル14(図5及び図6参照)を有している。
【0045】
また、フロントパネル10は、フィルタホルダ11の前面を覆うようにケース本体12に取り付けられる部材である。フロントパネル10は、ケース本体12に対して着脱自在かつ開閉可能に設けられている。
【0046】
また、フロントパネル10の下部には切欠き100が形成されている(図3参照)。フロントパネル10がケース本体12に取り付けられた際、フロントパネル10と、ケース本体12の間に、切欠き100により形成される隙間が、ファン4が空気を導入する際の吸気口101となる(図6参照)。
【0047】
また、フロントパネル10がケース本体12に取り付けられた際、フロントパネル10の背面とフィルタホルダ11の前面との間に、空気が通るための空間が形成される。
【0048】
また、フィルタホルダ11は、ケース本体12の前面を塞ぐように設けられる部材である。フィルタホルタ11は、ボルト等によりケース本体12に固定される。
【0049】
また、フィルタホルダ11には、後述するプレフィルタ5、フィルタケース50及び集塵フィルタ6を収容して保持する凹部110が形成されている(図3参照)。また、凹部110は、前方より導入された空気を後方に通すように構成されている。
【0050】
また、ケース本体12は、メタルフォーム2、光源3及びファン4を収容する部材である。
【0051】
また、ケース本体12は、底壁120と、底壁120の両側端部から上方に延びる一対の側壁121と、底壁120及び一対の側壁121で囲まれた空間を前後に区画する隔壁122と、ファン4が導入した空気を、上方の吹出口130へと導く吹出空気誘導板123を有している(図4参照)。
【0052】
また、隔壁122には、空気を通すための正面視で円形状の貫通孔122aが形成されており、この貫通孔122aの前方に、後述する光源ホルダー31及びメタルフォームカバー20を収容する収容部122bが形成されている。
【0053】
また、この収容部122bにメタルフォームカバー20を収容することで、貫通孔122aの前方の開口が、メタルフォーム2により塞がれた状態となる。
【0054】
また、ケース本体12の前面には、インターロック基板124が取り付けられている。インターロック基板124は、フロントパネル10を開けた際に、空気清浄装置A1の動作を停止するための基板である。
【0055】
また、ケース本体12の背面には、制御基板125と、DCジャック基板126が取り付けられている。制御基板125は、装置全体の制御を行う基板であり、DCジャック基板126は、電源装置(ACアダプター)と接続する基板である。
【0056】
また、トップパネル13は、ケース本体12の上部を覆うように設けられる部材である。また、トップパネル13には、ファン4が導入した空気を吹き出すためのスリット状の複数の吹出口130が形成されている(図4及び図6参照)。
【0057】
また、トップパネル13には、空気浄化装置A1の電源のオンオフ、風量の調整、吹出し方向の調整等を行うための操作パネル131が設けられている(図4参照)。また、トップパネル13には、空気浄化装置Aの運転状況等を発光ダイオードの点灯状態等で表示する表示部132が設けられている。
【0058】
また、操作パネル131及び表示部132の上部には、操作パネル131及び表示部132に関する情報を記載した操作シートラベル133が貼り付けられる(図4参照)。
【0059】
さらに、トップパネル13には、操作パネル131の操作に伴い、各部材の駆動を制御する操作基板134が取り付けられている。また、トップパネル13には、ブルーライトLED基板135が取り付けられている。ブルーライトLED基板135は、図示しないブルーライトLEDの点灯を担う基板である。
【0060】
また、バックパネル14は、ファン4の背面側から、ケース本体12の背面を覆うように設けられる部材である。また、バックパネル14は、ケース本体12に対して着脱自在に設けられている。
【0061】
[プレフィルタ及び集塵フィルタ]
図3及び図6に示すように、空気清浄装置A1は、プレフィルタ5と、フィルタケース50と、集塵フィルタ6を有している。
【0062】
また、プレフィルタ5は、集塵フィルタ6よりも前方に設けられており、吸気口101から導入される空気を通過させ、空気中に含まれる塵や埃を除去する物理フィルタである。プレフィルタ5は、例えば、立体織フィルタから構成される。
【0063】
また、プレフィルタ5は、フィルタケース50に着脱自在に取り付けられている。フィルタケース50は、前方より導入された空気を後方に通すように構成されている。
【0064】
また、集塵フィルタ6は、プレフィルタ5を通過した空気から、さらに、塵や埃を除去する物理フィルタである。集塵フィルタ6は、プレフィルタ5で捕捉できない、細かい塵や埃を除去する物理フィルタであり、例えば、網状あるいはスポンジ状の樹脂から構成される。また、集塵フィルタは洗浄して繰り返し使用可能となっている。
【0065】
また、集塵フィルタ6は、プレフィルタ5及びフィルタケース50と共に、フィルタホルダ11の凹部110に収容して保持され、フロントパネル10及びフィルタホルダ11をケース本体12に取り付けることで、フロントパネル10とケース本体12の間に、プレフィルタ5及び集塵フィルタ6が配置された状態となる。
【0066】
ここで、必ずしも、空気清浄装置A1に、プレフィルタ5及び集塵フィルタ6が設けられる必要はない。但し、メタルフォーム2の前方において、ファン4を介して吸気口101から導入された空気中の塵や埃を除去して、メタルフォーム2が目詰まりすることを抑止し、メタルフォーム2の使用可能な期間を伸ばし、保守性を向上できる点から、空気清浄装置A1に、プレフィルタ5及び集塵フィルタ6が設けられることが好ましい。
【0067】
[メタルフォーム]
図4及び図6に示すように、空気清浄装置A1は、メタルフォーム2と、メタルフォームカバー20と、LED光源30と、光源ホルダー31を有している。
【0068】
また、メタルフォーム2は、上述したように、ファン4を介してケース1内に導入された空気を除菌すると共に、空気中に含まれる悪臭成分となる有機物を分解して脱臭するフィルタ部材である。
【0069】
また、メタルフォーム2は、板状の金属体に複数の気孔を形成したスポンジ状の発泡金属であり、ニッケル、クロム、鉄及びアルミからなる合金で形成されている。また、メタルフォーム2は、空気の流路に沿って、その上流側に位置する前方面2aと、下流側に位置する後方面2bを有している(図4参照)。
【0070】
なお、図7(a)にメタルフォーム2の全体図を示し、図7(b)にメタルフォーム2一部の拡大図を示している。図7(b)に示すように、メタルフォーム2は、多数の気孔が形成されたスポンジ状の多孔質金属体となっている。
【0071】
また、メタルフォーム2は、その前方面2a、後方面2b及び外表面より内側に位置する気孔を形成する面には、除菌部材となる銀(Ag)と、光触媒となる二酸化チタン(TiO)を含むコーティング層が形成されている。なお、ここでいう外表面より内側に位置する気孔を形成する面とは、スポンジ状の多孔質金属体において、第1の面や第2の面より内側の領域であり、その内側の領域にある気孔を取り囲む表面部分を意味する。
【0072】
即ち、メタルフォーム2における、その前方面2a、後方面2b及び外表面より内側に位置する気孔を形成する面に、銀及び二酸化チタンを含むコーティング層が塗布され、それぞれの面に銀及び二酸化チタンが担持されている。
【0073】
また、銀は除菌部材である。溶出した銀イオンが、細菌またはウイルスの内部に侵入し、タンパク質と反応して代謝等を阻害することで細菌やウイルスを死滅させる作用機構を有するとされる。
【0074】
この銀が担持されたメタルフォーム2の前方面2a、後方面2b及び外表面より内側に位置する気孔を形成する面を、空気が通過することで、空気中に含まれる細菌やウイルスに銀が作用し、除菌することができる。
【0075】
また、二酸化チタンは有機物分解部材である。二酸化チタンは光触媒であり、二酸化チタンに紫外光を照射することで、これに反応して光触媒作用により活性酸素が生じ、この活性酸素が悪臭成分となる有機物を酸化分解する。
【0076】
この二酸化チタンが担持されたメタルフォーム2の前方面2a、後方面2b及び外表面より内側に位置する気孔を形成する面に紫外光が照射され、そこを空気が通過することで、空気中に含まれる悪臭成分となる有機物が分解され、脱臭することができる。
【0077】
ここで、必ずしも、フィルタ部材としてメタルフォーム2が採用される必要はなく、除菌部材及び有機物分解部材を担持可能な多孔質体であれば、適宜採用することが可能である。また、金属でない多孔質体であれば後述する連続気孔体構造を有していなくてもよい。但し、耐久性が向上する点から、フィルタ部材として、多孔質金属体が用いられることが好ましい。
【0078】
また、必ずしも、メタルフォーム2が、ニッケル、クロム、鉄及びアルミからなる合金で形成される必要はなく、例えば、ニッケルのみや、各種のニッケル合金で形成されたものが採用しうる。
【0079】
また、必ずしも、メタルフォーム2における、外表面より内側に位置する気孔を形成する面に、銀及び二酸化チタンを含むコーティング層が塗布され、それぞれの面に銀及び二酸化チタンが担持される必要はない。但し、メタルフォーム2の前方面2a及び後方面2bだけでなく、外表面より内側に位置する気孔を形成する面にも銀及び二酸化チタンが担持され、メタルフォーム2全体として、より高密度に、銀と二酸化チタンを配置することで、除菌効果及び脱臭効果をより一層向上させることが可能となる。このことから、メタルフォーム2における、外表面より内側に位置する気孔を形成する面に、銀及び二酸化チタンを含むコーティング層が塗布され、それぞれの面に銀及び二酸化チタンが担持されることが好ましい。
【0080】
また、必ずしも、メタルフォーム2に担持される除菌部材として銀が採用される必要はなく、除菌効果を生じる成分であれば適宜採用しうる。例えば、除菌部材として、白金や銅を用いることも可能である。
【0081】
また、必ずしも、メタルフォーム2に担持される有機物分解部材として、二酸化チタンが採用される必要はなく、光に反応して悪臭成分となる有機物を分解する成分であれば適宜採用しうる。例えば、有機物分解部材として、三酸化タングステン(WO)を用いることも可能である。
【0082】
また、メタルフォーム2は、前方面2aから後方面2bまで気孔が繋がって形成された連続気孔体構造を有している。
【0083】
そのため、図8に示すように、LED光源30から照射された紫外光が、メタルフォーム2の連続気孔2cを通って、メタルフォーム2を透過可能となっている。なお、図8では、紫外光が進む方向を、符合Lを付した矢印で模式的に示している。また、吸気口101から吸い込んだ空気が連続気孔2cを通過する。
【0084】
このように、メタルフォーム2が、前方面2aから後方面2bまで気孔が繋がって形成された連続気孔体構造を有することで、メタルフォーム2の後方に配置されたLED光源30から照射された紫外光は、後方面2bに照射されるだけでなく、連続気孔2cを通過して、前方面2aにも紫外光が届くようになる。
【0085】
これにより、メタルフォーム2の前方面2aにおける紫外光が照射された部分では、コーティング層に含まれる二酸化チタンが紫外光に反応して、光触媒作用により悪臭成分となる有機物を分解することが可能となる。
【0086】
つまり、メタルフォーム2の後方側に、1つのLED光源30を配置するだけで、メタルフォーム2の前方面2a及び後方面2bの両方の面で、二酸化チタンの光触媒作用による脱臭効果を生じさせることができる。
【0087】
言い換えれば、LED光源30をメタルフォーム2の前方及び後方の両方に配置する必要がなくなり、装置全体を小型化しやすくなる。
【0088】
また、メタルフォーム2は、厚さが1500μmとなっている。また、メタルフォーム2は、気孔の大きさが150μm~1300μmであり、気孔の平均孔径450μmとなっている。なお、ここでいう気孔の大きさとは、気孔の最大直径を意味する。
【0089】
ここで、必ずしも、メタルフォーム2の厚さが1500μmに限定されるものではなく、空気清浄装置A1のサイズに合わせて適宜設定することができる。また、一例として、空気清浄装置A1を室内環境用のコンパクトなサイズに設定することを考慮すると、メタルフォーム2の厚さは、1200~1800μmに設定されることが好ましい。
【0090】
また、必ずしも、メタルフォーム2は、気孔の大きさが150μm~1300μmであり、気孔の平均孔径450μmに限定される必要はない。但し、メタルフォーム2に、除菌部材及び有機物分解部材を充分に担持させつつ、空気の流れ速度を好適に確保する点から、メタルフォーム2の気孔の大きさは、150μm~1300μmに設定されることが好ましく、また、気孔の平均孔径は、300~490μmに設定されることが好ましい。
【0091】
また、メタルフォーム2は、メタルフォームカバー20に着脱自在に取り付けられている。メタルフォームカバー20は、メタルフォーム2を通過した空気を後方に通すように構成されている。
【0092】
[光源]
図4に示すように、光源3は、LED光源30と、光源ホルダー31を有している。LED光源30は、LED基板に2つの紫外光LEDランプを配置して構成され、365nmの波長を有する紫外光を発する。また、LED光源30は、光源ホルダー31に着脱自在に取り付けられている。
【0093】
また、LED光源30及び光源ホルダー31は、メタルフォーム2の後方に配置され、メタルフォーム2の後方面2bに向けて紫外光を照射するように構成されている。また、上述したように、LED光源30から照射された紫外光は、メタルフォーム2の連続気孔2cを通過することで、メタルフォーム2を透過して、前方面2aの方に届くようになっている。
【0094】
ここで、必ずしも、LED光源30及び光源ホルダー31は、メタルフォーム2の後方に配置される必要はない。例えば、LED光源30及び光源ホルダー31をメタルフォーム2の前方に配置して、メタルフォーム2の前方面2aに向けて紫外光を照射する構成とすることも可能である。
【0095】
また、必ずしも、LED光源30が、LED基板に2つの紫外LEDランプを配置して構成される必要はなく、紫外光を照射可能であれば、LED光源30の構造や、紫外光LEDランプの数は、特に限定されるものではない。
【0096】
また、必ずしも、LED光源30から照射される紫外光の波長が365nmに限定される必要はない。例えば、LED光源30から照射される紫外光の波長は、200nm以上かつ400nm未満の範囲で設定することも可能である。
【0097】
[ファン]
ファン4は、ケース本体12の背面と、バックパネル14との間に配置されている。また、ファン4は、ケース本体12の貫通孔122aを後方から塞ぐように、ボルト等によりケース本体12に固定される(図4図5及び図6参照)。また、ファン4はブロワーファンを用いている。
【0098】
また、図5に示すように、ファン4の前方及び後方に、モーターゴム40が配置されている。モーターゴム40は、ファン4の駆動時のモーターの振動を吸収する部材である。また、ファン4は、2つのポジションゴム41を介して、配置位置が位置決めされている。
【0099】
図9に示すように、ファン4は、前方から空気を導入し、吸引した空気を上方に吹き出すように構成されている。また、吹出空気誘導板123は、ファン4が吹き出した空気を、前方かつ上方の斜め方向に導くように、傾斜して配置されている。なお、図9では、図中に記載した矢印により空気の流れを示している。
【0100】
また、吹出空気誘導板123の間を通過した空気は、トップパネル13の複数の吹出口130から、上方に排出される。このように、ファン4が空気を導入することで、メタルフォーム2を通過する空気の流れを形成することができる。
【0101】
ここで、必ずしも、ファン4としてブロワーファンが用いられ、ファン4がケース本体12の背面側に配置される必要はない。例えば、空気の流れを形成する装置として、送風ファンを採用して、送風ファンを空気清浄装置A1の中の前方部分に配置して、空気の流れを形成する構造とすることもできる。但し、装置を小型化しやすくなる点から、ファン4としてブロワーファンが用いられ、ファン4がケース本体12の背面側に配置されることが好ましい。
【0102】
以上説明した、本発明の第1の実施の形態である空気清浄装置A1では、メタルフォーム2をフィルタ部材として用い、その前方面2a、後方面2b及び外表面より内側に位置する気孔を形成する面に、銀及び二酸化チタンを含むコーティング層が塗布され、それぞれの面に銀及び二酸化チタンが担持されたことで、細菌やウイルスに対する除菌と、二酸化チタンに紫外光を照射して生じる光触媒作用に基づく有機物分解を行うことができる。
【0103】
また、空気清浄装置A1では、メタルフォーム2における、外表面より内側に位置する気孔を形成する面にも銀及び二酸化チタンが担持されるため、除菌部材と有機物分解部材が高密度に配置されたフィルタ部材となる。このことにより、メタルフォーム2全体での、細菌やウイルスに対する除菌効果と、悪臭成分となる有機物分解による脱臭効果を、充分に高めることができる。
【0104】
また、空気清浄装置A1では、除菌部材及び有機物分解部材を担持させるフィルタ部材として、メタルフォーム2を用いたことで、フィルタ部材に板状の基材を用いたものと比較して、その前方面2a及び後方面2bの表面積が大きくなる。この結果、前方面2a及び後方面2bで担持できる除菌部材及び有機物分解部材の量が多くなり、細菌やウイルスに対する除菌効果と、悪臭成分となる有機物分解による脱臭効果を、充分に高めることができる。
【0105】
また、空気清浄装置A1では、メタルフォーム2が、前方面2aから後方面2bまで気孔が繋がって形成された連続気孔体構造を有することから、連続気孔2cを紫外光が透過可能となり、メタルフォーム2の後方側に1つのLED光源30を配置するだけで、メタルフォーム2の前方面2a及び後方面2bの両方の面で、二酸化チタンの光触媒作用による脱臭の効果を生じさせることができ、装置全体を小型化することができる。
【0106】
[本発明の第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、上述した本発明の第1の実施の形態である空気清浄装置A1と共通する部材については、同一の符合を付すと共に説明を省略する。以下では、本発明の第1の実施の形態である空気清浄装置A1と異なる点を中心に説明を行う。
【0107】
本発明を適用した空気清浄装置の一例である空気清浄装置A2は、フィルタ部材であるメタルフォームにおける、除菌部材及び有機物分解部材の担持する構造が空気清浄装置A1と異なっている。
【0108】
より詳細には、空気清浄装置A2におけるメタルフォームでは、空気の流路の方向における上流側の面、即ち、メタルフォームの前方面に銀が担持され、後方面に二酸化チタンが担持されている。
【0109】
また、空気清浄装置A2におけるメタルフォームでは、前方面より内側に位置する気孔を形成する面に銀が担持され、後方面より内側に位置する気孔を形成する面に二酸化チタンが担持されている。
【0110】
これにより、前方面側に銀を、後方面側で二酸化チタンを、それぞれ高密度に配置できる。
【0111】
この空気清浄装置A2では、集塵フィルタ6を通過した空気が、メタルフォームの前方面に到達すると、メタルフォームの前方面及び前方面より内側に位置する気孔を形成する面で担持された銀により、空気中に含まれる細菌やウイルスが除菌される。
【0112】
また、空気清浄装置A2では、メタルフォームより背面の方に、LED光源30が配置され、メタルフォームの後方面に向けて紫外光が照射される。そのため、メタルフォームの後方面及び後方面より内側に位置する気孔を形成する面で担持された二酸化チタンが、紫外光に反応して、光触媒作用を生じ、悪臭成分となる有機物を分解する。
【0113】
また、空気清浄装置A2のメタルフォームの後方面では、紫外光が空気中の細菌やウイルスに直接照射され、紫外光の作用によっても、細菌やウイルスが除菌される。即ち、紫外光による補足的な除菌効果が得られるものとなる。
【0114】
また、空気清浄装置A2におけるメタルフォームでは、メタルフォーム2と同様に、前方面から後方面まで気孔が繋がって形成された連続気孔体構造を有している。そのため、LED光源30から照射された紫外光は、連続気孔を通過して、メタルフォームを透過可能となっている。
【0115】
また、LED光源30から照射された紫外光は、メタルフォームの後方面に照射されると共に、連続気孔を透過して、メタルフォームの前方面側に届く。そのため、メタルフォームの前方面でも、紫外光が空気中の細菌やウイルスに直接照射され、紫外光の作用によって、細菌やウイルスが除菌される。
【0116】
つまり、空気清浄装置A2におけるメタルフォームの前方面では、銀による除菌と、紫外光による補足的な除菌が生じ、装置全体として、高い除菌効果を得ることができる。
【0117】
ここで、必ずしも、空気清浄装置A2のメタルフォームでは、空気の流路の方向における上流側の面、即ち、メタルフォームの前方面に銀が担持され、後方面に二酸化チタンが担持される必要はない。例えば、メタルフォームの前方面に二酸化チタンが担持され、後方面に銀が担持される構造も採用しうる。
【0118】
また、必ずしも、空気清浄装置A2で、光源から紫外光が照射され、かつ、メタルフォームに、紫外光に応答する二酸化チタンが担持される必要はない。例えば、光源から可視光を照射し、メタルフォームに可視光に応答する光触媒、例えば、三酸化タングステンを担持させる構造も採用しうる。但し、紫外光が空気中の細菌やウイルスに直接照射されることで、紫外光による除菌効果も補足的に生じ、装置全体の除菌効果を、より一層高めることができる点から、空気清浄装置A2で、光源から紫外光が照射され、かつ、メタルフォームに、紫外光に応答する二酸化チタンが担持されることが好ましい。
【0119】
以上説明した、本発明の第2の実施の形態である空気清浄装置A2では、メタルフォームをフィルタ部材として用い、その前方面及び前方面より内側に位置する気孔を形成する面に、銀が担持されたことで、細菌やウイルスに対する除菌を行うことができる。
【0120】
また、メタルフォームの前方面では、連続気孔を通過した紫外光が、空気中の細菌やウイルスに直接照射されることで、紫外光によっても除菌を行うことができる。
【0121】
また、本発明の第2の実施の形態である空気清浄装置A2では、メタルフォームの後方面及び後方面より内側に位置する気孔を形成する面に、二酸化チタンが担持されたことで、二酸化チタンに紫外光を照射して生じる光触媒作用に基づく有機物分解を行うことができる。
【0122】
また、空気清浄装置A2では、メタルフォームの前方面及び後方面の内側に位置する気孔を形成する面にも銀または二酸化チタンが担持されるため、除菌部材と有機物分解部材が高密度に配置されたフィルタ部材となる。このことにより、メタルフォーム全体での、細菌やウイルスに対する除菌効果と、悪臭成分となる有機物分解による脱臭効果を、充分に高めることができる。
【0123】
[本発明の第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、上述した本発明の第1の実施の形態である空気清浄装置A1及び本発明の第2の実施の形態である空気清浄装置A2と共通する部材については、同一の符合を付すと共に説明を省略する。以下では、本発明の第1の実施の形態である空気清浄装置A1及び本発明の第2の実施の形態である空気清浄装置A2と異なる点を中心に説明を行う。
【0124】
本発明を適用した空気清浄装置の一例である空気清浄装置A3は、フィルタ部材であるメタルフォームにおいて、有機物分解部材のみを担持する構造が、空気清浄装置A1及び空気清浄装置A2と異なっている。
【0125】
より詳細には、空気清浄装置A3におけるメタルフォームでは、空気の流路の方向における下流側の面、即ち、メタルフォームの後方面に二酸化チタンが担持されている。
【0126】
また、空気清浄装置A3におけるメタルフォームでは、後方面より内側に位置する気孔を形成する面に二酸化チタンが担持されている。
【0127】
これにより、メタルフォームの後方面側で二酸化チタンを高密度に配置できる。
【0128】
この空気清浄装置A3では、メタルフォームより背面の方に、LED光源30が配置され、メタルフォームの後方面に向けて紫外光が照射される。そのため、メタルフォームの後方面及び後方面より内側に位置する気孔を形成する面で担持された二酸化チタンが、紫外光に反応して、光触媒作用を生じ、悪臭成分となる有機物を分解する。
【0129】
ここで、必ずしも、空気清浄装置A3のメタルフォームでは、空気の流路の方向における下流側の面、即ち、メタルフォームの後方面に二酸化チタンが担持される必要はない。例えば、メタルフォームの前方面に二酸化チタンが担持される態様や、メタルフォームの前方面及び後方面の両方に二酸化チタンが担持される態様とすることもできる。
【0130】
また、メタルフォームの前方面及び後方面の両方に二酸化チタンが担持される際には、メタルフォームが、前方面から後方面まで気孔が繋がって形成された連続気孔体構造を有する構造とすることもできる。これにより、LED光源30から照射された紫外光は、メタルフォームの後方面に照射されると共に、連続気孔を透過して、メタルフォームの前方面側に届き、メタルフォームより背面の方に、1つのLED光源30が配置されれば足りる構造となる。
【0131】
以上説明した、本発明の第3の実施の形態である空気清浄装置A3では、メタルフォームの後方面及び後方面より内側に位置する気孔を形成する面に、二酸化チタンが担持されたことで、二酸化チタンに紫外光を照射して生じる光触媒作用に基づく有機物分解を行うことができる。
【0132】
また、空気清浄装置A3では、メタルフォームの後方面の内側に位置する気孔を形成する面にも二酸化チタンが担持されるため、有機物分解部材が高密度に配置されたフィルタ部材となる。このことにより、メタルフォーム全体での、悪臭成分となる有機物分解による脱臭効果を、充分に高めることができる。
【0133】
以上のように、本発明の空気清浄装置は、空気中の細菌やウイルス、悪臭となるガス成分等を充分に分解または除去することが可能なものとなっている。
【0134】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0135】
A1 空気清浄装置
1 ケース
10 フロントパネル
100 切欠き
101 吸気口
11 フィルタホルダ
110 凹部
12 ケース本体
120 底壁
121 側壁
122 隔壁
122a 貫通孔
122b 収容部
123 吹出空気誘導板
124 インターロック基板
125 制御基板
126 DCジャック基板
13 トップパネル
130 吹出口
131 操作パネル
132 表示部
133 操作シートラベル
134 操作基板
135 ブルーライトLED基板
14 バックパネル
2 メタルフォーム
2a 前方面
2b 後方面
2c 連続気孔
20 メタルフォームカバー
3 光源
30 LED光源
31 光源ホルダー
4 ファン
40 モーターゴム
41 ポジションゴム
5 プレフィルタ
50 フィルタケース
6 集塵フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9