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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006643
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】フロア構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 26/02 20060101AFI20250109BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20250109BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20250109BHJP
   B60T 7/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B60K26/02
B60R13/02 Z
G05G1/30 E
B60T7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107563
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本崎 正規
(72)【発明者】
【氏名】大森 慎介
(72)【発明者】
【氏名】須崎 滋之
【テーマコード(参考)】
3D023
3D037
3D124
3J070
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB25
3D023BC01
3D023BD04
3D023BE24
3D037EA01
3D037EA06
3D037EB02
3D037EC01
3D037EC07
3D037EC09
3D124AA33
3D124BB01
3D124CC31
3D124DD09
3D124DD61
3D124DD73
3J070AA32
3J070BA11
3J070CA02
3J070CB37
3J070CC71
3J070DA01
(57)【要約】
【課題】ペダルの格納状態において、乗員が受ける違和感を低減する。
【解決手段】フロア構造10では、運転席の車両前方側で車両12のフロア14に設けられた内装材20に複数のスリット24、26が形成されている。複数のスリット24、26には、アクセルペダル30及びブレーキペダル40が有する複数のリブ34、44がそれぞれ挿通されている。アクセルペダル30及びブレーキペダル40は、複数のリブ34、44が内装材20の表面20Aから車両後方側へ突出する突出位置と、複数のリブ34、44の先端面34A、44Aが内装材20の表面20Aと同一面上に配置される格納位置との間でアクチュエータによって移動される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席の車両前方側で車両のフロアに設けられ、車両幅方向に並ぶ複数のスリットが形成された内装材と、
前記複数のスリットに挿通された複数のリブを有するペダルと、
前記複数のリブが前記内装材の表面から車両後方側へ突出する突出位置と、前記複数のリブの先端面が前記内装材の前記表面と同一面上に配置される格納位置との間で前記ペダルを移動させるアクチュエータと、
を備えたフロア構造。
【請求項2】
前記ペダルは、アクセルペダルとブレーキペダルとを含む請求項1に記載のフロア構造。
【請求項3】
前記アクセルペダルは、下端部を中心に回転可能なオルガン式ペダルである請求項2に記載のフロア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されたアクセル装置では、ペダルレバーを支持するインナーハウジングがアウターハウジングに対してアクチュエータによって移動されることにより、ペダルレバーが格納され、ペダルレバーの表面がフロアの表面と略同一面上に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-127180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の先行技術では、ペダルレバーの格納状態であっても、ペダルレバーの表面とフロアの表面とで踏み心地が異なるため、乗員が違和感を受ける可能性があり、改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、ペダルの格納状態において、乗員が受ける違和感を低減することができるフロア構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様のフロア構造は、運転席の車両前方側で車両のフロアに設けられ、車両幅方向に並ぶ複数のスリットが形成された内装材と、前記複数のスリットに挿通された複数のリブを有するペダルと、前記複数のリブが前記内装材の表面から車両後方側へ突出する突出位置と、前記複数のリブの先端面が前記内装材の前記表面と同一面上に配置される格納位置との間で前記ペダルを移動させるアクチュエータと、を備えている。
【0007】
第1の態様では、運転席の車両前方側で車両のフロアに設けられた内装材に複数のスリットが形成されている。複数のスリットには、ペダルが有する複数のリブが挿通されている。このペダルは、複数のリブが内装材の表面から車両後方側へ突出する突出位置と、複数のリブの先端面が内装材の表面と同一面上に配置される格納位置との間でアクチュエータによって移動される。この格納位置にペダルが位置する状態では、ペダルの複数のリブと内装材の表面とが同化するため、乗員が受ける違和感を低減することができる。
【0008】
第2の態様のフロア構造は、第1の態様において、前記ペダルは、アクセルペダルとブレーキペダルとを含む。
【0009】
第2の態様では、アクセルペダル及びブレーキペダルが格納位置に格納されると、アクセルペダル及びブレーキペダルが有する複数のリブと内装材の表面とが同化するため、乗員が受ける違和感を低減することができる。
【0010】
第3の態様のフロア構造は、第2の態様において、前記アクセルペダルは、下端部を中心に回転可能なオルガン式ペダルである。
【0011】
第3の態様では、アクセルペダルがオルガン式ペダルであるため、乗員がアクセル操作をしやすくなり、乗員の右足が疲れにくくなる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明に係るフロア構造では、ペダルの格納状態において、乗員が受ける違和感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係るフロア構造が適用されて構成された車両の車室前部における運転席の前方部分の構成を示す斜視図である。
図2】内装材の一部を示す正面図である。
図3】ペダルを示す斜視図である。
図4】ペダル及びアクチュエータの周辺の構成を示す側面図であり、ペダルが突出位置に位置する状態の図である。
図5】ペダル及びアクチュエータの周辺の構成を示す側面図であり、ペダルが格納位置に位置する状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図5を参照して本発明の一実施形態に係るフロア構造10について説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印LHは、フロア構造10が適用された車両12の前方向(進行方向)、上方向、左方向をそれぞれ示している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合、特に断りのない限り、車両12の前後方向、左右方向(幅方向)、上下方向を示すものとする。
【0015】
図1に示されるように、本実施形態に係るフロア構造10が適用された車両12の車室前部には、インストルメントパネル16と、ステアリングホイール18と、内装材20と、アクセルペダル30と、ブレーキペダル40とが設けられている。ステアリングホイール18、内装材20、アクセルペダル30及びブレーキペダル40は、図示しない運転席の前方に配置されている。この車両12は、自動運転と手動運転とを切替可能に構成されている。
【0016】
内装材20は、インストルメントパネル16の下方側に配置されており、車両12のフロア14に設けられている。この内装材20は、例えば繊維強化樹脂によって略板状に構成されており、フロア14の一部を構成している。この内装材20は、アクセルペダル30を収容するためのペダル収容部であるアクセルペダル収容部22(図4及び図5参照)と、ブレーキペダル40を収容するためのペダル収容部であるブレーキペダル収容部(図示省略)とを車両後方側から覆っている。
【0017】
図1及び図2に示されるように、内装材20においてアクセルペダル収容部22を覆う部位には、車両幅方向に並ぶ複数のスリット24が形成されている。同様に、内装材20においてブレーキペダル収容部を覆う部位には、車幅方向に並ぶ複数のスリット26(図1参照)が形成されている。また、内装材20の表面20Aには、スリット24、26と同様の縞状の縞模様が形成されている。
【0018】
アクセルペダル30は、例えば繊維強化樹脂によって構成されており、後方側から見て上下方向を長手とする長尺状をなしている。図3に示されるように、アクセルペダル30は、板状のペダル本体32と、ペダル本体32の板厚方向一方側の面からペダル本体32の板厚方向一方側へ一体に延出された複数の板状のリブ34とを有している。複数のリブ34は、車両幅方向を板厚方向とする板状をなしており、車両幅方向に等間隔に並んでいる。
【0019】
アクセルペダル30の複数のリブ34は、内装材20の複数のスリット24に挿通されており、アクセルペダル30のペダル本体32は、内装材20の前方側に配置されている。図4及び図5に示されるように、ペダル本体32の前方側には、支持部材50が配置されている。支持部材50は、例えば金属によって板状に形成されている。なお、支持部材50の材料や形状は一例であり、適宜変更可能である。
【0020】
ペダル本体32の下端部には、前方側に突出したヒンジ部36が設けられており、支持部材50の下端部には、後方側へ突出したヒンジ部52が設けられている。これらヒンジ部36、52は、車幅方向を軸線方向とする支軸54によって互いに回転可能に連結されている。これにより、アクセルペダル30が支軸54回りに回転可能に支持部材50に連結されている。このアクセルペダル30は、支軸54が設けられた下端部を中心に回転可能なオルガン式ペダルとされている。
【0021】
ペダル本体32と支持部材50との間には、付勢部材56(ここでは圧縮コイルスプリング)が配置されている。これにより、アクセルペダル30は、支持部材50に対して図4及び図5に示される非操作位置へと付勢されている。このアクセルペダル30が車両12の運転者によって前方側へ踏み込まれると、アクセルペダル30が支軸54回りに前方側へ回転する(図4の矢印R参照)。
【0022】
アクセルペダル30の支軸54回りの回転は、アクセル開度センサ58によって検出されるように構成されている。アクセル開度センサ58は、例えば支軸54に埋め込まれた図示しない永久磁石の向きを検出するホール素子を含む検出回路を有している。このアクセル開度センサ58は、車両12に搭載された制御装置である制御ECU60に電気的に接続されている。
【0023】
制御ECU60は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージ及び入出力インターフェースを含んで構成されたマイクロコンピュータである。この制御ECU60は、車両12が手動運転のモードとされているときには、アクセル開度センサ58からの出力に基づいて、車両12のスロットルバルブを電気的に駆動するように構成(所謂スロットルバイワイヤ方式が採用)されている。
【0024】
上記のアクセルペダル30を支持する支持部材50は、当該支持部材50の前方側に配置されたアクチュエータ62に支持されている。アクチュエータ62は、例えばモータ及び送りねじ機構を有しており、図示しない車体に固定されている。このアクチュエータ62は、支持部材50及びアクセルペダル30を略前後方向に駆動可能とされている。このアクチュエータ62による駆動により、アクセルペダル30が図4に示される突出位置と図5に示される格納位置との間で移動される構成とされている。
【0025】
このアクチュエータ62は、前述した制御ECU60と電気的に接続されており、制御ECU60によって作動を制御される。制御ECU60は、車両12が手動運転モードとされているときには、アクセルペダル30を突出位置に配置させ、車両12が自動運転モードとされているときには、アクセルペダル30を格納位置に配置させるように構成されている。
【0026】
アクセルペダル30が突出位置に位置する突出状態では、図4に示されるように、複数のリブ34が内装材20の表面20Aから後方側へ突出する。この突出状態では、乗員によるアクセルペダル30の踏み込み操作が可能となる。アクセルペダル30が格納位置に位置する格納状態では、図5に示されるように、複数のリブ34の先端面34Aが内装材20の表面20Aと同一面上に配置されるように構成されている。
【0027】
図1に示されるように、ブレーキペダル40は、例えば繊維強化樹脂によって構成されており、後方側から見て左右方向を長手とする長尺状をなしている。ブレーキペダル40は、図示しない板状のペダル本体と、ペダル本体の板厚方向一方側の面からペダル本体32の板厚方向一方側へ一体に延出された複数の板状のリブ44とを有している。複数のリブ44は、車両幅方向を板厚方向とする板状をなしており、車両幅方向に等間隔に並んでいる。
【0028】
ブレーキペダル40の複数のリブ44は、内装材20の複数のスリット26に挿通されており、ブレーキペダル40のペダル本体は、内装材20の前方側に配置されている。このブレーキペダル40は、内装材20の前方側に配置された図示しない支持部材によって略前後方向に移動可能に支持されており、車両12のブレーキマスターシリンダー(図示省略)に機械的に連結されている。このブレーキペダル40が車両12の運転者によって前方側へ踏み込まれると、車両12のブレーキが作動するように構成されている。
【0029】
ブレーキペダル40を支持する支持部材は、前述したアクチュエータ62と同様のアクチュエータに取り付けられている。このアクチュエータは、前述した制御ECU60と電気的に接続されており、制御ECU60によって作動を制御される。制御ECU60は、車両12が手動運転モードとされているときには、ブレーキペダル40を図1に示される突出位置に配置させ、車両12が自動運転モードとされているときには、ブレーキペダル40を図示しない格納位置に配置させるように構成されている。
【0030】
ブレーキペダル40が突出位置に位置する突出状態では、図1に示されるように、複数のリブ44が内装材20の表面20Aから後方側へ突出する。この突出状態では、乗員によるブレーキペダル40の踏み込み操作が可能となる。ブレーキペダル40が格納位置に位置する格納状態では、複数のリブ44の先端面44Aが内装材20の表面20Aと同一面上に配置されるように構成されている。なお、本実施形態における「同一面上」は、厳密に同一面上である必要はなく、略同一面上であってもよい。
【0031】
上記構成のフロア構造10では、運転席の前方側で車両12のフロア14に設けられた内装材20に複数のスリット24、26が形成されている。複数のスリット24、26には、アクセルペダル30及びブレーキペダル40が有する複数のリブ34、44がそれぞれ挿通されている。アクセルペダル30は、複数のリブ34が内装材20の表面20Aから後方側へ突出する突出位置と、複数のリブ34の先端面34Aが内装材20の表面20Aと同一面上に配置される格納位置との間でアクチュエータ62によって移動される。同様に、ブレーキペダル40は、複数のリブ44が内装材20の表面20Aから後方側へ突出する突出位置と、複数のリブ44の先端面44Aが内装材20の表面20Aと同一面上に配置される格納位置との間でアクチュエータによって移動される。
【0032】
アクセルペダル30及びブレーキペダル40が格納位置に位置する状態では、アクセルペダル30及びブレーキペダル40の複数のリブ34、44と、内装材20の表面20Aとが同化する。このため、背景技術の欄で説明した先行技術のようにペダルレバーの表面とフロアの表面とで踏み心地が異なる構成と比較して、乗員が受ける違和感を低減することができる。
【0033】
しかも、このフロア構造10では、内装材20の表面20Aに、複数のスリット24、26と同様の縞状の縞模様が形成されている。そして、複数のスリット24、26に複数のリブ34、44が挿通されたアクセルペダル30及びブレーキペダル40は、上記の縞模様と同様の縞状の外観を有している。これにより、内装材20、アクセルペダル30及びブレーキペダル40が整然とした斬新な外観を呈する。
【0034】
また、このフロア構造10では、アクセルペダル30がオルガン式ペダルであるため、乗員のアクセル操作の際のアクセルペダル30の軌跡と乗員の足裏の軌跡とが同様になるため、乗員がアクセル操作をしやすくなり、乗員の右足が疲れにくくなる。しかも、微妙なアクセルコントロールがしやすくなるため、車両12の燃費又は電費の向上に寄与する。
【0035】
なお、上記実施形態では、アクセルペダル30及びブレーキペダル40が本発明におけるペダルである構成にしたが、これに限るものではない。例えばアクセルペダル及びブレーキペダルの一方のみが本発明のペダルである構成にしてもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、アクセルペダル30がオルガン式ペダルである構成にしたが、これに限るものではない。例えばアクセルペダルが吊り下げ式ペダルである構成にしてもよい。
【0037】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10 フロア構造
12 車両
14 フロア
20 内装材
20A 表面
24 スリット
26 スリット
30 アクセルペダル
34 リブ
34A 先端面
40 ブレーキペダル
44 リブ
44A 先端面
62 アクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5