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特開2025-6644熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パック
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  • 特開-熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パック 図1
  • 特開-熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パック 図2
  • 特開-熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パック 図3
  • 特開-熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パック 図4
  • 特開-熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パック 図5
  • 特開-熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パック 図6
  • 特開-熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パック 図7
  • 特開-熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パック 図8
  • 特開-熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パック 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006644
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パック
(51)【国際特許分類】
   B21D 53/04 20060101AFI20250109BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20250109BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20250109BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20250109BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20250109BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20250109BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20250109BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20250109BHJP
   F28D 1/03 20060101ALI20250109BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20250109BHJP
   B21D 26/021 20110101ALI20250109BHJP
   F28F 3/06 20060101ALI20250109BHJP
   F28F 3/12 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B21D53/04 C
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/625
H01M10/6554
H01M10/6556
H01M50/204 401H
H01M50/209
F28D1/03
F28F21/08 A
B21D26/021
F28F3/06 A
F28F3/12 C
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107564
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 修
【テーマコード(参考)】
3L103
4E137
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103BB19
3L103BB37
3L103CC01
3L103DD54
4E137AA01
4E137BA05
4E137BB01
4E137BC04
4E137CA15
4E137CA24
4E137GA01
4E137GA12
4E137GB10
5H031AA09
5H031CC01
5H031EE01
5H031KK08
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】両主面が平坦な熱交換器を製造することができる熱交換器の製造方法を提供する。
【解決手段】本開示の熱交換器の製造方法で製造される熱交換器は、特定の第1金属板及び第2金属板と、前記第1金属板と前記第2金属板との間に配置され、第3金属板がつづら折り状に形成されたつづら折り状金属板と、備える。前記つづら折り状金属板は、前記第1金属板に接合された複数の山部と、前記第2金属板に接合された複数の谷部と、を有する。前記第3金属板は、前記第1金属板及び前記第2金属板の各々よりも変形しやすい。当該方法は、前記第1金属板、前記第3金属板及び前記第2金属板をこの順で積層して積層板を作製することと、前記積層板の前記山部に対応する領域において前記第1金属体及び前記第3金属板を接合することと、前記積層板の前記谷部に対応する領域において前記第2金属体及び前記第3金属板を接合することと、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を製造する方法であって、
前記熱交換器が、少なくとも1つの第1貫通孔を有する第1金属板と、少なくとも1つの第2貫通孔を有する第2金属板と、前記第1金属板と前記第2金属板との間に配置され、第3金属板がつづら折り状に形成されたつづら折り状金属板と、備え、
前記つづら折り状金属板が、前記第1金属板に接合された複数の山部と、前記第2金属板に接合された複数の谷部と、を有し、
前記第1金属板と前記つづら折り状金属板との間に前記第1貫通孔と連通する第1流路と、前記第2金属板と前記つづら折り状金属板との間に前記第2貫通孔と連通する第2流路と、が形成されており、
前記第3金属板が、前記第1金属板及び前記第2金属板の各々よりも変形しやすく、
前記第1金属板、前記第3金属板及び前記第2金属板をこの順で積層して、積層板を作製することと、
前記積層板の前記山部に対応する領域において、前記第1金属体及び前記第3金属板を接合することと、
前記積層板の前記谷部に対応する領域において、前記第2金属体及び前記第3金属板を接合することと、を有する熱交換器の製造方法。
【請求項2】
前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の各々に流体を圧入して、前記第3金属板を押し広げることを更に有する、請求項1に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項3】
前記つづら折り状金属板が、前記第1流路と前記第2流路とを連通する第3貫通孔を有さず、
前記複数の山部が、前記熱交換器の厚み方向に直交する第1方向に沿って第1間隔を空けて形成された複数の第1山部を含み、
前記複数の谷部が、前記第1方向に沿って第2間隔を空けて形成された複数の第1谷部を含む、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項4】
前記第1山部及び前記第1谷部の各々が、前記第1方向及び前記熱交換器の厚み方向の各々に直交する第2方向に沿って、延在しており、
前記第1山部と前記第1谷部とが、前記第1方向に沿って、交互に形成されている、請求項3に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項5】
前記第1金属板及び前記第2金属板の各々が、6000系アルミニウム合金を含み、
前記第3金属板が、1000系アルミニウムを含む、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項6】
前記第1金属板及び前記第2金属板の各々の厚みが、1.00mm以上であり、
前記第3金属板の厚みが、1.00mm未満である、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項7】
前記つづら折り状金属板が、前記第1流路と前記第2流路とを連通する少なくとも1つの第3貫通孔を更に有し、
前記複数の山部が、前記熱交換器の厚み方向に直交する第1方向に沿って第1間隔を空けて形成された複数の第1山部を含み、
前記複数の谷部が、前記第1方向に沿って第2間隔を空けて形成された複数の第1谷部を含み、
前記第1間隔と前記第2間隔とが、等しい、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項8】
前記第1金属板に前記複数の山部を接合するための第1ロウ材層が前記第1金属板の一方の主面に形成された第1ブレージングシート、及び前記第2金属板に前記複数の谷部を接合するための第2ロウ材層が前記第2金属板の一方の主面に形成された第2ブレージングシートを準備することと、
前記第1ロウ材層の主面のうち前記複数の山部が接合される領域を除いた領域に、第1離型剤を塗布して、離型剤付き第1ブレージングシートを作製することと、
前記第2ロウ材層の主面のうち前記複数の谷部が接合される領域を除いた領域に、第2離型剤を塗布して、離型剤付き第2ブレージングシートを作製することと、
を更に有し、
前記積層板を作製することにおいて、前記第1金属板、前記第1ロウ材層、前記第3金属板、前記第2ロウ材層、及び前記第2金属板がこの順に積層されるように、前記離型剤付き第1ブレージングシート、前記第3金属板及び前記第2ブレージングシートを積層して、前記積層板を作製し、
前記第1金属板及び前記第3金属板を接合すること、及び前記第2金属板及び前記第3金属板を接合することにおいて、前記積層板を加熱して、前記第1金属板及び前記第3金属板をロウ付けするとともに、前記第2金属板及び前記第3金属板をロウ付けする、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項9】
少なくとも1つの第1貫通孔を有する第1金属板と、少なくとも1つの第2貫通孔を有する第2金属板と、前記第1金属板と前記第2金属板との間に配置され、第3金属板がつづら折り状に形成されたつづら折り状金属板と、備え、
前記つづら折り状金属板が、前記第1金属板に接合された複数の山部と、前記第2金属板に接合された複数の谷部と、を有し、
前記第1金属板と前記つづら折り状金属板との間に前記第1貫通孔と連通する第1流路と、前記第2金属板と前記つづら折り状金属板との間に前記第2貫通孔と連通する第2流路と、が形成されており、
前記つづら折り状金属板が、前記第1金属板及び前記第2金属板の各々よりも変形しやすい、熱交換器。
【請求項10】
前記第1金属板の表主面及び前記第2金属板の表主面の各々が、平面状である、請求項9に記載の熱交換器。
【請求項11】
厚さが、10mm以下である、請求項9に記載の熱交換器。
【請求項12】
積層された複数の蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールの積層方向で隣り合う前記蓄電モジュール間に設けられた、請求項9~11のいずれか1項に記載の複数の熱交換器と、
を備え、
前記複数の蓄電モジュールの各々が、セパレータを介して前記蓄電モジュールの積層方向に沿って積層された複数の電極を含む電極積層体と、隣り合う前記電極間に形成される内部空間に収容された電解液と、前記電極積層体の積層方向に沿う側面を取り囲むとともに前記内部空間を封止する封止体と、を有し、
前記複数の電極が、負極終端電極と、正極終端電極と、前記負極終端電極及び前記正極終端電極の間に積層された複数のバイポーラ電極と、を有し、
前記複数のバイポーラ電極の各々が、電極板と、前記電極板の第1面に設けられた正極と、前記電極板の第2面に設けられた負極と、を有し、
前記電極積層体が、前記積層方向の一端及び他端において前記封止体から露出する電極露出部位を有し、
前記積層方向で隣り合う前記蓄電モジュール間において、互いに対向する前記電極露出部位間に前記熱交換器が、接触配置されている、蓄電装置。
【請求項13】
請求項12に記載の蓄電装置と、前記蓄電装置を収容するロアケースと、を備える、蓄電装置パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱交換対象物(例えば、電池)を冷却又は加熱するために、熱交換器が用いられている。
【0003】
特許文献1は、熱交換器の製造方法を開示している。特許文献1に開示の製造方法は、周辺溶接工程と、減圧工程と、内部溶接工程と、膨出工程と、を有する。周辺溶接工程、減圧工程、内部溶接工程、及び膨出工程は、この順に実施される。特許文献1に開示の製造方法によれば、図9に示す熱交換器900が得られる。熱交換器900は板状物である。
【0004】
周辺溶接工程では、2枚の板材910,920を重ね合わせて外周端面において全周を、レーザーで溶接930を形成する。減圧工程では、2枚の板材910,920の各々の板面に予め設けておいた口部から2枚の板材910,920間の隙間に残る空気を外部へ真空ポンプで吸引排出する。内部溶接工程では、2枚の板材910,920間の隙間を減圧保持した状態で、2枚の板材910,920の板面において2枚の板材910,920同士をレーザーで溶接940を形成して、膨出部901と非膨出部902とに分ける。膨出工程では、膨出部901に流体を圧入して膨出変形させる。
【0005】
熱交換器100では、膨出部901に流体を通すことで、膨出部901を通る流体と、熱交換器100の外側になる周囲の流体との熱交換が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-111640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
熱交換器100は、図9に示すように、両主面に凹凸形状を有する。熱交換対象物を熱交換器100の主面に直接的に接触させる場合、熱交換対象物は、熱交換器100の主面の一部(具体的に、複数の膨出部901)のみに接触しやすい。そのため、熱交換対象物の熱交換が効率良く行われないおそれがある。また、熱交換対象物を熱交換器100の主面に熱伝導材(例えば、熱伝導ペースト)を介して間接的に接触させる場合、熱交換対象物の熱交換が効率良く行うためには、熱交換器100の主面の凹凸形状の凹部を熱伝導材で埋める必要がある。つまり、熱伝導材の使用量が多くなるおそれがある。そのため、両主面が平坦な熱交換器を製造することができる熱交換器の製造方法が求められている。
【0008】
本開示は、上記事情に鑑みたものである。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、両主面が平坦な熱交換器を製造することができる熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
【0010】
<1>本開示の第1態様の熱交換器の製造方法は、
熱交換器を製造する方法であって、
前記熱交換器が、少なくとも1つの第1貫通孔を有する第1金属板と、少なくとも1つの第2貫通孔を有する第2金属板と、前記第1金属板と前記第2金属板との間に配置され、第3金属板がつづら折り状に形成されたつづら折り状金属板と、備え、
前記つづら折り状金属板が、前記第1金属板に接合された複数の山部と、前記第2金属板に接合された複数の谷部と、を有し、
前記第1金属板と前記つづら折り状金属板との間に前記第1貫通孔と連通する第1流路と、前記第2金属板と前記つづら折り状金属板との間に前記第2貫通孔と連通する第2流路と、が形成されており、
前記第3金属板が、前記第1金属板及び前記第2金属板の各々よりも変形しやすく、
前記第1金属板、前記第3金属板及び前記第2金属板をこの順で積層して、積層板を作製することと、
前記積層板の前記山部に対応する領域において、前記第1金属体及び前記第3金属板を接合することと、
前記積層板の前記谷部に対応する領域において、前記第2金属体及び前記第3金属板を接合することと、を有する熱交換器の製造方法である。
【0011】
「つづら折り状」とは、ツヅラフジのツルのように折曲がっている形状(つまり、波状)を示す。
「流路」とは、熱交換媒体を流通させるための空間を示す。
「変形しやすい」とは、相対的に剛性が低く、圧力の作用により容易に変形する性質を示す。
【0012】
第1態様では、積層板の第1貫通孔及び第2貫通孔の各々に流体が圧入されると、第1流路及び第2流路の各々を構成する部位のうちの第3金属板の部位が、選択的に押し広げられて、第1流路及び第2流路が形成される。この際、第1金属板及び第2金属板の各々は、変形しにくい。換言すると、第1金属板及び第2金属板は、積層板の第1貫通孔及び第2貫通孔の各々に流体が圧入される前の状態の形状を維持しやすい。その結果、第1態様の熱交換器の製造方法は、両主面が平坦な熱交換器を製造することができる。
更に、変形しにくいつづら折り状金属板は、通常、金型を用いて製造される。金型は、高価である。その結果、第1態様の熱交換器の製造方法は、低コストで熱交換器を製造することができる。
【0013】
<2>本開示の第2態様の熱交換器の製造方法は、
前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の各々に流体を圧入して、前記第3金属板を押し広げることを更に有する、前記<1>に記載の熱交換器の製造方法である。
【0014】
第2態様では、第1金属板とつづら折り状金属板との間に第1流路が形成され、第2金属板と前記つづら折り状金属板との間に第2流路が形成される。その結果、第2態様の熱交換器の製造方法は、両主面が平坦な熱交換器を製造することができる。
【0015】
<3>本開示の第3態様の熱交換器の製造方法は、
前記つづら折り状金属板が、前記第1流路と前記第2流路とを連通する第3貫通孔を有さず、
前記複数の山部が、前記熱交換器の厚み方向に直交する第1方向に沿って第1間隔を空けて形成された複数の第1山部を含み、
前記複数の谷部が、前記第1方向に沿って第2間隔を空けて形成された複数の第1谷部を含む、前記<1>又は前記<2>に記載の熱交換器の製造方法である。
【0016】
第3態様では、つづら折り状金属板は、第3貫通孔を有しない。つまり、第1流路と第2流路とは、独立している。積層板の第1貫通孔から流体が圧入されると、第1金属板に掛かる圧力の大きさの分布は、複数の山部が第1間隔を空けて形成された複数の第1山部を含まない場合よりも均一になりやすい。積層板の第2貫通孔から流体が圧入されると、第2金属板に掛かる圧力の大きさの分布は、複数の谷部が第2間隔を空けて形成された複数の第1谷部を含まない場合よりも均一になりやすい。その結果、第3態様の熱交換器の製造方法は、両主面がより平坦な熱交換器を製造することができる。
【0017】
<4>本開示の第4態様の熱交換器の製造方法は、
前記第1山部及び前記第1谷部の各々が、前記第1方向及び前記熱交換器の厚み方向の各々に直交する第2方向に沿って、延在しており、
前記第1山部と前記第1谷部とが、前記第1方向に沿って、交互に形成されている、前記<3>に記載の熱交換器の製造方法である。
【0018】
第4態様では、積層板の第1貫通孔から流体が圧入されると、第1金属板に掛かる圧力の大きさの分布は、第3態様よりも均一になりやすい。また、積層板の第2貫通孔から流体が圧入されると、第2金属板に掛かる圧力の大きさの分布は、第3態様よりも均一になりやすい。その結果、第4態様の熱交換器の製造方法は、両主面がより平坦な熱交換器を製造することができる。
【0019】
<5>本開示の第5態様の熱交換器の製造方法は、
前記第1金属板及び前記第2金属板の各々が、6000系アルミニウム合金を含み、
前記第3金属板が、1000系アルミニウムを含む、前記<1>~前記<4>のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法である。
【0020】
「6000系アルミニウム合金」とは、JISに規定されたAl-Mg-Si系アルミニウム合金を示す。
「1000系アルミニウム」とは、JISに規定された純アルミニウムを示す。
【0021】
1000系アルミニウムの剛性は、6000系アルミニウム合金の剛性よりも低い。つまり、第3金属板は、第1金属板及び第2金属板の各々よりも変形しやすい。その結果、第5態様の熱交換器の製造方法は、両主面が平坦な熱交換器を製造することができる。
【0022】
<6>本開示の第6態様の熱交換器の製造方法は、
前記第1金属板及び前記第2金属板の各々の厚みが、1.00mm以上であり、
前記第3金属板の厚みが、1.00mm未満である、前記<1>~前記<5>のいずれか1つに記載の熱交換器の製造方法である。
【0023】
第3金属板の剛性は、第1金属板及び第2金属板の各々の剛性よりも低い。つまり、第3金属板は、第1金属板及び第2金属板の各々よりも変形しやすい。その結果、第6態様の熱交換器の製造方法は、両主面が平坦な熱交換器を製造することができる。
【0024】
<7>本開示の第7態様の熱交換器の製造方法は、
前記つづら折り状金属板が、前記第1流路と前記第2流路とを連通する少なくとも1つの第3貫通孔を更に有し、
前記複数の山部が、前記熱交換器の厚み方向に直交する第1方向に沿って第1間隔を空けて形成された複数の第1山部を含み、
前記複数の谷部が、前記第1方向に沿って第2間隔を空けて形成された複数の第1谷部を含み、
前記第1間隔と前記第2間隔とが、等しい、前記<1>~前記<6>のいずれか1つに記載の熱交換器の製造方法である。
【0025】
第7態様では、つづら折り状金属板は、第3貫通孔を有する。つまり、第1流路と第2流路とは、連通している。第1間隔と第2間隔とは、等しい。これにより、積層板の第1貫通孔及び第2貫通孔から流体が圧入されると、第1金属板及び第2金属板の各々に掛かる圧力の大きさの分布は、第1間隔と第2間隔とが等しくない場合よりも均一になりやすい。その結果、第7態様の熱交換器の製造方法は、両主面がより平坦な熱交換器を製造することができる。
【0026】
<8>本開示の第8態様の熱交換器の製造方法は、
前記第1金属板に前記複数の山部を接合するための第1ロウ材層が前記第1金属板の一方の主面に形成された第1ブレージングシート、及び前記第2金属板に前記複数の谷部を接合するための第2ロウ材層が前記第2金属板の一方の主面に形成された第2ブレージングシートを準備することと、
前記第1ロウ材層の主面のうち前記複数の山部が接合される領域を除いた領域に、第1離型剤を塗布して、離型剤付き第1ブレージングシートを作製することと、
前記第2ロウ材層の主面のうち前記複数の谷部が接合される領域を除いた領域に、第2離型剤を塗布して、離型剤付き第2ブレージングシートを作製することと、
を更に有し、
前記積層板を作製することにおいて、前記第1金属板、前記第1ロウ材層、前記第3金属板、前記第2ロウ材層、及び前記第2金属板がこの順に積層されるように、前記離型剤付き第1ブレージングシート、前記第3金属板及び前記第2ブレージングシートを積層して、前記積層板を作製し、
前記第1金属板及び前記第3金属板を接合すること、及び前記第2金属板及び前記第3金属板を接合することにおいて、前記積層板を加熱して、前記第1金属板及び前記第3金属板をロウ付けするとともに、前記第2金属板及び前記第3金属板をロウ付けする、前記<1>~前記<7>のいずれか1つに記載の熱交換器の製造方法である。
【0027】
第8態様では、第1金属板と複数の山部とは、ロウ付けにより接合される。第2金属板と複数の谷部とは、ロウ付けにより接合される。その結果、第8態様の熱交換器の製造方法は、接合方法がロウ付けではない場合よりも簡便に、熱交換器を製造することができる。
【0028】
<9>本開示の第9態様の熱交換器は、
少なくとも1つの第1貫通孔を有する第1金属板と、少なくとも1つの第2貫通孔を有する第2金属板と、前記第1金属板と前記第2金属板との間に配置され、第3金属板がつづら折り状に形成されたつづら折り状金属板と、備え、
前記つづら折り状金属板が、前記第1金属板に接合された複数の山部と、前記第2金属板に接合された複数の谷部と、を有し、
前記第1金属板と前記つづら折り状金属板との間に前記第1貫通孔と連通する第1流路と、前記第2金属板と前記つづら折り状金属板との間に前記第2貫通孔と連通する第2流路と、が形成されており、
前記つづら折り状金属板が、前記第1金属板及び前記第2金属板の各々よりも変形しやすい、熱交換器である。
【0029】
第9態様では、つづら折り状金板は、第1金属板及び第2金属板の各々よりも変形しやすい。つまり、第3金属板は、第1金属板及び第2金属板の各々よりも変形しやすい。第9態様の熱交換器は、第1態様の熱交換器の製造方法により好適に製造される。そのため、第9の熱交換器の両主面は、平坦である。その結果、第9態様の熱交換器は、熱交換対象物の熱を効率良く調節することができる。
【0030】
<10>本開示の第10態様の熱交換器は、
第1金属板の表主面及び第2金属板の表主面の各々が、平面状である、前記<9>に記載の熱交換器である。
【0031】
第10態様では、第1金属板の表主面及び第2金属板の表主面の各々は、第1金属板の表主面及び第2金属板の表主面の各々が平面状でない場合よりも、熱交換対象物と直接敵に接触しやすい。その結果、第10態様の熱交換器は、熱交換対象物の熱をより効率良く調節することができる。
【0032】
<11>本開示の第10態様の熱交換器は、
厚さが、10mm以下である、前記<9>に記載の熱交換器である。
【0033】
第11態様の熱交換器は、後述する第12態様の蓄電装置に含まれる蓄電モジュールを冷却するための冷却器として好適に用いられる。
【0034】
<12>本開示の第11態様の蓄電装置は、
積層された複数の蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールの積層方向で隣り合う前記蓄電モジュール間に設けられた、前記<9>~<11>のいずれか1つに記載の熱交換器と、
を備え、
前記複数の蓄電モジュールの各々が、セパレータを介して前記蓄電モジュールの積層方向に沿って積層された複数の電極を含む電極積層体と、隣り合う前記電極間に形成される内部空間に収容された電解液と、前記電極積層体の積層方向に沿う側面を取り囲むとともに前記内部空間を封止する封止体と、を有し、
前記複数の電極が、負極終端電極と、正極終端電極と、前記負極終端電極及び前記正極終端電極の間に積層された複数のバイポーラ電極と、を有し、
前記複数のバイポーラ電極の各々が、電極板と、前記電極板の第1面に設けられた正極と、前記電極板の第2面に設けられた負極と、を有し、
前記電極積層体が、前記積層方向の一端及び他端において前記封止体から露出する電極露出部位を有し、
前記積層方向で隣り合う前記蓄電モジュール間において、互いに対向する前記電極露出部位間に前記熱交換器が、接触配置されている、蓄電装置である。
【0035】
第12態様では、熱交換器の両主面は、平坦である。そのため、電極露出部位と、熱交換器との接触面積は、熱交換器の両主面が平坦でない場合よりも広い。その結果、第12態様の蓄電装置は、蓄電モジュールの熱を効率良く調節することができる。
【0036】
<13>本開示の蓄電装置パックは、
前記<12>に記載の蓄電装置と、前記蓄電装置を収容するロアケースと、を備える、蓄電装置パックである。
【0037】
第13態様の蓄電装置パックは、蓄電モジュールの熱を効率良く調節することができる。
【発明の効果】
【0038】
本開示によれば、両主面が平坦な熱交換器を製造することができる熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係る熱交換器の断面図である。
図2図2は、図1の熱交換器もC2-C2線の断面図である。
図3図3は、図1の熱交換器もC3-C3線の断面図である。
図4図4は、本開示の第1実施形態の熱交換器の製造方法を説明するための図であるである。
図5図5は、本開示の第1実施形態の熱交換器の製造方法を説明するための図であるである。
図6図6は、本開示の第1実施形態に係る蓄電装置パックの断面図である。
図7図7は、本開示の第1実施形態における蓄電モジュールの断面図である。
図8図8は、本開示の第2実施形態に係る熱交換器の断面図である。
図9図9は、従来の熱交換器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。本開示において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0041】
以下、図面を参照して、本開示の熱交換器の製造方法、熱交換器、蓄電装置及び蓄電装置パックの実施形態について説明する。図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0042】
(1)第1実施形態
本開示の第1実施形態の熱交換器の製造方法は、熱交換器1Aを製造する方法である。
【0043】
(1.1)熱交換器
熱交換器1Aは、図1及び図2に示すように、第1金属板11と、第2金属板12と、つづら折り状金属板13Aと、第1ロウ材層14(図2参照)と、第2ロウ材層15(図2参照)と、を備える。第1ロウ材層14は、第1金属板11の主面BS11に積層されている。第2ロウ材層15は、第2金属板11の主面BS12に積層されている。つづら折り状金属板13Aは、第1金属板11と第2金属板12との間に配置されている。つづら折り状金属板13Aは、第1ロウ材層14及び第2ロウ材層15によって、第1金属板11及び第2金属板12にロウ付けされている。熱交換器1Aは、六面体状物である。
【0044】
以下、熱交換器1Aの厚み方向の一方側をZ軸正方向とし、その反対側をZ軸負方向と規定する。熱交換器1Aの主面の一辺が延在する方向の一方側をX軸(第1方向の一例)正方向とし、その反対側をX軸負方向と規定する。熱交換器1Aの主面のX軸に直交する方向の一方側をY軸(第2方向の一例)正方向とし、その反対側をY軸負方向と規定する。X軸、Y軸及びZ軸の各々は、互いに直交する。なお、これらの向きは、熱交換器1Aの使用時の向きを限定するものではない。
【0045】
熱交換器1Aの厚みL1(Z軸方向の長さL1)(図2参照)は、10mm以下である。厚みL1は、4mm~5mmであってもよい。熱交換器1AのX軸方向の長さL2及び熱交換器1AのY軸方向の長さL3は、例えば、1000mm~2000mmであってもよい。長さL2と長さL3とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0046】
熱交換器1Aは、後述する蓄電装置パックの蓄電モジュールを冷却する冷却器として好適に用いられる。
【0047】
(1.1.1)第1金属板
第1金属板11は、平板状物である。第1金属板11の主面TS11(主表面の一例)は、平面状である。第1金属板11は、2つの第1貫通孔TH1を有する。第1金属板11の厚みL4(図2参照)は、1.00mm以上である。厚みL4は、1.00mm~3.00mmであってもよく、1.6mmであってもよい。第1金属板11は、6000系アルミニウム合金を含み、6000系アルミニウム合金であってもよい。6000系アルミニウム合金としては、合金番号が6101、6061、6082等のアルミニウム合金等が挙げられる。
【0048】
(1.1.2)第2金属板
第2金属板12は、平板状物である。第2金属板12の主面TS12(主表面の一例)は、平面状である。第2金属板12は、2つの第2貫通孔TH2を有する。第2金属板12の厚みL5(図2参照)は、1.00mm以上である。厚みL5は、1.00mm~3.00mmであってもよく、1.6mmであってもよい。第2金属板11は、6000系アルミニウム合金を含み、6000系アルミニウム合金であってもよい。第2金属板12は、第1金属板11と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0049】
(1.1.3)つづら折り状金属板
つづら折り状金属板13Aは、第3金属板(図示せず)がつづら折り状に形成されてなる。第3金属板は、平板状物である。第3金属板及びつづら折り状金属板13Aは、第1金属板11及び第2金属板12の各々よりも変形しやすい。具体的に、第3金属板は、1.00mm未満であり、0.6mm~0.1mmであってもよく、0.3mmであってもよい。第3金属板は、1000系アルミニウムを含み、1000系アルミニウムであってもよい。1000系アルミニウムとしては、合金番号が1085、1080、1070、1060、1050、1050A等の純アルミニウムが挙げられる。
【0050】
つづら折り状金属板13Aは、図2に示すように、第1ロウ材層14によって第1金属板11に接合された複数の山部M13と、第2ロウ材層15によって第2金属板12に接合された複数の谷部V13と、を有する。
【0051】
複数の山部M13は、複数の直線状山部M13A(第1山部の一例)と、第1金属板11の周縁に沿って形成された枠状山部M13Bと、を含む。直線状山部M13Aは、Y軸方向に沿って延びている。複数の直線状山部M13Aの各々は、X軸方向に沿って、第1間隔L6を空けて形成されている。枠状山部M13Bは、複数の直線状山部M13Aを囲っている。
【0052】
複数の谷部V13は、複数の直線状谷部V13A(第1谷部の一例)と、第1金属板11の周縁に沿って形成された枠状谷部V13Bと、を含む。直線状谷部V13Aは、Y軸方向に沿って延びている。複数の直線状谷部V13Aの各々は、X軸方向に沿って、第2間隔L7を空けて形成されている。枠状谷部V13Bは、複数の複数の直線状谷部V13Aを囲っている。第1実施形態では、第2間隔L7は、第1間隔L6と同一である。
【0053】
枠状山部M13Bは、枠状谷部V13Bを囲っている。X軸方向及びY軸方向の各々において、枠状山部M13Bと枠状谷部V13Bとの間には、間隔L8(図3参照)が形成されている。X軸方向において、直線状山部M13Aとその隣の直線状山部M13Aとの間には、間隔L8(図2参照)が形成されている。間隔L8の長さは、第1間隔L6の長さ及び第2間隔L7の各々の長さの半分の長さである。
【0054】
第1金属板11とつづら折り状金属板13Aとの間には、第1貫通孔TH1と連通する第1流路R1が形成されている。第2金属板12とつづら折り状金属板13Aとの間には、第2貫通孔TH2と連通する第2流路R2が形成されている。第1実施形態では、つづら折り状金属板13Aには、第1流路R1と第2流路R2とを連通する第3貫通孔は、形成されていない。第1流路R1と第2流路R2とは、独立している。
【0055】
(1.1.4)第1ロウ材層
第1ロウ材層14の材質は、つづら折り状金属板13Aの複数の山部M13を第1金属板11にロウ付けすることができれば特に限定されるものではなく、公知のロウ材であってもよい。第1ロウ材層14の厚みは、例えば、第1金属板11及び第1ロウ材層14の総厚みに対して、例えば、10%であってもよい。
【0056】
(1.1.5)第2ロウ材層
第2ロウ材層15の材質は、つづら折り状金属板13Aの複数の谷部V13を第2金属板12にロウ付けすることができれば特に限定されるものではなく、公知のロウ材であってもよい。第2ロウ材層15の厚みは、例えば、第2金属板12及び第2ロウ材層15の総厚みに対して、例えば、10%であってもよい。
【0057】
(1.1.6)動作
熱交換器1Aでは、2つの第1貫通孔TH1の一方に冷却媒体が供給されると、冷却媒体は、第1流路R1を流通して、2つの第1貫通孔TH1の他方から排出される。2つの第2貫通孔TH2の一方に冷却媒体が供給されると、冷却媒体は、第2流路R2を流通して、2つの第1貫通孔TH2の他方から排出される。このように熱交換器1Aの内部を冷却媒体が循環することで、熱交換器1Aは、第1金属板11の主面TS11及び第2金属板12の主面TS12の各々に熱的に接触する熱交換対象物を冷却することができる。
【0058】
(1.2)熱交換器の製造方法
第1実施形態の熱交換器の製造方法は、準備工程と、第1離型剤塗布工程と、第2離型剤塗布工程と、積層工程と、接合工程と、圧入工程と、を有する。第1離型剤塗布工程及び第2離型剤塗布工程の実施順は、準備工程の実施後で、かつ積層工程の実施前であれば、特に限定されるものではない。積層工程、接合工程、及び圧入工程は、第1離型剤塗布工程及び第2離型剤塗布工程の実施後に、この順に実施される。
【0059】
以下、第1金属板11と第1ロウ材層14とを、まとめて「第1ブレージングシート110」ともいう。以下、第2金属板12と第2ロウ材層15とを、まとめて「第2ブレージングシート120」ともいう。
【0060】
(1.2.1)準備工程
準備工程では、第1ブレージングシート110、及び第2ブレージングシート120を準備する。第1ブレージングシート110、及び第2ブレージングシート120の準備方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法であればよい。
【0061】
(1.2.2)第1離型剤塗布工程
第1離型剤塗布工程では、図4に示すように、第1ブレージングシート110の第1ロウ材層14の主面S14のうち複数の山部M13が接合される領域RM13を除いた領域RE1に、第1離型剤を塗布して、離型剤付き第1ブレージングシート1100を作製する。
【0062】
離型剤付き第1ブレージングシート1100は、第1ブレージングシート110と、第1離型剤の塗布層16と、を有する。領域RM13は、複数の直線状山部M13Aが接合される領域RM13Aと、枠状山部M13Bが接合される領域RM13Bと、を含む。
【0063】
第1離型剤を塗布する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、第1塗布方法等が挙げられる。第1塗布方法では、第1ロウ材層14の複数の山部M13が接合される領域RM13Aのみにマスキングテープを貼り付け、第1ロウ材層14のマスキングテープが貼り付けられていない領域(すなわち、領域RE1)に第1離型剤を塗布し、マスキングテープを第1ロウ材層14から剥離する。第1離型剤の材質は、第1ロウ材層14と第3金属板とのロウ付けを防止する材質であれば特に限定されるものではなく、公知の離型剤(例えば、窒化ホウ素)であってもよい。
【0064】
(1.2.3)第2離型剤塗布工程
第2離型剤塗布工程では、図5に示すように、第2ロウ材層15の主面S15のうち複数の谷部V13が接合される領域RV13を除いた領域RE2に、第2離型剤を塗布して、離型剤付き第2ブレージングシート1200を作製する。
【0065】
離型剤付き第2ブレージングシート1200は、第2ブレージングシート120と、第2離型剤の塗布層17と、を有する。領域RV13は、複数の直線状谷部V13Aが接合される領域RV13Aと、枠状谷部V13Bが接合される領域RV13Bと、を含む。
【0066】
第2離型剤を塗布する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、第2塗布方法等が挙げられる。第2塗布方法では、第2ロウ材層15の複数の谷部V13が接合される領域RV13Aのみにマスキングテープを貼り付け、第2ロウ材層15のマスキングテープが貼り付けられていない領域(すなわち、領域RE2)に第2離型剤を塗布し、マスキングテープを第2ロウ材層15から剥離する。第2離型剤の材質は、第2ロウ材層15と第3金属板とのロウ付けを防止する材質であれば特に限定されるものではなく、公知の離型剤であればよい。第2離型剤は、第1離型剤と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0067】
(1.2.4)積層工程
積層工程では、第1金属板11、第1ロウ材層14、第3金属板、第2ロウ材層15、及び第2金属板12がこの順に積層されるように、離型剤付き第1ブレージングシート1100、第3金属板及び前記第2ブレージングシート1200を積層して、積層板を作製する。積層方法は、特に限定されず、公知の方法であればよい。第3金属板のサイズは、第1金属板11又は第2金属板12と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0068】
(1.2.5)接合工程
接合工程では、積層板を加熱して、第1金属板11及び第3金属板を接合するとともに、第2金属板12及び第3金属板を接合する。詳しくは、第1実施形態では、第1離型剤の塗布層16が形成されていない領域RM13Bにおいて、第1金属板11及び第3金属板はロウ付けされる。第1離型剤の塗布層16が形成されている領域RE1において、第1金属板11及び第3金属板はロウ付けされない。第2離型剤の塗布層17が形成されていない領域RV13Bにおいて、第2金属板12及び第3金属板はロウ付けされる。第2離型剤の塗布層17が形成されている領域RE2において、第2金属板12及び第3金属板はロウ付けされない。積層板の加熱方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法であればよい。
【0069】
(1.2.6)圧入工程
圧入工程では、積層板の第1貫通孔TH1及び第2貫通孔TH2の各々に流体を圧入して、第3金属板を押し広げる。第3金属板が流体によって押し広げられるのは、第3金属板及びつづら折り状金属板13Aが、第1金属板11及び第2金属板12の各々よりも変形しやすいためである。圧入工程の実施後の第1金属板11及び第2金属板12の各々は、圧入工程の実施前の状態の形状を維持しやすい。圧入工程の実施により、第1流路R1及び第2流路R2が形成される。流体は、第3金属板を押し広げるものであれば特に限定されるものではなく、気体、及び液体等が挙げられる。流体は、冷却媒体であってもよい。冷却媒体としては、冷却用液体、冷却用気体等が挙げられる。冷却用液体としては、一般に冷却用に用いられる液体であれば特に限定されず、一例として水、油、グリコール系水溶液、エアコン用冷媒、非導電性液体、相変化液体等が挙げられる。冷却用気体としては、空気、窒素ガス等が挙げられる。冷却媒体の温度は、熱交換対象物の種類等に応じて、適宜調整される。流体は、圧入工程の実施後の第1流路R1及び第2流路R2の洗浄の観点から、気体であることが好ましい。流体を圧入する方法は、流体の種類等に応じて適宜選択され、公知の方法であればよい。
【0070】
(1.3)蓄電装置パック
本開示の第1実施形態の蓄電装置パック20は、図6に示すように、蓄電装置30と、ロアケース60と、を備える。ロアケース60は、蓄電装置30を収容する。
【0071】
(1.3.1)蓄電装置
蓄電装置パック20は、蓄電装置30を備える。
【0072】
蓄電装置30は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、及び電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置30は、図6に示すように、モジュール積層体31と、拘束部材32とを備える。拘束部材32は、モジュール積層体31に対してモジュール積層体31の積層方向に拘束荷重を付加する。
【0073】
モジュール積層体31は、積層された複数の蓄電モジュール33と、複数の熱交換器1Aと、を備える。蓄電モジュール33は、一例としてバイポーラ電池である。蓄電モジュール33は、例えばニッケル水素二次電池及びリチウムイオン二次電池等の二次電池である。モジュール積層体31は、積層方向(すなわち、Z方向)から見て矩形状をなす。
【0074】
積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール33同士は、熱交換器1Aを介して電気的に接続される。熱交換器1Aは、積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール33間と、積層端に位置する蓄電モジュール33の外側とにそれぞれ配置される。積層端に位置する蓄電モジュール33の外側に配置された一方の熱交換器1Aには、正極端子34が接続される。積層端に位置する蓄電モジュール33の外側に配置された他方の熱交換器1Aには、負極端子35が接続される。正極端子34及び負極端子35は、例えば熱交換器1Aの縁部から積層方向に交差する方向に引き出される。正極端子34及び負極端子35により、蓄電装置30の充放電が実施される。
【0075】
熱交換器1Aは、蓄電モジュール33同士を電気的に接続する接続部材としての機能と、蓄電モジュール33で発生した熱を放熱する放熱板としての機能と、を有する。
【0076】
拘束部材32は、モジュール積層体31を積層方向に挟む一対のエンドプレート36と、エンドプレート36同士を締結する締結ボルト37及びナット38と、を有する。エンドプレート36におけるモジュール積層体31側の面には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFは、エンドプレート36と熱交換器1Aとを電気的に絶縁する。
【0077】
(1.3.1.1)蓄電モジュール
蓄電モジュール33は、図7に示すように、電極積層体41と、電極積層体41を封止する樹脂製の封止体42とを備える。蓄電モジュール33は、例えば、直方体形状に形成される。
【0078】
電極積層体41は、セパレータ43を介して積層方向に沿って積層された複数の電極と、電極積層体41の積層端に位置する集電体(金属板50A、50B)と、を含む。複数の電極は、負極終端電極48と、正極終端電極49と、負極終端電極48及び正極終端電極49の間に積層された複数のバイポーラ電極44と、を有する。複数のバイポーラ電極44の積層体は負極終端電極48及び正極終端電極49の間に設けられる。
【0079】
バイポーラ電極44は、集電体としての金属板45と、正極46と、負極47とを有する。金属板45は、第1面45aと、第1面45aの反対側に設けられた第2面45bとを有する。正極46は、第1面45aに設けられている。負極47は、第2面45bに設けられている。正極46は、正極活物質が金属板45に塗工されることにより形成される正極活物質層である。負極47は、負極活物質が金属板45に塗工されることにより形成される負極活物質層である。電極積層体41において、一のバイポーラ電極44の正極46は、セパレータ43を挟んで積層方向の一方に隣り合う別のバイポーラ電極44の負極47と対向する。電極積層体41において、一のバイポーラ電極44の負極47は、セパレータ43を挟んで積層方向の他方に隣り合う別のバイポーラ電極44の正極46と対向する。
【0080】
負極終端電極48は、金属板45と、金属板45の第2面45bに設けられた負極47とを有する。負極終端電極48は、第2面45bが電極積層体41における積層方向の中央側を向くように、積層方向の一端側に配置される。負極終端電極48の金属板45の第1面45aには、金属板40Aが更に積層され、この金属板40Aを介して蓄電モジュール33に隣接する一方の熱交換器1Aと電気的に接続される。負極終端電極48の金属板45の第2面45bに設けられた負極47は、セパレータ43を介して、積層方向の一端のバイポーラ電極44の正極46と対向する。
【0081】
正極終端電極49は、金属板45と、金属板45の第1面45aに設けられた正極46とを有する。正極終端電極49は、第1面45aが電極積層体41における積層方向の中央側を向くように、積層方向の他端側に配置される。正極終端電極49の金属板45の第2面45bには、金属板40Bが更に積層され、この金属板40Bを介して蓄電モジュール33に隣接する他方の熱交換器1Aと電気的に接続される。正極終端電極49の金属板45の第1面45aに設けられた正極46は、セパレータ43を介して、積層方向の他端のバイポーラ電極44の負極47と対向する。
【0082】
金属板45の材質は、金属(例えば、例えば、Al、SUS、Ni、Cu等)である。各金属板45は、いずれも電極積層体41に含まれる金属板の一つである。正極46を構成する正極活物質としては、例えば酸化物活物質が挙げられる。酸化物活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、LiMn、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCuPO等のオリビン型活物質が挙げられる。負極47を構成する負極活物質としては、例えばカーボン活物質、酸化物活物質及び金属活物質が挙げられる。電極積層体41は、積層された複数の金属板45、50A、50Bを有する。
【0083】
セパレータ43は、金属板45同士の短絡を防止するための部材である。セパレータ43は、例えばシート状物である。セパレータ43としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ43は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ43は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
【0084】
金属板50A、50Bは、金属板45と実質的に同一の部材である。金属板50A、50Bの材質は、金属(例えばAl、SUS、Ni、Cu等)である。金属板50A、50Bは、いずれも電極積層体41に含まれる金属板の一つである。金属板50A、50Bは、第1面50a及び第2面50bに正極活物質層及び負極活物質層のいずれもが塗工されていない未塗工電極をなす。即ち、金属板50A、50Bは、両面に活物質層が設けられていない未塗工電極である。
【0085】
金属板50Aにより、負極終端電極48は、積層方向に沿って金属板50Aとバイポーラ電極44との間に配置された状態となる。金属板50Aの第2面50bと負極終端電極48の金属板45の第1面45aとは、間に何も介さずに直接接触することで、電気的に接続される。金属板50Bにより、正極終端電極49は、積層方向に沿って金属板50Bとバイポーラ電極44との間に配置された状態となる。金属板50Bの第1面50aと正極終端電極49の金属板45の第2面45bとは、間に何も介さずに直接接触することで、電気的に接続される。
【0086】
電極積層体41では、電極積層体41の中央領域(バイポーラ電極44、負極終端電極48、及び正極終端電極49において活物質層が配置される領域)が、その周りの領域に比べて積層方向に膨らんでいる。このため、金属板50A、50Bは、金属板50A、50Bの中央領域が互いに離間する方向に屈曲する。
【0087】
電極積層体41は、積層方向(Z軸方向)の一端及び他端において封止体42から露出する電極露出部50dを有する。電極露出部50dは、封止体42から露出する負極終端電極48及び正極終端電極49の中央領域によって構成されている。積層方向で隣り合う蓄電モジュール33間において、互いに対向する電極露出部50d位間に熱交換器1Aが、接触配置されている。
【0088】
封止体42は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形の筒状に形成される。封止体42は、電極積層体41の側面41aを囲むように設けられる。封止体42は、電極積層体41内に設けられた内部空間Vを封止する
【0089】
封止体42は、枠状の複数の第1封止部51(樹脂部)と、第2封止部52と、を有する。第1封止部51は、電極積層体41に含まれる金属板の縁部(即ち、金属板45の縁部45c及び金属板50A、50Bの縁部50c)にそれぞれ設けられている。第2封止部52は、枠状の複数の第1封止部51(樹脂部)と、側面41aに沿って第1封止部51を外側から包囲し、第1封止部51のそれぞれに結合されている。第1封止部51及び第2封止部52は、例えば、絶縁性の樹脂であり、樹脂の構成材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。
【0090】
第1封止部51は、金属板45の縁部45c及び金属板50A、50Bの縁部50cの全周にわたって連続的に設けられ、積層方向から見て矩形枠状をなす。第1封止部51と金属板45、及び、第1封止部51と金属板50A、50Bは、それぞれ、気密に接合される。第1封止部51は、積層方向から見て、金属板45の縁部45c又は金属板50A、50Bの縁部50cよりも外側にまで延びる。第1封止部51は、金属板45又は金属板50A、50Bの縁よりも外側に張り出した外側部分51aと、金属板45又は金属板50A、50Bの縁よりも内側に位置する内側部分51bと、を含む。第1封止部51の外側部分51aの先端部(外縁部)には、溶着層53が形成される。
【0091】
複数の第1封止部51は、バイポーラ電極44及び正極終端電極49に設けられた複数の第1封止部51Aと、負極終端電極48に設けられた第1封止部51Bと、金属板50Aに設けられた第1封止部51Cと、金属板50Bに設けられた第1封止部51D、51Eと、を有する。
【0092】
第1封止部51Aは、バイポーラ電極44及び正極終端電極49の金属板45の第1面45aに接合される。第1封止部51Aの内側部分51bは、積層方向に互いに隣り合う金属板45の縁部45c同士の間に位置する。金属板45の第1面45aにおける縁部45cと、第1封止部51Aとが重なる領域は、金属板45と第1封止部51Aとの結合領域となる。
【0093】
本実施形態では、第1封止部51Aは、1枚のフィルムが二つに折りたたまれることによって、二層構造で形成される。第2封止部52に埋設される第1封止部51Aの外縁部は、フィルムの折り返し部(屈曲部)である。第1封止部51Aを構成する一層目のフィルムは、第1面45aに接合される。二層目のフィルムの内縁は、一層目のフィルムの内縁よりも外側に位置し、セパレータ43が載置される段差部を形成する。二層目のフィルムの内縁は、金属板45の縁よりも内側に位置する。
【0094】
第1封止部51Bは、負極終端電極48の金属板45の第1面45aに接合される。第1封止部51Bの内側部分51bは、積層方向に互いに隣り合う負極終端電極48の金属板45の縁部45cと、金属板50Aの縁部50cとの間に位置する。金属板45の第1面45aにおける縁部45cと第1封止部51Bの内側部分51bとが重なる領域は、金属板45と第1封止部51Bとの結合領域となる。第1封止部51Bは、金属板50Aの第2面50bにも接合される。金属板50Aの第2面50bにおける縁部50cと、第1封止部51Bとが重なる領域は、金属板50Aと第1封止部51Bとの結合領域となる。第1封止部51Bは、金属板50Aの第2面50bにおける縁部50cにも接合される。
【0095】
第1封止部51Cは、金属板50Aの第1面50a(外面)に接合される。金属板50Aの第1面50aにおける縁部50cと、第1封止部51Cとが重なる領域は、金属板50Aと第1封止部51Cとの結合領域となる。金属板50Aの第1面50aは、第1封止部51Cから露出する電極露出部50d(以下、「露出面50d」ともいう)を有する。熱交換器1Aは、露出面50dに接触して配置される。
【0096】
第2封止部52に埋設される第1封止部51B、51Cの外縁部同士は連続する。即ち、第1封止部51B、51Cは、1枚のフィルムが金属板50Aの縁部50cを挟んで二つに折りたたまれることによって形成される。第1封止部51B、51Cの外縁部は、フィルムの折り返し部である。第1封止部51B、51Cを構成するフィルムは、金属板50Aの第1面50a及び第2面50bの両方において縁部50cと接合される。
【0097】
第1封止部51Dは、金属板50Bの第1面50aに接合される。第1封止部51Dの内側部分51bは、積層方向に互いに隣り合う正極終端電極49の金属板45の縁部45cと、金属板50Bの縁部50cとの間に位置する。金属板50Bの第1面50aにおける縁部50cと、第1封止部51Dとが重なる領域は、金属板50Bと第1封止部51Dとの結合領域となる。
【0098】
第1封止部51Eは、金属板50Bの第2面50b(外面)における縁部50cに配置される。第1封止部51Eは、金属板50Bに接合されていない。金属板50Bの第2面50bは、第1封止部51Eから露出する露出面50dを有する。導電板5は、露出面50dに接触して配置される。
【0099】
第2封止部52に埋設される第1封止部51D、51Eの外縁部同士は連続する。即ち、第1封止部51D、51Eは、1枚のフィルムが金属板50Bの縁部50cを挟んで二つに折りたたまれることにより形成される。第1封止部51D、51Eの外縁部は、フィルムの折り返し部である。第1封止部51D、51Eを構成するフィルムは、金属板50Bの第1面50aにおいて縁部50cと接合される。
【0100】
電極積層体41内には複数の内部空間Vが設けられる。各内部空間Vは、隣り合う金属板間に設けられる。内部空間Vは、積層方向で隣り合う金属板間において、当該金属板と封止体42とにより気密及び液密に仕切られた空間である。この内部空間Vには、例えば電解液(不図示)が収容される。電解液は、例えば非水溶媒と支持塩とを含有する。非水溶媒としては、例えばカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を挙げることができる。支持塩としては、例えば、LiPF等のリチウム塩を挙げることができる。電解液は、セパレータ43、正極46及び負極47内に含浸される。
【0101】
(1.3.2)ロアケース
蓄電装置パック20は、ロアケース60を備える。ロアケース60は、蓄電装置30を収容する。ロアケース60の形状は、蓄電モジュール33を収容する形状であれば特に限定されず、公知の形状であればよい。ロアケース60の材質は、金属であってもよいし、樹脂であってもよい。蓄電装置パック20は、ロアケース60に固定されていてもよい。蓄電装置パック20の固定方法は、ロアケース60等の材質に応じて適宜選択され、例えば、締結用部品を用いる方法、溶接、引っ掛け、溶着等が挙げられる。締結用部品としては、ボルト、ナット、ネジ、リベット、及びピン等が挙げられる。溶接として、金属溶接、及びろう付けが挙げられる。
【0102】
(1.3.3)冷却装置
蓄電装置パック20は、熱交換器1Aに冷却媒体を供給する冷却装置(図示せず)を備えてもよい。冷却装置は、公知の装置であってもよい。
【0103】
(1.3.4)アッパーケース
蓄電装置パック20は、蓄電装置30を覆うアッパーケース(図示せず)を備えてもよい。アッパーケースの形状は、蓄電装置30を覆う形状であれば特に限定されず、公知の形状であればよい。アッパーケースの材質は、金属であってもよいし、樹脂であってもよい。アッパーケースは、ロアケース60に固定される。アッパーケースの固定方法は、特に限定されず、蓄電装置パック20の固定方法として例示した方法と同様のものが挙げられる。
【0104】
(1.4)作用効果
図1図7を参照して説明したように、第1実施形態の熱交換器の製造方法は、熱交換器1Aを製造する方法である。熱交換器1Aは、第1金属板11と、第2金属板12と、つづら折り状金属板13Aと、備える。第3金属板は、第1金属板11及び第2金属板12の各々よりも変形しやすい。熱交換器の製造方法は、積層工程と、接合工程とを有する。
これにより、積層板の第1貫通孔TH1及び第2貫通孔TH2の各々に流体が圧入されると、第1流路R1及び第2流路R2の各々を構成する部位のうちの第3金属板の部位が、選択的に押し広げられる。この際、第1金属板11及び第2金属板12の各々は、変形しにくい。第1実施形態の熱交換器の製造方法は、主面TS11及び主面TS12が平坦な熱交換器1Aを製造することができる。
更に、第1実施形態の熱交換器の製造方法は、つづら折り状金属板13A用の金型を用いる場合よりも低コストで、主面TS11及び主面TS12が平坦な熱交換器を製造することができる。
【0105】
図1図7を参照して説明したように、第1実施形態の熱交換器の製造方法は、圧入工程を有する。
これにより、第1金属板11とつづら折り状金属板13Aとの間に第1流路R1が形成され、第2金属板12とつづら折り状金属板13Aとの間に第2流路R2が形成される。その結果、第1実施形態の熱交換器の製造方法は、主面TS11及び主面TS12が平坦な熱交換器1Aを製造することができる。
【0106】
図1図7を参照して説明したように、第1実施形態では、つづら折り状金属板13Aは、第1流路R1と第2流路R2とを連通する第3貫通孔を有しない。複数の山部M13は、複数の直線状山部M13A(第1山部の一例)を含む。複数の谷部V13は、複数の直線状谷部V13A(第1谷部の一例)を含む。
これにより、第1流路R1と第2流路R2とは、独立している。積層板の第1貫通孔TH1から流体が圧入されると、第1金属板11に掛かる圧力の大きさの分布は、複数の山部M13が第1間隔L6を空けて形成された複数の直線状山部M13Aを含まない場合よりも均一になりやすい。積層板の第2貫通孔TH2から流体が圧入されると、第2金属板12に掛かる圧力の大きさの分布は、複数の谷部V13が第2間隔L7を空けて形成された複数の直線状谷部V13Aを含まない場合よりも均一になりやすい。その結果、第1実施形態の熱交換器の製造方法は、主面TS11及び主面TS12が平坦な熱交換器1Aを製造することができる。
【0107】
図1図7を参照して説明したように、第1実施形態では、直線状山部M13A及び直線状谷部V13Aは、Y軸方向(第2方向の一例)に沿って、延在している。直線状山部M13Aと直線状谷部V13Aとが、X軸方向(第1方向の一例)に沿って、交互に形成されている。
これにより、積層板の第1貫通孔TH1から流体が圧入されると、第1金属板11に掛かる圧力の大きさの分布は、より均一になりやすい。積層板の第2貫通孔TH2から流体が圧入されると、第2金属板12に掛かる圧力は、より均一になりやすい。その結果、第1実施形態の熱交換器の製造方法は、主面TS11及び主面TS12が平坦な熱交換器1Aを製造することができる。
【0108】
図1図7を参照して説明したように、第1実施形態では、第1金属板11及び第2金属板12の各々は、6000系アルミニウム合金を含む。第3金属板は、1000系アルミニウムを含む。
つまり、第3金属板は、第1金属板11及び第2金属板12の各々よりも変形しやすい。その結果、第1実施形態の熱交換器の製造方法は、主面TS11及び主面TS12が平坦な熱交換器1Aを製造することができる。
【0109】
図1図7を参照して説明したように、第1実施形態では、第1金属板11及び第2金属板12の各々の厚みは、1.00mm以上である。第3金属板の厚みは、1.00mm未満である。
つまり、第3金属板は、第1金属板11及び第2金属板12の各々よりも変形しやすい。その結果、第1実施形態の熱交換器の製造方法は、主面TS11及び主面TS12が平坦な熱交換器1Aを製造することができる。
【0110】
図1図7を参照して説明したように、第1実施形態の熱交換器の製造方法は、準備工程と、第1離型剤塗布工程と、第2離型剤塗布工を更に有する。
これにより、第1金属板11と複数の山部M13とは、ロウ付けにより接合される。第2金属板12と複数の谷部V13とは、ロウ付けにより接合される。その結果、第1実施形態の熱交換器の製造方法は、接合方法がロウ付けではない場合よりも簡便に、熱交換器1Aを製造することができる。
【0111】
図1図7を参照して説明したように、第1実施形態の熱交換器1Aは、第1金属板11と、第2金属板12と、つづら折り状金属板13Aと、備える。つづら折り状金属板13Aが、第1金属板11に接合された複数の山部M13と、第2金属板12に接合された複数の谷部V13と、を有する。第1金属板11とつづら折り状金属板13Aとの間に第1流路R1と、第2金属板12とつづら折り状金属板13Aとの間に第2流路R2と、が形成されている。つづら折り状金属板13Aは、第1金属板11及び第2金属板12の各々よりも変形しやすい。
熱交換器1Aは、第1実施形態の熱交換器の製造方法により好適に製造される。そのため、第9の熱交換器の主面TS11及び主面TS12は、平坦である。その結果、熱交換器1Aは、蓄電モジュール33を効率良く冷却することができる。
【0112】
図1図7を参照して説明したように、第1実施形態の熱交換器1Aは、第1金属板11の主面TS11及び第2金属板の主面TS12の各々が、平面状である。
これにより、第1金属板11の主面TS11及び第2金属板12の主面TS12の各々は、第1金属板11の主面TS11及び第2金属板12の主面TS12の各々が平面状でない場合よりも、蓄電モジュール33と直接的に接触しやすい。その結果、熱交換器1Aは、蓄電モジュール33をより効率良く冷却することができる。
【0113】
図1図7を参照して説明したように、第1実施形態では、熱交換器1Aの厚さは、10mm以下である。
これにより、熱交換器1Aは、蓄電装置30に含まれる蓄電モジュール33を冷却するための冷却器として好適に用いられる。
【0114】
図1図7を参照して説明したように、第1実施形態の蓄電装置30は、複数の蓄電モジュール33と、複数の熱交換器1Aと、を備える。積層方向で隣り合う蓄電モジュール33間において、互いに対向する電極露出部50d間に熱交換器1Aが、接触配置されている。
熱交換器1Aの主面TS11及び主面TS12は、平坦である。そのため、電極露出部50dと、熱交換器1Aとの接触面積は、熱交換器1Aの主面TS11及び主面TS12が平坦でない場合よりも広い。その結果、蓄電装置30は、蓄電モジュール33を効率良く冷却することができる。
【0115】
図1図7を参照して説明したように、第1実施形態の蓄電装置パック20は、蓄電装置30と、ロアケース60と、を備える。
これにより、蓄電装置パック20は、蓄電モジュール33を効率良く冷却することができる。
【0116】
(2)第2実施形態
本開示の第2実施形態の熱交換器の製造方法は、主として、つづら折り状金属板が貫通孔を有することの他は、第1実施形態の熱交換器の製造方法と同様である。
【0117】
第2実施形態の熱交換器の製造方法は、熱交換器1Bを製造する方法である。
【0118】
熱交換器1Bは、図8に示すように、第1金属板11と、第2金属板12と、つづら折り状金属板13Bと、第1ロウ材層14(図2参照)と、第2ロウ材層15(図2参照)と、を備える。つづら折り状金属板13Bの構成は、第1流路R1と第2流路R2とを連通する第3貫通孔TH3を有することの他は、つづら折り状金属板13Aの構成と同様である。
【0119】
図8を参照して説明したように、第2実施形態では、つづら折り状金属板13Bは、第1流路R1と第2流路R2とを連通する複数の第3貫通孔TH3を更に有する。複数の山部M13は、複数の直線状山部M13A(第1山部の一例)を含む。複数の谷部V13は、複数の直線状谷部V13A(第1谷部の一例)を含む。第1間隔L6と第2間隔L7とは、等しい。
【0120】
これにより、積層板の第1貫通孔TH1及び第2貫通孔TH2から流体が圧入されると、第1金属板11及び第2金属板12の各々に掛かる圧力の大きさの分布は、第1間隔L6及び第2間隔L7が等しくない場合よりも均一になりやすい。その結果、第2実施形態の熱交換器の製造方法は、主面TS11及び主面TS12がより平坦な熱交換器1Bを製造することができる。
【0121】
(3)変形例
第1実施形態及び第2実施形態の熱交換器の製造方法は、準備工程、第1離型剤塗布工程と、第2離型剤塗布工程と、積層工程と、接合工程と、圧入工程と、を有するが、本開示の熱交換器の製造方法は、積層工程及び接合工程を有すれば、準備工程、第1離型剤塗布工程及び第2離型剤塗布工程と、圧入工程と、の少なくとも1つを有しなくてもよい。
【0122】
第1実施形態では、複数の山部M13が複数の直線状山部M13Aを含み、複数の谷部V13が複数の直線状谷部V13Aを含むが、本開示の熱交換器の製造方法では、複数の山部M13は複数の直線状山部M13Aを含んでいなくてもよいし、複数の谷部V13は複数の直線状谷部V13A含んでいなくてもよい。
【0123】
第1実施態様では、第1間隔L6と第2間隔L7とは等しいが、第1間隔L6と第2間隔L7とは異なっていてもよい。第1実施態様では、第1流路R1と第2流路R2とは独立している。そのため、第1間隔L6と第2間隔L7とは異なっていても、第1実施形態の熱交換器の製造方法は、主面TS11及び主面TS12が平坦な熱交換器を製造することができる。
【0124】
第1実施形態及び第2実施形態では、複数の直線状山部M13A(第1山部の一例)及び複数の直線状谷部V13A(第1谷部の一例)の各々は、Y軸方向に沿って、延在しているが、本開示では、複数の直線状山部M13A及び複数の直線状谷部V13Aの各々は、Y軸方向に沿って、延在していなくてもよい。例えば、第1山部及び第2谷部は、Y軸の正方向に向けて、曲線状であってもよい、
【0125】
第1実施形態及び第2実施形態では、第1金属板11及び第2金属板12の各々が6000系アルミニウム合金を含み、第3金属板が1000系アルミニウムを含むが、本開示では、第1金属板11及び第2金属板12の各々は6000系アルミニウム合金を含んでいなくてもよいし、第3金属板が1000系アルミニウムを含んでいなくてもよい。第1金属板11、第2金属板12及び第3金属板の各々の材質は、第1金属板11、第2金属板12及び第3金属板の各々の厚み等に応じて適宜選択され、金属であればよい。
【0126】
第1実施形態及び第2実施形態では、第1金属板11及び第2金属板12の各々の厚みが1.00mm以上であり、第3金属板の厚みが、1.00mm未満であるが、本開示では、第1金属板11及び第2金属板12の各々の厚みは1.00mm未満であってもよいし、第3金属板の厚みは1.00m以上であってもよい。第1金属板11、第2金属板12及び第3金属板の各々の厚みは、第1金属板11、第2金属板12及び第3金属板の各々の材質等に応じて、適宜選択される。
【0127】
本開示の熱交換器の製造方法が、準備工程、第1離型剤塗布工程、及び第2離型剤塗布工程を有しない態様(以下、「第1ケース」)である場合、つづら折り状金属板の複数の山部は、ろう付けとは異なる接合方法で第1金属板に接合されていてもよいし、つづら折り状金属板の複数の谷部は、ろう付けとは異なる接合方法で第2金属板に接合されていてもよい。ろう付けとは異なる接合方法としては、第1金属板、第2金属板及び第3金属板の各々の材質等に応じて適宜選択され、例えば、溶接(例えば、レーザー溶接等)、溶着(例えば、摩擦攪拌接合(FSW)、摩擦攪拌スポット溶接(FSSW)等)等が挙げられる。本開示の熱交換器の製造方法が第1ケースである場合、熱交換器1A及び熱交換器1Bの各々は、第1ロウ材層14及び第2ロウ材層15を備えていなくてもよい。本開示の熱交換器の製造方法が第1ケースである場合、積層板の前記山部に対応する領域において、第1金属体及び第3金属板を接合することと、積層板の前記谷部に対応する領域において、第2金属体及び第3金属板を接合することとは、同時ではなく、別々に実施されてもよい。
【0128】
熱交換器1A及び熱交換器1Bでは、主面TS11及び主面TS12は平面状であるが、本開示では、主面TS11及び主面TS12は平面状でなくてもよい。例えば、主面TS11及び主面TS12の各々の周縁には、熱交換器1A及び熱交換器1Bの各々の厚み方向(Z軸方向)に突出する突出部が形成されていてもよい。
【0129】
熱交換器1A及び熱交換器1Bの各々の厚みは、10mm以下であるが、本開示では、熱交換器1A及び熱交換器1Bの各々の厚みは、10mm超であってもよい。
【0130】
第1実施形態及び第2実施形態では、熱交換媒体は冷却媒体であるが、本開示では、熱交換媒体は加熱媒体であってもよい。熱交換媒体が加熱媒体である場合、熱交換器1A及び熱交換器1Bは、主面TS11及び主面TS12の各々に熱的に接触する熱交換対象物を加熱することができる。加熱媒体としては、加熱用液体、加熱用気体等が挙げられる。加熱用液体としては、一般に加熱用液体として用いられる液体であれば特に限定されず、一例として水、油、グリコール系水溶液、エアコン用冷媒、非導電性液体、相変化液体等が挙げられる。加熱用気体は、空気、水蒸気等が挙げられる。加熱用媒体の温度は、被熱交換体の種類等に応じて、適宜調整される。
【符号の説明】
【0131】
1A、1B:熱交換器、11、12:金属板、13A、13B:つづら折り状金属板
14、15:ロウ材層、20:蓄電装置パック、30:蓄電装置、60:ロアケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9