(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025066657
(43)【公開日】2025-04-23
(54)【発明の名称】隠蔽性を向上させたグロス効果
(51)【国際特許分類】
H04N 1/32 20060101AFI20250416BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20250416BHJP
【FI】
H04N1/32 144
B41J2/525
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024166843
(22)【出願日】2024-09-26
(31)【優先権主張番号】18/379,097
(32)【優先日】2023-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】エドワード エヌ.チャップマン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】隠蔽性能を向上させたグロス効果を生成及びレンダリングする方法並びにシステムを提供する。
【解決手段】方法は、第1カラー及び第2カラーのうち第1カラー又は第2カラーのどちらが、リッチブラック着色剤から最も離れた黒色着色剤と混合されるかを判定することと、黒色着色剤を含む第1カラーを選択することと、十分に黒色で最もリッチさが少ない黒色着色剤となるように第2カラーを選択することと、第1カラーでオブジェクトを作成し、第2カラーで不透明となるようにオブジェクト内にデータを入力することと、オブジェクトと共に、データを含めたオブジェクトで文書をレンダリングすることと、を含む。前記データを含めたオブジェクトは、第1カラー及び第2カラーに基づいて、グロス効果を示す。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グロス効果をレンダリングするための方法であって、
第1カラー及び第2カラーのうち、前記第1カラー又は前記第2カラーのどちらが、リッチブラック着色剤から最も離れた黒色着色剤と混合されるか、を判定することと、
前記黒色着色剤を含む第1カラーを選択することと、
十分に黒色で、最もリッチさが少ない黒色着色剤となるように、第2カラーを選択することと、
前記第1カラーでオブジェクトを作成し、前記第2カラーで、不透明となるように前記オブジェクト内にデータを入力することと、
前記オブジェクトと共に、前記データを含めた前記オブジェクトで文書をレンダリングすることであって、前記データを含めた前記オブジェクトは、前記第1カラー及び前記第2カラーに基づいて、グロス効果を示す、ことと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記データを含めた前記オブジェクトでレンダリングされたとき、前記文書は、ある角度では隠蔽され、別の角度ではコーティング処理済みメディア及び未コーティングメディアの双方で現れる、前記グロス効果をもつ透かしを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オブジェクトはテキストボックスを含み、前記オブジェクト内の前記データはテキストを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レンダリングされるテキストは、テキストコンテンツ、グラフィカル要素、又はそれらの組み合わせを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記文書をレンダリングすることは、
前記文書を閲覧可能なソフトウェア、ハードウェア、又は、オペレーティングシステムに依存しない電子フォーマットで前記文書をフォーマットすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記文書をレンダリングすることは、
電子文書フォーマットの前記文書を印刷用のプリンタに送信することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電子文書フォーマットは、ページ記述言語(PDL)文書を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記文書をレンダリングすることは、
印刷システムを介して前記文書を印刷すること更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
カラーコントラストが最適化された、すぐに印刷できる文書を生成するための方法であって、
コンピューティングデバイスにより、黒色と混合した際、どの単一カラーが、リッチブラックから最も離れている最終的なカラーを生成するかを判定することと、
前記コンピューティングデバイスにより、前記判定された単一カラーを第1カラーとして選択することと、
前記コンピューティングデバイスにより、100%黒色と、黒色と混合した際、黒色のリッチさを最も少なくするカラー100%と、を含む第2カラーを選択することと、
前記コンピューティングデバイスにより、前記文書内にテキストボックスを作成し、前記テキストボックスを前記第1カラーで塗りつぶすことと、
前記コンピューティングデバイスにより、前記テキストボックス内にテキストを書き込み、前記第2カラーを使用して、不透明になる様式で前記テキストをレンダリングすることと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記コンピューティングデバイスにより、電子文書フォーマットの前記文書を印刷用のプリンタに送信することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電子文書フォーマットは、ページ記述言語(PDL)文書を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記レンダリングされるテキストは、テキストコンテンツ、グラフィカル要素、又はそれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
グロス効果画像を記録媒体にレンダリングするためのシステムであって、
プロセッサと、
プログラミング命令を含むコンピュータ可読媒体と、を備え、前記プログラミング命令が、前記プロセッサに、
第1カラー及び第2カラーのうち、前記第1カラー又は前記第2カラーのどちらが、リッチブラック着色剤から最も離れた黒色着色剤と混合されるか、を判定させ、
前記黒色着色剤を含む第1カラーを選択させ、
十分に黒色で、最もリッチさが少ない黒色着色剤となるように、第2カラーを選択させ、
前記第1カラーでオブジェクトを作成し、前記第2カラーで、不透明となるように前記オブジェクト内にデータを入力させ、
前記オブジェクトと共に、前記データを含めた前記オブジェクトを記録媒体上にレンダリングさせ、前記データを含めた前記オブジェクトが、前記第1カラー及び前記第2カラーに基づいて、グロス効果を示す、ように構成される、システム。
【請求項14】
レンダリングされた場合、前記文書は、ある角度では隠蔽され、別の角度ではコーティング処理済みメディア及び未コーティングメディアの双方で現れる、前記グロス効果をもつ透かしを備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記オブジェクトはテキストボックスを含み、前記オブジェクト内の前記データはテキストを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記レンダリングされるテキストは、テキストコンテンツ、グラフィカル要素、又はそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記文書をレンダリングすることは、
前記文書を閲覧可能なソフトウェア、ハードウェア、又は、オペレーティングシステムに依存しない電子フォーマットで前記文書をフォーマットすることを更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記文書をレンダリングすることは、
前記コンピューティングデバイスにより、電子文書フォーマットの前記文書を印刷用のプリンタに送信することを更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記電子文書フォーマットは、ページ記述言語(PDL)文書を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記文書をレンダリングすることは、
印刷システムを介して前記文書を印刷することを更に含む、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、画像処理方法、システム、及びデバイスに関する。更に、実施形態は、印刷用途で使用される特殊イメージングの分野に関する。更に、実施形態は、隠蔽性能を向上させたグロス効果の作成、及びレンダリングに関する。
【背景技術】
【0002】
特殊イメージング技術は、電子透かしの埋め込みを含む、セキュリティ印刷用途で使用される、一連の高度で専門的な手法である。こうした技術は、銀行券、パスポート、IDカード、及び他の機密資料などの印刷文書の偽造、又は正確な複製を困難にすることで、これらの文書のセキュリティ、及び真正性を高めることを目的としている。
【0003】
特殊イメージングは、電子透かしの作成において有用であり、この電子透かしとは、印刷された画像内に埋め込まれたパターン、又は情報であり、通常、人間の目では認識できないが、特殊な機器、又はソフトウェアを使用すれば検出可能である。電子透かし(単に、「透かし(複数)」と称されることもある)は、認証の手段として機能し、文書の出所、シリアル番号、又はセキュリティ機能などの、情報を格納することができる。
【0004】
電子透かしは、目に見える場合もあれば、見えない場合もある。可視透かしは肉眼で識別可能で、正確に複製することが難しいテキスト、又はパターンを含み得る。不可視透かしは文書のコンテンツに隠蔽されており、検出には専用ツールが必要である。透かしには、様々な印刷、及びスキャンの工程を経ても、依然として検出できる堅牢なもの、あるいは、文書が改ざんされると、すぐに破損する脆弱なものがある。
【0005】
特殊イメージング技術の一例としては、高解像度のスケーラブルなグロス効果があり、これは、真正面から見ると単一カラーで表示され(コピーされない)、傾けると、テキスト、又は他のグラフィックが簡単に見える特殊イメージングセキュリティ印刷技術である。この特殊イメージング機能は、トナー・パイル・ハイトの差を最大にしながら、2つの類似したLab値を使用することによって、作成することができる。この特殊イメージング機能には、より高価なコーティング処理済みメディアが必要であること、更に、現在、製造デバイスでしか利用できないことなど、いくつかの問題がある。旧式のグロストナーは、現行の乳化重合凝集(EA)トナーとは異なり、ある角度で透かしを隠すことができた。いわゆるレジストレーションインクは、透かしの品質を向上させたが、インクの制限をすり抜けるという、リスクがあった。
【発明の概要】
【0006】
以下の概要は、開示される実施形態に特有の革新的な特徴の一部の理解を容易にするために提供されるものであり、完全な説明を意図するものではない。本明細書に開示される実施形態の様々な態様の完全な理解は、本明細書全体、特許請求の範囲、図面、及び要約書をまとめて見ることによって得ることができる。
【0007】
したがって、実施形態の一態様は、改善された画像処理方法、システム、及びデバイスを提供することである。
【0008】
グロス効果をレンダリングするための改良された方法、及びシステムを提供することは、実施形態の別の態様である。
【0009】
隠蔽性を向上させたグロス効果をレンダリングするための方法、及びシステムを提供することも、実施形態の更なる態様である。
【0010】
上述の態様、並びに他の目的及び有益性は、ここで本明細書に記載されるように達成することができる。一実施形態において、グロス効果をレンダリングするための方法は、第1カラー及び第2カラーのうち、上記第1カラー又は上記第2カラーのどちらが、リッチブラック着色剤から最も離れた黒色着色剤と混合されるか、を判定することと、黒色着色剤を含む第1カラーを選択することと、十分に黒色で、最もリッチさが少ない黒色着色剤となるように、第2カラーを選択することと、上記第1カラーでオブジェクトを作成し、上記第2カラーで、不透明となるように上記オブジェクト内にデータを入力することと、上記オブジェクトと共に、上記データを含めた上記オブジェクトで文書をレンダリングすることであって、上記データを含めた上記オブジェクトは、第1カラー及び第2カラーに基づいて、グロス効果を示すことができる、ことと、を伴うことができる。
【0011】
一実施形態において、上記データを含み得るオブジェクトでレンダリングされたとき、文書は、ある角度では隠蔽され、別の角度ではコーティング処理済みメディア及び未コーティングメディアの双方で現れる、グロス効果をもつ透かしを備える。
【0012】
一実施形態において、オブジェクトはテキストボックスを含むことができ、オブジェクト内のデータはテキストを含む。
【0013】
一実施形態において、レンダリングされるテキストは、テキストコンテンツ、グラフィカル要素、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0014】
一実施形態において、文書をレンダリングすることは、文書を閲覧可能なソフトウェア、ハードウェア、又は、オペレーティングシステムに依存しない電子フォーマットで文書をフォーマットすることを更に伴うことができる。
【0015】
一実施形態において、文書をレンダリングすることは、電子文書フォーマットの文書を印刷用のプリンタに送信することを更に伴うことができる。
【0016】
一実施形態において、電子文書フォーマットは、ページ記述言語(PDL)文書を含み得る。
【0017】
一実施形態において、文書をレンダリングすることは、印刷システムを介して文書を印刷することを更に伴うことができる。
【0018】
一実施形態において、カラーコントラストが最適化された、すぐに印刷できる文書を生成するための方法は、コンピューティングデバイスにより、黒色と混合した際、どの単一カラーが、リッチブラックから最も離れている最終的なカラーを生成するかを判定することと、コンピューティングデバイスにより、判定された単一カラーを第1カラーとして選択することと、コンピューティングデバイスにより、100%黒色と、黒色と混合した際、黒色のリッチさを最も少なくするカラー100%と、を含む第2カラーを選択することと、コンピューティングデバイスにより、文書内にテキストボックスを作成し、テキストボックスを第1カラーで塗りつぶすことと、コンピューティングデバイスにより、テキストボックス内にテキストを書き込み、第2カラーを使用して、不透明になる様式でテキストをレンダリングすることと、を伴うことができる。
【0019】
一実施形態は、コンピューティングデバイスにより、電子文書フォーマットの文書を印刷用のプリンタに送信することを更に伴うことができる。
【0020】
一実施形態において、グロス効果画像を記録媒体にレンダリングするためのシステムは、プロセッサと、プログラミング命令を含むコンピュータ可読媒体と、を含むことができ、上記プログラミング命令は、プロセッサに、第1カラー及び第2カラーのうち、上記第1カラー又は上記第2カラーのどちらが、リッチブラック着色剤から最も離れた黒色着色剤と混合されるか、を判定させ、黒色着色剤を含む第1カラーを選択させ、十分に黒色で、最もリッチさが少ない黒色着色剤となるように、第2カラーを選択させ、上記第1カラーでオブジェクトを作成し、上記第2カラーで、不透明となるように上記オブジェクト内にデータを入力させ、上記オブジェクトと共に、上記データを含めた上記オブジェクトを記録媒体にレンダリングさせ、
上記データを含めた上記オブジェクトが、第1カラー及び第2カラーに基づいて、グロス効果を示すことができる、ように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
同様の参照番号が、別個の図全体をとおして同一又は機能的に類似した要素を指し、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成している添付図面は、本発明を更に例示し、本発明の詳細な説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0022】
【
図1】MicroGloss特殊イメージング技術に基づいて作成されたサンプル処方箋の画像を例示する、図である。
【
図2】ある角度での見本シートの画像を例示する図である。
【
図3】別の角度での見本シートの画像を例示する図である。
【
図4】一実施形態に係る、グロス効果の観察者に対する視野角を示す、概略図である。
【
図5】一実施形態に係る、読み取りやすいが、角度のある範囲外では消滅するグロス効果を有する、文書の画像を例示する図である。
【
図6】一実施形態に係る、文書の印刷サイズよりも大きなサイズで拡大表示する際、透かしの隠蔽部分が見えるようになる、画像を例示する図である。
【
図7】一実施形態に係る、黄色、黒色のグロス効果を示す、文書の画像を例示する図である。
【
図8】一実施形態に係る、黄色、黒色のグロス効果を有する文書を生成する方法を図示する操作に関する高レベル流れ図である。
【
図9】一実施形態に係る、隠蔽性を向上させたグロス効果をレンダリングするための方法を図示する操作に関する高レベル流れ図である。
【
図10】一実施形態に係る、カラーコントラストが最適化された、すぐに印刷できる文書を生成するための方法を図示する操作に関する高レベル流れ図である。
【
図11】開示の実施形態の1つ以上を実装するのに適した印刷システムのブロック図である。
【
図12】開示の実施形態の1つ以上を実装するのに有用なデジタル・フロントエンド・コントローラのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
これらの非限定的な実施例で論じられる特定の値及び構成は、変更されてもよく、単に1つ以上の実施形態を例示するために引用されており、その範囲を限定することを意図するものではない。
【0024】
ここで、本主題は、本明細書の一部分を形成し、例示として特定の例示的実施形態を示す添付図面を参照して、以下により詳細に説明される。しかしながら、主題は、種々の異なる形態で具現化されてもよく、したがって、網羅又は請求される主題は、本明細書に記載される任意の例示的な実施形態に限定されないものとして解釈されることが意図される。例示的な実施形態は、単に例示のために提供される。同様に、請求又は言及される主題についてはかなり広い範囲が意図される。とりわけ、例えば、主題は、方法、デバイス、構成要素、又はシステムとして具現化され得る。したがって、実施形態は、例えばハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせ(ソフトウェア自体以外)の形態をとり得る。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲全体をとおして、用語は、明示的に記載された意味を超える文脈で示唆又は暗示される微妙な意味を有し得る。同様に、本明細書で使用するとき、「一実施形態では」又は「例示的実施形態では」などの語句及びその変形は、必ずしも同じ実施形態を指すものではなく、本明細書で使用するとき、「別の実施形態では」又は「別の例示的実施形態では」という語句及びその変形は、異なる実施形態を指す場合もあり、必ずしもそうでない場合もある。例えば、請求される主題は、例示的実施形態の全体又は一部の組み合わせを含むことを意図する。
【0026】
一般に、用語は、文脈における使用から少なくとも部分的に理解され得る。例えば、本明細書で使用される「及び」、「又は」、又は「及び/又は」などの用語は、そのような用語が使用される文脈に少なくとも部分的に依存し得る様々な意味を含み得る。典型的には、「又は」は、A、B、又はCなどのリストを関連付けるために使用される場合、包括的な意味で本明細書に使用されるA、B、及びC、並びに排他的な意味で本明細書に使用されるA、B、又はCを意味することを意図する。加えて、本明細書で使用するとき、用語「1つ以上」は、文脈に少なくとも部分的に依存して、単数の意味で任意の特徴、構造、若しくは特性を説明するために使用される場合があり、又は複数の意味における特徴、構造、又は特性の組み合わせを説明するために使用される場合もある。同様に、「a」、「an」、又は「the」などの用語もまた、文脈に少なくとも部分的に依存して、単数の使用を伝達するか、又は複数の使用を伝達することが理解され得る。加えて、用語「基づいて」は、必ずしも排他的な一組の要因を伝達することを意図するものではなく、代わりに、同じく文脈に少なくとも部分的に依存して、必ずしも明示的に記載されていない追加の要因の存在を見込み得るものとして理解され得る。更に、本明細書で利用される「少なくとも1つ」という用語は、「1つ以上」を指し得る。例えば、「少なくとも1つのウィジェット」は、「1つ以上のウィジェット」を指すことがある。
【0027】
「データ」という用語は、本明細書において、情報を示すか、又は含む物理的信号を指す。物理的な光のパターン又は物理的な光を表すデータの集合体としての「画像」は、キャラクタ、単語、及びテキスト、並びに図形などの他の特徴を含み得る。
【0028】
広く捉えると、「デジタル画像」は、デジタルデータの集合体によって表される画像である。画像は、各々自体が画像である「区分」に分割され得る。画像の区分は、最大で画像全体となる任意のサイズであり、画像全体を含み得る。本明細書で使用するとき、「画像オブジェクト」又は「オブジェクト」という用語は、当該技術分野では一般に「区分」という用語と同等であると考えられ、本明細書では互換的に用いられるものとする。
【0029】
物理的な光を表すデータから構成されているデジタル画像では、データの各要素は、当該技術分野では一般的に使用され、写真要素を指す「ピクセル」と呼ばれ得る。各ピクセルは、位置及び値を有する。各ピクセル値は、画像の「2値形式」におけるビット、画像の「グレイスケール形式」におけるグレイスケール値、又は画像の「カラー座標形式」におけるカラー空間座標のセットであり、2値形式、グレイスケール形式、及びカラー座標形式は各々、画像を定義する二次元配列である。動作は、画像の一部に関するデータのアイテム上で動作するときに、「画像処理」を行うことができる。
【0030】
本明細書で使用するとき、「メタメリック」という用語は、パターンインクのメタメリックペアに関し得る。パターンインクのメタメリックペア(単純に「メタメリックペア」とも称される)では、印刷及び紙は、1つの角度から見たときに視覚的に区別可能ではないが、(光源に対して)別の角度から見たときに視覚的に区別可能であり、より高価なスポットインク、トナー、及び/又はプリンタなしで、透かしを作製し得る。
【0031】
用語L*a*b(Lab又はLABとも呼ばれる)は、本明細書で利用されるとき、国際照明委員会(International Commission on Illumination、CIE)によって定義されたカラー空間であるCIELABカラー空間(L*a*b)に関連する。L*a*b、これはカラーを3つの値として表すものであり、L*は知覚明度、a*及びb*は、人間の視覚の4つの固有のカラーである、赤色、緑色、青色、及び黄色である。CIELABは、知覚的に均一な空間として意図されており、所与の数値変化は、同様に知覚されるカラーの変化に対応する。LAB空間は、真に知覚的に均一ではないが、それにもかかわらず、カラーの小さな差を検出するために産業において有用である。
【0032】
本明細書で利用されるとき、CMYKという用語は、CMYIカラーモデルに関連し、CYMKは、使用される4つのインクプレート、すなわち、シアン、マゼンタ、黄色、キー(黒色)を指す。CMYKモデルは、より明るい、通常は白色の背景上のカラーを部分的又は全体的にマスキングすることによって機能する。インクは、そうでなければ反射される光を減少させる。このようなモデルは、インクが白色光から赤色、緑色、及び青色を「差し引く」ので、減法と考えられる。白色光から赤色を差し引いたものはシアンを、白色光から緑色を差し引いたものはマゼンタを、そして白色光から青色を差し引いたものは黄色を残す。加法カラーモデルの一例は、RGBカラーモデルであり、このモデルでは、光の赤色、緑色、及び青色のプライマリーカラーが一緒に加えられて、広範囲のカラーを再現する。「RGB」は、3つのプライマリーカラー、すなわち、赤色、緑色、及び青色に関する。RGB(すなわち、RGBカラーモデル)は、テレビジョン及びコンピュータなどの電子システムにおける画像の感知、表現、及び表示に使用することができる。
【0033】
本明細書で使用するとき、「透かし」という用語は、媒体(例えば、文書、紙、写真、画像など)に適用され得る透明なテキスト、画像、ロゴ、又は他のマーキングの断片に関し得、これにより、(セキュリティ印刷によって透かしが適用される)媒体をコピー又は偽造すること、又は許可なく使用することをより困難にすることができる。「透かし」は、1ページ以上にわたって印刷され得る特殊目的のテキスト又は絵であり得る。例えば、配布前に文書にスタンプする代わりに、Copy、Draft、又はConfidentialのような単語を透かしとして追加することができる。
【0034】
セキュリティ印刷の領域では、文書は、複数の技術を使用して、複製、捏造、及び偽造から保護されることができる。前述したように、特殊イメージング処理は、紙インク、及びトナーなどの標準的な材料を使用できる、セキュリティ印刷のかかる方法の一つである。典型的には、市場におけるセキュリティ印刷会社には、特別な(高価な)材料が必要とされる。一例示の文書とは、薬剤師が当該文書が本物であることを、高いレベルで確信できる処方箋のことである。
【0035】
MicroGloss(VIPPでは、Artistic Black)は、特殊イメージング技術の一例である。この特殊イメージング機能は、視認するための専用ツール(例えば、UVライト)を必要とせず、特段、コピー防止に強い。MicroGlossは一組のカラーを使用し、真正面から見ると、ほぼ同じカラーに見えるが、傾けるとトナー又はインクのパイルハイトによって、表示されるグロスに差が出る。
【0036】
図1は、MicroGlossの実装形態の一例を示す。
図1は、MicroGloss特殊イメージング技術に基づいて作成されたサンプル処方箋の画像10を例示する。通常、Micro Glossの黒い四角形全体がオフィスの照明下で見えることに留意されたい。
図1で示す画像10の場合、小型LEDが光源で、見え方は光源と見る人の角度によって変わる。MicroGlossは、生産設備で使用されている現行製品である。「MicroGloss」はその名の通り、極めて小さなサイズに限定される。グロス効果はどのようなサイズでも作用し、極端に小さいサイズでない場合は、どの角度でも簡単に読めるようになる。以下で詳述するように、本実施形態が提供する新たなグロス効果によって、もはや制約ではなくなる。
【0037】
また、
図1では、UPMCのロゴの一部がグロス効果を示し(ある角度で見ると)、他の部分は示さない(真正面から見ると)ことが理解できよう。しかし、この小さな文字は、
図1の画像10のUPMCのロゴ、及びブラックボックス全体に存在する。インク制限を無視すると、テキストボックスのパイルハイトはCMYKで4ピクセル、テキストのパイルハイトはKで1ピクセルであり、これはCMYKの三次元ブロックからテキストをエッチングすることに相当する。実際のパイルハイトは、約2.5ピクセルに近い。
【0038】
図2は、ある角度での見本シートの画像20を例示する。
図3は、別の角度での見本シートの画像30を例示する。MicroGlossの見本シートは、プリンタを変えると結果が異なることが予想されるので、何度か試して作成してもよい。第4の見本から、CMYK対KをCMYK対リッチ/ウォーム/クールKに変更した。これはグロス効果を改善するためではなく、テキストと背景テキストボックスとの間の隠蔽性を改善するためである。隠蔽性は十分だったが、劣化したグロス効果はもう作用しなかった。次のグループは、CMYK対Kが同量である。隠蔽性効果、及びグロス効果共に、低下した。[60 60 60 100][0 0 0 100]から[30 30 30 100][0 0 0 100]までのグループは、CMYが等しくKが100%対100%Kである。これらは、例えば、最初のものは、280%であるなど、異なるインク制限の下に収まる。このグループは最も有望だが、依然として隠蔽性に問題があり、グロス効果も弱い。最後のグループには、有望であることを示した見本がいくつかあった。したがって、
図2、及び
図3は、異なる角度における見本シートを示している。
【0039】
隠蔽性を向上させたグロス効果を生成するために、以下で示す方法論のステップ、又は操作を実装することができる:
1)黒色と混合させるどの単一カラーが、リッチブラックから最も離れているかを判定する
2)カラー1を黒色とするよう、選択する
3)カラー2を100%黒色と、黒色のリッチさを最も少なくするカラー100%とするように選択する
4)InDesignなどのツールでテキストボックスを作成し、カラー1で塗りつぶす
5)カラー2でテキストボックスに不透明となるようにテキストを書き込む
6)PDF、又はPostScriptをプリンタに送信する
【0040】
ステップ3と4は、カラーを入れ替えても効果はほぼ同じであることに留意されたい。グラフィックアーティストの視点からのリッチブラックは、黒色よりも黒い。CMYKプリンタの場合、Y(黄色)が選択される。白色、蛍光イエロー、及びピンクなど、多くのハイライトカラーも機能するはずである。透明も想定される。つまり、モノクロ+ハイライトプリンタが初めて、グロス効果を得ることができるということである。
【0041】
図4は、一実施形態に係る、グロス効果の観察者42に対する視野角を示す、概略
図40を例示する。観察者42、光源44間の角度Aと角度B、並びに角度Aと角度Bの範囲46の変化は、グロス効果の効果に寄与する。
【0042】
図5は、一実施形態に係る、読み取りやすいが、角度のある範囲外では消滅するグロス効果を有する、文書の画像50を例示する。
図6は、一実施形態に係る、文書の印刷サイズよりも大きなサイズで拡大表示する際、透かしの隠蔽部分が見えるようになる、画像60を例示する図である。
図7は、一実施形態に係る、黄色、黒色のグロス効果を示す、文書の画像70を例示する。
【0043】
図5~
図7は、異なるサイズにおける隠蔽性効果、及びグロス効果の双方を示している。観察者、光源、及びサンプル間の角度によって、例えば、上記で検討した角度Aと角度Bとの間で、グロス効果が読み取りやすいが、その範囲外では消滅するという、範囲がある。印刷サイズよりも大きなサイズで拡大表示する際、透かしの隠蔽部分が見えるようになることに、留意されたい。
【0044】
本明細書で使用される場合、「リッチブラック」、及び「黒色」という用語は、それぞれ独自の特徴を持つ黒という色の様々な変形形態に関連し得ることを、留意されたい。この文脈において、「黒」という色は、一般に、標準的な、あるいはニュートラルな黒色を称し得る。これは、余分な色を添加しない、シンプルで純粋な黒である。デジタル印刷デザインでは、黒色は、以下のようなキーカラー値で表現されることが多い:シアン0%、マゼンタ0%、黄色0%、及び黒色100%(CMYK0,0,0,100)。一方、「リッチブラック」という用語は、黒色インクに加えて、他の着色剤、典型的には、シアン、マゼンタ、及び黄色を添加することによって達成できる、より濃く、より強い黒色を表現するために使用できる用語である。これにより、単なる黒よりも、深くリッチな黒色を生み出すことができる。リッチブラックは、画像、又はテキストの黒いエリアの深みと鮮やかさを強調するために、印刷で使用される機会が多い。一般的なリッチブラックの組み合わせには、シアン60%、マゼンタ40%、黄色40%、及び黒色100%(CMYK 60,40,40,100)がある。
【0045】
標準的な黒を使うか、あるいはリッチブラックを使うかの選択は、所望の効果と、使用される印刷、又はマーキング工程によって決まる。リッチブラックは、高品質の印刷物、又は視覚的なインパクトを高めた透かし、及びグロスマークを作成する場合など、より大胆で視覚的に印象的な黒が必要な場合、使用されることが多い。一方、標準的な黒は、よりシンプルで中性的な黒であり、色の豊かさが主な関心事ではない場合に使用され得る。
【0046】
図8は、一実施形態に係る、黄色、黒色のグロス効果を有する文書を生成する方法200を図示する操作に関する高レベル流れ図を例示する。本明細書では、黄色、又は他のカラーなどの特定のカラーへの言及は、説明のみを目的としていることが理解されるであろう。つまり、実施形態は、特定のカラーの使用に限定されない。ある特定のカラーに関する参照は、例示目的である。
【0047】
ブロック101で示すように、黒色と混合させるどの単一カラーが、リッチブラックから最も離れているかを判定するステップ、又は操作を実行することができる。そして、次にブロック102で図示するように、カラー1(第1カラー)を黒色とするように選択するステップ、又は操作を実行することができる。次に、ブロック103で示すように、カラー2(第2カラー)を、100%黒色と、黒色のリッチさを最も少なくするカラー100%とするように選択するステップ、又は操作を実行することができる。その後、ブロック104で例示するように、テキストボックスを作成し、それをカラー1で塗りつぶすステップ、又は操作を実行することができる。この操作は、例えば、Adobe(登録商標)InDesignなどのツールを介して、テキストボックスを作成し、カラー1で塗りつぶすために実行され得ることに留意されたい。その後、ブロック105で図示するように、カラー2でテキストボックスに不透明となるようにテキストを書き込むステップ、又は操作を実行することができる。これにより、隠蔽性能力を伴ってグロス効果が向上する。その後、ブロック106で表されるように、テキストボックス/テキスト、及びグロス効果を示すカラーを含む電子ファイルを、印刷用のプリンタに送信するステップ、又は操作を実行することができる。グロス効果を含有する電子ファイルは、例えば、PDF、PostScript、XPS、PCLなどの、ページ記述言語(PDL)文書であってもよい。ブロック103及び104で示されるステップ、又は操作は、カラーを切り替えることができ、効果は、ほぼ同様に作用することができる。
【0048】
グラフィックアーティストの視点からのリッチブラックは、黒色よりも黒いことに留意されたい。CMYKプリンタの場合、Y(黄色)が選択される。白色、蛍光イエロー、及びピンクなど、多くのハイライトカラーも機能するはずである。透明も想定される。つまり、モノクロ+ハイライトプリンタが初めて、グロス効果を得ることができるということである。
【0049】
図9は、一実施形態に係る、隠蔽性を向上させたグロス効果をレンダリングするための方法110を図示する操作に関する高レベル流れ図である。ブロック112で表されるように、第1カラー及び第2カラーのうち、上記第1カラー又は上記第2カラーのどちらが、リッチブラック着色剤から最も離れた黒色着色剤と混合されるか、を判定するためのステップ、又は操作を実行することができる。そして、次にブロック114で表されるように、黒色着色剤を含む第1カラーを選択するためのステップ、又は操作を実行することができる。次に、ブロック116で図示するように、十分に黒色で、最もリッチさが少ない黒色着色剤となるように、第2カラーを選択するためのステップ又は操作を実行することができる。
【0050】
そして、ブロック118で示すように、第1カラーでオブジェクトを作成し、第2カラーで、不透明となるようにこのオブジェクト内にデータを入力するためのステップ、又は操作を実行することができる。本明細書で使用される「オブジェクト」という用語は、印刷された紙、又は他の文書などの記録媒体上で、又は記録媒体を介してレンダリングされる、テキスト、画像、及び/又はカラーを含む、グラフィカル要素、又はデザイン要素に関連付けることができることに留意されたい。本明細書で論じるなどの、印刷システム、又はプリンタを使用して、レンダリングを実行可能である。このオブジェクトには、カラー、テキスト、図形、及び他の視覚的要素など、様々な属性を含めることができる。
【0051】
ブロック120で示すように、上記オブジェクトと共に、上記データを含めた上記オブジェクトで文書をレンダリングし、上記データを含めた上記オブジェクトは、第1カラー及び第2カラーに基づいて、グロス効果を示す、ステップ、又は操作を実行することができる。データを含むオブジェクトでレンダリングされたとき、文書は、ある角度では隠蔽され、別の角度ではコーティング処理済みメディア及び未コーティングメディアの双方で現れる、グロス効果をもつ透かしを備え得ることに留意されたい。いくつかの実施形態におけるオブジェクトは、テキストボックスであり得、オブジェクト内のデータはテキストを含み得る。いくつかの場合において、レンダリングされるテキストは、テキストコンテンツ、グラフィカル要素、又はそれらの組み合わせを含み得る。ブロック120で示すように、文書をレンダリングするステップは、文書を閲覧可能なソフトウェア、ハードウェア、又は、オペレーティングシステムに依存しない電子フォーマットで文書フォーマットすることを伴うことができる。ブロック120で図示されるレンダリングするステップは、電子文書フォーマットの文書を印刷用のプリンタに送信することを更に伴うことができる。
【0052】
図10は、一実施形態に係る、カラーコントラストが最適化された、すぐに印刷できる文書を生成するための方法130を図示する操作に関する高レベル流れ図である。ブロック132で表されるように、コンピューティングデバイスにより、黒色と混合した際、どの単一カラーが、リッチブラックから最も離れている最終的なカラーを生成するかを判定するためのステップ、又は操作を実行することができる。そして、ブロック134で図示するように、コンピューティングデバイスにより、判定された単一カラーを第1カラーとして選択するためのステップ、又は操作を実行することができる。次に、ブロック136で例示するように、コンピューティングデバイスにより、100%黒色と、黒色と混合した際、黒色のリッチさを最も少なくするカラー100%と、を含む第2カラーを選択するためのステップ、又は操作を実行することができる。次に、ブロック138で表されるように、コンピューティングデバイスにより、文書内にテキストボックスを作成し、テキストボックスを第1カラーで塗りつぶすためのステップ、又は操作を実行することができる。そして、ブロック140で示すように、コンピューティングデバイスにより、テキストボックス内にテキストを書き込み、第2カラーを使用して、不透明になる様式でテキストをレンダリングするためのステップ、又は操作を実行することができる。次に、文書は、コンピューティングデバイスにより、電子文書フォーマットとして、印刷用のプリンタに送信され得る。
【0053】
図11は、開示された実施形態の1つ以上を実装するのに好適な印刷システム200のブロック図を示す。
図12は、開示された実施形態の1つ以上を実装するのに有用なデジタルフロントエンドコントローラ300のブロック図を示す。例えば、印刷システム200、及び/又はデジタル・フロントエンド・コントローラ300を使用して、黄色、黒色のグロス効果を有する文書をレンダリングすることができる。
【0054】
図11を参照すると、本明細書に記載される例示的な実施形態の様々な態様を実装するのに適した印刷システム(又は画像レンダリングシステム)200が示されている。印刷システム200は、スキャナを介して文書をスキャンし、プリンタを介して文書を印刷するなどの、レンダリング操作を実行することが可能であり、この文書は、開示された黄色、黒色のグロス効果を示す。
【0055】
本明細書で使用するとき、「スキャナ」という用語は、画像、印刷されたテキスト、手書き、又は物体を光学的に走査し得、それをデジタル画像に変換するデバイス又はシステムである画像スキャナを指し得ることに留意されたい。スキャナの一例は、画像化される文書(例えば、書式)を走査のためにガラス窓上に置くことができるフラットベッドスキャナである。スキャナは、場合によっては、多機能装置(multi-function device、MFD)に組み込まれてもよく、多機能装置はまた、印刷及び写真複写機能を有してもよい。スキャナは、例えば、
図11に示される印刷システム200などの印刷システムに組み込まれてもよい。例えば、スキャナ229は、印刷システム200の一部として、
図9に示されている。代替として、又は印刷システム100の一部として含まれるスキャナ229に加えて、スキャナは、ネットワーク260と通信し得る、
図11にも示される別個のスキャナ262として実装されてもよい。
【0056】
本明細書で使用するとき、「プリンタ」という単語及び「印刷システム」という用語は、任意の装置及び/又はシステム、デジタル複写機、電子写真及び複写印刷システム、製本機械、ファクシミリ機械、多機能機械、インクジェット機械、連続供給、シート供給印刷デバイスなどを含むことができ、これらは、印刷コントローラ及び印刷エンジンを含み得、任意の目的のために印刷出力機能を行い得る。
【0057】
印刷システム200は、ユーザインターフェース210、デジタルフロントエンド(digital front-end、DFE)コントローラ220、及び少なくとも1つの印刷エンジン230を含み得る。印刷エンジン230は、印刷ジョブのために様々なサイズ及びコストの印刷媒体235にアクセスすることができる。印刷システム200は、複数のカラーマーキング材料を有するカラープリンタを含み得る。
【0058】
「印刷ジョブ」又は「文書」は、普通は関連するシートのセットであり、通常、特定のユーザからの元の印刷ジョブシートのセット若しくは電子文書のページ画像から複製された1つ以上の揃えられた複製セット、又はその他の関連するシートのセットである。通常印刷ジョブ(又は顧客ジョブ)の提出のために、デジタルデータが印刷システム200に送信され得る。
【0059】
ソータ240は、切断機能を含むハードコピー出力の配置を管理するために、印刷エンジン230によってジョブが印刷された後に動作し得る。ユーザは、ユーザインターフェース210を使用して、又はワークステーション250などのデータ処理システムを介して、印刷システム200にアクセスし、これを操作することができる。ワークステーション250は、通信ネットワーク260を介して印刷システム200と双方向通信し得る。
【0060】
ユーザプロファイル、印刷用の作業成果物、メディアライブラリ、及び様々な印刷ジョブパラメータは、ネットワーク260を介して、ワークステーション250又は印刷システム200によってアクセス可能なデータベース又はメモリ270に記憶され得、若しくはそのようなデータは、印刷システム200を介して直接アクセスされ得る。当該技術分野で知られているように、1つ以上の色センサ(図示せず)は、プリンタ用紙経路に埋め込まれ得る。
【0061】
図12に関して、例示的なDFE(デジタルフロントエンド)コントローラ300がより詳細に示されている。DFEコントローラ300は、機械実行可能プログラム命令を実行可能とするプロセッサ306などの、1つ以上のプロセッサを含むことができる。プロセッサ306は、DFEプロセッサとして機能し得る。
【0062】
図12で示す実施形態において、プロセッサ306は、バス302(例えば、バックプレーン・インターフェース・バス、クロスオーバーバー、又はデータネットワーク)と通信することができる。デジタルフロントエンド300はまた、機械可読命令を記憶するのに使用されるメインメモリ304を含み得る。メインメモリ304は、データを記憶することもできる。メインメモリ304は、代替的に、再プログラミング及び柔軟なデータ記憶をサポートするためのランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)を含んでもよい。バッファ366は、プロセッサ306によるアクセスのためにデータを一時的に記憶するのに使用され得る。
【0063】
プログラムメモリ364は、例えば、本明細書に記載される実施形態を実施し得る実行可能プログラムを含み得る。プログラムメモリ364は、バッファに含まれるデータの少なくともサブセットを記憶し得る。デジタルフロントエンド300は、通信バス302から(又は図示されていないフレームバッファから)ディスプレイ310にデータを転送し得るディスプレイインターフェース308を含み得る。デジタルフロントエンド300はまた、例えば、ハードディスクドライブ314及び/又は取り外し可能な記憶ドライブ316を含み得る二次メモリ312を含み得、これらは、コンピュータソフトウェア及び/又はデータを記憶する、フロッピーディスク、磁気テープ、光ディスクなどの取り外し可能な記憶装置318に対して読み取り及び書き込みを行い得る。
【0064】
二次メモリ312は、代替的に、コンピュータプログラム又は他の命令をコンピュータシステムにロードすることを可能にするための他の同様の機構を含んでもよい。このような機構は、例えば、インターフェース320を通じてデータを交換するように適合されている取り外し可能な記憶ユニット322を含み得る。このような機構の例としては、プログラムカートリッジ及びカートリッジインターフェース(ビデオゲームデバイスに見られるものなど)、取り外し可能なメモリチップ(EPROM又はPROMなど)及び関連するソケット、並びにソフトウェア及びデータが転送されることを可能にする、他の取り外し可能なユニット及びインターフェースが挙げられる。
【0065】
図12で示されるデジタルフロントエンド(DFE)コントローラ300は、通信インターフェース324を含むことができ、これは、デジタル・フロントエンド・コントローラ300と外部デバイスとの間でソフトウェア、及びデータを転送可能とするための入力、及び出力として、機能することができる。通信インターフェースの例には、モデム、ネットワークインターフェース(イーサネットカードなど)、通信ポート、PCMCIAスロットとカード、ExpressCardスロット、SCSIポートなどが、含まれる。
【0066】
コンピュータプログラム(コンピュータ制御論理とも呼ばれる)及び1つ以上のモジュールは、メインメモリ304及び/又は二次メモリ312に記憶されてもよい。コンピュータプログラム又はモジュールはまた、通信インターフェース324を介して受信されてもよい。そのようなコンピュータプログラム又はモジュールは、実行されると、コンピュータシステムが本明細書で提供される特徴及び能力を実行することを可能にする。通信インターフェースを介して転送されたソフトウェア及びデータは、例えば、電子信号、電磁信号、光信号、又は通信インターフェースによって受信されることができる他の信号であり得る信号の形式とすることができる。
【0067】
これらの信号は、信号を搬送する通信経路(すなわち、チャネル)を介して通信インターフェースに提供され得、ワイヤ、ケーブル、光ファイバ、電話線、セルラリンク、RF、又は他の通信チャネルを使用して実施され得る。
【0068】
DFE動作中にアクセスするために二次メモリ312に記憶されるデータの一部は、入来カラー信号を物理的機械信号に変換し得る変換テーブルのセットであってもよい。
【0069】
このカラー信号は、カラーメトリック値、通常、L*a*b*、RGB、XYZなどの3つの成分、シアン、マゼンタ、黄色、及び黒色の4つのトナーのための物理的露光信号へのいずれかとして表現され得る。これらのテーブルは、DFEの外側で作製され、ダウンロードされ得るが、いわゆる特性評価ステップにおいてDFE内に任意選択的に作製されてもよい。二次メモリ312に記憶されたデータの一部はまた、前述の変換テーブルであってもよい。
【0070】
データ処理システムのいくつかの態様は、様々なシステム及び方法を参照してここに提示される。これらのシステム及び方法は、以下の詳細な説明に記載され、添付の図面に様々なブロック、モジュール、構成要素、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(集合的に「要素」と称され得る)によって示され得る。これらの要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はこれらの任意の組み合わせを使用して実装され得る。そのような要素がハードウェア又はソフトウェアとして実装されるか否かは、システム全体に課される特定のアプリケーション及び設計上の制約に依存する。
【0071】
例として、要素、又は要素の任意の部分、又は要素の任意の組み合わせは、1つ以上のプロセッサを含む「処理システム」と共に実装されてもよい。プロセッサの例としては、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processors、DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate arrays、FPGA)、プログラマブル論理装置(programmable logic devices、PLD)、状態機械、ゲーテッド論理、離散的なハードウェア回路、及びこの開示全体で説明されている様々な機能を実行するように構成された他の好適なハードウェアが挙げられる。処理システム内の1つ以上のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語などと称されるか否かに関わらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味すると広く解釈されるものとする。モバイル「アプリ」は、そのようなソフトウェアの一例である。
【0072】
したがって、1つ以上の例示的な実施形態では、説明されている機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令又はコードに記憶されるか、又はそれらとして符号化されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。
【0073】
開示された例示的な実施形態は、本発明の実施形態による方法、システム、並びにコンピュータプログラム製品及びデータ構造のフローチャート図及び/又はブロック図及び/又は概略図を参照して、本明細書に少なくとも部分的に記載される。図の各ブロック、及びブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装され得ることが理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は機械を製造するための他のプログラマブルデータ処理機器のプロセッサに提供されてもよく、その結果、コンピュータのプロセッサ又は他のプログラマブルデータ処理機器を介して実行する命令は、ブロックで指定された機能/行為を実装する手段を作成する。
【0074】
明確にするために、開示された実施形態は、例えば、専用コンピュータ又は汎用コンピュータ、あるいは他のプログラマブルデータ処理機器又はシステムの文脈で実装され得る。例えば、いくつかの例示的な実施形態では、データ処理機器又はシステムは、専用コンピュータと汎用コンピュータとの組み合わせとして実装され得る。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに実施形態の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(又は媒体)を含んでもよい。
【0075】
前述のコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置を特定の様式で機能させるために指示することができるコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、その結果、コンピュータ可読メモリに記憶された命令(例えば、ステップ/動作)は、様々なブロック、フロー図、並びに本明細書で図示及び説明されている他のアーキテクチャで指定された機能/行為を実装する命令手段を含む製品を製造する。
【0076】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行する命令がブロックに指定された機能/動作を実装するための工程を提供するように、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされて、コンピュータ実装プロセスを生成するための一連の動作工程をコンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行させ得る。
【0077】
図のフローチャート及びブロック図は、様々な実施形態(例えば、優先される又は代替的な実施形態)によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、及び動作を示す。この点に関して、本明細書に図示及び説明されているフロー図又はブロック図中のそれぞれのブロックは、指定された論理的機能を実施するための1つ以上の実行可能命令を含み得る、モジュール、セグメント、又は命令の部分を表し得る。
【0078】
いくつかの代替的な実装態様では、ブロック内に記載された機能は、図中に記された順序とは異なる順序で実行されてもよい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又はブロックは、伴われる機能性に応じて逆順序で実行されてもよい。また、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能又は行為を実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実装され得、あるいは専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを遂行することができることに留意されたい。
【0079】
本明細書で説明される機能性は、完全かつ非抽象的に、物理的ハードウェアとして、完全に物理的な非抽象的ソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)として、又は本明細書で「回路」、「モジュール」、「エンジン」、「コンポーネント」、「ブロック」、「データベース」、「エージェント」、若しくは「システム」と称される場合がある非抽象的ソフトウェアの実装及びハードウェアの実装を組み合わせて実装され得る。更に、本開示の態様は、コンピュータ可読及び/又は実行可能プログラムコードが具現化された1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態をとり得る。
【0080】
以下の論述は、システム及び方法が実装され得る好適なコンピューティング環境の簡単な一般的説明を提供することを意図する。必須ではないが、開示される実施形態は、単一のコンピュータによって実行される、プログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令との一般的な関わりにおいて記載される。多くの場合、「モジュール」(「エンジン」とも称される)は、ソフトウェアアプリケーションを構成し得るが、ソフトウェア及びハードウェアの両方(すなわち、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ)としても実装され得る。
【0081】
一般に、プログラムモジュールとしては、特定のタスクを実行するか、又は特定のデータ型及び命令を実装するルーチン、サブルーチン、ソフトウェアアプリケーション、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などが挙げられるが、これらに限定されない。更に、当業者であれば、開示された方法及びシステムは、例えば、ハンドヘルドデバイス、マルチプロセッサシステム、データネットワーク、マイクロプロセッサベースの又はプログラム可能な民生用電子機器、ネットワーク化PC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、サーバーなどの他のコンピュータシステム構成を用いて実施されてもよいことを理解するであろう。
【0082】
本明細書で使用するとき、用語「モジュール」は、特定のタスクを実行するか、又は特定のデータ型を実装するルーチン及びデータ構造の集合を指し得ることに留意されたい。モジュールは、他のモジュール又はルーチンによってアクセスされ得る定数、データ型、変数、及びルーチンをリストするインターフェースと、典型的にプライベート(例えば、そのモジュールにのみアクセス可能)であり得、モジュール内にルーチンを実際に実装するソースコードを含む実装との2つの部分で構成されてもよい。用語モジュールはまた、単純に、ワードプロセッシング、会計、在庫管理などの特定のタスクの実行を支援するように設計されたコンピュータプログラムなどのアプリケーションを指す場合がある。
【0083】
いくつかの例示的な実施形態では、「モジュール」という用語はまた、モジュール式ハードウェア構成要素、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせである構成要素を指し得る。本明細書で述べるアプローチに係るかかるモジュールの実装、及び処理は、例えば、
図11で示す印刷システム200、及び/又は
図12で示すDFEコントローラ300などのデータ処理システムにおいて、処理速度の改善、並びに、エネルギーの節約、及び効率の改善をもたらすことができることが理解されよう。「モジュール」は、本明細書で検討するステップ、又は操作の1つ以上など、本明細書で検討する様々なステップ、操作、又は命令を実行できる。
【0084】
例えば、本明細書に記載の方法は、例えば、DFEコントローラ220によって実行され得るモジュールを含む、コンピュータプログラム製品において部分的に実施され得る。コンピュータプログラム製品は、ディスク、ハードドライブなど制御プログラムが記録(記憶)され得る非一時的コンピュータ可読記録媒体を含み得る。本明細書で使用するとき、「記録媒体」という用語は、そのような非一時的コンピュータ可読記録媒体に関し得ることに留意されたい。
【0085】
非一時的コンピュータ可読媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、若しくは任意の他の磁気記憶媒体、CD-ROM、DVD、若しくは任意の他の光媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、又は他のメモリチップ若しくはカートリッジ、又は内部からコンピュータが読み出すことができ、かつ使用することができる任意の他の有形媒体が挙げられる。コンピュータプログラム製品は、DFEコントローラ220と一体であってもよく(例えば、RAMの内部ハードドライブ)、若しくは別個であってもよく(例えば、プリンタと動作可能に接続された外部ハードドライブ)、又は、別個であり、かつローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)若しくはインターネットなどのデジタルデータネットワークを介して(例えば、
図8に示されるネットワーク260などのデジタルネットワークを介して、DFEコントローラ220によって間接的にアクセスされ得る、安価な又は独立したディスクの冗長アレイ(redundant array of inexpensive or independent disk、RAID)又は他のネットワークサーバー記憶装置として)アクセスされてもよい。
【0086】
開示されたプロセス又は方法におけるステップ、動作、又は命令の特定の順序又は階層は、例示的な手法の一例であることを理解されたい。例えば、本明細書で論じられる様々なステップ、動作、又は命令は、異なる順序で実行され得る。同様に、本明細書で論じられる開示された例示的な擬似コードの様々なステップ及び動作は、異なる順序で変更及び処理され得る。設計の好みに基づいて、本明細書で論じられ、例示されるプロセス又は方法におけるそのようなステップ、動作、又は命令の特定の順序又は階層は、並べ替えられ得ることを理解されたい。添付の「特許請求の範囲」は例えば、様々なステップ、動作、又は命令の要素をサンプル順序で提示しており、提示された特定の順序又は階層に限定されることを意図していない。
【0087】
本発明者らは、このようなコンピュータ技術における効率を改善することによってコンピュータ技術を改善するために、技術的問題に対する非抽象的な技術的解決策を実現した。開示された実施形態は、データ処理システムなどのコンピュータ技術に対する技術的な改善を提供し、更に、本開示の「背景技術」の節において特定された技術的問題に対する技術的解決策を介して、コンピュータ技術に対する非抽象的な改善を提供する。そのような改善は、実施形態の実装からもたらされ得る。特許請求される解決策は、コンピュータ、コンピュータネットワーク、並びに印刷及び走査の分野で特に生じる問題を克服するために、コンピュータ技術を根源とすることができる。特許請求される解決策はまた、セキュリティデバイス(例えば、透かし)がレンダリングされ得る印刷媒体(例えば、紙)などの非抽象的特徴を含むセキュリティデバイスなどの非抽象的デバイスを含み得る。
【0088】
上記を踏まえて、本明細書には、好ましい実施形態、及び代替実施形態を含む、多くの異なる実施形態が開示されていることが、理解されよう。例えば、一実施形態において、グロス効果をレンダリングするための方法は、第1カラー及び第2カラーのうち、上記第1カラー又は上記第2カラーのどちらが、リッチブラック着色剤から最も離れた黒色着色剤と混合されるか、を判定することと、黒色着色剤を含む第1カラーを選択することと、十分に黒色で、最もリッチさが少ない黒色着色剤となるように、第2カラーを選択することと、上記第1カラーでオブジェクトを作成し、上記第2カラーで、不透明となるように上記オブジェクト内にデータを入力することと、上記オブジェクトと共に、上記データを含めた上記オブジェクトで文書をレンダリングすることであって、上記データを含めた上記オブジェクトは、第1カラー及び第2カラーに基づいて、グロス効果を示す、ことと、を含むステップ、又は操作を、伴うことができる。
【0089】
一実施形態において、上記データを含み得るオブジェクトでレンダリングされたとき、文書は、ある角度では隠蔽され、別の角度ではコーティング処理済みメディア及び未コーティングメディアの双方で現れる、グロス効果をもつ透かしを備える。
【0090】
一実施形態において、オブジェクトはテキストボックスを含むことができ、オブジェクト内のデータはテキストを含む。
【0091】
一実施形態において、レンダリングされるテキストは、テキストコンテンツ、グラフィカル要素、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0092】
一実施形態において、文書をレンダリングすることは、文書を閲覧可能なソフトウェア、ハードウェア、又は、オペレーティングシステムに依存しない電子フォーマットで文書をフォーマットすることを更に伴うことができる。
【0093】
一実施形態において、文書をレンダリングすることは、電子文書フォーマットの文書を印刷用のプリンタに送信することを更に伴うことができる。
【0094】
一実施形態において、電子文書フォーマットは、ページ記述言語(PDL)文書を含み得る。
【0095】
一実施形態において、文書をレンダリングすることは、印刷システムを介して文書を印刷することを更に伴うことができる。
【0096】
一実施形態において、カラーコントラストが最適化された、すぐに印刷できる文書を生成するための方法は、コンピューティングデバイスにより、黒色と混合した際、どの単一カラーが、リッチブラックから最も離れている最終的なカラーを生成するかを判定することと、コンピューティングデバイスにより、判定された単一カラーを第1カラーとして選択することと、コンピューティングデバイスにより、100%黒色と、黒色と混合した際、黒色のリッチさを最も少なくするカラー100%と、を含む第2カラーを選択することと、コンピューティングデバイスにより、文書内にテキストボックスを作成し、テキストボックスを第1カラーで塗りつぶすことと、コンピューティングデバイスにより、テキストボックス内にテキストを書き込み、第2カラーを使用して、不透明になる様式でテキストをレンダリングすることと、を伴うことができる。
【0097】
一実施形態は、コンピューティングデバイスにより、電子文書フォーマットの文書を印刷用のプリンタに送信することを更に伴うことができる。
【0098】
一実施形態において、グロス効果画像を記録媒体にレンダリングするためのシステムは、プロセッサと、プログラミング命令を含むコンピュータ可読媒体と、を含むことができ、上記プログラミング命令は、プロセッサに、第1カラー及び第2カラーのうち、上記第1カラー又は上記第2カラーのどちらが、リッチブラック着色剤から最も離れた黒色着色剤と混合されるか、を判定させ、黒色着色剤を含む第1カラーを選択させ、十分に黒色で、最もリッチさが少ない黒色着色剤となるように、第2カラーを選択させ、上記第1カラーでオブジェクトを作成し、上記第2カラーで、不透明となるように上記オブジェクト内にデータを入力させ、上記オブジェクトと共に、上記データを含めた上記オブジェクトを記録媒体にレンダリングさせ、上記データを含めた上記オブジェクトが、第1カラー及び第2カラーに基づいて、グロス効果を示すことができる、ように構成される。
【0099】
上に開示された特徴及び機能、並びに他の特徴及び機能、又はそれらの代替物の変形は、望ましくは多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることが理解されるであろう。現在予期されない又は予想されない様々な代替物、修正、変形、又は改善は、後に当業者によって行われてもよく、また、以下の特許請求の範囲に包含されることを意図することも理解されるであろう。
【外国語明細書】