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特開2025-6670レコード盤のセンターラベル用プロテクタ及びレコード盤のセンターラベル保護方法
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  • 特開-レコード盤のセンターラベル用プロテクタ及びレコード盤のセンターラベル保護方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006670
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】レコード盤のセンターラベル用プロテクタ及びレコード盤のセンターラベル保護方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 3/58 20060101AFI20250109BHJP
   G11B 23/40 20060101ALI20250109BHJP
   H05K 1/03 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
G11B3/58 E
G11B23/40 A
H05K1/03 670Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107607
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】521289191
【氏名又は名称】有限会社芳美商事
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】前田 実
(57)【要約】
【課題】 レコード針によるレコード盤のセンターラベルの損傷防止を図り、センターラベルの初期状態を保持可能または現状維持を可能とすること。
【解決手段】
樹脂又はゴムからなり、センターラベルの上面部を被覆するようにレコード盤に着脱自在に装着され、厚さが、0.5mm~1.5mmであり、上面部の面積が、上記センターラベルの上面部の面積より大きい、レコード盤のセンターラベル用プロテクタ。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂又はゴムからなり、
センターラベルの上面部を被覆するようにレコード盤に着脱自在に装着され、
厚さが、0.5mm~1.5mmであり、
上面部の面積が、上記センターラベルの上面部の面積以上である、
レコード盤のセンターラベル用プロテクタ。
【請求項2】
平面視が円形状であり、中心部に孔部を有する、請求項1に記載のレコード盤のセンターラベル用プロテクタ。
【請求項3】
樹脂又はゴムからなり、厚さが0.5mm~1.5mmであり、上面部の面積がセンターラベルの上面部の面積以上であり、平面視が円形状のレコード盤のセンターラベル用プロテクタを、上記センターラベルの上面部を被覆するようにレコード盤に装着することにより、
上記レコード盤をレコードプレーヤで再生する際、上記レコード盤のセンターラベル用プロテクタが、上記レコードプレーヤに設けられるレコード針と上記センターラベルとの接触を防止する、レコード盤のセンターラベル保護方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レコードの中心部に設けられたセンターラベルを保護するためのレコード盤のセンターラベル用プロテクタ及びレコード盤のセンターラベル保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アナログレコード盤の評価が高まってきている。
レコード盤の主たる素材は、ポリ塩化ビニルである。ポリ塩化ビニルは、マイナスに帯電し易いため、塵や埃が付着し易い。そのため、レコード盤をきれいに保存するためには、レコード盤を定期的に洗浄することが望ましい。
【0003】
ところで、レコード盤の中心部には、回転数、曲目、音楽家及びレコード会社名等の情報が記載された円形状のシールが貼付されている。このシールは、センターラベル(別称、ラベルまたはレーベル)とも呼ばれ、レコード盤を収容するジャケットのようにユニークなデザインが施されることが多い。
センターラベルは、紙製のものが多い。そのため、センターラベルは、レコード再生時の外部環境やレコード盤の洗浄時において、インクがにじむ、よれる、破損する虞がある。
【0004】
特許文献1には、レコードの中央部分に形成されたレーベル部分を覆うレコード洗浄具であって、レコード洗浄具はレーベル部分をレコードの両側から覆う一組のカバー部材と、カバー部材とレコードとの間をシールするシール材と、雄ねじ部材と、雄ねじ部材に螺合する雌ねじ部材とを備え、カバー部材は外周に沿ってシール材を装着しており、且つ中央にレコードの中央孔と一致する貫通孔を備え、レコードの中央孔とカバー部材の貫通孔とを一致させた位置でレコードの中央孔とカバー部材とに雄ねじ部材を挿通して雌ねじ部材を螺合することにより一組のカバー部材でレコードを狭着することを特徴とするレコード洗浄具が開示されている。
【0005】
非特許文献1には、レコード盤を水洗いする際に、レコード盤中心の紙製のラベル部分を水から保護するためのアクリル製のプロテクターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-30711号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】http://www.nagaoka.co.jp/item/clp02.htm
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の通り、レコード盤のセンターラベルには、ユニークなデザインが施されることが多い。そして、所謂、アンティークとして価値の高いレコード盤は、レコード盤本体そのものの状態が良好であることのみならず、センターラベルの状態が良好であることも重要である。
【0009】
ところで、レコードの再生にあたっては、先端部にレコード針を有するトーンアームを備えたレコードプレーヤを用いることが多い。
手動・自動にかかわらず、レコードプレーヤのターンテーブル上で回転するレレコード盤にレコード針を下すことで、レコードの再生が行われる。ここで、一般的に、レコード針は、レコード盤の回転に従い、レコード盤の外側から内側に移動する。そして、レコード針がレコード盤の最内周(溝)に移動した際、レコードプレーヤ、レコード針、またはレコード盤の状態によっては、レコード針がセンターラベルにまで侵入し、センターラベルを損傷してしまう虞がある。
【0010】
特許文献1及び非特許文献1に開示されたものは、水洗いによりレコード盤の溝に付着した塵や汚れを取るためのものである。従って、水洗い時の水濡れ防止以外のセンターラベルの保護を意図したものではない。また、これらの文献には、レコード再生時のセンターラベルの損傷防止という発想・思想は開示されておらず、また、示唆もされていない。
【0011】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、レコード再生時における、レコード針によるセンターラベルの損傷を防止できるレコード盤のセンターラベル用プロテクタ及びレコード盤のセンターラベル保護方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の構成を有する。
【0013】
(1)樹脂又はゴムからなり、センターラベルの上面部を被覆するようにレコード盤に着脱自在に装着され、厚さが、0.5mm~1.5mmであり、上面部の面積が、上記センターラベルの上面部の面積以上である、レコード盤のセンターラベル用プロテクタ。
【0014】
(2)平面視が円形状であり、中心部に孔部を有する、上記(1)に記載のレコード盤のセンターラベル用プロテクタ。
【0015】
(3)樹脂又はゴムからなり、厚さが0.5mm~1.5mmであり、上面部の面積がセンターラベルの上面部の面積以上であり、平面視が円形状のレコード盤のセンターラベル用プロテクタを、上記センターラベルの上面部を被覆するようにレコード盤に装着することにより、上記レコード盤をレコードプレーヤで再生する際、上記レコード盤のセンターラベル用プロテクタが、上記レコードプレーヤに設けられるレコード針と上記センターラベルとの接触を防止する、レコード盤のセンターラベル保護方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、レコード再生時における、レコード針によるセンターラベルの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係わるレコード盤のセンターラベル用プロテクタの全体の概略構成を示す上面図である。
図2】同実施形態に係わり、レコード盤のセンターラベル用プロテクタの全体の概略構成を示す側面図である。
図3】同実施形態に係わり、レコード盤のセンターラベル用プロテクタをレコード盤に装着した状態(但し溝部は不図示)を模式的に示す上面図である。
図4】同実施形態に係わり、レコード盤のセンターラベル用プロテクタをレコード盤に装着した状態を模式的に示す側面図である。
図5】同実施形態に係わり、レコード盤のセンターラベル用プロテクタを装着したレコード盤をレコードプレーヤにセットした状態であって、レコード再生時におけるレコード針とセンターラベルの非接触状態の様子を模式的に示す側面図である。
図6】同実施形態に係わり、レコード再生時におけるレコード盤のセンターラベルの保護の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態につき、図を参照して説明する。
本実施形態に係わるレコード盤のセンターラベル用プロテクタ(以下「プロテクタ」)100は、平面視円形状を呈する。プロテクタ100は、センターラベル300の上面部300aを被覆するように着脱自在に装着される。また、プロテクタ100は、センターラベル300の上面部300aの一部と密着していることが望ましい。
【0019】
樹脂としては、軟質樹脂が好ましく用いられ、軟質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等が好適に用いられる。また、ゴムは、天然ゴムであっても、合成ゴムであってもよく、軟質ゴムが好ましく用いられる。ただし、樹脂又はゴムは、これらに限定されるものではなく、硬質樹脂、硬質ゴムを用いることもできる。本実施形態では、プロテクタ100は、軟質ポリ塩化ビニルからなる。
また、プロテクタ100は、透明または半透明であることが好ましいが、不透明であってもよい。
【0020】
プロテクタ100の厚み(PT)は、0.5mm~1.5mmである。
また、プロテクタ100の上面部100aの面積(PA)は、センターラベル300の上面部300aの面積(LA)以上である。面積(PA)は、面積(LA)よりも大きいことが好ましい。
また、プロテクタ100の直径は、センターラベル300の直径より大きく、レコード盤200の最内周(不図示)の直径よりも小さいことが好ましい。特に、プロテクタ100の直径は、センターラベル300の直径より僅かに大きいことが好ましい。
【0021】
また、プロテクタ100の中心部100bには、レコードプレーヤ400のターンテーブル410の中心部400aに突設されたセンタースピンドル420にプロテクタ100を挿脱自在に挿通させるための孔部110が設けられている。孔部110は、平面視円形状を呈する。
なお、上面部100aの面積(PA)には、孔部110の内周側の空間部位に対応する面積も含まれるものとする。
【0022】
レコード盤200は、溝部210を有する。また、レコード盤200の中心部200bには、内周側でセンタースピンドル420を挿脱自在に挿通し、レコード盤200をターンテーブル410に載置するためのセンターホール220が設けられている。
レコード盤200の中心域200aには、例えば、紙製のセンターラベル300が、貼付またはプレスにより設けられている。センターラベル300の中心部300bには、センタースピンドル420を挿脱自在に挿通するための孔部320が設けられている。孔部320は、平面視円形状を呈する。
【0023】
孔部110の直径(Φ1)と、センターラベル300の孔部320の直径(Φ2)とは、直径(Φ1)≦直径(Φ2)となることが好ましく、直径(Φ1)が直径(Φ2)より僅かに小さいことがより好ましい。
ただし、直径(Φ1)は、レコード盤200をレコードプレーヤ400にセットする際に、プロテクタ100をセンタースピンドル420に挿通でき、且つ、プロテクタ100がセンターラベル300の上面部300aを被覆するよう装着できる範囲で、適宜変更することができる。
【0024】
本実施形態においては、プロテクタ100並びにレコード盤200及びセンターラベル300は、LPレコード盤サイズを想定している。しかし、これらは、LPレコード盤サイズ以外のサイズ(例:SPレコード盤サイズ、EPレコード盤サイズ)を想定したものであってもよいことは勿論である。
【0025】
レコードプレーヤ400は、ターンテーブル410、センタースピンドル420及びレコード針430が取り付けられたカートリッジ440を先端部に備える手動式のトーンアーム450を有する。
ターンテーブル410は、内設する駆動モータ(不図示)により回転する。センタースピンドル420は、レコード盤200を回転軸の中心に位置させるための突起物である。レコード針430は、レコード盤200に形成された溝部210から音信号を拾う。
【0026】
上記構成につき、その作用を説明する。
【0027】
まず、プロテクタ100をレコード盤200に装着する。具体的には、センターラベル300の上面部300a全体をプロテクタ100が被覆するように、また、プロテクタ100の孔部110とレコード盤200のセンターホール220とを重ね合わせるように、プロテクタ100をレコード盤200に装着する(図6のステップS610参照)。
【0028】
そして、プロテクタ100が装着されたレコード盤200を、センタースピンドル420を介してレコードプレーヤ400のターンテーブル410にセットする(ステップS620)。これにより、レコード再生が可能となる。
【0029】
本実施形態では、プロテクタ100をレコード盤200に装着した後に、ターンテーブル410にレコード盤200をセットしている。しかし、レコード盤200をターンテーブル410にセットした後に、プロテクタ100をレコード盤200に装着するようにしてもよい。
【0030】
この後、ターンテーブル410を回転させ、手動でトーンアーム450をレコード盤200上に移動させ、レコード針430をレコード盤200の所望の溝部210に下すと、レコードの再生が始まる(ステップS630)。
【0031】
そして、レコード針430が、レコード盤の200最内周まで移動すると、手動でトーンアーム450を上方へ移動させてレコード針430をレコード盤200から離間することにより、レコード再生を終了させる(ステップS640)。
【0032】
ここで、通常、レコード針は、レコード盤の最内周よりも内側には移動しない。しかし、レコードプレーヤ、レコード針、またはレコード盤の状態によっては、レコード針が、レコード盤の最内周よりも更に内側、即ち、センターラベルにまで移動する場合がある。
このような場合であっても、プロテクタ100を装着したレコード盤200であれば、レコード針430は、センターラベル300の外周部300cではなく、プロテクタ100の外周部100cに接触する。プロテクタ100の外周部100cは、レコード針430の更なる(内側への)移動を遮るため、レコード針430の、センターラベル300の外周部300cへの接触や、センターラベル300内への侵入を防止することができる。
また、レコード盤200をジャケットにしまう際には、プロテクタ100をレコード盤200から取り外せばよい。なお、本実施形態においては、プロテクタ100は、軟質ポリ塩化ビニルからなる。そのため、レコード盤200を傷つけることなく、容易にプロテクタ100をレコード盤200から取り外すことができる。
【0033】
このように、本実施形態のプロテクタ100は、センターラベル300の上面部300aに装着しさえすれば、レコード針240のセンターラベル300内への侵入や、センターラベル300の外周部300cへの接触を防止することができる。これにより、プロテクタ100は、センターラベル300の損傷を防止することができ、レコード盤200の保存状態を良好にすることができる。
【0034】
また、上記実施形態によれば、プロテクタ100は、極めてシンプルな構造であり、また、入手し易い素材を利用できるため、経済的にも生産的にも優れる。
【0035】
更に、上記実施形態によれば、プロテクタ100は、軽量であるため、レコード盤200及びターンテーブル410への負荷や、レコード再生に際しての悪影響を大幅に低減することができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
100 …センターラベル用プロテクタ(プロテクタ)
100a …上面部
110 …孔部
200 …レコード盤
200a …中心域
200b …中心部
210 …溝部
300 …センターラベル
300a …上面部
300c …外周部位
400 …レコードプレー
410 …ターンテーブル
420 …センタースピンドル
430 …レコード針
450 …トーンアーム

図1
図2
図3
図4
図5
図6