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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006671
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】画像読取システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/191 20060101AFI20250109BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20250109BHJP
   H04N 1/38 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H04N1/191
H04N1/12 Z
H04N1/04 D
H04N1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107617
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鴇澤 正宗
【テーマコード(参考)】
5C072
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA10
5C072BA20
5C072CA05
5C072DA03
5C072DA25
5C072EA05
5C072EA07
5C072NA01
5C072NA04
5C072RA04
5C072RA05
5C072RA06
5C072RA16
5C072UA02
5C072UA06
5C072UA11
5C072UA17
5C072UA18
5C072WA02
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】文字などのオブジェクト情報を欠損することなくパンチ穴を除去する。
【解決手段】原稿の画像情報を読み取る画像読取手段70と、画像読取手段70で読み取った読取画像から穴を検出する原稿穴検出手段74と、原稿穴検出手段74で検出された原稿の穴に基づいて、穴の中心側から放射状に輝度情報を算出する輝度情報算出手段と、輝度情報算出手段により得られた輝度情報から穴の周辺に原稿の地色と異なる着色領域があるかを判定する着色領域判定手段75とを備え、着色領域判定手段75が着色領域と判定した領域を地色に補正することを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像情報を読み取る画像読取手段と、
前記画像読取手段で読み取った読取画像から穴を検出する原稿穴検出手段と、
前記原稿穴検出手段で検出された原稿の穴に基づいて、穴の中心側から放射状に輝度情報を算出する輝度情報算出手段と、
前記輝度情報算出手段により得られた輝度情報から前記穴の周辺に原稿の地色と異なる着色領域があるかを判定する着色領域判定手段と
を備え、
前記着色領域判定手段が前記着色領域と判定した領域を前記地色に補正することを特徴とする画像読取システム。
【請求項2】
前記着色領域判定手段は、前記着色領域において文字や線画などのオブジェクト情報が存在することを検出する文字情報検出手段を備え、
前記着色領域判定手段が前記着色領域と判定した領域のうち、前記文字情報検出手段が文字情報と判定した領域以外の領域を地色に補正することを特徴とする請求項1に記載の画像読取システム。
【請求項3】
前記文字情報検出手段は、前記着色領域に輝度値の低い画素が連続している場合、その部分を文字や線画などのオブジェクト情報であると判定することを特徴とする請求項2に記載の画像読取システム。
【請求項4】
前記文字情報領域にOCR処理を行い、対象の領域の情報が文字であるかを判定する文字情報判定手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の画像読取システム。
【請求項5】
前記文字情報検出手段により、文字情報と判定されなかった場合、操作者に前記領域を残すか背景色に補正するかを選択する旨を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の画像読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置を含む画像読取システムに関し、詳しくは、原稿に形成されたパンチ穴に対応する画像を除去するための画像処理プログラム、画像処理装置、及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置によって読み取られた原稿の画像のうち、例えばパンチなどによって原稿に形成された穴等(以下、「パンチ穴」と表記。)に対応する部分を検出して除去するための技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された画像読取装置では、感圧紙にパンチ穴が形成された場合に、パンチ穴画像と、パンチ穴の周辺に圧力が加わることに応じて付着する色をパンチ穴画像に対応する矩形領域内の画素に基づいて算出する。そして算出した色から、塗り潰し対象領域を設定し、塗り潰し色にてパンチ穴および周辺の色を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6376024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1ではパンチ穴の周囲に付着した色を矩形領域で算出し、原稿の地色と異なる場合は、その領域を塗り潰してパンチ穴および周辺に付着した色を除去できるが、パンチ穴付近にある文字などの情報も除去対象と判定し、除去してしまう恐れがあり、情報の欠損を生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記を鑑み、本発明に係る画像読取システムは、
原稿の画像情報を読み取る画像読取手段と、
前記画像読取手段で読み取った読取画像から穴を検出する原稿穴検出手段と、
前記原稿穴検出手段で検出された原稿の穴に基づいて、穴の中心側から放射状に輝度情報を算出する輝度情報算出手段と、
前記輝度情報算出手段により得られた輝度情報から前記穴の周辺に原稿の地色と異なる着色領域があるかを判定する着色領域判定手段と
を備え、
前記着色領域判定手段が前記着色領域と判定した領域を前記地色に補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パンチ穴の周辺に形成された色のみを除去し、文字などのオブジェクト情報を残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置(画像読取装置)の構成を概略的に示す部分断面図。
図2】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置(画像読取装置)のブロック図
図3】本発明の一実施形態に係る画像処理部のブロック図
図4】本発明の一実施形態に係るパンチ穴および穴周辺領域除去処理のフローチャート
図5】本発明の一実施形態に係るパンチ穴および穴周辺領域の除去領域判定処理の説明図
図6】本発明の一実施形態に係るオブジェクト領域検出後の処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を実施するための一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲において本発明が使用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものである。
【0010】
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の第1の実施形態に係る原稿搬送装置について説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の構成を概略的に示す部分断面図である。なお、本実施形態においては、画像読取装置がシステムとして構成されており、画像読取装置Aと外部装置200からなる態様について説明するが、単一の装置として構成されてもよく、また、各構成が異なる装置から構成されるシステムとして構成されてもよい。
【0012】
<装置の構成>
画像読取装置Aは、載置台1に積載された一又は複数の搬送媒体Sを1つずつ装置内に経路RTにて搬送してその画像を読取、積載部材としての排出トレイ2に排出する装置である。読み取る搬送媒体Sは、例えば、はがき、OA紙、チェック、小切手、名刺、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等を挙げることができる。搬送媒体Sには、また、パスポートなどの冊子も含まれる。冊子を対象とする場合、ホルダを用いることができる。透明なホルダに見開き状態の冊子を収容して載置台1に載置することで、冊子がホルダと共に搬送され、その画像を読み取ることができる。
【0013】
<給紙>
経路RTに沿って搬送媒体Sを給送する給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は本実施形態の場合、送りローラ11と、送りローラ11に対向配置される分離ローラ12と、を備え、載置台1上の搬送媒体Sを搬送方向D1に一つずつ順次搬送する。送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、図中矢印方向(経路RTに沿って搬送媒体Sを搬送させる正方向)に回転駆動される。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力を断続する。
【0014】
<駆動部>
駆動部3と送りローラ11とを接続する伝達部5は、例えば、本実施形態では、通常時において駆動力が伝達される状態とし、搬送媒体Sを逆送または停止する場合には駆動力を遮断する。送りローラ11は伝達部5により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転可能な状態となる。なお、このような伝達部5は、送りローラ11を一方向のみに駆動させる場合には設けなくてもよい。
【0015】
<分離構造>
送りローラ11に対向配置される分離ローラ12は、搬送媒体Sを1枚ずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けると共に送りローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向(送りローラ11の正方向とは逆方向))に回転駆動される。
【0016】
分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。これにより、複数の搬送媒体Sが送りローラ11と分離ローラ12との圧接部に搬送されてきた際には、一つを残して2つ以上の搬送媒体Sが下流に搬送されないようにせき止められる。
【0017】
なお、本実施形態では分離ローラ12と送りローラ11とで分離機構を構成したが、このような分離機構は必ずしも設けなくてもよく、経路RTに搬送媒体Sを1つずつ順次給送する給送機構であればよい。また、分離機構を設ける場合においては、分離ローラ12のような構成の代わりに、搬送媒体Sに摩擦力を付与する分離パッドを送りローラ11に圧接させて、同様の分離作用を持たせるようにしてもよい。
【0018】
<搬送構造>
第1搬送部10の搬送方向下流側にある搬送機構としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22とを備え、第1搬送部10から搬送されてきた搬送媒体Sをその下流側へ搬送する。駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0019】
このような第2搬送部20よりも搬送方向下流側にある第3搬送部30は、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に従動する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきた搬送媒体Sを排出トレイ2へ搬送する。つまり、この第3搬送部30は排出機構として機能する。
【0020】
駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れ回る。この従動ローラ32は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0021】
原稿を積載する排出トレイ2は、画像読取装置Aに対して回動可能なように、画像読取装置Aの下方に設けられた第1ヒンジ101を介して軸支されている。また、第1ヒンジ101側の第1排出トレイ2aとその先端側に接続された第1延長トレイ2b、第2延長トレイ2c、第3延長トレイ2dとから構成されている。
【0022】
<画像読取構造、制御>
ここで、本実施形態の画像読取装置Aでは、第2搬送部20と第3搬送部30との間に配置される画像読取部70によって画像の読取を行うため、第2搬送部20及び第3搬送部30は搬送媒体Sを定速搬送する。搬送速度は常に第1搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行搬送媒体Sに後続搬送媒体Sが追いついてしまう事態を確実に回避できる。例えば、本実施形態では、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度を、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度よりも速くなるように速度制御するようにした。
【0023】
なお、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度と、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度とを同一条件とした場合でも、駆動部3を制御して後続搬送媒体Sの給送開始タイミングを間欠的にずらすことにより先行搬送媒体Sと後続搬送媒体Sとの間に最低限の間隔を形成することも可能である。
【0024】
<重送検出>
第1搬送部10と第2搬送部20との間に配置される重送検出センサ40は、静電気等で紙などの搬送媒体S同士が密着し、第1搬送部10を通過してきた場合(つまり重なって搬送される重送状態の場合)に、これを検出するための検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)の一例である。重送検出センサ40としては、種々のものが利用可能であるが本実施形態の場合には超音波センサであり、超音波の発信部41とその受信部42とを備え、紙等の搬送媒体Sが重送されている場合と1つずつ搬送されている場合とで、搬送媒体Sを通過する超音波の減衰量が異なることを原理として重送を検出する。
【0025】
<レジストセンサ>
このような重送検出センサ40よりも搬送方向下流側に配置される媒体検出センサ50は第2搬送部20よりも上流側で、第1搬送部10よりも下流側に配置された搬送路RT上流側の検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)としての一例であり、第1搬送部10により搬送される搬送媒体Sの位置、詳細には、媒体検出センサ50の検出位置に搬送媒体Sの端部が到達又は通過したか否かを検出する。媒体検出センサ50としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51とその受光部52とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。
【0026】
本実施形態の場合、搬送媒体Sの先端が媒体検出センサ50で検出された時点で、搬送媒体Sが重送検出センサ40により重送を検出可能な位置に到達しているように、上記の媒体検出センサ50は重送検出センサ40の近傍においてその下流側に設けられている。なお、この媒体検出センサ50は、上記の光学センサに限定されず、例えば、搬送媒体Sの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよいし、経路RTに突出したレバー型のセンサでもよい。また、搬送方向に直交する方向に複数個設けて媒体が搬送路に対して斜行していることを検知しても良い。
【0027】
媒体検出センサ50とは別の媒体検出センサ60が画像読取部70よりも上流側に配置されている。第2搬送部20よりも下流側に配置された下流側の検出センサとしての一例であり、第2搬送部20により搬送される搬送媒体Sの位置を検出する。媒体検出センサ60としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合、媒体検出センサ50と同様に光センサであり、発光部61と受光部62とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。なお、本実施形態では、第2搬送部20の搬送方向上流側と下流側のそれぞれに媒体検出センサ50、60を配置したが、何れか一方だけでもよい。
【0028】
<CISの配置>
媒体検出センサ60よりも下流側にある画像読取部70は、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備えている。画像読取部70はコンタクトイメージセンサ(CIS)ユニットである。ここでは画像読取部70はCISユニットとしたが、例えばイメージセンサとしてCCDを用いたユニットであっても良く、イメージセンサの種別を限定するものではない。本実施形態の場合、画像読取部70(以下、CISと同義)は経路RTの両側に一つずつ配置されており(70a、70b)、搬送媒体Sの表裏面を読み取る。しかし、経路RTの片側にのみ一つ配置して、搬送媒体Sの片面のみを読み取る構成としてもよい。また、本実施形態では、画像読取部70を経路RTの両側に対向配置した構造としているが、例えば、経路RTの方向に間隔をあけて配置してもよい。
【0029】
<ブロック図の説明>
図2および図3を参照して本画像読取装置の基本構成について説明する。図2は画像読取装置Aの制御部のブロック図である。
【0030】
画像読取装置Aは基本構成として、画像読取部(表)70a、画像読取部(裏)70b、画像制御部71、制御部80、搬送部86、および検知センサ部87を備える。画像読取部(表)70a、画像読取部(裏)70bは、画像制御部71から指示されたタイミングで発光素子を点灯し、1ラインの走査を行う。画像制御部71は、制御部80からの指示により画像読取部(表)70a、画像読取部(裏)70bの読み取りタイミングを指示し、画像読取部(表)70a、画像読取部(裏)70bから出力された画像信号をA/D変換、シェーディング補正等の処理を行い、後段のバッファメモリ72へ送出する。
【0031】
バッファメモリ72は少なくとも数ライン分の画像データを一時的に格納するだけの容量を有しており、画像制御部71から送出された画像データは、バッファメモリ72の領域の中ですでに送出部73へ送信すべきデータのない空き容量へ書き込まれる。つまり、送出部73へ送信された画像データが書き込まれていた領域が新たに画像制御部71から出力された画像データを書き込むための空き領域(空き容量)となる。
【0032】
画像制御部71は、バッファメモリ72の空き容量を監視し、バッファメモリ72の空き容量が所定値以下になると、制御部80へ、その旨を通知する。送出部73は、画像読取装置A外部のホストPCなどの外部装置200と通信する機能を有し、外部装置200の要求により画像データを送信する。外部装置200に送信された画像データは、外部装置200内部の画像処理部78で処理されたのち、ハードディスクドライブなどの記憶装置を用いた画像データ保存部79に保存される。また、外部装置200と制御部80との送受信は送出部73を通して行われる。
【0033】
ここで、外部装置200はさらに画像読取装置Aに対する指示を入力可能な操作部201や画像読取処理に関する情報を表示する表示部202が設けられている。
【0034】
図3は画像処理部78内部の詳細を示した図である。画像処理部78は送出部73から送信された画像データを受信し、パンチ穴画像検出部74にて受信した画像データ内のパンチ穴画像を検出する。パンチ穴画像検出部の結果をもとにパンチ穴近傍にある原稿の地色と異なる領域を判定する領域判定部75にて除去する領域を決定する。画像データ内の除去領域が決定したのち、パンチ穴および周辺画像を除去(地色で塗り潰し)した状態で画像データ保存部79に保存される。
【0035】
制御部80は、画像読取装置A全体の動作を統括的に制御する。搬送部86は、図1に示す複数の駆動部や伝達部などからなり、制御部80からの指示により駆動制御される。検知センサ部87は、図1に示す媒体検出センサ50、60、重送検出センサ40等のセンサから構成される。これらのセンサからの情報により制御部80は、現在の原稿の状態や位置を把握する。
【0036】
本実施形態の画像処理部78の制御の詳細について、図4の制御フローおよび図5の説明図を用いて説明する。
【0037】
本実施形態の画像読取装置Aによって読み取られた画像データは、送出部73を経由して外部装置200の画像処理部78に送られる。本発明では、パンチ穴および周辺画像の除去領域検出のために取得画像をグレー変換して輝度値で扱うこととする。
【0038】
パンチ穴および周辺画像の除去領域を検出するために、パンチ穴の中心座標を設定する(S101)。パンチ穴の検出については、原稿の表裏を読み取った画像から行うことができる。例えば画像読取部と対向する位置に設けられた読取背景部材が黒色の場合、パンチ穴画像は黒色で取得される。この取得された黒色画像の位置が、読取画像の表裏で同じ座標にあった場合、パンチ穴画像であると判断することができるため、パンチ穴を検出することができる。
【0039】
このような方法で検出したパンチ穴画像からパンチ穴の中心座標を算出し、パンチ穴画像の除去領域確認処理を開始する。図5は今回の処理を説明するためのパンチ穴画像の一例である。
【0040】
パンチ穴の中心をC、パンチ穴の外周をP、パンチ穴外周で色が付着している領域の外周をQ、放射状に延びた除去領域確認方向の一例をa、b、パンチ穴画像の外周部をa-i、b-i、原稿内の除去領域の端部をa-ii、b-iiでそれぞれ示す。また、b-iiの外側の部分に「A」の文字が位置しており、「A」の端部をb-iiiとしている。図5における下部には方向a、bに対する輝度変化を示している。
【0041】
パンチ穴画像に対して、パンチ穴の中心:Cから、除去領域確認を行う方向を設定する(S102)。例えば穴の中心:Cからaの方向に対して対象座標の画像輝度値を確認し、パンチ穴画像領域かを判断する(S103)。具体的には黒色の背景部材を読み取った画像のパンチ穴は黒画像となり輝度値が低いため、あらかじめ黒色の背景部材を読み取った時の輝度値から閾値を設定しておけば良い。
【0042】
対象座標の輝度値が閾値以下の場合(S103のY)、パンチ穴領域と判断し、現在の座標がパンチ穴領域であると登録してから確認する座標を変更する(S104)。対象座標の輝度値が閾値以上の場合(S103のN)、パンチ穴領域ではないと判断し、次の処理に移行する。取得画像において、パンチ穴領域外に、原稿の地色と異なる色が存在する場合、その領域の色も除去する必要がある。例えば感圧紙の場合、パンチ穴をあける際に穴の周囲に圧が加わることで色が付着することがある。
【0043】
付着した色はパンチ穴付近では輝度値が低く、パンチ穴から離れた位置になる程、輝度値が高くなっていく。この付着した色は画像情報には不要なため除去する。そのために、パンチ穴領域外において付着した色を検出するために、対象座標の輝度値が前の座標の輝度値と比較して高い(明るい)か確認し(S105)、輝度値が高い場合(S105のY)、除去対象領域と判断し、現在の座標が除去対象領域であると登録してから確認する座標を変更する(S106)。
【0044】
このように各座標での輝度値を確認することで、パンチ穴領域外に色が付着して地色になるまでの領域(今回の例の場合、例えばa-ii)を検出する。色が付着した領域の端部:a-iiの次の座標は色が付着しておらず、原稿の地色(例えば白色)となっている。この座標の次の座標で輝度値の確認を行った場合、この座標の輝度値が前の座標と同じとなるため(S105のN)、次の処理として、その座標の輝度値が前の座標より低いかを確認する(S107)。
【0045】
前の座標より輝度値が低い場合(S107のY)、現在の座標が除去対象領域であると登録してから確認する座標を変更する(S108)。次の座標の輝度値を確認し、輝度値の低い画素が連続している場合(S110のY)、その座標の情報が文字情報や線画などのオブジェクトである可能性があると判断し、オブジェクト確認対象として登録する(S111)。登録後、S108で除去対象領域であるとして登録された座標(輝度値が低く変化する前の座標)を除去領域座標として記憶する(S112)。なお、S110において、輝度値が低い画素の連続数を3以上の所定の数で調べてもよい。
【0046】
一方、S107で前の座標と輝度値が同じ、または高い場合(S107のN)、その座標を除去領域座標として記憶する(S109)。この処理をパンチ穴の中心:Cから全方向に対して実行し(S113)、確認が完了していない場合(S113のN)、確認方向を変更して処理を継続し(S114)、全方向確認が完了していたら(S113のY)、除去領域の検出処理を完了する(S115)。ここで、全方向確認するとは、パンチ穴の外周を予め設定された数で均等に分割し、その分割数について上記の確認がすべて終わったことによって全方向確認が完了したとしてよい。
【0047】
これらの除去領域検出処理が完了すると、画像処理部78は除去領域と判定した領域に対して、原稿の地色など任意の色に変更する処理を行い、パンチ穴およびその周辺に付着した色を除去した画像を生成する。この処理を行うことにより、パンチ穴およびその周辺に付着した色を確実に検出し、さらに文字情報などのオブジェクト情報の領域(オブジェクト領域)は除去領域に含まれることなく残すことができ、情報の欠損を防ぐことができる。
【0048】
〔第2の実施形態〕
本実施形態では、第1の実施形態での処理フローにて文字情報などのオブジェクト領域を検出した場合にOCR処理を行って、文字情報であるかどうかの判定および原稿の地色への補正処理を実行するものである。
【0049】
図6のフローに示すように、除去領域検出処理(S201)を実行した結果、オブジェクト領域を検出した場合(S202のY)、検出したオブジェクト領域にOCR処理を実行する(S203)。オブジェクト領域を検出しなかった場合(S202のN)は、そのまま処理を完了する(S207)。
【0050】
OCR処理を実行して文字情報と判定した場合(S204のY)、そのまま処理を完了する(S207)。文字情報と判定しなかった場合(S204のN)、その領域に補正処理を実行するか確認する(S205)。不要な情報と判断した場合(S205のY)、対象領域を地色に補正(S206)し、処理を完了する(S207)。S205において不要な情報と判断する方法の一例としては、S203でOCR処理の結果、文字情報と判定しなかった場合には自動的に時様な情報と判断するように設定しておいてもよいし、画像読取装置(外部装置200)の操作者に対してその領域をそのまま残すか背景色に補正する(不要な情報である)かを選択する旨を報知し、その結果に基づいて判断してもよい。
【0051】
必要な情報と判断し、補正処理を実行しない場合(S205のN)、対象領域をそのままの状態にして処理を完了する(S207)。この処理を行うことにより、パンチ穴周辺に存在するオブジェクト情報が文字などの残すべき情報か除去可能な情報かを判断し、適切な処理を行うことができる。
【0052】
本発明は、以上説明した各実施形態に限らず、発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更が適用可能である。例えば画像読取装置の画像読取部に対向して配置される背景部材の色を黒色で説明したが、白色を配置した装置でも良い。その場合であっても、パンチ穴の縁に生じる影、もしくは周辺に付着した色部分の外形から円形状を検出することなどによりパンチ穴の検出が可能であり、本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0053】
A 画像読取装置
S 搬送媒体
1 載置台
2 排出トレイ
3、4 駆動部
5 伝達部
11 送りローラ
12 分離ローラ
21、31 駆動ローラ
22、22 従動ローラ
40 重送検出センサ
50、60 媒体検出センサ
70、70a、70b 画像読取部
71 画像制御部
72 バッファメモリ
73 送出部
74 パンチ穴画像検出部
75 領域判定部
78 画像処理部
79 画像データ保存部
80 制御部
81 CPU
82 記憶部
83 操作部
84 通信部
85 インターフェイス部
86 アクチュエータ
87 センサ
201 操作部
202 表示部

図1
図2
図3
図4
図5
図6