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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006712
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20250109BHJP
   B65H 3/46 20060101ALI20250109BHJP
   B65H 11/00 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
B65H1/04 320A
B65H3/46 D
B65H11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107686
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤本 一樹
【テーマコード(参考)】
3F063
3F343
【Fターム(参考)】
3F063AA01
3F063AB08
3F063BA04
3F063BA08
3F063BA09
3F063BA10
3F063BC02
3F063CA02
3F063CA04
3F063CB07
3F343FA03
3F343FC22
3F343GA02
3F343GB02
3F343GC01
3F343HE04
3F343HE12
3F343HE21
3F343JD09
3F343KB03
3F343KB04
3F343KB05
3F343KB13
3F343KB17
3F343LA04
3F343LA15
3F343LC14
3F343LC15
3F343LC20
3F343LD12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シートの幅方向を規制する規制ガイドを送りローラに近づけつつ、送りローラを容易に着脱できる構成を提供する。
【解決手段】給送トレイに積載されたシートの幅方向を規制する規制ガイド111は、第1ガイド部材111aと、第1ガイド部材111aの上に重ねて設けられた第2ガイド部材111bを有し、第2ガイド部材111bは、規制位置と、搬送方向D1の上流側でありカバー部材106の移動軌跡βから退避する退避位置とに変位する。上部ユニット103を開くと、第2ガイド部材111bは上部ユニット103に係止されなくなり、第2ガイド部材は圧縮バネ113によって搬送方向D1の上流側に付勢されているので退避位置に移動する。上部ユニット103が閉状態の時、第2ガイド部材は圧縮バネ113によって搬送方向D1の上流側に付勢されていても上部ユニット103に係止され規制位置に保持される。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部ユニットと下部ユニットとで構成され、
シートを積載する積載部と、
前記積載部に積載された前記シートを搬送路に給送する前記上部ユニット側のローラと前記下部ユニット側のローラで構成される給送機構と、
前記給送機構のうち前記下部ユニット側のローラの周囲をカバーし前記シートの搬送面を形成する閉位置と前記下部ユニット側のローラを着脱可能にする開位置とに回動可能なカバー部材と、
前記積載部に積載された前記シートの幅方向を規制する規制部と、を有し、
前記上部ユニットは、前記下部ユニットに対向し展開状態と閉状態とに変位するように回動可能に取り付けられ、
前記規制部は、前記シートの搬送方向の上流側に前記規制部を付勢する付勢部材を備え、前記上部ユニットが前記展開状態の時は前記付勢部材の付勢力により前記カバー部材の前記閉位置から前記開位置までの移動軌跡から退避する退避位置にあり、前記上部ユニットが前記閉状態の時は前記上部ユニットに当接されることによって前記カバー部材の前記移動軌跡と前記規制部の少なくとも一部が重なる規制位置にあることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記上部ユニットは、係止部を備え、前記閉状態の際に前記係止部によって前記規制部を前記規制位置に係止していることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記規制部は、第1規制部材と前記第1規制部材の上に重ねて設けられた第2規制部材で構成され、
前記第2規制部材が、前記カバー部材の前記移動軌跡と前記第2規制部材の少なくとも一部が重なる前記規制位置と、前記シートの搬送方向の上流側である前記カバー部材の前記移動軌跡から退避する前記退避位置とに移動することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記第2規制部材は、前記上部ユニットが前記閉状態から前記展開状態に変位する際は前記付勢部材の付勢力により前記規制位置から前記退避位置に移動し、前記上部ユニットが前記展開状態から前記閉状態に変位する際は前記上部ユニットに当接されることによって前記退避位置から前記規制位置に移動することを特徴とする、請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記上部ユニットは、係止部を備え、前記閉状態の際に前記係止部によって前記第2規制部材を前記規制位置に係止していることを特徴とする請求項3または4に記載のシート搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置、及び、シート搬送装置を備えシートから画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート搬送装置として、給送トレイ(積載部)に積載されたシートを送りローラ(搬送手段)により装置内部に送る装置がある。給送トレイにはシートの幅方向を規制する一対の規制ガイド(規制部)を設けている。また、このような装置において、送りローラの着脱を行うべく、送りローラの周囲をカバーするカバー部材を開閉自在に設けている。カバー部材には、ユーザがカバーを開閉する際に指を掛けられるように、穴部や凹凸部などの指掛け部を設けている。
【0003】
ここで、規制ガイドは、特に搬送方向の長さが短いシートが斜行して搬送されることを抑制すべく、なるべく送りローラに近づけることが好ましい。但し、規制ガイドを送りローラに近づけると、規制ガイドがカバー部材と重なる位置にある場合に、カバー部材が規制ガイドと突き当たってカバー部材を開くことができない。そこで、規制ガイドを上流側の規制ガイドと下流側の規制ガイドの2部品に分け、下流側の規制ガイドを上流側の規制ガイドに対して回動可能に設けた構成の規制ガイドが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-031025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の構成によって、規制ガイドがカバー部材と重なる位置にある場合でも、カバー部材が下流側の規制ガイドに突き当たると下流側の規制ガイドが回動するため、カバー部材を開くことができる。しかし実際には、上記構成では、規制ガイドがカバー部材の指掛け部と重なる位置にある場合、カバー部材を開くことができない。また、指掛け部が規制ガイドと重ならない位置にある場合でも、カバー部材を開く際に、回動した下流側の規制ガイドが手と干渉して規制ガイドの動きを妨げる可能性がある。
【0006】
本発明は、規制ガイドを送りローラに近づけつつ、送りローラをより容易に着脱できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記を鑑み、本発明に係るシート搬送装置および画像読取装置は、
上部ユニットと下部ユニットとで構成され、
シートを積載する積載部と、
前記積載部に積載された前記シートを搬送路に給送する前記上部ユニット側のローラと前記下部ユニット側のローラで構成される給送機構と、
前記給送機構のうち前記下部ユニット側のローラの周囲をカバーし前記シートの搬送面を形成する閉位置と前記下部ユニット側のローラを着脱可能にする開位置とに回動可能なカバー部材と、
前記積載部に積載された前記シートの幅方向を規制する規制部と、を有し、
前記上部ユニットは、前記下部ユニットに対向し展開状態と閉状態とに変位するように回動可能に取り付けられ、
前記規制部は、前記シートの搬送方向の上流側に前記規制部を付勢する付勢部材を備え、前記上部ユニットが前記展開状態の時は前記付勢部材の付勢力により前記カバー部材の前記閉位置から前記開位置までの移動軌跡から退避する退避位置にあり、前記上部ユニットが前記閉状態の時は前記上部ユニットに当接されることによって前記カバー部材の前記移動軌跡と前記規制部の少なくとも一部が重なる規制位置にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、規制ガイドを送りローラに近づけつつ、規制ガイドに邪魔されることなく送りローラをより容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る画像読取装置の概略構成断面図。
図2】本実施形態に係る画像読取装置の制御ブロック図。
図3】本実施形態に係る画像読取装置の上面図。
図4】本実施形態に係る画像読取装置の排出トレイを閉めた状態の概略構成断面図。
図5】本実施形態に係る画像読取装置の上部ユニットを展開した状態の概略構成断面図。
図6】本実施形態に係るカバー部材を閉じた状態の下部ユニットと、第1位置に位置する状態の規制ガイドの斜視図。
図7】本実施形態に係るカバー部材を開いた状態の下部ユニットと、第1位置に位置する状態の規制ガイドの斜視図。
図8】本実施形態に係るカバー部材を開いた状態の下部ユニットと、第2位置に位置する状態の規制ガイドの斜視図。
図9】本実施形態に係る規制ガイドを上部と下部で展開した斜視図。
図10】本実施形態に係る規制ガイドを搬送方向下流側から見た断面図。
図11】本実施形態に係る上部ユニットが閉じた状態の送りローラ周辺の側面図。
図12】本実施形態に係る上部ユニットが開いた状態の送りローラ周辺の側面図。
図13】本実施形態に係る上部ユニットが閉じる途中で規制ガイドに当接し始めた状態の送りローラ周辺の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態について、図1から図13を用いて説明する。まず、図1を用いて本実施形態に係る画像読取装置の概略構成について説明する。
【0011】
<画像読取装置>
画像読取装置100は、積載部としての給送トレイ110に積載された一又は複数のシート(搬送媒体、原稿)Sを1つずつ装置内に経路RTにて搬送してその画像を読み取り、排出トレイ2に排出する装置である。読み取るシートSは、例えば、OA紙、小切手、名刺、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等である。また、シートSにはパスポートなどの冊子も含まれる。冊子を対象とする場合、例えば、透明なホルダに見開き状態の冊子を収容して給送トレイ110に載置することで、冊子がホルダと共に搬送され、その画像を読み取ることができる。
【0012】
<給送>
シートSを搬送路に給送する給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は送りローラ11と送りローラ11に対向する位置に配置される分離ローラ12と、を備え、給送トレイ110に載置されたシートSを搬送方向D1に一枚ずつ順次搬送する。搬送方向D1は、画像読取装置100の載置面に対して所定の角度で傾斜して設けられており、給送トレイ110に載置されたシートSの自重によって給送機構に対してシートSが供給される。送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、送りローラ11は、図中の矢印方向(経路RTに沿ってシートSを搬送させる正方向)に回転駆動される。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力の断続(駆動力の伝達及び遮断)が可能である。
【0013】
<駆動部>
駆動部3と送りローラ11とを接続する伝達部5は、本実施形態では、通常時において駆動力が伝達される状態とし、シートSを逆送または停止する場合には駆動力を遮断する。送りローラ11は伝達部5により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転が可能な状態となる。なお、このような伝達部5は、送りローラ11を一方向のみに駆動させる場合には設けなくてもよい。
【0014】
<分離構造>
送りローラ11に対向配置される分離ローラ12は、シートSを1枚ずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は、揺動可能に設けると共に送りローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向(送りローラ11の正方向とは逆方向)に回転駆動される。
【0015】
分離ローラ12は、トルクリミッタ12aにより駆動力伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。また、分離ローラは、複数のシートが送りローラ11と分離ローラ12との圧接部(ニップ部)に搬送されてきた際には、1つを残して2つ以上のシートが下流に搬送されないようにせき止める。即ち、分離ローラ12は、送りローラ11と分離ローラ12のニップ部に向けて送られる複数のシートから1枚ずつシートを送りローラ11で給送できるように、複数のシートから他のシートを分離する。
【0016】
なお、本実施形態では、分離ローラ12と送りローラ11とで分離機構を構成したが、このような分離機構は必ずしも設けなくてもよく、搬送路にシートを1つずつ順次給送する給送機構であればよい。また、分離機構を設ける場合、分離ローラ12のような構成の代わりに、シートSに摩擦力を付与する分離パッドを送りローラ11に圧接させて、同様の分離作用を持たせるようにしてもよい。
【0017】
<搬送構造>
第1搬送部10よりも搬送方向D1の下流側にある搬送機構としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22とを備え、第1搬送部10から搬送されてきたシートSを搬送方向D1の下流側へ搬送する。駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中の矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、ばね等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0018】
このような第2搬送部20よりも搬送方向下流側にある第3搬送部30は、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に従動する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきたシートSを排出トレイ2へ搬送する。つまり、この第3搬送部30は排出機構として機能する。
【0019】
駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中の矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れ回る。この従動ローラ32は、ばね等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0020】
排出トレイ2は、画像読取装置100の装置本体100Aに対して回動可能なように、装置本体100Aの下方に設けられた第1ヒンジ101を介して軸支されている。また、第1ヒンジ101側の第1排出トレイ2aとその先端側に接続された第1延長トレイ2bから構成されている。第1延長トレイ2bは第1排出トレイ2aに対して摺動可能に支持されている。
【0021】
<画像読取構造、制御>
ここで、本実施形態の画像読取装置100では、第2搬送部20と第3搬送部30との間に配置される画像読取部としての画像読取ユニット70によって画像の読み取りを行うため、第2搬送部20及び第3搬送部30はシートSを定速搬送する。搬送速度は常に第1搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行シートSに後続シートSが追いついてしまう事態を確実に回避できる。例えば、本実施形態では、第2搬送部20及び第3搬送部30によるシートSの搬送速度を、第1搬送部10によるシートSの搬送速度よりも速くなるように速度を制御している。
【0022】
<制御部>
図2を参照して、本実施形態の画像読取装置100の制御部80について説明する。図2は、制御部80のブロック図である。
【0023】
制御部80は、CPU81、記憶部82、操作部83、通信部84及びインターフェース部85を備える。CPU81は記憶部82に記憶されたプログラムを実行することにより、画像読取装置100全体の制御を行う。記憶部82は例えばRAM、ROM等から構成される。操作部83は、例えば、スイッチやタッチパネル等で構成され、操作者からの操作を受け付ける。
【0024】
通信部84は、外部装置との情報通信を行うインターフェースである。外部装置としてPC(パソコン)を想定した場合、通信部84は、例えば、USBインターフェースやSCSIインターフェースである。また、このような有線通信のインターフェースの他、通信部84は無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。
【0025】
インターフェース部85はアクチュエータ86やセンサ87とのデータの入出力を行うI/Oインターフェースである。アクチュエータ86には、駆動部3、駆動部4、伝達部5等が含まれる。センサ87には、複数のシートが重なって第1搬送部10を通過したことを検出するための重送検出センサ40の他、シートSの位置を検出するための媒体検出センサ50及び60、画像読取ユニット70等が含まれる。
【0026】
<PCからの開始指示受信による駆動>
画像読取装置100の基本的な動作について説明する。制御部80は、例えば画像読取装置100が接続された外部パソコン(PC)から画像読み取りの開始指示を受信すると、第1搬送部10と第2搬送部20、第3搬送部30の駆動を開始する。給送トレイ110に積載されたシートSはその最も下に位置するシートSから1つずつ搬送される。
【0027】
制御部80は、媒体検出センサ60の検出結果に基づくタイミングで、第2搬送部20により搬送されてきたシートSの、画像読取ユニット70による画像の読み取りを開始し、読み取った画像を一次記憶して順次外部パソコンへ送信する。画像が読み取られたシートSは第3搬送部30により排出トレイ2に排出されてそのシートSの画像読取処理が終了する。
【0028】
<給送トレイの詳細>
図3は、本実施形態に係る画像読取装置100の排出トレイ2を収納した状態における上面図である。給送トレイ(載置台)110には、載置されるシートSの大きさに合わせて搬送方向D1に対して直交するシートSの幅方向D2にスライド移動が可能に取り付けられた、規制部としての規制ガイド111が設けられている。また、給送トレイ110の中央には、引き出して使用することのできる給送延長トレイ112が設けられている。
【0029】
<上部ユニットと下部ユニットの詳細>
図4及び図5は、本実施形態に係る画像読取装置100の概略断面図である。なお、装置の内部構成については図1で説明した通りなので、図4及び図5では一部の符号及び構成を省略して示している。また、図4は、上部ユニット103を閉じた状態を、図5は、上部ユニット103を開いた状態をそれぞれ示している。
【0030】
画像読取装置100の装置本体100Aは、第2ユニットとしての上部ユニット103と、第1ユニットとしての下部ユニット104とから構成される。下部ユニット104は、送りローラ11を有し、装置本体100Aの経路RTを成す搬送路の下側を形成するユニットである。一方、上部ユニット103は、分離ローラ12を有し、装置本体100Aの搬送路の上側を形成するユニットである。
【0031】
上部ユニット103は、分離ローラ12が送りローラ11に当接する当接位置(図4の状態)に位置する際の閉状態と、分離ローラ12が送りローラ11から離間する離間位置(図5の状態)に位置する際の展開状態とに変位するように、下部ユニット104に対して移動可能である。具体的には、上部ユニット103は、下部ユニット104に対し、本体ヒンジ105を支点として回動可能に取り付けられている。
【0032】
図5に示すように、上部ユニット103が展開状態の際は、例えば、シートSなどが搬送路で詰まるジャムが発生した場合にはジャムしたシートSを取り除くことができ、ユーザや機械などが搬送路に直接手を加えることが可能となる。また、上部ユニット103を展開した状態で、送りローラ11や分離ローラ12の着脱を行う。
【0033】
<送りローラ周辺の構成の詳細>
次に、本実施形態の送りローラ11の周辺の構成について図6から図8を用いて説明する。図6は、カバー部材106を閉じた状態の下部ユニット104と、シートSの幅方向D2の内側(第1位置)に寄せられた状態の規制ガイド111の斜視図である。図7は、カバー部材106を開いた状態の下部ユニット104と、幅方向D2の内側(第1位置)に寄せられた状態の規制ガイド111の斜視図である。図8はカバー部材106を開いた状態の下部ユニット104と、シートSの幅方向D2の外側(第2位置)に寄せられた状態の規制ガイド111の斜視図である。なお、図6から図8は全て、図5の上部ユニット103を開いた状態であり、上部ユニット103を不図示としている。
【0034】
図6から図8に示すように、送りローラ11の周辺には、カバー部材106が配置されている。カバー部材106は、送りローラ11の周囲においてシートSの搬送面(案内面)Zを形成する部材であり、送りローラ11の部分的な保護部材としても機能する。また、カバー部材106は、送りローラ11の周囲をカバーしてシートSの搬送面Zを形成する閉位置(図6に示す状態)と、送りローラ11を着脱可能な開位置(図7図8に示す状態)に、後述する規制ガイド111と干渉することなく回動可能である。
【0035】
具体的には、カバー部材106は、シートSの幅方向D2と平行な軸106aを中心に閉位置と開位置との間で回動可能に設けられており、閉位置から開位置に回動する際には、軸106aを中心に搬送方向D1の上流側部分が持ち上がる。また、カバー部材106は、送りローラ11の着脱時を除いて送りローラ11の周囲においてシートSの搬送面Zを形成する閉位置に位置しており、不図示の係合機構により下部ユニット104に係合されている。
【0036】
また、カバー部材106は、幅方向D2の中央かつ搬送方向D1の上流側に切り欠き部106bが設けられている。切り欠き部106bは、カバー部材106を開く際の指掛け部として機能する。なお、切り欠き部106bは、幅方向D2の両端に設けても良い。また、切り欠き部の代わりに凹凸部を設けて指掛け部としても良い。
【0037】
<規制ガイドの詳細>
次に、給送トレイ110に載置されたシートSの幅方向D2を規制する規制ガイド111について説明する。規制ガイド111は、幅方向D2において、第1位置(図6図7の状態)と、第1位置よりも外側の第2位置(図8の状態)にスライド移動が可能で、給送トレイ110に積載されたシートSの幅方向D2を規制する。
【0038】
規制ガイド111は、シートSの幅方向D2の両側に配置されており、シートSのサイズに応じて間隔を変えられるようになっている。本実施形態では、シートSは、幅方向D2の中央が給送トレイ110の幅方向D2の中央と略一致する、いわゆる中央基準で搬送される。一対の規制ガイド111は、例えば一方の規制ガイド111をシートSの幅方向D2のサイズに合わせて移動させた場合に、他方の規制ガイド111も連動して移動する。このように、一対の規制ガイド111によりシートSの幅方向D2の両側を規制することで、シートSが送りローラ11の直前までガイドされ、給送時にシートSが斜行することを抑制できる。
【0039】
次に、図9図10を用いて規制ガイド111の構成を説明する。図9は、第1ガイド部材111aと第2ガイド部材111bを展開した斜視図である。図10は、規制ガイド111を搬送方向D1の下流側から見た断面図である。
【0040】
図9に示すように、規制ガイド111は、第1規制部材である第1ガイド部材111aと第2規制部材である第2ガイド部材111bと圧縮バネ113で構成される。第1ガイド部材111aは、搬送方向D1の下流側に溝部111cと、搬送方向D1の上流側に溝部111dを有する。
【0041】
第2ガイド部材111bは、搬送方向D1の下流側に足部111eと、搬送方向D1の上流側に足部111fを有する。足部111eが溝部111cに、足部111fが溝部111dに入り込むように、第2ガイド部材111bが第1ガイド部材111aに組み付けられる。付勢部材である圧縮バネ113は、規制ガイド111の内部に設けられており、第2ガイド部材111bを搬送方向D1の上流側に向かって付勢する。
【0042】
図10に示すように、第2ガイド部材111bの足部111eが第1ガイド部材111aよりも下に入り込む。また、図10では不図示ではあるが、第2ガイド部材111bの足部111fも第1ガイド部材111aよりも下に入り込む。このため、第2ガイド部材111bが図10のD3方向、すなわち給送トレイ110に載置されるシートSの面に垂直な方向に移動できないようになっている。
【0043】
次に、図11から図13を用いて、上部ユニット103を開閉する時の第2ガイド部材111bの動きを説明する。図11は、上部ユニット103を閉じた状態の送りローラ11周辺の側面図である。図12は、上部ユニット103を開いた状態の送りローラ11周辺の側面図である。図13は、上部ユニット103を閉じる途中で上部ユニット103が第2ガイド部材111bに当接し始めた状態の送りローラ周辺の側面図である。
【0044】
図11に示すように、上部ユニット103が閉じている時、第2ガイド部材111bの当接部111gは、上部ユニット103の係止部103aに当接する。この時、第2ガイド部材111bは、圧縮バネ113の付勢力によって搬送方向D1の上流側に移動しようとするが、第2ガイド部材111bの当接部111gが上部ユニット103の係止部103aに係止され、第2ガイド部材111bはシートSの搬送方向D1の上流側に移動しない。
【0045】
図11の状態から上部ユニット103を開くと、図12に示すように、第2ガイド部材111bの当接部111gが上部ユニット103の係止部103aに係止されなくなる。そして、第2ガイド部材111bは、圧縮バネ113の付勢力によって、図中に点線で示した位置から図中に実線で示した退避位置まで退避する。実線で示した位置はカバー部材106の移動軌跡βの範囲外であるため、カバー部材106が第2ガイド部材111bに干渉することなく開くことができる。なお、第2ガイド部材111bは実線で示した退避位置において、第1ガイド部材111aに突き当たり、実線で示した位置よりもシートSの搬送方向D1の上流側に移動しない。
【0046】
図12の状態からカバー部材106を閉じた後に上部ユニット103を閉じると、図13に示すように、上部ユニット103の係止部103aが第2ガイド部材111bの当接部111gに当接する。この状態から上部ユニット103を更に閉じると、上部ユニット103の係止部103aが第2ガイド部材111bの当接部111gを搬送方向D1の下流側に押し込み、第2ガイド部材111bは図11に示した規制位置まで戻る。図11に示した規制位置では、前述したように、第2ガイド部材111bの当接部111gは上部ユニット103の係止部103aに係止されるため、第2ガイド部材111bはシートSの搬送方向D1の上流側に移動しない。
【0047】
以上のように、第2ガイド部材111bは、カバー部材106に近づく規制位置やカバー部材106から退避する退避位置に上部ユニット103の開閉動作に連動して自動で移動する。カバー部材106を開く際には、第2ガイド部材111bはカバー部材106と重ならない位置に移動し終えているため、手が第2ガイド部材111bの動きを妨げない。従って、本実施形態の構成によれば、規制ガイド111を送りローラ11に近づける構成としながら、送りローラ11を容易に着脱できる。
【0048】
また、カバー部材106の切り欠き部106bを、給送トレイ110上である規制ガイド111のシートSの幅方向D2の移動範囲内に設けた場合でも、カバー部材106を開く際には、第2ガイド部材111bはカバー部材106と重ならない位置に移動し終え、カバー部材106の切り欠き部106bを塞いでいない。従って、規制ガイド111を送りローラ11に近づけつつ、送りローラ11を容易に着脱できる。
【0049】
なお、上記では、第2ガイド部材111bを搬送方向D1の上流側に向かって付勢する手段として圧縮バネ113を用いたが、引っ張りバネやトーションバネ等の付勢手段を用いても良い。
【0050】
本発明は以上で説明した実施形態に限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることが可能である。また、本発明のシート搬送装置は、上述の画像読取装置だけでなく、例えば、シートSに画像を形成する画像形成部を有する、複写機、プリンタ、複合機などの画像形成装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 第1搬送部
11 送りローラ
12 分離ローラ
70 画像読取ユニット
100 画像読取装置
103 上部ユニット
103a 係止部
104 下部ユニット
106 カバー部材
106a 軸
106b 切り欠き部
110 給送トレイ
111 規制ガイド
111a 第1ガイド部材
111b 第2ガイド部材
111c、111d 溝部
111e、111f 足部
111g 当接部
113 圧縮バネ
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
図12
図13