(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006742
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H01L21/304 644Z
H01L21/304 644C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107724
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】帆角 良平
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
(72)【発明者】
【氏名】矢野 航
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA03
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC26
5F157BA03
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5F157BA31
5F157BB11
5F157BB23
5F157CB01
5F157CB13
5F157CC03
5F157CD29
5F157CD32
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5F157CE42
5F157CF02
5F157CF14
5F157CF42
5F157CF82
(57)【要約】
【課題】ランニングコストを低減させることができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、基板保持部2と、薬液ノズル31と、ブラシ4と、ブラシ保持部5と、ブラシ移動駆動部410と、付着検知部と、待機ポッドと、洗浄液供給部と、制御部9とを備える。薬液ノズル31は、基板保持部2によって保持された基板Wの主面に向かって薬液を吐出する。付着検知部は、ブラシ保持部5への薬液の付着を検知する。制御部9は、付着検知部がブラシ保持部5への薬液の付着を検知したときに、ブラシ保持部5の洗浄が必要であると判定し、ブラシ移動駆動部410がブラシ保持部5およびブラシ4の一組を待機ポッドに移動させたときに、洗浄液供給部を制御して、洗浄液でブラシ保持部5を洗浄する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持しつつ、所定の回転軸線のまわりで前記基板を回転させる基板保持部と、
前記基板保持部によって保持された前記基板の主面に向かって薬液を吐出する薬液ノズルと、
前記基板保持部によって保持された前記基板の前記主面の洗浄に用いられるブラシと、
前記ブラシよりも上方に設けられ、前記ブラシを保持するブラシ保持部と、
待機ポッドと、
前記ブラシ保持部および前記ブラシの一組を、前記ブラシが前記基板の前記主面に当接する処理位置と、前記待機ポッドとの間で移動させるブラシ移動駆動部と、
前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知する付着検知部と、
前記待機ポッドに洗浄液を供給する吐出口を有する洗浄液供給部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、前記付着検知部が前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知したときに、前記ブラシ保持部の洗浄が必要であると判定し、前記ブラシ移動駆動部が前記ブラシ保持部および前記ブラシの一組を前記待機ポッドに移動させたときに、前記洗浄液供給部を制御して、前記洗浄液で前記ブラシ保持部を洗浄する、基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記付着検知部は、前記薬液ノズルから吐出される前記薬液の流量を測定する流量計を含み、前記流量計によって測定された前記薬液の前記流量に基づいて、前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知する、基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記付着検知部は、前記ブラシのブラシ位置を取得するブラシ位置取得部をさらに含み、前記流量計によって測定された前記薬液の前記流量および前記ブラシ位置取得部によって取得された前記ブラシの前記ブラシ位置に基づいて、前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知する、基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置であって、
前記薬液ノズルを変位させて、前記薬液の前記基板の前記主面上の着液位置を移動させるノズル変位駆動部をさらに備え、
前記付着検知部は、
前記薬液ノズルのノズル位置を取得するノズル位置取得部をさらに含み、
前記流量計によって測定された前記薬液の前記流量、前記ブラシ位置取得部によって取得された前記ブラシの前記ブラシ位置、および、前記ノズル位置取得部によって取得された前記薬液ノズルの前記ノズル位置に基づいて、前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知する、基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記付着検知部は、前記ブラシ保持部を撮像して画像データを生成するカメラを含み、前記画像データに基づいて、前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知する、基板処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理装置であって、
前記薬液が付着していない前記ブラシ保持部を含む参照画像データを記憶する記憶部を備え、
前記付着検知部は、前記画像データと前記参照画像データとの比較に基づいて、前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知する、基板処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の基板処理装置であって、
前記カメラは、前記ブラシが前記処理位置に位置する状態での前記ブラシ保持部を撮像する位置に設けられている、基板処理装置。
【請求項8】
請求項5に記載の基板処理装置であって、
前記カメラは、前記ブラシが前記待機ポッドに位置する状態での前記ブラシ保持部を撮像する位置に設けられている、基板処理装置。
【請求項9】
請求項5に記載の基板処理装置であって、
前記カメラは、前記ブラシが前記待機ポッドと前記処理位置との間に位置する状態での前記ブラシ保持部を撮像する位置に設けられている、基板処理装置。
【請求項10】
請求項5に記載の基板処理装置であって、
前記ブラシおよび前記ブラシ保持部を一体に回転させるブラシ駆動部をさらに備え、
前記カメラは、前記ブラシ駆動部が前記ブラシおよび前記ブラシ保持部を回転させた状態で、前記ブラシ保持部を順次に撮像して複数の前記画像データを生成する、基板処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記制御部は、前記薬液ノズルから前記薬液が吐出された状態で、前記ブラシ移動駆動部に前記ブラシおよび前記ブラシ保持部を一体に前記基板の前記主面上を移動させて、前記基板の前記主面に対するスクラバ洗浄を行い、
平面視において、前記薬液ノズルの吐出口から前記基板の前記主面までの前記薬液の軌跡に沿う仮想的な直線は、前記スクラバ洗浄における前記ブラシの移動の軌跡に沿う仮想的な直線と交差する、基板処理装置。
【請求項12】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記洗浄液供給部は、
前記ブラシ保持部に向かって前記洗浄液を吐出する第1洗浄ノズルと、
前記ブラシに向かって前記洗浄液を吐出する第2洗浄ノズルと
を含む、基板処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の基板処理装置であって、
前記洗浄液供給部は、ブラシ洗浄時間のうち一部の第1時間のみ、前記第1洗浄ノズルから前記洗浄液を吐出させ、少なくとも前記第1時間よりも後の第2時間において、前記第2洗浄ノズルから前記洗浄液を吐出させる、基板処理装置。
【請求項14】
請求項13に記載の基板処理装置であって、
前記洗浄液供給部は、前記第1時間の少なくとも一部において、前記第2洗浄ノズルから前記洗浄液を吐出させない、基板処理装置。
【請求項15】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記制御部は、前記ブラシ移動駆動部に前記ブラシを前記待機ポッドにおいて昇降させて、前記ブラシを前記洗浄液に接液させる処理と、前記ブラシ保持部に前記洗浄液を接液させる処理とを行う、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板に対して物理洗浄を行う基板処理装置が開示されている(例えば特許文献1)。特許文献1では、基板処理装置は、スピンチャックと、ノズルと、基板処理ブラシと、洗浄部材洗浄装置とを含んでいる。スピンチャックは基板を水平姿勢で保持しつつ基板を回転させる。ノズルは基板の主面に洗浄液を供給する。基板処理ブラシは移動可能に設けられており、基板の主面に当接した状態で基板の主面に対して相対的に移動する。これにより、基板処理ブラシが基板の主面を擦って洗浄することができる。
【0003】
洗浄部材洗浄装置は、基板処理ブラシを洗浄する装置である。洗浄部材洗浄装置は、洗浄液を貯留する貯留部を含む。基板処理ブラシが貯留部の内部に移動することにより、基板処理ブラシが洗浄液に浸漬する。これにより、基板処理ブラシが洗浄される。基板処理ブラシは、スポンジと、スポンジを保持する接触部材ホルダーを含む。特許文献1では、スポンジを洗浄液に浸漬させた後に、接触部材ホルダーを洗浄液に浸漬させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、接触部材ホルダーの洗浄が不要である蓋然性が高い場合であっても、接触部材ホルダーの洗浄が行われ得る。このため、ランニングコストが増加するおそれがあった。
【0006】
そこで、本開示は、ランニングコストを低減させることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、基板処理装置であって、基板を保持しつつ、所定の回転軸線のまわりで前記基板を回転させる基板保持部と、前記基板保持部によって保持された前記基板の主面に向かって薬液を吐出する薬液ノズルと、前記基板保持部によって保持された前記基板の前記主面の洗浄に用いられるブラシと、前記ブラシよりも上方に設けられ、前記ブラシを保持するブラシ保持部と、待機ポッドと、前記ブラシ保持部および前記ブラシの一組を、前記ブラシが前記基板の前記主面に当接する処理位置と、前記待機ポッドとの間で移動させるブラシ移動駆動部と、前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知する付着検知部と、前記待機ポッドに洗浄液を供給する吐出口を有する洗浄液供給部と、制御部とを備え、前記制御部は、前記付着検知部が前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知したときに、前記ブラシ保持部の洗浄が必要であると判定し、前記ブラシ移動駆動部が前記ブラシ保持部および前記ブラシの一組を前記待機ポッドに移動させたときに、前記洗浄液供給部を制御して、前記洗浄液で前記ブラシ保持部を洗浄する。
【0008】
第2の態様は、第1の態様にかかる基板処理装置であって、前記付着検知部は、前記薬液ノズルから吐出される前記薬液の流量を測定する流量計を含み、前記流量計によって測定された前記薬液の前記流量に基づいて、前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知する。
【0009】
第3の態様は、第2の態様にかかる基板処理装置であって、前記付着検知部は、前記ブラシのブラシ位置を取得するブラシ位置取得部をさらに含み、前記流量計によって測定された前記薬液の前記流量および前記ブラシ位置取得部によって取得された前記ブラシの前記ブラシ位置に基づいて、前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知する。
【0010】
第4の態様は、第3の態様にかかる基板処理装置であって、前記薬液ノズルを変位させて、前記薬液の前記基板の前記主面上の着液位置を移動させるノズル変位駆動部をさらに備え、前記付着検知部は、前記薬液ノズルのノズル位置を取得するノズル位置取得部をさらに含み、前記流量計によって測定された前記薬液の前記流量、前記ブラシ位置取得部によって取得された前記ブラシの前記ブラシ位置、および、前記ノズル位置取得部によって取得された前記薬液ノズルの前記ノズル位置に基づいて、前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知する。
【0011】
第5の態様は、第1から第4のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記付着検知部は、前記ブラシ保持部を撮像して画像データを生成するカメラを含み、前記画像データに基づいて、前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知する。
【0012】
第6の態様は、第5の態様にかかる基板処理装置であって、前記薬液が付着していない前記ブラシ保持部を含む参照画像データを記憶する記憶部を備え、前記付着検知部は、前記画像データと前記参照画像データとの比較に基づいて、前記ブラシ保持部への前記薬液の付着を検知する。
【0013】
第7の態様は、第5または第6の態様にかかる基板処理装置であって、前記カメラは、前記ブラシが前記処理位置に位置する状態での前記ブラシ保持部を撮像する位置に設けられている。
【0014】
第8の態様は、第5から第7のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記カメラは、前記ブラシが前記待機ポッドに位置する状態での前記ブラシ保持部を撮像する位置に設けられている。
【0015】
第9の態様は、第5から第8のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記カメラは、前記ブラシが前記待機ポッドと前記処理位置との間に位置する状態での前記ブラシ保持部を撮像する位置に設けられている。
【0016】
第10の態様は、第5から第9のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記ブラシおよび前記ブラシ保持部を一体に回転させるブラシ駆動部をさらに備え、前記カメラは、前記ブラシ駆動部が前記ブラシおよび前記ブラシ保持部を回転させた状態で、前記ブラシ保持部を順次に撮像して複数の前記画像データを生成する。
【0017】
第11の態様は、第1から第10のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記制御部は、前記薬液ノズルから前記薬液が吐出された状態で、前記ブラシ移動駆動部に前記ブラシおよび前記ブラシ保持部を一体に前記基板の前記主面上を移動させて、前記基板の前記主面に対するスクラバ洗浄を行い、平面視において、前記薬液ノズルの吐出口から前記基板の前記主面までの前記薬液の軌跡に沿う仮想的な直線は、前記スクラバ洗浄における前記ブラシの移動の軌跡に沿う仮想的な直線と交差する。
【0018】
第12の態様は、第1から第11のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記洗浄液供給部は、前記ブラシ保持部に向かって前記洗浄液を吐出する第1洗浄ノズルと、前記ブラシに向かって前記洗浄液を吐出する第2洗浄ノズルとを含む。
【0019】
第13の態様は、第12の態様にかかる基板処理装置であって、前記洗浄液供給部は、ブラシ洗浄時間のうち一部の第1時間のみ、前記第1洗浄ノズルから前記洗浄液を吐出させ、少なくとも前記第1時間よりも後の第2時間において、前記第2洗浄ノズルから前記洗浄液を吐出させる。
【0020】
第14の態様は、第13の態様にかかる基板処理装置であって、前記洗浄液供給部は、前記第1時間の少なくとも一部において、前記第2洗浄ノズルから前記洗浄液を吐出させない。
【0021】
第15の態様は、第1から第14のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記制御部は、前記ブラシ移動駆動部に前記ブラシを前記待機ポッドにおいて昇降させて、前記ブラシを前記洗浄液に接液させる処理と、前記ブラシ保持部に前記洗浄液を接液させる処理とを行う。
【発明の効果】
【0022】
第1の態様によれば、ブラシ保持部の洗浄が必要である蓋然性が高いときに、ブラシ保持部の洗浄を行うことができる。逆に言えば、不要なブラシ保持部の洗浄を抑制することができる。したがって、基板処理装置のランニングコストを低減させることができる。
【0023】
第2の態様によれば、簡易な構成で、ブラシ保持部への薬液の付着を検知することができる。
【0024】
第3の態様によれば、より高い精度で、ブラシ保持部への薬液の付着を検知することができる。
【0025】
第4の態様によれば、より高い精度で、ブラシ保持部への薬液の付着を検知することができる。
【0026】
第5の態様によれば、より高い精度で、ブラシ保持部への薬液の付着を検知することができる。
【0027】
第6の態様によれば、簡易な処理でブラシ保持部への薬液の付着を検知することができる。
【0028】
第7の態様によれば、付着検知部はスクラバ洗浄中にブラシ保持部への薬液の付着を検知することができる。
【0029】
第8の態様によれば、待機ポッドにおいてブラシ保持部への薬液の付着を検知することができる。待機ポッドでは薬液が供給されないので、画像データには、流動する薬液がほとんど含まれない。このため、より高い精度で薬液の付着を検知することができる。
【0030】
第9の態様によれば、待機ポッドと処理位置との間の移動中にブラシ保持部への薬液の付着を検知することができる。ブラシの移動中は薬液が供給されないので、画像データには、流動する薬液がほとんど含まれない。このため、より高い精度で薬液の付着を検知することができる。
【0031】
第10の態様によれば、付着検知部はブラシ保持部の全周面を確認できるので、より高い精度で薬液の付着を検知することができる。
【0032】
第11の態様によれば、流量が異常により増加すると、薬液ノズルから吐出された薬液が、移動中のブラシ保持部に付着し得る。しかるに、付着検知部がブラシ保持部への薬液の付着を検知して、待機ポッドにおいてブラシ保持部に対する洗浄が行われる。このため、ブラシ保持部を適切に洗浄できる。
【0033】
第12の態様によれば、ブラシ保持部およびブラシに確実に洗浄液を供給することができる。
【0034】
第13の態様によれば、第1洗浄ノズルからの洗浄液の吐出が第1時間のみで行われるので、洗浄液の使用量を低減させることができる。
【0035】
第14の態様によれば、第2洗浄ノズルは第1時間の少なくとも一部で洗浄液を吐出しないので、洗浄液の使用量を低減させることができる。
【0036】
第15の態様によれば、複数の洗浄ノズルを設ける必要がなく、洗浄液供給部の構成を簡易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】第1実施形態にかかる基板処理装置に属する処理ユニットの構成の一例を概略的に示す縦断面図である。
【
図2】第1実施形態にかかる処理ユニットの構成の一例を概略的に示す平面図である。
【
図3】第1実施形態にかかる処理ユニットの電気的な構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態にかかる待機ポッド、洗浄液供給部の一部、ブラシおよびブラシ保持部の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図5】処理ユニットの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】スクラバ洗浄における処理ユニットの様子の時間変化を模式的に示す図である。
【
図7】薬液ノズルおよびブラシ保持部の位置関係を説明するための図である。
【
図8】処理ユニットによるブラシ洗浄に関する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第1ブラシ洗浄における処理ユニットの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図10】第2実施形態にかかる処理ユニットの構成の一例を示す平面図である。
【
図11】第2実施形態にかかる待機ポッド、洗浄液供給部の一部、ブラシおよびブラシ保持部の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図12】第3実施形態にかかる処理ユニットの構成の一例を概略的に示す平面図である。
【
図13】第3実施形態にかかる処理ユニットの電気的な構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図14】第3実施形態にかかる処理ユニットによるブラシ洗浄に関する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図15】第4実施形態にかかる処理ユニットの構成の一例を概略的に示す縦断面図である。
【
図16】カメラによって生成された画像データの一例を模式的に示す図である。
【
図17】第4実施形態にかかる処理ユニットの電気的な構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図18】処理ユニットのブラシ洗浄に関する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図19】カメラの位置の他の第1例を説明するための図である。
【
図20】カメラの位置の他の第2例を説明するための図である。
【
図21】第5実施形態にかかる処理ユニットの構成の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照しつつ実施の形態について詳細に説明する。なお図面においては、理解容易の目的で、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。また同様な構成および機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。
【0039】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0040】
また、以下に記載される説明において、「第1」または「第2」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序に限定されるものではない。
【0041】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現が用いられる場合、該表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A,BおよびCの少なくともいずれか一つ」という表現が用いられる場合、該表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A,BおよびCのうち任意の2つ、ならびに、A,BおよびCの全てを含む。
【0042】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態にかかる基板処理装置に属する処理ユニット1の構成の一例を概略的に示す縦断面図である。
図2は、第1実施形態にかかる処理ユニット1の構成の一例を概略的に示す平面図である。
図3は、第1実施形態にかかる処理ユニット1の電気的な構成の一例を概略的に示すブロック図である。なお、基板処理装置は、複数の処理ユニット1と、複数の処理ユニット1の各々に対して基板Wの搬出入を行う搬送ロボットとを含んでいてもよい。
【0043】
処理ユニット1は基板Wの主面に対してスクラバ洗浄を行うことができる。スクラバ洗浄については後に詳述する。基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、有機EL(Electroluminescence)用基板、FPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板である。基板Wは薄い平板形状を有する。以下では、基板Wが半導体ウエハであるものとする。基板Wは例えば円板形状を有している。基板Wの直径は例えば300mm程度であり、基板Wの厚さは例えば0.5mm程度以上かつ3mm程度以下である。
【0044】
図1から
図3に示されるように、処理ユニット1は、基板保持部2と、薬液ノズル31と、ブラシ4と、ブラシ保持部5と、ブラシ移動駆動部410と、付着検知部6と、待機ポッド7と、洗浄液供給部8と、制御部9とを含んでいる。
【0045】
基板保持部2は基板Wを水平姿勢で保持しつつ、基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させる。ここでいう水平姿勢とは、基板Wの厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢である。回転軸線Q1は、基板Wの中心を通り、かつ、鉛直方向に沿う軸である。基板保持部2はスピンチャックとも呼ばれ得る。
【0046】
図1の例では、基板保持部2は、スピンベース21と、チャックピン22と、回転駆動部23とを含んでいる。スピンベース21は板状の形状(例えば円板形状)を有し、その厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢で設けられる。スピンベース21の上面には複数のチャックピン22が設けられている。複数のチャックピン22は、回転軸線Q1についての周方向に沿って等間隔に設けられる。複数のチャックピン22は、次に説明する保持位置と解除位置との間で変位可能に設けられている。保持位置とは、チャックピン22が基板Wの周縁に当接する位置である。複数のチャックピン22がそれぞれの保持位置で停止することにより、複数のチャックピン22が基板Wを保持する。
図1および
図2では、保持位置で停止したチャックピン22が示されている。解除位置とは、各チャックピン22が基板Wから離れた位置である。複数のチャックピン22がそれぞれの解除位置で停止することにより、複数のチャックピン22による基板Wの保持が解除される。基板保持部2は、チャックピン22を変位させるピン駆動部(不図示)も含む。ピン駆動部は、例えば、モータおよびエアシリンダ等の駆動源を含み、制御部9によって制御される。
【0047】
回転駆動部23はシャフト231とモータ232とを含んでいる。シャフト231の上端はスピンベース21の下面に接続されており、シャフト231はスピンベース21の下面から回転軸線Q1に沿って延びている。モータ232は制御部9によって制御され、シャフト231を回転軸線Q1のまわりで回転させる。これにより、スピンベース21、チャックピン22および基板Wが回転軸線Q1のまわりで一体に回転する。
【0048】
なお、基板保持部2は必ずしもチャックピン22を有している必要はない。例えば、基板保持部2は、真空チャック、静電チャックおよびベルヌーイチャック等のチャック方式により、基板Wを保持してもよい。
【0049】
薬液ノズル31は、基板保持部2によって保持された基板Wの主面(具体的には上面)に向かって薬液を吐出する。薬液は、基板Wのスクラバ洗浄に用いられる液体であり、具体的な一例は後に述べる。薬液ノズル31は、基板保持部2によって保持された基板Wよりも鉛直上方に設けられている。また、
図1および
図2の例では、薬液ノズル31は、基板保持部2によって保持された基板Wよりも径方向外側に設けられている。薬液ノズル31はその先端に吐出口3aを有しており、吐出口3aから薬液を吐出する。
図1に示されるように、薬液ノズル31は、回転軸線Q1側かつ鉛直下方の斜め方向に向かって薬液を吐出してもよい。薬液ノズル31から吐出された薬液は基板Wの主面に着液し得る。基板Wの主面上に着液した薬液は基板Wの回転に伴う遠心力を受けて径方向外側に流れ、基板Wの周縁から外側に飛散する。
【0050】
図1および
図2の例では、薬液ノズル31は薬液およびリンス液に兼用される。リンス液は薬液を基板Wの主面上から押し流すための液体であり、具体的な一例は後に述べる。
図1および
図2の例では、薬液ノズル31は供給管32の下流端に接続され、供給管32の上流端は供給管32aの下流端および供給管32bの下流端に接続されている。供給管32aの上流端は薬液供給源に接続される。薬液供給源は、薬液を貯留するタンク(不図示)を有し、供給管32aの上流端に薬液を供給する。薬液としては、例えば、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水および過酸化水素水のうちの少なくとも1つを含む液を適用することができる。具体的には、薬液として、アンモニアと過酸化水素水との混合液(SC1)、TMAH(テトラ・メチル・アンモニウム・ハイドロオキサイド:水酸化テトラメチルアンモニウム)を用いることができる。
【0051】
供給管32aには供給弁33a、流量調整弁34aおよび流量計35aが設けられている。供給弁33aは供給管32aの開閉を切り換える。流量調整弁34aは、供給管32aを流れる薬液の流量を調整する。供給弁33aおよび流量調整弁34aは制御部9によって制御される。流量計35aは、供給管32aを流れる薬液の流量を測定し、その測定結果を示す電気信号を制御部9に出力する。流量計35aは例えば超音波流量計である。制御部9は、流量計35aによって測定された流量に基づいて、流量調整弁34aを制御してもよい。
【0052】
供給管32bの上流端はリンス液供給源に接続される。リンス液供給源は、リンス液を貯留するタンク(不図示)を有し、供給管32bの上流端にリンス液を供給する。リンス液としては、純水、炭酸水、電解イオン水、水素水、磁気水または希釈濃度(例えば1ppm程度)のアンモニア水を適用することができる。
【0053】
供給管32bには供給弁33b、流量調整弁34bおよび流量計35bが設けられている。供給弁33bは供給管32bの開閉を切り換える。流量調整弁34bは、供給管32bを流れるリンス液の流量を調整する。供給弁33bおよび流量調整弁34bは制御部9によって制御される。流量計35bは、供給管32bを流れるリンス液の流量を測定し、その測定結果を示す電気信号を制御部9に出力する。流量計35bは例えば超音波流量計である。制御部9は、流量計35bによって測定された流量に基づいて、流量調整弁34bを制御してもよい。
【0054】
ブラシ4はスクラバ洗浄に用いられる。具体的には、ブラシ4は、基板Wの主面に薬液が供給され、かつ、ブラシ4が基板Wの主面に当接した状態で、基板Wの主面に対して相対的に移動する。これにより、ブラシ4が基板Wの主面を擦って洗浄することができる(スクラバ洗浄)。ブラシ4は例えばポリビニルアルコール等の樹脂製のスポンジ部材である。ブラシ4は、例えば、鉛直方向に沿う中心軸を有する円柱形状を有する。ブラシ4の下面4aが基板Wの主面に当接する。ブラシ4の下面4aは例えば基板Wの主面に平行な平坦面であり、平面視において円形状を有する。ここでいう平面視とは、視線が鉛直方向に沿う状態で見ることをいう。
【0055】
ブラシ保持部5はブラシ4を保持する。ブラシ保持部5はブラシ4の下面4aよりも鉛直上方に設けられ、ブラシ4の上端部分を保持し得る。
図4は、第1実施形態にかかる待機ポッド7、洗浄液供給部8の一部、ブラシ4およびブラシ保持部5の構成の一例を概略的に示す図である。
図4の例では、ブラシ保持部5は、第1部材51と、第2部材52とを含む。ブラシ4は第1部材51に固定され得る。ブラシ4は第1部材51の下端よりも鉛直下方に突出している。つまり、ブラシ4の下面4aは第1部材51の下端よりも鉛直下方に位置する。第1部材51は、例えば、ブラシ4よりも大きな直径を有する円柱状の側面を有する。第2部材52は第1部材51に対して鉛直上方に設けられており、第1部材51に着脱可能に取り付けられる。第2部材52は、例えば、第1部材51とほぼ同径の円柱状の側面を有している。ブラシ4、第1部材51および第2部材52は同軸に設けられ得る。
【0056】
例えば、第2部材52はねじ構造により第1部材51に固定される。
図4の例では、第1部材51の上部には、鉛直上方に向かって突出する雄ネジ部511が設けられている。雄ネジ部511は、鉛直方向に沿う中心軸を有する円柱形状を有しており、当該円柱形状の側面にネジ山が形成される。第2部材52の下部には、鉛直上方に凹み、雌ネジが形成された雌ネジ部521が設けられる。雌ネジ部521の内周面にもネジ山が形成される。第1部材51の雄ネジ部511が第2部材52の雌ネジ部521にねじ構造により結合することにより、第1部材51が第2部材52に着脱可能に取り付けられる。
【0057】
ブラシ4が摩耗すると、作業員はブラシ4を交換することができる。具体的には、作業員は第1部材51を第2部材52から取り外し、新しいブラシ4が固定された第1部材51を第2部材52に取り付ける。これにより、作業員は摩耗したブラシ4を新しいブラシ4に交換することができる。
【0058】
図1および
図2の例では、処理ユニット1にはアーム400が設けられている。アーム400は水平方向に延びている。アーム400の内部にはブラシ駆動部401が設けられている。ブラシ駆動部401は制御部9によって制御される。ブラシ駆動部401は、ブラシ4を回転軸線Q2のまわりで回転させる回転駆動部を含んでもよい。回転軸線Q2は、例えば、ブラシ4の中心を通り、かつ、鉛直方向に沿う軸である。ブラシ駆動部401は、シャフト4011と、不図示のモータとを含む。シャフト4011は回転軸線Q2に沿って延びており、アーム400の下面から鉛直下方に突出する。シャフト4011の下端はブラシ保持部5の上面(つまり、第2部材52の上面)に接続されている。モータはシャフト4011を回転軸線Q2まわりで回転させる。これにより、シャフト4011に接続されたブラシ保持部5と、ブラシ保持部5によって保持されたブラシ4が回転軸線Q2のまわりで一体に回転する。
【0059】
なお、ブラシ駆動部401には、シャフト4011の回転を止める制動駆動部(不図示)が設けられてもよいし、ブラシ4を可制御の押圧力で基板Wの主面に押圧する押圧駆動部(不図示)が設けられてもよい。
【0060】
ブラシ移動駆動部410はブラシ4およびブラシ保持部5を一体に移動させる。
図1および
図2の例では、ブラシ移動駆動部410はアーム400、ブラシ保持部5およびブラシ4を一体に移動させる。以下では、移動対象として代表的にブラシ4またはブラシ保持部5を採用して、ブラシ移動駆動部410を説明することがある。
【0061】
ブラシ移動駆動部410は例えば鉛直方向および水平方向の各々に沿ってブラシ4を移動させる。
図1の例では、ブラシ移動駆動部410は、鉛直駆動部411と、水平駆動部412とを含んでいる。鉛直駆動部411はブラシ4を鉛直方向に沿って移動させる。鉛直駆動部411は昇降駆動部である、ともいえる。鉛直駆動部411は、例えば、モータ等の駆動源(不図示)と、駆動源からの回転力を鉛直方向の力に変換する動力伝達部(不図示)とを含む。水平駆動部412はブラシ4を水平方向に沿って移動させる。水平駆動部412は、例えば、モータ等の駆動源(不図示)と、駆動源からの回転力を水平方向の力に変換する動力伝達部(不図示)とを含む。これらの動力伝達部は例えばボールねじ機構またはカム機構を含む。
【0062】
ブラシ移動駆動部410は、ブラシ4が基板Wの主面に当接する処理位置と、後に詳述する待機ポッド7との間でブラシ4を移動させる。また、ブラシ移動駆動部410は、ブラシ4が基板Wの主面に当接した状態で、ブラシ4を基板Wの主面に沿って移動させることもできる。
【0063】
待機ポッド7は、ブラシ4を待機させる待機位置に設けられる。
図2の例では、待機ポッド7は、基板保持部2よりも径方向外側に設けられている。待機ポッド7は、例えば、ブラシ4およびブラシ保持部5を囲む筒状の側壁を有している。待機ポッド7は少なくとも鉛直上方に向かって開口している(
図4も参照)。ブラシ移動駆動部410がブラシ4を待機ポッド7の直上の位置に移動させた後に、ブラシ4を下降させることにより、ブラシ4を待機ポッド7内に収納させることができる。
【0064】
洗浄液供給部8は、待機ポッド7に洗浄液を供給する吐出口8aおよび吐出口8bを有している。
図4の例では、洗浄液供給部8は、第1洗浄ノズル81aと、第2洗浄ノズル81bとを含んでいる。第1洗浄ノズル81aは待機ポッド7の側壁に取り付けられている。第1洗浄ノズル81aは、待機ポッド7の内部に向かって開口する吐出口8aを有しており、吐出口8aからブラシ保持部5に向かって洗浄液を吐出する。第2洗浄ノズル81bも待機ポッド7の側壁に取り付けられている。第2洗浄ノズル81bは、待機ポッド7の内部に向かって開口する吐出口8bを有しており、吐出口8bからブラシ4に向かって洗浄液を吐出する。
図4の例では、第1洗浄ノズル81aはブラシ保持部5に応じた高さ位置に設けられ、第2洗浄ノズル81bはブラシ4に応じた高さ位置に設けられる。ここでは、ブラシ保持部5はブラシ4の下面4aよりも高い位置に設けられているので、第1洗浄ノズル81aは第2洗浄ノズル81bよりも高い位置に設けられている。平面視における第1洗浄ノズル81aおよび第2洗浄ノズル81bの位置は、
図4に示されるように同じであってもよく、
図2に示されるように互いに異なっていてもよい。
【0065】
第1洗浄ノズル81aは供給管82aの下流端に接続され、供給管82aの上流端は洗浄液供給源に接続される。第2洗浄ノズル81bは供給管82bの下流端に接続され、供給管82bの上流端は洗浄液供給源に接続される。洗浄供給源は、洗浄液を貯留するタンク(不図示)を有し、供給管82aおよび供給管82bの上流端に洗浄液を供給する。洗浄液としては、例えば、純水を適用することができる。あるいは、洗浄液として、上記リンス液として例示された液のいずれかを適用してもよい。
【0066】
供給管82aには供給弁83aが設けられ、供給管82bには供給弁83bが設けられている。供給弁83aは供給管82aの開閉を切り換え、供給弁83bは供給管82aの開閉を切り換える。なお、供給管82aおよび供給管82bには、流量調整弁および流量計が設けられてもよい。
【0067】
制御部9は処理ユニット1の各種の構成を制御する。制御部9は、例えば、データ処理部と、記憶部とを含む。データ処理部は、例えば、中央演算装置(CPU)である。記憶部は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶部と、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の記憶部とを含む。また、ハードディスクおよび各種のメモリ等を含む不揮発性の記憶部が制御部9の外部に別途に設けられてもよい。制御部9は、不揮発性の記憶部に格納されたソフトウェアを実行することにより、後述の各種機能を実現することができる。なお、制御部9は、後述の各種機能の一部または全部を実現する専用のハードウェア回路を含んでいてもよい。
【0068】
図3に示されるように、制御部9は、保持制御部91と、ブラシ制御部92と、付着判定部93と、液供給制御部94と、ブラシ洗浄制御部95とを含んでいる。
【0069】
保持制御部91は基板保持部2を制御する。例えば、保持制御部91は基板保持部2のピン駆動部を制御して、基板Wの保持および保持解除を切り換える。また、保持制御部91は基板保持部2の回転駆動部23を制御して、基板Wの回転速度を制御する。
【0070】
ブラシ制御部92はブラシ移動駆動部410およびブラシ駆動部401を制御する。例えば、ブラシ制御部92はブラシ移動駆動部410を制御して、ブラシ4を移動させる。また、ブラシ制御部92はブラシ駆動部401を制御して、ブラシ4の回転速度を制御する。
【0071】
液供給制御部94は供給弁33aおよび供給弁33bを制御する。液供給制御部94が供給弁33aを開くことにより、薬液ノズル31から薬液を吐出させる。また、液供給制御部94が供給弁33bを開くことにより、薬液ノズル31からリンス液を吐出させる。液供給制御部94は流量調整弁34aおよび流量調整弁34bも制御する。例えば、液供給制御部94は流量計35aの測定結果に基づいて流量調整弁34aを制御し、流量計35bの測定結果に基づいて流量調整弁34bを制御する。
【0072】
ブラシ洗浄制御部95は供給弁83aおよび供給弁83bを制御する。ブラシ洗浄制御部95が供給弁83aを開くことにより、第1洗浄ノズル81aから洗浄液を吐出させ、供給弁83bを開くことにより、第2洗浄ノズル81bから洗浄液を吐出させる。また、供給管82aおよび供給管82bに流量調整弁を設けた場合には、ブラシ洗浄制御部95は、供給管82aに設けられた流量調整弁、および、供給管82bに設けられた流量調整弁を適宜に制御し得る。
【0073】
付着検知部6はブラシ保持部5への薬液の付着を検知する。
図3の例では、付着検知部6は、流量計35aと、ブラシ制御部92と、付着判定部93とを含んでいる。付着検知部6の動作については後に詳述する。
【0074】
<基板処理の一例>
次に、処理ユニット1による基板Wに対する処理の一例について説明する。
図5は、処理ユニット1の動作の一例を示すフローチャートである。制御部9は、予め設定された処理手順(レシピ)にしたがって、ステップS1からステップS5の処理を処理ユニット1に実行させる。
【0075】
まず、搬送ロボットが基板Wを処理ユニット1に搬送する。そして、基板保持部2が、搬送ロボットから受け取った基板Wを保持する(ステップS1:保持工程)。具体的な一例として、基板保持部2は複数のチャックピン22をそれぞれの解除位置から保持位置に変位させる。これにより、複数のチャックピン22が基板Wを保持する。基板保持部2は、基板Wに対する処理の終了まで基板Wを保持し続ける。
【0076】
次に、処理ユニット1は基板Wに対してスクラバ洗浄を行う(ステップS2:スクラバ洗浄工程)。具体的には、基板保持部2が基板Wを回転軸線Q1のまわりで回転させ、かつ、薬液ノズル31が薬液を基板Wの主面に向かって吐出しつつ、ブラシ移動駆動部410がブラシ4を処理位置に移動させる。薬液の吐出は、制御部9が供給弁33aを開くことによって行われる。薬液の流量は例えば数百cc/min程度に予め設定され、より具体的な一例として400cc/min程度に設定される。
【0077】
図6は、スクラバ洗浄における処理ユニット1の様子の時間変化を模式的に示す図である。
図6の例では、ブラシ移動駆動部410はブラシ4を基板Wの中央位置Pb1の直上の位置から下降させて、ブラシ4を中央位置Pb1において基板Wの主面に当接させる。中央位置Pb1は例えば予め設定されており、より具体的な一例として、ブラシ4の下面4aの中心が基板Wの中心と向かい合う位置である。
【0078】
図6の例では、基板Wの主面に向かって吐出された薬液が砂地の部分で模式的に示されている。薬液は着液位置Pcで基板Wの主面に着液する。着液位置Pcはブラシ保持部5よりも薬液ノズル31の吐出口3aに近い位置である(
図2も参照)。着液位置Pcと回転軸線Q1との距離は例えば基板Wの半径の2分の1以下であってもよく、3分の1以下であってもよい。着液位置Pcに着液した薬液は着液位置Pcのまわりに広がりつつ、基板Wの回転に伴う遠心力を受けて径方向外側に流れ、基板Wの周縁から外側に飛散する。これにより、薬液が基板Wの主面の全面に供給される。なお、
図6では、基板Wの主面上の薬液の図示を省略している。
【0079】
図6の例では、ブラシ保持部5に衝突した薬液を、破線で囲まれた砂地部分で示している。このようなブラシ保持部5への薬液の衝突は例えば流量異常によって生じ得る。つまり、流量調整弁34a等の異常により、薬液ノズル31から必要以上の流量の薬液が吐出されることにより、薬液がより長い距離で空中を移動し、その結果、基板Wの主面に着液する前にブラシ保持部5に衝突する。このブラシ保持部5への薬液の衝突に関連する各種処理については後に述べる。以下では、まず、流量が正常であって、薬液が着液位置Pcで基板Wの主面に着液する場合について述べる。言い換えれば、着液位置Pcは、薬液が正常に吐出されたときの、基板Wの主面上の着液位置である。
【0080】
ブラシ移動駆動部410は、スクラバ洗浄において、ブラシ4が回転中の基板Wの主面に当接した状態で、ブラシ4を中央位置Pb1から周縁位置Pb2に基板Wの主面に沿って移動させる。周縁位置Pb2は例えば予め設定されており、中央位置Pb1よりも径方向外側の位置である。より具体的な一例として、周縁位置Pb2はブラシ4の下面4aの径方向外側の端が基板Wの周縁と一致、または、基板Wの周縁よりも径方向外側となる位置であってもよい。中央位置Pb1から周縁位置Pb2までの移動時間も例えば予め設定されており、例えば数十秒程度に設定され得る。ブラシ移動駆動部410は、設定された移動時間で、中央位置Pb1から周縁位置Pb2へブラシ4を移動させる。なお、以下では、中央位置Pb1から周縁位置Pb2までの範囲を移動範囲Rとも呼ぶ。
【0081】
ブラシ駆動部401は、少なくとも中央位置Pb1から周縁位置Pb2へのブラシ4の移動中において、ブラシ4を回転軸線Q2のまわりで回転させてもよい。また、ブラシ駆動部401は、予め設定された押圧力でブラシ4を基板Wの主面に向かって押圧してもよい。
【0082】
ブラシ4が周縁位置Pb2に到達すると、ブラシ駆動部401はブラシ4の回転を停止させ、ブラシ移動駆動部410はブラシ4を上昇させる。そして、ブラシ移動駆動部410はブラシ4を待機ポッド7に移動させる。また、制御部9は供給弁33aを閉じて薬液ノズル31からの薬液の吐出を停止させる。なお、
図6において括弧で囲まれた処理ユニット1内の様子の一例については後に述べる。
【0083】
このように、スクラバ洗浄において、基板Wの主面に薬液が供給された状態で、ブラシ4が回転中の基板Wの主面に沿って移動する。これにより、ブラシ4の下面4aが基板Wの主面を擦ることができ、基板Wの主面を洗浄することができる。ブラシ4が中央位置Pb1から周縁位置Pb2に移動することにより、基板Wの主面の全面を洗浄することができる。
【0084】
次に、処理ユニット1は基板Wの主面にリンス液を供給する(ステップS3:リンス工程)。具体的には、制御部9が供給弁33bを開く。これにより、薬液ノズル31から回転中の基板Wの主面に向かってリンス液が吐出される。基板Wの主面の中央部に着液したリンス液は、基板Wの回転に伴う遠心力を受けて径方向外側に流れ、基板Wの周縁から飛散する。このとき、リンス液が基板Wの主面上の薬液を径方向外側に押し流す。これにより、基板Wの主面上の処理液が薬液からリンス液に置換される。
【0085】
薬液からリンス液への置換が十分に行われると、制御部9は供給弁33bを閉じる。具体的な一例として、制御部9はリンス液の吐出開始からの経過時間を測定し、当該経過時間が所定のリンス時間以上となったときに、供給弁33bを開状態から閉状態に切り替える。リンス時間は、薬液からリンス液の置換が十分に行われる程度の時間に予め設定される。
【0086】
次に、処理ユニット1は基板Wを乾燥させる(ステップS4:乾燥工程)。より具体的には、基板保持部2は基板Wの回転速度を増加させる(いわゆるスピンドライ)。基板Wが十分に乾燥すると、基板保持部2は基板Wの回転を停止させる。具体的な一例として、制御部9は、リンス液の吐出停止からの経過時間を測定し、当該測定時間が所定の乾燥時間以上であるか否かを判定する。乾燥時間は、基板Wが十分に乾燥する程度の時間に予め設定される。当該経過時間が乾燥時間以上であるときに、基板保持部2は基板Wの回転を停止させる。
【0087】
次に、基板保持部2が基板Wに対する保持を解除する(ステップS5:保持解除工程)。そして、搬送ロボットが処理済みの基板Wを処理ユニット1から搬出する。
【0088】
処理ユニット1には未処理の基板Wが順次に搬送されて、都度、ステップS1からステップS5が実行され、処理ユニット1から処理済みの基板Wが順次に搬出される。これにより、複数の基板Wに対して順次に処理を行うことができる。
【0089】
ところで、上述のように、スクラバ洗浄中に薬液がブラシ保持部5に衝突する可能性がある。もしもブラシ保持部5に薬液が付着すると、次の基板Wの処理の際に、意図しないタイミングでブラシ保持部5から基板Wの主面に向かって薬液が落下し得る。これにより、基板Wの主面に対して部分的に不要な薬液処理が行われ得る。
【0090】
ここでは、まず、薬液ノズル31およびブラシ保持部5の位置関係の一例について説明しておく。
図7は、薬液ノズル31およびブラシ保持部5の位置関係を説明するための図である。
図7の例では、薬液ノズル31の吐出口3aにおける薬液の吐出方向に沿う仮想的な直線が直線VL1で示されている。薬液ノズル31の吐出口3aの直後において薬液は直線VL1に沿う軌跡で空中を移動するものの、重力によって、薬液は吐出口3aから遠ざかるにつれて直線VL1から下方にずれる(
図1も参照)。薬液の流量が大きいほど、流速が高いので、薬液の軌跡はより長い距離で直線VL1に沿うことになる。
【0091】
図7の例では、スクラバ洗浄におけるブラシ保持部5の移動範囲Rを鉛直方向に延ばして得られる仮想的な平面VPも示されている。仮想的な直線VL1は、ブラシ保持部5の下端よりも高い位置で平面VPと交差する。
図7の例では、直線VL1は、中央位置Pb1に位置するブラシ保持部5と交差する。このような位置関係では、薬液ノズル31から非常に大きな流量で薬液が吐出されると、薬液は基板Wの主面に到達する前にブラシ保持部5に衝突し得る。つまり、流量異常により、薬液ノズル31の吐出口3aから比較的長い距離に亘って直線VL1に沿って薬液が移動し、その結果、中央位置Pb1の近傍に位置するブラシ保持部5に衝突し得る。
【0092】
図2を参照して、薬液ノズル31の吐出口3aから基板Wの主面までの薬液の軌跡は、平面視において、仮想的な直線VL1に沿う。この仮想的な直線VL1は、基板Wの主面上のブラシ4の移動軌跡が沿う仮想的な直線VL2と交差している。具体的には、直線VL1は基板Wの中央において直線VL2と交差する。この場合、ブラシ4が中央位置Pb1の付近に位置するときに、流量異常により薬液はブラシ保持部5に衝突し得る。一方で、ブラシ4が中央位置Pb1から大きく遠ざかると、流量異常が生じても薬液はブラシ保持部5に衝突しない。つまり、ブラシ4が、中央位置Pb1を含む所定範囲Rb内に位置しているときには、流量異常により、薬液がブラシ保持部5に衝突し得るものの、ブラシ4が所定範囲Rb外に位置しているときには、薬液はブラシ保持部5に衝突しない。ここでは、所定範囲Rbは、中央位置Pb1を含む範囲であり、実験またはシミュレーション等により、予め設定される。なお、所定範囲Rbは、薬液がブラシ保持部5に衝突し得るブラシ4の位置範囲である、といえる。
【0093】
逆に言えば、流量異常が生じており、かつ、ブラシ4が所定範囲Rb内に位置するときには、薬液がブラシ保持部5に衝突していると考えることができる。
【0094】
そこで、付着検知部6は、流量計35aによって測定された薬液の流量、および、次に説明するブラシ位置取得部によって取得されたブラシ4のブラシ位置に基づいて、ブラシ保持部5への薬液の付着を検知する。ブラシ位置取得部は制御部9の一機能であってもよい。つまり、制御部9はブラシ移動駆動部410を制御して、ブラシ4のブラシ位置を制御している。このため、制御部9はブラシ4のブラシ位置を把握することができる。具体的には、制御部9のブラシ制御部92はブラシ4のブラシ位置を把握できるので、ブラシ位置取得部として機能することができる。
【0095】
なお、ブラシ位置取得部は必ずしも制御部9のブラシ制御部92の一機能でなくてもよい。例えば、ブラシ4のブラシ位置を測定するセンサが処理ユニット1に設けられてもよい。具体的な一例として、ブラシ移動駆動部410のモータの回転位置を測定するロータリエンコーダが設けられてもよい。制御部9は該ロータリエンコーダの測定結果に基づいて、ブラシ4のブラシ位置を算出してもよい。
【0096】
付着検知部6は、薬液の流量が所定の流量閾値以上であり、かつ、ブラシ4が所定範囲Rb内に位置するときには、薬液がブラシ保持部5に衝突していると判定する。つまり、付着検知部6はブラシ保持部5への薬液の付着を検知する。
【0097】
制御部9は、付着検知部6がブラシ保持部5への薬液の付着を検知したときに、ブラシ保持部5の洗浄が必要であると判定し、ブラシ移動駆動部410がブラシ4を待機ポッド7に移動させたときに、洗浄液供給部8を制御して洗浄液でブラシ保持部5を洗浄する。
【0098】
ここで、上述のブラシ洗浄に関する動作を、フローチャートを参照しつつ、より具体的に説明する。
図8は、処理ユニット1によるブラシ洗浄に関する動作の一例を示すフローチャートである。
図8の例では、スクラバ洗浄(ステップS2)が開始される(ステップS11)と、処理ユニット1は後述のステップS12からステップS15を実行する。つまり、ステップS12からステップS15はスクラバ洗浄(ステップS2)と並行して実行される。まず、流量計35aが薬液の流量を測定する(ステップS12:流量測定工程)。そして、流量計35aは、測定結果を示す電気信号を制御部9に出力する。次に、ブラシ位置取得部(ここでは制御部9、具体的には、ブラシ制御部92)はブラシ4のブラシ位置を取得する(ステップS13:ブラシ位置取得工程)。なお、ステップS12およびステップS13の実行順序は逆でもよい。
【0099】
次に、付着判定部93は、流量計35aによって測定された流量およびブラシ位置取得部によって取得されたブラシ4のブラシ位置に基づいて、ブラシ保持部5に薬液が付着したか否かを判定する(ステップS14:判定工程)。具体的には、付着判定部93は、流量が流量閾値以上であり、かつ、ブラシ4が所定範囲Rb内に位置するときに、薬液がブラシ保持部5に付着したと判定する。逆に言えば、付着判定部93は、流量が流量閾値以上であっても、ブラシ4が所定範囲Rb外であるときには、薬液がブラシ保持部5に付着していないと判定する。また、付着判定部93は、流量が流量閾値未満であるときには、ブラシ4のブラシ位置によらず、薬液がブラシ保持部5に付着していないと判定する。流量閾値および所定範囲Rbは、例えば実験またはシミュレーション等により予め設定される。流量閾値は、例えば、430cc/min程度に設定されてもよい。
【0100】
薬液がブラシ保持部5に付着したと付着判定部93が判定したときには、制御部9はブラシ保持部5の洗浄が必要であると判定する(ステップS15)。例えば、制御部9は洗浄フラグを記憶部に記憶させる。より具体的には、制御部9は洗浄フラグを活性化状態(例えばH(ハイ)状態)とし、洗浄フラグに記憶部に記憶させる。
【0101】
次に、制御部9はスクラバ洗浄が終了したか否かを判定する(ステップS16)。未だスクラバ洗浄が終了していなければ、処理ユニット1は再びステップS12を実行する。
【0102】
ステップS14において、薬液がブラシ保持部5に付着していないと付着判定部93が判定したときには、制御部9はステップS15を行わずに、ステップS16を行う。
【0103】
以上のように、スクラバ洗浄が終了するまで、処理ユニット1はステップS12からステップS15の一連の処理を繰り返し実行する。このため、スクラバ洗浄において、一度でも付着検知部6がブラシ保持部5への薬液の付着を検知すると、制御部9はブラシ保持部5の洗浄が必要であると判定する。
【0104】
スクラバ洗浄が終了すると、制御部9はブラシ保持部5の洗浄が必要であると判定したか否かを判定する(ステップS17)。例えば、制御部9は記憶部に洗浄フラグが記憶されているか否かを判定する。より具体的な一例として、制御部9は洗浄フラグが活性状態であるか否かを判定する。洗浄フラグが活性状態であるときには、制御部9はブラシ保持部5を洗浄する第1ブラシ洗浄を行う(ステップS18:第1ブラシ洗浄工程)。
【0105】
第1ブラシ洗浄では、洗浄液供給部8は洗浄液を用いてブラシ保持部5を洗浄する。例えば制御部9は、ブラシ4が待機ポッド7内に収納された状態で、供給弁83aおよび供給弁83bの両方を開く。これにより、第1洗浄ノズル81aの吐出口8aからブラシ保持部5に向かって洗浄液が吐出されつつ、第2洗浄ノズル81bの吐出口8bからブラシ4に向かって洗浄液が吐出される(
図4も参照)。第1洗浄ノズル81aから吐出される洗浄液の流量は、例えば数百cc/minに設定され、具体的な一例として、150cc/min程度に設定され得る。第2洗浄ノズル81bから吐出される洗浄液の流量も、例えば数百cc/minに設定され、具体的な一例として、150cc/min程度に設定され得る。
【0106】
図4の例では、第1洗浄ノズル81aから吐出された洗浄液はブラシ保持部5の上面に着液し、ブラシ保持部5の上面から溢れてブラシ保持部5の側面に沿って流下する。これにより、ブラシ保持部5に付着した薬液が洗浄液とともに流下し、ブラシ保持部5が洗浄される。また、第2洗浄ノズル81bから吐出された洗浄液はブラシ4の下面4aに衝突する。これにより、ブラシ4の下面4aを洗浄することができる。また、ブラシ4の乾燥を抑制することもできる。ブラシ4が乾燥すると、ブラシ4が硬くなり得るものの、上述の第1ブラシ洗浄によれば、ブラシ4が硬くなることを回避することができる。このため、次の基板Wに対するスクラバ洗浄において、ブラシ4による基板Wの主面への損傷を抑制することができる。
【0107】
第1ブラシ洗浄において、ブラシ駆動部401はブラシ4を回転軸線Q2のまわりで回転させてもよい。これにより、洗浄液供給部8はブラシ保持部5の側面の全面により均一に洗浄液を供給することができる。同様に、洗浄液供給部8はブラシ4の下面4aの全面により均一に洗浄液を供給することができる。
【0108】
第1ブラシ洗浄が行われると、制御部9は洗浄フラグを記憶部から消去する。具体的には、制御部9は洗浄フラグを非活性化状態(例えばL(ロー)状態)とする。
【0109】
また、ステップS17において、ブラシ保持部5の洗浄が不要であると制御部9が判定したときには、制御部9は第2ブラシ洗浄を行う(ステップS19:第2ブラシ洗浄工程)。第2ブラシ洗浄では、洗浄液供給部8はブラシ保持部5を洗浄せずに、ブラシ4の下面4aを洗浄液で洗浄する。例えば制御部9は、ブラシ4が待機ポッド7内に収納された状態で、供給弁83aを閉じたまま供給弁83bを開く。これにより、第1洗浄ノズル81aからは洗浄液が吐出されず、第2洗浄ノズル81bからブラシ4の下面4aに向かって洗浄液が吐出される。これにより、ブラシ4の下面4aを洗浄しつつ、ブラシ4の乾燥を抑制することができる。
【0110】
以上のように、本実施形態では、付着検知部6がブラシ保持部5への薬液の付着を検知する。そして、制御部9がその検知に応じて、ブラシ保持部5の洗浄が必要であると判定する。このため、処理ユニット1はブラシ保持部5の洗浄が必要である蓋然性が高いときに、ブラシ保持部5の洗浄(つまり第1ブラシ洗浄)を行うことができる。逆に言えば、処理ユニット1はブラシ保持部5の洗浄が不要である蓋然性が高いときには、ブラシ保持部5の洗浄の実行を回避することができる。このため、処理ユニット1のランニングコストを低減させることができる。具体的には、上述の例では、ブラシ保持部5の洗浄が不要である蓋然性が高いときには、第1洗浄ノズル81aからの洗浄液の吐出が行われない(第2ブラシ洗浄)。このため、洗浄液の使用量を低減させることができる。したがって、本実施形態にかかる処理ユニット1は洗浄液の省液化に資する。
【0111】
また、上述の例では、付着検知部6は薬液の流量のみならずブラシ位置にも基づいて、ブラシ保持部5への薬液の付着を検知している。このため、付着検知部6はより高い精度で着液の付着を検知することができる。
【0112】
また、上述の例では、洗浄液供給部8は第1洗浄ノズル81aおよび第2洗浄ノズル81bを含んでいる。このため、洗浄液供給部8は第1ブラシ洗浄の際にブラシ保持部5およびブラシ4に確実に洗浄液を供給することができる。
【0113】
<第1ブラシ洗浄>
次に、第1ブラシ洗浄の具体的な他の例について述べる。
図9は、第1ブラシ洗浄における処理ユニット1の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図9では、第1ブラシ洗浄が行われるブラシ洗浄時間Tが示されている。
図9(a)の例では、ブラシ洗浄時間Tのうち初期の第1時間T1において、供給弁83aおよび供給弁83bの両方が開く。これにより、第1時間T1において、第1洗浄ノズル81aからブラシ保持部5に向かって洗浄液が吐出されつつ、第2洗浄ノズル81bからブラシ4に向かって洗浄液が吐出される。このため、第1時間T1において、洗浄液供給部8はブラシ保持部5およびブラシ4の両方の洗浄を行う。第1時間T1は、ブラシ保持部5を十分に洗浄できる程度の時間に予め設定され、より具体的な一例として、10秒から15秒程度に設定され得る。
【0114】
図9(a)の例では、第2時間T2において、供給弁83aが閉じ、供給弁83bが開く。第2時間T2は第1時間T1の後の時間であり、
図9(a)の例では、第1時間T1に連続する時間である。第2時間T2において供給弁83aが閉じ、供給弁83bが開くので、第1洗浄ノズル81aは洗浄液を吐出せず、第2洗浄ノズル81bからブラシ4に向かって洗浄液が吐出される。このため、第2時間T2においては、洗浄液供給部8はブラシ保持部5を洗浄せずに、ブラシ4を洗浄する。
【0115】
また、
図9(b)の例では、第1時間T1において、供給弁83aが開き、供給弁83bが閉じている。これにより、第1洗浄ノズル81aからブラシ保持部5に向かって洗浄液が吐出されるものの、第2洗浄ノズル81bは洗浄液を吐出しない。このため、洗浄液供給部8はブラシ保持部5の洗浄を行う。なお、洗浄液はブラシ保持部5からブラシ4に流れ得る。このため、洗浄液供給部8は第1時間T1において、ブラシ4を部分的に洗浄することができつつ、ブラシ4の乾燥を抑制することもできる。
【0116】
図9(b)の例でも、第2時間T2において、供給弁83aが閉じ、供給弁83bが開く。これにより、第2時間T2において、第1洗浄ノズル81aは洗浄液を吐出せず、第2洗浄ノズル81bからブラシ4に向かって洗浄液が吐出される。このため、第2時間T2においてはブラシ4のみが洗浄される。
【0117】
以上のように、
図9の例では、供給弁83aは第1時間T1において開き、第2時間T2において閉じる。このため、供給弁83aが第1時間T1および第2時間T2の両方において開く場合に比べて、洗浄液の使用量を低減させることができる。また、供給弁83bは少なくとも第2時間T2において開く。このため、ブラシ4の乾燥を適切に抑制することができる。供給弁83bが第1時間T1の少なくとも一部において閉じる場合には、洗浄液の使用量をさらに低減させることができる。
【0118】
<スクラバ洗浄>
次に、スクラバ洗浄の具体的な動作の他の例について述べる。上述の例では、スクラバ洗浄において、ブラシ4は中央位置Pb1から周縁位置Pb2へ1回のみ移動しているものの、複数回移動してもよい。
図6を参照して、例えば、ブラシ移動駆動部410はブラシ4を周縁位置Pb2から上昇させて、中央位置Pb1の直上の位置に向かってブラシ4を移動させてもよい。ブラシ移動駆動部410は当該位置から再び中央位置Pb1にブラシ4を下降させる。そして、ブラシ移動駆動部410はブラシ4を中央位置Pb1から周縁位置Pb2に移動させてもよい。ブラシ移動駆動部410は同様の動作を繰り返し行ってもよい。これにより、処理ユニット1は基板Wの主面をより確実に洗浄することができる。
【0119】
周縁位置Pb2の直上の位置から中央位置Pb1の直上の位置へのブラシ4の移動中にも、薬液がブラシ保持部5に衝突し得る。つまり、ブラシ4の下面4aと基板Wの主面との間隔Dが所定間隔よりも短い場合には、ブラシ4が平面視において所定範囲Rb内に位置すれば、流量異常によって薬液がブラシ保持部5に衝突し得る。このため、付着判定部93は、薬液の流量が流量閾値以上であり、間隔Dが所定間隔以下であり、かつ、ブラシ4の平面視におけるブラシ位置が所定範囲Rb内であるときに、薬液がブラシ保持部5に付着していると判定してもよい。所定間隔は、例えば実験またはシミュレーションにより、予め設定される。
【0120】
また、上述の例では、ブラシ移動駆動部410はブラシ4を中央位置Pb1から周縁位置Pb2までの基板Wの半径分だけ移動させているものの、移動範囲Rは適宜に変更し得る。例えばブラシ移動駆動部410はブラシ4を基板Wの直径分だけ移動させてもよい。つまり、ブラシ移動駆動部410は基板Wの直径の一端側の周縁位置から他端側の周縁位置Pb2へブラシ4を移動させてもよい。
【0121】
<付着検知方法>
次に、付着検知方法の他の一例について述べる。付着検知部6は薬液の流量のみに基づいて、ブラシ保持部5への薬液の付着を検知してもよい。より具体的な一例として、スクラバ洗浄において流量計35aによって測定された流量が所定の流量閾値以上であるときに、付着判定部93は薬液がブラシ保持部5に付着したと判定してもよい。流量異常が長時間にわたって継続する場合には、薬液が着液位置Pcよりも奥側に着液し続ける。このため、基板Wの各々に対するスクラバ洗浄において、ブラシ4が所定範囲Rbに入るたびに、薬液がブラシ保持部5に衝突する。つまり、薬液異常が生じ続ければ、ブラシ4がいずれは所定範囲Rb内に移動するので、そのタイミングで薬液がブラシ保持部5に衝突する。このため、付着判定部93は、薬液が流量閾値以上であるという条件の成立をトリガとして、薬液がブラシ保持部5に付着したと判定してもよい。このような判定方法であっても、付着検知部6はある程度の精度でブラシ保持部5への薬液の付着を検知することができる。
【0122】
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態にかかる処理ユニット1Aの構成の一例を示す平面図であり、
図11は、第2実施形態にかかる待機ポッド7、洗浄液供給部8の一部、ブラシ4およびブラシ保持部5の構成の一例を概略的に示す図である。処理ユニット1Aは洗浄液供給部8の構成という点で処理ユニット1と相違する。
【0123】
第2実施形態では、洗浄液供給部8は、単一の洗浄ノズル81と、供給管82と、供給弁83とを含んでいる。洗浄ノズル81、供給管82および供給弁83はそれぞれ第1洗浄ノズル81a、供給管82aおよび供給弁83aと同様である。
【0124】
処理ユニット1Aの動作の一例も
図5および
図8に示されたとおりである。ただし、第1ブラシ洗浄の具体的な動作が相違する。第2実施形態では、制御部9は第1ブラシ洗浄において、ブラシ移動駆動部410にブラシ4を昇降させて、ブラシ4を洗浄液に接液させる処理と、ブラシ保持部5に洗浄液を接液させる処理とを行う。より具体的な一例として、ブラシ移動駆動部410は待機ポッド7において上位置と下位置との間でブラシ4を昇降させる。上位置は、洗浄ノズル81から吐出された洗浄液がブラシ4(具体的には下面4a)に着液する位置である。
図11の例では、上位置に位置するブラシ4およびブラシ保持部5が実線で示されている。下位置は、洗浄ノズル81から吐出された洗浄液がブラシ保持部5(具体的には上面)に着液する位置である。
【0125】
具体的には、まずブラシ移動駆動部410は待機ポッド7の直上にブラシ4を移動させる。そして、例えば制御部9が供給弁83を開いた状態、つまり、洗浄ノズル81が洗浄液を吐出している状態で、ブラシ移動駆動部410がブラシ4を下位置まで移動させる。これにより、洗浄液はブラシ4の下面4aからブラシ4のうち鉛直上方の部分に順次に衝突する。そして、続くブラシ4の下降により、洗浄液はブラシ保持部5の下端に衝突し、続けて当該下端から順次に鉛直上方の部分に衝突する。つまり、ブラシ4の上位置から下位置への下降によって、洗浄液の衝突位置がブラシ4の下面4aからブラシ保持部5の上面に移動する。ブラシ4が下位置に到達すると、洗浄液はブラシ保持部5の上面に着液する。
【0126】
そして、ブラシ移動駆動部410はブラシ保持部5の洗浄に十分な所定時間に亘って、ブラシ4を下位置で停止させる。ブラシ移動駆動部410は所定時間の経過後に、ブラシ4を上位置に移動させ始める。このブラシ4の下位置から上位置への上昇によって、洗浄液の衝突位置がブラシ保持部5の上面からブラシ4の下面4aに移動する。ブラシ移動駆動部410はブラシ4が上位置に到達すると、ブラシ4を停止させる。これにより、洗浄ノズル81からブラシ4の下面4aに向かって洗浄液が吐出され、ブラシ4の下面4aを洗浄するとともに、ブラシ4の乾燥を抑制する。
【0127】
ブラシ駆動部401はこの第1ブラシ洗浄において、ブラシ4を回転軸線Q2のまわりで回転させてもよい。これにより、洗浄液供給部8は洗浄液をブラシ4およびブラシ保持部5の全体により均一に供給することができる。
【0128】
一方、ブラシ移動駆動部410は第2ブラシ洗浄において、ブラシ4を上位置で停止させる。そして、洗浄ノズル81が洗浄液を吐出することにより、ブラシ4の下面4aを洗浄するとともに、ブラシ4の乾燥を抑制する。つまり、第2ブラシ洗浄においては、ブラシ移動駆動部410はブラシ4を上位置と下位置との間の往復移動を行わない。
【0129】
ブラシ駆動部401は第2ブラシ洗浄においても、ブラシ4を回転軸線Q2のまわりで回転させてもよい。これにより、洗浄液供給部8は洗浄液をブラシ4の下面4aの全体により均一に供給することができる。
【0130】
第2実施形態においても、処理ユニット1Aは、付着検知部6がブラシ保持部5への薬液の付着を検知したときに、第1ブラシ洗浄を行い、付着検知部6がブラシ保持部5への薬液の付着を検知しなかったときに、第2ブラシ洗浄を行う。このため、薬液が付着していない蓋然性が高いときには、処理ユニット1Aは第1ブラシ洗浄でのブラシ4の上位置と下位置との往復移動を行わない。したがって、処理ユニット1Aは不要な第1ブラシ洗浄を回避することができ、ランニングコストを低減させることができる。
【0131】
しかも、第2実施形態によれば、洗浄液供給部8は複数の洗浄ノズル81を含む必要がなく、単一の洗浄ノズル81を含んでいる。このため、より簡易な構成で洗浄液供給部8を構成することができる。
【0132】
なお、上述の例では、ブラシ移動駆動部410は、洗浄ノズル81が洗浄液を吐出した状態で、ブラシ4を上位置から下位置に下降させた。このため、洗浄液はブラシ4から衝突し始めた。しかしながら、必ずしもこれに限らない。例えば洗浄ノズル81が洗浄液を吐出していない状態で、ブラシ移動駆動部410がブラシ4を下位置に下降させた上で、洗浄ノズル81が洗浄液を吐出してもよい。この場合、まず、洗浄液はブラシ保持部5の上面に供給される。そして、ブラシ移動駆動部410は、所定時間経過後に、洗浄ノズル81が洗浄液を吐出した状態でブラシ4を下位置から上位置に上昇させてもよい。これによっても、ブラシ保持部5を洗浄することができつつ、ブラシ4の下面4aも洗浄することができる。また、下位置へのブラシ4の下降中に洗浄液が供給されないので、洗浄液の使用量を低減させることができる。
【0133】
また、上述の例では、洗浄ノズル81はブラシ4およびブラシ保持部5に向かって洗浄液を吐出しているものの、必ずしもこれに限らない。例えば、待機ポッド7の下部に洗浄液を貯留する皿状の貯留部が設けられ、洗浄ノズル81が貯留部に向けて洗浄液を吐出してもよい。あるいは、洗浄ノズル81が設けられず、供給管82の下流端が貯留部に接続されてもよい。この場合、供給管82の下流口が吐出口に相当する。この場合、供給管82の吐出口から貯留部に洗浄液を供給することができる。また、この場合、上位置は、ブラシ4が貯留部内の洗浄液に浸漬し、かつ、ブラシ保持部5が洗浄液に浸漬しない位置であり、下位置は、ブラシ4およびブラシ保持部5の両方が貯留部内の洗浄液に浸漬する位置である。ブラシ移動駆動部410はブラシ4を上位置に移動させることにより、ブラシ4を洗浄液に接液させることができ、ブラシ4を下位置に移動させることにより、ブラシ4およびブラシ保持部5を洗浄液に接液させることができる。
【0134】
<第3実施形態>
図12は、第3実施形態にかかる処理ユニット1Bの構成の一例を概略的に示す平面図である。処理ユニット1Bはノズル変位駆動部36の有無という点で処理ユニット1と相違する。ノズル変位駆動部36は薬液ノズル31を変位させて、薬液の基板Wの主面上の着液位置Pcを移動させる。
図12の例では、ノズル変位駆動部36は薬液ノズル31をその基端部を中心として水平面で正逆方向に回動(揺動)させる。この場合、薬液ノズル31のノズル位置は基端部を中心とした回転位置(角度)で示され得る。
図12の例では、薬液が着液位置Pc(t0)に着液するときの薬液ノズル31が実線で示されており、薬液が着液位置Pc(tn)に着液するときの薬液ノズル31が破線で示されている。薬液ノズル31が変位することにより、着液位置Pcが着液位置Pc(t0)から着液位置Pc(tn)へ連続的に移動する。ノズル変位駆動部36は例えばモータおよびエアシリンダ等の駆動源を有する。
【0135】
図13は、第3実施形態にかかる処理ユニット1Bの電気的な構成の一例を概略的に示すブロック図である。第3実施形態にかかる制御部9はノズル変位制御部96をさらに含んでいる。ノズル変位制御部96はノズル変位駆動部36を制御して、薬液ノズル31のノズル位置を制御する。具体的には、スクラバ洗浄において、薬液ノズル31を次に説明する第1ノズル位置と第nノズル位置との間で移動させる。第1ノズル位置は、薬液ノズル31が着液位置Pc(t0)を向くときの回転位置である。第nノズル位置は、薬液ノズル31が着液位置Pc(tn)を向くときの回転位置である。これにより、処理ユニット1Bは、スクラバ洗浄において、薬液をより均一に基板Wの主面に供給することができる。
【0136】
その一方で、薬液ノズル31のノズル位置に応じて着液位置Pcが移動すれば、薬液がブラシ保持部5に衝突し得る所定範囲Rbもノズル位置に応じて変化する。例えば薬液ノズル31が第1ノズル位置に位置するときに流量異常が生じると、薬液は着液位置Pc(t0)よりも遠くまで届く。このため、所定範囲Rb(t0)内に位置するブラシ保持部5に薬液が衝突し得る。逆に言えば、薬液ノズル31が着液位置Pc(t0)を向いているときには、ブラシ4が所定範囲Rb(t0)外に位置していれば、薬液はブラシ保持部5には衝突しない。所定範囲Rb(t0)は、薬液ノズル31が第1ノズル位置に位置するときに薬液がブラシ保持部5に衝突し得る範囲であり、例えば、実験またはシミュレーション等により、予め設定される。
【0137】
同様に、薬液ノズル31が第nノズル位置に位置するときに流量異常が生じると、薬液は着液位置Pc(tn)よりも遠くまで届く。このため、所定範囲Rb(tn)内に位置するブラシ保持部5に薬液が衝突し得る。逆に言えば、薬液ノズル31が着液位置Pc(tn)を向いているときには、ブラシ4が所定範囲Rb(tn)外に位置していれば、薬液はブラシ保持部5には衝突しない。所定範囲Rb(tn)は、薬液ノズル31が第nノズル位置に位置するときに薬液がブラシ保持部5に衝突し得る範囲であり、例えば、実験またはシミュレーション等により、予め設定される。
【0138】
以上のように、第3実施形態では、薬液がブラシ保持部5に衝突するか否かは、薬液の流量およびブラシ保持部5のブラシ位置のみならず、薬液ノズル31のノズル位置にも依存する。
【0139】
そこで、第3実施形態では、付着検知部6は、流量計35aによって測定された薬液の流量、ブラシ位置取得部によって取得されたブラシ保持部5のブラシ位置、および、次に説明するノズル位置取得部によって取得された薬液ノズル31のノズル位置に基づいて、ブラシ保持部5への薬液の付着を検知する。ノズル位置取得部は例えば制御部9の一機能であってもよい。つまり、制御部9はノズル変位駆動部36を制御して、薬液ノズル31のノズル位置を制御している。このため、制御部9は薬液ノズル31のノズル位置を把握することができる。具体的には、制御部9のノズル変位制御部96は薬液ノズル31のノズル位置を把握できるので、ノズル位置取得部として機能することができる。
【0140】
あるいは、薬液ノズル31のノズル位置を測定するセンサが処理ユニット1Bに設けられてもよい。例えば、ノズル変位駆動部36のモータの回転位置を測定するロータリエンコーダが設けられてもよい。制御部9は該ロータリエンコーダの測定結果に基づいて、薬液ノズル31のノズル位置を算出してもよい。
【0141】
付着検知部6は、流量が流量閾値以上であり、かつ、ブラシ4が、薬液ノズル31のノズル位置に応じた所定範囲Rb内に位置するときに、薬液がブラシ保持部5に衝突していると判定する。ノズル位置と所定範囲Rbとの対応関係を示す対応関係データは、例えば、実験またはシミュレーション等により、予め設定される。当該対応関係データは例えば不揮発性の記憶部97(
図13参照)に設定され得る。記憶部97はハードディスクまたは各種のメモリであってもよい。ノズル位置および所定範囲Rbの対応関係はテーブル形式で離散的に規定されてもよいし、関数式等によって連続的に規定されてもよい。
図13に示されるように、第3実施形態では、付着検知部6は、流量計35aと、ブラシ位置取得部と、ノズル位置取得部と、記憶部97とを含んでいる。
【0142】
図14は、第3実施形態にかかる処理ユニット1Bによるブラシ洗浄に関する動作の一例を示すフローチャートである。
図14の例では、処理ユニット1Bはスクラバ洗浄と並行してステップS130をさらに実行する。
図14の例では、ステップS13の次のステップS130において、ノズル位置取得部(ここでは制御部9、具体的には、ノズル変位制御部96)は薬液ノズル31のノズル位置を取得する(ノズル位置取得工程)。なお、ステップS12、ステップS13およびステップS130の実行順序は適宜に変更され得る。
【0143】
次に、付着判定部93は薬液の流量、ブラシ4のブラシ位置および薬液ノズル31のノズル位置に基づいて、ブラシ保持部5に薬液が付着したか否かを判定する(ステップS14:判定工程)。具体的な一例として、付着判定部93は、ノズル位置取得部によって取得されたノズル位置と、記憶部97から読み出した対応関係データとに基づいて、ノズル位置に応じた所定範囲Rb(t)を決定する。そして、付着判定部93は、流量が所定の流量閾値以上であり、かつ、ブラシ4が、ノズル位置に応じた所定範囲Rb(t)内に位置するときに、薬液がブラシ保持部5に付着したと判定する。逆に言えば、付着判定部93は、流量が流量閾値以上であっても、ブラシ4が所定範囲Rb(t)外であるときには、薬液がブラシ保持部5に付着していないと判定する。また、付着判定部93は、流量が流量閾値未満であるときには、ブラシ4の位置によらず、薬液がブラシ保持部5に付着していないと判定する。
【0144】
以上のように、第3実施形態では、付着検知部6は薬液の流量、ブラシ保持部5のブラシ位置、および、薬液ノズル31のノズル位置に基づいて、ブラシ保持部5への薬液の付着を検知する。このため、付着検知部6はより高い精度でブラシ保持部5への薬液の付着を検知することができる。
【0145】
<第4実施形態>
図15は、第4実施形態にかかる処理ユニット1Cの構成の一例を概略的に示す縦断面図である。処理ユニット1Cはカメラ61の有無という点で処理ユニット1と相違する。カメラ61はブラシ保持部5を撮像して画像データIMを生成し、画像データIMを制御部9に出力する。カメラ61は制御部9からの撮像指示に応答してブラシ保持部5を撮像してもよい。
【0146】
カメラ61は、例えばCCD(Charge Coupled Device)もしくはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子と、レンズなどの光学系とを含む。
図15の例では、カメラ61は、基板保持部2によって保持された基板Wよりも鉛直上方かつ基板Wの径方向外側に設けられている。カメラ61の撮像方向は回転軸線Q1側かつ鉛直下方の斜め方向に設定される。ここでは、カメラ61は、例えば、スクラバ洗浄におけるブラシ4の移動範囲Rの全範囲におけるブラシ保持部5を撮像可能である。つまり、カメラ61は、移動範囲R内の全範囲におけるブラシ保持部5が撮像範囲に含まれるように、設けられる。さらに言い換えれば、カメラ61は、ブラシ4が処理位置に位置する状態でのブラシ保持部5を撮像する位置に設けられている。
【0147】
図16は、カメラ61によって生成された画像データIMの一例を模式的に示す図である。カメラ61が斜め方向に撮像するので、
図16の例では、基板Wが楕円で模式的に示されている。また、ブラシ4およびブラシ保持部5が模式的に示されている。実際には、アーム400、薬液ノズル31および不図示のガード等の種々の構成が画像データIMに含まれ得る。
図16の例では、画像データIMには、薬液ノズル31から吐出された薬液が砂地部分で模式的に示されている。ここでは、薬液がブラシ保持部5に衝突している。言い換えれば、カメラ61は、ブラシ保持部5のうち薬液の衝突位置が画像データIMに含まれる位置に設けられ得る。
【0148】
第4実施形態では、付着検知部6は、カメラ61によって生成された画像データIMに基づいて、ブラシ保持部5への薬液の付着を検知する。
【0149】
図17は、第4実施形態にかかる処理ユニット1Cの電気的な構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図17の例では、付着検知部6は、カメラ61と、付着判定部93と、記憶部97とを含んでいる。
図17の例では、カメラ61からの画像データIMが制御部9に入力される。制御部9の付着判定部93は画像データIMに基づいて、薬液がブラシ保持部5に付着しているか否かを判定する。
【0150】
具体的な一例として、付着判定部93は画像データIMと参照画像データRIとを比較する。参照画像データRIは、例えば、薬液が付着していないブラシ保持部5の少なくとも一部を含む画像である。
図16には、参照画像データRIが模式的に二点鎖線で示されている。
図16の例では、参照画像データRIの縦方向のサイズは画像データIMの縦方向のサイズよりも小さく、例えば、画像データIMの縦方向のサイズの数分の1以下である。参照画像データRIの横方向のサイズは画像データIMの横方向のサイズよりも小さく、例えば、画像データIMの横方向のサイズの数分の1以下である。
図16の例では、参照画像データRIには、ブラシ保持部5の横方向の全体および縦方向の全体が含まれている。つまり、
図16の例では、参照画像データRIの横方向のサイズはブラシ保持部5の横方向のサイズよりもわずかに大きく、参照画像データRIの縦方向のサイズはブラシ保持部5の縦方向のサイズよりもわずかに大きい。
【0151】
このような参照画像データRIは例えば次のようにして事前の登録処理によって取得される。まず、基板保持部2が基板Wを保持した状態で、ブラシ移動駆動部410がブラシ4を例えば中央位置Pb1に移動させる。そして、カメラ61が撮像領域を撮像し、画像データIMを生成する。制御部9は、不図示のユーザインターフェースに対するユーザからの入力に基づいて、画像データIMから、ブラシ保持部5を含む一部の領域を参照画像データRIとして切り出す。そして、制御部9は参照画像データRIを記憶部97に記憶させる。以上のように、事前に登録処理が行われる。
【0152】
制御部9の付着判定部93は、画像データIMと参照画像データRIとのマッチング処理(例えばテンプレートマッチング)により、画像データIMのうち参照画像データRIと最も類似度が高い領域IMaを特定する。もしも、画像データIMにおいて、ブラシ保持部5に薬液が付着していなければ、領域IMaと参照画像データRIとの類似度は比較的に高い。一方、画像データIMにおいて、ブラシ保持部5に薬液が付着していれば、領域IMaと参照画像データRIとの類似度は比較的に低い。逆に言えば、類似度が高いときには、薬液がブラシ保持部5に付着していないと考えることができ、類似度が低いときには、薬液がブラシ保持部5に付着していると考えることができる。
【0153】
そこで、付着判定部93は、領域IMaと参照画像データRIとの類似度が所定の類似度閾値以上であるか否かを判定する。類似度閾値は、薬液の付着の有無を判定するための閾値であり、例えば実験またはシミュレーション等により、予め設定される。付着判定部93は、類似度が類似度閾値以上であるときに、ブラシ保持部5に薬液が付着していないと判定し、類似度が類似度閾値未満であるときに、ブラシ保持部5に薬液が付着していると判定する。
【0154】
図18は、処理ユニット1Cのブラシ洗浄に関する動作の一例を示すフローチャートである。
図18の例では、スクラバ洗浄(ステップS2)が開始される(ステップS21)と、処理ユニット1Cは後述のステップS22からステップS24を実行する。つまり、処理ユニット1CはステップS22からステップS24をスクラバ洗浄(ステップS2)と並行して実行する。まず、カメラ61は撮像領域を撮像して画像データIMを生成する(ステップS22:撮像工程)。そして、カメラ61は画像データIMを制御部9に出力する。
【0155】
次に、付着判定部93は画像データIMに基づいて、ブラシ保持部5に薬液が付着しているか否かを判定する(ステップS23:判定工程)。具体的な一例として、上述のように、付着判定部93は画像データIMと参照画像データRIとのマッチング処理により、類似度の最も高い領域IMaを求める。ブラシ4は移動範囲R内を移動するので、ブラシ4の画像データIM内の位置も移動するものの、付着判定部93はマッチング処理によって適切に領域IMaを求めることができる。類似度は特に限定されないものの、例えば、画素値の差分の二乗和(Sum of Squared Difference)、画素値の差分の絶対値の和(Sum of Absolute Difference)、正規化相互相関および零平均正規化相互相関などの公知の類似度であってもよい。そして、付着判定部93は当該類似度が類似度閾値以上であるか否かを判定する。
【0156】
ブラシ保持部5に薬液が付着していると付着判定部93が判定したときには、制御部9は、ステップS15と同様に、ブラシ保持部5の洗浄が必要であると判定する(ステップS24)。
【0157】
次に、制御部9は、ステップS16と同様に、スクラバ洗浄が終了したか否かを判定する(ステップS25)。スクラバ洗浄が未だ終了していないと制御部9が判定したときには、処理ユニット1Cは再びステップS22を実行する。
【0158】
ステップS23にて、ブラシ保持部5に薬液が付着していないと付着判定部93が判定したときには、制御部9はステップS24を行わずにステップS25を行う。
【0159】
以上のように、スクラバ洗浄が終了するまで、ステップS22からステップS24の一連の処理が繰り返し実行される。このため、スクラバ洗浄において、一度でも付着判定部93がブラシ保持部5への薬液の付着を検知すると、制御部9はブラシ保持部5の洗浄が必要であると判定する。
【0160】
スクラバ洗浄が終了すると、制御部9は、ステップS17と同様に、ブラシ保持部5の洗浄が必要であると判定されたか否かを判定する(ステップS26)。ブラシ保持部5の洗浄が必要であるときには、制御部9はステップS18と同様に第1ブラシ洗浄を行い(ステップS27:第1ブラシ洗浄工程)、ブラシ保持部5の洗浄が不要であるときには、制御部9はステップS19と同様に第2ブラシ洗浄を行う(ステップS28:第2ブラシ洗浄工程)。
【0161】
以上のように、第4実施形態では、付着検知部6はカメラ61の画像データIMに基づいて、ブラシ保持部5への薬液の付着を検知する。このため、付着検知部6はより高い精度でブラシ保持部5への薬液の付着を検知することができる。
【0162】
また、上述の例では、付着検知部6はカメラ61の画像データIMと参照画像データRIとの比較に基づいて、ブラシ保持部5への薬液の付着を検知する。このため、付着検知部6はより簡易な処理で薬液の付着を検知することができる。
【0163】
また、上述の例では、カメラ61は、ブラシ4が基板Wの主面に当接する状態でのブラシ保持部5を撮像する位置に設けられている。このため、付着検知部6はスクラバ洗浄中にブラシ保持部5への薬液の付着を検知することができる。
【0164】
<カメラ61の位置>
<待機ポッド>
図19は、カメラ61の位置の他の第1例を説明するための図である。
図19の例では、カメラ61は、待機ポッド7に位置する状態でのブラシ保持部5を撮像する位置に設けられている。
図19の例では、待機ポッド7の側壁は透明であり、カメラ61は待機ポッド7の側壁と向かい合う位置に設けられている。カメラ61の撮像方向は例えば水平方向に設定され得る。
【0165】
カメラ61は待機ポッド7の側壁を通じてブラシ保持部5を撮像して、画像データIMを生成する。カメラ61は画像データIMを制御部9に出力する。画像データIMには、ブラシ保持部5の側面が含まれる。より具体的な一例として、画像データIMにはブラシ保持部5の横方向の全体および縦方向の全体が含まれていてもよい。薬液の付着判定のために、ブラシ4は待機ポッド7において移動する必要がないので、画像データIMに占めるブラシ保持部5のサイズを大きく設定してもよい。つまり、画像データIMに占めるブラシ保持部5のサイズが大きくなるように、カメラ61の設置位置を決定してもよい。
【0166】
カメラ61は、洗浄液供給部8がブラシ保持部5およびブラシ4に洗浄液を供給していない状態で、ブラシ保持部5を撮像して画像データIMを生成する。制御部9の付着判定部93は画像データIMに基づいて、ブラシ保持部5に薬液が付着しているか否かを判定する。具体的な一例として、付着判定部93は画像データIMと参照画像データRIとを比較してもよい。このときの参照画像データRIは、例えば、ブラシ保持部5に薬液が付着していない状態で待機ポッド7に収納されたブラシ保持部5を含む。この参照画像データRIも事前に取得されて、記憶部97に記憶される。参照画像データRIに占めるブラシ保持部5のサイズは画像データIMに占めるブラシ保持部5のサイズと同じであってもよい。
【0167】
付着判定部93は画像データIMと参照画像データRIとの類似度を算出する。付着判定部93は当該類似度が類似度閾値以上であるときに、ブラシ保持部5に薬液が付着していないと判定し、当該類似度が類似度閾値未満であるときに、ブラシ保持部5に薬液が付着していると判定する。この場合、マッチング処理は不要である。
【0168】
以上のように、付着検知部6は待機ポッド7に位置するブラシ保持部5への薬液の付着を検知する。待機ポッド7ではブラシ保持部5に液体が供給されないので、画像データIMには、流動する液体がほとんど含まれない。このため、付着検知部6はより高い精度で薬液の付着を検知することができる。
【0169】
また、ブラシ駆動部401はブラシ4およびブラシ保持部5を回転軸線Q2のまわりで少なくとも1回転させてもよい。カメラ61はブラシ4およびブラシ保持部5を回転させた状態で、複数のタイミングでブラシ保持部5を順次に撮像して、複数の画像データIMを生成してもよい。つまり、カメラ61は、複数の回転位置の各々に位置するブラシ保持部5を撮像してもよい。これにより、複数の画像データIMの各々には、ブラシ保持部5の側面のうち互いに異なる部分が含まれる。カメラ61は、複数の画像データIMの全体にブラシ保持部5の側面の全周が含まれるような時間間隔で、ブラシ保持部5を撮像するとよい。
【0170】
付着判定部93は複数の画像データIMの各々と参照画像データRIとを比較する。付着判定部93は、いずれか一つの画像データIMと参照画像データRIとの類似度が所定の類似度閾値未満であるときに、ブラシ保持部5に薬液が付着していると判定する。
【0171】
これによれば、付着検知部6はブラシ保持部5の全周面を確認できるので、より高い精度で薬液の付着を検知することができる。具体的には、ブラシ保持部5の側面のうち一部のみに薬液が付着していた場合であっても、付着検知部6は適切に薬液の付着を検知することができる。
【0172】
<移動中>
図20は、カメラ61の位置の他の第2例を説明するための図である。
図20の例では、カメラ61は、ブラシ4が処理位置と待機ポッド7との間に位置する状態でのブラシ保持部5を撮像する位置に設けられている。言い換えれば、カメラ61は、基板保持部2によって保持された基板W上の位置と、待機ポッド7との間のブラシ4の移動経路の少なくとも一部におけるブラシ保持部5を撮像可能な位置に設けられている。カメラ61の撮像方向は例えば水平方向に設定され得る。
【0173】
カメラ61は移動経路に位置するブラシ保持部5を撮像する。例えばカメラ61はブラシ4が待機ポッド7へ向かって水平に移動している最中に、ブラシ保持部5を撮像して画像データIMを生成してもよい。カメラ61は画像データIMを制御部9に出力する。画像データIMには、移動中のブラシ保持部5の側面が含まれており、例えばブラシ保持部5の横方向の全体および縦方向の全体が含まれていてもよい。
【0174】
制御部9の付着判定部93は画像データIMに基づいて、ブラシ保持部5に薬液が付着しているか否かを判定する。具体的な一例として、付着判定部93は画像データIMと参照画像データRIとを比較してもよい。このときの参照画像データRIは、例えば、ブラシ保持部5に薬液が付着していない状態での移動中のブラシ保持部5を含む。この参照画像データRIも事前に取得されて、記憶部97に記憶される。そして、付着判定部93は上述のように、画像データIMと参照画像データRIとのマッチング処理を行い、最も類似度の高い領域を特定する。付着判定部93は当該類似度が類似度閾値以上であるときに、ブラシ保持部5に薬液が付着していないと判定し、当該類似度が類似度閾値未満であるときに、ブラシ保持部5に薬液が付着していると判定する。
【0175】
以上のように、付着検知部6は待機ポッド7と処理位置との間のブラシ4の移動中にブラシ保持部5への薬液の付着を検知することができる。ブラシ4の移動中において液体が供給されないので、画像データIMには、流動する液体がほとんど含まれない。このため、付着検知部6はより高い精度で薬液の付着を検知することができる。
【0176】
ブラシ駆動部401はブラシ4の移動中にブラシ4を回転軸線Q2のまわりで少なくとも1回転させてもよく、カメラ61は複数の回転位置の各々でブラシ保持部5を撮像して、複数の画像データIMを生成してもよい。これにより、複数の画像データIMの各々には、ブラシ保持部5の側面のうち互いに異なる部分が含まれる。カメラ61は、複数の画像データIMの全体にブラシ保持部5の側面の全周が含まれるような時間間隔で、ブラシ保持部5を撮像するとよい。
【0177】
そして、付着判定部93は複数の画像データIMの各々と参照画像データRIとを比較する。付着判定部93は、いずれか一つの画像データIMと参照画像データRIとのマッチング処理による最も高い類似度が類似度閾値未満であるときに、ブラシ保持部5に薬液が付着していると判定する。これによれば、付着検知部6はブラシ保持部5の全周面を確認できるので、より高い精度で薬液の付着を検知することができる。
【0178】
<第5実施形態>
図21は、第5実施形態にかかる処理ユニット1Dの構成の一例を概略的に示す図である。処理ユニット1Dにおいては、2つの待機ポッド7が設けられている。以下では、2つの待機ポッド7をそれぞれ待機ポッド7Aおよび待機ポッド7Bと呼ぶ。平面視において、待機ポッド7Aは基板保持部2に対して待機ポッド7Bとは反対側に設けられる。言い換えれば、基板保持部2は平面視において待機ポッド7Aと待機ポッド7Bとの間に設けられている。
【0179】
また、処理ユニット1Dには、2つのブラシ4と、2つのブラシ保持部5と、2つのアーム400と、2つのブラシ移動駆動部410とが設けられている。以下では、2つのブラシ4をそれぞれブラシ4Aおよびブラシ4Bと呼び、2つのブラシ保持部5をそれぞれブラシ保持部5Aおよびブラシ保持部5Bと呼び、2つのアーム400をそれぞれアーム400Aおよびアーム400Bと呼び、2つのブラシ移動駆動部410をそれぞれブラシ移動駆動部410Aおよびブラシ移動駆動部410Bと呼ぶ。
【0180】
ブラシ保持部5Aはブラシ4Aを保持し、ブラシ保持部5Bはブラシ4Bを保持する。アーム400Aはシャフトを介してブラシ保持部5Aに接続され、アーム400Bは不図示のシャフトを介してブラシ保持部5Bに接続される。アーム400Aの内部には、ブラシ4Aを駆動するブラシ駆動部401(不図示)が設けられ、アーム400Bの内部には、ブラシ4Bを駆動するブラシ駆動部401(不図示)が設けられる。
【0181】
ブラシ移動駆動部410Aはブラシ4A、ブラシ保持部5Aおよびアーム400Aを一体に移動させ、ブラシ移動駆動部410Bはブラシ4B、ブラシ保持部5Bおよびアーム400Bを一体に移動させる。ブラシ移動駆動部410Aはブラシ4Aを待機ポッド7Aと基板Wの主面上の位置との間で移動させ、ブラシ移動駆動部410Bはブラシ4Bを待機ポッド7Bと基板Wの主面上の位置との間で移動させる。また、ブラシ移動駆動部410Aはブラシ4Aが基板Wの主面に当接した状態で、ブラシ4Aを基板Wの主面に沿って移動させ、ブラシ移動駆動部410Bはブラシ4Bが基板Wの主面に当接した状態で、ブラシ4Bを基板Wの主面に沿って移動させる。
【0182】
処理ユニット1Dには、2つの洗浄液供給部8が設けられている。以下では、2つの洗浄液供給部8をそれぞれ洗浄液供給部8Aおよび洗浄液供給部8Bと呼ぶ。洗浄液供給部8Aは待機ポッド7Aに洗浄液を供給し、洗浄液供給部8Bは待機ポッド7Bに洗浄液を供給する。
【0183】
このような処理ユニット1Dは、ブラシ4Aを用いて基板Wの主面を洗浄することができ、また、ブラシ4Bを用いて基板Wの主面を洗浄することができる。
【0184】
付着検知部6はブラシ保持部5Aへの薬液の付着を検知することができる。例えば付着検知部6は第1実施形態と同様に、薬液の流量に基づいて薬液の付着を検知してもよく、薬液の流量およびブラシ4Aのブラシ位置に基づいて薬液の付着を検知してもよい。あるいは、付着検知部6は第3実施形態と同様に、薬液の流量、ブラシ4Aのブラシ位置および薬液ノズル31のノズル位置に基づいて薬液の付着を検知してもよい。あるいは、付着検知部6は第4実施形態と同様に、カメラ61の画像データIMに基づいて薬液の付着を検知してもよい。付着検知部6がブラシ保持部5Aへの薬液の付着を検知したときには、制御部9はスクラバ洗浄の後に、待機ポッド7Aにおいて第1ブラシ洗浄を行う。これにより、ブラシ保持部5Aおよびブラシ4Aが洗浄される。また、付着検知部6がブラシ保持部5Aへの薬液の付着を検知しなかったときには、制御部9はスクラバ洗浄の後に、待機ポッド7Aにおいて第2ブラシ洗浄を行う。これにより、ブラシ4Aが洗浄される。
【0185】
付着検知部6はブラシ保持部5Bへの薬液の付着を検知することもできる。付着検知部6によるブラシ保持部5Bへの薬液の付着の検知方法は、ブラシ保持部5Aへの薬液の付着の検知方法と同様である。付着検知部6がブラシ保持部5Bへの薬液の付着を検知したときには、制御部9はスクラバ洗浄の後に、待機ポッド7Bにおいて第1ブラシ洗浄を行う。これにより、ブラシ保持部5Bおよびブラシ4Bが洗浄される。また、付着検知部6がブラシ保持部5Bへの薬液の付着を検知しなかったときには、制御部9はスクラバ洗浄の後に、待機ポッド7Bにおいて第2ブラシ洗浄を行う。これにより、ブラシ4Bが洗浄される。
【0186】
以上のように、基板処理装置および基板処理方法は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない多数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0187】
2 基板保持部
31 薬液ノズル
35a 流量計
4,4A,4B ブラシ
401 ブラシ駆動部
410 ブラシ移動駆動部
5,5A,5B ブラシ保持部
6 付着検知部
61 カメラ
7 待機ポッド
8,8A,8B 洗浄液供給部
81a 第1洗浄ノズル
81b 第2洗浄ノズル
8a,8b 吐出口
9 制御部
92 ブラシ位置取得部(ブラシ制御部)
96 ノズル位置取得部(ノズル変位制御部)
97 記憶部
IM 画像データ
RI 参照画像データ
T ブラシ洗浄時間
T1 第1時間
T2 第2時間
VL1,VL2 直線
W 基板