(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006756
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】天板付き家具
(51)【国際特許分類】
A47B 83/02 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A47B83/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107740
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 聡
(72)【発明者】
【氏名】明石 隆一
(72)【発明者】
【氏名】長町 圭祐
【テーマコード(参考)】
3B260
【Fターム(参考)】
3B260AB01
3B260AB06
3B260AC02
(57)【要約】
【課題】機能を低下させることなしに家具全体のシンプル化を促進するのが難しいという課題を解消する。
【解決手段】家具本体1の天板11の下に反使用端側に開放された収納空間16を設けるとともに、収納空間16の開放端に蓋体16aを設けてなり、蓋体16aが、収納空間16を塞ぐ閉止位置から開放する開放位置までの間で開閉動作し得るものにし、閉止位置にある蓋体16aが、座席27の背もたれになり得る位置に配されるようにする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板を有する家具本体と、この家具本体の反使用端側に配され前記天板の高さ位置よりも低い位置に座面を有する座席とを備えた天板付き家具であって、
前記家具本体の天板下に少なくとも反使用端側に開放された収納空間を設けるとともに、前記収納空間の開放端に蓋体を設けてなり、前記蓋体が、前記収納空間を塞ぐ閉止位置から開放する開放位置までの間で開閉動作し得るものであり、前記閉止位置にある蓋体が、前記座席の背もたれになり得る位置に配されるものである天板付き家具。
【請求項2】
前記蓋体が、開放位置において座席の上方に迫り出すようにしたものである請求項1記載の天板付き家具。
【請求項3】
天板を有する家具本体と、前記天板よりも低位置に床板を有し前記家具本体の天板下空間に対して前後に出没するスライド構体とを備え、このスライド構体の前記床板と前記天板との間に前記収納空間が形成された天板付き家具であって、
前記座席が、天板下空間から外に突出した前記スライド構体の床板上に設けられたものである請求項1記載の天板付き家具。
【請求項4】
天板を有する家具本体と、前記天板よりも低位置に床板を有し前記家具本体の天板下空間に対して前後に出没可能に配されたスライド構体とを備え、床板の高さが相互に異なる上下対をなすスライド構体をテレスコープ状に配してなる天板付き家具であって、
少なくとも上方のスライド構体が前記家具本体の天板下空間に没入した没入モードと、前記両スライド構体の床板が前記天板下空間の外に突出した展開モードとをとり得るように構成されたものであり、
前記各スライド構体は、面一な床板をそれぞれ有したものであって、少なくとも下方のスライド構体の床板が、前縁側に座席領域を備えるとともに、後縁側に通路領域を備えたものであり、
前記座席は、前記展開モードにおける上方のスライド構体の床板上に設けられたものである請求項3記載の天板付き家具。
【請求項5】
前記収納空間の底には底板が設けられており、この底板の上面は前記座席の座面よりも高い位置に配されている請求項1又は2記載の天板付き家具。
【請求項6】
前記蓋体は、上縁が前記天板に直接又は間接的に蝶着されたものであり、前記座席と干渉することなく水平な開放位置まで回動させ得るように構成されている請求項2記載の天板付き家具。
【請求項7】
前記座席は、前記床板の座席領域上にソファーを載設したものである請求項4記載の天板付き家具。
【請求項8】
前記蓋体が、前記開放位置において前記天板と略面一になるように設定されている請求項2記載の天板付き家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスやロビーの共有スペース等において好適に使用される天板付き家具に関する。
【背景技術】
【0002】
近時のオフィス等においては、デスクやテーブルを使用する使用者と椅子に着座した着座者とがディスプレイ等を共有し、同じ方向を向いて業務を進めることも多くなっている。
【0003】
ところが、従来のオフィス家具の分野では、天板を有するデスクやテーブルと、背もたれ付きの座席を提供する椅子とは相互に独立した別製品として造られており、相互に兼用することができる構成要素が存在しない。そのため、かかる用途に用いられる家具類を総合的に簡素化したいという要望に応えるのが難しい。
【0004】
また、かかる用途等に用いられる家具とし、天板を有する家具本体と、この家具本体の反使用端側に突没可能に設けられた座席とを備えた天板付き家具も知られている(特許文献1参照)が、かかる家具においても、機能低下を招くことなしに構成の簡略化をより促進したいという要望が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、天板を有する家具本体と座席との間で兼用することができる機能要素を設けることによって、前述した課題を解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係る天板付き家具は、天板を有する家具本体と、この家具本体の反使用端側に配され前記天板の高さ位置よりも低い位置に座面を有する座席とを備えた天板付き家具であって、前記家具本体の天板下に少なくとも反使用端側に開放された収納空間を設けるとともに、前記収納空間の開放端に蓋体を設けてなり、前記蓋体が、前記収納空間を塞ぐ閉止位置から前記収納空間を開放する開放位置までの間で開閉動作し得るものであり、前記閉止位置にある蓋体が、前記座席の背もたれになり得る位置に配されるものである。ここで、「背もたれ」とは、座席に着座した者の背中の全部又は一部をサポートし得るものであればどのようものでもよく、例えば、腰付近をサポートし得るようなものも含まれる。
【0008】
請求項2記載の発明に係る天板付き家具は、請求項1記載のものであって、前記蓋体が、開放位置において座席の上方に迫り出すようにしたものである。
【0009】
請求項3記載の発明に係る天板付き家具は、請求項1記載のものであって、天板を有する家具本体と、前記天板よりも低位置に床板を有し前記家具本体の天板下空間に対して前後に出没するスライド構体とを備え、このスライド構体の前記床板と前記天板との間に前記収納空間が形成された天板付き家具であり、前記座席が、天板下空間から外に突出した前記スライド構体の床板上に設けられたものである。
【0010】
請求項4記載の発明に係る天板付き家具は、請求項3記載のものであって、天板を有する家具本体と、前記天板よりも低位置に床板を有し前記家具本体の天板下空間に対して前後に出没可能に配されたスライド構体とを備え、床板の高さが相互に異なる上下対をなすスライド構体をテレスコープ状に配してなるものであり、少なくとも上方のスライド構体が前記家具本体の天板下空間に没入した没入モードと、前記両スライド構体の床板が前記天板下空間の外に突出した展開モードとをとり得るように構成されたものであり、前記各スライド構体は、面一な床板をそれぞれ有したものである。そして、少なくとも下方のスライド構体の床板が、前縁側に座席領域を備えるとともに、後縁側に通路領域を備えており、前記座席は、前記展開モードにおける上方のスライド構体の床板上に設けられたものである。
【0011】
請求項5記載の発明に係る天板付き家具は、請求項1又は2記載のものであって、前記収納空間の底には底板が設けられており、この底板の上面は前記座席の座面よりも高い位置に配されているものである。
【0012】
請求項6記載の天板付き家具は、請求項2記載のものであって、前記蓋体は、上縁が前記天板に蝶着されたものであり、前記座席と干渉することなく水平な開放位置まで回動させ得るように構成されている。
【0013】
請求項7記載の天板付き家具は、請求項4記載のものであって、前記座席は、前記床板の座板領域上にソファーを載設したものである。
【0014】
請求項8記載の天板付き家具は、請求項2記載のものであって、前記蓋体が、前記開放位置において前記天板と略面一になるように設定されているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、家具本体と座席の機能を向上させつつ構成の簡略化を図ることができる天板付き家具を提供することできるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る天板付き家具の没入モード(ソファーモード)を示す全体斜視図。
【
図2】同実施形態に係る天板付き家具のソファーモードを示す右側面図。
【
図3】
図4におけるA-A線に沿う模式的な断面図。
【
図4】
図3におけるB-B線に沿う模式的な断面図。
【
図5】同実施形態に係る天板付き家具のソファーモードを示す平面図。
【
図6】同実施形態に係る天板付き家具のソファーモードを示す底面図。
【
図7】同実施形態に係る天板付き家具の展開モード(スタジアムモード)を示す全体斜視図。
【
図8】同実施形態に係る天板付き家具のスタジアムモードを示す右側面図。
【
図9】
図10におけるC-C線に沿う模式的な断面図。
【
図10】同実施形態に係る天板付き家具のスタジアムモードを示す正面面
【
図11】同実施形態に係る天板付き家具のスタジアムモードを示す平面図。
【
図12】同実施形態に係る天板付き家具のスタジアムモードを示す底面図。
【
図13】同実施形態に係る天板付き家具を分解して側面から模式的に示す分解説明図。
【
図14】従来の天板付き家具R「
図14(a)」と、同実施形態に係る天板付き家具T「
図14(b)」とを比較するための説明図。
【
図15】同実施形態に係る天板付き家具Tの作用を説明するための斜視図。
【
図16】同天板付き家具Tの要部を拡大して示す概略側断面図。
【
図17】同天板付き家具Tの要部を拡大して示す概略側断面図。
【
図21】本発明のさらに他の実施形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を
図1~
図17を参照して説明する。
【0018】
この実施形態の天板付き家具Tは、
図1~
図12に示すように、天板11を有する家具本体1と、前記天板11よりも低位置に床板21、31を有し前記家具本体1の天板下空間S1に対して前後に出没可能に配されたスライド構体(この実施形態では、上方のスライド構体2と、下方のスライド構体3)を備え、これら床板21、31の高さが相互に異なる複数のスライド構体2、3をテレスコープ状に配してなるものである。なお、この明細書において「前後方向」とは、スライド構体2,3が出没する方向を意味しており、「奥行方向」と記載することもある。
【0019】
そして、この天板付き家具Tは、一部のスライド構体2が前記家具本体1の天板下空間S1に没入した没入モード(以下、「ソファーモードP」と称する)と、全てのスライド構体2、3の床板21、31が前記天板下空間S1の外に突出した展開モード(以下、「スタジアムモードQ」と称する)とをとり得るように構成されたものである。この実施形態におけるソファーモードPは、一部のスライド構体である上方のスライド構体2が、前記天板下空間S1に没入しているとともに、下方のスライド構体3が、ソファーを有する座席を外部に露出させた状態で天板下空間S1に没入している。この実施形態における没入モード(ソファーモードP)では、両スライド構体2,3が、いずれも最後退位置に停止している。
【0020】
前記各スライド構体2、3は、面一な床板21、31をそれぞれ有したものであって、少なくとも最下段のスライド構体3の床板31が、前縁側に座席領域31xを備えるとともに、後縁側に通路領域31yを備えたものである。
【0021】
すなわち、この天板付き家具Tは、
図1~
図6に示すようなソファーモードPと、
図7~
図12に示すようなスタジアムモード(Q)とを選択的に採り得るように構成されている。
【0022】
以下、具体的に説明するが、その説明においてはスライド構体2、3が突没する側を「正面」とし、スライド構体2、3が突出する動作を「前進」、没入する動作を「後退」と認識して記述を行う。この実施形態の場合、家具本体1の下に、上方のスライド構体2と下方のスライド構体3とがテレスコープ状に配されている。
【0023】
ここで、
図1~
図6は、ソファーモードPを示しており、
図1は、ソファーモードPにおける天板付き家具Tの斜視図、
図2は、側面図、
図3は、側断面図である。この
図3は、
図4におけるA-A線に沿った断面を示す模式図であり、後述する脚ベース12、22、32、支柱13、23、33、天板支持フレーム14、24、34等は通常のものであるため図示を省略している。
図4は、同天板付き家具Tの正断面図である。この
図4は、
図3におけるB-B線に沿った断面を示す模式図であり、同じく脚ベース12、22、32、支柱13、23、33、天板支持フレーム14、24、34等は省略してある。
図5は、同天板付き家具Tの平面図、
図6は、底面図である。
【0024】
図7~
図12は、スタジアムモードQを示しており、
図7は、スタジアムモードQにおける天板付き家具Tの斜視図、
図8は、側面図、
図9は、側断面図である。この
図9は、
図10におけるC-C線に沿った断面を示す模式図であり、脚ベース22、32、支柱23、33、天板支持フレーム24、34等は省略してある。なお、
図9には、後述する収納空間16との関係を明示するために、家具本体1の天板11を支える脚ベース12と、支柱13、天板支持フレーム14及び補助フレーム19が想像線で示されている。
図10は、同天板付き家具Tの正面図、
図11は、平面図、
図12は、底面図である。
【0025】
図13は、天板付き家具Tを分解して示す模式的な側断面図である。この
図13では、後述する家具本体1の脚ベース12、支柱13、天板支持フレーム14、及び補助フレーム19は、太線で模式的に示してある。同様に、
図13では、上方のスライド構体2の脚ベース22、支柱23、床板支持フレーム24、及び補助フレーム28は、太線で模式的に示してある。さらに、この
図13では、下方のスライド構体3の脚ベース32、支柱33、床板支持フレーム34、及び補助フレーム39も、太線で模式的に示してある。
【0026】
図14は、本実施形態に係る天板付き家具の作用効果を説明するための説明図であり、側断面図として模式的に示してある。
図14(a)は、従来の天板付き家具Rを示し、
図14(b)は、本実施形態の天板付き家具Tを示している。
【0027】
図15は、後述する収納空間16と、前記収納空間16を開閉する蓋体16aの使用形態を説明するための斜視図であり、座席27に着座した者が開放位置Wにある蓋体16aをサイドテーブル的に使用している様子を示している。
【0028】
図16は、蓋体16aを開放位置Wに停止させた状態を示す要部拡大断面図であり、
図17は、蓋体16aを閉止位置Vに停止させた状態を示す要部拡大断面図である。
【0029】
これらの図面1~17に示された本実施形態の天板付き家具Tは、前述した複数のスライド構体が、下方のスライド構体3と、この下方のスライド構体の床板31よりも高い位置に床板21を有した上方のスライド構体2に相当するものである。そして、下方のスライド構体3の床板31には、座席領域31xと通路領域31yとが前後に隣接配置されており、上方のスライド構体2の床板21には座席領域21xのみが配されている。以下詳述する。
【0030】
家具本体1は、
図6、
図12及び
図13に示すように、平行に配された左右一対の脚ベース12と、これら脚ベース12の基端部(後端部)にそれぞれ立設された左右一対の支柱13と、これら支柱13の上端部から前方に向けて片持ち的に延設された天板支持フレーム14と、これら天板支持フレーム14上に配設された天板11とを具備してなる。脚ベース12は床面F上に載置される盤状のものであり、前後方向に延びている。左右の支柱13は、それぞれ角柱パイプ状のもので、例えば、図示しない下横架材や上横架材等の補強枠材によって相互に剛結されている。天板は、前記天板支持フレーム14や、図示しない補強枠材等にビス等により止着され支持されている。
【0031】
家具本体1は、天板11の下に上方のスライド構体2を収容可能な天板下空間S1を有しており、脚ベース12、支柱13、天板支持フレーム14、及び図示しない補強枠材は、この天板下空間S1を確保し得るように配置されている。そして、この家具本体1には、天板11の左右両側縁から垂下する側板15と、天板11の後縁近傍部から垂下する背板17が設けられている。側板15、背板17は、天板11やこの天板11を支持する補強枠材にねじ等の止着具を介して止着されている。側板15の上端面は、
図1や
図7等に示すように、天板11の上面よりも上方に突出させてあってもよいが、
図3や
図9に示すように同一高さに揃えてあってもよい。
【0032】
また、家具本体1の左、右に配された側板15の前端部には、
図2、6、8、9、10、12、13に示されるように、床面Fに接地するアジャスタ18が配されているとともに、前板16の下端部近傍には、
図1~4、
図7~10、
図12、13に示されるように、スライド構体2の床板21に転接する補助車輪1cが配されている。補助車輪1cは、
図13に示すように、天板11或いは補強枠材から垂下させた補助フレーム19の下端に軸着されたもので、床板21の左右両端部と、左右方向中央部にそれぞれ転接し得る位置に設けられている。
【0033】
天板11の後縁は、使用端11aとなっており、背板17を天板11の使用端11aよりも前方に偏移させて配することによって、その天板11の下に下肢空間S2が形成されている。すなわち、天板11の使用端11a側はオーバーハングしており、その下に使用者が脚を侵入させることができる下肢空間S2が常時形成されている。天板11の上面は、起立姿勢やハイタイプの椅子に着座した姿勢で使用することを想定して1050mmに定めている。
【0034】
上方のスライド構体2は、
図2、3、6、
図8~13に示すように、面一な床板21を備えたもので、その床板21上にソファー271を有する座席27が形成されている。具体的には、このスライド構体2は、
図13に示すように、平行に配された左右一対の脚ベース22と、これら脚ベース22の基端部(後端部)にそれぞれ立設された左右一対の支柱23と、これら支柱23の上端位置から前方に向けて片持ち的に延設された床板支持フレーム24と、これら両床板支持フレーム24上に支持された床板21とを具備してなる。脚ベース22は前後方向に転動する走行車輪2aを備えている。左右の支柱23は、それぞれ角柱パイプ状のもので、例えば図示しない下横架材や上横架材等の補強枠材によって相互に剛結されている。床板21は、床板支持フレーム24や、図示しない補強枠材にビス等により止着され支持されている。
【0035】
上方のスライド構体2は、床板21の下に下方のスライド構体3を収容可能な空間を有しており、脚ベース22、支柱23、床板支持フレーム24、及び図示しない補強枠材は、この空間を確保し得るように配置されている。そして、この上方のスライド構体2には、床板21の左右両側縁から垂下する側板25と、床板21の前縁から垂下する前板26とが設けられている。側板25、前板26は、床板21やこの床板21を支持する補強枠材等にねじ等の止着具を介して止着されている。
【0036】
また、上方のスライド構体2の脚ベース22には、床面F上を転動する走行車輪2aが軸着されているとともに、前板26の下端部近傍に、
図1~4、
図7~10、
図12、13に示されるように、下方のスライド構体3の床板31に転接する補助車輪2cが配されている。補助車輪2cは、床板21或いは補強枠材から垂下させた補助フレーム28の下端に軸着されたもので、床板31の左右両端部と左右方向中央部にそれぞれ転接し得る位置に設けられている。
【0037】
上方のスライド構体2上には、
図7~11に示すように、座席27が設けられている。すなわち、スライド構体2の面一な床板21は、座席領域21xのみが形成された奥行寸法の小さなものであり、この座席領域21x上にソファー271を載設することによって座席27が形成されている。この実施形態における座席領域21の奥行寸法は、例えば、450mm程度に設定している。なお、この実施形態では、前記ソファー271の前端部271aを床板21の前縁21aよりも前方に若干寸法(50mm程度)だけ突出させている。そのため、ソファーモードPにした場合に、
図2や
図3に示すように、そのソファー271の前端部271aが家具本体1の前端よりも前方にはみ出すことなる。その結果、前記ソファー271の前端部271aが、下方のスライド構体3の座席37に着座する者の腰付近をサポートする腰当てとして機能し得ることになる。
【0038】
下方のスライド構体3は、
図1~5、
図7~11及び
図13、14に示すように、面一な床板31を備えたもので、その床板21上にソファー371を有する座席37と、通路38とが形成されている。具体的には、このスライド構体3は、
図6、12、13に示すように、平行に配された左右一対の脚ベース32と、これら脚ベース32の基端部(後端部)にそれぞれ立設された左右一対の支柱33と、これら支柱33の上端位置から前方に向けて延設された床板支持フレーム34と、これら両床板支持フレーム34上に支持された床板31とを具備してなる。脚ベース32は前後方向に転動する走行車輪3aを備えている。左右の支柱33は、それぞれ角柱パイプ状のもので、例えば図示しない下横架材や上横架材等の補強枠材によって相互に剛結されている。床板21は、床板支持フレーム24や、図示しない補強枠材にビス等を用いて止着され支持されている。
【0039】
下方のスライド構体3には、床板31の左右両側縁から垂下する側板35と、床板31の前縁から垂下する前板36とが設けられている。側板35、前板36、は、床板31やこの床板31を支持する補強枠材等にねじ等の止着具を介して止着されている。
【0040】
また、下方のスライド構体3の脚ベース32には、
図6,12に示すように、床面F上を転動する複数の走行車輪3aがそれぞれ軸着されているとともに、脚ベース32以外の部位にも、床面Fに転接する複数の走行車輪3bが配されている。これらの走行車輪3bも床板31の上載荷重を床面Fに受けさせるためのものであり、床板31の左右両端部や左右方向中央部に配されている。
【0041】
下方のスライド構体3の奥行き寸法は、上方のスライド構体2の奥行き寸法より大きく設定されている。そして、下方のスライド構体3も、段差を有しない面一な床板31を有したものであり、前縁側に座席領域31xを備えるとともに、後縁側に通路領域31yを備えたものである。そして、座席領域31xにソファー371を載設することによって座席37を構成するとともに、通路領域31yを通路38として使用し得るようにしている。この実施形態の場合には、座席領域31xの奥行寸法を450mm程度に設定するとともに、通路領域31yの奥行寸法(通路幅寸法)を550mm程度に設定している。この通路幅寸法は、上方のスライド構体2の座席27に着座している着座者Pが足を置くスペースと、その着座者P以外の他者がその前を通過するのに必要なスペースの両方を確保することができる寸法として設定されたものであり、従来のものとは大きく異ならせてある。
【0042】
以上のようにしてなる上方のスライド構体2と、下方のスライド構体3とは、
図7~9に示すように、テレスコープ状に組み合わされて家具本体1の天板下空間S1に突没可能に配されている。そして、家具本体1と上方のスライド構体2との間には、家具本体1に対するスライド構体2の最後退位置と最前進位置を規定する図示しないストッパが設けられている。また、上方のスライド構体2と下方のスライド構体3との間には、上方のスライド構体2に対する下方のスライド構体3の最後退位置と最前進位置とを規定する図示しないストッパ機構が設けられている。
【0043】
そのため、スライド構体2が家具本体1に対して最後退位置にあり、スライド構体3がスライド構体2に対して最後退位置にあるソファーモードP(
図1~
図6参照)においては、上方のスライド構体2が家具本体1の天板下空間S1に没入しているとともに、下方のスライド構体3が座席37を残して天板下空間S1に没入している。このソファーモードPから、下方のスライド構体3を前方に牽引して前方に引き出してゆくと、このスライド構体3が上方のスライド構体2に対する最前進位置に達した段階から当該スライド構体2も追従して前進を始める。そして、上方のスライド構体2が最前進位置に達した段階でこれら両スライド構体2、3の前進が家具本体1により係止されスタジアムモードQ(
図7~
図12参照)となる。
【0044】
そして、このスタジアムモードQから下方のスライド構体3を後方に押し込んでゆくと、下方のスライド構体3がスライド構体2に対する最後退位置に達した段階から当該スライド構体2が追従して後退を始め、このスライド構体2が家具本体1に対する最後退位置に達した段階ですべてのスライド構体2,3の後退が係止される。すなわち、この天板付き家具Tは、元のソファーモードPに復帰することになる。なお、下方のスライド構体3の前板36に設けられた切欠部36aは、図示しない牽引具を装着するためのものである。
【0045】
このような基本的構成を備えた天板付き家具Tによれば、その基本形態を大きく変化させることができ、その変化によって、従来の専用家具では応えられない用途変更に対応することができることができる。そのため、複数種類の専用家具を用意して適宜取替使用するのと同等の使用感を一種類の天板付き家具Tにより確保することができる。しかも、このようなものであれば、スライド構体2、3を家具本体1に対してスライド移動させるだけで、その基本形態を変更することができるため、専用家具を取り替える場合のような手間や時間は要しない。
【0046】
しかも、本天板付き家具Tは、各スライド構体2、3に、複数の段床を設ける代わりに、それぞれ面一な床板21、31を設け、その面一な床板21、31上に座席領域21x、31xや通路領域31yを形成しているので、段差のある座席用の段床と通路用の段床をそれぞれ設けるものに比べてスライド構体2、3の構造を簡素化することができる。すなわち、各スライド構体に段差のある複数の段床を設ける場合には、高さの異なる段床支持フレームが必要になるが、面一な床板21、31を有する本願のスライド構体2、3では、直線的な床板支持フレーム24、34を設ければよく、構造がシンプルなものとなる。
【0047】
また、
図14(b)に示す本願の天板付き家具Tでは、最下段のスライド構体3の面一な床板31に、座席領域31xと通路領域31yとを設けているため、通路38の高さ寸法kを低くすることができる。すなわち、
図14(a)に示すような座席用の段床と通路用の段床とを交互に階段状に設けた従来の天板付き家具Rでは、最下段の通路138でも比較的大きな高さ寸法jとなるため、天板付き家具Rの側部に落下防止用の手摺りや補助家具等を配置することが望ましくなるが、本願の天板付き家具Tでは、このような配慮も必須ではなくなる。したがって、このような天板付き家具Tであれば、側面から通路38上に登り降りすることが可能となり、安全性や使い勝手が格段に向上する。
【0048】
さらに、従来の家具Rでは、通路用の段床の奥行寸法が比較的小さく設定されているため、前後の着座者u1、u2の離間距離mが比較的小さくなってしまうが、本願の天板付き家具Tでは、通路38の奥行寸法を例えば550mm程度の値に設定している。そのため、この通路38は、着座者q2が足を置くスペースと、着座者q2以外の他者が通行するスペースの両方を確保することができる。この天板付き家具Tの通路38の奥行寸法は、下方のスライド構体3の上方のスライド構体2に対する相対的な前後移動寸法を変えることによって、容易に変更することができる。ちなみに、
図14の実施形態では、例えば、従来の天板付き家具Rの着座者u1、u2間の離間距離mが219mm程度になる一方、本願天板付き家具Tおける着座者q1、q2間の離間距離nが429mm程度になるように設定されている。
【0049】
また、この実施形態の天板付き家具Tによれば、下方のスライド構体3の通路38が、座席37の座面よりも低くなるため、上方のスライド構体2の座席27の位置も、従来の家具Rにおける座席127の位置よりも低く設定することができる。そのため、上方のスライド構体2と家具本体1の天板11との間に形成される余裕空間S3を広く確保することが可能になる。したがって、家具本体1の天板11の高さ寸法hの設定範囲が広がることになり、設計の自由度が高くなるという効果が得られる。そして、天板11の高さ寸法hが従来に近い値である場合等には、この余裕空間S3を、次のように収納空間16として利用することが可能となる。
【0050】
本発明は、以上説明した天板付き家具Tにおいて、前記余裕空間S3を利用して前面側から利用可能な複数の収納空間16を形成したものである。
【0051】
詳述すれば、この天板付き家具Tは、天板11を有する家具本体1と、この家具本体1の反使用端側に配され天板11の高さ位置よりも低い位置に座面27aを有する座席27とを備えたものであって、家具本体1の天板11の下に少なくとも反使用端11b側に開放された収納空間16を設けるとともに、収納空間16の開放端に蓋体16aを設けてなり、蓋体16aが、収納空間16を塞ぐ閉止位置V(
図17参照)から収納空間16を開放する開放位置W(
図16参照)までの間で開閉動作し得るものである。そして、閉止位置Vにある蓋体16aが、座席27の背もたれになり得る位置に配されるものである。
【0052】
すなわち、この状態は、以上説明した実施形態の天板付き家具Tを
図7~
図17に示すスタジアムモードQにセッティングした状態で実現されるものである。スタジアムモードQにおいては、家具本体1の反使用端側にスライド構体2の座席27が配されることになり、この座席27は天板11よりも低い位置に座面27aを備えたものとなる。そして、家具本体1の天板11とスライド構体2の床板21の間には、複数の収納空間16が形成されており、それら各収納空間16は前方に開放されている。各収納空間16の開放端には蓋体16aが設けてあり、それら蓋体16aが、収納空間16を塞ぐ閉止位置Vから開放する開放位置Wまでの間で開閉動作し得るものであり、閉止位置Vにある蓋体16aが、座席27の背もたれになり得る位置に配されるものである。
【0053】
より具体的に説明すれば、家具本体1の天板11の下方には、左右の側板15間に架設した状態で底板16bが水平に配されており、この底板16bの上面に複数の仕切板16cを立設することによって複数の収納空間16が形成されている。各収納空間16の前端は外方に開放されており、後端は奥板16dにより塞がれている。天板11と仕切板16cとの間には、天板11を支持する天板支持フレーム14や、天板支持フレーム14に剛結されて天板11の下面を支持する図示しない補強枠材等を挿通させるためのスペースzが形成されている。なお、仕切板16cの上端や奥板16dの上端は天板11の下面に当接又は近接させてもよい。その場合には、これら仕切板16cや奥板16dに天板11の下面を支持する補助枠材等との干渉を避けるための加工や寸法設定を行った上で、これら仕切板16cや奥板16dを天板11に直接又は間接的に止着すればよい。
【0054】
また、
図10に示すように、家具本体1の前面内側には、左右の補助フレーム19(s)や、中央の補助フレーム19(c)が天板11の下面側から垂設されているため、底板16bや仕切板16cには、それら補助フレーム19との干渉を避けるための加工が施されている。なお、底板16aと、仕切板16cと、奥板16dとからなる箱状体を剛性のあるものにし、その箱状体を天板11、天板支持フレーム14或いは補助枠体等に剛結している場合には、底板16bから補助フレーム19(s)、19(c)を垂下させてもよい。
【0055】
これら各収納空間16の開放端にそれぞれ設けられる蓋体16aは、例えば、
図16や
図17に示すように、蝶番16eを介して天板11の反使用端11bに蝶持されている。蓋体16aと仕切板16cとの間には、ガススプリング16fが設けられている。ガススプリング16fは、
図16及び
図17に示すように、一端を上ブラケット16gを介して蓋体16aの上端近傍部に枢着するとともに、他端を下ブラケット16hを介して仕切板16cの下端近傍部に枢着した通常のものであり、蓋体16aを閉止位置V及び開放位置Wに選択的に安定保持させ得るようになっている。ガススプリング16fは、
図16に示す開放位置Wでロック機能を発揮し得るものが好ましい。
【0056】
図7~9及び
図17に示すように、蓋体16aを閉止位置Vに静止させた状態では、蓋体16aが、座席27の背もたれになり得る位置に配されることになる。この実施形態では、蓋体16が家具本体1の前面から板厚分だけ前方に突出する板材により構成されたものであるが、その形態や材質は種々変形が可能である。
【0057】
一方、
図15及び
図16に示すように、蓋体16aを開放位置Wに静止させた状態では、蓋体16aが、スライド構体2の座席27の上方にサイドテーブル的に迫り出すようになっている。そのため、座席27に着座している者は、水平に迫り出した蓋体16aの上にパーソナルコンピュータPCを載置するなどして開成した蓋体16aをサイドテーブルとして利用することもできる。
【0058】
このような構成のものであれば、デッドスペースとして放置される可能性が高い空間S3を利用して収納空間16を形成しているので、家具本体1の機能を無理なく向上させることができる。しかも、その収納空間16は、座席27が配置されている家具本体1の前面側から利用することができるので、座席27への着座者にとって利用し易い便利なものとなり、家具本体1の機能がより充実したものとなる。
【0059】
しかも、収納空間16を開閉する蓋体16aが、座席27の背もたれとして利用することもできるため、座席27に格別な背もたれを設置する工夫が不要となり、部品点数の増加を抑制することができて天板付き家具T全体のシンプル化を図ることが可能となる。
【0060】
その上、開いた蓋体16aをサイドテーブルとしても利用することができるため、格別なサイドテーブルを用意する必要もなく、この点からも家具T全体を無理なくシンプルなものにすることができる。そして、この実施形態では、
図16に示すように、蓋体16aが、開放位置Wにおいて前記天板11と略面一になるように設定されているため、開いた蓋体16a(サイドテーブル)と天板11とがシームレスに連続することになる。そのため、この天板付き家具Tが、より広い面積のテーブルとして使用可能となる。
【0061】
また、前述した実施形態の場合には、対をなすスライド構体2、3を家具本体1に対して突没動作させることによって、前述したソファーモードPやスタジアムモードQを選択的に採り得る天板付き家具Tを実現することができ、スタジアムモードQにおいては、前述したように家具本体1の収納空間16や蓋体16aを特に有効に利用することが可能となる。
【0062】
しかも、この実施形態の天板付き家具Tでは、各スライド構体2、3を、段差のない面一な床板21、31をそれぞれ有したものにし、下方のスライド構3体の床板が前縁側に座席領域を備えるとともに後縁側に通路領域を備えたものにしているため、上方のスライド構体2の背丈を低くすることが容易になる。そのため、上方のスライド構体2の床板21と家具本体1の天板11との間に収納空間16を形成するための余裕空間S3を確保し易いという効果が得られる。
【0063】
なお、以上説明した実施形態では、天板を有する家具本体に座席を有するスライド構体をスライド可能に組み合わせた天板付き家具について説明したが、請求項1に係る発明には、天板を有する家具本体に、座席を一体的に設けたものも含まれる。すなわち、座席は、家具本体に固定したものでも、移動可能なものでもよい。また、天板を有する家具本体と座席を有する物体(スライド構体等)を相対移動可能に設ける場合であっても、その形態は図示例のものに限定されるものではなく、種々変形が可能である。
【0064】
詳述すれば、例えば、天板を有する家具本体と、天板よりも低位置に床板を有し家具本体の天板下空間に対して前後に出没するスライド構体とを備え、このスライド構体の床板と天板との間に収納空間が形成された天板付き家具であって、座席が、天板下空間から外に突出したスライド構体の床板上に設けられたものが請求項1記載の発明の好適な実施形態として挙げられる。
【0065】
この場合、スライド構体は2台に限らず1台のみであってもよいが、スライド構体が2台の場合には、各スライド構体は、面一な1枚の床板をそれぞれ有したものであって、少なくとも下方のスライド構体の床板が、前縁側に座席領域を備えるとともに、後縁側に通路領域を備えたものであり、座席を、展開モードにおける上方のスライド構体の床板上に設けられたものにするのが望ましい。スライド構体の背丈を低くして収納空間を形成し易いからである。
【0066】
また、蓋体は、上下方向に回動してサイドテーブルになり得るものに限らず、左右方向に回動する片開き式のものや観音開き式のものなどであってもよい。そして、蓋体の取り付け構造についても、図示実施例のものに限定されるものではなく、例えば、
図18~
図20に示すようなものであってもよい。
【0067】
図18~
図20に示す天板付き家具Tは、
図1~
図17に示す天板付き家具Tと基本的には同じ構成を備えたものであり、同一又は相当する部分には同一の符号を付して説明を省略する。この天板付き家具Tは、家具本体1の天板11とスライド構体2の床板21と間に、底板16bと、複数枚の仕切板16cと、奥板16dを備えた箱状体を配設しており、この箱状体の内部に仕切板16cにより区画された複数の収納空間16が形成されている。各収納空間16は、それぞれ前方に開放されており、それら各開放端に蓋体16aが開閉可能に配されている。
【0068】
各蓋体16aは、対応する収納空間16の開放端を閉じる閉止位置Vから開放する開放位置Wとの間で開閉可能なもので、天板11の反使用端11bの近傍に設けられた横架材16iに蝶番16eを介して蝶着されている。
図18は、全ての蓋体16aを開放位置Wに保持した状態を示す正面図である。この図面18に示すように、各蓋体16aは、左右対をなす蝶番16eを介して横架材16iに蝶着されている。蝶番16eは、横架材16iの垂下部分にねじ等により止着された基部16e1と、この基部16e1に軸着された回動部16e2とを備えたもので、その回動部16e2が蓋体16aの内面にねじ等を用いて止着されている。この実施形態では、開放位置Wに保持された蓋体16aの外面は、天板11の上面より一段下がった位置で水平となるようにしてある。また、閉止位置Vに保持された蓋体16aの外面は、家具本体1の前面と面一で鉛直となるように設定されている。
【0069】
各蓋体16aと、横架材16iとの間には、蓋体16aを閉止位置V及び開放位置Wでそれぞれ安定保持するためのガススプリング16fが設けてある。このガススプリング16fは、伸長方向に弾性反発力を発揮し得る通常のものであり、開放位置Wでロック機能を発揮し得るように構成されている。16jは手動でロックを外すことができるロック金具である。この実施形態の場合には、収納空間16を形成する仕切板16c及び奥板16dがそれぞれ天板11の下面に当接させ一体化してあるため、底板16bの下面から補助車輪1cを軸支する補助フレーム19を垂下させることもできる。
【0070】
さらに、以上説明した各実施形態の天板付き家具Tでは、各収納空間に対して1枚の蓋体をそれぞれ設けた場合について説明したが、本発明は必ずしもこのようなものに限定されるものではない。例えば、大きな1つの収納空間に対して複数の蓋体を設けるなど、種々変形が可能である。このような変形を加える場合には、前述した
図15~17に示す態様のものよりも、
図18~20に示す態様のものの方が優れている。すなわち、
図15~17に示すガススプリング16f(ダンパーとして機能するステー)は、仕切板16cに固定するタイプであるため、蓋体16aの幅毎の間隔で仕切板16cが必要になる。それに対して、
図18~20に示すガススプリング16f(ダンパーとして機能するステー)は、天板11の下面に固定した横架材16i等、正面上方に存在する部材に固定するタイプであるため、仕切板16cを不要にすることができる。そのため、収納空間16を、蓋体16aの幅寸法に規制されることなく、大きなものにすることも可能になる。
【0071】
また、本発明の天板付き家具においては、前述したように開放位置にある蓋体には、天板と面一である態様(
図16)や、天板と面一でない態様(
図19)が考えられるが、いずれの場合も、左右に隣接する蓋体同士は、開放位置において面一になるようにしておくのが望ましい。このように構成しておけば、複数枚の蓋体を開放位置において隣接させることによって広い面積のサイドテーブルを形成可能となる。
【0072】
また、
図21は本発明のさらに他の実施形態を示すものであり、蓋体を観音開き式のものにしたものである。この天板付き家具Tは、
図1~
図17に示す天板付き家具Tと基本的には同じ構成を備えたものであり、同一又は相当する部分には同一の符号を付して説明を省略する。この天板付き家具Tの蓋体16aは、左に開く戸板16a1と、右に開く戸板16a2とを備えたもので、両方の戸板16a1、16a2を開くと収納空間16を大きく開放することが可能となる。また、例えば、両戸板16a1、16a2を90度開いた位置でロックできるようにしておけば、これらの戸板16a1、16a2を、着座者間に配されるサイドパネル的なものにすることもできる。ちなみに、この実施形態では、天板付き家具Tの左右両側にオプション家具であるサイドボックスDを配した場合について図示しているが、かかるサイドボックスDは適宜配置すればよく必須のものではない。
【0073】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
T…天板付き家具
P…没入モード(ソファーモード)
Q…展開モード(スタジアムモード)
F…床面
1…家具本体
11…天板
11a…使用端
11b…半使用端
16…収納空間
16a…蓋体c…
16b…底板
16c…仕切板
V…閉止位置
W…開放位置
S1…天板下空間
S2…下肢空間
2…(上方の)スライド構体
21…床板
21x…座席領域
27…(上方の)座席
27a…座面
271…ソファー
3…(下方の)スライド構体
31…(下方の)床板
31x…座席領域
31y…通路領域
37…(下方の)座席
371…ソファー
38…(下方の)通路