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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006765
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 21/00 20060101AFI20250109BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20250109BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250109BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20250109BHJP
   H04N 1/393 20060101ALI20250109BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
B41J29/38 201
B41J29/38 206
G03G21/00 378
H04N1/387
H04N1/393
B41J11/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107750
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 陽子
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
2C187
2H270
【Fターム(参考)】
2C058AC08
2C058AE02
2C058AF51
2C058LA03
2C058LB06
2C058LB09
2C058LB10
2C061AQ06
2C061AS02
2C061HJ10
2C061HN04
2C061HN15
2C187AC06
2C187AG01
2C187BF60
2C187CC03
2C187DB09
2C187DB11
2C187DB27
2C187DB30
2C187DB33
2C187DC06
2H270LB04
2H270LB14
2H270LC06
2H270PA06
2H270PA07
2H270PA08
2H270PA09
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】シートにカットに関する加工を施す機能を有するプリンタにおいて、プリンタ内で好適な画像データを生成する技術を提供すること。
【解決手段】プリンタ1は、A4サイズのシートを長手方向に搬送し、搬送されたA4サイズのシートを、カッタユニット40によってA4サイズの半分のサイズであるA5サイズにカットすることができる。プリンタ1は、印刷データを取得した場合に、A4サイズの画像を示すラスタデータであって、A4サイズのシートをA5サイズにカットした場合に、カットによって生成されるA5サイズのシートに印刷データに基づく画像が配置されるように印刷するためのラスタデータを生成する。プリンタ1は、A4サイズのシートに対して、生成されたラスタデータに基づく印刷を印刷エンジン15を用いて行い、印刷が行われたA4サイズのシートに対して、カッタユニット40を用いてA5サイズにカットする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを用いた印刷が可能な印刷エンジンと、
第1の定形サイズのカット紙を前記カット紙の長手方向に搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送された前記第1の定形サイズのカット紙を、前記第1の定形サイズの半分のサイズである第2の定形サイズにカットするための加工を施すことが可能な加工ユニットと、
を備えるプリンタであって、
前記第1の定形サイズと前記第2の定形サイズの組み合わせには、前記第1の定形サイズがA4であり、前記第2の定形サイズがA5である組み合わせと、前記第1の定形サイズがレターであり、前記第2の定形サイズがハーフレターである組み合わせと、の少なくとも一方が含まれ、
前記プリンタは、
印刷データを取得した場合に、
前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近いサイズの画像を示すラスタデータであって、前記第1の定形サイズのシートを前記第2の定形サイズにカットした場合に、前記カットによって生成される前記第2の定形サイズのシートに前記印刷データに基づく画像が配置されるように印刷するための、前記ラスタデータを生成し、
前記第1の定形サイズのシートに対して、生成された前記ラスタデータに基づく印刷を前記印刷エンジンを用いて行い、
印刷が行われた前記第1の定形サイズの前記シートに対して、前記第2の定形サイズにカットするための前記加工を、前記加工ユニットを用いて行う、
ように構成される。
【請求項2】
請求項1に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
前記第2の定形サイズの1ページ分の前記印刷データを取得した場合に、
前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記印刷データに基づく画像が配置され、他方が白紙となるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成する、
ように構成される。
【請求項3】
請求項2に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
前記第2の定形サイズの1ページ分の前記印刷データを取得した場合に、
取得した前記印刷データの画像が縦方向の画像か横方向の画像かを判別し、
取得した前記印刷データの画像が縦方向の画像であれば、前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記印刷データの画像の上下がカット後のシートの短辺側となるように画像が配置され、他方が白紙となるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成し、
取得した前記印刷データの画像が横方向の画像であれば、前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記印刷データの画像の上下がカット後のシートの長辺側となるように画像が配置され、他方が白紙となるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成する、
ように構成される。
【請求項4】
請求項1に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
前記第2の定形サイズの2ページ分の前記印刷データを取得した場合に、
前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記印刷データに基づく1ページ目の画像が配置され、他方に2ページ目の画像が配置されるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成する、
ように構成される。
【請求項5】
請求項4に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
前記第2の定形サイズの2ページ分の前記印刷データを取得した場合に、
前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記印刷データに基づく1ページ目の画像が配置され、他方に2ページ目の画像が配置されるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータであって、1ページ目の画像と2ページ目の画像との間に、トナーが付与されない余白領域が設けられた、前記ラスタデータを生成する、
ように構成される。
【請求項6】
請求項4に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
前記第2の定形サイズの2ページ分の前記印刷データを取得した場合に、
取得した前記印刷データの画像が縦方向の画像か横方向の画像かを判別し、
取得した前記印刷データの画像が縦方向の画像であれば、前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記印刷データの1ページ目の画像の上下がカット後のシートの短辺側となるように画像が配置され、他方に前記印刷データの2ページ目の画像の上下がカット後のシートの短辺側となるように画像が配置されるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成し、
取得した前記印刷データの画像が横方向の画像であれば、前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記印刷データの1ページ目の画像の上下がカット後のシートの長辺側となるように画像が配置され、他方に前記印刷データの2ページ目の画像の上下がカット後のシートの長辺側となるように配置されるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成する、
ように構成される。
【請求項7】
請求項1に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
前記第1の定形サイズの1ページ分の前記印刷データを取得した場合に、
前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記印刷データの画像を前記第2の定形サイズに縮小した縮小画像が配置され、他方が白紙となるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成する、
ように構成される。
【請求項8】
請求項7に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
前記第1の定形サイズの画像を前記第2の定形サイズの画像に縮小するか否かの設定を受け付け可能であり、
前記第1の定形サイズの画像を前記第2の定形サイズの画像に縮小する前記設定が受け付けられている状態で、前記第1の定形サイズの1ページ分の前記印刷データを取得した場合に、
前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記印刷データの画像を前記第2の定形サイズに縮小した縮小画像が配置され、他方が白紙となるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成し、
前記第1の定形サイズの画像を前記第2の定形サイズの画像に縮小しない前記設定が受け付けられている状態で、前記第1の定形サイズの1ページ分の前記印刷データを取得した場合に、
前記第1の定形サイズのシートに、前記印刷データに基づく画像が配置されるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成する、
ように構成される。
【請求項9】
請求項7に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
前記第1の定形サイズの1ページ分の印刷データを取得した場合に、
取得した前記印刷データの画像が縦方向の画像か横方向の画像かを判別し、
取得した前記印刷データの画像が縦方向の画像であれば、前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記印刷データの画像の上下がカット後のシートの短辺側となるように前記縮小画像が配置され、他方が白紙となるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成し、
取得した前記印刷データの画像が横方向の画像であれば、前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記印刷データの画像の上下がカット後のシートの長辺側となるように前記縮小画像が配置され、他方が白紙となるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成する、
ように構成される。
【請求項10】
請求項1に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
前記第1の定形サイズの1ページ分の前記印刷データを取得した場合に、
前記第1の定形サイズのシートに、前記印刷データに基づく画像が配置されるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータであって、前記第1の定形サイズのシートを長辺で二分する中央位置を含む箇所に、トナーが付与されない隙間領域が設けられた、前記ラスタデータを生成する、
ように構成される。
【請求項11】
請求項10に記載するプリンタにおいて、
前記隙間領域は、前記中央位置を含む前記箇所を白ベタ画像で上書きすることによって設けられる、
ように構成される。
【請求項12】
請求項10に記載するプリンタにおいて、
前記隙間領域は、前記印刷データの画像を前記中央位置で二分し、二分された各画像を互いに離間することによって、二分された2つの画像の間に設けられる、
ように構成される。
【請求項13】
請求項1に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
前記第2の定形サイズの2ページ分の前記印刷データを取得した場合に、
前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記印刷データに基づく1ページ目の画像を前記第2の定形サイズに縮小した第1縮小画像が配置され、他方に2ページ目の画像を前記第2の定形サイズに縮小した第2縮小画像が配置されるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成する、
ように構成される。
【請求項14】
請求項13に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
前記第1の定形サイズの2ページ分の前記印刷データを取得した場合に、
取得した前記印刷データの画像が縦方向の画像か横方向の画像かを判別し、
取得した前記印刷データの画像が縦方向の画像であれば、前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記第1縮小画像の上下がカット後のシートの短辺側となるように画像が配置され、他方に前記第2縮小画像の上下がカット後のシートの短辺側となるように画像が配置されるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成し、
取得した前記印刷データの画像が横方向の画像であれば、前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記第1縮小画像の上下がカット後のシートの長辺側となるように画像が配置され、他方に前記第2縮小画像の上下がカット後のシートの長辺側となるように画像が配置されるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータを生成する、
ように構成される。
【請求項15】
請求項13に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
前記第1の定形サイズの2ページ分の前記印刷データを取得した場合に、
前記カットによって生成される2枚の前記第2の定形サイズのシートの一方に、前記印刷データに基づく前記第1縮小画像が配置され、他方に前記第2縮小画像が配置されるように印刷するための、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近い前記サイズの画像を示す、前記ラスタデータであって、前記第1縮小画像と前記第2縮小画像との間に、トナーが付与されない余白領域が設けられた前記ラスタデータを生成する、
ように構成される。
【請求項16】
請求項1に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
前記加工ユニットによる前記加工は、前記搬送機構によって搬送されたシートを、搬送方向に直交する方向にカットする加工である、
ように構成される。
【請求項17】
請求項1に記載するプリンタにおいて、
前記プリンタは、
印刷データを取得した場合に、
前記第1の定形サイズの画像を示す前記ラスタデータを生成する、
ように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、シートにカットに関する加工を施す機能を有するプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートにカットに関する加工を施す機能を有するプリンタが知られている。例えば特許文献1には、シートを裁断するカッタを備える画像形成装置であって、A4サイズが指定された印刷ジョブを受信した際、A4サイズのシートが無く、A3サイズのシートがある場合に、A3サイズのシートを搬送し、カッタによって印刷後のシートをA4サイズに切断する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-186448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、プリンタ内での画像データの生成についての詳細な記述がないことから、プリンタ内での画像データの生成について改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題の解決を目的としてなされたプリンタは、トナーを用いた印刷が可能な印刷エンジンと、第1の定形サイズのカット紙を前記カット紙の長手方向に搬送する搬送機構と、前記搬送機構によって搬送された前記第1の定形サイズのカット紙を、前記第1の定形サイズの半分のサイズである第2の定形サイズにカットするための加工を施すことが可能な加工ユニットと、を備えるプリンタであって、前記第1の定形サイズと前記第2の定形サイズの組み合わせには、前記第1の定形サイズがA4であり、前記第2の定形サイズがA5である組み合わせと、前記第1の定形サイズがレターであり、前記第2の定形サイズがハーフレターである組み合わせと、の少なくとも一方が含まれ、前記プリンタは、印刷データを取得した場合に、前記第2の定形サイズよりも前記第1の定形サイズに近いサイズの画像を示すラスタデータであって、前記第1の定形サイズのシートを前記第2の定形サイズにカットした場合に、前記カットによって生成される前記第2の定形サイズのシートに前記印刷データに基づく画像が配置されるように印刷するための、前記ラスタデータを生成し、前記第1の定形サイズのシートに対して、生成された前記ラスタデータに基づく印刷を前記印刷エンジンを用いて行い、印刷が行われた前記第1の定形サイズの前記シートに対して、前記第2の定形サイズにカットするための前記加工を、前記加工ユニットを用いて行う、ように構成される。
【0006】
本明細書に開示されるプリンタは、印刷データを取得した場合に、第2の定形サイズよりも第1の定形サイズに近いサイズの画像を示すラスタデータであって、カット後の第2の定形サイズのシートに印刷データに基づく画像が配置されるように印刷するためのラスタデータを生成する。さらに、プリンタは、第1の定形サイズのシートに対して、このラスタデータに基づく印刷を行う。従って、第1の定形サイズのシートに対して第1の定形サイズの画像の印刷が行われる。プリンタは、さらに、印刷後のシートに対して、カットするための加工を加工ユニットを用いて行う。この結果、印刷データに基づく画像がカット後の第2の定形サイズのシート内に印刷された、所望の出力結果が得られる。
【0007】
上記プリンタの機能を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に開示される技術によれば、シートにカットに関する加工を施す機能を有するプリンタにおいて、プリンタ内で好適な画像データを生成する技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態にかかるプリンタの概略構成図である。
図2】プリンタの内部構成の概略を示す説明図である。
図3】印刷処理の手順を示すフローチャートである。
図4】A4サイズの2ページの画像(A)を回転および縮小して(B)、または、縮小せずに(C)、印刷してカットした例を示す説明図である。
図5】A5サイズの2ページの画像(A)を、印刷してカットした例(B)を示す説明図である。
図6】A4サイズの縦方向の1ページの画像(A)を回転および縮小して(B)、または、縮小せずに(C)、印刷してカットした例を示す説明図である。
図7】A5サイズの縦方向の1ページの画像(A)を、印刷してカットした例(B)を示す説明図である。
図8】A4サイズの横方向の1ページの画像(A)を縮小して(B)、または、縮小せずに回転して(C)、印刷してカットした例を示す説明図である。
図9】A5サイズの横方向の1ページの画像(A)を、印刷してカットした例(B)を示す説明図である。
図10】A5サイズ処理の手順を示すフローチャートである。
図11】A4サイズのメモリ領域にA5サイズの2つのラスタデータを書き込んだ状態の例を示す説明図である。
図12】A4サイズの画像(A)に、白塗り(B)、または、切り分け(C)によって白領域を形成した例を示す説明図である。
図13】白塗り処理の手順を示すフローチャートである。
図14】切り分け処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、プリンタを具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、シートに加工を施す機能を有するプリンタを開示するものである。
【0011】
本形態のプリンタ1は、図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。また、プリンタ1は、操作パネル13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、印刷エンジン15と、カッタユニット40と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。
【0012】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。なお、図1中のコントローラ10は、プリンタ1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にプリンタ1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0013】
本形態のプリンタ1のメモリ12には、オペレーティングシステム(以下「OS」とする)21と、印刷プログラム22と、切断設定24と、縮小設定25と、隙間設定26と、を含む各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。印刷プログラム22は、OS21と協働で、プリンタ1に印刷のための動作を行わせるプログラムである。各情報の詳細については、後述する。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。
【0014】
なお、メモリの一例は、プリンタ1に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体であってもよい。例えば、プリンタ1に接続されているUSBメモリ、HDD等の外部メモリや、通信IF14を介してプリンタ1に接続されている装置に備えられるメモリやHDDも、メモリの一例である。
【0015】
また、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記憶媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0016】
操作パネル13は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。操作パネル13は、報知機能と操作受け付け機能とを有するタッチパネルを含んでも良い。操作パネル13は、表示ランプ、各種のボタンやテンキーを含んでも良い。
【0017】
通信IF14は、パーソナルコンピュータ等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、USBなどである。プリンタ1は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF14を備えていてもよい。
【0018】
印刷エンジン15は、トナーを用いた印刷方式によって、シート等の印刷媒体に画像を印刷するための構成を含む。印刷エンジン15は、図2に示すように、円筒状の感光体ドラム51と、帯電器52と、露光装置53と、現像ローラやトナー収容部を含む現像装置54と、転写ローラ56と、定着装置57と、を備える。帯電器52と現像装置54と転写ローラ56とは、感光体ドラム51の周方向に沿って、感光体ドラム51の回転方向についてこの順で配置されている。
【0019】
また、本形態のプリンタ1は、図2に示すように、印刷前のシートを収容する給紙トレイ31と、印刷済みのシートが排紙される排紙トレイ35とを備えている。そして、プリンタ1の内部には、図2に一点鎖線で示すように、給紙トレイ31から搬送されたシートが、印刷エンジン15を経由して排紙トレイ35へと至るシートの経路であるシート搬送路が形成されている。給紙トレイ31、印刷エンジン15、排紙トレイ35および各種の搬送ローラを含み、シートを搬送するための構成は、搬送機構の一例である。
【0020】
プリンタ1による印刷の実行時には、感光体ドラム51は、図2中で時計回りに回転される。帯電器52が感光体ドラム51の表面を帯電した後、露光装置53がレーザ光の照射等によって露光することで、感光体ドラム51の表面に静電潜像が形成される。さらに、現像装置54の現像ローラがトナー収容部に収容されるトナーを用いて静電潜像を現像することで、感光体ドラム51の表面にトナー像が形成される。形成されたトナー像は、タイミングを合わせて搬送されるシートに、転写ローラ56によって転写される。シートに転写されたトナー像は、定着装置57によってシートに定着される。画像の定着されたシートは、さらに搬送され、排紙トレイ35へ排紙される。
【0021】
さらに、プリンタ1は、図2に示すように、カッタユニット40を備えている。カッタユニット40は、カッタ刃41と、フラップ42とを備え、定着後であって排紙トレイ35へ排紙される前のシートをカットする機能を有している。プリンタ1は、フラップ42を回転させてシートの経路を変更可能である。プリンタ1は、シートの経路を変更することで、排紙前のシートをカッタユニット40へと搬送できる。プリンタ1は、例えば、シートを所定の位置まで搬送して停止させ、カッタ刃41をシートに沿って移動させることで、シートを搬送方向に直交する方向に切断する。カッタユニット40は、加工ユニットの一例である。シートの切断は、加工の一例である。なお、カッタユニット40は、シートの幅方向に延びるブレードを上下に移動させて切断する構成でも良い。
【0022】
プリンタ1は、定形サイズのカット紙を長手方向に搬送し、その搬送方向に垂直にカットすることで、シートを前後に分断する。シートの搬送の向きは、給紙トレイから印刷エンジン15を介して、カッタユニット40へ至る向きである。以下では、搬送されるシートのうち、搬送方向について上流側をシートの上、下流側をシートの下、と記載することがある。
【0023】
プリンタ1は、例えば、A4サイズのシートを長手方向に沿って搬送し、シートを長手方向の中央位置でカットすることで、A5サイズの2枚のシートとして排紙することができる。この場合、A4サイズは、第1の定形サイズの一例であり、A5サイズは、第2の定形サイズの一例である。また、プリンタ1は、レターサイズのシートを長手方向に沿って搬送し、長手方向の中央位置でカットしてハーフレターサイズの2枚のシートとして出力することも可能である。この場合、レターサイズは、第1の定形サイズの一例であり、ハーフレターサイズは、第2の定形サイズの一例である。
【0024】
プリンタ1は、カッタユニット40の機能を有効にするか無効にするかの設定を、切断設定24としてメモリ12に記憶している。プリンタ1は、ユーザによる設定の指示を、例えば、操作パネル13またはPJLコマンドにて受け付け可能である。そして、プリンタ1は、受け付けた指示に基づいて、「切断有効」を示す情報、または、「切断無効」を示す情報、を切断設定24に記憶する。「切断有効」を示す情報が切断設定24に記憶されている場合、プリンタ1は、A4サイズまたはレターサイズのシートに印刷し、そのシートを長辺で二分する中央位置にてカットする。
【0025】
なお、「切断無効」を示す情報が切断設定24に記憶されている場合、プリンタ1は、カッタユニット40によるシートの切断を実行しない。「切断無効」を示す情報が切断設定24に記憶されている場合のプリンタ1の動作は、カッタユニット40を備えないプリンタの場合と同様である。本明細書では、「切断無効」を示す情報が切断設定24に記憶されている場合についての説明は省略する。
【0026】
続いて、プリンタ1にて印刷を実行する印刷処理の手順について、図3のフローチャートを参照して説明する。この印刷処理は、印刷対象の印刷データの取得を開始したことを契機に、印刷プログラム22に基づいて、プリンタ1のCPU11にて実行される。
【0027】
なお、以下の処理は、基本的に、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU11の処理を表している。CPU11による処理は、OSのAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOSのAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU11が行う」のように記載することがある。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、「プログラムAが行う」のようにCPUを省略した文言で記載することがある。
【0028】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU11が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPUがデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0029】
また、CPU11による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU11による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0030】
印刷処理では、CPU11は、印刷対象の印刷データを取得する(S101)。プリンタ1は、印刷対象の印刷データを、例えば、通信IF14を介して外部装置から受信して取得できる。また、プリンタ1は、プリンタ1に接続されるUSBメモリなどから印刷データを読み出して取得しても良い。また、プリンタ1がスキャナを備えていれば、スキャナにて原稿の画像を読み取ることで取得した画像データを、印刷データとして取得しても良い。また、プリンタ1が通信IF14を介してインターネットに接続可能であれば、プリンタ1は、インターネットを介してダウンロードした画像データを、印刷データとして取得可能となる。
【0031】
なお、本明細書では、A4サイズのシートにラスタデータに基づく印刷を行い、印刷後のシートをカッタユニット40によって切断して、A5サイズの2枚のシートとして排紙する処理について説明する。つまり、印刷されるシートのサイズは、A4サイズであって、排紙出力されるシートのサイズは、A5サイズに近いサイズである。レターサイズのシートに印刷してカットする処理は、A4サイズのシートに印刷してカットする処理と同様の処理である。具体的には、以下の説明のうち、「A4」を「レター」、「A5」を「ハーフレター」と読み替えることで、レターサイズのシートに印刷してカットすることでハーフレターサイズの2枚のシートとして排紙する処理の説明となる。そのため、本明細書では、レターサイズに関する説明を省略する。
【0032】
CPU11は、ラスタライズによって生成したラスタデータを書き込むための記憶領域を、メモリ12に用意する(S102)。プリンタ1では、ラスタデータを書き込む記憶領域として、ラスタ領域とメモリ領域とを利用する。S102では、CPU11は、例えば、ラスタ領域とメモリ領域を用意する。なお、CPU11は、必要に応じて、ラスタ領域とメモリ領域とをそれぞれのタイミングで確保する。
【0033】
メモリ領域は、1ページ分のラスタデータが書き込まれる領域であり、印刷エンジン15にて利用される記憶領域である。プリンタ1は、A4サイズのシートを長手方向に沿って搬送する。従って、CPU11は、主走査方向がA4サイズの短辺に、副走査方向がA4サイズの長辺に、それぞれ相当する大きさの縦長のメモリ領域を用意する。1ページ分のラスタデータがメモリ領域に書き込まれた後、CPU11は、印刷エンジン15に印刷を実行させる。
【0034】
印刷エンジン15は、メモリ領域に書き込まれている1ページ分のラスタデータに基づいて、搬送中のシートの上から下へ向かって順に、ライン単位またはバンド単位に印刷を実行する。そのため、メモリ領域には、シートの上端側のラインまたはバンドから、シートの下端側のラインまたはバンドまで、順にラスタデータが書き込まれる。以下では、便宜的に、メモリ領域の長辺側を縦、短辺側を横、と言う場合がある。また、メモリ領域の先端側を上、後端側を下、と言う場合がある。なお、メモリ領域は、余白分を含んでも含まなくても良い。
【0035】
ラスタ領域は、ラスタライズのための記憶領域であり、メモリ領域より小さい領域である。そして、CPU11は、例えば、ラスタ領域に所定以上のサイズのラスタデータが書き込まれたら、ラスタデータをメモリ領域に渡す。これにより、メモリ領域にラスタデータが書き込まれる。なお、CPU11は、ラスタ領域を使用せず、生成したラスタデータをメモリ領域に書き込んでも良い。また、メモリ領域、ラスタ領域とも、印刷データを取得する以前から確保されていても良い。
【0036】
そして、CPU11は、取得している印刷データの画像のサイズを取得して、画像がA4サイズであるかA5サイズであるかを判断する(S105)。ここでの「A4サイズ」には、A4サイズに近いサイズも含まれる。例えば、A4サイズより画像の周囲の余白分だけ小さいサイズの画像と余白の情報とを含む印刷データを取得した場合、CPU11は、A4サイズであると判断する。すなわち、本明細書では、厳密なA4サイズの画像だけをA4サイズとするわけではなく、以下では、S105にてA4サイズと判断した画像を、「A4サイズの画像」と記載する。また、「A5サイズ」についても同様に、A5サイズに近いサイズも含まれる。
【0037】
なお、画像のサイズの情報は、印刷データに情報として付与されていても良い。つまり、画像のサイズの情報は、印刷データに含まれていても良いし、印刷データに情報として付加されていても良い。また、画像のサイズの情報とは、印刷データをどのサイズで印刷するかを示す情報であって、印刷データのすべてのページを対象とした情報であっても良い。また、画像のサイズの情報が付与されていない場合、CPU11は、印刷データを1ライン分以上取得することで、その画像のサイズを取得しても良い。また、画像サイズがA4サイズでもA5サイズでもない場合、CPU11は、A4サイズとA5サイズとのうち、画像のサイズに近い方のサイズと判断しても良いし、画像の全体が入る方のサイズと判断しても良い。
【0038】
画像がA4サイズであると判断した場合(S105:A4)、CPU11は、メモリ12に記憶されている縮小設定25に基づいて、A4サイズの画像をA5サイズに縮小して印刷するか否かを判断する(S106)。プリンタ1は、縮小するか否かの設定の指示を、例えば、操作パネル13またはPJLコマンドにて受け付け可能である。あるいは、縮小設定の指示が印刷データに付与されていても良い。プリンタ1は、指示に基づいて、縮小設定25として、「縮小する」を示す情報、または、「縮小しない」を示す情報をメモリ12に記憶している。縮小するか否かの設定を受け付けることで、ユーザの希望に沿った出力結果が得られる。
【0039】
「縮小する」とは、印刷データが示すA4サイズの画像を、A5サイズに縮小してA4サイズのシートに印刷し、印刷済みのシートを、カッタユニット40にてカットすることを示す設定である。「縮小する」設定では、プリンタ1は、例えば、図4(A)に示すように、2ページ分の縦方向のA4サイズの画像を取得した場合、図4(B)に示すように、その2ページ分の画像をそれぞれ回転し、A5サイズに縮小して、1枚のA4サイズのシートに2ページ分の画像を印刷し、カットする。
【0040】
なお、縦方向の画像とは、画像の向きがいわゆるポートレートの画像である。また、横方向の画像とは、画像の向きがいわゆるランドスケープの画像である。また、本形態のプリンタ1は、A4サイズのシートを長手方向に沿って搬送することから、便宜上、A4サイズのシートを縦方向に搬送する、と言っても良い。
【0041】
一方、「縮小しない」とは、印刷データが示すA4サイズの画像を、縮小せずにA4サイズのシートに印刷し、印刷済みのシートを、カッタユニット40にてカットすることを示す設定である。「縮小しない」設定では、プリンタ1は、例えば、図4(A)に示すようなA4サイズの画像をA4サイズのシートに印刷し、図4(C)に示すように、カットする。
【0042】
なお、ここでの「縮小しない」は、全く縮小しないものに限らない。例えば、余白を設けるためなどにわずかに縮小する場合は、「縮小しない」に含まれる。例えば、S105にてA4サイズと判断される程度に縮小する場合は、「縮小しない」に含まれる。なお、図4(C)は1ページ分の出力結果のみを示しているが、「縮小しない」が設定されている場合、プリンタ1は、2ページ目以降についても同様に、縮小せずに印刷してカットする。
【0043】
縮小すると判断した場合(S106:YES)、CPU11は、取得したA4サイズの印刷データを縮小して、A5サイズの印刷データを生成する(S107)。S107にて生成されるA5サイズの印刷データは、縮小画像の一例である。S107の後、または、印刷データの画像がA5サイズであると判断した場合(S105:A5)、CPU11は、A5サイズ処理を実行する(S111)。
【0044】
例えば、図5(A)に示すように、2ページ分の縦方向のA5サイズの画像を取得した場合、プリンタ1は、図5(B)に示すように、その2ページ分の画像を回転して1枚のA4サイズのシートに並べて印刷し、カットする。
【0045】
なお、「縮小する」設定で、図6(A)に示すような1ページ分の縦方向のA4サイズの画像を取得した場合、プリンタ1は、例えば、図6(B)に示すように、その1ページ分の画像を回転し、A5サイズに縮小して、1枚のA4サイズのシートに印刷し、カットする。「縮小しない」設定で、図6(A)に示すような1ページ分の縦方向のA4サイズの画像を取得した場合、プリンタ1は、例えば、図6(C)に示すように、その1ページ分の画像を1枚のA4サイズのシートに印刷し、カットする。
【0046】
また、図7(A)に示すような1ページ分の縦方向のA5サイズの画像を取得した場合、プリンタ1は、図7(B)に示すように、その1ページ分の画像を回転してA4サイズのシートに印刷し、カットする。
【0047】
また、「縮小する」設定で、図8(A)に示すような1ページ分の横方向のA4サイズの画像を取得した場合、プリンタ1は、例えば、図8(B)に示すように、その1ページ分の画像をA5サイズに縮小して、1枚のA4サイズのシートに印刷し、カットする。「縮小しない」設定で、図8(A)に示すような1ページ分の横方向のA4サイズの画像を取得した場合、プリンタ1は、例えば、図8(C)に示すように、その1ページ分の画像を回転した画像を、1枚のA4サイズのシートに印刷し、カットする。
【0048】
また、図9(A)に示すような1ページ分の横方向のA5サイズの画像を取得した場合、プリンタ1は、図9(B)に示すように、その1ページ分の画像をA4サイズのシートに印刷し、カットする。
【0049】
A5サイズ処理の手順について、図10のフローチャートを参照して説明する。CPU11は、取得した印刷データの1ページ目を対象に、処理を開始する。CPU11は、取得しているA5サイズの印刷データについて、画像の向きを判別する(S201)。画像の向きの情報は、印刷データに情報として付与されていても良いし、取得した印刷データに基づいて、CPU11が判断しても良い。
【0050】
なお、CPU11は、画像の向きが明確に横方向であると判断できない場合には、縦方向と同様に扱っても良い。すなわち、CPU11は、S201において、縦方向であると判断しても良い。また、CPU11は、画像のデザインに基づいて、画像の向きを判断しても良い。また、S201の処理と、S201で横方向であると判断した場合のみに行われる処理は、無くても良い。その場合、CPU11は、S201で縦方向と判断した場合の処理を、全ての印刷データに対して実行しても良い。
【0051】
画像の向きが縦方向であると判断した場合(S201:たて)、CPU11は、ラスタライズと回転とを行って、生成したラスタデータをメモリ領域に渡す(S202)。S202では、CPU11は、ラスタライズと回転とのいずれを先に行っても良いし、並行して行っても良い。具体的には、CPU11は、縦長のA5サイズの画像を示す印刷データに対して、ラスタライズを行ってラスタデータを生成し、生成したラスタデータを、90度または270度の回転を行った画像を示すようにラスタ領域へ書き込む。あるいは、CPU11は、90度または270度の回転を行った画像を示すラスタデータを生成して、ラスタ領域へ書き込んでも良い。
【0052】
そして、CPU11は、ラスタ領域に溜まったラスタデータを、印刷エンジン15が使用するメモリ領域に渡す。メモリ領域に渡されたラスタデータは、メモリ領域に書き込まれる。S202でメモリ領域に書き込まれるラスタデータは、A5縦の画像を示す画像データに基づいて、その画像を回転させた画像を示すラスタデータである。CPU11は、S202において、1ページ分の印刷データに基づくラスタデータが、A4サイズのシート1枚分の半分のメモリ領域に渡された状態となるまで、上記の手順を繰り返す。
【0053】
また、画像の向きが横方向であると判断した場合(S201:よこ)、CPU11は、印刷データをそのままラスタライズして、生成したラスタデータをメモリ領域に渡す(S203)。S203でメモリ領域に書き込まれるラスタデータは、A5横の画像を示す印刷データに基づいて生成された、A5横の画像を示すラスタデータである。CPU11は、S203においても、1ページ分の印刷データに基づくラスタデータが、A4サイズのシート1枚分の半分のメモリ領域に渡された状態となるまで、上記の手順を繰り返す。
【0054】
すなわち、S202またはS203にて生成されるラスタデータは、主走査方向がA4サイズの短辺に、副走査方向がA4サイズの長辺の2分の1に、それぞれ相当する大きさのものである。これにより、メモリ領域は、上半分にA5サイズのラスタデータが書き込まれ、下半分には何も書き込まれていない状態となる。なお、メモリ領域に書き込まれるラスタデータは、正確にA5サイズの画像を示すものでなくても良い。例えば、ラスタデータは、余白分などを除いた画像を示すラスタデータであっても良い。
【0055】
そして、CPU11は、A4サイズのシート1枚分のラスタデータをメモリ領域に渡したか否かを判断する(S207)。A4サイズのメモリ領域の上半分にA5サイズの1ページ分のラスタデータが渡された状態では、シート1枚分の処理が完了していない。
【0056】
1枚分の処理が完了していないと判断した場合(S207:NO)、CPU11は、取得している印刷データに、ラスタライズしていない次のページのデータが有るか否かを判断する(S211)。次のページが有ると判断した場合(S211:YES)、CPU11は、S201に進み、次のページのラスタデータを生成して、メモリ領域に渡す(S202またはS203)。この場合、CPU11は、上半分に1ページ分のラスタデータが渡された状態となっているメモリ領域の続きである、下半分にラスタデータを書き込む。
【0057】
なお、印刷処理のS105にてA4サイズであると判断し、かつ、S106にて縮小すると判断してこのA5サイズ処理を実行している場合、次のページの印刷データも縮小し、縮小後のデータを用いてS201に進む。1ページ目のA4サイズの画像を縮小したA5サイズの画像は、第1縮小画像の一例である。2ページ目のA4サイズの画像を縮小したA5サイズの画像は、第2縮小画像の一例である。
【0058】
A4サイズ1枚分のラスタデータがメモリ領域に渡されたと判断した場合(S207:YES)、CPU11は、印刷開始を指示する(S208)。例えば、2ページ分のA5サイズのラスタデータを、A4サイズのメモリ領域の上半分と下半分とに書き込むことで、メモリ領域には、A4サイズ1枚分のラスタデータが書き込まれている。
【0059】
S208の指示に基づいて、印刷エンジン15は、メモリ領域に記憶されているシート1枚分のラスタデータに基づいて、印刷を実行する。なお、切断設定24に「切断有効」を示す情報が記憶されていることから、CPU11は、印刷エンジン15にて印刷済みのシートをさらに搬送させ、カッタユニット40にカットさせる。これにより、印刷データに基づくA5サイズの画像がそれぞれ印刷されたA5サイズの2枚のシートが、排紙トレイ35に排紙される。なお、CPU11は、印刷済みのシートの搬送とカットとの処理を、A5サイズ処理と並行して行う。すなわち、プリンタ1は、印刷済みのシートに対するカットの処理と、次のシートに印刷させるためのラスタデータの生成と、を並行して行うことができる。
【0060】
なお、プリンタ1のカッタユニット40による切断位置には、シートの搬送ずれやカッタ刃41の駆動時の位置ずれ等によって、設定された切断位置であるシートの長手方向の中央位置から位置ずれが生じる可能性がある。本形態のプリンタ1では、シートの中央位置と実際の切断位置との差の最大値であるカット誤差は、例えば、3mmである。つまり、本形態のプリンタ1による切断位置は、A4サイズの長辺方向の中央位置に対して±3mmの範囲内となる。この中央位置±3mmの範囲内に画像が印刷されていると、カッタ刃41にトナーが付着する可能性がある。
【0061】
プリンタ1は、切断設定24に「切断有効」が設定されている場合、A4サイズのシートの長手方向の中央位置を含む±3mmの範囲内の箇所に画像が配置されないように印刷する。つまり、CPU11は、A4サイズのメモリ領域のうち、副走査方向の中央位置±3mmの範囲内に画像の無い白領域を形成する。なお、以下では、メモリ領域のうち、副走査方向の中央位置を、単に、「中央位置」とする。
【0062】
例えば、取得した印刷データが、A5サイズの画像であって3mm以上の余白が設定されている場合、2ページ分のA5サイズのラスタデータを、A4サイズのメモリ領域に順に書き込むことで、中央位置には両側のページの余白によって、6mm以上の白領域が形成される。この場合、CPU11は、余白を含む2つのラスタデータを上下に配置するだけで、2つのラスタデータの間に適切な白領域を形成することができる。この場合の白領域は、余白領域の一例である。
【0063】
また、A4サイズのシートの長辺のサイズは、297mmであって、A5サイズのシートの短辺のサイズである148mmの2倍よりも1mm長い。そこで、余白が3mmである場合、CPU11は、例えば、図11に示すように、メモリ領域の長手方向について、A5サイズのラスタデータの両側に、1mmの4分の1の0.25mmずつ余白を大きくして書き込むとしても良い。このようにすると、中央位置には、余白を含めて6.5mmの幅の白領域が形成されるので、カット後のシートの余白の幅が揃う。
【0064】
また、取得した印刷データがA5サイズであって、余白が3mm未満である場合、CPU11は、例えば、2つのラスタデータを上下方向に互いに離して配置することで、余白を含めて中央位置±3mmの範囲内を白領域としても良い。CPU11は、例えば、上下の端部側の余白が小さくなるようにメモリ領域にラスタデータを書き込み、中央位置側の余白を大きくすることで、白領域を確保してラスタデータを配置する。あるいは、CPU11は、中央位置に白ベタ画像を上書きすることで、白領域を形成しても良い。
【0065】
中央位置に白領域を設けたラスタデータをメモリ領域に書き込むことで、このメモリ領域に基づく印刷を行った場合、シートの中央位置±3mmの範囲内には画像が配置されない。従って、この画像が印刷されたシートを、カッタユニット40で切断した場合、カッタ刃41にトナーが付着し難く、カッタユニット40の早期の劣化が抑制されている。
【0066】
S208の後、CPU11は、取得している印刷データに、さらに次のページのデータが有るか否かを判断する(S211)。完成したラスタデータの印刷を指示した後であって、さらに次のページの印刷データが有る場合(S211:YES)、CPU11は、新たなラスタ領域を用意し、S201に進んで、次のデータの処理を行う。
【0067】
次のページが無い、すなわち、印刷データの最後まで取得したと判断した場合(S211:NO)、CPU11は、未印刷のラスタデータが残っているか否かを判断する(S212)。未印刷のラスタデータとは、メモリ領域の上半分にラスタデータが書き込まれた状態であって、印刷エンジン15に渡されていないラスタデータである。
【0068】
未印刷のラスタデータが残っていると判断した場合(S212:YES)、CPU11は、メモリ領域の下半分に白紙ページを示すラスタデータを渡し(S215)、印刷エンジン15に印刷開始を指示する(S216)。例えば、取得した印刷データがA5サイズの1ページ分の印刷データであった場合、CPU11は、メモリ領域の上半分にその1ページの画像が配置され、下半分に白紙のデータが配置されたラスタデータを生成する。なお、印刷エンジン15が、データが書き込まれていないメモリ領域に対応する部分については画像を形成しないように構成されている場合や、予め白データが書き込まれた状態でメモリ領域を用意できる場合、S215は、無くても良い。
【0069】
印刷エンジン15は、このラスタデータが書き込まれたメモリ領域に基づいて印刷する。さらに、CPU11は、印刷後のシートを、カッタユニット40によってカットして2枚のA5サイズのシートとして排紙する。この場合に排紙される2枚のA5サイズのシートは、図7または図9に示したように、その一方が、取得した印刷データに基づく画像が印刷されたA5サイズのシートであり、他方は、白紙のA5サイズのシートである。
【0070】
なお、印刷データがA5サイズである場合や、印刷データがA4サイズであって縮小して印刷する場合であって、印刷データの全体のページ数が奇数ページであると分かる場合には、プリンタ1は、シートの上半分に白紙ページを配置しても良い。その場合、プリンタ1は、印刷エンジン15がシートの上半分に画像を形成しないように制御しても良い。例えば、CPU11は、メモリ領域の上半分に白データを書き込んでも良い。また、プリンタ1は、シートの上半分に白紙ページを配置するか否かのユーザの設定を受け付け可能であっても良い。
【0071】
一方、例えば、2ページ分のA5サイズの印刷データを取得した場合(S207:YES)、CPU11は、それぞれの画像を示すラスタデータを、A4サイズのメモリ領域の上半分と下半分とに書き込む。CPU11は、A5サイズの画像の向きが縦方向である場合(S201:たて)、画像の上下がカット後のA5サイズのシートの短辺側となるように、メモリ領域にラスタデータを書き込む(S202)。また、CPU11は、画像の向きが横方向である場合(S201:よこ)、画像の上下がカット後のA5サイズのシートの長辺側となるように、メモリ領域にラスタデータを書き込む(S203)。従って、例えば、図5に示したように、印刷データの画像の向きに応じて回転した画像であって、印刷データに基づく2ページ分の画像がそれぞれ印刷された2枚のA5サイズのシートが排紙出力される。これにより、所望の出力結果が得られる。
【0072】
また、例えば、縮小設定25として「縮小する」を示す情報が記憶されている状態でA4サイズの印刷データを取得した場合、CPU11は、A4サイズの印刷データをA5サイズに縮小して(S107)、A5サイズの印刷データを取得した場合と同様の処理を行う(S111)。具体的には、1ページ分のA4サイズの印刷データを取得した場合には、図6(B)に示したように、その印刷データの画像が縮小された画像が印刷されたA5サイズのシートと、白紙のA5サイズのシートとが、排紙出力される。また、2ページ分のA4サイズの印刷データを取得した場合には、図4(B)に示したように、その印刷データの画像が縮小された画像がそれぞれに印刷された、2枚のA5サイズのシートが排紙出力される。従って、この場合にも、印刷データの画像が適切に印刷されたA5サイズのシートが排紙出力される。
【0073】
S216の後、または、未印刷のラスタデータが残っていないと判断した場合(S212:NO)、CPU11は、A5サイズ処理を終了して、印刷処理に戻る。
【0074】
図3の印刷処理の説明に戻る。取得を開始した印刷データの画像サイズがA4サイズであって、縮小しないと判断した場合(S106:NO)、CPU11は、メモリ12に記憶されている隙間設定26に基づいて、隙間の形成方法を判断する(S121)。A4サイズの画像を縮小せずにそのまま印刷する場合、CPU11は、A4サイズの画像の中央位置に白領域となる隙間を形成する。その隙間の形成方法には、「白塗り」と「切り分け」とがある。
【0075】
プリンタ1は、隙間設定の指示を、例えば、操作パネル13またはPJLコマンドにて受け付け可能である。あるいは、隙間設定の指示が印刷データに付与されていても良い。プリンタ1は、ユーザの指示に基づいて、隙間設定26として、「白塗り」を示す情報、または、「切り分け」を示す情報をメモリ12に記憶している。
【0076】
「白塗り」とは、例えば、図12(A)に示すようなA4サイズの画像に対して、その中央位置に適切な白領域の幅で白データを上書きすることで、図12(B)に示すようなA4サイズの画像とし、その白領域でカットすることを示す設定である。図12(B)では、中央位置の画像である「B」の文字の一部が、白データの上書きによって失われている。
【0077】
一方、「切り分け」とは、例えば、図12(A)に示すようなA4サイズの画像を中央位置で二分し、図12(C)に示すように、二分された各画像を互いに上下に離間して配置することで中央位置に白領域を設けた画像とし、その白領域でカットすることを示す設定である。図12(C)では、上下の余白を小さくすることで、中央位置に白領域が形成されている。なお、「切り分け」設定であって、上下に離して配置するのみでは十分な白領域を設けられない場合、CPU11は、画像を縮小しても良い。
【0078】
隙間の形成方法が「白塗り」であると判断した場合(S121:白塗り)、CPU11は、白塗り処理を実行する(S122)。白塗り処理の手順について、図13のフローチャートを参照して説明する。CPU11は、取得した印刷データの1ページ目を対象に、処理を開始する。
【0079】
白塗り処理では、CPU11は、取得しているA4サイズの印刷データについて、画像の向きを判別する(S301)。画像の向きの情報は、印刷データに情報として付与されていても良いし、取得した印刷データに基づいて、CPU11が取得しても良い。S301は、S201と同様の判断である。
【0080】
画像の向きが横方向であると判断した場合(S301:よこ)、CPU11は、ラスタライズと回転とを行って、生成したラスタデータをメモリ領域に渡す(S302)。CPU11は、横長のA4サイズの画像を示す印刷データに基づいて、90度または270度の回転を行った画像を示すラスタデータをメモリ領域に書き込む。なお、CPU11は、ラスタライズと回転とのいずれを先に行っても良いし、並行して行っても良い。
【0081】
CPU11は、A4サイズのシート1枚分のメモリ領域にラスタデータが書き込まれた状態となるまで、S302の処理を繰り返す。S302の処理は、A5サイズ処理のS202の処理と同様の処理である。ただし、S302では、CPU11は、メモリ領域のうちの白領域に対応する箇所には、白データを書き込む。CPU11は、例えば、シート1枚分のメモリ領域にラスタデータを書き込んだ後、副走査方向の中央の6mm幅の範囲のラスタデータを、白ベタ画像のラスタデータに置き換える。この場合の白領域は、隙間領域の一例である。白ベタ画像を上書きすることで、CPU11は、印刷対象の画像に対して白領域を簡単に形成できる。なお、CPU11は、上書きに代えて、メモリ領域のうち白領域に対応する位置には、ラスタデータを書き込まず、初めから白データを書き込むとしても良い。
【0082】
また、画像の向きが縦方向であると判断した場合(S301:たて)、CPU11は、印刷データをそのままラスタライズしてラスタデータを生成し、生成したラスタデータをメモリ領域に渡す(S303)。CPU11は、縦長のA4サイズの画像を示す印刷データに基づいて、その画像を示すラスタデータをメモリ領域に書き込む。CPU11は、画像の向きに応じて、回転するか否かを決定するので、画像の全体がA4サイズのメモリ領域に適切に配置される。この場合にも、メモリ領域に渡されるA4サイズのラスタデータは、正確にA4サイズでなくても良い。
【0083】
CPU11は、A4サイズのシート1枚分のメモリ領域にラスタデータが書き込まれた状態となるまで、S303の処理を繰り返す。S303の処理は、A5サイズ処理のS203の処理と同様の処理である。ただし、S303では、S302と同様に、CPU11は、メモリ領域のうちの白領域に対応する箇所には、白データを書き込む。
【0084】
そして、CPU11は、印刷開始を指示する(S308)。S308は、前述したA5サイズ処理のS208と同様の処理である。印刷エンジン15は、メモリ領域に記憶されている、白領域を含むラスタデータに基づいて、A4サイズの画像をA4サイズのシートに印刷する。さらに、CPU11は、印刷後のシートをカッタユニット40にカットさせる。これにより、プリンタ1は、2枚のA5サイズのシートとして排紙する。白領域が設けられていることで、印刷後のシートをカッタユニット40で切断した場合に、カッタ刃41にトナーが付着し難く、カッタユニット40の早期の劣化が抑制されている。
【0085】
S308の後、CPU11は、取得している印刷データに、さらに次のページのデータが有るか否かを判断する(S311)。次のページの印刷データが有ると判断した場合(S311:YES)、CPU11は、新たなラスタ領域を用意し、S301に進んで、次のデータの処理を行う。次のページが無い、すなわち、印刷データの最後まで取得したと判断した場合(S311:NO)、CPU11は、白塗り処理を終了して、印刷処理に戻る。
【0086】
図3の印刷処理の説明に戻る。隙間の形成方法が「切り分け」であると判断した場合(S121:切り分け)、CPU11は、切り分け処理を実行する(S123)。切り分け処理の手順について、図14のフローチャートを参照して説明する。CPU11は、取得した印刷データの1ページ目を対象に、処理を開始する。
【0087】
切り分け処理では、CPU11は、画像の縮小が必要か否かを判断する(S401)。CPU11は、例えば、A4サイズの画像を上下に分け、それらの間に白領域を設けると、画像の全体がA4サイズのシートに収まらない場合に、縮小が必要であると判断する。CPU11は、例えば、印刷対象の印刷データに設定されている短辺側の余白が5mm未満の場合に、画像の縮小が必要と判断しても良い。画像の縮小が必要であると判断した場合(S401:YES)、CPU11は、印刷データを縮小すると決定し、縮小を示す情報を記憶する(S402)。
【0088】
なお、CPU11は、S401の判断を行わず、常に縮小するとしても良い。あるいは、CPU11は、常に縮小せず、切り分けによって画像がA4サイズの範囲からはみ出した場合、そのはみ出した部分の画像は印刷しないとしても良い。
【0089】
CPU11は、S402の後、または、画像の縮小が必要でないと判断した場合(S401:NO)、取得しているA4サイズの印刷データについて、画像の向きを判別する(S405)。S405は、白塗り処理のS301と同様の処理である。
【0090】
画像の向きが横方向であると判断した場合(S405:よこ)、CPU11は、ラスタライズと回転とを行って、生成したラスタデータをメモリ領域に渡す(S406)。CPU11は、横長のA4サイズの画像を示す印刷データに基づいて、90度または270度の回転を行った画像を示すラスタデータをメモリ領域に書き込む。S406の処理は、A5サイズ処理のS202の処理と同様の処理である。CPU11は、1ページ分の半分のラスタデータがメモリ領域に書き込まれた状態となるまで、S406の処理を繰り返す。なお、CPU11は、ラスタライズと回転とのいずれを先に行っても良いし、並行して行っても良い。
【0091】
画像の向きが縦方向であると判断した場合(S405:たて)、CPU11は、ラスタライズを行い、生成したラスタデータをメモリ領域に渡す(S407)。CPU11は、縦長のA4サイズの画像を示す印刷データに基づいて、その画像を示すラスタデータをメモリ領域に書き込む。S407の処理は、A5サイズ処理のS203の処理と同様の処理である。CPU11は、1ページ分の半分のラスタデータがメモリ領域に書き込まれた状態となるまで、S407の処理を繰り返す。なお、縮小を示す情報が記憶されている場合、CPU11は、S406またはS407にて、例えば、A4サイズの98%程度のサイズとなるように縮小したサイズのラスタデータを生成する。
【0092】
1ページ分の半分のラスタデータがメモリ領域に書き込まれたら、CPU11は、メモリ領域の白領域に対応する箇所に白データを追加する。この場合の白領域は、隙間領域の一例である。なお、CPU11は、白領域が中央位置となるように、S406またはS407でのラスタデータの書き込み始めの位置を調整する。例えば、CPU11は、書き込み終わりの位置が、中央位置から白領域の半分だけ上の位置となるように、ラスタデータを書き込む。CPU11は、例えば、画像の長辺方向のサイズや、印刷データに設定されている余白の大きさに応じて、メモリ領域のうちの書き込み始めの位置を決定する。
【0093】
CPU11は、追加した白領域に続けて、さらに、S406またはS407で生成した1ページ分の残り半分のラスタデータを、メモリ領域に書き込む。印刷対象の画像を二分して互いに離間させて配置することで、CPU11は、白領域を含むラスタデータを簡単に形成できる。
【0094】
そして、CPU11は、印刷開始を指示する(S415)。S415は、前述したA5サイズ処理のS208と同様の処理である。印刷エンジン15は、メモリ領域に記憶されている、白領域を含むラスタデータに基づいて、A4サイズの画像をA4サイズのシートに印刷する。さらに、CPU11は、印刷後のシートをカッタユニット40にカットさせる。これにより、プリンタ1は、2枚のA5サイズのシートとして排紙する。白領域が設けられていることで、印刷後のシートをカッタユニット40で切断した場合に、カッタ刃41にトナーが付着し難く、カッタユニット40の早期の劣化が抑制されている。
【0095】
S415の後、CPU11は、取得している印刷データに、さらに次のページのデータが有るか否かを判断する(S421)。次のページの印刷データが有ると判断した場合(S421:YES)、CPU11は、新たなラスタ領域を用意し、S401に進んで、次のデータの処理を行う。次のページが無い、すなわち、印刷データの最後まで取得したと判断した場合(S421:NO)、CPU11は、切り分け処理を終了して、印刷処理に戻る。
【0096】
なお、CPU11は、S421にてYESと判断した場合、S401ではなく、S405に進んでも良い。つまり、CPU11は、縮小するか否かの判断を、1ページ目について行ったら、2ページ目以降はS401の判断を行わず、1ページ目の判断結果に基づいて同様の処理を行うとしても良い。
【0097】
図3の印刷処理の説明に戻る。CPU11は、S111のA5サイズ処理、S122の白塗り処理、S123の切り分け処理、のいずれかの後、印刷処理を終了する。いずれの処理によっても、白領域を設けたラスタデータに基づいて印刷することから、カッタ刃41にトナーが付着する可能性は小さい。
【0098】
以上、詳細に説明したように、本形態のプリンタ1は、A5サイズまたはA4サイズの印刷データを取得した場合に、A4サイズに近いサイズの画像を示すラスタデータであって、カット後のA5サイズのシートに印刷データに基づく画像が配置されるように印刷するためのラスタデータを生成する。さらに、プリンタ1は、生成したラスタデータに基づいてA4サイズのシートに印刷し、印刷後のシートをカッタユニット40によってカットする。これにより、印刷データに基づく画像が印刷されたA5サイズのシートが出力される。従って、所望の出力結果が得られる。
【0099】
例えば、インクを用いて1ラインずつ印刷するラインプリンタでは、シート1枚の印刷中であっても印刷タイミングとは独立にシートの搬送を制御できる。例えば、シートの半分まで印刷した後、印刷を停止してシートを搬送することで、白領域を設けることができる。しかし、トナーを用いて印刷するページプリンタでは、印刷とシートの搬送とが連動しており、印刷中にシートの搬送だけを行ったり搬送を止めたりすることはできない。本形態のプリンタ1は、カットに適した白領域を含むラスタデータを生成してから印刷を開始するので、適切に画像が印刷された2枚のA5サイズのシートが排紙される。
【0100】
なお、本形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。従って、本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、プリンタ1は、印刷専用機にかぎらず、複合機、複写機、FAX装置等であっても良い。また、プリンタ1は、複数の給紙トレイや排紙トレイを有していても良い。
【0101】
また、例えば、図4図12に示した画像の例は、いずれも一例である。また、プリンタ1は、白塗りや切り分けによって画像の情報が落ちる場合には、警告メッセージを表示しても良い。
【0102】
また、実施の形態では、プリンタ1のカット誤差は3mmであって、中央位置±3mmの範囲内を白領域とするとしたが、白領域の大きさはこれに限らない。例えば、カット誤差の大きさは、プリンタ1のモデルによって異なっていても良い。また、白領域の大きさは、ユーザによる設定を受け付け可能であっても良い。
【0103】
また、実施の形態では、プリンタ1は、切断設定24として、切断有効または切断無効の設定を受け付けるとしたが、受け付けなくても良い。つまり、プリンタ1は、常に切断有効としても良い。また、切断設定24には、切断有効と切断無効とのいずれかが記憶されるとしたが、切断無効の場合には、切断無効が記憶される代わりに、切断設定24が記憶されない構成であっても良い。つまり、プリンタ1は、切断設定24が記憶されていれば、切断有効が設定されているものとしても良い。
【0104】
また、例えば、プリンタ1は、A5サイズのシートへの印刷指示を受け付けた場合であって、A5サイズのシートが収容されている給紙トレイが無い場合に、切断有効としても良い。
【0105】
また、実施の形態では、A5サイズの画像または、A4サイズをA5サイズに縮小した画像を、複数ページ印刷する場合、1枚のA4サイズのシートに2ページ分の画像を印刷するとしたが、これに限らない。例えば、図7に示したように、各ページをそれぞれ1枚のA4サイズのシートに印刷してカットすることで、複数ページ分のA5サイズのシートと複数枚の白紙とを出力しても良い。この場合にも、白紙は上半分でも下半分でも良い。
【0106】
また、実施の形態では、A4サイズのシートを切断してA5サイズのシートとして排紙する例を示したが、プリンタ1のカッタユニット40は、A4サイズ以外のサイズのシートの加工や、A4サイズをA5サイズ以外のサイズにする加工も可能であっても良い。また、カッタユニット40による加工は、カットに関する加工であれば良く、切断に限らず、例えば、シートにミシン目を入れる加工、シートに折り目を入れる加工、であっても良い。
【0107】
また、プリンタ1は、EWS(埋め込みウエブサーバ:Embedded Web Serverの略)の機能を有していても良い。その場合、プリンタ1は、切断設定24、縮小設定25、隙間設定26等の設定指示を、EWSを介して、PCのブラウザ等から受け付け可能であっても良い。また、プリンタ1は、PJLコマンド以外のコマンドを受け付け可能であっても良く、PJLコマンド以外のコマンドに従って、切断設定24、縮小設定25、隙間設定26等の設定指示を受け付け可能であっても良い。
【0108】
なお、本明細書では、シートを長辺方向に搬送するプリンタ1について説明したが、短辺方向に搬送して、搬送方向に沿ってカットするプリンタが有っても良い。その場合、画像の向きは、本明細書の説明とは異なり、デザインとしての上下が短辺方向であり、左右が長辺方向である画像を、縦方向となる。
【0109】
また、各実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0110】
また、各実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組合せで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 プリンタ
15 印刷エンジン
40 カッタユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14