(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006782
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】リール装置
(51)【国際特許分類】
B65H 75/38 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B65H75/38 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107767
(22)【出願日】2023-06-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 集会名 「リール装置」に関する説明会 開催場所 株式会社ホビザード(茨城県稲敷郡阿見町追原2315-14) 開催日 令和5年4月25日
(71)【出願人】
【識別番号】323002118
【氏名又は名称】株式会社横浜エコ
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】廣地 弘昭
【テーマコード(参考)】
3F068
【Fターム(参考)】
3F068AA05
3F068AA11
3F068DA04
3F068EA02
3F068FA06
3F068HA03
3F068HA07
(57)【要約】
【課題】リールを回転させることでケーブル又はホースである紐状体の巻取作業、或いは繰り出し作業を行うリール装置であって、ローラを含む支持ユニットが重量物である場合でも、該支持ユニットを意図した通りに移動させて適切な箇所に配置することを容易にするリール装置を提供することを課題とする。
【解決手段】その回転軸心であるリール軸心回りに回転可能に支持される巻胴部と当接部とを含み、巻胴部の回転により紐状体を巻き取る又は繰り出すリールと、リールを回転可能に支持する支持ユニットと、支持ユニットをリール軸心に対して交差する方向に往復スライド可能に支持するスライド機構とを備え、支持ユニットは、回転可能に支持されたローラを有し、往復スライドによりローラと当接部とを当接させて、リールを下支え可能な状態と、ローラがリールから離間して下支え不可能な状態とを切換可能に構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
回転可能に支持され且つその回転軸心であるリール軸心を中心とする断面視で円形の外周面を有する巻胴部と、前記リール軸心を中心とする断面視で円形の外周面を有し且つ前記巻胴部と一体的に回転する当接部と、を含み、前記巻胴部の回転によって該巻胴部の外周面側にケーブル又はホースである紐状体を巻き取るか、或いは該外周面側に巻き取られた前記紐状体を繰り出すリールと、
前記リールを下支えして前記ベース上面側から浮かせた状態で回転可能に支持する複数の支持ユニットと、
前記支持ユニットを前記リール軸心に対して交差する方向である交差方向に往復スライド可能に前記ベースの上面側に支持するスライド機構と、を備え、
前記支持ユニットは、前記リール軸心と平行な軸心であるローラ軸心を支点として回転可能に支持されたローラを有し、
さらに、前記支持ユニットは、前記交差方向の一方側にスライドさせることによって前記ローラの外周面を前記当接部の外周面に当接させて、前記リールを下支えさせることが可能な支持可能状態に切り換えられ、前記交差方向の他方側にスライドさせることによって前記ローラが前記リールから離間して下支えすることができない非支持状態に切り換えられるように構成した
ことを特徴とするリール装置。
【請求項2】
前記支持ユニットは、前記ローラを回転駆動させるアクチュエータを有し、
前記支持ユニットは、支持可能状態への切換時であって且つ前記ローラが前記リールを下支えしている状態である時、該ローラの回動動力を前記リールに伝動させるように構成された
請求項1に記載のリール装置。
【請求項3】
前記スライド機構は、前記交差方向に形成された交差方向側レールと、該レール上を往復スライド作動する交差方向側スライダーとを有している
請求項1に記載のリール装置。
【請求項4】
前記当接部は、前記巻胴部の端側に一体的に形成された鍔部である
請求項1に記載のリール装置。
【請求項5】
前記リール軸心の方向から視て、前記当接部を挟んだ一方側と他方側とに夫々配置された一対の前記支持ユニットを、一組の支持ユニットセットとして設け、
前記支持可能状態への切換時、前記支持ユニットセットの一対の支持ユニットの前記ローラによって、前記当接部が挟持された状態となる
請求項4に記載のリール装置。
【請求項6】
前記支持ユニットセットを前記一対の鍔部毎に設け、
前記リールは、前記支持ユニットが前記支持可能状態に切り換えられた状態で、4つの前記ローラによって下支えされる
請求項5に記載のリール装置。
【請求項7】
前記支持ユニットは、前記ローラを昇降させる昇降機構を含み、
前記支持可能状態への切換時、該昇降機構による昇降によって、前記リールが前記ベースの上面側に接地した接地状態と、前記ローラに下支えされて前記ベースの上面から浮いた非接地状態との切換を行う構造とした
請求項6に記載のリール装置。
【請求項8】
前記スライド機構は、前記支持ユニットを前記リール軸心に沿う方向である切換方向にも往復スライド移動可能に前記ベースの上面側に支持するように構成され、
前記ローラは、前記支持ユニットを、前記スライド機構によって、前記切換方向の一方側にスライドされることによって、前記交差方向から視て前記当接部と重複する範囲に位置した重複状態に切り換えられ、前記切換方向の他方側にスライドされることによって、前記交差方向から視て前記当接部と重複しない範囲に位置した非重複状態に切り換えられるように構成され、
前記支持ユニットは、前記重複状態に切り換えられている状態で、前記支持可能状態と前記非支持状態との切換を行うことが可能に構成された
請求項1に記載のリール装置。
【請求項9】
前記支持ユニットは、前記非重複状態への切換によって、その全体が平面視で前記ベース上に位置する格納状態に切り換えられ、前記重複状態への切換によって、少なくともその一部が平面視で前記ベースから外側に突出した展開状態に切り換えられるように構成された
請求項8に記載のリール装置。
【請求項10】
前記スライド機構は、前記切換方向に形成された切換方向側レールと、該切換方向側レール上を往復スライド作動する切換方向側スライダーとを有している、
請求項8に記載のリール装置。
【請求項11】
前記スライド機構による前記ローラのスライドを規制して該ローラをその場で係止する係止状態と、該係止状態を解除して前記スライド機構による前記ローラのスライドを許容する可動状態との切換を行う係止手段を備えた
請求項1に記載のリール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールを回転させることでケーブル又はホースである紐状体の巻取作業、或いは繰り出し作業を行うリール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベースと、回転可能に支持され且つその回転軸心であるリール軸心を中心とする断面視で円形の外周面を有する巻胴部と、リール軸心を中心とする断面視で円形の外周面を有し且つ巻胴部と一体的に回転する鍔部(当接部)とを含み且つ巻胴部の回転によって該巻胴部の外周面側に巻き取られたケーブル(紐状体)を繰り出すリールと、該リールを下支えしてベース上面側から浮かせた状態で回転可能に支持する複数の支持ユニットと、を備え、支持ユニットは、前記リール軸心と平行な軸心であるローラ軸心を支点として回転可能に支持されたローラを有し、さらに、支持ユニットはローラの外周面を当接部の外周面に当接させて前記リールを下支えするリール装置が公知になっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
上記文献のリール装置によれば、ベース上で支持ユニットを適切な位置に移動させることによって、大きさや形状の異なる様々なリールを、その場で、回転可能に支持させることが可能になる一方で、ローラを含む支持ユニットが重量物である場合、意図した通りに移動させること自体が困難になり、支持ユニットをベース上の適切な箇所に配置することが難しいケースがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、リールを回転させることでケーブル又はホースである紐状体の巻取作業、或いは繰り出し作業を行うリール装置であって、ローラを含む支持ユニットが重量物である場合でも、該支持ユニットを意図した通りに移動させて適切な箇所に配置することを容易にするリール装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、ベースと、回転可能に支持され且つその回転軸心であるリール軸心を中心とする断面視で円形の外周面を有する巻胴部と、前記リール軸心を中心とする断面視で外周面を有し且つ前記巻胴部と一体的に回転する当接部と、を含み、前記巻胴部の回転によって該巻胴部の外周面側にケーブル又はホースである紐状体を巻き取るか、或いは該外周面側に巻き取られた前記紐状体を繰り出すリールと、前記リールを下支えして前記ベース上面側から浮かせた状態で回転可能に支持する複数の支持ユニットと、前記支持ユニットを前記リール軸心に対して交差する方向である交差方向に往復スライド可能にベースの上面側に支持するスライド機構と、を備え、前記支持ユニットは、前記リール軸心と平行な軸心であるローラ軸心を支点として回転可能に支持されたローラを有し、さらに、前記支持ユニットは、前記交差方向の一方側にスライドさせることによって前記ローラの外周面を前記当接部の外周面に当接させて、前記リールを下支えさせることが可能な支持可能状態に切り換えられ、前記交差方向の他方側にスライドさせることによって前記ローラが前記リールから離間して下支えすることができない非支持状態に切り換えられるように構成されたことを特徴とする。
【0007】
前記支持ユニットは、前記ローラを回転駆動させるアクチュエータを有し、前記支持ユニットは、支持可能状態への切換時であって且つ前記ローラが前記リールを下支えしている状態である時、該ローラの回動動力を前記リールに伝動させるように構成されたことものとしてもよい。
【0008】
前記スライド機構は、前記交差方向に形成された交差方向側レールと、該レール上を往復スライド作動する交差方向側スライダーとを有しているものとしてもよい。
【0009】
前記当接部は、前記巻胴部の端側に一体的に形成された鍔部であるものとしてもよい。
【0010】
前記リール軸心の方向から視て、前記当接部を挟んだ一方側と他方側とに夫々配置された一対の前記支持ユニットを、一組の支持ユニットセットとして設け、前記支持可能状態への切換時、前記支持ユニットセットの一対の支持ユニットの前記ローラによって、前記当接部が挟持された状態となるものとしてもよい。
【0011】
前記支持ユニットセットを前記一対の鍔部毎に設け、前記リールは、前記支持ユニットが前記支持可能状態に切り換えられた状態で、4つの前記ローラによって下支えされるものとしてもよい。
【0012】
前記支持ユニットは、前記ローラを昇降させる昇降機構を含み、前記支持可能状態への切換時、該昇降機構による昇降によって、前記リールが前記ベースの上面側に接地した接地状態と、前記ローラに下支えされて前記ベースの上面から浮いた非接地状態との切換を行う構造としたものとしてもよい。
【0013】
前記スライド機構は、前記支持ユニットを前記リール軸心に沿う方向である切換方向にも往復スライド移動可能に前記ベースの上面側に支持するように構成され、前記ローラは、前記支持ユニットを、前記スライド機構によって、前記切換方向の一方側にスライドされることによって、前記交差方向から視て前記当接部と重複する範囲に位置した重複状態に切り換えられ、前記切換方向の他方側にスライドされることによって、前記交差方向から視て前記当接部と重複しない範囲に位置した非重複状態に切り換えられるように構成され、前記支持ユニットは、前記重複状態に切り換えられている状態で、前記支持可能状態と前記非支持状態との切換を行うことが可能に構成されたものとしてもよい。
【0014】
前記支持ユニットは、前記非重複状態への切換によって、その全体が平面視で前記ベース上に位置する格納状態に切り換えられ、前記重複状態への切換によって、少なくともその一部が平面視で前記ベースから外側に突出した展開状態に切り換えられるように構成されたものとしてもよい。
【0015】
前記スライド機構は、前記切換方向に形成された切換方向側レールと、該切換方向側レール上を往復スライド作動する切換方向側スライダーとを有しているものとしてもよい。
【0016】
前記スライド機構による前記ローラのスライドを規制して該ローラをその場で係止する係止状態と、該係止状態を解除して前記スライド機構による前記ローラのスライドを許容する可動状態との切換を行う係止手段を備えたものとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
支持ユニットをリール軸心に対して交差方向に往復スライド可能にベースの上面側に支持するスライド機構を設けたので、ローラを含む支持ユニットが重量物である場合でも、該支持ユニットを意図した通りに移動させて適切な箇所に配置することを容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明を適用したリール装置の平面図である。
【
図2】本発明を適用したリール装置の側面図である。
【
図3】支持ユニットの要部構成を示す正面図である。
【
図4】(A)はローラを下降させた状態を示す昇降機構の側面図であり、(B)はローラを上昇させた状態を示す昇降機構の側面図である。
【
図5】スライド機構のスライドを規制している状態及びパイプ受けの取付構成を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び
図2は、本発明を適用したリール装置の平面図及び側面図である。図示するリール装置では、ベース1と、リール2と、該リール2をベース1の上面側に回転可能に支持する複数の支持ユニット3と、複数の支持ユニット3毎に設けられ且つ該支持ユニット3をベース1上でスライド作動させるスライド機構4と、を備えている。
【0020】
上記リール2は、その仮想的で水平な回転軸心であるリール軸心6を中心とする断面視で円形の外周面を有し且つリール軸心6の方向に筒状をなす巻胴部7と、該巻胴部7におけるリール軸心6の方向の両端側に一体的に構成された一対の鍔部8,8(当接部)と、を備えている。鍔部8は巻胴部7と同様にリール軸心6を中心とする外周面を有し、該外周面は巻胴部7の外周面より径が長く設定されている。
【0021】
ちなみに、以下、リール軸心6と平行な方向を「左右方向」とし、リール軸心6と直交する水平な方向を「前後方向」とする。
【0022】
なお、リール2の中心部を貫く物理的な支持軸を設け、該支持軸の軸心を前記リール軸心6としてもよい。この場合、リール2は、ベアリングを介して支持軸に回転可能に支持される。
【0023】
上記ベース1は、左右一対のベース構成部材9,9を有している。各ベース構成部材9は、方形状に形成された金属製の前後一対の載置プレート11,11と、前後の載置プレート11を連結する連結部材12と、を有している。ベース構成部材9は、前後対称な形状に成形されている。また、左右のベース構成部材9,9は左右対称な形状に成形されている。
【0024】
各載置プレート11は、トラックの荷台等にボルト等の固定具で着脱可能に固定される。各載置プレート11には、互いに近づく側に延設された延設部13が一体形成されている。この延設部13は載置プレート11の左右外側の縁部に配置されている。前後の載置プレート11,11の延設部13,13の先端部同士は、近接又は当接しており、互いの上面同士が面一な状態になる。この前後の延設部13,13の上面の一方から他方に至る範囲に板状に形成された上述の連結部材12を載置され、この連結部材12を、前後の延設部13,13にボルト等の固定具で固定することによって、前後の載置プレート11,11が連結固定される。
【0025】
次に、
図1乃至
図2に基づき、スライド機構4の構成を説明する。
【0026】
スライド機構4は、上述の載置プレート11と、載置プレート11上にスライド可能に支持された切換方向側テーブル(切換方向側スライダー)16と、該切換方向側テーブル16上にスライド可能に支持され且つその上面側に支持ユニット3が設置された交差方向側テーブル(交差方向側スライダー)17と、を有している。
【0027】
切換方向側テーブル16は、載置プレート11の上面における前後の端部の夫々に配置され且つ平面視でリール軸心6に沿う方向である切換方向(本例では、左右方向)に敷設された前後一対の切換方向側レール14a,14aによって、該切換方向に往復スライド作動するように構成されている。
【0028】
交差方向側テーブル17は、切換方向側テーブル16の上面における左右の端部の夫々に配置され且つ平面視でリール軸心6と交差する方向である交差方向(本例では、直交する方向である前後方向)に敷設された左右一対の交差方向側レール14b,14bによって、該交差方向に往復スライド作動するように構成されている。
【0029】
一対の切換方向側レール14a,14aは、断面視で互いに近づく側と下側との2方向に延びる逆L字状に形成され、載置プレート11の幅方向(左右方向)の全体又は略全体に亘って形成されている。この切換方向側レール14aは、その下端部が載置プレート11の上面に全体的に当接された状態で、ボトル等の固定具によって、該載置プレート11に着脱可能に取り付け固定されている。
【0030】
切換方向側テーブル16は、交差方向に長い方形状の金属製の厚板部材であり、その全長が一対の切換方向側レール14a,14aの間隔に対応している。そして、切換方向側テーブル16は、一対の切換方向側レール14a,14aの間に嵌め込まれた状態で、切換方向に往復スライド可能に支持されている。
【0031】
一対の交差方向側レール14b,14bは、断面視で互いに近づく側と下側との2方向に延びる逆L字状に形成され、切換方向側テーブル16の全長の全部又は略全部に亘って形成されている。この交差方向側レール14bは、その下端部が切換方向側テーブル16の上面に全体的に当接された状態で、ボトル等の固定具によって、該切換方向側テーブル16に着脱可能に取り付け固定されている。
【0032】
交差方向側テーブル17は、交差方向に長い方形状の金属製の厚板部材であり、その幅が一対の交差方向側レール14b,14bの間隔に対応している。そして、交差方向側テーブル17は、一対の交差方向側レール14b,14bの間に嵌め込まれた状態で、交差方向に往復スライド可能に支持されている。
【0033】
該構成のスライド機構4によれば、切換方向側テーブル16の左右方向への往復スライド作動により、支持ユニット3は、その全体が平面視で載置プレート11上に位置する格納状態と、少なくともその一部が平面視で載置プレート11から外側に突出した展開状態と、を切換可能に構成される。一方、交差方向側テーブル17は、その上面側に支持ユニット3が固定され、その前後方向への往復スライド作動によって該支持ユニット3が前後方向に移動する。
【0034】
次に、
図1乃至
図5に基づき、支持ユニット3の構成を説明する。
【0035】
図3は支持ユニットの要部構成を示す正面図であり、
図4(A)はローラを下降させた状態を示す昇降機構の側面図であり、(B)はローラを上昇させた状態を示す昇降機構の側面図であり、
図5はスライド機構のスライドを規制している状態及びパイプ受けの取付構成を示す要部断面図である。複数(具体的には4つ)の支持ユニット3のうちの2つは、リール軸心6の方向から視て、一方の鍔部8を挟んだ一方側と他方側との夫々に配置されて一組の支持ユニットセットを構成している。また、残りの2つの支持ユニット3,3も、リール軸心6の方向から視て、他方の鍔部8を挟んだ一方側と他方側との夫々に配置されて一組の支持ユニットセットを構成している。
【0036】
支持ユニット3は、交差方向側テーブル17の上面に固設され且つ方形板状に成形されたユニットベース18と、リール軸心6と平行な方向に筒状をなして該リール2の外周面(具体的には、鍔部8の外周面)に下側に当接させるローラ19と、該ローラ19をその軸回りに回転可能に支持する支持フレーム21と、ローラ19を回転駆動させる電動式のモータ(アクチュエータ)22と、その外周面がローラ19に当接している状態のリール2におけるリール軸心6の方向の端面と当接して該リール2のリール軸心6の方向への移動を規制する筒状のサイドローラ23と、ローラ19及びサイドローラ23を支持フレーム21と共に昇降させる昇降機構24と、を備えている。
【0037】
ユニットベース18は、その縁側の複数個所を交差方向側スライドテーブル17にボルト等の固定具で固定することによって、交差方向側スライドテーブル17に着脱可能に取り付け固定されている。
【0038】
ローラ19は、自身の軸心であるローラ軸心27を支点として、回転可能に支持フレーム21に支持されている。このローラ軸心27は、上述の構成によってリール軸心6と平行な方向に向けられている。ちなみに、ローラ19は、ローラ軸心27上に形成された物理的な回転軸であるローラ軸28によって回転可能に支持フレーム21に支持される。
【0039】
支持フレーム21は、ローラ軸心27の方向に所定間隔を介して平行に対向する一対の板状のサイドフレーム29,30と、2つのサイドフレーム29,30同士を連結して固定する複数の連結棒31,32と、を有している。
【0040】
一対のサイドフレーム29,30の一方はローラ軸心27と直交する方向に長い菱形の板状に形成された第1サイドフレーム29であり、他方はローラ軸心27の方向から視て第1サイドフレーム29と下縁部は全長方向の全体に亘って同一の形状をなし且つ上縁部は第1サイドフレーム29よりも上方に円弧状に膨出した形状に成形された第2サイドフレーム30である。
【0041】
言い換えると、第1サイドフレーム29は、第2サイドフレーム30よりも小さく、両者の全長方向の端部同士は、ローラ軸心27の方向から視て一致した範囲に形成されている。この一対のサイドフレーム29,30の全長方向の夫々の端部同士は、ローラ軸心27と平行な方向に向けられた一対の連結棒31,32によって各別に連結固定されている。
【0042】
第2サイドフレーム30の全長方向の中央部の下寄り部分には、挿通孔33が穿設され、該第2サイドフレーム30における挿通孔33よりも上寄りの部分には、矩形又は略矩形状なる作動孔34が穿設されている。第1サイドフレーム29の全長方向の中央部には、ローラ19のローラ軸心27を支点に回転自在に支持するベアリング36が設置されている。
【0043】
ローラ19の支持構造について説明すると、該ローラ19を、一対のサイドフレーム29,30の間に位置させ且つローラ軸28を挿通孔33に挿通させた状態で、上述したベアリング36によって第1サイドフレーム29に回転自在に片持ち支持させる。
【0044】
また、ローラ19は、支持ユニット3が上述の展開状態に切り換えられた場合、前後方向から視て、鍔部8と重複する範囲に位置する重複状態に切り換えられる一方で、支持ユニット3が上述の格納状態に切り換えられた場合には、ローラ19が前後方向から視て鍔部8と重複しない範囲に位置した非重複状態に切り換えられる。すなわち、本例では、展開状態は重複状態と同義であり、格納状態は非重複状態と同義である。
【0045】
モータ22は、ローラ19を片持ち支持していない側のサイドフレーム30側に取り付け支持され、且つ、ローラ軸28と同一又は略同一軸心をなす駆動軸42を有するギヤードモータである。モータ22は、サイドフレーム30における他のサイドフレーム29と対向する面と反対側の面側に配置されている。モータ22は図示しない操作部によって遠隔操作される。駆動軸42は、ローラ軸28と一体で回転するように、軸接手43によってローラ軸28に接続されている。
【0046】
また、モータ22は、一方の連結棒32を利用してサイドフレーム30側に取り付け支持される。
【0047】
サイドローラ23は、その軸心を支点として回動可能に支持フレーム21側に支持されている。サイドローラ23の軸心は、複数の支持ユニット3毎に設けられたローラ19によって回転駆動可能に下支えされたリール2におけるリール軸心6の方向の円状の端面(具体的には、鍔部8における巻胴部8と反対側の端面)に該サイドローラ23を当接させている状態で、該端面の円形状の径方向に沿う方向を向くように、その方向の設定されている。具体的には、一の支持フレーム21に支持されたローラ19及びサイドローラ23に関し、ローラ19の軸方向視で、該ローラ19の径方向にサイドローラ23の軸心が向けられている。
【0048】
このため、複数(具体的には4つ)のローラ19によってリール2を回転駆動させた場合、該リール2の端末と当接しているサイドローラ23も、その軸心を支点として、回転作動する。ちなみに、このサイドローラ23は、第2サイドフレーム30の作動孔34を介して、支持フレーム21の外側からリール2側に臨んでいる。
【0049】
昇降機構24は、支持フレーム21と、前記支持フレーム21の全長方向(サイドフレーム29,30の全長方向)におけるリール軸心6に近い側の端部(具体的には、連結棒31)を支点として、上下揺動可能に、該支持フレーム21をユニットベース18側に支持する支持部材38と、前記支持フレーム21の全長方向におけるリール軸心6から遠い側の端部(具体的には連結棒32)とユニットベース18との間に介在し且つ伸縮作動によって支持フレーム21を連結棒31を支点として上下揺動駆動させる油圧式の昇降アクチュエータ39と、を有している。
【0050】
支持部材38は、ユニットベース18から上方に一体的に突設されている。昇降アクチュエータ39は、伸縮作動する油圧シリンダ又は油圧ジャッキ等から構成されている。昇降アクチュエータ39の一端側は、ユニットベース18の上面側に固設された連結部材41の軸部41aの軸回りに回動可能に、該連結部材41に連結され、他端側は連結棒32の軸回りに回動可能に該連結棒32に連結されている。
【0051】
昇降機構24は、昇降シリンダ39を伸長作動させることにより、支持フレーム21を、連結棒32を支点として上方に揺動させ、これによってローラ19及びサイドローラ23の位置を上方に変位させる一方で、昇降シリンダ39を縮小作動させることにより、支持フレーム21を、連結棒32を支点として下方に揺動させ、これによってローラ19及びサイドローラ23の位置を下方に変位させる。
【0052】
このため、昇降機構24によってローラ19を上方に変位させることにより、リール2は、該ローラ19に下支えされた状態で持ち上げられ、ベース1の上面から浮いた非接地状態に切り換えられる。一方、昇降機構24によってローラ19を下方に変位させることにより、リール2は、該ローラ19と共に下方に変位してベース1の上面側に接地した接地状態に切り換えられる。
【0053】
複数(具体的には4つ)の支持ユニット3,3,3,3による単一のリール2の支持構造について説明すると、支持ユニット3は、展開状態に切り換えられている状態で、前後方向のうちリール軸心6に近接する方向にスライド作動させることによって、ローラ19の外周面を鍔部8の外周面の下側に当接させて、リール2を下支えることが可能な状態(支持可能状態)に切り換えられる。リール軸心6とローラ軸心27とが互いに平行な状態の鍔部8及びローラ19は、リール2又はローラ19の軸方向視で、互いの円状の外周面同士が接した状態になる。
【0054】
そして、左右の対応する鍔部8,8毎に個別に設けられた支持ユニットセットの前後一対の支持ユニット3,3,3,3の夫々を支持可能状態に切り換えた場合、左右の鍔部8,8の夫々が。交差方向の両側から前後一対のローラ19,19,19,19によって、下側から挟持された状態に切り換えられる。ちなみに、リール2がずれるのを極力防止するため、4つのローラ19,19,19,19は、同一又は略同一のタイミングで鍔部8,8に当接し、その当接力も前後左右で同一になるように、各支持ユニット3,3,3,3をスライド作動させることが望ましい。
【0055】
この状態で、全ての支持ユニット3,3,3,3のローラ19,19,19,19を、自身の昇降機構24,24,24,24によって上昇させることによって、リール2を持ち上げて接地状態から非接地状態への切換を行う。この際も、ローラ19,19,19,19は、互いに同調させて上昇駆動させることが望ましい。
【0056】
非接地状態に切り換えられたリール2は、ローラ19,19,19,19によって回転駆動させることが可能な状態になる。すなわち、非接地状態とは、リール2がベース1の上面側に回転可能に支持された状態である。
【0057】
一方、非接地状態において、全ての支持ユニット3,3,3,3を、互いに同調させながら、下降させることによって、リール2を、非接地状態から接地状態に復帰させることが可能である。また、この状態から、全ての支持ユニット3,3,3,3を、互いに同調させながら、リール軸心6から離間する方向にスライドさせることによって、ローラ19,19,19,19の外周面と対応する鍔部8,8の外周面との当接を解除し、リール2が4つのローラ19,19,19,19によって下支えされていない状態(非支持状態)に切り換えられる。
【0058】
次に、
図1及び
図5に基づき、スライド機構4のスライドを規制する手段の構成について説明する。
【0059】
スライド機構4は、上述の構成のほかに、スライド機構4のスライドを規制する係止手段44を備えている。係止手段44は、位置決めピン46と、位置決めピン46が挿通される複数の位置決め孔47と、位置決めピン46を固定する複数のピン受け48と、によって構成される。なお、図示する例では、複数のピン受け48及び複数の位置決め孔47は、一部を除いて省略している。
【0060】
位置決めピン46は、ボルト状に形成された金属製の係止部材であり、その全長(上下方向の長さ)が、少なくとも載置プレート11、切換方向側テーブル16、交差方向側テーブル17及びユニットベース18の断面視における上下方向の長さ(厚さ)を合計した値と、同一又は略同一に設定されている。
【0061】
複数の位置決め孔47は、切換方向側テーブル16、交差方向側テーブル17及びユニットベース18に穿設された孔47a,47b,47c同士を一致させることによって形成される。この位置決め孔47は、所定の間隔毎に複数箇所に形成させることが可能である。
【0062】
一方、ピン受け48は、載置プレート11における位置決め孔47を形成させることが可能な複数の箇所に設けられている。ピン受け48は、平面視で楕円状且つ側断面視で凸字状をなす金属製の被係止部材である。このピン受け48は、側断面視でその上面及び底面が載置プレート11の上面及び底面と面一となるように、載置プレート11に埋め込まれ且つボルト等の固定具によって固定される。
【0063】
ピン受け48は、位置決めピン46の先端側がねじ係合されるピン受け孔49を有している。このピン受け孔49は、平面視でその中心側に穿設された円形状をなし且つ、上述の複数の位置決め孔47が互いに重複する位置にある場合、平面視でこれらの位置決め孔47と重複する位置に配置される。
【0064】
切換方向側テーブル16及び交差方向側テーブル17の夫々を所定位置にスライドされることにより、3つの孔47a,47b,47c平面視における位置が一致して位置決め孔47が形成される。この位置決め孔47は平面視でピン受け孔49の位置とも一致した状態になる。
【0065】
この状態で、複数の位置決め孔47とピン受け孔49とに位置決めピン46を挿通し、その先端側をピン受け孔49にネジ係合させて締着させることにより、スライド機構4(具体的には、切換方向側テーブル16及び交差方向側テーブル17)は、そのスライド作動が規制(禁止)された係止状態に切り換えられる。一方で、位置決めピン46によるネジ係合を解除し、該位置決めピン46を位置決め孔47から引き抜くことにより、スライド機構4は、そのスライド作動が許容される可動状態に切り換えられる。
【0066】
次に、
図1及び
図5に基づき、パイプ受け51の構成ついて説明する。
【0067】
支持ユニット3は上述の構成のほかに、一の支持ユニット3と他の一の支持ユニット3とを連結するジョイントパイプ52を固定するパイプ受け52を有している。
【0068】
パイプ受け51は、ユニットベース18の上面にボルト等の固定具によって着脱可能に固定される取付座53と、その上方に延設された左右方向の筒状をなす被挿通部54とを有している。ジョイントパイプ52は、その全長(左右方向の長さ)が一の支持ユニット3が有するパイプ受け51から該支持ユニット3に対して左右方向に配置された他の一の支持ユニット3が有するパイプ受け51に至るまでの長さに設定された管状部材である。
【0069】
ジョイントパイプ52は、その一端側が一の支持ユニット3の被挿通部54に挿通されるとともに、その他端側が上述の他の一の支持ユニット3の被挿通部54に挿通され、夫々の上方からボルト等の固定具によって着脱可能に固定される。これによって、ジョイントパイプ52に連結された両支持ユニット3,3は、前後方向に一体的に往復スライド可能に構成される。
【0070】
以上のように構成されるリール装置によれば、支持ユニット3を前後方向に往復スライド可能にベース1の上面側に支持する交差方向側テーブル17を設けたので、ローラ19を含む支持ユニット3が重量物である場合でも、該支持ユニット3を意図した通りに移動させて適切な箇所に配置することが容易になる。
【符号の説明】
【0071】
1 ベース
2 リール
3 支持ユニット
4 スライド機構
6 リール軸心
7 巻胴部
8 鍔部(当接部)
14a 切換方向側レール
16 切換方向側テーブル(切換方向側スライダー)
14b 交差方向側レール
17 交差方向側テーブル(交差方向側スライダー)
19 ローラ
22 モータ(アクチュエータ)
24 昇降機構
27 ローラ軸心
44 係止手段