IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本アンテナ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006811
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】平面アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20250109BHJP
   H01Q 9/26 20060101ALI20250109BHJP
   H01Q 9/28 20060101ALI20250109BHJP
   H01Q 19/10 20060101ALI20250109BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01Q7/00
H01Q9/26
H01Q9/28
H01Q19/10
H01Q21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107816
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000227892
【氏名又は名称】日本アンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三上 公一
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA05
5J020BA07
5J020BC02
5J020BC10
5J020CA04
5J021AA02
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB04
5J021BA01
5J021CA01
5J021CA04
5J021HA05
5J021JA07
(57)【要約】
【課題】 平面アンテナの反射板に設ける開口部の形状やその数を最適化する。
【解決手段】 平面アンテナ3は、方形双ループ素子からなる放射素子10と、放射素子10に対面して後方に配置された反射板31とから構成されている。反射板31は金属板を加工して矩形に作成されており、放射素子10に対面する矩形の平面状部に5つの開口部31aが所定間隔で形成されており、平面状部の両側に、放射素子10側に向かってほぼ直角に屈曲された折曲部31bが形成されている。開口部31a間の辺は、ジグザグ型に形成されている。これにより、反射板31の横幅を小さくすることができる。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形のループ状に形成されているループ素子からなる放射素子と、
前記放射素子に対面して所定間隔だけ離隔して後方に配置され、前記放射素子に対面する平面状部と、該平面状部の両側が前記放射素子側へ屈曲された屈曲部とを有し、前記平面状部に複数の開口部が形成されている反射板とを備え、
前記反射板に形成されている前記開口部の形状が矩形とされていると共に、4つの前記開口部が前記平面状部に縦方向に所定間隔で形成されていることを特徴とする平面アンテナ。
【請求項2】
前記放射素子は、矩形の双ループ素子とされ、対面する両辺のほぼ中央から中央側へ対向するよう延伸された2本の給電素子を有し、該2本の給電素子のそれぞれの端部に接続された2本の給電線路に給電部から給電されていることを特徴とする請求項1に記載の平面アンテナ。
【請求項3】
三角のループ状に形成されているループ素子からなる放射素子と、
前記放射素子に対面して所定間隔だけ離隔して後方に配置され、前記放射素子に対面する平面状部と、該平面状部の両側が前記放射素子側へ屈曲された屈曲部とを有し、前記平面状部に複数の開口部が形成されている反射板とを備え、
前記反射板に形成されている前記開口部の形状が矩形とされていると共に、4つの前記開口部が前記平面状部に縦方向に所定間隔で形成されていることを特徴とする平面アンテナ。
【請求項4】
前記放射素子は、三角の双ループ素子とされ、対面する2つの三角の頂点がそれぞれ給電点とされ、該給電点のそれぞれに接続された2本の給電線路に給電部から給電されていることを特徴とする請求項3に記載の平面アンテナ。
【請求項5】
前記平面状部に形成されている前記開口部において、前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の平面アンテナ。
【請求項6】
三角のループ状に形成されているループ素子からなる第1放射素子と、
三角のループ状に形成されているループ素子からなり、前記第1放射素子と対称の形状とされて前記第1放射素子に対して縦方向に配置された第2放射素子と、
前記第1放射素子と前記第2放射素子とに対面して所定間隔だけ離隔して後方に配置され、前記第1放射素子と前記第2放射素子とに対面する平面状部と、該平面状部の両側が前記第1放射素子および前記第2放射素子の側へ屈曲された屈曲部とを有し、前記平面状部に複数の開口部が形成されている反射板とを備え、
前記反射板に形成されている前記開口部の形状が矩形とされていると共に、9つの前記開口部が前記平面状部に縦方向に所定間隔で形成されていることを特徴とする平面アンテナ。
【請求項7】
前記第1放射素子と前記第2放射素子とは、それぞれ三角の双ループ素子とされ、対面する2つの三角の頂点がそれぞれ給電点とされ、前記第1放射素子の前記給電点のそれぞれに接続された2本の第1給電線路と、前記第2放射素子の前記給電点のそれぞれに接続された2本の第2給電線路とが接続される給電基板を有し、該給電基板において前記第1給電線路と前記第2給電線路とに給電部から給電されていることを特徴とする請求項6に記載の平面アンテナ。
【請求項8】
三角のループ状に形成されているループ素子からなる第1放射素子と、
三角のループ状に形成されているループ素子からなり、前記第1放射素子と対称の形状とされて前記第1放射素子に対して縦方向に配置された第2放射素子と、
前記第1放射素子と前記第2放射素子とに対面して所定間隔だけ離隔して後方に配置され、前記第1放射素子と前記第2放射素子とに対面する平面状部と、該平面状部の両側が前記第1放射素子および前記第2放射素子の側へ屈曲された屈曲部とを有し、前記平面状部に複数の開口部が縦方向に所定間隔で形成されている反射板とを備え、
前記平面状部に形成されている前記開口部において、前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされていることを特徴とする平面アンテナ。
【請求項9】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記平面状部に形成された前記開口部が、前記平面状部の横方向の中心線に対して対称の位置に1つずつ縦方向に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項10】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記平面状部に形成された前記開口部が、前記平面状部の横方向の中心線に対して対称の位置に2つずつ縦方向に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項11】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記平面状部に形成された前記開口部が、前記平面状部の横方向の中心線に対して対称の位置に3つずつ縦方向に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項12】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記平面状部に形成された前記開口部が、前記平面状部の横方向の中心線に対して対称の位置に4つずつ縦方向に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項13】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記平面状部に形成された前記開口部が、9つ縦方向に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項14】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記反射板に9つ縦方向に形成されている前記開口部において、前記平面状部の横方向の中心線に対して対称の位置に形成されている1つずつの前記開口部では、中央部の所定幅において開口が形成されていないことを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項15】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記反射板に9つ縦方向に形成されている前記開口部において、前記平面状部の横方向の中心線に対して対称の位置に形成されている2つずつの前記開口部では、中央部の所定幅において開口が形成されていないことを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項16】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記反射板に9つ縦方向に形成されている前記開口部において、前記平面状部の横方向の中心線に対して対称の位置に形成されている2つずつと中央の前記開口部では、中央部の所定幅において開口が形成されていないことを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項17】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記反射板に9つ縦方向に形成されている前記開口部において、前記平面状部の横方向の中心線に対して対称の位置に形成されている3つずつと中央の前記開口部では、中央部の所定幅において開口が形成されていないことを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項18】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記反射板に9つ縦方向に形成されている前記開口部では、中央部の所定幅において開口が形成されていないことを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項19】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記反射板に9つ縦方向に形成されている前記開口部において、前記平面状部の横方向の中心線に対して対称の位置の1つずつの前記開口部の中央部の所定幅が塞ぎ板により塞がれていることを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項20】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記反射板に9つ縦方向に形成されている前記開口部において、前記平面状部の横方向の中心線に対して対称の位置の2つずつの前記開口部の中央部の所定幅が塞ぎ板により塞がれていることを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項21】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記反射板に9つ縦方向に形成されている前記開口部において、前記平面状部の横方向の中心線に対して対称の位置の2つずつと中央の前記開口部の中央部の所定幅が塞ぎ板により塞がれていることを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項22】
前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされて前記反射板に9つ縦方向に形成されている前記開口部において、前記平面状部の横方向の中心線に対して対称の位置の3つずつと中央の前記開口部の中央部の所定幅が塞ぎ板により塞がれていることを特徴とする請求項8に記載の平面アンテナ。
【請求項23】
開口が形成されていない中央部の所定幅が、使用周波数帯域の中心周波数の1波長を1λとした際に、約0.08λ~約0.216λとされることを特徴とする請求項14ないし請求項18のいずれかに記載の平面アンテナ。
【請求項24】
前記塞ぎ板の所定幅が、使用周波数帯域の中心周波数の1波長を1λとした際に、約0.08λ~約0.216λとされることを特徴とする請求項19ないし請求項22のいずれかに記載の平面アンテナ。
【請求項25】
前記第1放射素子と前記第2放射素子とは、それぞれ三角の双ループ素子とされ、対面する2つの三角の頂点がそれぞれ給電点とされ、前記第1放射素子の前記給電点のそれぞれに接続された2本の第1給電線路と、前記第2放射素子の前記給電点のそれぞれに接続された2本の第2給電線路とが接続される給電基板を有し、該給電基板において前記第1給電線路と前記第2給電線路とに給電部から給電されていることを特徴とする請求項8ないし請求項22のいずれかに記載の平面アンテナ。
【請求項26】
前記給電基板に、インピーダンスを調整する調整板が形成されていることを特徴とする請求項25に記載の平面アンテナ。
【請求項27】
前記第1放射素子と前記第2放射素子とは、それぞれ三角の双ループ素子とされ、該三角の双ループ素子のそれぞれは、上辺と下辺を形成する外側素子と、該外側素子の両端部間を接続する三角を形作る給電素子と、前記外側素子から中央側に延伸して形成された内側素子と、前記外側素子と、前記給電素子と、前記外側素子と前記内側素子との間に形成されたスリットとを備えることを特徴とする請求項8ないし請求項22のいずれかに記載の平面アンテナ。
【請求項28】
前記第1放射素子と前記第2放射素子との前記給電素子の三角の頂点がそれぞれ給電点とされ、前記第1放射素子の前記給電点のそれぞれに接続された2本の第1給電線路と、前記第2放射素子の前記給電点のそれぞれに接続された2本の第2給電線路とが接続される給電基板を有し、該給電基板において前記第1給電線路と前記第2給電線路とに給電部から給電されていることを特徴とする請求項27に記載の平面アンテナ。
【請求項29】
前記給電基板に、インピーダンスを調整する調整板が形成されていることを特徴とする請求項28に記載の平面アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射板を有する平面アンテナに関し、地上デジタルテレビ放送を受信するに好適な平面アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタルテレビ放送を受信する従来のアンテナとして、八木アンテナや平面アンテナが知られている。平面アンテナは、一般に厚みの薄いケースを備えており、平面状とされたアンテナ素子がケース内に内蔵されている。この平面アンテナにおいて、アンテナ素子の背面側に反射板を配置した従来の反射板付平面アンテナ(特許文献1参照)が知られている。
【0003】
特許文献1に開示された反射板付平面アンテナ100の構成を図43(a)(b)(c)に示す。図43(a)は従来の反射板付平面アンテナ100の正面図、図43(b)は従来の反射板付平面アンテナ100の背面図、図43(c)は従来の反射板付平面アンテナ100の側面図である。
これらの図に示すように、従来の反射板付平面アンテナ100は、方形双ループ素子からなる放射素子とされる前方素子110と、前方素子110に対面して後方に配置された反射板とされる後方素子111とから構成されている。
【0004】
前方素子110は金属板を加工して矩形に作成されており、矩形状の外枠を構成する4つの辺と、略中央に横方向に形成されている2つの突起部112とから構成されている。突起部112の対向する端部が給電点113とされている。このような前方素子110は、突起部112から上部の外枠と突起部112からなる方形ループ素子と、突起部112から下部の外枠と突起部112からなる方形ループ素子とからなる方形双ループ素子とされている。
後方素子111は金属板を加工して矩形に作成されており、前方素子110に対面する矩形の部分に3つの空隙部117a、117b、117cが形成されている。また、矩形の部分の両側に、前方素子110側に向かってほぼ直角に屈曲された立上り部116が形成されている。3つの空隙部117a、117b、117cにより後方素子111の反射特性を向上させることが可能となる。
前方素子110の2つの給電点113には、それぞれ給電線114が接続されており、2本の給電線の端部に給電部115から給電されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6668109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、反射板に設ける開口部の形状やその数を最適化するようにした平面アンテナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成することができる本発明の平面アンテナは、矩形あるいは三角のループ状に形成されているループ素子からなる放射素子と、前記放射素子に対面して所定間隔だけ離隔して後方に配置され、前記放射素子に対面する平面状部と、該平面状部の両側が前記放射素子側へ屈曲された屈曲部とを有し、前記平面状部に複数の開口部が形成されている反射板とを備え、前記反射板に形成されている前記開口部の形状が矩形とされていると共に、4つの前記開口部が前記平面状部に縦方向に所定間隔で形成されていることを主要な特徴としている。
本発明の平面アンテナの前記平面状部に形成されている前記開口部において、前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされていてもよい。
また、上記した目的を達成することができる本発明の他の平面アンテナは、三角のループ状に形成されているループ素子からなる第1放射素子と、三角のループ状に形成されているループ素子からなり、前記第1放射素子と対称の形状とされて前記第1放射素子に対して縦方向に配置された第2放射素子と、前記第1放射素子と前記第2放射素子とに対面して所定間隔だけ離隔して後方に配置され、前記第1放射素子と前記第2放射素子とに対面する平面状部と、該平面状部の両側が前記第1放射素子および前記第2放射素子の側へ屈曲された屈曲部とを有し、前記平面状部に複数の開口部が縦方向に所定間隔で形成されている反射板とを備え、前記平面状部に形成されている前記開口部において、前記開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされていることを主要な特徴としている。
【0008】
上記した本発明の他の平面アンテナにおいて、前記平面状部に形成された前記開口部の数が2ないし9とされていてもよい。
また、上記した本発明の他の平面アンテナにおいて、前記平面状部に形成された前記開口部では中央部の所定幅において開口が形成されていなくてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の平面アンテナでは、反射板に設ける開口部の形状やその数を最適化したので、特性を改善することができるようになる。また、開口部において、開口部間の辺がジグザグ型あるいは波形とされることで、平面アンテナの寸法を小型化することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施例の平面アンテナの構成を示す正面図である。
図2】本発明の第1実施例の平面アンテナの構成を示す背面図である。
図3】本発明の第1実施例の平面アンテナの構成を示す上面図である。
図4】本発明の第1実施例の平面アンテナの構成を示す側面図である。
図5】本発明の第1実施例の平面アンテナにおける放射素子の構成を示す正面図である。
図6】本発明の第1実施例の平面アンテナにおける反射板の構成を示す正面図である。
図7】本発明の第2実施例の平面アンテナの構成を示す正面図である。
図8】本発明の第2実施例の平面アンテナの構成を示す背面図である。
図9】本発明の第2実施例の平面アンテナの構成を示す上面図である。
図10】本発明の第2実施例の平面アンテナの構成を示す側面図である。
図11】本発明の第2実施例の平面アンテナにおける放射素子の構成を示す正面図である。
図12】本発明の第2実施例の平面アンテナにおける反射板の構成を示す正面図である。
図13】本発明の第3実施例の平面アンテナの構成を示す正面図である。
図14】本発明の第3実施例の平面アンテナの構成を示す背面図である。
図15】本発明の第4実施例の平面アンテナの構成を示す正面図である。
図16】本発明の第4実施例の平面アンテナの構成を示す背面図である。
図17】本発明の第3,4実施例の平面アンテナにおける反射板の構成を示す正面図である。
図18】本発明の第3,4実施例の平面アンテナにおける反射板の構成を示す下面図である。
図19】本発明の第5実施例の平面アンテナの構成を示す正面図である。
図20】本発明の第5実施例の平面アンテナの構成を示す背面図である。
図21】本発明の第5実施例の平面アンテナの構成を示す上面図である。
図22】本発明の第5実施例の平面アンテナの構成を示す側面図である。
図23】本発明の実施例の平面アンテナにおける給電部の構成を示す図である。
図24】本発明の第5実施例の平面アンテナにおける放射素子の構成を示す正面図である。
図25】本発明の第5実施例の平面アンテナにおける反射板の構成を示す正面図、下面図である。
図26】本発明の第6実施例の平面アンテナの構成を示す正面図である。
図27】本発明の第6実施例の平面アンテナの構成を示す背面図である。
図28】本発明の第6実施例の平面アンテナにおける反射板の構成を示す正面図、下面図である。
図29】本発明の第6実施例の平面アンテナにおける反射板の第1,第2変形例の構成を示す正面図である。
図30】本発明の第6実施例の平面アンテナにおける反射板の第3,第4変形例の構成を示す正面図である。
図31】本発明の第6実施例の平面アンテナにおける反射板の第5,第6変形例の構成を示す正面図である。
図32】本発明の第6実施例の平面アンテナにおいて反射板を第1変形例ないし第6変形例とした際のVSWR,VSWR評価値を示すグラフである。
図33】本発明の第6実施例の平面アンテナにおける反射板の第7変形例の構成を示す正面図、下面図と第1補強板の構成を示す正面図である。
図34】本発明の第6実施例の平面アンテナにおいて反射板を第7変形例とした際のVSWR,VSWR評価値を示すグラフである。
図35】本発明の第6実施例の平面アンテナにおける反射板の第8,第9変形例の構成を示す正面図である。
図36】本発明の第6実施例の平面アンテナにおける反射板の第10,第11形例の他の構成を示す正面図である。
図37】本発明の第6実施例の平面アンテナにおいて反射板を第7変形例ないし第11変形例とした際のVSWR,VSWR評価値を示すグラフである。
図38】本発明の第6実施例の平面アンテナにおける反射板の開口部の数や形状を変更できる塞ぎ板の構成を示す図である。
図39】本発明の第6実施例の平面アンテナにおける反射板において、開口部の数や形状を変更した一例の構成を示す図である。
図40】本発明の第6実施例の平面アンテナにおいて放射素子を変更した際のVSWR,VSWR評価値を示すグラフである。
図41】本発明の第7実施例の平面アンテナの構成を示す正面図である。
図42】本発明の第7実施例の平面アンテナにおける放射素子の構成を示す正面図である。
図43】従来の反射板付平面アンテナ100の構成を示す正面図、背面図、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本発明の第1実施例の平面アンテナ>
本発明の第1実施例の平面アンテナ1は、地上デジタルテレビ放送を受信するアンテナとされ、使用周波数帯域は470MHz~710MHzとされている。第1実施例の平面アンテナ1の構成を図1ないし図6に示す。図1は第1実施例の平面アンテナ1の正面図、図2は第1実施例の平面アンテナ1の背面図、図3は第1実施例の平面アンテナ1の上面図、図4は第1実施例の平面アンテナ1の側面図、図5は第1実施例の平面アンテナ1の放射素子10の正面図、図6(a)は第1実施例の平面アンテナ1の反射板11の正面図、図6(b)は第1実施例の平面アンテナ1の反射板11の下面図である。
これらの図に示すように、第1実施例の平面アンテナ1は、方形双ループ素子からなる放射素子10と、放射素子10に対面して後方に配置された反射板11とから構成されている。
【0012】
放射素子10は図5に示すように矩形の金属板に2つの切欠10cを上下に形成して矩形に作成されており、矩形状の外枠を構成する上辺、下辺、左辺、右辺の4つの辺と、略中央に横方向に形成されている2本の給電素子10aとから構成されている。2本の給電素子10aの対向する端部が給電点10bとされている。このような放射素子10は、2本の給電素子10aと左辺の上半分と上辺と右辺の上半分とからなる方形ループ素子と、2本の給電素子10aと左辺の下半分と下辺と右辺の下半分とからなる方形ループ素子との方形双ループ素子とされている。
反射板11は金属板を加工して矩形に作成されており、図6に示すように放射素子10に対面する矩形の平面状部に4つの開口部11aが縦方向に所定間隔で形成されている。また、平面状部の両側に、放射素子10側に向かってほぼ直角に屈曲された折曲部11bが形成されている。4つの開口部11aの周囲長Lλはすべて同じ長さとされ、使用周波数帯域の中心周波数(590MHz)の波長をλとすると周囲長Lλは約1λとされ、最適化された数である4つの開口部11aにより反射板11の反射特性を向上させることが可能となる。
放射素子10の2つの給電点10bには、それぞれ給電線路12が接続されており、2本の給電線路12の端部に給電部13から給電されている。
【0013】
本発明の第1実施例の平面アンテナ1の各部の寸法について説明すると、図4に示す放射素子10と反射板11との間隔H1は約45mm、反射板11の折曲部11bの高さH2は約30mmとされ、図5に示す放射素子10の横幅W1は約220mm、縦の長さL1は約280mmとされている。図6に示す反射板11の横幅W2は約240mm、縦の長さL1は約280mm、開口部11aの横幅W3は約200mm、開口部11aの縦の長さL2は約54mmとされ、開口部11aの間の辺の幅L3は約10mmとされている。
【0014】
<本発明の第2実施例の平面アンテナ>
本発明の第2実施例の平面アンテナ2は、地上デジタルテレビ放送を受信するアンテナとされ、使用周波数帯域は470MHz~710MHzとされている。第2実施例の平面アンテナ2の構成を図7ないし図12に示す。図7は第2実施例の平面アンテナ2の正面図、図8は第2実施例の平面アンテナ2の背面図、図9は第2実施例の平面アンテナ2の上面図、図10は第2実施例の平面アンテナ2の側面図、図11は第2実施例の平面アンテナ2の放射素子20の正面図、図12(a)は第2実施例の平面アンテナ2の反射板11の正面図、図12(b)は第2実施例の平面アンテナ2の反射板11の下面図である。
これらの図に示すように、第2実施例の平面アンテナ2は、第1実施例の平面アンテナ1の放射素子10を放射素子20とした平面アンテナとされている。すなわち、第2実施例の平面アンテナ2では方形双ループ素子からなる放射素子10に替えて三角のループ状に形成されている三角双ループ素子からなる放射素子20とされ、あとの構成は第1実施例の平面アンテナ1と同様とされている。第2実施例の平面アンテナ2は、三角双ループ素子からなる放射素子20と、放射素子20に対面して後方に配置された反射板11とから構成されている。
【0015】
放射素子20は図11に示すように矩形の金属板に2つの三角状の切欠20cを上下に形成すると共に、左右にも三角の切欠を形成して三角ループ状に作成されており、三角ループ状の外枠を構成する上辺および下辺と、斜辺とされた左辺および右辺との4つの辺とから構成されている。斜辺とされた左辺は、中央に向かって斜め右下に伸びる斜辺と、中央に向かって斜め右上に伸びる斜辺とからなり、斜辺とされた右辺は、中央に向かって斜め左下に伸びる斜辺と、中央に向かって斜め左上に伸びる斜辺とからなる。左辺における中央に向かって斜め右下に伸びる斜辺と、右辺における中央に向かって斜め左下に伸びる斜辺との2本は給電素子20aとされ、この2本の給電素子20aと上辺とで下向きの三角ループ素子が形作られている。また、左辺における中央に向かって斜め右上に伸びる斜辺と、右辺における中央に向かって斜め左上に伸びる斜辺との2本も給電素子20aとされ、この2本の給電素子20aと下辺とで上向きの三角ループ素子が形作られている。第2実施例の平面アンテナ2における放射素子20は上記した2つの三角ループ素子からなる三角双ループ素子とされており、対向する2つの三角ループ素子の対向する頂部が2つの給電点20bとされている。
反射板11は、第1実施例の平面アンテナ1における反射板11とされていることからその説明は省略するが、図12に示すように放射素子20に対面する矩形の平面状部に4つの開口部11aが縦方向に所定間隔で形成されている。また、平面状部の両側に、放射素子20側に向かってほぼ直角に屈曲された折曲部11bが形成されている。4つの開口部11aの周囲長Lλはすべて同じ長さとされ、使用周波数帯域の中心周波数(590MHz)の波長をλとすると周囲長Lλは約1λとされ、最適化された数である4つの開口部11aにより反射板11の反射特性を向上させることが可能となる。
放射素子20の2つの給電点20bには、それぞれ給電線路12が接続されており、2本の給電線路12の端部に給電部13から給電されている。
【0016】
本発明の第2実施例の平面アンテナ2の各部の寸法について説明すると、図10に示す放射素子20と反射板11との間隔H1は約45mm、反射板11の折曲部11bの高さH2は約30mmとされ、図11に示す放射素子20の横幅W1は約220mm、縦の長さL1は約280mmとされている。図12に示す反射板11の横幅W2は約240mm、縦の長さL1は約280mm、開口部11aの横幅W3は約200mm、開口部11aの縦の長さL2は約54mmとされ、開口部11aの間の辺の幅L3は約10mmとされている。
【0017】
<本発明の第3実施例の平面アンテナ>
本発明の第3実施例の平面アンテナ3は、地上デジタルテレビ放送を受信するアンテナとされ、使用周波数帯域は470MHz~710MHzとされている。第3実施例の平面アンテナ3の構成を図13図14図17図18に示す。図13は第3実施例の平面アンテナ3の正面図、図14は第3実施例の平面アンテナ3の背面図、図17は第3実施例の平面アンテナ3の反射板31の正面図、図18は第3実施例の平面アンテナ3の反射板31の下面図である。
これらの図に示すように、第3実施例の平面アンテナ3は、方形双ループ素子からなる放射素子10と、放射素子10に対面して後方に配置された反射板31とから構成されており、第3実施例の平面アンテナ3は、第1実施例の平面アンテナ1の反射板11に替えて異なる形状の開口部31aを有する反射板31とした構成とされている。
【0018】
放射素子10は、第1実施例の平面アンテナ1における放射素子10とされているので、その説明は省略するが、放射素子10は、2本の給電素子10aと左辺の上半分と上辺と右辺の上半分とからなる方形ループ素子と、2本の給電素子10aと左辺の下半分と下辺と右辺の下半分とからなる方形ループ素子との方形双ループ素子とされている。
反射板31は金属板を加工して矩形に作成されており、図17図18に示すように放射素子10に対面する矩形の平面状部に5つの開口部31aが所定間隔で形成されている。また、平面状部の両側に、放射素子10側に向かってほぼ直角に屈曲された折曲部31bが形成されている。開口部31a間の辺は、ジグザグ型に形成されており、一番上と一番下の開口部31aを除く3つの開口部31aの周囲長Lλはすべて同じ長さとされ、使用周波数帯域の中心周波数(590MHz)の波長をλとすると周囲長Lλは約1λとされている。開口部31a間の辺は、ジグザグ型に替えて波形としてもよい。一番上と一番下の開口部31aは、反射板31の横方向の中心線に対して対称の形状とされており、中央部に形成された開口部31aを横方向の中央線で半截した形状とされている。このように、最適化された数と形状の開口部31aとすることにより反射板31の反射特性を向上させることが可能となる。また、反射板31の横幅を小さくすることができ、これにより、第3実施例の平面アンテナ3の横幅を小さくできることから、平面アンテナ3の寸法を小型化することができる。
放射素子10の2つの給電点10bには、それぞれ給電線路12が接続されており、2本の給電線路12の端部に給電部13から給電されている。
【0019】
本発明の第3実施例の平面アンテナ3の各部の寸法について説明すると、図14に示す平面アンテナ3の横幅W4は約230mm、縦の長さL1は約280mmとされ、図17図18に示す反射板31の横幅W4は約230mm、縦の長さL1は約280mm、折曲部31bの高さH2は約30mmとされ、開口部31aの横幅W5は約180mm、開口部31aの縦の最も長い部位の長さL4は約69.3mm、開口部31aの縦の最も短い部位の長さL5は約34.6mmとされ、開口部31aの間のジグザグ型の辺の幅Dは約10mmとされている。なお、放射素子10の横幅W1は約220mm、縦の長さL1は約280mmとされ、図示しないが、放射素子10と反射板31との間隔H1は約45mmとされている。
【0020】
<本発明の第4実施例の平面アンテナ>
本発明の第4実施例の平面アンテナ4は、地上デジタルテレビ放送を受信するアンテナとされ、使用周波数帯域は470MHz~710MHzとされている。第4実施例の平面アンテナ4の構成を図15図16に示す。図15は第4実施例の平面アンテナ4の正面図、図16は第4実施例の平面アンテナ4の背面図である。
これらの図に示すように、第4実施例の平面アンテナ4は、三角双ループ素子からなる放射素子20と、放射素子20に対面して後方に配置された反射板31とから構成されており、第4実施例の平面アンテナ4は、第3実施例の平面アンテナ3の放射素子10に替えて第2実施例の平面アンテナ2の放射素子20とした構成とされている。すなわち、第4実施例の平面アンテナ4では方形双ループ素子からなる放射素子10に替えて三角のループ状に形成されている三角双ループ素子からなる放射素子20とされ、あとの構成は第3実施例の平面アンテナ3と同様とされている。
【0021】
放射素子20は、第2実施例の平面アンテナ2における放射素子20とされているので、その説明は省略するが、放射素子20は、2本の給電素子20aと上辺とで下向きの三角ループ素子と、2本の給電素子20aと下辺とで上向きの三角ループ素子との2つの三角ループ素子からなる三角双ループ素子とされており、対向する2つの三角ループ素子の対向する頂部が2つの給電点20bとされている。
反射板31は、第3実施例の平面アンテナ3における反射板31とされていることからその説明は省略するが、図17図18に示すように放射素子20に対面する矩形の平面状部に5つの開口部31aが所定間隔で形成されている。開口部31a間の辺は、ジグザグ型に形成されており、一番上と一番下の開口部31aを除く3つの開口部31aの周囲長Lλはすべて同じ長さとされ、使用周波数帯域の中心周波数(590MHz)の波長をλとすると周囲長Lλは約1λとされている。開口部31a間の辺は、ジグザグ型に替えて波形としてもよい。一番上と一番下の開口部31aは、反射板31の横方向の中心線に対して対称の形状とされており、上記3つの開口部31aを横方向の中央線で半截した形状とされている。このように、最適化された数と形状の開口部31aとすることにより反射板31の反射特性を向上させることが可能となる。また、反射板31の横幅を小さくすることができ、これにより、第4実施例の平面アンテナ4の横幅を小さくできることから、平面アンテナ3の寸法を小型化することができる。
なお、放射素子20の2つの給電点20bには、それぞれ給電線路12が接続されており、2本の給電線路12の端部に給電部13から給電されている。
【0022】
本発明の第4実施例の平面アンテナ4の各部の寸法について説明すると、図16に示す平面アンテナ4の横幅W4は約230mm、縦の長さL1は約280mmとされ、反射板31(図17図18参照)の横幅W4は約230mm、縦の長さL1は約280mm、折曲部31bの高さH2は約30mmとされ、開口部31aの横幅W5は約180mm、開口部31aの縦の最も長い部位の長さL4は約69.3mm、開口部31aの縦の最も短い部位の長さL5は約34.6mmとされ、開口部31aの間のジグザグ型の辺の幅Dは約10mmとされている。なお、放射素子20の横幅W1は約220mm、縦の長さL1は約280mmとされ、図示しないが、放射素子20と反射板31との間隔H1は約45mmとされている。
【0023】
<本発明の第5実施例の平面アンテナ>
本発明の第5実施例の平面アンテナ5は、地上デジタルテレビ放送を受信する利得が向上されているアンテナとされ、使用周波数帯域は470MHz~710MHzとされている。第5実施例の平面アンテナ5の構成を図19ないし図25に示す。図19は第5実施例の平面アンテナ5の正面図、図20は第5実施例の平面アンテナ5の背面図、図21は第5実施例の平面アンテナ5の上面図、図22は第5実施例の平面アンテナ5の側面図、図23は第5実施例の平面アンテナ5の給電部55を拡大して示す図、図24は第5実施例の平面アンテナ5の放射素子05の正面図、図25(a)は第5実施例の平面アンテナ5の反射板52の正面図、図25(b)は第5実施例の平面アンテナ5の反射板52の下面図である。
これらの図に示すように、第5実施例の平面アンテナ5は、三角双ループ素子からなる第1放射素子50および第2放射素子51を備える放射素子05と、放射素子05に対面して後方に配置された反射板52とから構成されている。
【0024】
放射素子05が備える三角双ループ素子からなる第1放射素子50および第2放射素子51は、第2実施例の平面アンテナ2における放射素子20と同様とされているので、その説明は省略するが、第1放射素子50は、2本の第1給電素子50aと上辺とで下向きの三角ループ素子と、2本の第1給電素子50aと下辺とで上向きの三角ループ素子との2つの三角ループ素子からなる三角双ループ素子とされており、対向する2つの三角ループ素子の対向する頂部が2つの給電点50bとされている。また、第2放射素子51は、2本の第2給電素子51aと上辺とで下向きの三角ループ素子と、2本の第2給電素子51aと下辺とで上向きの三角ループ素子との2つの三角ループ素子からなる三角双ループ素子とされており、対向する2つの三角ループ素子の対向する頂部が2つの給電点51bとされている。
反射板52は金属板を加工して縦長の矩形に作成されており、図19図20に示すように放射素子05の全面に対面する矩形の平面状部を有し、図25(a)(b)に示すように平面状部に9つの開口部52aが縦方向に所定間隔で形成されている。また、平面状部の両側に、放射素子05側に向かってほぼ直角に屈曲された折曲部52bが形成されている。9つの開口部52aの周囲長Lλはすべて同じ長さとされ、使用周波数帯域の中心周波数(590MHz)の波長をλとすると周囲長Lλは約1λとされ、最適化された数である9つの開口部52aにより反射板52の反射特性を向上させることが可能となる。
【0025】
第1放射素子50の2つの給電点50bには、それぞれ給電線路53の一端が接続されており、第2放射素子51の2つの給電点51bには、それぞれ給電線路53の他端が接続されている。給電線路53のほぼ中央部に給電基板54が設けられて、給電基板54に給電部55が形成され、給電部55から2本の給電線路53のほぼ中央部に給電されている。
給電部55の構成が拡大されて図23に示されており、2本の給電線路53のほぼ中央部が給電基板54の上面にハンダ付け等により接続されている。2本の給電線路53のほぼ中央部には、対向するように突起が形成されており、給電線路53の一方の突起に同軸ケーブル56のシールド部がハンダ付けされ、給電線路53の他方の突起に同軸ケーブル56の芯線がハンダ付けされて、同軸ケーブル56により第5実施例の平面アンテナ5は給電されている。給電線路53のほぼ中央部に形成された突起により、給電部55のインピーダンスを調整することができる。また、給電基板54の面の両側には給電部55のインピーダンスを調整する調整板57がプリントあるいは貼着されている。ただし、調整板57を省略してもよい。
【0026】
本発明の第5実施例の平面アンテナ5の各部の寸法について説明すると、平面アンテナ5の横幅は約240mm、縦の長さは約600mmとされ、図25(a)(b)に示すように反射板52の横幅W2は約240mm、縦の長さL6は約600mm、折曲部52bの高さH2は約30mmとされ、開口部52aの横幅は約180mm、開口部52aの縦の長さL2は約54mm、開口部52aの間の辺の幅L3は約10mmとされている。なお、第1放射素子50および第2放射素子51のそれぞれの横幅W1は約220mm、それぞれの縦の長さL1は約280mmとされ、放射素子05の横幅W1は約220mm、縦の長さL6は約600mmとされ、縦方向に配置された第1放射素子50と第2放射素子51との間の間隔L8は約40mmとされている。また、図23に示すように給電基板54の横幅W7は約110mm、縦の長さL7は約30mmとされ、放射素子05と反射板52との間隔H1は約45mmとされている。
第5実施例の平面アンテナ5の放射素子05は、縦方向に配列された第1放射素子50と第2放射素子51との2つの放射素子を備えているため、第5実施例の平面アンテナ5の利得が向上されるようになる。
【0027】
<本発明の第6実施例の平面アンテナ>
本発明の第6実施例の平面アンテナ6は、地上デジタルテレビ放送を受信する利得が向上されているアンテナとされ、使用周波数帯域は470MHz~710MHzとされている。第6実施例の平面アンテナ6は、第5実施例の平面アンテナ5における反射板52を構成の異なる反射板62に置き換えた平面アンテナとされており、反射板62を除く構成は第5実施例の平面アンテナ5の構成と同様とされている。第6実施例の平面アンテナ6の構成を図26ないし図28に示す。図26は第6実施例の平面アンテナ6の正面図、図27は第6実施例の平面アンテナ6の背面図、図28(a)は第6実施例の平面アンテナ6の反射板62の正面図、図28(b)は第6実施例の平面アンテナ6の反射板62の下面図である。
これらの図に示すように、第6実施例の平面アンテナ6は、三角双ループ素子からなる第1放射素子50および第2放射素子51を備える放射素子05と、放射素子05に対面して後方に配置された反射板62とから構成されている。
【0028】
放射素子05の構成は、第5実施例の平面アンテナ5の放射素子05とされていることから詳細説明は省略するが、放射素子05が備える三角双ループ素子からなる第1放射素子50および第2放射素子51は、第2実施例の平面アンテナ2における放射素子20と同様とされている。第1放射素子50は、2本の第1給電素子50aと上辺とで下向きの三角ループ素子と、2本の第1給電素子50aと下辺とで上向きの三角ループ素子との2つの三角ループ素子からなる三角双ループ素子とされており、対向する2つの三角ループ素子の対向する頂部が2つの給電点50bとされている。また、第2放射素子51は、2本の第2給電素子51aと上辺とで下向きの三角ループ素子と、2本の第2給電素子51aと下辺とで上向きの三角ループ素子との2つの三角ループ素子からなる三角双ループ素子とされており、対向する2つの三角ループ素子の対向する頂部が2つの給電点51bとされている。
反射板62は金属板を加工して縦長の矩形に作成されており、放射素子05の全面に対面する矩形の平面状部を有し、図28(a)(b)に示すように平面状部に9つの開口部62aが縦方向に所定間隔で形成されている。また、平面状部の両側に、放射素子05側に向かってほぼ直角に屈曲された折曲部62bが形成されている。
開口部61a間の辺は、ジグザグ型に形成されており、9つの開口部62aの周囲長Lλはすべて同じ長さとされ、使用周波数帯域の中心周波数(590MHz)の波長をλとすると周囲長Lλは約1λとされている。開口部62a間の辺は、ジグザグ型に替えて波形としてもよい。一番上の開口部62aの上側と一番下の開口部62a下側には、開口部61a間の辺がジグザグ型に形成されたことから、小さな三角形の開口が形成されている。このように、最適化された数と形状の開口部62aとすることにより反射板62の反射特性を向上させることが可能となる。また、反射板62の横幅を小さくすることができ、これにより、第6実施例の平面アンテナ6の横幅を小さくできることから、平面アンテナ6の寸法を小型化することができる。
【0029】
第1放射素子50の2つの給電点50bには、それぞれ給電線路53の一端が接続されており、第2放射素子51の2つの給電点51bには、それぞれ給電線路53の他端が接続されている。給電線路53のほぼ中央部に給電基板54が設けられて、給電基板54に給電部55が形成され、給電部55から2本の給電線路53のほぼ中央部に給電されている。
給電部55の構成は図23に示す構成とされており、2本の給電線路53のほぼ中央部が給電基板54の上面にハンダ付け等により接続されている。2本の給電線路53のほぼ中央部には、対向するように突起が形成されており、給電線路53の一方の突起に同軸ケーブル56のシールド部がハンダ付けされ、給電線路53の他方の突起に同軸ケーブル56の芯線がハンダ付けされて、同軸ケーブル56により第6実施例の平面アンテナ6は給電されている。突起により、給電部55のインピーダンスを調整することができる。また、給電基板54の面の両側には給電部55のインピーダンスを調整する調整板57がプリントあるいは貼着されている。ただし、調整板57を省略してもよい。
【0030】
本発明の第6実施例の平面アンテナ6の各部の寸法について説明すると、平面アンテナ5の横幅は約230mm、縦の長さは約600mmとされ、図28(a)(b)に示すように反射板62の横幅W4は約230mm、縦の長さL6は約600mm、折曲部62bの高さH2は約30mmとされ、開口部62aの横幅は約180mm、開口部62aの縦の最も長い部位の長さL9は約69.3mmとされ、開口部62aの縦の最も短い部位の長さL10は約34.6mmとされ、開口部62aの間のジグザグ型の辺の幅Dは約10mmとされている。なお、第1放射素子50および第2放射素子51のそれぞれの横幅W1は約220mm、それぞれの縦の長さL1は約280mmとされ、放射素子05の横幅W1は約220mm、縦の長さL6は約600mmとされ、縦方向に配置された第1放射素子50と第2放射素子51との間の間隔L8は約40mmとされている。また、給電基板54の横幅W7は約110mm、縦の長さL7は約30mmとされ、放射素子05と反射板52との間隔H1は約45mmとされている。
第6実施例の平面アンテナ6の放射素子05は、縦方向に配列された第1放射素子50と第2放射素子51との2つの放射素子を備えているため、第6実施例の平面アンテナ6の利得が向上されるようになる。
【0031】
<本発明の第6実施例の平面アンテナにおける反射板の開口部の数>
上記説明したように、本発明の第6実施例の平面アンテナ6は、三角双ループ素子からなる第1放射素子50および第2放射素子51を備える放射素子05と、放射素子05に対面して後方に配置された反射板62とから構成されている。反射板62の平面状部には図28に示すように、9つの開口部62aが所定間隔で形成されている。9つの開口部62aにおいて、中央の開口部62aをA5開口部として、A5開口部から上に向かってA5開口部の上の開口部62aをA4開口部、その上の開口部62aをA3開口部、その上の開口部62aをA2開口部、一番上の開口部62aをA1開口部とし、A5開口部から下に向かってA5開口部の下の開口部62aをA4開口部、その下の開口部62aをA3開口部、その下の開口部62aをA2開口部、一番下の開口部62aをA1開口部とする。それぞれ2つとされるA1開口部ないしA4開口部は、反射板62の横方向の中央線に対して対称の位置に配置されることになる。
【0032】
反射板62に形成する開口部62aの数を6通りに変えて、その際の使用周波数帯域470MHz~710MHzにおける第6実施例の平面アンテナ6の電圧定在波比(VSWR)を測定した。
反射板62に形成する開口部62aの数は、0,2,4,6,8,9の6通りとし、所定の数の開口部62aが反射板62の横方向の中央線に対して対称の位置に縦方向にそれぞれ形成されるものとする。反射板62に形成する開口部62aの数を6通りとした際の反射板62の構成を図29ないし図31に示す。反射板62に形成する開口部62aの数を0とした際の反射板62-1の構成を図29(a)に示している。この図に示すように、反射板62-1の平面状部には開口部が形成されていない。次に、反射板62に形成する開口部62aの数を2とした際の反射板62-2の構成を図29(b)に示している。この図に示すように、反射板62-2の平面状部にはA1開口部だけの2つが対称の位置に縦方向に形成されている。次に、反射板62に形成する開口部62aの数を4とした際の反射板62-3の構成を図30(a)に示している。この図に示すように、反射板62-3の平面状部にはA1開口部とA2開口部との4つがそれぞれ対称の位置に縦方向に形成されている。次に、反射板62に形成する開口部62aの数を6とした際の反射板62-4の構成を図30(b)に示している。この図に示すように、反射板62-4の平面状部にはA1開口部とA2開口部とA3開口部の6つがそれぞれ対称の位置に縦方向に形成されている。次に、反射板62に形成する開口部62aの数を8とした際の反射板62-5の構成を図31(a)に示している。この図に示すように、反射板62-5の平面状部にはA1開口部とA2開口部とA3開口部とA4開口部との8つがそれぞれ対称の位置に縦方向に形成されている。最後に、反射板62に形成する開口部62aの数を9とした際の反射板62-6の構成を図31(b)に示している。反射板62-6の構成は図28に示す反射板62の構成と同じである。この図に示すように、反射板62-6の平面状部にはA1開口部とA2開口部とA3開口部とA4開口部との8つがそれぞれ対称の位置に縦方向に形成されていると共に、中央にA5開口部が形成されて合計9つの開口部62aが形成されている。
【0033】
図29(a)に示す反射板62-1の構成を「開口部なし」と称し、図29(b)に示す反射板62-2の構成を「開口部A1」と称し、図30(a)に示す反射板62-3の構成を「開口部A1,A2」と称し、図30(b)に示す反射板62-4の構成を「開口部A1,A2,A3」と称し、図31(a)に示す反射板62-5の構成を「開口部A1,A2,A3,A4」と称し、図31(b)に示す反射板62-6の構成を「開口部A1,A2,A3,A4,A5」と称するものとする。
第6実施例の平面アンテナ6において反射板62の構成を反射板62-1ないし反射板62-6とした際の使用周波数帯域におけるVSWRのグラフを図32(a)に示す。図32(a)を参照すると、横軸は470MHz~710MHzの周波数軸とされ、470MHz~560MHzの周波数帯域においては開口部62aの数が多いほど良好なVSWRとなることが分かる。また、650MHz~710MHzの周波数帯域においても開口部62aの数が多いほど良好なVSWRとなる傾向となっていることが分かる。
【0034】
ここで、VSWR評価値を次のように定義する。
VSWR評価値=(VSWRの最大値)×(各周波数のVSWR値の総和)
右辺第2項における各周波数は、470,500,530,560,590,620,650,680,710MHzの9周波数とされる。
例えば、第6実施例の平面アンテナ6において反射板62の構成を反射板62-1とした場合は、470MHzのVSWRが約3.38、500MHzでは約2.05、530MHzでは約1.49、560MHzでは約1.53、590MHzでは約1.86、620MHzでは約2.07、650MHzでは約2.53、680MHzでは約2.48、710MHzでは約2.34となり、その総和が約19.73となり、これにVSWR最大値3.38を乗算するとVSWR評価値は約66.74となる。同様にして、第6実施例の平面アンテナ6において反射板62の構成を反射板62-2ないし反射板62-6とした場合を計算すると、反射板62-2(開口部A1)とした場合はVSWR評価値は約61.00となり、反射板62-3(開口部A1,A2)とした場合はVSWR評価値は約47.90となり、反射板62-4(開口部A1,A2,A3)とした場合はVSWR評価値は約44.24となり、反射板62-5(開口部A1,A2,A3,A4)とした場合はVSWR評価値は約43.16となり、反射板62-6(開口部A1,A2,A3,A4,A5)とした場合はVSWR評価値は約46.18となる。これらの計算して求めたVSWR評価値のグラフを図32(b)に示す。図32(b)のグラフにおいて横軸は反射板62の構成を反射板62-1ないし62-6とした場合を示す軸とされている。
図32(b)のグラフを参照すると、第6実施例の平面アンテナ6において反射板62に形成する開口部62aの数が多いほど良好なVSWR評価値となることが分かる。ここで、VSWR評価値の閾値を46.25とすると、VSWR評価値が閾値46.25以下となるのは反射板62に形成する開口部62aの数を反射板62-4(開口部A1,A2,A3)と反射板62-5(開口部A1,A2,A3,A4)と反射板62-6(開口部A1,A2,A3,A4,A5)とした場合となり、開口部62aの数を6以上の数とすれば閾値を満足するようになる。このように、本発明の第6実施例の平面アンテナ6においては、反射板62に形成する開口部62aの数を6以上とすることが好適とされる。
【0035】
<本発明の第6実施例の平面アンテナにおける反射板の開口部の形状>
上記説明したように、本発明の第6実施例の平面アンテナ6は、三角双ループ素子からなる第1放射素子50および第2放射素子51を備える放射素子05と、放射素子05に対面して後方に配置された反射板62とから構成されている。反射板62の平面状部には図28に示すように、9つの同形状の開口部62aが所定間隔で縦方向に形成されている。9つの開口部62aにおいて、中央の開口部62aをA5開口部として、A5開口部から上に向かってA5開口部の上の開口部62aをA4開口部、その上の開口部62aをA3開口部、その上の開口部62aをA2開口部、一番上の開口部62aをA1開口部とし、A5開口部から下に向かってA5開口部の下の開口部62aをA4開口部、その下の開口部62aをA3開口部、その下の開口部62aをA2開口部、一番下の開口部62aをA1開口部とする。それぞれ2つとされるA1開口部ないしA4開口部は、反射板62の横方向の中央線に対して縦方向の対称の位置に配置されることになる。
【0036】
反射板62に形成する開口部62aの形状を変えることができる。開口部62aの内の2つのA3開口部の形状を変えた場合の反射板62を反射板65-1としてその構成を図33(a)(b)に示す。これらの図に示すように、2つのA3開口部では両側にだけ所定幅の開口が形成されている。すなわち、2つのA3開口部の中央部において所定の幅W8だけ開口部が形成されていない。第6実施例の平面アンテナ6の反射板62を反射板65-1として2つのA3開口部の所定の幅W8を40mm,70mm,110mm,140mm,180mmとした際のVSWRの周波数特性のグラフを図34(a)に示す。図34(a)のグラフにおいて、横軸は使用周波数帯域470MHz~710MHzとされており、「110mm(板あり)」とは幅L8が110mmで給電部55に調整板57が設けられていることを示している。
図34(a)のグラフを参照すると、幅W8を110mmとした場合が使用周波数帯域において良好な特性となっており、幅W8を110mmとして調整板57を設けた場合は最も良好な特性となっていることが分かる。
【0037】
次に、第6実施例の平面アンテナ6の反射板62を反射板65-1として2つのA3開口部の所定の幅W8を40mm,70mm,110mm,140mm,180mm,110mm(板あり)とした際のVSWR評価値のグラフを図34(b)に示す。図32(b)のグラフにおいて横軸はA3開口部の所定の幅W8とされている。
図34(b)のグラフを参照すると、第6実施例の平面アンテナ6の反射板62を反射板65-1としてA3開口部の所定の幅W8が110mmの場合に良好なVSWR評価値となり、幅W8を110mmとして調整板57を設けた場合が最も良好なVSWR評価値となっていることが分かる。ここで、VSWR評価値の閾値を46.25とすると、VSWR評価値が閾値46.25以下となるのはA3開口部の所定の幅W8を40mm~110mmとした場合となり、閾値を満足する。このように、本発明の第6実施例の平面アンテナ6においては、反射板62に形成する開口部62aにおけるA3開口部の形状を反射板65-1に示すように変えた場合はA3開口部の幅W8を40mm~110mmとすることが好適とされる。ここで、使用周波数帯域470MHz~710MHzの中心周波数590MHzの1波長は約508.4mmとなる。そうすると、使用周波数帯域の中心周波数の1波長を1λとすると、第6実施例の平面アンテナ6の反射板62の開口部62aにおいて開口が形成されていない中央部の所定の幅W8を約0.08λ~約0.216λとすることが好適とされる。
【0038】
第6実施例の平面アンテナ6において反射板62に形成する開口部62aの形状はA3開口部に限らず、他の開口部の形状を変えることができる。開口部62aの内のA3開口部とA4開口部の形状を変えた場合の反射板62を反射板65-2としてその構成を図35(a)に示す。この図に示すように、A3開口部とA4開口部の2つずつでは両側にだけ所定幅の開口が形成されている。すなわち、A3開口部とA4開口部の2つずつでは中央部において所定の幅だけ開口部が形成されていない。また、開口部62aの内のA3開口部とA4開口部とA5開口部の形状を変えた場合の反射板62を反射板65-3としてその構成を図35(b)に示す。この図に示すように、A3開口部とA4開口部の2つずつとA5開口部では両側にだけ所定幅の開口が形成されている。すなわち、A3開口部とA4開口部の2つずつとA5開口部では中央部において所定の幅だけ開口部が形成されていない。さらに、開口部62aの内のA2開口部とA3開口部とA4開口部とA5開口部の形状を変えた場合の反射板62を反射板65-4としてその構成を図36(a)に示す。この図に示すように、A2開口部とA3開口部とA4開口部の2つずつとA5開口部では両側にだけ所定幅の開口が形成されている。すなわち、A2開口部とA3開口部とA4開口部の2つずつとA5開口部では中央部において所定の幅だけ開口部が形成されていない。さらにまた、開口部62aの全ての開口部の形状を変えた場合の反射板62を反射板65-5としてその構成を図36(b)に示す。この図に示すように、A1開口部とA2開口部とA3開口部とA4開口部の2つずつとA5開口部との全ての開口部では両側にだけ所定幅の開口が形成されている。すなわち、A1開口部とA2開口部とA3開口部とA4開口部の2つずつとA5開口部との全ての開口部では中央部において所定の幅だけ開口部が形成されていない。
【0039】
図33(a)に示す反射板65-1の構成を「A3開口部」と称し、図35(a)に示す反射板65-2の構成を「A3,A4開口部」と称し、図35(b)に示す反射板65-3の構成を「A3,A4,A5開口部」と称し、図36(a)に示す反射板65-4の構成を「A2,A3,A4,A5開口部」と称し、図36(b)に示す反射板65-5の構成を「A1,A2,A3,A4,A5開口部」と称するものとする。
第6実施例の平面アンテナ6において反射板62の開口部62aの形状を変えて反射板65-1ないし反射板65-5とした際の使用周波数帯域におけるVSWRのグラフを図37(a)に示す。図37(a)を参照すると、横軸は470MHz~710MHzの周波数軸とされ、470MHz~560MHzの周波数帯域においては反射板65-1(A3開口部)および反射板65-2(A3,A4開口部)とした場合が良好なVSWRとなることが分かる。また、650MHz~710MHzの周波数帯域においては反射板65-1ないし反射板65-5のいずれの反射板としてもほぼ同様のVSWR特性を示していることが分かる。
【0040】
次に、第6実施例の平面アンテナ6において反射板62の開口部62aの形状を変えて反射板65-1ないし反射板65-5とした際のVSWR評価値のグラフを図37(b)に示す。図37(b)のグラフにおいて横軸は反射板62の構成を反射板65-1ないし65-5とした場合を示す軸とされている。
図37(b)のグラフを参照すると、第6実施例の平面アンテナ6において反射板62を反射板65-1(A3開口部)とした場合はVSWR評価値は約42.2となり、反射板65-2(A3,A4開口部)とした場合はVSWR評価値は約44.7となり、反射板65-3(A3,A4,A5開口部)とした場合はVSWR評価値は約47.4となり、反射板65-4(A2,A3,A4,A5開口部)とした場合はVSWR評価値は約50.3となり、反射板65-5(A1,A2,A3,A4,A5開口部)とした場合はVSWR評価値は約49.8となる。このように、第6実施例の平面アンテナ6において反射板62を反射板65-1(A3開口部)とした場合が最も良好なVSWR評価値となることが分かる。ここで、VSWR評価値の閾値を46.25とすると、VSWR評価値が閾値46.25以下となるのは、反射板62を反射板65-1(A3開口部)と反射板65-2(A3,A4開口部)とした場合となり、閾値を満足することが分かる。このように、反射板62の開口部62aの形状を変える開口部の数は4以下となるのが好適とされる。この場合において、使用周波数帯域の中心周波数の1波長を1λとした際に、反射板62の開口部62aにおいて開口が形成されていない中央部の所定の幅W8を約0.08λ~約0.216λとすることが好適とされる。
【0041】
<本発明の第6実施例の平面アンテナにおける反射板の開口部の数と形状>
上記の説明では、第6実施例の平面アンテナ6において反射板62の開口部62aの数を変える場合は、形成する開口部62aの数を変えるようにしていた。これに替えて、図24(a)に示す9つの開口部62aが所定間隔で形成された反射板62において、形成されている所定位置の開口部62aを塞ぎ板で塞ぐことにより反射板62の開口部62aの数を変えるようにしてもよい。
この場合に用いる第1塞ぎ板58aの構成を図38(a)に、第2塞ぎ板58bの構成を図38(b)に示す。
図38(a)に示す第1塞ぎ板58aは横幅がW5とされ形状がA1,A3,A5開口部を覆うと共に開口部間の辺を覆う形状とされている。また、図38(b)に示す第2塞ぎ板58bは横幅がW5とされ形状がA2,A4開口部を覆うと共に開口部間の辺を覆う形状とされている。
【0042】
第6実施例の平面アンテナ6において反射板62の開口部62aの数を変える例として、図24(a)に示す反射板62に第1塞ぎ板58aと第2塞ぎ板58bとを設けて、図30(b)に示す反射板62-4と同等の開口部62aの数とする反射板を実現した反射板62-4’の構成を図39(a)に示す。
図39(a)に示すように、図24(a)に示す反射板62の開口部62aにおいて、A5開口部を塞ぐように第1塞ぎ板58aが反射板62の表面に貼着やネジ止めにより固着され、2つのA4開口部をそれぞれ塞ぐように2つの第2塞ぎ板58bが反射板62の裏面に貼着やネジ止めにより固着されている。これにより、反射板62-4と同等の開口部62aの数が6とされた反射板62-4’が得られるようになる。
【0043】
また、上記の説明では、第6実施例の平面アンテナ6において反射板62の開口部62aの形状を変える場合は、形成する開口部62aの形状を変えるようにしていた。これに替えて、図24(a)(b)に示す9つの開口部62aが所定間隔で形成された反射板62において、形成されている所定位置の開口部62aの所定範囲を塞ぎ板で塞ぐことにより反射板62の開口部62aの形状を変えるようにしてもよい。
この場合に用いる第3塞ぎ板67aの構成を図38(c)に、第4塞ぎ板67bの構成を図38(d)に示す。
図38(c)に示す第3塞ぎ板67aは横幅がW8とされ形状がA1,A3,A5開口部の中央部の所定幅W8を覆うと共に開口部間の辺を覆う形状とされている。また、図38(d)に示す第4塞ぎ板67bは横幅がW5とされ形状がA2,A4開口部の中央部の所定幅W8を覆うと共に開口部間の辺を覆う形状とされている。
【0044】
第6実施例の平面アンテナ6において反射板62の開口部62aの形状を変える例として、図24(a)に示す反射板62に第3塞ぎ板67aと第4塞ぎ板67bとを設けて、図35(a)に示す反射板65-2と同等の開口部62aの形状とする反射板を実現した反射板65-2’の構成を図39(b)に示す。
図39(b)に示すように、図24(a)に示す反射板62の開口部62aにおいて、2つのA3開口部の中央部の所定幅W8を塞ぐように第3塞ぎ板67aが反射板62の裏面に貼着やネジ止めにより固着され、2つのA4開口部の中央部の所定幅W8をそれぞれ塞ぐように2つの第4塞ぎ板67bが反射板62の表面に貼着やネジ止めにより固着されている。これにより、反射板65-2と同等の開口部62aの形状とされた反射板65-2’が得られるようになる。
第3塞ぎ板67a、第4塞ぎ板67bを用いて反射板62の開口部62aの形状を変える開口部の数は4以下となるのが好適とされ、この場合において、使用周波数帯域の中心周波数の1波長を1λとした際に、第3塞ぎ板67a、第4塞ぎ板67bの所定の幅W8を約0.08λ~約0.216λとすることが好適とされる。
【0045】
<本発明の第7実施例の平面アンテナ>
本発明の第7実施例の平面アンテナ7は、地上デジタルテレビ放送を受信する利得が向上されているアンテナとされ、使用周波数帯域は470MHz~710MHzとされている。第7実施例の平面アンテナ7は、第5,6実施例の平面アンテナ5,6における放射素子05を構成の異なる放射素子07に置き換えた平面アンテナとされており、放射素子を除く構成は第5,6実施例の平面アンテナ5,6の構成と同様とされている。第7実施例の平面アンテナ7の構成を図40図41に示す。図40は第7実施例の平面アンテナ7の正面図、図41は第7実施例の平面アンテナ7の放射素子07の正面図である。
これらの図に示すように、第7実施例の平面アンテナ6は、三角双ループ素子からなる第1放射素子70および第2放射素子71を備える放射素子07と、放射素子07に対面して後方に配置された反射板72とから構成されている。なお、図40においては反射板72として図29(a)に示す反射板62-1とされているが、図25(a)に示す矩形の開口部52aが形成されている反射板52や、図28(a)(b)や図33(a)(b)に示す複数のジグザグ型の辺の開口部62aが形成されている反射板62を用いることができる。反射板72は金属板を加工して縦長の矩形に作成されており、放射素子07の全面に対面する矩形の平面状部を有し、平面状部の両側に、放射素子07側に向かってほぼ直角に屈曲された折曲部72bが形成されている。
【0046】
放射素子07の構成について説明する。放射素子07は第1放射素子70と、第1放射素子と対称の形状とされている第2放射素子71とから構成されている。第1放射素子70は、図40図41に示すように矩形の金属板に2つの三角状の切欠が頂点が対向するよう上下に形成されていると共に、左右には台形状の切欠が対向するよう形成されている。上辺および下辺は、幅広に形成された外側素子70aと、外側素子70aから中央側に延伸して形成された台形状の内側素子70bと、外側素子70aと内側素子70bとの間に形成されている細いくの字状のスリット70dとから構成されている。このように構成された上辺および下辺と、上辺および下辺の端部から伸びる斜辺と斜辺に繋がる三角形状の素子とからなる第1給電素子70cで構成される左辺および右辺との4つの辺とから外枠が構成されている。第1給電素子70cとされる左辺および右辺における斜辺に繋がる三角形状の素子は、それぞれ底辺が左辺および右辺の端縁を形成し、頂点同士が中央部で対向している。左辺を構成する中央に向かって斜め右下に伸びる斜辺は左辺を構成する三角形状の素子の他の頂点に接続され、左辺を構成する中央に向かって斜め右上に伸びる斜辺は左辺を構成する三角形状の素子の残る頂点に接続される。また、右辺を構成する中央に向かって斜め左下に伸びる斜辺は右辺を構成する三角形状の素子の他の頂点に接続され、右辺を構成する中央に向かって斜め左上に伸びる斜辺は右辺を構成する三角形状の素子の残る頂点に接続される。上記構成された左辺と右辺との上側の半分と上辺である外側素子70aとで下向きの三角ループ素子が形作られており、上記構成された左辺と右辺との下側の半分と下辺である外側素子70aとで上向きの三角ループ素子が形作られている。第7実施例の平面アンテナ7における第1放射素子70は上記した2つの三角ループ素子からなる三角双ループ素子とされており、対向する2つの三角ループ素子の対向する頂部が2つの給電点70eとされている。
【0047】
また、第2放射素子71は、第1放射素子70と対称の同形状とされて、上辺および下辺は、幅広に形成された外側素子71aと、外側素子71aと細いくの字状のスリット71dを介して中央部が接続され外側素子71aより内側に形成された台形状の内部素子71bとから構成されている。このように構成された上辺および下辺と、上辺および下辺の端部から伸びる斜辺と斜辺に繋がる三角形状の素子とからなる第2給電素子71cで構成される左辺および右辺との4つの辺とから外枠が構成されている。上辺および下辺と、第2給電素子71cとされる左辺と右辺との上側の半分と上辺である外側素子71aとで下向きの三角ループ素子が形作られており、第2給電素子71cとされる左辺と右辺との下側の半分と下辺である外側素子71aとで上向きの三角ループ素子が形作られている。第7実施例の平面アンテナ7における第2放射素子71は上記した2つの三角ループ素子からなる三角双ループ素子とされており、対向する2つの三角ループ素子の対向する頂部が2つの給電点71eとされている。
第1放射素子70の2つの給電点70eには、それぞれ給電線路73の一端が接続されており、第2放射素子71の2つの給電点71eには、それぞれ給電線路73の他端が接続されている。給電線路73のほぼ中央部に給電基板74が設けられて、給電基板74に給電部55が形成され、給電部55から2本の給電線路73のほぼ中央部に給電されている。
【0048】
給電部55は、図23に示す構成と同様とされており、2本の給電線路73のほぼ中央部が給電基板74の上面にハンダ付け等により接続されている。2本の給電線路73のほぼ中央部には、対向するように突起が形成されており、給電線路73の一方の突起に同軸ケーブル56のシールド部がハンダ付けされ、給電線路73の他方の突起に同軸ケーブル56の芯線がハンダ付けされて、同軸ケーブル56により第7実施例の平面アンテナ7は給電されている。突起により、給電部55のインピーダンスを調整することができる。また、給電基板74の面の両側には給電部55のインピーダンスを調整する調整板57がプリントあるいは貼着されている。ただし、調整板57を省略してもよい。
【0049】
反射板72は、上記したように図40においては図29(a)に示す反射板62-1とされているが、図25(a)に示す反射板52や図28(a)や図33(a)に示す反射板62を用いることができる。反射板72を図28(a)や図33(a)に示す反射板62,65-1とすると、最適化された数と形状の開口部62aとすることにより反射板72の反射特性を向上させることが可能となる。また、反射板72の横幅を小さくすることができ、これにより、第7実施例の平面アンテナ7の横幅を小さくできることから、平面アンテナ7の寸法を小型化することができる。
【0050】
図28(a)(b)や図33(a)(b)に示す複数のジグザグ型の辺の開口部62aが形成されている反射板62を反射板72とした場合の第7実施例の平面アンテナ7の横幅W4は約230mm、縦の長さL6は約600mmとされ、反射板72のaの横幅W4は約230mm、縦の長さL6は約600mmとされ、図示しないが反射板72の折曲部72bの高さH2は約30mmとされる。本発明の第7実施例の平面アンテナ7の各部の寸法について図41を参照して説明する。第1放射素子70および第2放射素子71のそれぞれの横幅W1(外側素子70a,71aの横幅)は約220mm、それぞれの縦の長さL1は約280mmとされ、外側素子70a,71aの縦幅L11は約50mmとされ、台形状の内側素子70b,71bの長辺の長さW9は約168mm、短辺の長さW10は約110.8mm、縦幅L12は約30mm、スリット70d,71dの幅L13は約5mm、先端の間隔W11は約50mmとされている。
【0051】
放射素子07の横幅W1は約220mm、縦の長さL6は約600mmとされ、縦方向に配置された第1放射素子70と第2放射素子71との間の間隔L8は約40mmとされている。また、図示しないが給電基板74の横幅W7は約110mm、縦の長さL7は約30mmとされ、放射素子07と反射板72との間隔H1は約45mmとされている。反射板72に形成されている開口部62aの横幅は約180mm、開口部62aの縦の最も長い部位の長さL9は約69.3mmとされ、開口部62aの縦の最も短い部位の長さL10は約34.6mmとされ、開口部62aの間のジグザグ型の辺の幅Dは約10mmとされている。
第7実施例の平面アンテナ7の放射素子07は、縦方向に配列された第1放射素子70と第2放射素子71との2つの放射素子を備えているため、第7実施例の平面アンテナ7の利得が向上されるようになる。
【0052】
次に、第7実施例の平面アンテナ7において反射板62の構成を反射板65-1として横幅W8を約110mmとした際の使用周波数帯域におけるVSWRのグラフを図42(a)に示す。図42(a)においては、放射素子05をΣ型と称して対比の対象とし、放射素子07を変形Σ型、変形Σ型において給電基板74に調整板57を設けた場合を変形Σ型(調整板あり)と称している。図42(a)を参照すると、横軸は470MHz~710MHzの周波数軸とされ、ほぼ470MHz~710MHzの全周波数帯域において、放射素子を第7実施例の平面アンテナ7の放射素子07とした場合にVSWRが良好になり、特に590MHz~710MHzにおいて給電基板74に調整板57を設けた場合のVSWRが良好になることが分かる。
【0053】
また、第7実施例の平面アンテナ7において反射板62の構成を反射板65-1として横幅W8を約110mmとした際のVSWR評価値をΣ型の放射素子05とした場合と対比したグラフを図42(b)に示す。図42(b)のグラフにおいて横軸はΣ型、変形Σ型、変形Σ型(調整板あり)とした場合を示す軸とされている。
図42(b)のグラフを参照すると、放射素子をΣ型とした場合はVSWR評価値は約42.2となり、放射素子を変形Σ型とした場合はVSWR評価値は約28.8となり、放射素子を変形Σ型(調整板あり)とした場合はVSWR評価値は約24.67となる。このように、第7実施例の平面アンテナ7において変形Σ型において給電基板74に調整板57を設けた場合が最も良好なVSWR評価値となることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明した本発明の実施例の平面アンテナにおいて、使用周波数帯域は470MHz~710MHzに限ることはなく、これ以外の周波数帯域であっても良い。
また、以上説明した本発明の実施例の平面アンテナにおいて、VSWR評価値の閾値を46.25としたが、この値に限ることはなく他の値としてもよい。他の値を閾値とした場合は、開口が形成されていない中央部の所定幅W8および塞ぎ板の所定幅W8は、当該閾値を満足する長さの範囲とされる。
また、以上説明した本発明の実施例の平面アンテナにおいて、塞ぎ板を反射板の表面あるいは裏面に貼着またはネジ止めするようにして固着したが、これに限らず塞ぎ板の形状を中央部の所定幅に嵌合可能な形状として、塞ぎ板を開口部の中央部の所定幅に嵌合することで固着するようにしてもよい。
また、以上説明した本発明の実施例の平面アンテナは、厚みの薄い直方体状とされた合成樹脂製のケースに収納することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 平面アンテナ、2 平面アンテナ、3 平面アンテナ、4 平面アンテナ、5 平面アンテナ、6 平面アンテナ、7 平面アンテナ、05 放射素子、07 放射素子、10 放射素子、10a 給電素子、10b 給電点、10c 切欠、11 反射板、11a 開口部、11b 折曲部、12 給電線路、13 給電部、20 放射素子、20a 給電素子、20b 給電点、20c 切欠、31 反射板、31a 開口部、31b 折曲部、50 第1放射素子、50a 給電素子、50b 給電点、51 第2放射素子、51a 給電素子、51b 給電点、52 反射板、52a 開口部、52b 折曲部、53 給電線路、54 給電基板、55 給電部、56 同軸ケーブル、57 調整板、58a 第1塞ぎ板、58b 第2塞ぎ板、61a 開口部、62 反射板、62a 開口部、62b 折曲部、65 反射板、67a 第3塞ぎ板、67b 第4塞ぎ板、70 第1放射素子、70a 外側素子、70b 内側素子、70c 第1給電素子、70d スリット、70e 給電点、71 第2放射素子、71a 外側素子、71b 内部素子、71c 第2給電素子、71d スリット、71e 給電点、72 反射板、72b 折曲部、73 給電線路、74 給電基板、100 反射板付平面アンテナ、110 前方素子、111 後方素子、112 突起部、113 給電点、114 給電線、115 給電部、116 立ち上り部、117a 空隙部、A1,A2,A3,A4,A5 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43