(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006834
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】油圧回路
(51)【国際特許分類】
F15B 11/02 20060101AFI20250109BHJP
F15B 11/08 20060101ALI20250109BHJP
F15B 11/17 20060101ALI20250109BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F15B11/02 M
F15B11/08 A
F15B11/17
E02F9/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107846
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】正谷 龍馬
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB05
2D003BA01
2D003CA02
2D003DA03
2D003DB02
3H089AA60
3H089AA72
3H089CC01
3H089CC08
3H089CC11
3H089DA02
3H089DA03
3H089DA13
3H089DB32
3H089DB55
3H089EE22
3H089GG02
3H089JJ02
(57)【要約】
【課題】アクチュエータの作動速度を速くできる油圧回路を提供する。
【解決手段】実施形態の油圧回路1は、第1ポンプ3、第2ポンプ4、及び第3ポンプ6と、第1ポンプ3に連結された第1アンロード通路41及び第1供給通路42と、第2ポンプ4に連結された第2アンロード通路43及び第2供給通路44と、第3ポンプ6に連結された第3アンロード通路61及び第3供給通路62と、第1アンロード通路41及び第2アンロード通路43の途中に設けられた複数の制御弁15~17と、を備える。複数の制御弁15~17から選択したブーム制御弁15の動作に基づいて、第3ポンプ6の作動油を第1供給通路42及び第2供給通路44を介してブーム制御弁15に供給する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々作動流体を吐出する第1ポンプ、第2ポンプ、及び第3ポンプと、
前記第1ポンプに連結された第1アンロード通路及び第1供給通路と、
前記第2ポンプに連結された第2アンロード通路及び第2供給通路と、
前記第3ポンプに連結された第3アンロード通路及び第3供給通路と、
前記第1アンロード通路及び前記第2アンロード通路の途中に設けられ、アクチュエータの駆動制御を行う複数の制御弁と、
を備え、
前記複数の制御弁から選択した所望の制御弁の動作に基づいて、前記第3ポンプから吐出される前記作動流体を前記第1供給通路及び前記第2供給通路を介して前記所望の制御弁に供給する、
油圧回路。
【請求項2】
前記第3アンロード通路の下流側で、かつ前記第3供給通路、前記第1供給通路、及び前記第2供給通路に配置された合流弁と、
前記合流弁を駆動させるためのパイロット圧を加える操作部と、
前記操作部に連結され、前記パイロット圧が発生するパイロット通路と、
タンクに通じるタンク通路と、
を備え、
前記合流弁は、前記パイロット圧に基づいて切り換え可能な第1切換位置と第2切換位置とを有し、
前記第1切換位置は、前記第3アンロード通路と前記タンク通路とを通じさせる第1通路を有するとともに、前記第3供給通路と前記第1供給通路及び前記第2供給通路とを通じさせる第2通路を有し、
前記第2切換位置は、前記第3アンロード通路を遮断するとともに、前記第3供給通路と前記第1供給通路及び前記第2供給通路とを通じさせる第3通路を有し、
前記パイロット通路は、前記合流弁に前記パイロット圧が加わる前記操作部と前記タンクに接続される第2パイロット通路とに分岐され、
前記第2パイロット通路の開度は、前記所望の制御弁の動作に基づいて変化する、
請求項1に記載の油圧回路。
【請求項3】
各々作動流体を吐出する第1ポンプ、第2ポンプ、及び第3ポンプと、
前記第1ポンプに連結された第1アンロード通路及び第1供給通路と、
前記第2ポンプに連結された第2アンロード通路及び第2供給通路と、
前記第3ポンプに連結された第3アンロード通路及び第3供給通路と、
前記第1アンロード通路及び前記第2アンロード通路の途中に設けられ、アクチュエータの駆動制御を行う複数の制御弁と、
タンクに通じるタンク通路と、
前記第3アンロード通路と前記タンク通路との連結、遮断とに切り換える合流弁と、
前記合流弁を駆動させる操作部と、
前記第1アンロード通路及び前記第2アンロード通路の最下流に設けられたネガティブコントロール用の検出機構と、
を備え、
前記検出機構は、
前記第1アンロード通路の最下流に設けられた第1絞りと、
前記第2アンロード通路の最下流に設けられた第2絞りと、
前記第1絞りの上流側での前記作動流体の圧力、及び前記第2絞りの上流側での前記作動流体の圧力のうち、低い方の圧力をネガコン圧として出力する低圧選択弁と、
を有し、
前記合流弁の前記操作部とは反対側の第2操作部に前記ネガコン圧を加える、
油圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の油圧回路のなかには、ネガティブコントロール用の検出機構がアンロード通路との最下流に設けられたものが知られている。検出機構の低圧選択弁は、最下流を通る作動油でスプールが操作されることにより、アンロード通路の作動流体のうち低い方の圧力をネガコン圧として出力する。出力されたネガコン圧により可変容量ポンプ内のポンプレギュレータにより可変容量ポンプの斜板を制御することで可変容量ポンプの吐出量を変化させる。低圧選択弁のスプールが作動すると最下流の作動油が減少してネガコン圧が下がり、可変容量ポンプの吐出量を増加する。
【0003】
また、ネガティブコントロール用の検出機構を備えた油圧回路のなかには、可変容量ポンプに加えて固定容量油圧ポンプを備えたものが知られている。油圧回路に固定容量油圧ポンプを備えることにより、例えば、作業機用のアクチュエータの操作時に不足する流量を固定容量油圧ポンプで補うことが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の油圧回路は、固定容量油圧ポンプから吐出された作動油をアンロード通路に合流させるとネガコン圧が増加して低圧選択弁が正常に作動しなくなる。固定容量油圧ポンプから吐出された作動油を供給通路に合流させると、合流された作動油の行き場がなくなり、固定容量油圧ポンプがリリーフしてしまう。このため、固定容量油圧ポンプから吐出された作動油との全量を作業機用アクチュエータに供給することができない。よって、可変容量ポンプから吐出された作動油により作業機用アクチュエータの作動速度が決まるため、作業機用アクチュエータの作動速度に制限があった。
【0006】
本発明は、アクチュエータの作動速度を速くできる油圧回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の構成を有する。
本発明の一態様に係る油圧回路は、各々作動流体を吐出する第1ポンプ、第2ポンプ、及び第3ポンプと、前記第1ポンプに連結された第1アンロード通路及び第1供給通路と、前記第2ポンプに連結された第2アンロード通路及び第2供給通路と、前記第3ポンプに連結された第3アンロード通路及び第3供給通路と、前記第1アンロード通路及び前記第2アンロード通路の途中に設けられ、アクチュエータの駆動制御を行う複数の制御弁と、を備え、前記複数の制御弁から選択した所望の制御弁の動作に基づいて、前記第3ポンプから吐出される前記作動流体を前記第1供給通路及び前記第2供給通路を介して前記所望の制御弁に供給する。
【0008】
このように構成することで、所望の制御弁の動作に基づいて、第3ポンプから吐出される作動流体を、第1ポンプに連結された第1供給通路、及び第2ポンプに連結された第2供給通路を介して所望の制御弁に供給できる。このため、所望の制御弁により駆動制御するアクチュエータには、第1ポンプ及び第2ポンプから吐出された作動流体に加えて、第3ポンプから吐出された作動流体を合流させることができる。これにより、アクチュエータに供給する作動流体を増加させることにより、アクチュエータの作動速度を速くできる。
【0009】
上記構成において、前記第3アンロード通路の下流側で、かつ前記第3供給通路、前記第1供給通路、及び前記第2供給通路に配置された合流弁と、前記合流弁を駆動させるためのパイロット圧を加える操作部と、前記操作部に連結され、前記パイロット圧が発生するパイロット通路と、タンクに通じるタンク通路と、を備え、前記合流弁は、前記パイロット圧に基づいて切り換え可能な第1切換位置と第2切換位置とを有し、前記第1切換位置は、前記第3アンロード通路と前記タンク通路とを通じさせる第1通路を有するとともに、前記第3供給通路と前記第1供給通路及び前記第2供給通路とを通じさせる第2通路を有し、前記第2切換位置は、前記第3アンロード通路を遮断するとともに、前記第3供給通路と前記第1供給通路及び前記第2供給通路とを通じさせる第3通路を有し、前記パイロット通路は、前記合流弁に前記パイロット圧が加わる前記操作部と前記タンクに接続される第2パイロット通路とに分岐され、前記第2パイロット通路の開度は、前記所望の制御弁の動作に基づいて変化させてもよい。
【0010】
本発明の他の態様に係る油圧回路は、各々作動流体を吐出する第1ポンプ、第2ポンプ、及び第3ポンプと、前記第1ポンプに連結された第1アンロード通路及び第1供給通路と、前記第2ポンプに連結された第2アンロード通路及び第2供給通路と、前記第3ポンプに連結された第3アンロード通路及び第3供給通路と、前記第1アンロード通路及び前記第2アンロード通路の途中に設けられ、アクチュエータの駆動制御を行う複数の制御弁と、タンクに通じるタンク通路と、前記第3アンロード通路と前記タンク通路との連結、遮断とに切り換える合流弁と、前記合流弁を駆動させる操作部と、前記第1アンロード通路及び前記第2アンロード通路の最下流に設けられたネガティブコントロール用の検出機構と、を備え、前記検出機構は、前記第1アンロード通路の最下流に設けられた第1絞りと、前記第2アンロード通路の最下流に設けられた第2絞りと、前記第1絞りの上流側での前記作動流体の圧力、及び前記第2絞りの上流側での前記作動流体の圧力のうち、低い方の圧力をネガコン圧として出力する低圧選択弁と、を有し、前記合流弁の前記操作部とは反対側の第2操作部に前記ネガコン圧を加える。
【0011】
このように、油圧回路にネガティブコントロール用の検出機構を備え、合流弁においての操作部とは反対側の第2操作部にネガコン圧を加えるようにした。このため、合流弁に加わるパイロット圧をネガコン圧により抑制できる。これにより、複数の制御弁から選択した所望の制御弁の動作に基づいて、第3アンロード通路とタンク通路との連結状態から遮断状態へ徐々に切り換えることができる。したがって、所望の制御弁の切り換え中に、第3ポンプから吐出された作動流体の一部をタンク通路に分配できる。この結果、第3ポンプから吐出された作動流体を、第1ポンプ及び第2ポンプから吐出された作動流体に徐々に合流させることができる。よって、所望の制御弁の切り換え中のとき、アクチュエータの作動速度が急激に速くなることを抑制できる。
【0012】
さらに、所望の制御弁が切り換わることによりタンク通路が遮断される。このため、第3ポンプから吐出された作動流体の一部をタンク通路に分配しないようにできる。これにより、第1ポンプ及び第2ポンプから吐出された作動流体に第3ポンプから吐出された作動流体を好適に合流させることができる。したがって、アクチュエータに供給する作動流体を増加させてアクチュエータの作動速度を速くできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アクチュエータの作動速度を速くできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態における建設機械の概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態における油圧回路を示す回路図である。
【
図3】本発明の実施形態における変形例の油圧回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態に係る油圧回路を図面に基づいて説明する。
【0016】
<建設機械>
図1は、本実施形態における建設機械100の概略構成図である。
図1に示すように、建設機械100は、例えば油圧ショベルなどである。建設機械100は、旋回体101と、旋回体101の下部に設けられた走行体102と、を備える。
走行体102は、進行方向前方に設けられたドーザ107を備える。ドーザ107は、走行体102に対して上下方向に揺動する。
【0017】
旋回体101は、走行体102に対して旋回する。旋回体101は、駆動装置1を備える。旋回体101は、キャブ103と、キャブ103に一端が連結されたブーム104と、ブーム104の他端に一端が連結されたアーム105と、アーム105の他端に連結されたバケット106と、を備える。
【0018】
キャブ103は、旋回体101に搭乗する操作者を支持する。ブーム104は、旋回体101の本体に対して揺動する。アーム105は、ブーム104に対して揺動する。バケット106は、アーム105に対して揺動する。すなわち、ブーム104、アーム105、バケット106、及びドーザ107は、建設機械100の作業装置を構成する。
【0019】
駆動装置1は、例えば主要部が旋回体101内に設けられている。以下、駆動装置1を「油圧回路(請求項における油圧回路の一例)1」ということがある。油圧回路1から供給される作動油(請求項における作動流体の一例)は、例えば旋回体101、走行体102、ブーム104、アーム105、バケット106、及びドーザ107を駆動する。
【0020】
<油圧回路>
図2は、本実施形態における油圧回路1を示す回路図である。
図2において紙面左側を「左側」、紙面右側を「右側」として説明する。
図1、
図2に示すように、油圧回路1は、コントロールバルブ2と、コントロールバルブ2に接続され、作動油を吐出する第1ポンプ(請求項における第1ポンプの一例)3、第2ポンプ(請求項における第2ポンプの一例)4、第3ポンプ(請求項における第3ポンプの一例)6、及びパイロットポンプ7と、作動油が還流されることで作動油が貯留されるタンク(請求項におけるタンクの一例)8と、を備える。以下、作動油の流れに基づいて上流側、下流側と称する場合がある。
【0021】
<コントロールバルブ>
コントロールバルブ2は、上流側から順に設けられたドーザ制御弁14、旋回制御弁13、合流弁(請求項における合流弁の一例)18、一対の走行制御弁11,12と、ブーム制御弁(請求項における制御弁の一例)15、アーム制御弁(請求項における制御弁の一例)16、バケット制御弁(請求項における制御弁の一例)17、及び検出機構(請求項における検出機構の一例)20を備える。
【0022】
ドーザ制御弁14は、ドーザ107を駆動するドーザシリンダ34に連結される。ドーザ制御弁14は、ドーザシリンダ34の駆動制御を行う。
旋回制御弁13は、旋回体101を旋回駆動する旋回モータ33に連結される。旋回制御弁13は、旋回モータ33の駆動制御を行う。
一対の走行制御弁11,12は、走行体102に備える左右の履帯を駆動する一対の走行モータ31,32に各々連結される。一対の走行制御弁11,12は、それぞれ対応する走行モータ31,32の駆動制御を行う。
【0023】
ブーム制御弁15は、ブーム104を駆動するブームシリンダ(請求項におけるアクチュエータの一例)35に連結される。ブーム制御弁15は、ブームシリンダ35の駆動制御を行う。
アーム制御弁16は、アーム105を駆動するアームシリンダ(請求項におけるアクチュエータの一例)36に連結される。アーム制御弁16は、アームシリンダ36の駆動制御を行う。
バケット制御弁17は、バケット106を駆動するバケットシリンダ(請求項におけるアクチュエータの一例)37に連結される。バケット制御弁17は、バケットシリンダ37の駆動制御を行う。
【0024】
<ポンプ>
第1ポンプ3及び第2ポンプ4は2系統で作動油を吐出する、いわゆるスプリットフロー型可変容量ポンプである。したがって本実施形態では第1ポンプ3及び第2ポンプ4は、1つのポンプで構成されているが、別々のポンプで構成されていてもよい。このため、以下の説明を分かりやすくするために、第1ポンプ3、第2ポンプ4のように別々の呼称を用いる。
【0025】
第1ポンプ3及び第2ポンプ4には、例えばポンプレギュレータ5が内蔵されている。ポンプレギュレータ5は、後述する低圧選択弁23に連結されている。ポンプレギュレータ5は、低圧選択弁23から加えられるネガコン圧に基づいて可動斜板5aの傾斜角度を変更することで第1ポンプ3及び第2ポンプ4の吐出量を制御する。
【0026】
第1ポンプ3は、合流弁18を介して第1アンロード通路(請求項における第1アンロード通路の一例)41及び第1供給通路(請求項における第1供給通路の一例)42に連結されている。第1アンロード通路41は、第1通路46を介して第1供給通路42に連結されている。
第2ポンプ4は、合流弁18を介して第2アンロード通路(請求項における第2アンロード通路の一例)43及び第2供給通路(請求項における第2供給通路の一例)44に連結されている。第2アンロード通路43は、第2通路47を介して第2供給通路44に連結されている。
【0027】
第1アンロード通路41及び第2アンロード通路43の途中には、ブーム制御弁15、アーム制御弁16、及びバケット制御弁17の複数の制御弁が設けられている。ブーム制御弁15、アーム制御弁16、及びバケット制御弁17には、第1供給通路42が第1通路51,52,53を介して連結されている。また、ブーム制御弁15、アーム制御弁16、及びバケット制御弁17には、第2供給通路44が第2通路54,55,56を介して連結されている。
【0028】
第3ポンプ6は、固定容量油圧ポンプである。本実施形態では、第3ポンプ6を固定容量油圧ポンプとして説明するが、第3ポンプ6を可変容量油圧ポンプとしてもよい。第3ポンプ6は、ドーザ制御弁14及び旋回制御弁13を介して第3アンロード通路(請求項における第3アンロード通路の一例)61に連結されている。また。第3ポンプ6は、第3供給通路(請求項における第3供給通路の一例)62に連結されている。第3アンロード通路61及び第3供給通路62は、合流弁18に連結されている。
【0029】
パイロットポンプ7も固定容量油圧ポンプである。パイロットポンプ7は、第1パイロット通路(請求項におけるパイロット通路の一例)64に連結されている。第1パイロット通路64の途中にはフィルタ65が設けられている。第1パイロット通路64は、パイロットポンプ7から吐出された作動油によりパイロット圧が発生する。
【0030】
第1パイロット通路64は、合流弁18の第1操作部(請求項における操作部の一例)66と、第2パイロット通路(請求項における第2パイロット通路の一例)68とに分岐されている。すなわち、第1操作部66には第1パイロット通路64が連結されている。第1操作部66は、第1パイロット通路64のパイロット圧を発生させて、パイロット圧を合流弁18に加える。これにより、第1操作部66はパイロット圧で合流弁18のスプール18aを左側に駆動する。第2パイロット通路68は、パイロットタンク通路69を介してタンク8に接続されている。
【0031】
第2パイロット通路68は、ブーム制御弁15、アーム制御弁16、及びバケット制御弁17に連結され、パイロットタンク通路69を介してタンク8に連結されている。第2パイロット通路68は、パイロット圧が発生している第1パイロット通路64の作動油が供給される。以下、パイロット圧が発生している作動油をパイロット油と称する場合がある。
【0032】
第2パイロット通路68は、ブーム制御弁15、アーム制御弁16、及びバケット制御弁17のスプール15a,16a,17aが中立位置に配置された状態において、第2パイロット通路68のパイロット油をパイロットタンク通路69からタンク8に還流する。
図2では、スプール15a,16a,17aの中立位置を示している。スプール15a,16a,17aが中立位置に配置された場合、第1パイロット通路64のパイロット圧は第1操作部66に発生しない。この状態では、合流弁18のスプール18aは、
図2に示す第1切換位置18a1に配置される。第1切換位置18a1の詳細な説明については後述する。
【0033】
一方、第2パイロット通路68は、例えば、ブーム制御弁15、アーム制御弁16、及びバケット制御弁17から選択した所望の制御弁のスプールの動作に基づいて変化する。
以下、本実施形態では、所望の制御弁のスプールとしてブーム制御弁15のスプール15aを例に説明する。ブーム制御弁15に代えてアーム制御弁16、バケット制御弁17を作動させた場合も同様である。ブーム制御弁15、アーム制御弁16、及びバケット制御弁17から選択した2以上の制御弁を同時に作動させても同様である。
【0034】
ブーム制御弁15のスプール15aを中立位置(
図2に示す位置)から左側に駆動(作動)してブームシリンダ35のヘッド35a側に作動油を供給する状態では、第2パイロット通路68がブーム制御弁15のスプール15aにより遮断される。ここで、第2パイロット通路68がブーム制御弁15のスプール15aにより遮断される際に、第2パイロット通路68の開度は、スプール15aの動作に基づいて変化する。第2パイロット通路68がブーム制御弁15のスプール15aにより開口される際に、第2パイロット通路68の開度は、スプール15aの動作に基づいて変化する。
【0035】
第2パイロット通路68が遮断されることにより、第1パイロット通路64に発生したパイロット圧が第1操作部66に加えられる。このため、第1操作部66に加えられたパイロット圧により、合流弁18のスプール18aが左側に駆動する。この状態では、合流弁18のスプール18aは、第2切換位置18a2に配置される。第2切換位置18a2の詳細な説明については後述する。
【0036】
<合流弁>
合流弁18は、第3アンロード通路61の下流側で、かつ第3供給通路62、第1供給通路42、及び第2供給通路44に配置されている(設けられている)。合流弁18のスプール18aは、第1操作部66から加えられるパイロット圧に基づいて切り換え可能な第1切換位置(請求項における第1切換位置の一例)18a1と、第2切換位置(請求項における第2切換位置の一例)18a2と、を有する。
図2では、スプール18aが第1切換位置18a1に位置している状態を示している。
【0037】
合流弁18には、第1操作部66の反対側に第2操作部(請求項における第2操作部の一例)67が設けられている。第2操作部67は、後述する低圧選択弁23に連結されている。第2操作部67は、低圧選択弁23から加えられるネガコン圧により、第1操作部66から加えられるパイロット圧を抑制する。
【0038】
第1切換位置18a1は、第3アンロード通路61と第2タンク通路(請求項におけるタンク通路の一例)72とを通じさせる第1通路(請求項における第1通路の一例)74を有する。さらに、第1切換位置18a1は、第3供給通路62と第1供給通路42及び第2供給通路44とを通じさせる第2通路(請求項における第1通路の一例)75を有する。すなわち、合流弁18のスプール18aが第1切換位置18a1に切り換えられたとき、第3アンロード通路61が第1通路74を介して第2タンク通路72に通じる。さらに、第3供給通路62が第2通路75を介して第1供給通路42及び第2供給通路44に通じる。第2タンク通路72は、第1タンク通路71を介してタンク8に通じている。
【0039】
第2切換位置18a2は、第3アンロード通路61を第2タンク通路72から遮断する。さらに、第2切換位置18a2は、第3供給通路62と第1供給通路42及び第2供給通路44とを通じさせる第3通路(請求項における第3通路の一例)76を有する。すなわち、合流弁18のスプール18aが第2切換位置18a2に切り換えられたとき、第3アンロード通路61がスプール18aにより第2タンク通路72から遮断される。さらに、第3供給通路62が第3通路76を介して第1供給通路42及び第2供給通路44に通じる。
【0040】
合流弁18は、ブーム制御弁15、アーム制御弁16、及びバケット制御弁17のスプール15a,16a,17aが中立位置に配置されたとき、スプール18aが第1切換位置18a1に切り換えられる(保たれる)。このため、第3アンロード通路61は、第1通路74、第2タンク通路72及び第1タンク通路71を介してタンク8に連結される。これにより、第3ポンプ6から吐出された作動油は、第3アンロード通路61、第1通路74、第2タンク通路72及び第1タンク通路71を介してタンク8に還流される。
【0041】
合流弁18は、例えば、ブーム制御弁15のスプール15aが中立位置から左側に駆動してブームシリンダ35のヘッド35a側に作動油を供給する位置に配置されたとき、スプール18aが第2切換位置18a2に切り換えられる。
具体的には、ブーム制御弁15のスプール15aが中立位置から左側に駆動することにより、第2パイロット通路68の開度がスプール15aの動作に基づいて変化し、第2パイロット通路68がスプール15aにより遮断される。このため、第2パイロット通路68のパイロット圧が第1操作部66に加えられ、合流弁18のスプール18aが第2切換位置18a2に切り換えられる。
【0042】
このように、ブーム制御弁15のスプール15aを切り換えるだけで、合流弁18のスプール18aが第1切換位置18a1と第2切換位置18a2とに切り換る。
スプール18aが第2切換位置18a2に切り換ることにより、第3アンロード通路61は、スプール18aにより第2タンク通路72から遮断される。この際に、第2タンク通路72の開度は、合流弁18のスプール18aの切り換え動作に対応して徐々に変化する。
【0043】
第3アンロード通路61が第2タンク通路72から遮断されることにより、第3ポンプ6から吐出された作動油が第3供給通路62、及び第3通路76を介して第1供給通路42及び第2供給通路44に矢印Aの如く流れる。
すなわち、第3ポンプ6から吐出された作動油を、第1ポンプ3から吐出された第1供給通路42の作動油と、第2ポンプ4から吐出された第2供給通路44の作動油とに合流させることができる。
【0044】
第1供給通路42で合流した第1ポンプ3及び第3ポンプ6から吐出された作動油は、矢印Bの如く第1通路51を介してブーム制御弁15からブームシリンダ35のヘッド35a側に供給される。また、第2供給通路44で合流した第2ポンプ4及び第3ポンプ6から吐出された作動油は、矢印Bの如く第2通路54を介してブーム制御弁15からブームシリンダ35のヘッド35a側に供給される。
このように、油圧回路1に合流弁18を設けることにより、ブーム制御弁15の動作に基づいて、第3ポンプ6から吐出される作動油を第1供給通路42及び第2供給通路44を介してブーム制御弁15に供給できる。
【0045】
<検出機構>
第1アンロード通路41及び第2アンロード通路43の最下流には、ネガティブコントロール用の検出機構20が設けられている。検出機構20は、第1アンロード通路41の最下流に設けられた第1絞り(請求項における第1絞りの一例)21と、第2アンロード通路43の最下流に設けられた第2絞り(請求項における第2絞りの一例)22と、第1絞り21及び第2絞り22の上流側に設けられた低圧選択弁(請求項における低圧選択弁の一例)23と、を有する。第1絞り21の上流側には第1リリーフ弁24が設けられている。第2絞り22の上流側には第2リリーフ弁25が設けられている。
【0046】
低圧選択弁23は、第1絞り21の上流側での作動油の圧力、及び第2絞り22の上流側での作動油の圧力のうち、低い方の圧力をネガコン圧として出力する。このため、ネガコン圧は、例えば、ブーム制御弁15のスプール15aがフルストロークのとき零(0)となる。また、ネガコン圧は、ブーム制御弁15、アーム制御弁16、及びバケット制御弁17のスプール15a,16a,17aが中立位置のとき高くなる。
【0047】
低圧選択弁23は、第1ポンプ3及び第2ポンプ4のポンプレギュレータ5と、合流弁18の第1操作部66とは反対側の第2操作部67とに連結されている。すなわち、低圧選択弁23は、ポンプレギュレータ5と、第2操作部67とにネガコン圧を加える。第2操作部67にネガコン圧が加えられることにより、第1操作部66から加えられるパイロット圧をネガコン圧で抑制する。
【0048】
ポンプレギュレータ5は、例えば、ネガコン圧が零(0)のとき、第1ポンプ3及び第2ポンプ4の吐出量が最大になるように可動斜板5aの傾斜角度を変更する。また、ポンプレギュレータ5は、ネガコン圧が高いとき、第1ポンプ3及び第2ポンプ4の吐出量が最小になるように可動斜板5aの傾斜角度を変更する。
【0049】
このように、上述の実施形態における油圧回路1によれば、ブーム制御弁15の動作に基づいて、第3ポンプ6から吐出される作動油を第1供給通路42及び第2供給通路44を介してブーム制御弁15に供給できる。第1供給通路42には、第1ポンプ3が連結されている。第2供給通路44には、第2ポンプ4が連結されている。このため、ブーム制御弁15により駆動制御するブームシリンダ35のヘッド35a側には、第1ポンプ3及び第2ポンプ4から吐出された作動油に加えて、第3ポンプ6から吐出された作動油を合流させることができる。
これにより、ブームシリンダ35のヘッド35a側に供給する作動油を増加させることにより、ブームシリンダ35(すなわち、アクチュエータ)の作動速度を速くできる。
【0050】
上述の実施形態では、ブーム制御弁15に備えたスプール15aの動作に基づいて、第2パイロット通路68の開度を変化させ、合流弁18のスプール18aを切り換えることにより第2タンク通路72の開度を変化させるようにした。
具体的には、例えば、合流弁18のスプール18aを第1切換位置18a1から第2切換位置18a2への切り換え中に、第2タンク通路72の開度を徐々に小さくできる。このため、第2タンク通路72に逃がす(流す)作動油を徐々に減少させることができる。これにより、第3ポンプ6から吐出される作動油を、第1ポンプ3に連結された第1供給通路42の作動流体、及び第2ポンプ4に連結された第2供給通路44の作動油にスムーズに合流分配(供給分配)できる。
【0051】
油圧回路1は、ネガティブコントロール用の検出機構20を備える。合流弁18では、第1操作部66とは反対側の第2操作部67に、検出機構20の低圧選択弁23からネガコン圧を加えるようにした。このため、合流弁18の第1操作部66に加わるパイロット圧を、第2操作部67に加えられるネガコン圧により抑制できる。これにより、ブーム制御弁15のスプール15aの動作に基づいて、合流弁18のスプール18aを第1切換位置18a1から第2切換位置18a2へ徐々に切り換えることができる。すなわち、第3アンロード通路61と第2タンク通路72との連結状態から遮断状態へ徐々に切り換えることができる。したがって、第2タンク通路72の開度を徐々に小さくできる。
【0052】
この結果、ブーム制御弁15の切り換え中に、第3ポンプ6から吐出された作動油の一部を第2タンク通路72に分配できる。このため、第3ポンプ6から吐出された作動油を、第1ポンプ3及び第2ポンプ4から吐出された作動油に徐々に合流させることができる。よって、ブーム制御弁15の切り換え中のとき、ブームシリンダ35の作動速度が急激に速くなることを抑制できる。
【0053】
さらに、合流弁18のスプール18aが第2切換位置18a2に切り換わることにより、第2タンク通路72がスプール18aで遮断される。このため、第3ポンプ6から吐出された作動油の一部を第2タンク通路72に分配しないようにできる。これにより、第1ポンプ3及び第2ポンプ4から吐出された作動油に第3ポンプ6から吐出された作動油を好適に合流させることができる。したがって、ブームシリンダ35のヘッド35a側に供給する作動油を増加させてブームシリンダ35の作動速度を速くできる。
【0054】
[変形例]
次に、
図3に基づいて、本実施形態における変形例の油圧回路(請求項における油圧回路の一例)80について説明する。変形例の油圧回路80では、上述の実施形態の油圧回路1と同一、類似部材についは同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図3は、本実施形態における変形例の油圧回路80を示す回路図である。
図3に示すように、変形例の油圧回路80は、上述の実施形態における油圧回路1に設けられた合流弁18を、他の合流弁(請求項における合流弁の一例)82に代えたものである。変形例の油圧回路80のその他の構成は、上述の実施形態の油圧回路1と同様である。
【0055】
合流弁82のスプール82aは、第1操作部66から加えられるパイロット圧に基づいて切り換え可能な第1切換位置(請求項における第1切換位置の一例)82a1と、第2切換位置(請求項における第2切換位置の一例)82a2と、を有する。第1切換位置82a1は、上述の実施形態における第1切換位置18a1と同様である。第2切換位置82a2は、上述の実施形態における第2切換位置18a2に第4通路84を設けたものである。
【0056】
合流弁82では、スプール82aが第2切換位置82a2に切り換えられたとき、第3アンロード通路61がスプール82aにより第2タンク通路72から遮断される。さらに、第3供給通路62が第3通路76を介して第1供給通路42及び第2供給通路44に通じる。加えて、第1ポンプ3及び第2ポンプ4が第4通路84を介して第1供給通路42に通じる。
したがって、変形例の油圧回路80は、上述の実施形態における油圧回路1と同様の作用、効果を奏する。
【0057】
本発明は上述の実施形態及び変形例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態及び変形例に種々の変更を加えたものを含む。
【0058】
例えば、上述の実施形態では、建設機械100は、例えば油圧ショベルなどである場合について説明した。建設機械100に上述の油圧回路1を適用させた例について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな建設機械に上述の油圧回路1を適用したり、建設機械以外の機械に上述の油圧回路1を適用したりできる。
【0059】
上述の実施形態では、複数の制御弁としてブーム制御弁15、アーム制御弁16、バケット制御弁17を例に説明したが、油圧回路1を他の制御弁に適用させてもよい。
コントロールバルブ2は、上流側から順に設けられたドーザ制御弁14、旋回制御弁13、合流弁18、一対の走行制御弁11,12と、ブーム制御弁15、アーム制御弁16、バケット制御弁17、及び検出機構20を備える場合について説明した。しかしながら、各部の順番は適宜変更可能である。また、各制御弁11~17は、その他の駆動用して用いてよい。
【0060】
上述の実施形態では、作動流体として作動油を例示した。しかしながらこれに限られるものではなく、作動油以外の作動流体に本発明を適用してもよい。作動流体は液体に限られるものではなく、気体でもよい。
【0061】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
【0062】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0063】
1,80…油圧回路、2…コントロールバルブ、3…第1ポンプ、4…第2ポンプ、6…第3ポンプ、8…タンク、15…ブーム制御弁(複数の制御弁の1つ)、16…アーム制御弁(複数の制御弁の1つ)、17…バケット制御弁(複数の制御弁の1つ)、18,82…合流弁、18a1,82a1…第1切換位置、18a2,82a2…第2切換位置、20…検出機構、21…第1絞り、22…第2絞り、23…低圧選択弁、35…ブームシリンダ(アクチュエータ)、36…アームシリンダ(アクチュエータ)、37…バケットシリンダ(アクチュエータ)、41…第1アンロード通路、42…第1供給通路、43…第2アンロード通路、44…第2供給通路、61…第3アンロード通路、62…第3供給通路、64…第1パイロット通路(パイロット通路)、66…第1操作部(操作部)、67…第2操作部、68…第2パイロット通路、72…第2タンク通路(タンク通路)、74…第1通路、75…第2通路、76…第3通路