(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006848
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ステープラ
(51)【国際特許分類】
B27F 7/19 20060101AFI20250109BHJP
B25C 5/15 20060101ALI20250109BHJP
B27F 7/36 20060101ALI20250109BHJP
B25C 5/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B27F7/19
B25C5/15
B27F7/36
B25C5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107869
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】見城 達弥
【テーマコード(参考)】
3C054
3C068
【Fターム(参考)】
3C054CA00
3C054CB01
3C054CC06
3C054CD05
3C054CE02
3C054CE13
3C068AA04
3C068AA07
3C068BB01
3C068CC06
3C068EE13
3C068JJ01
(57)【要約】
【課題】ドライバの傾きを抑制して、一対の針足に掛かる力が均等になるステープラを提供する。
【解決手段】ステープラ1Aは、針クラウン10aと第1の針足10b及び第2の針足10cとからなる針10を用紙に打ち込むドライバ2Aと、針10の打込み方向に移動するドライバシャフト3Aと、ドライバ2Aをドライバシャフト3Aに対し、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10a軸方向に沿って回動可能に支持するドライバ取付け部4Aを備える。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウン部と一対の脚部とからなる針を用紙に打ち込むドライバと、
前記用紙に打ち込まれて前記用紙を貫通した前記脚部を折り曲げるクリンチャと、
前記ドライバを前記針の打込み方向に移動可能に支持する支持部と
を備えるステープラであって、
前記支持部は、
前記ドライバを、前記針が打込み位置にセットされた状態における前記クラウン部の軸方向に沿って回動可能に支持する
ステープラ。
【請求項2】
前記ドライバによって前記針を前記用紙に打ち込む際に、前記ドライバを前記打込み方向にガイドするガイド部を備えた
請求項1に記載のステープラ。
【請求項3】
前記支持部は、前記軸方向における前記ドライバの中心位置を回動可能に支持する
請求項1又は2に記載のステープラ。
【請求項4】
前記支持部は、
前記ドライバを回動可能に支持するドライバ取付け部と、
前記軸方向に沿って延伸し、前記ドライバ取付け部を前記打込み方向に移動させるドライバシャフトとを有する
請求項3に記載のステープラ。
【請求項5】
前記支持部は、
前記軸方向に延伸し、前記軸方向における一部で前記ドライバを回動可能に支持するとともに、前記ドライバを前記打込み方向に移動させるドライバシャフトを有する
請求項3に記載のステープラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針で用紙を綴じるステープラに関する。
【背景技術】
【0002】
ステープル(針)を打ち出すドライバが駆動軸に支持されるステープラが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなステープラでは、ドライバの左右の両側が駆動軸に支持される。
【0003】
また、ドライバの上下位置を調整可能とするためのTボルトを介して、ドライバの中央を押圧する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4513443号公報
【特許文献2】特許第3346194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のステープラでは、駆動軸(ピン)が撓むなどにより傾くと、それに追従してドライバが傾く。ドライバが傾くと、ドライバがステープルを押圧する動作で、一方の針足に掛かる力と他方の針足に掛かる力に差が生じる。これにより、一対の針足に掛かる力が不均等であることに起因して、ステープルの座屈が発生する可能性があった。
【0006】
そこで、ドライバの傾きを抑制して、一対の針足に掛かる力が均等になるステープラを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、クラウン部と一対の脚部とからなる針を用紙に打ち込むドライバと、用紙に打ち込まれて用紙を貫通した前記脚部を折り曲げるクリンチャと、ドライバを針の打込み方向に移動可能に支持する支持部とを備えるステープラであって、支持部は、ドライバを、針が打込み位置にセットされた状態におけるクラウン部の軸方向に沿って回動可能に支持するステープラである。
【0008】
本発明では、ドライバと支持部は、針が打込み位置にセットされた状態におけるクラウン部の軸方向に沿って相対的に回動する。これにより、ドライバは、針が打込み位置にセットされた状態におけるクラウン部の軸方向に対して傾くことが抑制される。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、ドライバで針を打ち出す動作で、針の第1の針足と第2の針足に略均等に力が掛かる。これにより、第1の針足と第2の針足に掛かる力が不均等であることに起因する針の座屈の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本実施の形態の綴じ装置の一例を示す斜視図である。
【
図1B】本実施の形態の綴じ装置の一例を示す正面断面図である。
【
図2A】本実施の形態のステープラの一例を示す正面断面図である。
【
図2B】本実施の形態のステープラの一例を示す側面図である。
【
図2C】本実施の形態のステープラの一例を示す正面図である。
【
図3】本実施の形態のステープラの動作の一例を示す正面断面図である。
【
図4A】本実施の形態のステープラの動作の一例を示す正面断面図である。
【
図4B】本実施の形態のステープラの動作の一例を示す正面断面図である。
【
図5A】本実施の形態のステープラの変形例を示す斜視図である。
【
図5B】本実施の形態のステープラの変形例を示すドライバの斜視図である。
【
図6A】本実施の形態のステープラの他の変形例を示す斜視図である。
【
図6B】本実施の形態のステープラの他の変形例を示すドライバの斜視図である。
【
図7A】本実施の形態のステープラの他の変形例を示す斜視図である。
【
図7B】本実施の形態のステープラの他の変形例を示すドライバの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明のステープラ及びステープラを備えた綴じ装置の実施の形態の一例について説明する。
【0012】
<本実施の形態のステープラの構成例>
図1Aは、本実施の形態の綴じ装置の一例を示す斜視図、
図1Bは、本実施の形態の綴じ装置の一例を示す正面断面図である。また、
図2Aは、本実施の形態のステープラの一例を示す正面断面図、
図2Bは、本実施の形態のステープラの一例を示す側面図、
図2Cは、本実施の形態のステープラの一例を示す正面図である。
図2Aは、
図2BのA-A線断面図である。
【0013】
綴じ装置100Aは、少なくとも1台のステープラ1Aと、ステープラ1Aを駆動する駆動部6を備える。
図1A、
図1Bの例では、2台のステープラ1A1、1A2が、単一の駆動部6で駆動される。なお、ステープラ1Aと駆動部6を備えた綴じ装置を、ステープラと称してもよい。
【0014】
ステープラ1Aは、針10を打ち出し、一対の脚部を用紙Pに打ち込むドライバ2Aと、ドライバ2Aを移動させるドライバシャフト3Aと、ドライバ2Aを回動可能に支持し、ドライバ2Aとドライバシャフト3Aとを連結するドライバ取付け部4Aを備える。また、ステープラ1Aは、用紙Pに打ち込まれて用紙Pを貫通した針10の一対の脚部を折り曲げる曲げ部7を備える。
【0015】
針10は、クラウン部である針クラウン10aの一方の端部に、矢印A1で示す針10の打込み方向に曲げられた一対の脚部の一方である第1の針足10bが形成される。また、針10は、針クラウン10aの他方の端部に、針10の打込み方向に曲げられた一対の脚部の他方である第2の針足10cが形成される。なお、針クラウン10aの延伸方向を軸方向と称す。
【0016】
ドライバ2Aは、針10の打込み方向及び針10の打込み方向と反対方向に移動可能に支持される。ドライバ2Aは、長方形の板状で、針10の打込み方向が長手方向となる。ドライバ2Aは、針10の打込み方向に沿った端部に、針10の針クラウン10aを押圧する押圧部20Aを備える。押圧部20Aは、ドライバ2Aの短手方向の辺で構成され、針クラウン10aの軸方向に延伸する。ドライバ2Aは、押圧部20Aの延伸方向の長さ(左右方向の幅)が、針クラウン10aの軸方向の長さと略同じである。
【0017】
ドライバシャフト3Aは支持部の一例で、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って延伸する。針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向を矢印Bで示す。ドライバシャフト3Aが針クラウン10aの軸方向に沿って延伸するとは、ドライバシャフト3Aが針クラウン10aの軸方向に対して平行に延伸する場合だけでなく、針クラウン10aの軸方向に対して傾いて延伸する場合も含まれる。後述する変形例のドライバシャフトについても同様である。ドライバシャフト3Aは、モータやギアなどで構成される駆動部6に駆動され、針10の打込み方向及びその反対方向に移動する。
【0018】
ドライバ取付け部4Aは支持部の一例で、針10の打込み方向に移動させる力及びその反対方向に移動させる力を受ける作用部40Aを備える。作用部40Aは、針10の打込み方向及びその反対方向に交差する左右方向に沿って、所定の間隔を開けた2箇所に設けられる。一対の作用部40Aは、針クラウン10aの軸方向に沿ったドライバ2Aの幅より広い間隔を開けて設けられる。作用部40Aは、ドライバシャフト3Aが入る穴で構成される。作用部40Aが四角形の穴である場合、第1の辺及び第1の辺と直交する第2の辺の長さは、ドライバシャフト3Aの直径と略同じである。また、作用部40Aが円形の穴である場合、その直径は、ドライバシャフト3Aの直径と略同じである。
【0019】
ドライバ取付け部4Aは、ドライバ2Aを回動可能に支持する支持軸41Aを備える。支持軸41Aは、作用部40Aに対して針10の打込み方向の反対方向に沿った側に設けられる。支持軸41Aは、円柱形状で、円柱の軸方向がドライバシャフト3Aに対して直交する。ドライバ取付け部4Aは、一対の作用部40Aの中心と、支持軸41Aの中心が合わせられる。すなわち、一方の作用部40Aから支持軸41Aの中心Oまでの距離L1と、他方の作用部40Aから支持軸41Aの中心Oまでの距離L2が等しく構成される。一方の作用部40Aから支持軸41Aの中心Oまでの距離L1と、他方の作用部40Aから支持軸41Aの中心Oまでの距離L2は、作用部40Aに入れられたドライバシャフト3Aの延伸方向に沿った距離である。これにより、支持軸41Aは、一対の作用部40Aの間隔の中心に設けられる。
【0020】
ドライバ2Aは、針10の打込み方向の反対方向に沿った端部が、支持軸41Aによりドライバ取付け部4Aに支持される。ドライバ2Aは、押圧部20Aの一方の端部から支持軸41Aの中心Oまでの距離L10と、押圧部20Aの他方の端部から支持軸41Aの中心Oまでの距離L20が等しく構成される。押圧部20Aの一方の端部から支持軸41Aの中心Oまでの距離L10と、押圧部20Aの他方の端部から支持軸41Aの中心Oまでの距離L20は、押圧部20Aの延伸方向に沿った距離である。これにより、ドライバ2Aは、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿った中心が、支持軸41Aで支持される。そして、ドライバ2Aとドライバ取付け部4Aは、支持軸41Aを支点として、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って相対的に回動する。
【0021】
ステープラ1Aは、針10の打込み方向及びその反対方向に移動するドライバ2Aを、針10の打込み方向及びその反対方向に沿ってガイドするガイド部5Aを備える。ガイド部5Aは、ドライバ2Aの押圧部20Aの延伸方向の長さ(左右方向の幅)と同等の幅で対向し、針10の打込み方向及びその反対方向に沿って延伸する。
【0022】
これにより、ガイド部5Aにガイドされて針10の打込み方向及びその反対方向に移動するドライバ2Aは、針10の打込み方向及びその反対方向に対して傾くことが抑制される。よって、ドライバ2Aは、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して、押圧部20Aが傾くことが抑制される。
【0023】
綴じ装置100Aは、ステープラ1A1のドライバ取付け部4Aの一対の作用部40Aと、ステープラ1A2のドライバ取付け部4Aの一対の作用部40Aに、1本のドライバシャフト3Aが通される。これにより、綴じ装置100Aは、2台のステープラ1A1、1A2が、単一の駆動部6に駆動される1本のドライバシャフト3Aで連結される。また、曲げ部7の図示しないクリンチャが、伝達部材70を介して駆動部6に駆動される。
【0024】
<本実施の形態のステープラの動作例>
図3、
図4A、
図4Bは、本実施の形態のステープラの動作の一例を示す正面断面図である。
図1Aは、ドライバシャフト3Aが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して平行であって傾いていない状態で、ドライバ2Aが待機位置にある状態を示す。
図3は、ドライバシャフト3Aが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して平行であって傾いていない状態で、ドライバ2Aが待機位置から針10の打込み方向に移動した状態を示す。
図4Aは、ドライバシャフト3Aが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して傾いている状態で、ドライバ2Aが待機位置にある状態を示す。
図4Bは、ドライバシャフト3Aが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して傾いている状態で、ドライバ2Aが待機位置から針10の打込み方向に移動した状態を示す。
【0025】
ステープラ1Aは、ドライバシャフト3Aが駆動部6に駆動されて矢印A1で示す針10の打込み方向に移動すると、ドライバ取付け部4Aの作用部40Aがドライバシャフト3Aによって針10の打込み方向に押される。
【0026】
ドライバ2Aは、ドライバ取付け部4Aと支持軸41Aにより連結される。これにより、ドライバ2Aは、ドライバ取付け部4Aの支持軸41Aを介して針10の打込み方向に押され、待機位置から打ち出し位置に移動する。ドライバ2Aは、
図1A、
図4Aに示す待機位置から、
図3、
図4Bに示すように針10の打込み方向に移動すると、ガイド部5Aにガイドされる。
【0027】
これにより、ドライバ2Aは、針10の打込み方向に対して直交する矢印Bで示す針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して、押圧部20Aが傾くことが抑制される。そして、ドライバ2Aは、待機位置から打ち出し位置に移動すると、押圧部20Aが針10の針クラウン10aを押圧することで、針10を打ち出す。
【0028】
ドライバ2Aとドライバ取付け部4Aは、支持軸41Aを支点として、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って相対的に回動する。また、ガイド部5Aにガイドされて針10の打込み方向に移動するドライバ2Aは、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して、押圧部20Aが傾くことが抑制される。
【0029】
図1A、
図3に示すように、ドライバシャフト3Aが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して傾いていない場合、ガイド部5Aにガイドされるドライバ2Aの押圧部20Aの延伸する方向に対し、ドライバシャフト3Aが延伸する方向が平行である。
【0030】
図4A、
図4Bに示すように、ドライバシャフト3Aが、変形などにより針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して傾いている場合、ドライバ2Aとドライバ取付け部4Aは、支持軸41Aを支点として、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って相対的に回動する。これにより、ドライバシャフト3Aが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して傾いている場合であっても、ドライバ2Aは、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して、押圧部20Aが傾くことが抑制される。
【0031】
したがって、ドライバシャフト3Aが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して傾いていない場合、傾いている場合のいずれでも、ドライバ2Aは、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して押圧部20Aが傾くことが抑制される。
【0032】
また、支持軸41Aは、一対の作用部40Aの間隔の中心に設けられる。さらに、ドライバ2Aは、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿った中心が、支持軸41Aで支持される。
【0033】
これにより、ドライバ取付け部4Aの一対の作用部40Aがドライバシャフト3Aによって針10の打込み方向に押される力が、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿ったドライバ2Aの中心に掛かる。
【0034】
よって、ドライバシャフト3Aが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して傾いていない場合、傾いている場合のいずれでも、ドライバ2Aの押圧部20Aが針10の針クラウン10aを押圧する動作で、押圧部20Aから針クラウン10aの一方の端部側と他方の端部側に掛かる力が略均等となる。
【0035】
したがって、ドライバ2Aで針10を打ち出す動作で、第1の針足10bと第2の針足10cに略均等に力が掛かる。これにより、第1の針足10bと第2の針足10cに掛かる力が不均等であることに起因する針10の座屈の発生が抑制される。
【0036】
図1A、
図1Bに示す綴じ装置100Aは、ステープラ1A1とステープラ1A2が、1本のドライバシャフト3Aで連結される。これにより、駆動部6から1本のドライバシャフト3Aに駆動力を伝達するギアやリンク等の伝達機構60を備えればよい。よって、駆動部6から各ステープラのそれぞれのドライバシャフト3Aに駆動力を伝達する伝達機構60を備える構成と比較して、部品点数の削減が可能で、コストを低減することができる。
【0037】
一方、綴じ装置100Aは、ステープラ1A1のドライバ取付け部4Aの一対の作用部40Aに通されるドライバシャフトと、ステープラ1A2のドライバ取付け部4Aの一対の作用部40Aに通されるドライバシャフトが、ステープラ1A1とステープラ1A2との間でつながって一本のドライバシャフト3Aを構成する。このため、ドライバシャフト3Aは、ステープラ1A1とステープラ1A2との間でつながる分、
図2Aなどに示すステープラ1Aと比較して長くなる。ドライバシャフト3Aが長くなると、撓むなどの変形がしやすくなる。
【0038】
但し、ドライバシャフト3Aが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して傾いている場合であっても、ドライバ2Aは、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して押圧部20Aが傾くことが抑制される。また、ドライバ取付け部4Aの一対の作用部40Aがドライバシャフト3Aによって針10の打込み方向に押される力が、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿ったドライバ2Aの中心に掛かる。
【0039】
よって、ドライバシャフト3Aが撓むなどの変形により、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して傾いている場合であっても、ドライバ2Aで針10を打ち出す動作で、第1の針足10bと第2の針足10cに略均等に力が掛かる。これにより、ドライバシャフト3Aの変形を許容しつつ、第1の針足10bと第2の針足10cに掛かる力が不均等であることに起因する針10の座屈の発生が抑制される。
【0040】
<本実施の形態のステープラの変形例>
図5Aは、本実施の形態のステープラの変形例を示す斜視図、
図5Bは、本実施の形態のステープラの変形例を示すドライバの斜視図である。
【0041】
変形例のステープラ1Bは、針10を打ち出すドライバ2Bと、ドライバ2Bを針10の打込み方向及びその反対方向に移動させると共に、ドライバ2Bを、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って回動可能に支持するドライバシャフト3Bを備える。
【0042】
ドライバ2Bは、矢印A1で示す針10の打込み方向及びその反対に移動可能に支持される。ドライバ2Bは、長方形の板状で、針10の打込み方向及びその反対方向が長手方向となる。ドライバ2Bは、針10の打込み方向に沿った端部に、針10の針クラウン10aを押圧する押圧部20Bを備える。ドライバ2Bは、針10の打込み方向の反対方向に沿った端部に、ドライバシャフト3Bに支持されると共に、針10の打込み方向に移動させる力及びその反対方向に移動させる力を受ける作用部22Bを備える。作用部22Bは、ドライバシャフト3Bが入り、ドライバシャフト3Bと作用部22Bの間に、ドライバ2Bに対しドライバシャフト3Bが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って回転可能な隙間が形成される穴で構成される。作用部22Bは、ドライバ2Bにおいて、押圧部20Bの延伸方向である針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿った中心に設けられる。
【0043】
ドライバシャフト3Bは支持部の一例で、矢印Bで示す針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って延伸する。ドライバシャフト3Bは、モータやギアなどで構成される図示しない駆動部に駆動され、針10の打込み方向及びその反対方向に移動する。
【0044】
これにより、ドライバ2Bは、押圧部20Bの延伸方向である針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿った中心が、作用部22Bを介してドライバシャフト3Bで支持される。そして、ドライバ2Bとドライバシャフト3Bは、作用部22Bを支点として、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って相対的に回動する。
【0045】
ステープラ1Bは、針10の打込み方向及びその反対方向に移動するドライバ2Bを、針10の打込み方向及びその反対方向に沿ってガイドする図示しないガイド部を備える。
【0046】
ステープラ1Bは、ガイド部を備えない構成で、ドライバ2Bとドライバシャフト3Bが、作用部22Bを支点として、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って相対的に回動する。これにより、図示しないガイド部にガイドされて針10の打込み方向に移動するドライバ2Bは、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して、押圧部20Bが傾くことが抑制される。
【0047】
また、ドライバ2Bの作用部22Bがドライバシャフト3Bによって針10の打込み方向に押される力が、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿ったドライバ2Bの中心に掛かる。
【0048】
よって、ドライバシャフト3Bが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して傾いていない場合、傾いている場合のいずれでも、ドライバ2Bの押圧部20Bが針10の針クラウン10aを押圧する動作で、押圧部20Bから針クラウン10aの一方の端部側と他方の端部側に掛かる力が略均等となる。
【0049】
したがって、ドライバ2Bで針10を打ち出す動作で、第1の針足10bと第2の針足10cに略均等に力が掛かる。これにより、ステープラ1Bは、支持部としてドライバ取付け部を備えることなく、第1の針足10bと第2の針足10cに掛かる力が不均等であることに起因する針10の座屈の発生が抑制される。
【0050】
図6Aは、本実施の形態のステープラの他の変形例を示す斜視図、
図6Bは、本実施の形態のステープラの他の変形例を示すドライバの斜視図である。
【0051】
他の変形例のステープラ1Cは、針10を打ち出すドライバ2Cと、ドライバ2Cを針10の打込み方向及びその反対方向に移動させると共に、ドライバ2Cを針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って回動可能に支持するドライバシャフト3Cを備える。
【0052】
ドライバ2Cは、矢印A1で示す針10の打込み方向及びその反対方向に移動可能に支持される。ドライバ2Cは、長方形の板状で、針10の打込み方向及びその反対方向が長手方向となる。ドライバ2Cは、針10の打込み方向に沿った端部に、針10の針クラウン10aを押圧する押圧部20Cを備える。ドライバ2Cは、針10の打込み方向の反対方向に沿った端部に、ドライバシャフト3Cに支持されると共に、針10の打込み方向に移動させる力及びその反対方向に移動させる力を受ける作用部22Cを備える。作用部22Cは、ドライバ2Cに突起を設けて構成される。作用部22Cは、ドライバ2Cにおいて、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿った中心に設けられる。
【0053】
ドライバシャフト3Cは支持部の一例で、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って延伸する。ドライバシャフト3Cは、モータやギアなどで構成される図示しない駆動部に駆動され、針10の打込み方向及びその反対方向に移動する。
【0054】
ドライバシャフト3Cは板状で、ドライバ2Cの作用部22Cが入る被作用部32Cを備える。被作用部32Cは、作用部22Cとの間に、ドライバ2Cに対しドライバシャフト3Cが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って回転可能な隙間が形成される穴で構成される。
【0055】
これにより、ドライバ2Cは、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿った中心が、作用部22Cを介してドライバシャフト3Cの被作用部32Cに支持される。そして、ドライバ2Cとドライバシャフト3Cは、作用部22Cを支点として、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って相対的に回動する。
【0056】
ステープラ1Cは、針10の打込み方向及びその反対方向に移動するドライバ2Cを、針10の打込み方向及びその反対方向に沿ってガイドする図示しないガイド部を備える。
【0057】
ステープラ1Cは、ガイド部を備えない構成で、ドライバ2Cとドライバシャフト3Cが、作用部22Cを支点として、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って相対的に回動する。これにより、図示しないガイド部にガイドされて針10の打込み方向に移動するドライバ2Cは、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して、押圧部20Cが傾くことが抑制される。
【0058】
また、ドライバ2Cの作用部22Cがドライバシャフト3Cの被作用部32Cによって針10の打込み方向に押される力が、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿ったドライバ2Cの中心に掛かる。
【0059】
よって、ドライバシャフト3Cが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して傾いていない場合、傾いている場合のいずれでも、ドライバ2Cの押圧部20Cが針10の針クラウン10aを押圧する動作で、押圧部20Cから針クラウン10aの一方の端部側と他方の端部側に掛かる力が略均等となる。
【0060】
したがって、ドライバ2Cで針10を打ち出す動作で、第1の針足10bと第2の針足10cに略均等に力が掛かる。これにより、ステープラ1Cは、支持部としてドライバ取付け部を備えることなく、第1の針足10bと第2の針足10cに掛かる力が不均等であることに起因する針10の座屈の発生が抑制される。
【0061】
図7Aは、本実施の形態のステープラの他の変形例を示す斜視図、
図7Bは、本実施の形態のステープラの他の変形例を示すドライバの斜視図である。
【0062】
他の変形例のステープラ1Dは、針10を打ち出すドライバ2Dと、ドライバ2Dを針10の打込み方向及びその反対方向に移動させると共に、ドライバ2Dを針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って回動可能に支持するドライバシャフト3Dを備える。
【0063】
ドライバ2Dは、針10の打込み方向及びその反対方向に移動可能に支持される。ドライバ2Dは、長方形の板状で、針10の打込み方向及びその反対方向が長手方向となる。ドライバ2Dは、針10の打込み方向に沿った端部に、針10の針クラウン10aを押圧する押圧部20Dを備える。ドライバ2Dは、針10の打込み方向の反対方向に沿った端部に、ドライバシャフト3Dに支持されると共に、針10の打込み方向に移動させる力及びその反対方向に移動させる力を受ける作用部22Dを備える。作用部22Dは、ドライバ2Dの表裏を貫通する穴を設けて構成される。作用部22Dは、ドライバ2Dにおいて、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿った中心を含む位置に設けられる。
【0064】
ドライバシャフト3Dは支持部の一例で、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って延伸する。ドライバシャフト3Dは、モータやギアなどで構成される図示しない駆動部に駆動され、針10の打込み方向及びその反対方向に移動する。
【0065】
ドライバシャフト3Dは板状で、ドライバ2Dの作用部22Dに入る被作用部32Dを備える。被作用部32Dは、作用部22Dとの間に、ドライバ2Dに対しドライバシャフト3Dが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って回転可能な隙間が形成される円筒状の突起で構成される。
【0066】
これにより、ドライバ2Dは、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿った中心が、作用部22Dを介してドライバシャフト3Dの被作用部32Dに支持される。そして、ドライバ2Dとドライバシャフト3Dは、被作用部32Dを支点として、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って相対的に回動する。
【0067】
ステープラ1Dは、針10の打込み方向及びその反対方向に移動するドライバ2Dを、針10の打込み方向及びその反対方向に沿ってガイドする図示しないガイド部を備える。
【0068】
ステープラ1Dは、ガイド部を備えない構成で、ドライバ2Dとドライバシャフト3Dが、被作用部32Dを支点として、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿って相対的に回動する。これにより、図示しないガイド部にガイドされて針10の打込み方向に移動するドライバ2Dは、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して、押圧部20Dが傾くことが抑制される。
【0069】
また、ドライバ2Dの作用部22Dがドライバシャフト3Dの被作用部32Dによって針10の打込み方向に押される力が、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に沿ったドライバ2Dの中心に掛かる。
【0070】
よって、ドライバシャフト3Dが、針10が打込み位置にセットされた状態における針クラウン10aの軸方向に対して傾いていない場合、傾いている場合のいずれでも、ドライバ2Dの押圧部20Dが針10の針クラウン10aを押圧する動作で、押圧部20Dから針クラウン10aの一方の端部側と他方の端部側に掛かる力が略均等となる。
【0071】
したがって、ドライバ2Dで針10を打ち出す動作で、第1の針足10bと第2の針足10cに略均等に力が掛かる。これにより、ステープラ1Dは、支持部としてドライバ取付け部を備えることなく、第1の針足10bと第2の針足10cに掛かる力が不均等であることに起因する針10の座屈の発生が抑制される。
【符号の説明】
【0072】
1A、1A1、1A2、1B、1C、1D・・・ステープラ、2A、2B、2C、2D・・・ドライバ、20A、20B、20C、20D・・・押圧部、22B、22C、22D・・・作用部、3A、3B、3C、3D・・・ドライバシャフト(支持部)、32C、32D・・・被作用部、4A・・・ドライバ取付け部(支持部)、40A・・・作用部、41A・・・支持軸、5A・・・ガイド部、10・・・針、10a・・・針クラウン、100A・・・綴じ装置