(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006851
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】カップ、基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H01L21/304 643Z
H01L21/304 648Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107872
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】津田 祥太郎
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA02
5F157AA03
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB46
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB62
5F157AB63
5F157AB90
5F157BA02
5F157BA31
5F157BB22
5F157CC11
5F157CF32
5F157DB51
5F157DC01
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】基板からの処理液の飛散を防止する二つのガードのうち、基板から遠い方のガードの内周面を洗浄する。
【解決手段】カップは、一方向に沿って延びる環状を呈し、基板に対して供給されて基板から飛散する処理液を受け止める。当該カップは、一方向に進むほど先細りで環状の第1ガードと、第1ガードよりも一方向側において第1ガードと対向する環状の面である内周面を有する第2ガードと、内周面と第1ガードとに挟まれ、内周面を洗浄する洗浄ユニットとを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に沿って延びる環状を呈し、基板に対して供給されて前記基板から飛散する処理液を受け止めるカップであって、
前記一方向に進むほど先細りで環状の第1ガードと、
前記第1ガードよりも前記一方向側において前記第1ガードと対向する環状の面である内周面を有する第2ガードと、
前記内周面と前記第1ガードとに挟まれ、前記内周面を洗浄する洗浄ユニットと
を備える、カップ。
【請求項2】
前記洗浄ユニットは、前記内周面へ向く吐出口が開口し、環状を呈するガード洗浄用ノズルを有する、請求項1に記載のカップ。
【請求項3】
前記第2ガードは環状であって、前記環状の周方向において選択的に切り欠きが設けられ、
前記一方向に沿って見て前記切り欠きが設けられた前記周方向の位置を避けて、前記吐出口が開口する、請求項2に記載のカップ。
【請求項4】
前記一方向に沿って延びる筒状を呈し、前記第1ガードと前記第2ガードとを前記一方向において連結する連結壁
を更に備え、
前記第1ガードと前記第2ガードとが連結される位置もしくはその近傍において、前記連結壁には排出口が開口する、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載のカップ。
【請求項5】
処理対象である基板を保持して回転軸線を中心として回転させる回転装置と、
前記基板を処理する処理液を前記基板へ吐出するノズルと、
前記回転軸線に沿って見て前記回転装置を囲むカップと、
を備え、
前記カップは、前記回転軸線に平行な一方向に沿って延びる環状を呈し、
前記カップは、
前記一方向に進むほど先細りの環状を呈し、最上端を有する第1ガードと、
前記第1ガードよりも前記一方向側において前記第1ガードと対向する環状の面である内周面を有する第2ガードと、
前記内周面と前記第1ガードとに挟まれ、前記内周面を洗浄する洗浄ユニットと
を有し、
前記処理液が吐出されるときには、前記カップが上位置に位置し、
前記上位置において前記最上端は保持位置よりも上方にあり、
前記保持位置は前記回転装置が前記基板を保持する位置である、基板処理装置。
【請求項6】
前記基板が保持される領域と対向する位置と、前記領域と対向しない位置との間で、前記ノズルを移動経路に沿って移動させるノズル移動機構
を更に備え、
前記移動経路が前記領域の外縁の一部と交叉する位置に対向して、前記第2ガードには切り欠きが設けられる、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板を洗浄する洗浄ブラシと、
前記基板が保持される領域と対向する位置と、前記領域と対向しない位置との間で、前記洗浄ブラシを移動経路に沿って移動させるブラシ移動機構
を更に備え、
前記移動経路が前記領域の外縁の一部と交叉する位置に対向して、前記第2ガードには切り欠きが設けられる、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記洗浄ユニットは、前記内周面へ向く吐出口が開口し、環状を呈するガード洗浄用ノズルを有し、
前記一方向に沿って見て、前記切り欠きが設けられた前記第2ガードの周方向の位置を避けて、前記吐出口が開口する、請求項5から請求項7のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記カップは、
前記一方向に沿って延びる筒状を呈し、前記第1ガードと前記第2ガードとを前記一方向において連結する連結壁
を更に有し、
前記第1ガードと前記第2ガードとが連結される位置もしくはその近傍において、前記連結壁には排出口が開口する、請求項5から請求項7のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記回転装置による前記基板の回転と、前記カップの位置と、前記ノズルからの前記処理液の吐出と、前記洗浄ユニットの動作とを制御する制御装置を更に備える、請求項5から請求項7のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示にかかる方法および装置のいずれも、基板を処理の対象とする技術に関する。当該基板として、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置に利用されるflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display(FED))用基板、太陽電池用基板が例示される。
【背景技術】
【0002】
基板に対して種々の処理を適切に行うために、当該処理の前に当該基板が洗浄される。当該洗浄として、当該処理の前に実行された他の処理で使用された薬液の除去が例示される。
【0003】
当該洗浄の例として、いわゆるスクラブ洗浄が挙げられる。スクラブ洗浄では例えば洗浄ブラシが利用される。スクラブ洗浄において、例えば洗浄液として脱イオン水(de-ionized water:DIW)が利用される。
【0004】
基板が洗浄されているときには回転しており、当該回転による洗浄液の飛沫が基板から外方へ飛散する。飛散した洗浄液は、ガード(あるいは「カップ」とも称される)によって受け止められる。
【0005】
例えば特許文献1は、純水で例示される処理液を受け止めるカップと、処理液がカップ外に漏れることを防止するカバー部材とを開示する。カップに受け止められた処理液は、当該処理液による処理の前に実行された他の処理で使用された薬液の成分を、含む場合が想定される。
【0006】
特許文献2,3,4はカップを洗浄する技術を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-71405号公報
【特許文献2】特開平6-106126号公報
【特許文献3】特開平9-115873号公報
【特許文献4】特開2007-149890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2,3は特許文献1にいうカバー部材に相当する構成要素を考慮せず、従ってカバー部材に相当する構成要素の洗浄について黙している。特許文献4は処理カップと、昇降するスプラッシュガードとを開示し、前者は特許文献1にいうカップに、後者は特許文献2にいうカバー部材に、それぞれ相当すると考えられる可能性がある。
【0009】
特許文献4はスプラッシュガードの外壁面を洗浄するガード洗浄用ノズルと、処理カップの内周面を洗浄するカップ洗浄用ノズルとを開示する。しかしスプラッシュガードの内周面の洗浄については黙している。
【0010】
特許文献1にいうカバー部材、特許文献4にいうスプラッシュガードのいずれについても、それらの内周面を洗浄する技術は開示されていない。しかしながらこれらの構成要素は、基板に対する種々の処理において、基板よりも上方に位置すると想定される。種々の処理は基板の上面側に対して行われるからである。よってこれらの構成要素の内周面が汚染されていることは、当該汚染の原因である異物や薬液の成分が、基板の上面へ付着する事象を招来する、と懸念される。
【0011】
本開示にかかる技術は、上記事象の発生の想定に鑑みてなされたものであり、基板からの処理液の飛散を防止する二つのガードのうち、基板から遠い方のガードの内周面を洗浄することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示にかかる第1の態様は、一方向に沿って延びる環状を呈し、基板に対して供給されて前記基板から飛散する処理液を受け止めるカップであって、前記一方向に進むほど先細りで環状の第1ガードと、前記第1ガードよりも前記一方向側において前記第1ガードと対向する環状の面である内周面を有する第2ガードと、前記内周面と前記第1ガードとに挟まれ、前記内周面を洗浄する洗浄ユニットとを備える。
【0013】
本開示にかかる第2の態様は、その第1の態様であって、前記洗浄ユニットは、前記内周面へ向く吐出口が開口し、環状を呈するガード洗浄用ノズルを有する。
【0014】
本開示にかかる第3の態様は、その第2の態様であって、前記第2ガードは環状であって、前記環状の周方向において選択的に切り欠きが設けられ、前記一方向に沿って見て前記切り欠きが設けられた前記周方向の位置を避けて、前記吐出口が開口する。
【0015】
本開示にかかる第4の態様は、その第1の態様から第3の態様のいずれかであって、前記一方向に沿って延びる筒状を呈し、前記第1ガードと前記第2ガードとを前記一方向において連結する連結壁を更に備える。前記第1ガードと前記第2ガードとが連結される位置もしくはその近傍において、前記連結壁には排出口が開口する。
【0016】
本開示にかかる第5の態様は、処理対象である基板を保持して回転軸線を中心として回転させる回転装置と、前記基板を処理する処理液を前記基板へ吐出するノズルと、前記回転軸線に沿って見て前記回転装置を囲むカップとを備える、基板処理装置である。前記カップは、前記回転軸線に平行な一方向に沿って延びる環状を呈する。前記カップは、前記一方向に進むほど先細りの環状を呈し、最上端を有する第1ガードと、前記第1ガードよりも前記一方向側において前記第1ガードと対向する環状の面である内周面を有する第2ガードと、前記内周面と前記第1ガードとに挟まれ、前記内周面を洗浄する洗浄ユニットとを有する。前記処理液が吐出されるときには、前記カップが上位置に位置し、前記上位置において前記最上端は保持位置よりも上方にあり、前記保持位置は前記回転装置が前記基板を保持する位置である。
【0017】
本開示にかかる第6の態様は、その第5の態様であって、前記基板が保持される領域と対向する位置と、前記領域と対向しない位置との間で、前記ノズルを移動経路に沿って移動させるノズル移動機構を更に備える。前記移動経路が前記領域の外縁の一部と交叉する位置に対向して、前記第2ガードには切り欠きが設けられる。
【0018】
本開示にかかる第7の態様は、その第5の態様または第6の態様であって、前記基板を洗浄する洗浄ブラシと、前記基板が保持される領域と対向する位置と、前記領域と対向しない位置との間で、前記洗浄ブラシを移動経路に沿って移動させるブラシ移動機構を更に備える。前記移動経路が前記領域の外縁の一部と交叉する位置に対向して、前記第2ガードには切り欠きが設けられる。
【0019】
本開示にかかる第8の態様は、その第5の態様から第7の態様のいずれかであって、前記洗浄ユニットは、前記内周面へ向く吐出口が開口し、環状を呈するガード洗浄用ノズルを有する。前記一方向に沿って見て、前記切り欠きが設けられた前記第2ガードの周方向の位置を避けて、前記吐出口が開口する。
【0020】
本開示にかかる第9の態様は、その第5の態様から第8の態様のいずれかであって、前記カップは、前記一方向に沿って延びる筒状を呈し、前記第1ガードと前記第2ガードとを前記一方向において連結する連結壁を更に有する。前記第1ガードと前記第2ガードとが連結される位置もしくはその近傍において、前記連結壁には排出口が開口する。
【0021】
本開示にかかる第10の態様は、その第5の態様から第9の態様のいずれかであって、前記回転装置による前記基板の回転と、前記カップの位置と、前記ノズルからの前記処理液の吐出と、前記洗浄ユニットの動作とを制御する制御装置を更に備える。
【発明の効果】
【0022】
本開示の第1の態様によれば、内周面を洗浄することによって、基板の汚染が抑制される。
【0023】
本開示の第2の態様によれば、吐出口から洗浄液が吐出して内周面を洗浄することによって、基板の汚染が抑制される。
【0024】
本開示の第3の態様によれば、切り欠きにより、基板へ処理液を供給する機構の移動、あるいは基板のスクラブ洗浄に用いられる洗浄ブラシの移動は妨げられにくい。吐出口の選択的な開口により、吐出口から吐出される洗浄液がカップの外方へ飛散することが抑制される。
【0025】
本開示の第4の態様によれば、吐出口から吐出されて内周面を洗浄した洗浄液がカップに滞留しにくく、内周面を洗浄し易くする。
【0026】
本開示の第5の態様によれば、内周面を洗浄することによって、基板の汚染が抑制される。
【0027】
本開示の第6の態様によれば、ノズルが、その移動に際して、第2ガードと接触することが回避される。
【0028】
本開示の第7の態様によれば、洗浄ブラシが、その移動に際して、第2ガードと接触することが回避される。
【0029】
本開示の第8の態様によれば、吐出口の選択的な開口により、吐出口から吐出される洗浄液がカップの外方へ飛散することが抑制される。
【0030】
本開示の第9の態様によれば、吐出口から吐出されて内周面を洗浄した洗浄液がカップに滞留しにくく、内周面を洗浄し易くする。
【0031】
本開示の第10の態様は、基板の回転と、カップの位置決めと、処理液の吐出と、洗浄ユニットの動作との協働に資する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】基板処理装置の構成の一例を概略的に示す平面図である。
【
図2】チャンバーの構成を模式的に例示する側面図である。
【
図3】スピンベースと、洗浄ブラシおよびその位置と、処理液吐出ノズルおよびその位置と、カップの一部との位置関係を模式的に示す平面図である。
【
図6】ガード洗浄用ノズルを例示する平面図である。
【
図9】基板処理装置の主要な制御系統を例示するブロック図である。
【
図10】チャンバーにおいて基板を洗浄する工程を例示するフローチャートである。
【
図11】ガード洗浄用ノズルの第1の変形を例示する断面図である。
【
図12】ガード洗浄用ノズルの第2の変形を例示する断面図である。
【
図13】ガード洗浄用ノズルの第2の変形を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の各実施形態が説明される。各実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本開示の範囲が例示のみに限定される趣旨ではない。図面は、あくまでも模式的に示されたものである。図面においては、容易に理解が可能となるように、必要に応じて各部の寸法および数が誇張または簡略化されて図示されている場合がある。図面においては、同様な構成および機能を有する部分に対して同じ符号が付されており、重複した説明が適宜省略されている。
【0034】
本明細書では、相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「平行」「直交」「中心」)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差も含む状態を表すとともに、同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表す。2つ以上のものが等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表す。
【0035】
形状を示す表現(例えば「四角形状」または「円筒形状」等)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密に形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸または面取り等を有する形状も表すものとする。
【0036】
1つの構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。
【0037】
「連結」という表現は、特に断らない限り、2つの要素が接している状態のほか、2つの要素が他の要素を挟んで離れている状態も含む表現である。
【0038】
図1は、基板処理装置1の構成の一例を概略的に示す平面図である。基板処理装置1は、処理対象である基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置である。例えば基板Wは略円板状の半導体基板である。
【0039】
基板Wは必ずしも半導体基板に限らない。例えば、基板Wには、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板および光磁気ディスク用基板などの各種基板が適用可能である。また基板の形状も円板形状に限らず、例えば矩形の板状形状など種々の形状を採用できる。
【0040】
<1.基板処理装置1の構成>
基板処理装置1は、ロードポート105と、インデクサセクション103と、処理セクション102と、受け渡しセクション104と、搬送セクション106と、制御装置107とを備える。制御装置107は、制御装置107の外の基板処理装置1の構成要素の動作を統合的に制御する。
【0041】
処理セクション102は複数の、例えば4個のタワー20を有する。平面視上、4個のタワー20は搬送セクション106の周囲に配置される。タワー20の各々は、平面視に対して垂直に積層された複数の、例えば3個のチャンバー2を有する。チャンバー2は基板Wに対して処理を行う処理室として機能する。
【0042】
ロードポート105には、複数の、例えば4個のキャリアCが搬入される。キャリアCとしては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッド、または、基板Wを外気にさらすOC(Open Cassette)が採用されてもよい。
【0043】
基板処理装置1は、インデクサロボット109を備える。インデクサロボット109はインデクサセクション103において主としてキャリアCが並ぶ方向に沿って移動する(
図1の矢印F1参照)。インデクサロボット109はインデクサセクション103と受け渡しセクション104との間を移動する(
図1の矢印F2参照)。インデクサロボット109は基板Wを保持する機能を有する。インデクサロボット109はインデクサセクション103においてキャリアCとの間で基板Wを搬送する。
【0044】
基板処理装置1は、搬送ロボット108を備える。搬送ロボット108は基板Wを保持する機能を有する。搬送ロボット108は受け渡しセクション104と搬送セクション106との間を移動する(
図1の矢印F3参照)。
【0045】
搬送ロボット108は受け渡しセクション104においてインデクサロボット109との間で基板Wを搬送する。インデクサロボット109は受け渡しセクション104において搬送ロボット108との間で基板Wを搬送する。
【0046】
搬送ロボット108は搬送セクション106とチャンバー2の各々との間で移動する(
図1の矢印F4参照)。搬送ロボット108はチャンバー2の各々との間で基板Wを授受する。
【0047】
搬送ロボット108は、インデクサロボット109から基板Wを受け取り、いずれかのチャンバー2内に搬入する。搬送ロボット108は、チャンバー2から処理済みの基板Wを搬出してインデクサロボット109に渡す。
【0048】
<2.チャンバー2の構成>
図2は、チャンバー2の構成を模式的に例示する側面図である。チャンバー2は、筐体201と、スピンチャック7と、処理液吐出ノズル6と、洗浄ブラシ8と、カップ9とを有する。
【0049】
スピンチャック7は筐体201に収納される。スピンチャック7は、処理の対象となる一枚の基板Wを水平な姿勢で保持する機能と、鉛直な回転軸線A1まわりに回転する機能とを有する。スピンチャック7に保持された基板Wは、スピンチャック7の回転により、回転軸線A1を中心として回転する。例えば基板Wは、その中心が回転軸線A1上に位置する状態で、スピンチャック7によって水平に保持される。スピンチャック7は、処理対象である基板Wを保持して回転軸線A1を中心として回転させる回転装置として機能する。
【0050】
スピンチャック7は、チャックピン701と、スピンベース702と、回転軸704と、スピンモータ705とを含む。スピンモータ705は回転軸704を回転軸線A1を中心として回転させる機能を有する。回転軸704は、回転軸線A1に沿って鉛直方向に延び、例えば中空の軸である。回転軸704の上端は、スピンベース702の下面の中央に結合されている。
【0051】
スピンベース702は、その上方が、水平方向に沿う円盤形状を有している。チャックピン701は、スピンベース702の上面の周縁部に、周方向に間隔を空けて複数個が配置されている。チャックピン701は、スピンベース702の上方に基板Wを把持したり、基板Wの把持を解除したりする。
【0052】
チャックピン701はスピンベース702の上方に固定され、スピンベース702の上方で基板Wを保持する、スピンチャック7の端部として機能する。チャックピン701の上端の位置7aは、スピンチャック7が基板Wを保持する保持位置の例と考えられ得る。平面視上、スピンベース702はスピンチャック7が基板Wを保持する領域に相当すると考えられ得る。
【0053】
チャックピン701が基板Wを把持し、スピンモータ705が回転軸704に回転力を与え、スピンベース702が回転することによって、当該基板Wは回転軸線A1を中心として回転する。
【0054】
処理液吐出ノズル6はスピンチャック7の上方に配置される。処理液吐出ノズル6は処理液62を下方へ吐出する機能を有する。基板Wがスピンチャック7によって保持され、かつ基板Wと対向する位置61に処理液吐出ノズル6が配置される場合には、当該機能によって、処理液吐出ノズル6は基板Wに、より具体的にはその上面に処理液62を供給する機能を有するといえる。処理液62には例えば、脱イオン水で例示される洗浄液が採用される。
【0055】
位置61は、例えば平面視上で回転軸線A1を含む。処理液吐出ノズル6が位置61にあり、かつ基板Wがスピンチャック7に保持されて回転するとき、処理液吐出ノズル6は例えば基板Wについての回転中心に対向する。
【0056】
位置60は処理液吐出ノズル6が退避する位置である。処理液吐出ノズル6は、それが基板Wへ処理液62を吐出しないときに,位置60に配置される。位置60はスピンベース702と対向せず、平面視上、スピンチャック7の外方に位置する。
【0057】
位置60,61の間で処理液吐出ノズル6は水平方向に可動である。処理液吐出ノズル6の移動はアーム602によって、より具体的には後述される機構によって旋回するアーム602によって行われる。
図2において面8Lは、処理液吐出ノズル6の最下端が、鉛直方向において取り得る位置を仮想的に示し、たとえば水平面である。処理液吐出ノズル6の最下端は面8Lに沿って移動する。面8Lは位置7aよりも上方にある。
【0058】
洗浄ブラシ8は、スピンチャック7の上方に配置される。位置81,82はいずれも、スピンチャック7によって保持された基板Wの外周縁、もしくは基板Wの中心側での当該外周縁の近傍にある。例えば位置81,82は回転軸線A1を挟んで互いに対向する。基板Wがスピンチャック7によって保持された状態で、洗浄ブラシ8は位置81,82の間を水平方向に移動する。洗浄ブラシ8は、位置81,82のいずれに配置される場合にも、スピンチャック7によって保持された基板Wの当該上面に接触する。洗浄ブラシ8は位置81,82の間を水平方向に移動する際に、当該基板Wの上面に接触しつつ基板Wの上面をスクラブ洗浄する機能を有する。
【0059】
位置80は洗浄ブラシ8が退避する位置である。洗浄ブラシ8は、それが基板Wのスクラブ洗浄を行わないときに,位置80に配置される。位置80の最下端は、位置81,82の最下端よりも上方に位置する。
図2では位置80の最下端は面8Lよりも上方にある場合が例示される。
【0060】
例えば洗浄ブラシ8は位置80から、その鉛直方向の位置を維持しつつスピンチャック7と対向する位置まで水平方向に移動し、その後にスピンチャック7によって保持された基板Wの上面に接触するまで鉛直方向に移動し、更にその後に位置81,82の間を水平方向に移動する。
【0061】
本実施の形態において洗浄ブラシ8の移動は、模式的に、アーム801の駆動に依拠する態様が例示される。但し、洗浄ブラシ8の機能および、その移動についての具体的な態様は特許文献1においてより詳細に例示されて公知である。
【0062】
位置80の最下端の鉛直方向における位置が、面8Lによって仮想的に示されてもよい。位置60,61,80のそれぞれの最下端のうち、最も下方に位置するものの鉛直方向における位置が、面8Lによって仮想的に示される。
【0063】
図3は、平面視における、スピンベース702と、洗浄ブラシ8およびその位置80,81,82と、処理液吐出ノズル6およびその位置60,61と、カップ9の一部との位置関係を模式的に示す平面図である。
【0064】
処理液吐出ノズル6はアーム602を介してノズル移動機構601に連結される。ノズル移動機構601は、例えば公知の旋回機構によって実現される。ノズル移動機構601の動作によってアーム602が旋回し、処理液吐出ノズル6は位置60,61の間で移動経路69に沿って移動する。例えば移動経路69は弧状である。移動経路69は平面視上、スピンベース702の外縁の一部702aと交叉する。
【0065】
アーム602にはノズル移動機構601を介して枝管603が接続される。枝管603はバルブ53を介して主管50に接続される。主管50には公知の機構(不図示)によって処理液62(
図2参照)が供給される。バルブ53は枝管603を流れる処理液62の流量の調節を行い、典型的には枝管603の流路を開閉する。バルブ53は、たとえばチャンバー2に備えられる。
【0066】
バルブ53が開くことにより、処理液62は主管50から枝管603およびアーム602を経由して、処理液吐出ノズル6に供給される。例えば処理液吐出ノズル6が位置61に位置する状態でバルブ53が開いて処理液吐出ノズル6から処理液62が吐出される。例えば処理液吐出ノズル6が位置61以外に位置する状態でバルブ53が閉じて、処理液62は処理液吐出ノズル6から吐出されない。
【0067】
洗浄ブラシ8はアーム801を介してブラシ移動機構802に連結される。ブラシ移動機構802の動作によってアーム801が上下(
図3において紙面垂直方向に相当する)に移動し、ひいては洗浄ブラシ8も上下に移動する。ブラシ移動機構802の動作によってアーム801が洗浄ブラシ8を水平方向(当該水平方向は
図3において左右方向に相当する)に移動させる。当該水平方向の移動によって、洗浄ブラシ8は位置80から移動経路89に沿ってスピンベース702の上方へ移動したり、位置81と位置82の間を移動したりする。移動経路89は平面視上、スピンベース702の外縁の一部702bと交叉する。
【0068】
ブラシ移動機構802は、例えば、アーム801に取り付けられたボールねじ機構およびこれに駆動力を与えるモータ(いずれも不図示)を用いて実現される。
【0069】
図2を参照して、カップ9は環状を呈する。カップ9は環状の第1ガード901と、環状の第2ガード902と、環状を呈して中空のガード洗浄用ノズル903とを備える。
【0070】
カップ9が呈する環状が延びる方向Qを導入した説明が行われる。第1ガード901と第2ガード902とは方向Qにおいて連結される。方向Qに沿って見て、第2ガード902よりも第1ガード901が手前側にある。第1ガード901よりも第2ガード902は方向Q側にある。第1ガード901から第2ガード902を見る方向の、方向Qに沿った成分は正である。
【0071】
第1ガード901は方向Qに進むほど先細りする。第1ガード901の環状は方向Qに沿って進むほど、その径が小さくなる。第2ガード902は環状を呈する内周面902cを有する。内周面902cは第1ガード901と対向する。例えば内周面902cは方向Qに進むほど先細りする。ガード洗浄用ノズル903は、第1ガード901と内周面902cとに挟まれる。
【0072】
例えばカップ9は連結壁905を備える。連結壁905は、方向Qに沿って延びる環状を呈する。連結壁905は第1ガード901と第2ガード902とを方向Qにおいて連結する。
【0073】
カップ9は筐体201に収納される。カップ9はスピンベース702を外方から、具体的には回転軸線A1から見てスピンベース702の外縁よりも遠くにおいて、スピンベース702を囲む環状を呈する。方向Qはカップ9についての方向であり、スピンチャック7についての回転軸線A1とは直接の関係はない。但し、カップ9がチャンバー2において配置されている状態では、方向Qは回転軸線A1と平行である。回転軸線A1に沿った上方向に、例えば鉛直上方向と同じ方向に、方向Qが揃えられる。第2ガード902はスピンベース702に配置された基板Wからみて、第1ガード901よりも遠いということもできる。
【0074】
図4は、方向Qとは反対の方向に沿って見て、カップ9を例示する平面図である。第2ガード902には切り欠き902a,902bが設けられる。切り欠き902a,902bは、第2ガード902の環状についての周方向において選択的に設けられる。
【0075】
切り欠き902a,902bのいずれにおいても、方向Qとは反対の方向に沿って見て、第2ガード902の径方向に沿った幅、具体的には第2ガード902の内周縁と外周縁との間の幅が、局所的に狭まっている。第2ガード902の外周縁は平面視上で円形を呈する。第2ガード902の内周縁は平面視上で、切り欠き902a,902bを除いて円弧状であり、切り欠き902a,902bにおいて第2ガード902の外周縁へ近づく。
【0076】
切り欠き902aが、スピンベース702の外縁の一部702aと対向する。具体的には、平面視上、切り欠き902aが外縁の一部702aを露出させる。切り欠き902bが、スピンベース702の外縁の一部702bと対向する。具体的には、平面視上、切り欠き902bが外縁の一部702bを露出させる。
【0077】
上述されたように、内周面902cは方向Qに進むほど先細りであるので、切り欠き902a,902bにおける第2ガード902の方向Qに沿った長さは、切り欠き902a,902b以外における第2ガード902の方向Qに沿った長さよりも短い。
【0078】
図2を参照して、カップ9は上位置9uと、下位置9dとの二つの位置を取り得る。上位置9uは下位置9dよりも上方にある。カップ9が上位置9uにあるとき、第1ガード901の最上端901dは位置7aよりも上方にある。カップ9が上位置9uにあるとき、第2ガード902は切り欠き902a,902bにおいて面8Lよりも下方にあり、切り欠き902a,902b以外において、第2ガード902は面8Lよりも上方にも下方にも存在する。
【0079】
図3を参照して、カップ9は連結部907をその外周側に備えており、連結部907はアーム54を介してカップ昇降機構52と連結される。カップ昇降機構52はアーム54を昇降させ、ひいてはカップ9を昇降させる。カップ9は上位置9uと、下位置9dとの二つの位置の間をカップ昇降機構52によって移動させられる。カップ昇降機構52はカップ9が上位置9uにある状態で昇降を停止し、カップ9が上位置9uにある状態が維持される。カップ昇降機構52はカップ9が下位置9dにある状態で昇降を停止し、カップ9が下位置9dにある状態が維持される。
図2においてはカップ昇降機構52の位置が模式的に鎖線で示される。
【0080】
カップ9がその下位置9dにあるとき、最上端901dも、第2ガード902の最上端902dも、保持位置たる位置7aよりも下方にある。このような下位置9dの設定は、基板Wのスピンチャック7からの着脱を容易にする。
【0081】
カップ昇降機構52は、たとえば、アーム54を支持する支持部材(不図示)と、当該支持部材に取り付けられたボールねじ機構(不図示)と、当該ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータ(図示せず)とを用いて実現される。
【0082】
スクラブ洗浄の際、および処理液吐出ノズル6から処理液62が吐出される際、のいずれにおいてもカップ9はカップ昇降機構52によって上位置9uに配置される(カップ9は上位置9uに位置する)。第1ガード901は基板Wから飛散する処理液62を受け止める。内周面902cは、第1ガード901を越えて基板Wから飛散した処理液62を受け止める。
【0083】
例えばカップ9は環状の受け皿904を、第1ガード901に対して方向Qとは反対方向側(チャンバー2においては下側)に有する。第1ガード901に受け止められた処理液62は、公知の回収機構(不図示)によって回収される。回収された処理液62は再利用に供され得る。
【0084】
カップ9が上位置9uに位置するとき、第2ガード902は、処理液62が基板Wからカップ9を越えて飛散することを抑制する。
【0085】
切り欠き902aが設けられているので、カップ9が上位置9uに位置して処理液吐出ノズル6が位置60,61の間を移動する際においても、処理液吐出ノズル6の移動は妨げられにくい。具体的には、切り欠き902aによって、処理液吐出ノズル6が、その移動に際して、第2ガード902と接触することが回避される。
【0086】
切り欠き902bが設けられているので、カップ9が上位置9uに位置して洗浄ブラシ8が位置80,81,82の間を移動する際においても、洗浄ブラシ8およびアーム801の移動は妨げられにくい。具体的には、切り欠き902bによって、洗浄ブラシ8およびアーム801が、それらの移動に際して、第2ガード902と接触することが回避される。
【0087】
図5はカップ9の一部を方向Qとは反対の方向に沿って、特にガード洗浄用ノズル903を誇張して、例示する平面図である。
図6は、ガード洗浄用ノズル903を方向Qとは反対の方向に沿って見て、例示する平面図である。
【0088】
図7および
図8はいずれも、カップ9の一部を方向Qと垂直な方向に沿って、例示する断面図である。
図7は切り欠き902a,902bがない位置における断面を示す。
図8は切り欠き902aあるいは切り欠き902bがある位置における断面を示す。
図8においては、切り欠き902aあるいは切り欠き902bがない場合の第2ガード902の仮想的な輪郭が、鎖線で示される。
【0089】
第1ガード901が受け止める処理液62は、それ自体が第1ガード901を洗浄し得る。内周面902cが受け止める処理液62は、第1ガード901が受け止める処理液62と比較して、少量である。内周面902cに到達した少量の処理液62は、内周面902cの汚染源、ひいては基板Wへの汚染源となり得るが、内周面902cを洗浄する程度の量には十分ではない場合がある。ガード洗浄用ノズル903は内周面902cへ洗浄液を吐出して内周面902cを洗浄する。内周面902cの洗浄は、内周面902cの汚染に由来する基板Wへの汚染を抑制する。
【0090】
ガード洗浄用ノズル903は、その周方向に沿って、第1部903aと第2部903bとに区分される。第2部903bがガード洗浄用ノズル903の周方向において広がる範囲以外で、第1部903aがガード洗浄用ノズル903の周方向において広がる。
【0091】
第2部903bがガード洗浄用ノズル903の周方向において広がる範囲は、切り欠き902a,902bがそれぞれ第2ガード902の周方向に広がる範囲と一致する。具体的には、切り欠き902aが第2ガード902の周方向に広がる範囲において、一つの第2部903bがガード洗浄用ノズル903の周方向において広がる。切り欠き902bが第2ガード902の周方向に広がる範囲において、他の第2部903bがガード洗浄用ノズル903の周方向において広がる。
【0092】
図5は、切り欠き902a,902bがない位置における平面図である。
図6において第1部903aと第2部903bとの境界が鎖線で示される。ガード洗浄用ノズル903の周方向において、吐出口903cが選択的に開口する。具体的には、第1部903aには吐出口903cが開口し、第2部903bには吐出口903cは開口しない。
【0093】
吐出口903cは、例えば内周面902cへ向いて開口する。
図7には、吐出口903cから内周面902cへ吐出される洗浄液Jが、破線の矢印を用いて模式的に例示される。洗浄液Jは、内周面902cに到達した後、内周面902cおよび連結壁905を伝ったり、第1ガード901を伝ったりして下方へ流れ、排出口906を介してカップ9の外方へ排出される。
【0094】
図7ではこの流れおよび排出も、破線の矢印を用いて模式的に例示される。排出口906は第1ガード901と第2ガード902とが連結される位置もしくはその近傍において、たとえば連結壁905において選択的に開口する。
【0095】
図4においては、8個の排出口906がカップ9の周方向にほぼ等間隔で開口する場合が例示される。排出口906は、吐出口903cから内周面902cへ到達した洗浄液Jが排出される経路にある。排出口906によって洗浄液Jが排出されることは、内周面902cを洗浄した洗浄液Jがカップ9に滞留することを抑制し、内周面902cを洗浄し易くする。
【0096】
吐出口903cは第1部903aにおいて開口され、第1部903aは第2ガード902と第1ガード901とに挟まれる。方向Qに沿って見て、切り欠き902a,902bが設けられた位置では吐出口903cが開口しない(
図8参照)。方向Qに沿って見て切り欠き902a,902bが設けられた周方向の位置を避けて、吐出口903cが開口される。当該位置において、洗浄液Jが内周面902cへ到達することが低減される。このような低減は、洗浄液Jがカップ9の外方へ飛散することを抑制する。
【0097】
ガード洗浄用ノズル903には、その外方から供給管909が連結される。供給管909は第1部903aおよび第2部903bと連通する。洗浄液Jは外部から供給管909を経由して第1部903aおよび第2部903bへ流れ込む。
【0098】
図4および
図6では供給管909が第1部903aと連結する態様が例示されるが、供給管909が第2部903bと連結してもよい。供給管909はカップ9の一部として構成されてもよい。ガード洗浄用ノズル903は、内周面902cを洗浄する洗浄ユニット900の一例であると考えることもできるし、
図4において例示されるようにガード洗浄用ノズル903と供給管909との組み合わせが洗浄ユニット900の一例であると考えることもできる。洗浄ユニット900が内周面902cを洗浄することが、内周面902cの汚染に由来して基板Wが汚染することを低減する、といえる。
【0099】
例えば洗浄液Jと処理液62とに同じ液体が、例えば脱イオン水が採用される。
図3は洗浄液Jと処理液62とに同じ液体が採用される場合を例示する。
図3を参照して、供給管909はバルブ59を介して主管50に接続される。供給管909は枝管603と共に、主管50に対する枝管であるとみることができる。主管50のバルブ53,59側は、いわゆるチーズ配管の形態で分岐する。バルブ53,59は、たとえばチャンバー2に備えられる。
【0100】
<3.基板処理装置1の制御系統>
図9は、基板処理装置1の主要な制御系統を例示するブロック図である。制御装置107は、プロセッサ3Aと、メモリ3Bとを含む。メモリ3Bは制御プログラムを格納する。当該制御プログラムがプロセッサ3Aによって実行されることによって、基板処理装置1の動作が制御される。例えばプロセッサ3Aとメモリ3Bとはマイクロコンピュータによって実現される。
【0101】
プロセッサ3Aは、例えば、1つ以上の中央演算ユニット(Central Processing Unit:CPU)等で構成される。メモリ3Bは、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶媒体と、例えばハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)またはソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等の不揮発性の記憶媒体とで構成される。不揮発性の記憶媒体には、例えば、上述の制御プログラムの他、各種の情報を記憶することができる。プロセッサ3Aが制御プログラムを実行するとき、RAMは、例えば、ワークスペースとして使用され、一時的に生成もしくは取得される情報を記憶する。制御装置107で実現される機能の少なくとも一部は、例えば、専用の電子回路等のハードウェアで実現されてもよい。
【0102】
基板処理装置1の主要な制御系統において、制御装置107は、スピンモータ705、ブラシ移動機構802、ノズル移動機構601、カップ昇降機構52、バルブ53,59を制御する。かかる制御は
図9において実線の矢印で表現される。
【0103】
スピンベース702はスピンモータ705によって駆動されて回転する。洗浄ブラシ8はブラシ移動機構802によって移動する。処理液吐出ノズル6はノズル移動機構610によって移動する。カップ9はカップ昇降機構52によって昇降する。これらの機構的な連携は、
図9において破線の矢印で表現される。
【0104】
制御装置107は、基板処理装置1に備えられずに、基板処理装置1の外部に備えられてもよい。プロセッサ3Aが基板処理装置1に設けられ、メモリ3Bが基板処理装置1の外部に設けられてもよい。メモリ3Bが基板処理装置1に設けられ、プロセッサ3Aが基板処理装置1の外部に設けられてもよい。これらの場合にも
図9で例示された制御系統が実現され得ることは明白である。
【0105】
<4.洗浄処理>
図10は、チャンバー2において基板Wを洗浄する工程を例示するフローチャートである。具体的には
図10では、当該フローチャートには「基板洗浄処理」との標題が標記され、基板Wをスクラブ洗浄する処理が例示されている。当該フローチャートはステップS11,S12,S13,S14,S15,S16,S17を備え、
図10ではこの順に実行される態様が例示される。但し、後述されるように,当該順序以外の順序でこれらのステップが実行され得る。
【0106】
図1をも参照して、ステップS11において、カップ昇降機構52により、カップ9が下位置9dへ配置される(カップ9が下位置9dに位置する)。ステップS11が実行される際、あるいはその実行の前に、洗浄ブラシ8は位置80に位置し、処理液吐出ノズル6は位置60に位置している。
【0107】
ステップS12において、例えば搬送ロボット108により、基板Wがスピンベース702へ配置される。ステップS12に先だってステップS11が実行されてカップ9が下位置9dに位置することは、基板Wの配置を容易にする。ステップS13において、カップ昇降機構52により、カップ9が上位置9uへ配置される(カップ9が上位置9uに位置する)。
【0108】
カップ9が上位置9uに位置した状態で、ステップS14が実行される。ステップS14では、処理液62と洗浄ブラシ8とを用いた基板Wのスクラブ洗浄(スクラビング)が行われる。このとき、洗浄ブラシ8はブラシ移動機構802によって、位置80から離れ、位置81,82の間を移動する。処理液吐出ノズル6は、ノズル移動機構601によって、位置60から位置61へ移動する。
【0109】
カップ9が上位置9uに位置していても、第2ガード902には切り欠き902a,902bが設けられていることにより、第2ガード902が、移動する処理液吐出ノズル6や、移動する洗浄ブラシ8と接触することは回避される。
【0110】
当該スクラビングにおいて基板Wから飛散した処理液62は第1ガード901によって受け止められる。第1ガード901を越えて飛散した処理液62は内周面502cに付着する。
【0111】
バルブ53が開いて処理液吐出ノズル6は処理液62を吐出する。バルブ59は閉じており、ガード洗浄用ノズル903から洗浄液Jは吐出されない。基板Wはスピンチャック7によって回転する。洗浄ブラシ8が位置81,82の間を移動することの妨げとならないように、位置61と位置81,82との関係を調整したり、処理液吐出ノズル6が位置61に位置するタイミングを洗浄ブラシ8が位置81,82の間を移動するタイミングとずらせたりしてもよい。
【0112】
洗浄ブラシ8を用いたスクラビングが所定期間で行われると、バルブ53が閉じ、洗浄ブラシ8が位置80に位置し、処理液吐出ノズル6が位置60に位置し、ステップS14が修了する。
【0113】
ステップS15において、カップ昇降機構52により、カップ9が下位置9dへ配置される(カップ9が下位置9dに位置する)。ステップS16において、例えば搬送ロボット108により、基板Wがスピンベース702から外される。ステップS16に先だってステップS15が実行されてカップ9が下位置9dに位置することは、基板Wの取り外しを容易にする。
【0114】
ステップS17において、洗浄液Jとガード洗浄用ノズル903とを用いた、内周面902cの洗浄が実行される。具体的にはバルブ53が閉じたままバルブ59が開き、ガード洗浄用ノズル903から洗浄液Jが吐出される。より具体的には、吐出口903cから洗浄液Jが内周面902cへ吐出される。
【0115】
洗浄液Jが内周面902cへ所定期間で吐出されると、バルブ59が閉じ、ステップS17が修了する。ステップS17が修了して
図10に例示された基板洗浄処理は終了する。
【0116】
<4-1.内周面502cを洗浄するタイミング>
上記の例示ではステップS17がステップS14,S15,S16の後に行われている。この順序によるステップS14,S15,S16,S17の実行は、ステップS14において汚染されたかもしれない内周面502cを洗浄するという観点で好適である。
【0117】
上記の例示ではステップS17がステップS16の後に行われている。この順序によるステップS16,S17の実行は、内周面502cの洗浄が、例えば内周面502cから飛散するかもしれない洗浄液Jが、ステップS14でスクラブ洗浄された基板Wへ影響を与えない観点で好適である。
【0118】
上記の例示ではステップS17がステップS15の後に行われている。この順序によるステップS15,S17の実行は、内周面502cの洗浄がスピンベース702へ影響を与えにくい観点で好適である。
【0119】
ステップS17が、ステップS16の後に行われる代わりに、若しくはステップS16の後に行われると共に、ステップS11とステップS14との間で実行されてもよい。この順序によるステップS17の実行は、ステップS14の実行に先だって、他の処理において汚染されていたかもしれない内周面502cを洗浄し、スクラビング洗浄に供される基板Wへの汚染を低減するという観点で好適である。
【0120】
特に、ステップS17がステップS11とステップS13との間で実行される場合には、カップ9が下位置9dにある状態で内周面502cが洗浄される。かかる実行は、内周面502cの洗浄がスピンベース702や基板Wへ影響を与えにくい観点で好適である。特に、ステップS17がステップS11とステップS12との間で実行されることは、内周面502cの洗浄が、基板Wへ影響を与えない観点で好適である。
【0121】
<4-2.基板Wの洗浄と独立した内周面502cの洗浄>
内周面502cの洗浄を、基板Wのスクラブ洗浄とは独立して行うことができる。
図10のフローチャートに則して言えば、例えばステップS11,S12,S14,S15,S16を省略し、ステップS13,S17をこの順に実行することができる。この場合、カップ9が上位置9uにある状態で内周面502cが洗浄される。
【0122】
あるいは例えばステップS12,S13,S14,S15,S16を省略し、ステップS11,S17をこの順に実行することができる。この場合、カップ9が下位置9dにある状態で内周面502cが洗浄される。かかる実行は、内周面502cの洗浄がスピンベース702へ影響を与えにくい観点で好適である。
【0123】
<4-3実施の形態の総括的な観点>
<4-3-1.カップ9としての観点>
上述された実施の形態で開示された技術は、カップ9の観点から、下記の様に総括的に説明され得る。
【0124】
カップ9は、方向Qに沿って延びる環状を呈する。カップ9は、基板Wに対して供給されて基板Wから飛散する処理液62を受け止める。
【0125】
カップ9は、第1ガード901と、第2ガード902と、洗浄ユニット900とを備える。第1ガード901は、方向Qに進むほど先細りの環状を呈する。第2ガード902は内周面902cを有する。内周面902cは、第1ガード901よりも方向Q側において第1ガード901と対向する、環状の面である。
【0126】
洗浄ユニット900は、内周面902cと第1ガード901とに挟まれて、内周面902cを洗浄する。
【0127】
洗浄ユニット900は、ガード洗浄用ノズル903を有する。ガード洗浄用ノズル903には内周面902cへ向く吐出口903cが開口する。ガード洗浄用ノズル903は環状を呈する。洗浄液Jは吐出口903cから吐出される。
【0128】
第2ガード902は環状であって、当該環状の周方向において選択的に切り欠き902a,902bが設けられる。吐出口903cは、方向Qに沿って見て切り欠き902a,902bが設けられた周方向の位置を避けて開口する。
【0129】
カップ9は連結壁905をも備える。連結壁905は、方向Qに沿って延びる筒状を呈する。連結壁905は、第1ガード901と第2ガード902とを方向Qにおいて連結する。連結壁905には、第1ガード901と第2ガード902とが連結される位置もしくはその近傍において、排出口906が開口する。洗浄液Jは排出口906からカップ9の外方へ排出される。
【0130】
<4-3-2.基板処理装置1としての観点>
上述された実施の形態で開示された技術は、スクラブ洗浄が実行される基板処理装置1の観点から、下記の様に総括的に説明され得る。
【0131】
基板処理装置1は、スピンチャック7と、処理液吐出ノズル6と、カップ9とを備える。スピンチャック7は、処理対象である基板Wを保持して回転軸線A1を中心として回転させる回転装置として機能する。処理液吐出ノズル6は、基板Wを処理する処理液62を基板Wへ吐出するノズルである。カップ9は、回転軸線A1に沿って見てスピンチャック7を囲む。
【0132】
カップ9は、回転軸線A1に平行な方向Qに沿って延びる環状を呈する。カップ9は、第1ガード901と、第2ガード902と、洗浄ユニット900とを有する。第1ガード901は方向Qに進むほど先細りの環状を呈する。第1ガード901は最上端901dを有する。第2ガード902は内周面902cを有する。内周面902cは、第1ガード901よりも方向Q側において第1ガード901と対向する、環状の面である。洗浄ユニット900は、内周面502cと第1ガード901とに挟まれて、内周面902cを洗浄する。
【0133】
処理液62が吐出されるときには、カップ9が上位置9uに位置する。上位置9uにおいて最上端901dは位置7aよりも上方にある。位置7aは、スピンチャック7が基板Wを保持する保持位置である。
【0134】
基板処理装置1はノズル移動機構601をも備える。ノズル移動機構601は、処理液吐出ノズル6を、位置61と位置60との間で、移動経路69に沿って移動させる。処理液吐出ノズル6は位置61において、基板Wが保持されるスピンベース702と対向する。処理液吐出ノズル6は位置60において、スピンベース702と対向しない。第2ガード902には切り欠き902aが設けられる。切り欠き902aは、移動経路69がスピンベース702の外縁の一部702aと交叉する位置に対向する。
【0135】
基板処理装置1は、洗浄ブラシ8およびブラシ移動機構802をも備える。洗浄ブラシ8は基板Wを洗浄する。ブラシ移動機構802は、洗浄ブラシ8を、位置81,82と位置80との間で、移動経路89に沿って移動させる。洗浄ブラシ8は位置81,82において、スピンベース702と対向する。洗浄ブラシ8は位置80において、スピンベース702と対向しない。第2ガード902には切り欠き902bが設けられる。切り欠き902bは、移動経路89がスピンベース702の外縁の一部702bと交叉する位置に対向する。
【0136】
洗浄ユニット900は、ガード洗浄用ノズル903を有する。ガード洗浄用ノズル903には内周面902cへ向く吐出口903cが開口する。ガード洗浄用ノズル903は環状を呈する。吐出口903cは、方向Qに沿って見て、切り欠き902a,902bが設けられた第2ガード902の周方向の位置を避けて、開口する。洗浄液Jは吐出口903cから吐出される。
【0137】
例えば基板処理装置1は制御装置107を備える。制御装置107は、スピンチャック7による基板Wの回転と、カップ昇降機構52によるカップ9の位置決め(配置)と、処理液吐出ノズル6からの処理液62の吐出と、洗浄ユニット900の動作とを制御する。制御装置107は、基板Wの回転と、カップ9の配置と、洗浄ブラシ8の移動と、処理液吐出ノズル6の配置と、処理液62の吐出と、洗浄ユニット900の動作との協働に資する。
【0138】
例えば制御装置107は、ブラシ移動機構802による洗浄ブラシ8の移動と、ノズル移動機構601による処理液吐出ノズル6の移動とをも制御する。
【0139】
<5.変形>
<5-1.第1の変形>
図2、
図4、
図5、
図7においては、方向Qとは反対方向に沿って見て、第1部903aが第2ガード902に隠れる場合が例示される。しかし、第1部903aが第2ガード902に隠れない場合もある。
【0140】
図11はガード洗浄用ノズル903の第1の変形を例示する断面図である。
図11は第1部903aが現れる位置でのガード洗浄用ノズル903の断面を例示する。第1の変形では、方向Qとは反対方向に沿って見て、第1部903aが第2ガード902に隠れない。洗浄液Jが吐出口903cから吐出される方向は、径方向において広がる方向であり、内周面902cへ洗浄液Jが到達する。第1の変形においても、ガード洗浄用ノズル903によって内周面902cが洗浄される。
【0141】
図11に例示されるように、方向Qにおいて、最上端901dの位置が最上端902dの位置と同程度である場合、第1ガード901にも、切り欠き902a,902bと同様に切り欠きが設けられることが望ましい。
【0142】
<5-2.第2の変形>
図4、
図7においては、方向Qとは反対方向に沿って見て、第2部903bが切り欠き902aまたは切り欠き902bを介して露出する場合が例示される。しかし第2部903bが切り欠き902aまたは切り欠き902bのいずれにおいても露出しない場合もある。
【0143】
図12および
図13はガード洗浄用ノズル903の第2の変形を例示する断面図である。
図12は第2部903bが現れる位置でのガード洗浄用ノズル903の断面を例示する。但し、切り欠き902aあるいは切り欠き902bがない場合の第2ガード902の仮想的な輪郭が、鎖線で示される。
図13は第1部903aが現れる位置でのガード洗浄用ノズル903の断面を例示する。但し、切り欠き902aあるいは切り欠き902bがある場合の第2ガード902の仮想的な輪郭が、鎖線で示される。
【0144】
第2の変型においては、方向Qとは反対方向に沿って見て第2部903bが第2ガード902に隠れる。洗浄液Jが吐出口903cから吐出される方向は、径方向において狭まる方向であり、内周面902cへ洗浄液Jが到達する。第2の変形においても、ガード洗浄用ノズル903によって内周面902cが洗浄される。
【0145】
<5-3.第3の変形>
例えば基板処理装置1が複数の洗浄ブラシ8を備えてもよい。このとき、第2ガード902には、それぞれの洗浄ブラシ8の移動に対応した複数の切り欠き902bが設けられることが望ましい。
【0146】
なお、上記各実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0147】
1 基板処理装置
6 処理液吐出ノズル
7 スピンチャック(回転装置)
7a 位置(保持位置)
8 洗浄ブラシ
9 カップ
9u 上位置
60,61,80,81,82 位置
62 処理液
69,89 移動経路
601 ノズル移動機構
702 スピンベース(領域)
702a,702b 一部
802 ブラシ移動機構
900 洗浄ユニット
901 第1ガード
901d 最上端
902 第2ガード
902a,902b 切り欠き
902c 内周面
903 ガード洗浄用ノズル
903c 吐出口
905 連結壁
906 排出口
A1 回転軸線
Q 方向
W 基板