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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025068587
(43)【公開日】2025-04-28
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20250421BHJP
【FI】
H01G4/30 516
H01G4/30 513
H01G4/30 515
H01G4/30 201D
H01G4/30 201C
H01G4/30 201K
H01G4/30 201L
H01G4/30 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024158274
(22)【出願日】2024-09-12
(31)【優先権主張番号】10-2023-0137511
(32)【優先日】2023-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】呉 由弘
(72)【発明者】
【氏名】崔 源美
(72)【発明者】
【氏名】辛 修▲ミン▼
(72)【発明者】
【氏名】李 成煥
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲ビュン▼建
(72)【発明者】
【氏名】安 智慧
(72)【発明者】
【氏名】金 度傳
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC39
5E082BC40
5E082EE04
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG10
5E082PP03
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】内部電極の平滑度および接続性を改善して信頼性が向上し、高容量が実現された積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】本開示による積層型キャパシタは、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディ、ならびに前記キャパシタボディの外側に配置される外部電極を含み、
前記内部電極は、Ni-Ge合金を含み、
内部電極中心部におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)をXとし、前記内部電極と前記誘電体層の間に配置された界面から前記内部電極の中心部に向かって20nm離隔した地点におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)をYとする時、XとYの関係が式1を満足する。
式1は明細書に記載されたものと同じである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディ、ならびに
前記キャパシタボディの外側に配置される外部電極を含み、
前記内部電極はNi-Ge合金を含み、
内部電極中心部におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)をXとし、前記内部電極と前記誘電体層の間に配置された界面から前記内部電極の中心部に向かって20nm離隔した地点におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)をYとする時、XとYの関係が下記式1を満たす、積層型キャパシタ:
[式1]
【数1】
【請求項2】
前記内部電極全体におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)が0.1重量%~10重量%である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記X値は、0.90重量%~1.80重量%である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記Y値は、1.00重量%~1.50重量%である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記内部電極の平均厚さは、0.05μm~1μmである、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記誘電体層の平均厚さは、0.05μm~2.5μmである、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記誘電体層は、主成分および副成分を含む誘電体を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記主成分は、BaTiO(0.995≦m≦1.010)、(Ba1-xCa(Ti1-yZr)O(0.995≦m≦1.010、0≦x≦0.10、0<y≦0.20)、Ba(Ti1-xZr)O(0.995≦m≦1.010、x≦0.10)、(Ba1-xCa(Ti1-ySn)O(0.995≦m≦1.010、0≦x≦0.10、0<y≦0.20)、またはこれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記副成分は、ジスプロシウム(Dy)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、アクチニウム(Ac)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、またはこれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディ、ならびに
前記キャパシタボディの外側に配置される外部電極を含み、
前記内部電極は、Ni-Ge合金を含み、
前記内部電極全体におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)が0.1重量%~10重量%であり、
内部電極中心部におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)をXとし、前記内部電極と前記誘電体層の間に配置された界面から前記内部電極の中心部に向かって20nm離隔した地点におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)をYとする時、XとYの関係が下記式1を満たす、積層型キャパシタ:
[式1]
【数2】
【請求項11】
前記X値は、0.90重量%~1.80重量%である、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記Y値は、1.00重量%~1.50重量%である、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記内部電極の平均厚さは、0.05μm~1μmである、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記誘電体層の平均厚さは、0.05μm~2.5μmである、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記誘電体層は、主成分および副成分を含む誘電体を含む、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
前記主成分は、BaTiO(0.995≦m≦1.010)、(Ba1-xCa(Ti1-yZr)O(0.995≦m≦1.010、0≦x≦0.10、0<y≦0.20)、Ba(Ti1-xZr)O(0.995≦m≦1.010、x≦0.10)、(Ba1-xCa(Ti1-ySn)O(0.995≦m≦1.010、0≦x≦0.10、0<y≦0.20)、またはこれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の積層型キャパシタ。
【請求項17】
前記副成分は、ジスプロシウム(Dy)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、アクチニウム(Ac)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、またはこれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層型キャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の多機能化および小型化が急速に進むにつれて、電子部品の小型化と性能向上も速い速度に進んでいる。また、自動車またはネットワーク装備などに使用される電気装置、および産業用に使用される電子部品の高信頼性に対する要求も大きく増加している。
【0003】
このような市場要求に応えるために、インダクタ(Inductor)、キャパシタ(Capacitor)、またはレジスター(Resistor)のような受動部品の技術開発競争が加速化している。特に、受動部品としてその用途と使用量が持続的に増加している積層型キャパシタ(Multilayer Ceramic Capacitor、MLCC)の様々な製品開発で市場を先取りするための多くの努力が求められている。
【0004】
また、積層型キャパシタは誘電体層と内部電極を重ねた形で製造されたキャパシタとして、携帯電話機、ノートパソコン、LCDTVなど各種電子機器に使用されている。
【0005】
近年、技術の発展に伴い、積層型キャパシタは、小型化、高容量化が要求されており、そのためには内部電極と誘電体層の厚さの減少が必要である。誘電体層の厚さが減少すると、1層当りに加わる電界強度が相対的に強くなり、これによりキャパシタの信頼性の低下が発生することになり、電極接続性の劣化により静電容量も減少するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施例の一側面は、内部電極の平滑度および接続性を改善して信頼性が向上し、高容量が実現された積層型キャパシタを提供する。
【0007】
しかし、実施例が解決しようとする課題は、上述した課題に限定されず、実施例に含まれている技術的な思想の範囲で様々に拡張することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施例による積層型キャパシタは、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディ、ならびに前記キャパシタボディの外側に配置される外部電極を含み、
前記内部電極は、Ni-Ge合金を含み、
内部電極中心部におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)をXとし、前記内部電極と前記誘電体層との間に配置された界面から前記内部電極の中心部に向かって20nm離隔した地点におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)をYとする時、XとYの関係が下記式1を満足する。
[式1]
【数1】
前記内部電極全体におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)が0.1重量%~10重量%であることができる。
【0009】
前記X値は、0.90重量%~1.80重量%であることができる。
【0010】
前記Y値は、1.00重量%~1.50重量%であることができる。
【0011】
前記内部電極の平均厚さは、0.05μm~1μmであることができる。
【0012】
前記誘電体層の平均厚さは、0.05μm~2.5μmであることができる。
【0013】
前記誘電体層は、主成分および副成分を含む誘電体を含むことができる。
【0014】
前記主成分は、BaTiO(0.995≦m≦1.010)、(Ba1-xCa(Ti1-yZr)O(0.995≦m≦1.010、0≦x≦0.10、0<y≦0.20)、Ba(Ti1-xZr)O(0.995≦m≦1.010、x≦0.10)、(Ba1-xCa(Ti1-ySn)O(0.995≦m≦1.010、0≦x≦0.10、0<y≦0.20)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0015】
前記副成分は、ジスプロシウム(Dy)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、アクチニウム(Ac)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0016】
他の実施例による積層型キャパシタは、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディ、ならびに前記キャパシタボディの外側に配置される外部電極を含み、
前記内部電極は、Ni-Ge合金を含み、
前記内部電極全体におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)が0.1重量%~10重量%であり、内部電極中心部でのNi対比Geの平均含有量(重量%)をXとし、前記内部電極と前記誘電体層との間に配置された界面から前記内部電極の中心部に向かって20nm離隔した地点におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)をYとする時、XとYの関係が下記式1を満足する。
[式1]
【数2】
前記X値は、0.90重量%~1.80重量%であることができる。
【0017】
前記Y値は、1.00重量%~1.50重量%であることができる。
【0018】
前記内部電極の平均厚さは、0.05μm~1μmであることができる。
【0019】
前記誘電体層の平均厚さは、0.05μm~2.5μmであることができる。
【0020】
前記誘電体層は、主成分および副成分を含む誘電体を含むことができる。
【0021】
前記主成分は、BaTiO(0.995≦m≦1.010)、(Ba1-xCa(Ti1-yZr)O(0.995≦m≦1.010、0≦x≦0.10、0<y≦0.20)、Ba(Ti1-xZr)O(0.995≦m≦1.010、x≦0.10)、(Ba1-xCa(Ti1-ySn)O(0.995≦m≦1.010、0≦x≦0.10、0<y≦0.20)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0022】
前記副成分は、ジスプロシウム(Dy)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、アクチニウム(Ac)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
一実施例による積層型キャパシタによれば、内部電極の平滑度および接続性を改善して信頼性が向上し、高容量が実現された積層型キャパシタを提供することができる。
【0024】
但し、本発明の多様かつ有益な長所と効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実現例を説明する過程でより容易に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実現例による積層型キャパシタを示す斜視図である。
図2図1のI-I’線に沿って切断した積層型キャパシタの断面図である。
図3図1のキャパシタボディから内部電極層の積層構造を示した分離斜視図である。
図4】一実現例による積層型キャパシタに含まれる内部電極の成分分析結果を示すTEMイメージである。
図5】NiのEDSマッピングである。
図6】GeのEDSマッピングである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳しく説明する。図面で本発明を明確に説明するために説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については、同じ参照符号を付けた。また、添付図面は、本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものであって、添付図面によって本明細書に開示された技術的な思想が限定されるものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解しなければならない。
【0027】
第1、第2などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために使用することができるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にだけ使用される。
【0028】
ある構成要素が他の構成要素「接続して」または「接続されて」と記載されている場合、その他の構成要素に直接的に接続していたり、接続されていたり、または対向していることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されるべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接接続して」または「直接接続されて」いると記載されている場合は、中間に他の構成要素が存在しないものと理解しなければならない。
【0029】
明細書全体において、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。従って、ある部分が他の構成要素を「含む」とする場合、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0030】
図1は、一実現例による積層型キャパシタ100を示す斜視図であり、図2は、図1のI-I’線に沿って切断した積層型キャパシタ100の断面図であり、図3は、図1のキャパシタボディ110における内部電極の積層構造を示した分離斜視図である。
【0031】
本実施例を明確に説明するために方向を定義すると、図面に表示されたL軸、W軸およびT軸は、それぞれキャパシタボディ110の長さ方向、幅方向および厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向(T軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(主面)に垂直な方向であり、一例として、誘電体層111が積層される積層方向と同じ概念で使用することができる。長さ方向(L軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(主面)に平行に延びる方向で、厚さ方向(T軸方向)と略垂直な方向とすることができ、一例として、両側に第1外部電極131および第2外部電極132が位置する方向であることができる。幅方向(W軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(主面)に平行に延びる方向に厚さ方向(T軸方向)および長さ方向(L軸方向)と略垂直な方向とすることができ、シート形状の構成要素の長さ方向(L軸方向)の長さは、幅方向(W軸方向)の長さよりも長いことができる。
【0032】
図1乃至図3を参照すると、一実施例による積層型キャパシタ100は、キャパシタボディ110、ならびにキャパシタボディ110の長さ方向(L軸方向)に対向する両端に配置される第1外部電極131および第2外部電極132を含むことができる。
【0033】
キャパシタボディ110は、一例として、概略六面体形状であることができる。
【0034】
本実施例では、説明の便宜上、キャパシタボディ110で厚さ方向(T軸方向)に互いに対向する両面を第1面および第2面と、第1面および第2面と接続され長さ方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3面および第4面と、第1面および第2面と接続され第3面および第4面と接続され幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5面および第6面と定義することができる。
【0035】
一例として、下面の第1面が実装方向を向く面とすることができる。また、第1面~第6面は平坦であることができるが、本実現例がこれに限定されるものではなく、例えば、第1面~第6面は、中央部が凸状の曲面であってもよく、各面の境界である角部はラウンド(round)であることができる。
【0036】
キャパシタボディ110の形状、サイズおよび誘電体層111の積層数が本実施例の図面に示されたものに限定されるものではない。
【0037】
キャパシタボディ110は、複数の誘電体層111を厚さ方向(T軸方向)に積層した後、焼成したものであり、複数の誘電体層111と誘電体層111を間において厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される第1内部電極層121および第2内部電極層122を含む。
【0038】
この時、キャパシタボディ110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずに確認が困難なほど一体化されることがある。
【0039】
また、キャパシタボディ110は、アクティブ領域とカバー領域112、113を含むことができる。
【0040】
アクティブ領域は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域は、厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1内部電極層121または第2内部電極層122が重畳(overlap)された領域であることができる。
【0041】
カバー領域112、113は、厚さ方向マージン部として、厚さ方向(T軸方向)にアクティブ領域の第1面および第2面側にそれぞれ位置することができる。このようなカバー領域112、113は、単一の誘電体層111または二つ以上の誘電体層111がアクティブ領域の上面および下面にそれぞれ積層されたものであることができる。
【0042】
また、キャパシタボディ110は、側面カバー領域をさらに含むことができる。側面カバー領域は、幅方向マージン部として、幅方向(W軸方向)にアクティブ領域の第5面および第6面側にそれぞれ位置することができる。このような側面カバー領域は、誘電体グリーンシート表面に内部電極層形成用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にだけ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両側の側面には導電性ペースト層を塗布しない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することによって形成することができる。
【0043】
カバー領域112、113と側面カバー領域は、物理的または化学的ストレスによる第1内部電極層121および第2内部電極層122の損傷を防止する役割を果たす。
【0044】
一実施例による積層型キャパシタ100は、誘電体層111および内部電極121、122を含むキャパシタボディ110、ならびに前記キャパシタボディ110の外側に配置される外部電極131、132を含み、前記内部電極121、122はNi-Ge合金を含む。
【0045】
Ge(Germanium、ゲルマニウム)は、酸化傾向がSn(Tin、スズ)と非常に類似した元素である。このようなGeを、内部電極を製造する時に添加して還元雰囲気でNiと一緒に焼成すると、内部電極に全体的に均一にNi-Ge合金が形成される。
【0046】
前記Ni-Ge合金は、Niの粒子境界エネルギー(grain boundary energy)および表面張力を減少させ、内部電極の平滑度と接続性を改善することができる。内部電極121、122の平滑度が改善されると、誘電体層111の厚さが減少しても、誘電体層1層当り加わる電界の強度を分散させることができる。
【0047】
また半金属であるGeをNiと合金化させることにより、誘電体層111と内部電極121、122との間の界面の絶縁性が向上し、信頼性を向上させることができる。またGeとの合金化過程でNiは焼結速度が遅れるため、これにより電極接続性がさらに改善され、より高い容量を有するキャパシタを実現することができる。
【0048】
前記Ni-Ge合金を含む内部電極121、122は、内部電極層形成用導電性ペーストにGeまたはGeOナノ粒子を添加し、酸素分圧を10-9~10-10に制御して10分~20分間焼成して製造することができる。
【0049】
前記内部電極121、122は、上述したNi-Ge合金以外にも導電性金属をさらに含むことができる。前記導電性金属は、Ni、Cu、Ag、Pd、Au、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0050】
一実施例では、前記内部電極121、122全体におけるNi対比Geの平均含有量は、0.1重量%~10重量%であってもよく、例えば、0.5重量%~10重量%、0.5重量%~8重量%、または1重量%~8重量%であってもよい。
【0051】
前記内部電極121、122全体におけるNi対比Geの平均重量%は、0.1重量%未満の場合、キャパシタの信頼性の向上および高容量の実現が難しい場合がある。
【0052】
前記内部電極121、122全体におけるNi対比Geの平均重量%は、10重量%超過の場合、Ni-Ge合金の融点が低くなりすぎて、内部電極の平滑度および接続性が劣化することがある。
【0053】
一実施例の積層型キャパシタ100によれば、内部電極121、122の中心部におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)をXとし、前記内部電極121、122と前記誘電体層111の間に配置された界面から前記内部電極の中心部に向かって20nm離隔した地点におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)をYとすると、XとYの関係が下記式1を満足する。
[式1]
【数3】
前記式1で
【数4】
が0.2を超えると、内部電極内でGeがNiと均一に合金を形成せず、内部電極の平滑度と接続性を改善しにくい場合がある。
【0054】
内部電極121、122の中心部は、キャパシタボディ110のW軸方向の中心からL軸方向およびT軸方向に切断した断面において、いずれか一つの内部電極の一側表面の一地点と前記地点から最短距離に位置する内部電極の他の一側表面の一地点の間の中間地点を意味することができる。また前記中間地点だけでなく、前記中間地点を基準としてT軸方向に±30%以内である領域までを意味することができる。
【0055】
前記内部電極121、122中心部におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)をXとする時、前記X値は、0.90重量%~1.80重量%であることができ、例えば、0.95重量%~1.80重量%、0.95重量%~1.60重量%、または0.95重量%~1.55重量%であることができる。
【0056】
内部電極121、122の表層部は、前記内部電極の中心部以外の領域で、内部電極121、122と前記誘電体層111の間に配置された界面から前記内部電極の中心部に向かってT軸方向に20nm離隔した地点を意味することができる。また前記地点だけでなく、前記地点を基準にT軸方向に±30%以内の領域までを意味することができる。
【0057】
前記内部電極121、122の表層部におけるNi対比Geの平均含有量(重量%)をYとする時、前記Y値は、1.00重量%~1.50重量%であることができ、例えば、1.10重量%~1.50重量%、または1.10重量%~1.30重量%であることができる。
【0058】
図4は、一実現例による積層型キャパシタ100に含まれる内部電極121、122の成分分析結果を示すTEMイメージであり、図5は、NiのEDSマッピングであり、図6は、GeのEDSマッピングである。
【0059】
図4乃至図6を参照すると、前記のように内部電極121、122に含まれるNi対比Geの平均重量%は、TEM(Transmission Electron Microscope)-EDS(Energy Disperse X-Ray Spectrometer)定量分析を通して測定することができる。
【0060】
一例として、前記内部電極121、122全体におけるNi対比Geの平均重量%は、任意の内部電極を5つ以上選択した後、内部電極内部の任意の10点を選択してTEM-EDSを通してNiおよびGeを定量分析し、測定した値の算術平均値を計算して求めることができる。
【0061】
一例として、前記内部電極121、122中心部におけるNi対比Geの平均重量%は、任意の内部電極を5つ以上選択した後、内部電極の中心部に該当する等間隔の5点を選択してTEM-EDSを通してNiおよびGeを定量分析し、測定した値の算術平均値を計算して求めることができる。
【0062】
一例として、前記内部電極121、122表層部におけるNi対比Geの平均重量%は、任意の内部電極を5つ以上選択した後、内部電極と誘電体層間に配置された界面から内部電極の中心方向に約20nm離隔した地点に該当する等間隔の5点を選択してTEM-EDSを通してNiおよびGeを定量分析し、測定した値の算術平均値を計算して求めることができる。
【0063】
第1内部電極121と第2内部電極122は、互いに異なる極性を有する電極であり、誘電体層111を間においてT軸方向に沿って互いに対向されるように交互に配置され、一端がキャパシタボディ110の第3および第4面を通してそれぞれ露出することができる。
【0064】
第1内部電極121と第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁することができる。
【0065】
キャパシタボディ110の第3および第4面を通して交互に露出する第1内部電極121および第2内部電極122の端部は、第1外部電極131および第2外部電極132とそれぞれ接続されて電気的に接続されることができる。
【0066】
また、第1内部電極121および第2内部電極122は、誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一組成系の誘電体粒子を含むこともできる。
【0067】
第1内部電極121および第2内部電極122は、導電性金属を含む導電性ペーストを使用して形成することができる。導電性ペーストのプリント方法は、スクリーンプリント法またはグラビアプリント法などを利用することができる。
【0068】
一例として、第1内部電極121および第2内部電極122の平均厚さは、0.05μm以上、0.1μm以上、0.2μm、または0.25μm以上であることができ、1μm以下、0.5μm以下、0.4μm以下、または0.3μm以下であることができる。
【0069】
第1内部電極121または第2内部電極122の平均厚さは、次のような方法で測定できる。
【0070】
まず、積層型キャパシタ100をエポキシ混合液に入れて硬化した後、キャパシタボディ110のL軸方向およびT軸方向の側面をW軸方向に1/2地点まで研磨(Polishing)し、固定後、真空雰囲気チャンバー内に維持して、キャパシタボディ110のW軸方向の中央からL軸方向およびT軸方向に切断した断面サンプル(以下、「断面サンプル」という)を準備する。
【0071】
その後、前記断面サンプルを走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)で観察して得られた走査電子顕微鏡イメージを準備する。
【0072】
前記断面サンプルの走査電子顕微鏡(SEM)イメージから、第1内部電極121または第2内部電極122の長さ方向(L軸方向)または幅方向(W軸方向)中央地点を基準点として、基準点から所定間隔で離れた10個地点における第1内部電極121または第2内部電極122厚さの算術平均値を求めることにより、内部電極の平均厚さを求めることができる。
【0073】
10個地点の間隔は、走査電子顕微鏡(SEM)イメージのスケール(scale)に応じて調節することができ、例えば、1μm~100μm、1μm~50μm、または1μm~10μmの間隔とすることができる。
【0074】
この時、10個地点は、全て第1内部電極121または第2内部電極122内に位置しなければならず、10個地点が全て第1内部電極121または第2内部電極122内に位置しない場合、基準点の位置を変更したり、10個地点の間の間隔を調節することができる。
【0075】
誘電体層111は、誘電体を含み、前記誘電体は主成分と副成分を含むことができる。
【0076】
主成分は、誘電体の母材であり、高い誘電率を有し、積層型キャパシタ100の誘電率を形成に寄与する。
【0077】
一例として、前記主成分は、BaTiO(0.995≦m≦1.010)、(Ba1-xCa(Ti1-yZr)O(0.995≦m≦1.010、0≦x≦0.10、0<y≦0.20)、Ba(Ti1-xZr)O(0.995≦m≦1.010、x≦0.10)、(Ba1-xCa(Ti1-ySn)O(0.995≦m≦1.010、0≦x≦0.10、0<y≦0.20)、またはこれらの組み合わせを含む誘電材料であることができる。
【0078】
一例として、前記主成分は、BaTiO、Ba(Ti、Zr)O、Ba(Ti、Sn)O、(Ba、Ca)TiO、(Ba、Ca)(Ti、Zr)O、(Ba、Ca)(Ti、Sn)O、(Ba、Sr)TiO、(Ba、Sr)(Ti、Zr)O、(Ba、Sr)(Ti、Sn)O、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0079】
一例として、副成分は、ジスプロシウム(Dy)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、アクチニウム(Ac)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0080】
前記誘電体は、セラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0081】
一例として、誘電体層111の平均厚さは、0.05μm以上、0.1μm以上、または0.2μm以上であることができ、2.5μm以下、1.5μm以下、0.5μm以下、または0.4μm以下であることができる。
【0082】
誘電体層111の平均厚さが0.05μm未満の場合、信頼性改善の確認が難しい場合がある。誘電体層111の平均厚さは、前記断面サンプルの走査電子顕微鏡(SEM)イメージにおいて、誘電体層111の長さ方向(L軸方向)または幅方向(W軸方向)中央地点を基準点として、基準点から所定間隔で離れた10個地点における誘電体層111厚さの算術平均値であることができる。
【0083】
10個地点の間隔は、走査電子顕微鏡(SEM)イメージのスケール(scale)に応じて調節することができ、例えば、1μm~100μm、1μm~50μm、または1μm~10μmの間隔であることができる。
【0084】
この時、10個地点は、全て誘電体層111内に位置しなければならず、10個地点が全て誘電体層111内に位置しない場合、基準点の位置を変更したり、10個地点の間の間隔を調節することができる。
【0085】
第1外部電極131および第2外部電極132は、互いに異なる極性の電圧が提供され、第1内部電極121および第2内部電極122の露出した部分とそれぞれ接続されて電気的に接続される。
【0086】
前記のような構成により、第1外部電極131および第2外部電極132に所定の電圧を印加すると、互いに対向する第1内部電極121および第2内部電極122の間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量は、アクティブ領域でT軸方向に沿って互いに重なる第1内部電極121および第2内部電極122のオーバーラップされた面積と比例する。
【0087】
第1外部電極131および第2外部電極132は、キャパシタボディ110の第3および第4面にそれぞれ配置され、第1内部電極121および第2内部電極122と接続する第1および第2接続部と、キャパシタボディ110の第3および第4面と、第1および第2面または第5および第6面が接する角部に配置される第1および第2バンド部をそれぞれ含むことができる。
【0088】
第1および第2バンド部は、第1および第2接続部からキャパシタボディ110の第1および第2面または第5および第6面の一部までそれぞれ延びることができる。第1および第2バンド部は、第1外部電極131および第2外部電極132の固着強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0089】
一例として、第1外部電極131および第2外部電極132は、それぞれキャパシタボディ110と接触する焼結金属層、焼結金属層を覆うように配置される導電性樹脂層、および導電性樹脂層を覆うように配置されるメッキ層を含むことができる。
【0090】
焼結金属層は、導電性金属およびガラスを含むことができる。
【0091】
一例として、焼結金属層は、導電性金属として、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができ、例えば、銅(Cu)は、銅(Cu)合金を含むことができる。導電性金属が銅を含む場合、銅以外の金属は、銅100モル部に対して5モル部以下含まれることができる。
【0092】
一例として、焼結金属層は、ガラスに酸化物が混合された組成を含むことができ、例えば、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物で構成される群から選択された一つ以上であることができる。遷移金属は、亜鉛(Zn)、チタニウム(Ti)、銅(Cu)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)で構成される群から選択され、アルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)からなる群から選択され、アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群から選択される一つ以上であることができる。
【0093】
選択的に、導電性樹脂層は、焼結金属層上に形成され、例えば、焼結金属層を完全に覆う形態に形成することができる。一方、第1外部電極131および第2外部電極132は、焼結金属層を含まない場合があり、この場合、導電性樹脂層がキャパシタボディ110と直接接触することができる。
【0094】
導電性樹脂層は、キャパシタボディ110の第1および第2面または第5および第6面に延び、導電性樹脂層がキャパシタボディ110の第1および第2面または第5および第6面に延びて配置された領域(即ち、バンド部)の長さは、焼結金属層がキャパシタボディ110の第1面および第2面または第5および第6面に延びて配置された領域(即ち、バンド部)の長さより長いことができる。即ち、導電性樹脂層は、焼結金属層上に形成され、焼結金属層を完全に覆う形態に形成することができる。
【0095】
導電性樹脂層は、樹脂および導電性金属を含む。
【0096】
導電性樹脂層に含まれる樹脂は、接合性および衝撃吸水性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作ることができるものであれば特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、またはポリイミド樹脂を含むことができる。
【0097】
導電性樹脂層に含まれる導電性金属は、第1内部電極121および第2内部電極122または焼結金属層と電気的に接続されるようにする役割を果たす。
【0098】
導電性樹脂層に含まれる導電性金属は、球形、フレーク型、またはこれらの組み合わせの形態を有することができる。即ち、導電性金属はフレーク型のみであったり、球形のみであったり、フレーク型と球形が混合された形態であってもよい。
【0099】
ここで、球形は完全な球形でない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短縮)が1.45以下である形態を含むことができる。フレーク型粉末は、平坦でありながら細長い形態を有する粉末を意味し、特に限定されないが、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短縮)が1.95以上であることができる。
【0100】
第1外部電極131および第2外部電極132は、導電性樹脂層外側に配置されるメッキ層をさらに含むことができる。
【0101】
メッキ層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)または鉛(Pb)等の単独またはこれらの合金を含むことができる。一例として、メッキ層は、ニッケル(Ni)メッキ層またはスズ(Sn)メッキ層であることもでき、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であることもでき、スズ(Sn)メッキ層、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であることもできる。また、メッキ層は、複数がニッケル(Ni)メッキ層および/または複数のスズ(Sn)メッキ層を含むこともできる。
【0102】
メッキ層は、積層型キャパシタ100の基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性および等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)を改善することができる。
【0103】
以下、発明の具体的な実施例を提示する。但し、下記に記載された実施例は、発明を具体的に例示したり説明するためのものに過ぎず、これによって発明の範囲が制限されることはない。
【0104】
実施例
内部電極用ペーストに含まれているNiおよびGeの含有量を調節し、酸素分圧条件を調節して、積層型キャパシタを製造する。前記積層型キャパシタ製造時、約10-9~10-10程度に酸素分圧条件を制御し、約10分間焼成する。前記製造された積層型キャパシタにおいて内部電極の平均厚さは0.25μmであり、誘電体層の平均厚さは1.0μmである。
【0105】
具体的に、内部電極全体において、Ni対比Geの平均含有量(wt%)が下記表2のような、実施例1~7、および比較例1~3の積層型キャパシタを製造する。
【0106】
また内部電極全体におけるNi対比Geの平均含有量(wt%)が3.5wt%であり、
【数5】
値が下記表3のような、実施例4-1~4-4、比較例4-1~4-2の積層型キャパシタを製造する。
【0107】
参考に、下記表1には内部電極中心部におけるNi対比Geの平均含有量(X)および内部電極表層部におけるNi対比Geの平均含有量(Y)を、任意の5つの内部電極で測定した値および平均を示したものである。
【0108】
【表1】
【0109】
評価例
評価例1:MTTF(平均故障時間、Mean Time To Failure)測定
前記実施例および比較例当り400個のサンプルに対して、125℃、8Vの条件で高温負荷試験を実施し、MTTF(平均故障時間、Mean Time To Failure)値を測定する。
【0110】
この時、絶縁抵抗が10kΩ以下となった時間を固定時間とし、表2および表3の比較例1のMTTF値を基準値1として、他の実施例および比較例の相対値を記載する。
【0111】
評価例2:静電容量
静電容量は、LCRmeterを利用して1kHz、AC0.5V条件で測定し、表2に比較例1の静電容量を基準値1として、他の実施例および比較例の相対値を記載する。
【0112】
【表2】
【0113】
表2を参照すると、比較例1は内部電極にGeを含むNi-Ge合金を含まず、比較例2および比較例3は内部電極内にGeを過剰に含むケースに該当する。
【0114】
表2を参照すると、比較例1~3と比較する時、実施例1~7の積層型キャパシタは、静電容量が高く、MTTF値が高くて信頼性がさらに優れていることを確認できる。
【0115】
【表3】
【0116】
表3を参照すると、
【数6】
値が0.20を超える比較例4-1および比較例4-2の場合には、MTTF値が実施例4-1~4-4に比べて著しく低いため、信頼性が良くないことを確認できる。
【0117】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の概要および添付図面の範囲内で様々に変形して実施するのが可能であり、これも本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0118】
100 積層型キャパシタ
110 キャパシタボディ
111 誘電体層
112、113 カバー領域
121 第1内部電極
122 第2内部電極
131 第1外部電極
132 第2外部電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6