(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025068603
(43)【公開日】2025-04-28
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20250421BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024175597
(22)【出願日】2024-10-07
(31)【優先権主張番号】10-2023-0137748
(32)【優先日】2023-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、チャン ミン
(72)【発明者】
【氏名】カン、セオン グ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ギョン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】パク、サン エオン
(72)【発明者】
【氏名】カン、スン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】リム、ヒュン ミン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC05
5E001AC09
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082JJ03
(57)【要約】
【課題】信頼性に優れ、クラックの発生及び伝播が抑制された積層型電子部品を提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、第1方向に交互に配置される誘電体層及び内部電極を含み、上記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面、第2面、第3面及び第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、上記本体に配置されて上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記内部電極は複数の電極部及び切れ部を含み、上記切れ部は誘電体及び気孔の少なくとも一つを含み、切れ部の長さに対する気孔の長さの割合を切れ部の気孔率とし、上記本体の上記第1方向及び第3方向の断面における上記内部電極の第3方向の中央部で測定した切れ部の気孔率をDc、上記内部電極の第3方向の端部で測定した切れ部の気孔率をDmとするとき、Dm/Dcは、0.79未満であることができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に交互に配置される誘電体層及び内部電極を含み、前記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面及び前記第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、
前記本体に配置されて前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記内部電極は、複数の電極部及び切れ部を含み、前記切れ部は、誘電体及び気孔の少なくとも一つを含み、
切れ部の長さに対する気孔の長さの割合を切れ部の気孔率とし、前記本体の前記第1方向及び前記第3方向の断面における前記内部電極の第3方向の中央部で測定した切れ部の気孔率をDc、前記内部電極の第3方向の端部で測定した切れ部の気孔率をDmとするとき、Dm/Dcは0.79未満である、積層型電子部品。
【請求項2】
前記Dm/Dcは0.51以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記Dm/Dcは0.26以上0.51以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記内部電極の第3方向の中央部の第3方向の大きさは23μmであり、前記内部電極の第3方向の端部の第3方向の大きさは15μmである、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記Dmは40%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
Dmは19%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記切れ部は、前記内部電極を前記第1方向に貫通するように配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記誘電体は、前記切れ部に隣接する誘電体層を連結するように配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
複数の前記切れ部の少なくとも一つは、誘電体及び気孔を全て含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
複数の前記切れ部の少なくとも一つは前記誘電体からなる、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記誘電体は、前記誘電体層と同じ物質を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記誘電体は、Ca、Mg、Mn、Al及びSiのいずれか1つ以上を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記内部電極の平均厚さは1μm以下である、請求項1から12のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
第1方向に交互に配置される誘電体層及び内部電極を含み、前記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面及び前記第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、
前記本体に配置されて前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記内部電極は、複数の電極部及び切れ部を含み、前記切れ部は、誘電体及び気孔の少なくとも一つを含み、
切れ部の長さに対する気孔の長さの割合を切れ部の気孔率とし、前記本体の前記第1方向及び前記第3方向の断面のうち、前記内部電極の第3方向の中央部で測定した切れ部の気孔率をDc、前記内部電極の第3方向の端部で測定した切れ部の気孔率をDmとするとき、前記Dmは40%以下であり、Dm<Dcを満たす、積層型電子部品。
【請求項15】
前記Dmは19%以下である、請求項13に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記Dcは43%以下である、請求項13に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。
【0004】
セラミックは脆性が大きい方であるため、積層セラミックキャパシタを実装したり、使用中にクラックが発生する可能性がある。また、積層セラミックキャパシタを製作する焼結過程中にもクラックが生成または伝播するおそれがある。
【0005】
したがって、積層セラミックキャパシタのクラックの発生及び伝播を抑制する方案が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の様々な目的の一つは、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0007】
本発明の様々な目的の一つは、クラックの発生及び伝播が抑制された積層型電子部品を提供することである。
【0008】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、第1方向に交互に配置される誘電体層及び内部電極を含み、上記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面、第2面、第3面及び第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、上記本体に配置されて上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記内部電極は複数の電極部及び切れ部を含み、上記切れ部は誘電体及び気孔の少なくとも一つを含み、切れ部の長さに対する気孔の長さの割合を切れ部の気孔率とし、上記本体の上記第1方向及び第3方向の断面における上記内部電極の第3方向の中央部で測定した切れ部の気孔率をDc、上記内部電極の第3方向の端部で測定した切れ部の気孔率をDmとするとき、Dm/Dcは、0.79未満であり得る。
【0010】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、第1方向に交互に配置される誘電体層及び内部電極を含み、上記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面、第2面、第3面及び第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、上記本体に配置されて上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記内部電極は複数の電極部及び切れ部を含み、上記切れ部は誘電体及び気孔の少なくとも一つを含み、切れ部の長さに対する気孔の長さの割合を切れ部の気孔率とし、上記本体の上記第1方向及び第3方向の断面のうち、上記内部電極の第3方向の中央部で測定した切れ部の気孔率をDc、上記内部電極の第3方向の端部で測定した切れ部の気孔率をDmとするとき、上記Dmは40%以下であり、Dm<Dcを満たすことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の様々な効果の一つとして、内部電極の切れ部の気孔率を制御することにより、クラックの発生及び伝播を抑制することができる。
【0012】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
【
図2】
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
【
図3】
図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
【
図5】内部電極を拡大して概略的に示したものである。
【
図6】発明例(サンプル番号7)の内部電極の第3方向の中央部を観察したイメージである。
【
図7】発明例(サンプル番号7)の内部電極の第3方向の端部を観察したイメージである。
【
図8】比較例(サンプル番号1)の内部電極の第3方向の中央部を観察したイメージである。
【
図9】比較例(サンプル番号1)の内部電極の第3方向の端部を観察したイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0015】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0016】
図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0017】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものであり、
図3は、
図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示したものであり、
図4は、本体を分解して概略的に示したものであり、
図5は、内部電極を拡大して概略的に示したものである。
【0018】
以下、
図1~
図5を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について詳細に説明する。また、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシタ(Multi-layered Ceramic Capacitor、以下「MLCC」という)について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、セラミック材料を用いる多様な積層型電子部品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどにも適用され得る。
【0019】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、第1方向に交互に配置される誘電体層111及び内部電極121、122を含み、上記第1方向に向かい合う第1面1及び第2面2、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面3及び第4面4、上記第1面、第2面、第3面及び第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面5及び第6面6を含む本体110と、上記本体に配置されて上記内部電極と連結される外部電極131、132と、を含み、上記内部電極は、複数の電極部Ep及び切れ部Cpを含み、上記切れ部は誘電体D及び気孔Pの少なくとも一つを含むことができる。
【0020】
一実施形態において、切れ部Cpの長さに対する気孔Pの長さの割合を切れ部の気孔率とし、上記本体の上記第1方向及び第3方向の断面における上記内部電極の第3方向の中央部で測定した切れ部の気孔率をDc、上記内部電極の第3方向の端部で測定した切れ部の気孔率をDmとするとき、Dm/Dcは0.79未満であることができる。
【0021】
一実施形態において、切れ部Cpの長さに対する気孔Pの長さの割合を切れ部の気孔率とし、上記本体の上記第1方向及び第3方向の断面における上記内部電極の第3方向の中央部で測定した切れ部の気孔率をDc、上記内部電極の第3方向の端部で測定した切れ部の気孔率をDmとするとき、上記Dmは40%以下であり、Dm<Dcを満たすことができる。
【0022】
本発明では、積層型電子部品を製造する過程で塑性挙動及びクラックの発生機構を根本的に理解して、クラックの発生及び伝播を抑制しようとした。
【0023】
本体にクラックが形成されたり、クラックが大きくなって破壊に至るまでは、本体内部に微細亀裂の存在が必要であり、この微細亀裂を成長させるエネルギーの存在が必要である。内部電極の切れ部に存在する気孔は、このような本体内部の微細亀裂として作用することができる。本発明では、内部電極の切れ部の気孔率を制御することにより、クラックの発生及び伝播を抑制することができる。特に、内部電極の端部に形成される気孔は、クラックの開始点として作用し、本発明では、内部電極の端部における気孔形成を抑制して、クラックの発生原因を根本的に除去することにより、クラックの発生及び伝播を抑制しようとした。
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100に含まれる各構成について説明する。
【0025】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。
【0026】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0027】
本体110は、第1方向に向かい合う第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に向かい合う第3面3及び第4面4、第1面1及び第2面2と連結され、第3面3及び第4面4と連結され、第3方向に向かい合う第5面5及び第6面6を有することができる。
【0028】
誘電体層111上に内部電極121、122が配置されていないマージン領域が重なることによって、内部電極121、122の厚さによる段差が発生して、第1面と第3面、第4面及び第5面を連結するコーナー及び/または第2面と第3面、第4面及び第5面を連結するコーナーは、第1面または第2面を基準として見るとき、本体110の第1方向の中央側に収縮した形態を有することができる。または、本体の焼結過程での収縮挙動によって第1面1と第3面3、第4面4、第5面5及び第6面6を連結するコーナー及び/または第2面2と第3面3、第4面4、第5面5及び第6面6を連結するコーナーは、第1面または第2面を基準として見るとき、本体110の第1方向の中央側に収縮した形態を有することができる。または、チッピング不良などを防止するために本体110の各面を連結する角を別途の工程を行ってラウンド処理することで第1面と第3面、第4面、第5面及び第6面を連結するコーナー及び/または第2面と第3面、第4面、第5面及び第6面を連結するコーナーは、ラウンド形態を有することができる。
【0029】
一方、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極が本体の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向(幅方向)に積層してマージン部114、115を形成する場合には、第1面と第5面及び第6面を連結する部分及び第2面と第5面及び第6面を連結する部分が収縮した形態を有さないことができる。
【0030】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。誘電体層の積層数は特に制限する必要はなく、積層型電子部品のサイズを考慮して決定することができる。例えば、誘電体層を400層以上積層して本体を形成することができる。
【0031】
誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを設けた後、上記セラミックグリーンシートを焼成することで形成することができる。セラミック粉末は、十分な静電容量が得られる限り、特に制限されないが、例えば、セラミック粉末としてチタン酸バリウム系(BaTiO3)系粉末、CaZrO3基盤の常誘電性粉末などを用いることができる。より具体的な例を挙げると、チタン酸バリウム系(BaTiO3)系粉末は、BaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)及びBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)のうち一つ以上であることができ、CaZrO3基盤の常誘電性粉末は(Ca1-xSrx)(Zr1-yTiy)O3(0<x<1、0<y<1)であることができる。
【0032】
したがって、誘電体層111は、BaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、Ba(Ti1-yZry)O3(0<y<1)及び(Ca1-xSrx)(Zr1-yTiy)O3(0<x<1、0<y<1)のうち1つ以上を含むことができる。一実施形態において、誘電体層111は、(Ca1-xSrx)(Zr1-yTiy)O3(0<x<1、0<y<1)を主成分として含むことができる。
【0033】
誘電体層111の平均厚さtdは特に限定する必要はないが、例えば、2.5μm以下であることができる。また、誘電体層111の平均厚さtdは、所望の特性や用途に応じて任意に設定することができる。
【0034】
ここで、誘電体層111の平均厚さtdは、内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の第1方向の大きさを意味する。誘電体層111の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的には、1つの誘電体層111の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、後述する容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0035】
本体110は本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと上記容量形成部Acの第1方向の上部及び下部に形成されたカバー部112、113を含むことができる。
【0036】
また、上記容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であり、誘電体層111を挟んで複数の第1内部電極121及び第2内部電極121を繰り返し積層して形成されることができる。
【0037】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112及び上記容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0038】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0039】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。
【0040】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0041】
一方、カバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは15μm以下であることができる。
【0042】
カバー部112、113の平均厚さtcは第1方向の大きさを意味することができ、容量形成部Acの上部または下部で等間隔の5個の地点で測定したカバー部112、113の第1方向の大きさを平均した値であることができる。
【0043】
また、上記容量形成部Acの側面には、マージン部114、115が配置されることができる。
【0044】
マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1マージン部114と第6面6に配置された第2マージン部115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の幅方向の両端面(end surfaces)に配置されることができる。
【0045】
マージン部114、115は、
図3に示されたように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面(cross-section)において、第1内部電極121及び第2内部電極122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0046】
マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0047】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるところを除いて導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することにより形成されたものであることができる。
【0048】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極が本体の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向(幅方向)に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0049】
一方、マージン部114、115の幅は特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、マージン部114、115の平均幅は15μm以下であることができる。
【0050】
マージン部114、115の平均幅は、内部電極が第5面から離隔した領域の第3方向の平均大きさMW1及び内部電極が第6面から離隔した領域の第3方向の平均大きさMW2を意味することができ、容量形成部Acの側面で等間隔の5個の地点で測定したマージン部114、115の第3方向の大きさを平均した値であることができる。
【0051】
したがって、一実施形態において、内部電極121、122が第5面及び第6面から離隔した領域の第3方向の平均大きさMW1、MW2は、それぞれ15μm以下であり得る。
【0052】
内部電極121、122は、複数の電極部Ep及び切れ部Cpを含み、切れ部Cpは、誘電体D及び気孔Pの少なくとも一つを含むことができる。
【0053】
内部電極用導電性ペーストとセラミックグリーンシートは、収縮開始温度が異なるため、焼成後に内部電極のムラや切れ現象が発生することがある。したがって、焼成後に本体110を積層方向に切断した断面を観察すると、内部電極121、122の連結が切れた部位である切れ部Cpが観察されることができる。
【0054】
一般的に、内部電極の切れ部Cpは気孔Pで形成され、気孔Pは本体内部の微細亀裂として作用してクラックの発生及び伝播を誘発することがある。本発明では、内部電極の切れ部Cpに誘電体Dを満たして切れ部Cpの気孔率を制御することにより、クラックの発生及び伝播を抑制しようとする。
【0055】
一実施形態において、切れ部Cpの長さに対する気孔Pの長さの割合を切れ部の気孔率とし、上記本体の上記第1方向及び第3方向の断面における上記内部電極の第3方向の中央部で測定した切れ部の気孔率をDc、上記内部電極の第3方向の端部で測定した切れ部の気孔率をDmとするとき、Dm/Dcは0.79未満であることができる。
【0056】
内部電極の第3方向の端部に存在する気孔Pは、クラックの開始点として作用することができるため、内部電極の第3方向の中央部で測定した切れ部の気孔率Dcに対する内部電極の第3方向の端部で測定した切れ部の気孔率Dmを0.79未満に制御することで、クラックの発生原因を根本的に抑制して、クラックの発生及び伝播を抑制することができる。したがって、Dm/Dcは0.79未満であることが好ましく、より好ましくは0.51以下であることができる。一方、Dm/Dcの下限は特に限定する必要はなく、例えばDm/Dcは0.26以上であることができる。
【0057】
一実施形態において、内部電極の第3方向の端部で測定した切れ部の気孔率Dmは40%以下であり、Dm<Dcを満たすことができる。これにより、クラックの発生原因を根本的に抑制して、クラックの発生及び伝播を抑制することができる。
【0058】
一実施形態において、内部電極の第3方向の端部で測定した切れ部の気孔率Dmは40%以下であることができる。
【0059】
Dmが40%超過である場合には、クラックが容易に発生することがあるため、Dmは40%以下であることが好ましく、より好ましくはDmは19%以下であることができる。
【0060】
Dmの下限は特に限定する必要はなく、0%であることが最も好ましいことができるが、Dmを0%に制御することは製造工程上難しい場合がある。したがって、Dmの下限は、例えば5%以上であるか、9%以上であることができる。
【0061】
一実施形態において、内部電極の第3方向の中央部で測定した切れ部の気孔率Dcは43%以下であることができる。クラックの発生及び抑制に及ぼす影響が内部電極の第3方向の端部よりは少ないが、内部電極の第3方向の中央部もクラックの開始点となり得るため、Dcは43%以下であることが好ましい。
【0062】
Dcの下限は特に限定する必要はなく、0%であることが最も好ましいが、Dcを0%に制御することは製造工程上難しい場合がある。したがって、Dcの下限は、例えば20%以上であるか、27%以上であることができる。
【0063】
図5は、内部電極121を拡大して簡略に示した図面である。以下、
図4を参照して第1内部電極121を中心に本発明の内部電極について詳細に説明するが、第2内部電極122にも同様に適用されることができる。
【0064】
一実施形態において、切れ部Cpは、内部電極121、122を第1方向に貫通するように配置されることができる。切れ部Cpが内部電極121、122を第1方向に貫通するように配置される場合、クラックの発生がより容易になり得るため、切れ部Cpが内部電極121、122を第1方向に貫通するように配置される場合、本発明のクラックの発生及び伝播を抑制する効果がより顕著になることができる。
【0065】
一実施形態において、誘電体Dは、切れ部Cpに隣接した誘電体層111a、111bを連結するように配置されることができる。これにより、誘電体層111a、111b間の結合力を向上させることで、積層電子部品の強度を向上させることができ、デラミネーション及びクラックを抑制することができ、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0066】
一実施形態において、複数の切れ部Cpの少なくとも一つは、誘電体D及び気孔Pを全て含むことができる。
【0067】
また、複数個の切れ部Cpの少なくとも一つは、第1方向の断面で内部電極の厚さよりも大きい長さを有することで、隣接する誘電体層間の結合力をより向上させることができる。
【0068】
また、複数の切れ部Cpの少なくとも一つは誘電体Dからなることができる。すなわち、切れ部Cpが全て誘電体Dで満たされることによって誘電体層111a、111b間の結合力をより向上させることができ、クラックの発生及び伝播の抑制効果をより向上させることができる。
【0069】
一方、切れ部Cpに含まれた全ての誘電体Dが隣接する誘電体層111a、111bを連結する形態で配置されることではないことができ、切れ部Cpに含まれた一部の誘電体は上部誘電体層111aまたは下部誘電体層111bのいずれか一つに連結されない形態で配置されることができる。
【0070】
気孔Pは、空いている空間として空気で満たされていることができ、結合力が形成されない部位である。
【0071】
内部電極のうち、切れ部Cpを除いた領域は電極部Epであることができ、電極部Epは内部電極用導電性ペーストが焼結して形成されたものであることができる。
【0072】
一実施形態において、誘電体は上記誘電体層と同じ物質を含むことができる。例えば、誘電体D及び誘電体層111は、BaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、Ba(Ti1-yZry)O3(0<y<1)及び(Ca1-xSrx)(Zr1-yTiy)O3(0<x<1、0<y<1)のうち1つ以上を含むことができる。一実施形態において、誘電体D及び誘電体層111は、(Ca1-xSrx)(Zr1-yTiy)O3(0<x<1、0<y<1)を主成分として含むことができる。
【0073】
また、誘電体Dは、Ca、Mg、Mn、Al、及びSiのいずれか1つ以上を含むことができる。内部電極用ペーストに含まれたCa、Mg、Mn、Al及びSiが焼結工程で拡散して誘電体に含まれたものであることができる。
【0074】
図5を参照すると、切れ部Cpの気孔率は、切れ部Cpの全体長さに対する気孔Pの全体長さの割合として定義されることができ、本体110の第2方向の中央で切断した第1方向及び第3方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Eletron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。上記イメージで一定領域を設定した後、切れ部Cpの全体長さ(g=g1+g2+g3+g4)及び気孔Pの全体長さ(p=p1+p2+p3)を求め、(p/g)*100[%]を切れ部Cpの気孔率とすることができる。
【0075】
一方、内部電極の第3方向の中央部における切れ部の気孔率Dcは、内部電極の第3方向の大きさが23μmの領域を観察して得た値であることができ、内部電極の第3方向の端部における切れ部の気孔率Dmは、内部電極の第3方向の大きさが15μmの領域を観察して得た値であることができる。
図3を参照すると、DcはK1領域でスキャンしたイメージを観察して得た値であることができ、DmはK2領域でスキャンしたイメージを観察して得た値であることができる。
【0076】
また、Dcは内部電極の第3方向の中央部で7個以上の内部電極に対する切れ部の気孔率を求めた後、それらの値を平均してより一般化することができ、Dmも内部電極の第3方向の端部で7個以上の内部電極に対する切れ部の気孔率を求めた後、それらの値を平均してより一般化することができる。すなわち、Dcは内部電極の第3方向の中央部における切れ部の平均気孔率を意味することができ、Dmは内部電極の第3方向の端部における切れ部の平均気孔率を意味することができる。
【0077】
一方、切れ部Cpの平均気孔率を制御する方法は、特に限定されない。
【0078】
例えば、焼成時に本体に積層方向に適切な圧力を加える方法を介して、切れ部Cpの平均気孔率を制御することができる。また、焼成工程で昇温速度、時間、焼成雰囲気等を調節して切れ部Cpの平均気孔率を制御することができる。また、内部電極用導電性ペーストに添加する導電性パウダー、有機物及びセラミックの量を調節して切れ部Cpの平均気孔率を制御することができる。また、サイズが異なる導電性パウダーを混合して、その割合を調整したり、導電性ペーストの印刷条件を変更して切れ部Cpの平均気孔率を制御することができる。
【0079】
具体的な例を挙げると、水素濃度が0.2vol%の雰囲気で焼成温度1185℃以上とし、内部電極厚さが1μm以下になるように調節する場合、上述した切れ部Cpの平均気孔率を満たすように制御することができる。このように焼成条件を制御する場合、内部電極の端部の微細酸化により気孔の形成を抑制することができる。
【0080】
内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。第1内部電極121及び第2内部電極122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ露出することができる。
【0081】
第1内部電極121は第4面4から離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3から離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には第1外部電極131が配置されて、第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2外部電極132が配置されて、第2内部電極122と連結されることができる。
【0082】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されずに、第2外部電極132と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4で一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3で一定距離離隔して形成されることができる。また、第1内部電極121及び第2内部電極122は、本体110の第5面及び第6面から離隔して配置されることができる。
【0083】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、Ni、Cu、Pd、Ag、Au、Pt、In、Sn、Al、Ti及びこれらの合金のうち1つ以上であることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、切れ部の気孔率を制御するために内部電極用導電性ペーストにCa、Mg、Mn、Al、及びSiのうち1以上を適正量含ませることができる。
【0084】
内部電極121、122を形成する方法は、特に制限されない。例えば、内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することで形成されることができる。内部電極用導電性ペーストの塗布方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
内部電極の平均厚さteは、特に限定する必要はない。このとき、内部電極121、122の厚さは、内部電極121、122の第1方向の大きさを意味することができる。例えば、内部電極121、122の平均厚さteが1.0μm以下である場合、本発明によるクラックの発生及び伝播を抑制する効果がより顕著になることができる。
【0086】
ここで、内部電極の平均厚さteは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的には、1つの内部電極121、122の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0087】
外部電極131、132は本体110に配置され、内部電極121、122と連結される。
【0088】
図2に示された形態のように、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ配置されて、第1内部電極121及び第2内部電極122とそれぞれ連結された第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。
【0089】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0090】
一方、外部電極131、132は、金属などの電気導電性を有するものであれば、如何なる物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。
【0091】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a及び電極層131a、132a上に形成されためっき層131b、132bを含むことができる。
【0092】
電極層131a、132aに対するより具体的な例を挙げると、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成(firing)電極であるか、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0093】
また、電極層131a、132aは、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であることができる。また、電極層131a、132aは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであることができる。
【0094】
電極層131a、132aに含まれる導電性金属としては、電気導電性に優れた材料を用いることができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びそれらの合金のうち1つ以上であり得る。
【0095】
めっき層131b、132bは実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち1つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。
【0096】
めっき層131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132bは、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることができ、Snめっき層、Niめっき層、及びSnめっき層が順次形成された形態であることができる。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0097】
(実施例)
下記表1は、焼成条件を変更して得られた各サンプルの内部電極の第3方向の中央部で測定した切れ部の気孔率Dc、内部電極の第3方向の端部で測定した切れ部の気孔率Dm、内部電極の第3方向の中央部で測定した内部電極の気孔率Ic、内部電極の第3方向の端部で測定した内部電極の気孔率Imを測定して記載し、各サンプルのクラックの発生頻度を観察して記載したものである。
【0098】
Dc、Dm、Ic及びImは、本体の第2方向の中央で切断した第1方向及び第3方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定し、それぞれ7個以上の内部電極に対する値の平均値を記載したものである。Dc及びIcは、内部電極の第3方向の中央部で第3方向の大きさが23μmの領域を観察して得られた値であり、Dm及びImは、内部電極の第3方向の端部で第3方向の大きさが15μmの領域を観察して得られた値である。
【0099】
ここで、内部電極の気孔率は、
図5を参照すると、観察領域における内部電極の全体長さaに対する気孔Pの全体長さ(p=p1+p2+p3)の割合を意味する。
【0100】
クラックの頻度は、各サンプル番号当たり100個のサンプルチップを用意した後、サンプルチップの第2方向の中央で切断した第1方向及び第3方向の断面において、上部、中央部及び下部のそれぞれ3ポイントずつ、1つのサンプルチップ当たり18ポイントを観察して、各サンプル番号当たりの合計1800個のポイントのうち、クラックが発生したポイントの割合を記載したものである。クラックの頻度測定は、インデンタ(Nano Indentor)で圧入強度0.2kgfの条件で測定したものである。
【0101】
【0102】
サンプル番号1~6は、Dm/Dcが0.79以上としてクラックの頻度が高いことが確認できる。
【0103】
一方、サンプル番号7~11は、Dm/Dcが0.79未満としてクラックの頻度が低くて、クラックの発生及び伝播が抑制されたことが確認できる。
【0104】
また、サンプル番号7~11は、Dmは40%以下であり、Dm<Dcを満足してクラックの頻度が低くて、クラックの発生及び伝播が抑制されたことが確認できる。
【0105】
一方、内部電極の気孔率の場合、クラックの頻度と大きな相関関係がないことが確認でき、クラックの頻度は内部電極の気孔率よりも切れ部の気孔率と相関関係があることが確認できる。
【0106】
図6は、発明例(サンプル番号7)の内部電極の第3方向の中央部を観察したイメージであり、
図7は、発明例(サンプル番号7)の内部電極の第3方向の端部を観察したイメージであり、
図8は、比較例(サンプル番号1)の内部電極の第3方向の中央部を観察したイメージであり、
図9は、比較例(サンプル番号1)の内部電極の第3方向の端部を観察したイメージである。
【0107】
図6及び
図8を比較すると、発明例と比較例の内部電極の中央部における切れ部の気孔率には大きな差はない。しかし、
図7と
図9を比較すると、発明例の場合、内部電極の端部で切れ部の気孔率が比較例に比べて確実に低いことが確認できる。
【0108】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0109】
また、本開示において用いられた「一実施例」という表現は、互いに同一の実施例を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施例は、他の一実施例の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施例において説明された事項が他の一実施例に説明されていなくても、他の一実施例においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施例に関連する説明として理解することができる。
【0110】
本開示で用いられた用語は、単に一実施例を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0111】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 電極層
131b、132b めっき層