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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025068624
(43)【公開日】2025-04-28
(54)【発明の名称】冷却スロットを備えた空冷式断路器
(51)【国際特許分類】
   H01H 31/32 20060101AFI20250421BHJP
【FI】
H01H31/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024180505
(22)【出願日】2024-10-16
(31)【優先権主張番号】23203719.2
(32)【優先日】2023-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ミュラー
(57)【要約】
【課題】軸(XX’)に沿って延在し、筐体(3)を含み、空気中で動作する高電圧遮断器(1)及び断路器(2)を提供する。
【解決手段】断路器は、筐体内に設けられ、軸(XX’)に沿って延在する中空の通電導体(10、20、30)を含み、導体は、軸に沿って延在する少なくとも1つの下側細長いスロット(12a、22a、32a)及び少なくとも1つの上側細長いスロット(11a、21a。31a)を含み、スロットの各々は、空気流断面を開く幅wと長さlを有する。中空通電導体(10、20、30)の外径面と、前記軸(XX’)に垂直な同一平面内の全てのスロットの空気流断面の合計との比は、70~100である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線(XX’)に沿って延び、空気中で動作するための高電圧遮断器及び断路器であって、筐体(3)を備え、断路器は、筐体内に設けられ、軸線(XX’)に沿って延びる中空の通電導体(10、20、30)を含み、導体は、軸線に沿って延びる少なくとも1つの下側の細長いスロット(12a、22a、32a)及び少なくとも1つの上側の細長いスロット(11a、21a、31a)を含み、スロットの各々は幅wと長さlを有し、lとwの積はスロットの空気流断面を与え、中空通電導体(10、20、30)の外径面と全てのスロットの空気流断面の合計との間の比は70と100の間である、高圧回路遮断器及び遮断器。
【請求項2】
導体は、少なくとも1、2、3又はそれ以上の下側スロット(12b、22b、32b)と、同数又は異なる数の上側スロット(11a、21a、31a)とを含み、下側スロットと上側スロットとは、好ましくは互いに向き合っている、
及び/又は、上側スロット及び下側スロットの少なくとも1つは、複数の整列スロット(31a1、31a2)に分割される、請求項1に記載の高圧回路遮断器及び遮断器。
【請求項3】
2つ以上の下側スロット(12a、12b、22a、22b、32a、32b)と2つ以上の上側スロット(11a、11b、21a、21b、31a、31b)を含み、
上側スロット(11a、21a、31a)の各スロットは、隣のスロット(11b、21b、31b)に対して20°から60°の間の角度だけ離れ、
及び/又は、下側スロット(12a、22a、32b)の各スロットは、隣接するスロット(12b、22b、32b)に対して20°から60°の間の角度だけ離れている、請求項2に記載の高圧回路遮断器及び遮断器。
【請求項4】
上側スロット(11a、21a、31a)の複数のスロットは、10°の角度だけ離れ、
及び/又は下側スロット(12a、22a、32a)の複数のスロットは、10°の角度だけ離れる、請求項3に記載の高圧回路遮断器及び遮断器。
【請求項5】
各スロット(11a~11c、12a~12c、21a~21c、22a~22c、31a~31c、32a~32c)の幅は、5mm~40mmである、請求項1に記載の高圧回路遮断器及び遮断器。
【請求項6】
空気が中空導体(12a、22a、32a)に流入する1つ又は複数の下側スロットの表面は、空気が中空導体(11a、21a、31a)から流出する1つ又は複数の上側スロットの表面と、5%の範囲で同一又は類似している、請求項1に記載の高圧回路遮断器及び遮断器。
【請求項7】
中空通電導体は、30cmから200cmの間の外径を有する、請求項1に記載の高圧回路遮断器及び遮断器。
【請求項8】
スロットが断路器の内面(33)に配向されている、請求項1に記載の高圧回路遮断器及び遮断器。
【請求項9】
スロットの少なくとも1つが、軸XX’から曲線方向に中空導体の内側に少なくとも1つの丸みを帯びたエッジ(34a、35a、34b、35b)を有する、請求項1に記載の高圧回路遮断器及び遮断器。
【請求項10】
スロットの少なくとも1つが、軸XX’に平行な方向において中空導体の内側に少なくとも1つの丸みを帯びた又は楕円形のエッジ(36)を有する、請求項1に記載の高圧回路遮断器及び遮断器。
【請求項11】
筐体(6)が空気で満たされている、請求項1に記載の高圧回路遮断器及び遮断器。
【請求項12】
1つ又は複数の下側スロット及び/又は上側スロットが、5~30°の角度で内側表面(33)に配向されている、請求項1に記載の高圧回路遮断器及び遮断器。
【請求項13】
三相遮断器/遮断器であって、各相が請求項1乃至12のいずれかに記載の高圧回路遮断器及び遮断器を含む、三相遮断器/遮断器。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の遮断器及び断路器の冷却方法であって、空気中で動作し、導体に10kA以上50kA以下の電流が流通し、それにより、前記少なくとも1つの下側スロットから前記少なくとも1つの上側スロットへ空気が流通する、遮断器及び断路器の冷却方法。
【請求項15】
空気が、少なくとも1つの下側スロット(12a、22a、32a)から導体の内面(33)へ、次いで自然対流によって駆動される少なくとも1つの上側スロット(11a、21a、31a)へと循環する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機用遮断器の空冷式断路器の分野に関する。
【0002】
発電機回路遮断器(発電機サーキットブレーカ:generator circuit breaker)とそれに対応する断路器(ディスコネクタ:disconnector)は、空気中で動作し、密閉ケーシングに収納されている。
【0003】
このような装置の冷却は重要である。発電所の発電機から来る大電流が、発電機回路遮断器とその付属の断路器を通過する際に、大量の熱を発生させるからである。この熱を効率的に外部に伝え、ライブ部品(live parts:活電部品)の温度を規格の範囲内に抑える必要がある。この熱を効率的に外部に伝達し、ライブ部品の温度を規格の範囲内に抑える必要がある。熱伝達を強化するために、次のような方法が使用される。
-熱を運ぶ流体は、熱を持ったまま外側に移動し、冷えて内側に戻ってくる。
-ファンが筐体内部に送風し、冷たい筐体(エンクロージャ)と高温のライブ部品との間の熱交換を増加させる。
-自然対流(natural convection)は、高温のライブ部品から冷たい筐体へと、自然な流体の動きによってカロリー(熱量)を運ぶ。
【0004】
冷却フィンと冷却孔を設けることで自然冷却を促進していた。冷却孔は、断路器の全周の数カ所に配置された。楕円形、円形、三角形、長方形の形があった。このような解決策は、試行錯誤によって寸法を決め、位置を決め、形を整えた。先行技術の他の解決策と同様、この方法は、空気循環、表皮効果、近接効果、温度依存抵抗率の3D効果を考慮していない。そうすることで、先行技術の設計では、冷却孔の近くに電流が集中(current concentration)したり、空気の動きがない停滞ゾーンが生じたりして、最終的に望ましくない局所的なホットスポットが生じる。
【0005】
温度が高くなると抵抗率が高くなり、さらに損失が大きくなり、その結果温度も高くなるという悪循環を知るに、こうしたホットスポットは機器全体の性能にとって重大なリスクとなる。
【0006】
機器の最大公称電流(maximum nominal current)は、ホットスポットである機器の最高温度よりも高い温度につながらない(not leading)電流である。従って、ホットスポットが公称電流を制限しているのであって、全体的な設計を制限しているわけではない。構築者(constructors)にとって、ホットスポットを防ぐために設計を強化することは明確な関心事である。
【0007】
さらに、試行錯誤によって見出されることが多い先行技術の設計は、限られた量の温度センサーですべてのホットスポットを捉えることは不可能であるため、信頼性に欠ける。
【0008】
特に、先行技術の設計では、滞留領域で局所的にゼロになる可能性のある空気循環の効果や、孔の近くの位置に電流が集中する可能性があり、その結果、電流密度が高くなり、その位置でさらにジュール熱が発生することを考慮していない。
【0009】
断路器にも筐体にも、より効率的な解決策が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際特許出願公開第2023/137644A1号公報
【発明の概要】
【0011】
本発明は、まず、空冷式断路器の中空通電導体の冷却スロットの最適化設計に関する。
【0012】
本発明は、特に、軸線(XX’)(又は軸方向)に沿って延びる高電圧遮断器用の断路器、又は高電圧遮断器及び断路器(a disconnector for a high voltage circuit breaker, or a high voltage circuit breaker and disconnector, extending along an axis (XX’) (or axial direction))に関するものであり、前記断路器は、筐体と、前記筐体内の中空の通電導体とを備える(said disconnector comprising an enclosure and a hollow current carrying conductor in said enclosure)。前記導体は、少なくとも1つの下側の細長いスロットと少なくとも1つの上側の細長いスロットとを含む(said conductor comprising at least one lower elongated slot and at least one upper elongated slot extending along said axis)。
【0013】
前記断路器は、雌部品と、チューブハウジングと、前記雌部品と前記チューブハウジングとを接続する可動管とを含むことができる(Said disconnector can comprise a female part, a tube housing and a moveable tube to connect said female part and said tube housing)。前記スロットは、前記部品のいずれか、例えば、1つだけ(例えば、チューブハウジング)、又は2つ若しくは3つ全てに設けることができる(said slots can be provided to any of said parts, for example to only one (for example the tube housing) or to 2 or to all 3 of them)。
【0014】
本発明はまた、軸線(XX’)に沿って延びる、空気中で動作する断路器(又は、回路遮断器及び断路器)を冷却する方法(a method for cooling a disconnector or circuit breaker and disconnector operating in air, extending along an axis (XX’))に関し、前記断路器は、筐体と、前記筐体内の中空の通電導体とを含み(said disconnector comprising an enclosure and a hollow current carrying conductor in said enclosure)、前記導体は、前記軸線に沿って延びる少なくとも1つの下側スロットと少なくとも1つの上側スロットとを含み(said conductor comprising at least one lower slot and at least one upper slot extending along said axis)、例えば10kAから30kAの間、あるいは50kAまでの電流が前記導体内を循環し、これにより空気が前記少なくとも1つの下側スロットから前記少なくとも1つの上側スロットへと循環する(a current of, for example, between 10kA and 30 kA or even up to 50 kA, circulating in said conductor, whereby air is circulating from said least one lower slot to said at least one upper slot)。
【0015】
本発明による、又は本発明による方法における高圧断路器(又は回路遮断器及び断路器)において、前記スロットの各々は、5mmと40mmとの間の幅、例えば8mm又は10mm又は20mm又は30mmを有することができ(In a high voltage disconnector or circuit breaker and disconnector according to the invention or in a method according to the invention, each of said slot may have a width between 5 mm and 40 mm, for example 8 mm or 10 mm or 20 mm or 30 mm)、前記幅は、前記軸(XX’)に垂直に、又は前記軸(XX’)に垂直な平面において測定される(said width being measured perpendicularly to said axis (XX’) or in a plane perpendicular to said axis (XX’))。
【0016】
好ましくは、最大公称電流は、機器の構成にもよるが、10kAから50kAの範囲、例えば30kAである(Preferably, the maximum nominal current is in a range of 10 kA to 50 kA, for example 30 kA, depending on the configuration of the equipment)。したがって、発電所の運転中の電流は、0kAから最大公称電流まで設定することができる(The current during operation of the power plant may therefore be set from 0 kA to the maximum nominal current)。
【0017】
本発明は、例えば高圧発電機用遮断器の上又は下に取り付けられるタイプの中空断路器の冷却に関する(The invention concerns the cooling of a hollow disconnector, for example of the type being attached to or beneath a high voltage generator circuit breaker)。本発明の一態様による断路器は、周囲空気中で作動(運転)、絶縁、冷却される(The disconnector according to an aspect of the invention is operated, insulated and cooled in ambient air)。その性能を向上させるために、高価な冷却ファンや冷却液体を使用する冷却回路を必要としない自然冷却方法が実施される(To increase its performance a natural cooling method is implemented, which does not require expensive cooling fans or cooling circuits using cooling liquid)。
【0018】
したがって、本発明は、内部中空部又は中空導体を含む発電機回路遮断器の断路器を空冷する方法にも関し、方法は、軸線(XX’)(又は軸線方向)に沿って延び、少なくとも1つの底側スロットを通って空気を循環させ、次に、断路器の内側の前記中空部分を通って、又は前記中空導体を通って、少なくとも1つの上側スロットを通って空気を循環させることを含む(Thus, the invention also concerns a method for air cooling a generator circuit breaker’s disconnector comprising an inner hollow portion or a hollow conductor, extending along an axis (XX’) (or axial direction), comprising circulating air through the at least one bottom slot, then through said hollow portion inside of the disconnector or through said hollow conductor and through the at least one upper slot)。
【0019】
例えば、本発明は、空気中で作動する発電機回路遮断器の断路器の冷却方法(a cooling method of a generator circuit breaker’s disconnector operating in air)に関し、前記断路器は、中空部分又は中空導体を含み(said disconnector comprising an inner hollow portion or a hollow conductor)、前記方法は、
-冷気を、好ましくは前記導体の可能な限り低い位置またはその近くに位置する1つの下側スロットを通して循環させ、その後、中空導体または中空ライブ電導体の内部で加熱し、熱気を好ましくは前記導体の可能な限り高い位置またはその近くに位置する1つの上側スロットから排出する。この自然循環の原動力は、空気密度の温度依存性であり、重力によって熱い空気が上方に移動する(circulating cool air through one bottom slot, preferably located at, or close to, the lowest possible position of said conductor, then heating up inside the hollow conductor or the hollow live conductor, the hot air leaving at one top slot, preferably located at, or close to, the highest possible position of said conductor; the motor of this natural circulation is the temperature dependency of the air density leading with gravity to an upwards movement of hot air)。
-又は、2つ以上の底側スロット(好ましくは、前記導体の可能な限り低い位置またはその近くに位置する)を通して冷気を循環させ、その後、中空導体または中空活電導体の内部を加熱し、熱気は、2つ以上の上側スロット(好ましくは、前記導体の可能な限り高い位置またはその近くに位置する)から排出される(or circulating cool air through two or more bottom slots, preferably located at, or close to, the lowest possible position of said conductor, then heating up inside the hollow conductor or hollow live conductor, the hot air leaving at two or more top slots, preferably located at, or close to, the highest possible position of said conductor)。
【0020】
どちらの場合も、自然循環の原動力は空気密度の温度依存性であり、重力によって熱い空気が上方に移動する。
【0021】
本発明による装置又は方法において、軸(XX’)(又は軸方向)に沿って延びる中空の通電導体を含み、前記軸に沿って、又は前記軸に平行な方向に沿って細長く、好ましくは互いに対向し、又は互いに対向する少なくとも2つの冷却スロット、又は例えば好ましくは互いに対向し、又は互いに対向する2対の冷却スロットを備える、空冷式断路器が実施される(In a device or a method according to the invention, an air cooled disconnector is implemented, comprising a hollow current carrying conductor, extending along an axis (XX’) (or axial direction), provided with at least two cooling slots, elongated along said axis or along a direction parallel to said axis, preferably opposed to each other or facing each other, or for example 2 pairs of cooling slots, preferably opposed to each other or facing each other)。
【0022】
したがって、空気は筐体底部の最も冷たい部分から中空導体の底側スロットを経由して流れ、内部で加熱されて軽くなり、導体上部のスロットを経由して筐体外に移動し、筐体天井に移動することができる。筐体の天井では、中空導体の高温の空気は冷えて筐体の左右に移動し、最後に冷えて密度が増して重くなり、筐体の底に落ちる。その後、再び循環運動が始まる。
【0023】
本発明により、導電材料を節約しながら、導体をより効率的に自然冷却することができる。
【0024】
本発明による装置又は方法の様々な実施形態による。
-スロットは、好ましくは、長い直線形状を有し/有し(the slot(s) preferably has/have a long linear shape)、前記スロットの各々は、20mm~400mmの間の長さ、例えば、40mm、60mm、80mm、200mmを有することができ(each of said slot may have a length between 20 mm and 400 mm, for example 40 mm or 60 mm or 80 mm or 200 mm)、前記長さは、前記軸方向に沿って、又は前記軸方向に平行な方向もしくは軸に沿って測定される(said length being measured along, or along a direction or an axis parallel to, said axial direction)。
-及び/又は、前記中空導体の機械的強度を高めるために、前記上部及び/又は前記下側スロットのいずれかを複数の整列したスロットに分割することができる(and/or any of the slot(s) of the top and/or bottom slot(s) can be divided into several aligned slots to increase the mechanical strength of the hollow conductor)。
-及び/又は、前記中空導体の上部に2つ、下部に2つのスロットがあり(and/or there are 2 slots at the top and 2 at the bottom of the hollow conductor)、各組の冷却スロットの間隔は、例えば10°~80°、例えば10°又は30°又は70°である(the spacing between each pair of cooling slots being for example between 10° and 80°, for example 10° or 30° or 70°)。
-及び/又は、前記中空通電導体は、30cmから200cmの間の外径を有する(and/or said hollow current carrying conductor has an outer diameter of between 30 cm and 200 cm)。
-及び/又は、前記装置の前記上部及び/又は前記下部のスロットの数は、少なくとも1、又は2、又は3、又は4、又はn(n<10)に等しく(and/or the number of slots at the top and/or at the bottom of the device is at least equal to 1, or 2, or 3, or 4 or to n (n < 10))、例えば前記導体は、少なくとも1、2、3、又はそれ以上の数の下側スロットと、同じ又は異なる(例えば機械的な理由から)数の上側スロットとを含み(for example said conductor comprises at least 1, 2, 3 or more lower slot(s) and a same or a different (for example for mechanical reasons) number of upper slot(s))、前記下側スロット及び上側スロットは、好ましくは互いに向き合っている(said lower slot(s) and upper slot(s) preferably facing each other)。
-及び/又は、前記断路器の外径上の熱交換面、例えば180.000mm、前記中空通電導体の外径と、すべての上側スロットとすべての下側スロットの空気流断面の合計、例えば2400mm、好ましくは70から100の範囲を含むべきである(and/or the ratio between the disconnector’s heat exchange surface on the outside diameter, for instance 180.000mm2, of said hollow current carrying conductor and the sum of air flow cross sections of all upper and all lower slots, for instance 2400mm2, should preferably be comprised in the range of 70 to 100)。この範囲外では、冷却スロットは、導電性材料の除去量が多すぎる(電流密度が高くなるため、ジュール損失が高くなり、その結果、温度が高くなる)か、小さすぎる(スロットが非常に小さいと、自然冷却の空気循環が妨げられ、その結果、冷却が効果的に行われず、温度が高くなる)ため、効率が悪くなる(Outside this range, cooling slots are less efficient as they either require removing too much of the conductive material (which leads to higher current densities and thus higher Joule losses and in the following higher temperatures) or they are too small (very small slots impede the natural cooling air circulation, resulting in an ineffective cooling and thus in higher temperatures))。
【0025】
前記スロットの前記エアフロー断面は、前記断路器のXX’に平行である。
【0026】
好ましくは、スロットの少なくとも1つは、導体の内側で丸みを帯びた端部を有し、これは導体の内側に沿った流体の流れに有利である(Preferably at least one of the slots have rounded ends at the inside of the conductor, which is favorable to the fluid flow along the inside of the conductor)。表皮効果は導体の外側に電流を集中させるので、このような丸みを帯びた形状は、好ましくは、電気断面積の減少があまり重要でない導体の内側又は内面にのみ実装されるべきである(Knowing that the skin effect concentrates the current at the outside of the conductor, such a rounded shape should be implemented preferably only at the inside or inner surface of the conductor where an electrical cross section reduction is of less importance)。
【0027】
軸方向(XX’)において、冷却スロットの1つ以上(好ましくは全て)は、好ましくは、少なくとも1つの丸みを帯びた又は楕円形の端部を有し、これにより、電流は、電流集中を生じることなく、前記丸みを帯びた又は楕円形の端部の周りを円滑に流れる。(In the axial direction (XX’), one or more (preferably all) of the cooling slots preferably has at least one rounded or oval end, which enables the current to flow smoothly around said rounded or oval shaped end without creating current concentrations)好ましくは、前記1つ以上の、又は全てのスロットの2つの端部は、丸みを帯びた又は楕円形である(Preferably, the two ends of said one or more, or of all, slot(s) are rounded or oval)。
【0028】
本発明によれば、異なるスロットのセットを実装することができる(different sets of slots may be implemented)。幅及び/又は長さ及び/又は形状及び/又はデザイン、及び/又はスロットの数及び/又はスロットの半径方向分布のようなパラメータを変化させることができる(Parameters like width and/or length and/or shape and/or design, and/or the number of slots and/or the radial distribution of slots can be varied)。必要性に応じて、より大きい又はより大きなスロットを導入することを考慮に入れたトレードオフが推奨される(Depending on the needs, a trade-off is recommended taking into account that, with the introduction of bigger or larger slots)。
-電流断面積が減少する(the electrical current cross section is reduced)。冷却スロットの存在は、利用可能な電流断面積を減少させ、残りの導体の電流密度を上昇させるため、ジュール損失が大きくなり、結果として温度が上昇する(the presence of the cooling slots decreases the available current cross section and raises the current density in the remaining conductor leading to higher joule losses and consequently a higher temperature)。
-自然対流は、空気がより広い底部及び上部の溝を通りやすくなるため、より強力になる(natural convection gets more powerful as the air can travel more easily through wider bottom and top slot(s))。より広い溝又は開口部の圧力損失はより低くなり、より大量の冷気が中空の断路器に入り、内部からより効率的に冷却することができる(the pressure drop for wider slots or openings is lower and a higher mass flow of cold air can go into the hollow disconnector and cool it consequently more efficiently from the inside)。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明を適用できる断路器を備えた発電機用遮断器の一例を示している。
図2】本発明を適用できる断路器を備えた発電機用遮断器の一例を示している。
図3】本発明による異なる部品を備えた断路器の一例を示す。
図4】ダブルスロット(図4A)とトリプルスロット(図4B)を含む本発明の実施形態を示す
図5A】本発明によるディスコネクトの簡略化されたモデルを示しており、下部に1つのスロット、上部に1つのスロットから構成されている。
図5B】本発明によるディスコネクトの簡略化されたモデルを示しており、下部に1つのスロット、上部に1つのスロットから構成されている。
図5C】5A及び5Bに示す簡略化モデルの計算結果を示し、図5Cは温度マップを示す。
図5D】5A及び5Bに示す簡略化モデルの計算結果を示し、図5Dは冷却空気速度マップを示す。
図5E】5A及び5Bに示す簡略化モデルの計算結果を示し、図5Eは本発明による装置の電流密度マップを示す。
図6A】本発明による断路器の一実施形態の簡略化されたモデルを示し、下部に3つのスロット、上部に3つのスロットを備える。
図6B】本発明による断路器の一実施形態の簡略化されたモデルを示し、下部に3つのスロット、上部に3つのスロットを備える。
図6C】6A及び6Bに示す簡略化モデルの計算結果を示し、図6Cは本発明による装置の温度マップを示す。
図6D】6A及び6Bに示す簡略化モデルの計算結果を示し、図6Dは冷却空気速度マップを示す。
図6E】6A及び6Bに示す簡略化モデルの計算結果を示し、図6Eは電流密度マップを示す。
図7A】1つの上側スロットと1つの下側スロットを有する構成について、異なるスロット幅w(断路器の半径方向断面で測定)の結果(温度上昇の観点から)を示している。
図7B】上下スロットの数を変えた場合の結果(温度上昇)を示している。
図7C】(断路器の半径方向断面で測定した)スロット間の角度を変えた場合の結果(温度上昇)を示している。
図8】ディスコネクトの半径方向断面図であり、単一の上側スロット及び単一の下側スロットの好ましい形状を示す。
図9】ディスコネクトの半径方向断面図であり、2つの上側スロットと2つの下側スロットを含む設計の好ましい形状を示す。
図10A】1つ又は複数の上側スロットの好ましい形状の上面図又は底面図を示す。
図10B】1つ又は複数の上側スロットの好ましい形状の上面図又は底面図を示す。
図10C】1つ又は複数の上側スロットの好ましい形状の上面図又は底面図を示す。
図10D】1つ又は複数の上側スロットの好ましい形状の上面図又は底面図を示す。
図10E】1つ又は複数の上側スロットの好ましい形状の上面図又は底面図を示す。
図11】本発明の実施形態による断路器を通る自然冷却の流れを示し、垂直方向に対して配向された上側スロット及び下側スロットから構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を適用できる装置の構造を図1図2に示す。
【0031】
これは、発電機用遮断器1(ブレード(braids)4を介して母線(busbar:バスバー)に接続でき、母線自体が発電機に接続できる)と断路器2(ブレード4を介して母線に接続でき、母線自体が変圧器(transformer、例えば昇圧器:step-up transformer)に接続できる)を含み、両方とも軸XX’に沿って延びている。断路器のチューブハウジング30の外径は定格電流に依存し、例えば30cmから200cmの範囲で変化する。
【0032】
発電機回路遮断器1と断路器2の両方は、接地されたケーシング又は筐体(enclosure)6から中央のライブ部品を分離する絶縁体5によって支持することができる。
【0033】
断路器2は、図2に示すように、3つの主要部品を含むことができる。この中空空冷絶縁断路器は、その性能に応じて、例えば30cmから200cmの外径(チューブハウジング30の外径)を有する。この断路器は、発電機用遮断器1に完全かつ好ましくは永久的に接続される雌部品(female part)10と、可動管(moveable tube)20と、チューブハウジング30とを含む。通常、両部品10、30はほぼ同じ外径を有する。可動管20は、軸(XX’)に沿った軸方向移動により、発電機と変圧器とを接続することができる。言い換えれば、中空の可動管20は、他方の固定側30(チューブハウジング)との接触を開閉する。装置全体は、接地スイッチ、発電機始動スイッチ、電流変圧器及び電圧変圧器、サージアレスタを含むこともできるが、これらは図には示されていない。装置は、空気で満たされたケーシング又は筐体3に入っている。ケーシング3は、外部の雰囲気(outside atmosphere:外部大気)6と空気を交換することができず、通電部(母線、ブレード、回路遮断器、断路器)を環境から保護し、磁界を内部に保持し、通電部の望まない接地(unwanted grounding)から保護する。
【0034】
この断路器には、10kAから30kA、あるいは50kAまでの電流(公称電流)を流すことができる。公称電流は、装置に流れる最大電流である。公称電流を超える電流は、過熱を引き起こし、装置を破壊する可能性がある。動作時、回路遮断器及び断路器に流れる電流は、0kAから公称電流、例えば30kAまで変化する。
【0035】
図3A及び図3Bに示す本発明による断路器の一実施例によれば、1つ又は複数の冷却スロット11a、21a、31aが断路器の上側(上部)に、1つ又は複数の冷却スロット12a、22a、32aが断路器の下側(下部)に、より正確には、上記で説明したように断路器の部品10、20、30の少なくとも1つに配置されている。図3Aに見られるように、このような冷却スロットは、3つの部品10、20、30すべてに存在することができる。
【0036】
この説明の残りの部分は、チューブハウジング30に設けられたスロットに焦点を合わせているが、他の部品10、20に設けられる可能性のあるスロットにも同様に適用することができる。
【0037】
好ましくは、部品30の底部の冷却スロット32aは、絶縁体5の隣にある。
【0038】
各スロットは、好ましくは、軸XX’に沿って(又は平行に)延びている。このようなスロットの効果については後述する。本願では、導体の「上部」(又は「上側」)と「底部」(又は「下側」)は、重力方向g(図1及び図11に図示)を基準として理解されなければならない。
【0039】
図3Bは、チューブハウジング30の断面を示す。絶縁体5の存在により、下側スロット32aと上側スロット31aは互いにわずかにずれている。
【0040】
図4A及び図4Bは、2つの底側スロット(bottom slots)と2つの上側スロット(図4A)及び3つの底側スロットと3つの上側スロット(図4B)を含む、本発明による装置を示す。角度αは、軸XX’に垂直な平面内(又はディスコネクトの半径方向断面内)で測定した、平行なスロット間の角度間隔である。
【0041】
本発明による断路器のために実施され、以下に提示される様々なコンピュータシミュレーションの観点から、簡略化されたモデルが使用された。断路器2及びそのケーシング3の実施形態として、図5A及び図5Bに示すような簡略化されたモデルが使用された。前記実施形態は、断路器の中空チューブハウジング30に対応するリング又は中空管を、ケーシング3に対応するフレーム(例えば12mmの厚さteを有する)内に配置したものである。すべてのシミュレーションにおいて、対称境界条件が選択された。
【0042】
図5A及び図5Bの実施形態のモデルのシミュレーション結果は、図5C、5D(図5C及び5Dの両方に温度及び速度の目盛りを含む)及び5Eに示されている。図5Cは温度分布、図5Dは風速分布、図5Eはスロット近傍の電流密度(電流密度はスロット近傍ほど高い)を示している。模擬モデルは、断路器の上部にある1つの冷却スロット31aと断路器の下部にある1つの冷却スロット32aで構成されている。
【0043】
本発明の実施形態による断路器2の別の簡略化モデルを図6A及び図6Bに示すが、当該実施形態は、断路器の上側に3つの冷却スロット31a、31b及び31cを備え、断路器の下側に3つの冷却スロット32a、32b及び32cを備える。図6Cは特にスロット近傍の温度分布、図6Dは風速分布、図6Eは上下スロット近傍の電流密度を示している。
【0044】
上側冷却スロット31a、31b、31cの数と、下側冷却スロット32a、32b、32cの数が何であれ、それらの位置は最適なトレードオフとなりうる。
-スロット31a~31c及び32a~32cの存在により、電流の断面積が減少すること(この減少は、電流密度を高く、したがってスロットの周囲でジュール効果を高くするため、より多くの熱を発生させる)。
-対流によるより効率的な自然冷却。しかし、導体30がより冷却されると、より多くの熱が奪われ、輸送され、その結果、筐体3が加熱される。
-冷却がよくなると、気体が筐体の近くまで熱を運ぶことになり、筐体が加熱される可能性がある。
-また、冷却スロットの近くでは、より多くのジュール発熱が発生し、放熱量が多くなるため、やはり筐体が加熱される可能性がある。
【0045】
本発明による断路器は、例えば、以下のものを備えることができる。
-断路器の上部には1つの冷却スロット31aのみ、下部には2つの冷却スロット32a、32bがある。
-断路器の上部には2つの冷却スロット31a、31bがあり、下部には1つの冷却スロット32aのみがある。
-断路器の上部には冷却スロット31aが1つだけ、下部には冷却スロット32aが1つだけある(図5A及び図5Bに図示)。
-断路器の上部には3つの冷却スロット31a、31b、31cがあり、下部には3つの冷却スロット32a、32b、32cがある(図4B図6A図6B)。
-複数の上側冷却スロットと複数の下側冷却スロットがあり、上側冷却スロットと下側冷却スロットの数は同一でも同一でなくてもよい。例えば、機械的な理由から、上部に2つのスロット(各スロットの幅は例えば10mm)、下部に3つのスロット(各スロットの幅は例えば6.67mm)を設けることも可能である(機械的な理由から)。
【0046】
本発明によるスロットは、導電材料を1%~3%節約し(以下にコメントする図7A、7B~7Cのそれぞれの下部を参照)、導体30(又は断路器の対応する部分)を軽量化する。
【0047】
より一般的には、各スロットは、軸(XX’)(図7A参照)に垂直に測定して、0.2cmから4cm、例えば1cmの間の幅w(図5E参照)を有することができる。
【0048】
前記中空通電導体30の外径面(the outer diameter surface of said hollow current carrying conductor 30)と、幅w×長さl×全スロット(31a、32a)の数(図5E参照)である追加スロット断面(added slot cross section)との比は、好ましくは70~100の間であり、より好ましくは80~90の間である。すべてのスロット(31a及び32a)の数(図5E参照)は、好ましくは70~100の間、より好ましくは80~90の間、さらに好ましくは85に等しいか近い。最適な結果を得るためには、70~100の範囲外の比率は好ましくない(比率が70~100の範囲にある場合、より高い温度上昇が生じる)。
【0049】
空気が流れるすべての下側スロットの表面が、空気が流れるすべての上側スロットの表面と等しいか同様(+10%、好ましくは+5%の範囲)であれば、最良の結果が得られる。
【0050】
言い換えれば、すべての空気通過断面の合計(the sum of all air passing cross sections)をAと呼び、スロット付き導体の外部伝熱面(the external heat transfer surface of the slotted conductor)をBと呼ぶとすると、比B/Aは70から100の範囲にあることが好ましい。
【0051】
上記から明らかなように、本発明は、本発明は、単一のスロットが上部に作られ、単一のスロットが上部のスロットの前の導体の下部に作られる解決策もカバーする。しかし、2つの単一スロットしかないこの解決策は、前記単一スロットが大きすぎる場合、スロットの周囲に電流が集中しすぎて、ジュール損失の増大と温度上昇を招く可能性があることが試験で示されている。そのため、代替案が存在する。
-導体の上部に作られた2つのスロットと下部に作られた2つのスロット、好ましくは上部のスロットの前に作られたスロットとを含む実施形態(図4A図9A及び図9B参照)。
-導体の上部に作られた3つのスロットと下部に作られた3つのスロット、好ましくは上部のスロットの前に作られたスロットを含む実施形態(図4B、6A、6B参照)。
【0052】
本発明の一態様によれば、空気は対流によってケーシングの底部から底側スロット32aを通り、導体を通って上方に流れ、次いで上側スロット31aを通る。本発明は、材料を節約しながら、導体の効率的な自然冷却を提供する。しかし、筐体は空気の流れによって運ばれる熱によって加熱されるため、筐体の温度にも注意を払う必要がある。
【0053】
上記では1相のみを説明したが、本出願は、それぞれが本発明による構造を有する3相遮断器/遮断器への適用を見出すものである。
【0054】
本発明は、例えば、非常に高い公称電流(例えば10kA及び50kA)及び/又は10kVから40kVの電圧範囲を流す回路遮断器への適用を見出すことができる。
【0055】
次に、本発明の別の態様を図8A~11に関連して説明する。
図8A及び図8Bは、1つの上側スロットと1つの下側スロットを有する構成の断路器の半径方向の断面を示す。図8Aは、上側スロット31aと、中空導体30の内面33の丸みを帯びたエッジ34aの拡大図である。図8Bは、下側スロット32aと、中空導体30の前記内面33の丸みを帯びたエッジ35aの拡大図である。これらの図の矢印は、前記内表面33に沿った流体の流れを示している。表皮効果は導体の外側に電流を集中させるので、より滑らかな流体の流れのための形状の最適化は、電気的断面の減少があまり重要でない導体の内側でのみ行われるのが好ましい。
図9A及び図9Bは、2つの上側スロット31a及び31bと、2つの下側スロット32a及び32bを有する構成の断路器の半径方向の断面を示す。図9Aは、上側スロット31a、31bの拡大図と、中空導体33の内側で丸みを帯びたエッジ34a、34bの拡大図である。内側は、流体の流れが角の周囲を低圧力損失でスムーズに移動することを可能にする。図9Bは、下側のスロット32a、32bと、中空導体30の内側にある丸みを帯びたエッジ35a、35bの拡大図である。スロットは、したがって冷却空気は、高温の導体表面に向けられる。表面33に沿った流体の流れを有利にするという点で、上述したのと同じ効果が得られる。好ましくは、丸みを帯びたエッジ35a、35bは、流体が流れるべき側面33にのみ作られる。丸みを帯びたエッジ35a、35bは、圧力損失を下げ、従ってスロットを通る空気の通過を容易にするディフューザー効果がある。
図10A図10Eは、本発明の実施形態によるいくつかの冷却スロット構成を示し、すべてのスロット31a~31cは丸みを帯びた端部36を有する。すべての図は、筐体の上部から断路器を見た図であるが、同様の構成を底側スロット32a~32cにも適用することができる。図10A(それぞれ10C又は10D)は、1つ(それぞれ2つ又は3つ)のスロット31a(それぞれ31a及び31b、又は31a、31b及び31c)が中空管の軸XX’を構成する垂直面から対称に配置された状態を示し、図10Eは、2つの二重スロット31a、31b、単一のスロット31c、及び図10Eは、2つのダブルスロット31a、31b、シングルスロット31c、及び別のダブルスロット31d、31eを含む構成を示す。すべての構成において、丸みを帯びた端部36は、局所的な電流集中のない滑らかな電流経路を可能にする。図10Bに示されるように、単一の冷却スロットは、温度上昇に対して同じ有益な効果を有する丸みを帯びた及び/又は楕円形の端部36を有することができる2つ以上の整列した冷却スロットに分割することもできる。機械的安定性の理由から、図10Bに示す例のように、上下のスロット31a1、31a2(図10B参照)の1つ以上を、軸方向に整列した2つ、3つ、又はそれ以上(例えば10個)のスロットに分割することができる。この例では、スロットは整列しているが、2つのスロットに分割されている。これらの間の導電性材料の小さなブリッジは、導体構造全体の強度と剛性をかなり高める。
【0056】
本発明は、高温のライブ部品から低温の筐体に移動し、カロリーを運び去る自然流体の自然対流を実施する。高い永久電流(high permanent currents)、例えば10~30kAの範囲であれば、自然冷却でライブ部品の温度を限界以下に保つのに十分である。ファンやヒートパイプのような余分な冷却手段は必要ない。自然対流を改善し最適化することで、より効率的に機器を冷却することができ、余分な投資をすることなく、さらに高い公称電流でも同じ製品を使用することができる。
【0057】
本発明は、筐体内に配置された空気絶縁発電機用遮断器及び断路器の特殊機器の最適化された冷却に関するものである。冷却スロットの位置、形状、寸法を詳細に分析した結果、導電材料を節約すると同時に性能を大幅に向上させることができた。
【0058】
本発明の発明者らは、異なる構成をシミュレーションし、導電性材料を節約しながら温度上昇を低減するための冷却スロットの異なる特徴に至った。これらの特徴は、冷却スロットの設計及び/又は位置及び/又は形状及び/又は幅及び/又は長さである。
【0059】
図5A及び図5Bに示すように、上部に1つのスロットと下部に1つのスロットのみを含む装置では、2つのスロットは互いに対向していることが好ましい。上部に2つ以上のスロット及び/又は下部に2つ以上のスロットを含む構成では、例えば図4A及び4Bを参照するように、対称的な設計が好ましい。図4A及び4Bに示す角度は、10°以上80°以下に保つべきである(図7Cの結果参照)。
【0060】
図11に示すように、スロットは、この例では2つの下側スロットと2つの上側スロットは、より良い結果を得るために、好ましくは異なる向きに配置される。
-下側のスロット32a及び32bは、好ましくは互いに発散(diverging)しており(導体30の外側から内側へ)、冷たい冷却空気流が高温の断路器内面33に向けられるように、又は断路器内面33に沿って流れるように方向付けられている。スロットを通過する冷気はかなりの運動エネルギーを持っており、断路器の内面と効率的に熱交換するために使用される。スロットは、垂直方向に対して5度から30度の範囲で構成される角度βで内面に向けられることがある。
-上側のスロット31a及び31bは、好ましくは互いに(導体30の内側から外側に向かって)収束しており、加熱された空気流が断路器の中空内側部分から出る際の抵抗ができるだけ少なくなるように方向付けられている。従って、スロットは、空気流が最も回転する必要のない方向に向けられている。スロットは、垂直方向に対して5~30°の範囲で構成される角度βで内面に向けられることができる。
【0061】
図7A図7Cは、異なる設計パラメータ及び/又は異なる装置(異なる直径を有する)、異なるスロット幅、及び/又は異なるスロット数、及び/又は異なる隣接スロット間の角度に対する温度上昇を示す。図7Aの上部は、同一の直径及び形状を有する装置の最大温度上昇を示す。最大温度上昇は各図の上部に示されており、70.3ケルビンから72.9ケルビンの間で変化する。
【0062】
1番目の装置(左側、温度上昇72.9ケルビン)にはスロットがなく、他の装置には上部に1つ、下部に1つのスロットがあり、前記スロットの幅は5mm、10mm、15mm、20mm、30mm、40mm(左から右へ)と異なっている。
【0063】
図7Aの下部は、図7Aの上部と同じ順序で配置された同じ装置の材料消費量を示しており、左からスロットのない装置(材料 100%)で始まっている。幅の広いスロットを統合又は追加することで、導電材料の消費量が少なくなる。
【0064】
図7Bの上部は、異なるスロット数、同一の装置直径、同一の空気流断面積(スロットがないため断面積が0である装置1を除く)に対する最大温度上昇を示している。最大温度上昇は各図の上部に示されており、69.8ケルビンから72.9ケルビンの間で変化する。
【0065】
1番目の装置(左側、最大温度上昇72.9ケルビン)にはスロットがない。右隣の装置には上部に1つ、下部に1つのスロット(装置の最大温度上昇70.3ケルビン、各スロットの幅は20mm)、その右隣の装置には上部に2つ、下部に2つのスロット(装置の温度上昇70.0ケルビン、各スロットの幅は10mm)、そして右側の最後の装置は上部に3スロット、下部に3スロット(装置の最高温度上昇69.8ケルビン、各スロットの幅は6.7mm)を備えている。
【0066】
図7Bの下部は、図7Bの上部と同じ順序で並べられた同じ装置の材料消費量を示しており、左からスロットのない装置(材料100%)で始まり、他の3つの装置は同量のアルミニウム(98.6%)を消費し、外径は4つの装置すべてで同じである。
【0067】
図7Cの上部は、同じ直径の装置について、隣り合うスロット間の角度αを変えた場合の最大温度上昇を示している。最大温度上昇は各図の上部に示されており、69.8ケルビンから72.9ケルビンの間で変化する。
【0068】
1番目の装置(左側、最大温度上昇72.9ケルビン)にはスロットがない。その他の装置には、上部に2つ、下部に2つのスロットがあり、それぞれ10°(最大温度上昇70.0ケルビンの装置)、20°(最大温度上昇69.8ケルビンの装置)、30°(最大温度上昇69.9ケルビンの装置)、40°(最大温度上昇69.8ケルビンの装置)、60°(最大温度上昇69.9ケルビンの装置)の角度で離れている。9ケルビン)、40°(最大温度上昇69.8ケルビンを有する装置)、60°(最大温度上昇69.9ケルビンを有する装置)、80°(最大温度上昇70.2ケルビンを有する装置)、100°(最大温度上昇70.7ケルビンを有する装置)の角度で離れている。
【0069】
好ましくは、隣り合うスロット間の角度αは20°から60°の間である。
【0070】
図7Cの下側には、図7Cの上側と同じ順序で並べられた同じ装置について、スロットのない装置(100%の材料)を左から開始し、他の装置は同量のアルミニウム(98.6%)を消費した場合の材料消費量を示している。
【0071】
図7A図7Cは、本発明により、温度上昇が72.9ケルビンから69.8ケルビンへと4%以上低減され、同時に導電材料が1.4%節約されることを示している。スロットの存在により)推定4%の加熱低減により、定格電流を約4%増加させることが可能で、同時に温度上昇を75ケルビンに抑えることができる。例えば、最大電流20kAの装置(スロットなし)は、本発明による冷却スロットがあれば20.8kAまで使用できる。
【0072】
導体の最高温度上昇を75ケルビン以下に抑えることで、導体の周囲に設置しなければならない冷却ファンを省くことができる。
【0073】
本発明により、導電性断面積を増加させることなく、装置の最適化と高い公称電流を可能にする最高温度又はホットスポット温度の低減が可能になる。
【符号の説明】
【0074】
1:発電機回路遮断器 2:断路器 3:ケーシング/筐体 5:絶縁体 6:筐体 10:雌部品 11a、21a、31a、31b、31c:上側冷却スロット 12a、22a、32a、32b、32c:下側冷却スロット 20:可動管 30:チューブハウジング 31d、31e:ダブルスロット 33:内面 34a、34b、35a、35b:エッジ 36:端部 g:重力方向 XX’:軸 α:角度
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
【外国語明細書】