(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006876
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】車両の走行制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 50/12 20120101AFI20250109BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20250109BHJP
B60K 28/10 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B60W50/12
F02D29/02 K
B60K28/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107911
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿式 俊和
(72)【発明者】
【氏名】酒井 昌司
(72)【発明者】
【氏名】田邉 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】横沢 隆志
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 俊哉
【テーマコード(参考)】
3D037
3D241
3G093
【Fターム(参考)】
3D037FA24
3D037FB03
3D241BA60
3D241BB25
3D241BC01
3D241CA06
3D241CA08
3D241CA09
3D241CC01
3D241CD07
3D241CD12
3D241CD28
3D241DA13B
3D241DA13Z
3D241DA61B
3D241DA61Z
3G093BA09
3G093BA24
3G093CB05
3G093DA06
3G093DB23
3G093FA11
(57)【要約】
【課題】段差の乗り越え時におけるアクセルの踏み間違いに対応して意図しない車両の加速を抑制できる車両の走行制御装置を提供する。
【解決手段】加速度センサ等の段差走行情報取得部15より車両の段差の上り下り情報を取得して、段差の下り完了を判定する段差乗り越え判定部21と、アクセル操作量に基づいて運転者によるアクセルの踏み間違いを検出する踏み間違い判定部23を有し、アクセルの踏み間違いを検出した場合に車両の加速を抑制する加速抑制制御部11を備えた駆動制御システム1であって、加速抑制制御部11は、車両の段差の下り完了から所定時間経過するまで車両の加速を抑制する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者によるアクセルの踏み間違いによる前記車両の加速を抑制する走行抑制制御部を備えた車両の走行制御装置であって、
前記車両の走行時における段差の下り情報を取得する段差走行情報取得部と、
前記段差の下り情報に基づいて、前記車両の下り完了を判定する段差下り判定部と、を備え、
前記走行抑制制御部は、前記車両の下り完了を判定してから所定時間経過するまで前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行する
ことを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項2】
前記段差走行情報取得部は、段差の上り情報も取得し、
前記走行抑制制御部は、前記段差の上り下り情報に基づき、前記段差の下りが開始される所定期間前までに前記車両の上りが判定されていない場合には、前記加速抑制制御を規制する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
【請求項3】
前記段差の下り開始から完了するまでの下り時間を計測する下り時間計測部を備え、
前記走行抑制制御部は、前記下り時間に基づいて前記所定時間を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
【請求項4】
前記走行抑制制御部は、
前記段差の下り情報に基づいて段差の下り完了を判定し、前記段差の下り完了から所定時間経過するまでの間に、前記アクセルの操作量が所定の閾値以上である場合に、前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
【請求項5】
前記走行抑制制御部は、
前記段差の上り下り情報に基づいて段差の乗り越え状態を判定し、前記段差を乗り越え完了してから所定時間経過するまでの間に、前記アクセルの操作量が所定の閾値以上である場合に、前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両の走行制御装置。
【請求項6】
前記走行抑制制御部は、前記アクセルの操作を無効にするか、または前記アクセルの操作量を減少補正して、前記加速抑制制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクセル誤操作による意図しない加速を抑制する車両の走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクセルの踏み間違い、すなわち運転者のアクセル誤操作による意図しない車両の加速を抑制する技術が開発されている。
例えば特許文献1には、車両と車両前方の障害物との距離、車両と障害物との相対速度、車両の走行速度、または車両と障害物との相対加速度等に基づいて、車両と障害物との衝突の危険度を算出し、危険度に基づいてアクセル操作量の閾値を設定し、アクセル操作量が閾値を超えた場合に車両の加速を抑制する制御装置が提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、車速と駆動力の変化や、車体の加速度の変化等に基づいて、車輪に接触した段差の高さを推定し、段差が乗り越え可能であることを判定した場合には、車両の制動装置による制動力の付与によって加速を抑制する制御装置が提案されている。特許文献2の制御装置では、更に、推定した段差の高さに基づいて、車輪に接触した段差が車止め用の段差であることを判定した場合には、制動力を強く付与して車両を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-209056号公報
【特許文献2】特許第7052311号個方
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アクセルの踏み間違いは各種状況で発生する可能性がある。例えば、車両走行中に段差を乗り越えた際に、運転手の身体が動いてしまいアクセルを踏み込んでしまう可能性がある。
特許文献2のように、段差が乗り越え可能であることを判定した場合に、制動力の付与によって加速を抑制したとしても、車体の揺れや身体の移動により、段差を乗り越えた後にアクセルを誤って踏み込んでしまう可能性がある。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、段差の乗り越え時におけるアクセルの踏み間違いに対応して運転者の意図しない車両の加速を効果的に抑制できる車両の走行制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の車両の走行制御装置は、車両の運転者によるアクセルの踏み間違いによる車両の加速を抑制する走行抑制制御部を備えた車両の走行制御装置であって、車両の走行時における段差の下り情報を取得する段差走行情報取得部と、前記段差の下り情報に基づいて、前記車両の下り完了を判定する段差下り判定部と、前記車両の下り完了を判定してからの経過時間を計測する下り完了経過時間取得部と、を備え、前記走行抑制制御部は、前記車両の下り完了を判定してから所定時間経過するまで前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行することを特徴とする。
【0008】
これにより、車両が段差を下った際に、車両の段差の下り完了から所定時間経過するまでの間で、段差下りによる車体の揺れ等により運転者がアクセルの踏み間違いをしたとしても、車両の加速抑制制御が行われることで、意図しない車両の加速を抑制することができる。
好ましくは、前記段差走行情報取得部は、段差の上り情報も取得し、前記走行抑制制御部は、前記段差の上り下り情報に基づき、前記段差の下りが開始される所定期間前までに前記車両の上りが判定されていない場合には、前記加速抑制制御を規制するとよい。
【0009】
これにより、車両が凸部を乗り越えた場合にのみ、すなわち車両が大きく上下動してアクセルの踏み間違いを誘発しやすい状況でのみ車両の加速抑制が行われることで、必要以上の加速抑制を抑え、走行性能を向上させることができる。
好ましくは、前記段差の下り開始から完了するまでの下り時間を計測する下り時間計測部を備え、前記走行抑制制御部は、前記下り時間に基づいて前記所定時間を変更する
とよい。
【0010】
これにより、車両が段差を乗り越えた際に続く車体の揺れ等によりアクセルの踏み間違いが起こり易い時間に合わせて、車両の加速を抑制することできる。
好ましくは、前記走行抑制制御部は、前記段差の下り情報に基づいて段差の下り完了を判定し、前記段差の下り完了から所定時間経過するまでの間に、前記アクセルの操作量が所定の閾値以上である場合に、前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行するとよい。
【0011】
これにより、段差の下り完了後の所定時間内において、アクセルの操作量が所定の閾値以上に大きい場合にのみ加速抑制制御が実行され、安全性の向上と走行性能の両立を図ることができる。
好ましくは、前記走行抑制制御部は、前記段差の上り下り情報に基づいて段差の乗り越え状態を判定し、前記段差を乗り越え完了してから所定時間経過するまでの間に、前記アクセルの操作量が所定の閾値以上である場合に、前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行するとよい。
【0012】
これにより、段差を乗り越えた後の所定時間内において、アクセルの操作量が所定の閾値以上に大きい場合にのみ加速抑制制御が実行され、安全性の向上と走行性能の両立を図ることができる。
好ましくは、前記走行抑制制御部は、前記アクセルの操作を無効にするか、または前記アクセルの操作量を減少補正して、前記加速抑制制御を実行するとよい。
【0013】
これにより、段差を乗り越えた後の所定時間内において、アクセルの操作を無効にするか、またはアクセルの操作量を減少補正することで、車両の加速を抑制して安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車両の運転制御装置によれば、段差の下り完了後に続く車体の揺れや運転者の身体の揺れ等により運転者がアクセルの踏み間違いをしたとしても、車両の加速抑制制御が行われることで、車両の加速を抑制して走行安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両の駆動制御システムの構成図である。
【
図2】第1実施形態の走行抑制制御の制御手順を示すフローチャートである。
【
図3】第2実施形態の走行抑制制御の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両の駆動制御システム1(走行制御装置)の構成図である。
本実施形態の駆動制御システム1は、エンジンやモータ等の走行駆動装置2を有する車両に搭載されている。
【0017】
車両には、走行速度を調節するために運転者が操作するアクセルペダルが備えられている。アクセルペダルの操作信号は、エンジンやモータ等の走行駆動装置2や車両の各種機器の作動制御をするメインコントロールユニット5に入力される。
メインコントロールユニット5は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)及びタイマ等を含んで構成される制御装置である。
【0018】
図1に示すように、駆動制御システム1は、メインコントロールユニット5内に備えられた加速抑制制御部11、を有している。
加速抑制制御部11は、車両情報、特に段差の上り下り情報と、アクセルポジションセンサ4等から車両のアクセル操作量を入力して、アクセル踏み間違いを判定(検出)し、アクセル踏み間違いであることを判定した場合に、警報及び加速抑制を実行する(走行抑制制御部)。
【0019】
段差の上り下り情報は、例えば車両の車体に搭載された加速度センサや、サスペンション装置の挙動状態を検出するセンサ(サスストロークセンサ)等の段差走行情報取得部15によって検出した車体の上下方向の挙動である。
加速抑制制御部11は、段差乗り越え判定部21(段差下り判定部)及び踏み間違い判定部23を有している。
【0020】
段差乗り越え判定部21は、段差走行情報取得部15から段差の上り下り情報を入力し、車両の段差の乗り越えを判定する。なお、段差の乗り越えは、段差の下りを完了した時点で完了する。
踏み間違い判定部23は、段差を乗り越えた直後から加速抑制継続時間ta(所定時間)内であることを判定する。
【0021】
踏み間違い判定部23は、段差乗り越え判定部21の判定結果とアクセル操作量とに基づいて、アクセルの踏み間違いを判定する。詳しくは、踏み間違い判定部23は、段差を乗り越えた直後から加速抑制継続時間ta内であるときに、アクセル操作量が所定の閾値Ax以上である場合に、アクセルの踏み間違いであることを判定する。
所定の閾値Axについては、各条件に応じて異なる値に設定されるとよい。例えば車速や段差走行情報取得部15による検出結果に基づいて、段差の通過による車体の揺れが大きい場合、あるいは揺れが大きいことが想定される場合に、閾値Axを低く設定すればよい。または、所定の閾値Axを一定の値にしてもよい。
【0022】
加速抑制制御部11は、踏み間違い判定部23によりアクセル踏み間違いであることを判定した場合に、車両に備えられているメーターパネルやブザー等の警報装置14により運転者に警報や注意喚起をする。また、加速抑制制御部11は、踏み間違い判定部23によりアクセル踏み間違いであることが判定された場合には、エンジンやモータ等の走行駆動装置2に対し加速を抑制する制御(加速抑制制御)を、例えばアクセルの操作指示を無効にする制御を行う。
【0023】
図2は、加速抑制制御部11において実行する第1実施形態の走行抑制制御の制御手順を示すフローチャートである。
フローチャートに示す走行抑制制御(加速抑制制御の判定制御)は、車両の電源オン時に繰り返し行われる。
始めに、ステップS10では、段差走行情報取得部15より車両情報として段差の上り下り情報を取得する。そして、ステップS20に進む。
【0024】
ステップS20では、段差乗り越え判定部21において、ステップS10で入力した車両情報に基づいて車両の下り完了を検知したか否かを判別する。下り完了を検知した場合には、ステップS40に進む。下り完了を検知していない場合には、ステップS110に進む。
ステップS40では、車両が段差を下りた際に要した時間(下り時間tb)を取得する。下り時間tbについては、例えば加速抑制制御部11(下り時間計測部)において、段差の上り下り情報から車両が下りを開始した際にタイマの計測を0から開始しておき、ステップS20において車両の下り完了を検知するまでの時間を計測すればよい。そして、ステップS50に進む。
【0025】
ステップS50では、ステップS40で取得した下り時間tbに基づいて、加速抑制継続時間taを設定する。例えば下り時間tbが長いほど、加速抑制継続時間taを長く設定すればよい。
そして、ステップS60に進む。
ステップS60では、踏み間違い判定部21における踏み間違い判定用の閾値Axを設定または変更する。閾値Axについては、一定の値でもよいし、上記のように各種車両情報に基づいて異なる値に設定してもよい。そして、ステップS70に進む。
【0026】
ステップS70では、下り完了を検知してから、ステップS50で設定した加速抑制継続時間ta以上経過したか否かを判別する。下り完了から加速抑制継続時間ta以上経過した場合には、ステップS110に進む。下り完了から加速抑制継続時間ta以上経過していない場合には、ステップS80に進む。
ステップS80では、現在のアクセル操作量を入力し、ステップS60で設定した閾値Ax以上であるか否かを判別する。アクセル操作量が閾値Ax以上である場合には、ステップS90に進む。アクセル操作量が閾値Ax未満である場合には、ステップS100に進む。
【0027】
ステップS90では、警報・加速抑制を実行する。すなわち、警報装置14によりアクセル踏み間違いであることを警報や注意喚起をする。また、アクセルの操作信号を無効とする。そして、ステップS70に戻る。
ステップS100では、警報・加速抑制を実行しない。警報・加速抑制を実行している場合には実行を解除する。そして、ステップS70に戻る。
【0028】
ステップS110では、警報・加速抑制を実行しない。警報・加速抑制を実行している場合には実行を解除する。そして、本ルーチンを終了する。
以上により、第1実施形態の加速抑制制御部11は、段差乗り越え判定部21において、車体加速度やサスストローク等の段差上り下り情報に基づいて段差の乗り越えを判定する。そして、加速抑制制御部11は、車両の段差の下り完了から所定時間(加速抑制継続時間ta)経過するまでに、アクセルの踏み間違いを検出した場合に車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行する。
【0029】
これにより、車両が段差を乗り越えた際に、車両の段差の下り完了から加速抑制継続時間ta経過するまでの間で、段差乗り越えによる車体の揺れ等により運転者がアクセルの踏み間違いをしたとしても、車両の加速抑制制御が行われることで、運転者の意図しない車両の加速を抑制して安全性を高めることができる。
詳しくは加速抑制制御部11において、段差の下り完了から加速抑制継続時間ta経過するまでの間において、アクセルの操作量が所定の閾値Ax以上である場合に、アクセルの踏み間違いであることを判定して加速抑制制御を行う。
【0030】
これにより、段差を乗り越えた後の所定時間内において、アクセルの操作量が所定の閾値Ax以上に大きい場合にのみ加速抑制制御が実行され、安全性の向上と走行性能の両立を図ることができる。
ここで、加速抑制制御としては、アクセルの操作を無効とするか、またはアクセルポジションセンサ4等により検出したアクセルの実操作量を減少補正してアクセルの制御量とする。
【0031】
これにより、段差を乗り越えた直後でアクセルの踏み間違いを判定した場合に、車両の加速を抑制して安全性を高めることができる。
更に加速抑制制御部11は、車体加速度やサスストローク等の段差上り下り情報に基づいて段差の下りに要した下り時間tbを計測し、この下り時間tbに応じて加速抑制継続時間taを変更する。例えば下り時間tbが長いと大きな段差を下っており車体の揺れが大きいと推定される。したがって、このような場合に加速抑制継続時間taを長く設定して段差の下り完了から加速抑制制御を長時間行うことで、アクセルの踏み間違いが起こる可能性のある期間に合わせて、車両の走行抑制を適切に行うことができる。
【0032】
次に、加速抑制制御部11において実行する第2実施形態の走行抑制制御について説明する。
図3は、第2実施形態の走行抑制制御の制御手順を示すフローチャートである。
以下、第2実施形態の走行抑制制御について、第1実施形態の走行抑制制御と異なる箇所のみ説明する。
ステップS20において、下り完了を検知した場合には、ステップS30に進む。
【0033】
ステップS30では、ステップS10で入力した車両情報に基づいて、下り開始の所定期間tc前までに、車両の上りがあったか否かを判定する。本ステップにおける所定期間tcは、単純に車両が路面を下ったような状態ではなく、所定以上の凸状の段差を乗り越えて車両の揺れが大きくなりアクセルの踏み間違いが起こり易い状態になることを判定できるように設定すればよい。下り開始の所定期間時間前までに車両の上りがあった場合には、ステップS40に進む。下り開始の所定時間前までに車両の上りがない場合には、ステップS110に進む。
【0034】
以上のように第2実施形態の加速抑制制御では、下り開始の所定期間tc前までに車両の上りがない場合には、段差の下り完了を検知しても加速抑制を実行しない。
このように、車両が下りを行ったとしても、その所定期間tc前までに上りがない場合、すなわち車両が凸部を乗り越えたのではなく単純に車両が路面を下ったような場合には、下り完了した際の車体の揺れが小さく、下り完了後にはアクセルの踏み間違いが発生しにくいものと判定し、加速抑制を実行しない。
【0035】
これに対して、車両の下り開始の所定期間tc前までに上りがあった場合には、車両が凸部を乗り越えた状態であって、下り完了した際の車体の揺れが大きく、下り完了後にアクセルの踏み間違いの発生の可能性があるものと判定し、アクセル操作量に基づく加速抑制が可能となる。
これにより、アクセルの踏み間違いを誘発しやすい状況でのみ、車両の加速抑制制御が行われることで、必要以上の加速抑制を抑え、走行性能の低下を抑制することができる。
【0036】
以上で本発明の説明を終了するが、本発明は上記の実施形態に限定するものではない。
例えば、上記実施形態では、踏み間違い判定部21によりアクセル踏み間違いであることを判定した場合に、警報装置14による警報及びアクセル操作指示無効による加速抑制のうちのいずれか一方のみ行ってもよい。
加速抑制については、アクセル操作指示無効以外にも、アクセルの制御量を実操作量から所定量あるいは所定割合で低下した値に補正したり、所定値以下に制限したりするように補正してもよい。
【0037】
また、加速抑制を実行する際に、アクセル無効指示やアクセル制御量の抑制等による車両の走行駆動力の抑制とともに、あるいは代わりに車両のブレーキ装置の作動により車速を抑制してもよい。
また、段差乗り越え判定部21は、段差走行情報取得部15から段差の上り下り情報を入力して車両の段差の下り完了(乗り越え完了)を判定しているが、段差の下り情報のみ入力して段差の下り完了を判定してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、加速抑制制部を車両のメインコントロールユニット5に備えているが、メインコントロールユニット5とは別体に備えてもよい。
本発明はアクセルの操作により車両走行駆動させる車両に対して広く適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 駆動制御システム(走行制御装置)
11 加速抑制制御部(走行抑制制御部、下り時間計測部)
15 段差走行情報取得部
21 段差乗り越え判定部(段差下り判定部)