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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025068797
(43)【公開日】2025-04-30
(54)【発明の名称】食器用液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20250422BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20250422BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20250422BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20250422BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20250422BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20250422BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20250422BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20250422BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/14
C11D1/75
C11D1/66
C11D3/386
C11D3/48
C11D3/20
C11D1/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178801
(22)【出願日】2023-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 真大
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB15
4H003AB27
4H003AB28
4H003AB31
4H003AC05
4H003AC08
4H003AC15
4H003BA12
4H003DA17
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA06
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB22
4H003EC01
4H003EC02
4H003EC03
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA16
4H003FA26
(57)【要約】
【課題】洗浄力に優れ、かつすすぎ時のヌルつきを低減できる食器用液体洗浄剤組成物を目的とする。
【解決手段】(A)成分:アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩及びオレフィンスルホン酸塩から選ばれる1種以上と、(B)成分:半極性界面活性剤と、(C)成分:ノニオン性界面活性剤と、(D)成分:酵素と、(E)成分:特定のイソチアゾリノン及びこれらの誘導体、並びに、特定のフェニルボロン酸及びその誘導体からなる群から選ばれる1種以上と、(F)成分:乳酸、リンゴ酸及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上と、を含み、前記(D)成分の含有量は、タンパク質換算で720~3000質量ppmであり、前記(D)成分/前記(E)成分で表され質量比が特定の範囲であることよりなる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩及びオレフィンスルホン酸塩から選ばれる1種以上と、
(B)成分:半極性界面活性剤と、
(C)成分:ノニオン性界面活性剤と、
(D)成分:酵素(但し、カタラーゼを除く)と、
(E)成分:下記(e1)式又は下記(e2)式で表されるイソチアゾリノン及びこれらの誘導体、並びに、(e3)式で表されるフェニルボロン酸及びその誘導体からなる群から選ばれる1種以上と、
【化1】
[(e1)式中、RはH又は炭素数1~8のアルキル基、RはH、CH、Cl、Br又はNH、RはH、CH、Cl又はCHNHである。]
【化2】
【化3】
[(e3)式中、R、R及びRは、それぞれ独立にH、炭素数1~3の炭化水素基、Cl、Cl、F、OH、SCH、NH又はCOHである。]
(F)成分:乳酸、リンゴ酸及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上と、
を含み、
前記(D)成分の含有量は、タンパク質換算で720~3000質量ppmであり、
前記(D)成分/前記(E)成分で表され、前記(E)成分に対する前記(D)成分の質量比は、4~130である、
食器用液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記(D)成分/前記(F)成分で表され、前記(F)成分に対する前記(D)成分の質量比は、0.04~3である、請求項1に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食器洗い行動において、油汚れのみならず、でんぷんやたんぱく質といった複合的な汚れに対する洗浄力が求められている。各種汚れに対する洗浄力は、汚れを落とす単なる洗浄力と、洗浄後のすすぎ時に汚れ、洗剤由来のヌルつきが残らないこと、とで実感することができる。
【0003】
従来、洗浄力を高める目的で、酵素を含む食器用液体洗浄剤組成物が提案されている。
例えば、特許文献1には、アニオン界面活性剤とアミンオキシド型界面活性剤とノニオン界面活性剤とプロテアーゼとアミラーゼとを含む食器用液体洗浄剤組成物が提案されている。
特許文献2には、プロテアーゼと特定のアニオン界面活性剤とを特定の比率で含み、かつ両性界面活性剤を含む、食器用液体洗浄剤組成物が提案されている。
特許文献1、2に記載された発明によれば、洗浄力のさらなる向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-63358号公報
【特許文献2】特開2023―26447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、さらなる洗浄力の向上を図るために、酵素の含有量を高めると、すすぎ時に食器用液体洗浄剤組成物に由来するヌルつきが残る。
そこで、本発明は、洗浄力に優れ、かつすすぎ時のヌルつきを低減できる食器用液体洗浄剤組成物を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の態様を有する。
<1>
(A)成分:アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩及びオレフィンスルホン酸塩から選ばれる1種以上と、
(B)成分:半極性界面活性剤と、
(C)成分:ノニオン性界面活性剤と、
(D)成分:酵素(但し、カタラーゼを除く)と、
(E)成分:下記(e1)式又は下記(e2)式で表されるイソチアゾリノン及びこれらの誘導体、並びに、(e3)式で表されるフェニルボロン酸及びその誘導体からなる群から選ばれる1種以上と、
【化1】
[(e1)式中、RはH又は炭素数1~8のアルキル基、RはH、CH、Cl、Br又はNH、RはH、CH、Cl又はCHNHである。]
【化2】
【化3】
[(e3)式中、R、R及びRは、それぞれ独立にH、炭素数1~3の炭化水素基、Cl、Cl、F、OH、SCH、NH又はCOHである。]
(F)成分:乳酸、リンゴ酸及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上と、
を含み、
前記(D)成分の含有量は、タンパク質換算で720~3000質量ppmであり、
前記(D)成分/前記(E)成分で表され、前記(E)成分に対する前記(D)成分の質量比は、4~130である、
食器用液体洗浄剤組成物。
<2>
前記(D)成分/前記(F)成分で表され、前記(F)成分に対する前記(D)成分の質量比は、0.04~3である、<1>に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物によれば、洗浄力に優れ、かつすすぎ時のヌルつきを低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(食器用液体洗浄剤組成物)
本発明の食器用液体洗浄剤組成物(以下、単に「液体洗浄剤組成物」ということがある)は、(A)~(F)成分を含む。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分は、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩及びオレフィンスルホン酸塩から選ばれる1種以上である。液体洗浄剤組成物は、(A)成分を含むことで、優れた洗浄力を発揮する。
【0010】
アルキルエーテル硫酸塩エステル塩としては、下記(a1)式で表されるポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩が挙げられる。
【0011】
11-O-(CHCHO)-SO 1/X・M ・・・(a1)
[(a1)式中、R11は、炭素数8~18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。
11-O-における酸素原子に結合しているR11の炭素原子は、第1級炭素原子でもよいし、第2級炭素原子でもよい。nはオキシエチレン基の平均繰返し数を示し、0<n≦4である。Mは、水素イオン以外の陽イオンである。XはMの価数である。]
【0012】
(a1)式中、R11の炭素数は、8~18であり、10~14が好ましく、12~14がより好ましい。R11としては、洗浄力の向上及び環境負荷低減の点から、油脂原料由来の直鎖アルキル基であることが好ましい。好適な油脂原料としては、パーム核油、ヤシ油等が挙げられる。
【0013】
(a1)式中、Mは、水溶性の塩を形成し得るものであればよく、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又はアルカノールアミンが挙げられる。
アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。Mがアルカリ土類金属の場合、アルカリ土類金属イオン(X=2)は、陰イオン(R11-O-(CHCHO)-SO )1モルに対して0.5モルとなる。
【0014】
アルカンスルホン酸塩としては、炭素数10~20のアルカンスルホン酸塩が挙げられ、炭素数14~17のアルカンスルホン酸塩が好ましく、炭素数14~17の第2級アルカンスルホン酸(SAS)塩がより好ましい。
アルカンスルホン酸塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。アルカノールアミン塩としては、モノエタノールアミン塩(モノエタノールアミン)、ジエタノールアミン塩(ジエタノールアミン)、トリエタノールアミン塩(トリエタノールアミン)等が挙げられる。中でも、アルカンスルホン酸塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
【0015】
オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10~20のα-オレフィンスルホン酸塩が挙げられる。
α-オレフィンスルホン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。アルカノールアミン塩としては、モノエタノールアミン塩(モノエタノールアミン)、ジエタノールアミン塩(ジエタノールアミン)、トリエタノールアミン塩(トリエタノールアミン)等が挙げられる。中でも、アルカンスルホン酸塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
【0016】
(A)成分としては、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルカンスルホン硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩が好ましい。
上述の(A)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0017】
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、1~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、すすぎ時のヌルつきをより低減できる。
【0018】
<(B)成分>
(B)成分は、半極性界面活性剤である。液体洗浄剤組成物は(B)成分を含むことで、洗浄力を高め、すすぎ時のヌルつきを低減できる。
「半極性界面活性」は、半極性結合(無極性結合及び極性結合の中間の性質を有する結合)を有する界面活性剤である。「半極性界面活性剤」は、溶解する溶液又は分散する分散系のpHにより、カチオン性、又は非極性を示す。
(B)成分としては、例えば、アルキルアミンオキシド型半極性界面活性剤、アルキルアミドアミンオキシド型半極性界面活性剤が挙げられる。
【0019】
(B)成分としては、例えば、下記(b1)式で表される化合物が挙げられる。
【0020】
【化4】
【0021】
式(b1)式中、R21は炭素数8~18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又は炭素数8~18の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基であり、R22、R23はそれぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、R24は炭素数1~4のアルキレン基である。Aは-CONH-、-NHCO-、-COO-、-OCO-又は-O-であり、rは0又は1の数である。
【0022】
アルキルアミンオキシド型半極性界面活性剤としては、炭素数8~18のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドが好ましく、炭素数12~14のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドがより好ましい。アルキルアミンオキシド型半極性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ヤシ油ジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
これらの(B)成分の中でも、アルキルアミンオキシド型半極性界面活性剤が好ましく、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ヤシ油ジメチルアミンオキシドがより好ましく、ラウリルジメチルアミンオキシドがさらに好ましい。
これらの(B)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0023】
(B)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、1~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、すすぎ時のヌルつきをより低減できる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、洗浄力をより高められる。
【0024】
(A)成分/(B)成分で表され、(B)成分に対する(A)成分の質量(A/B比)は、0.5~2が好ましく、0.7~1.5がより好ましく、1~1.2がさらに好ましい。A/B比が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。A/B比が上記上限値以下であると、洗浄力をより高め、すすぎ時のヌルつきをより低減できる。
【0025】
<(C)成分>
(C)成分はノニオン性界面活性剤である。液体洗浄剤組成物は、(C)成分を含むことで、すすぎ時のヌルつきを低減できる。
【0026】
(C)成分としては、以下のノニオン界面活性剤が挙げられる。
(1)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル。
(2)ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
(4)ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル。
(5)ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル。
(6)ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル。
(7)ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
(9)アルキルポリグリコシド。
【0027】
(C)成分としては、(c1)式で表されるポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤(アルコール型ノニオン界面活性剤)、(c2)式で表されるノニオン界面活性剤、アルキル(ポリ)グリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル等が好ましい。中でも、(C)成分としては、ポリオキシアルキレン(炭素数2~3)アルキル(炭素数8~15)エーテル(アルキレンオキシド平均付加モル数3~20)がより好ましい。
【0028】
16-O-(R17O)-H ・・・(c1)
【0029】
(c1)式中、R16は、炭素数8~18の炭化水素基である。R16の炭素数は、10~18が好ましい。R17は炭素数1~3の炭化水素基である。tは、R17Oの平均繰り返し数を表す1~20の数である。
【0030】
(c1)式中、R16における炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。R16における炭化水素基は分岐鎖を含むことが好ましい。
16が分岐鎖状の炭化水素基を含む場合、R16の側鎖の平均数は、0.2~2が好ましく、0.5~1.5が好ましい。
16の側鎖の平均数(以下、「平均分岐数」ともいう。)は、1分子の(C)成分のメチル基数から1を引いた数として定義される。平均分岐数は、(C)成分における側鎖の数(分岐数)の統計的平均値である。(C)成分の平均メチル基数は、H-NMR分光分析により容易に測定される。本明細書における平均分岐数は、下記式(i)によって算出される。すなわち、平均分岐数は、H-NMRスペクトル中のメチルプロトン(CH基)に対応するシグナル領域を3で除し、この値と、2で除したCH-OH基のメチレンプロトンのシグナル領域とを比較により求められる値である。
平均分岐数={(CH基のメチルプロトンに対応するシグナル領域の積分値/3)-(CH-OH基のメチレンプロトンに対応するシグナル領域の積分値/2)}/(CH-OH基のメチレンプロトンに対応するシグナル領域の積分値/2) ・・・(i)
なお、H-NMR分光分析においては、測定対象((C)成分)を重水又は重クロロホルムに溶解し、試料濃度を30質量%とする。これをH-NMR(例えば、JEOL社製の製品名「JNM―LA300 FT NMR SYSTEM」)により、測定する。
【0031】
16における炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
また、R16は天然アルコール由来でもよく、合成アルコール由来でもよい。天然アルコールとしては、例えばヤシ油高級アルコール、CO1270A等が好適である。合成アルコールとしては、例えば市販されているドバノール、サフォール、ネオドール、ダイアドール、ルテンゾール等の合成アルコールが好適である。
【0032】
(c1)式中、R17の炭素数は、2~3が好ましく、2がより好ましい。
(c1)式中、R17は、アルキレン基、アルケニレン基が好ましく、アルキレン基が好ましく、エチレン基がさらに好ましい。
(c1)式中、tは、1~20の数であり、3~10がより好ましい。
tが2以上の場合、2以上のR17Oは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。2以上のR17Oが異なる場合、これらはブロック状に配列していてもよいし、ランダム状に配列していてもよい。
【0033】
18-C(=O)-NH-(R19O)-H ・・・(c2)
【0034】
(c2)式中、R18は、炭素数5~19の直鎖のアルキル基、炭素数5~19の分岐鎖のアルキル基、炭素数5~19の分岐鎖のアルキル基又は炭素数5~19の分岐鎖のアルケニル基である。
19は、炭素数2~4の炭化水素基である。uは、R19Oの平均繰り返し数を表す1~20の数である。)
【0035】
(c2)式中、R18の炭素数は、9~13が好ましい。
(c2)式中、R19は、アルキレン基、アルケニレン基が好ましく、アルキレン基がより好ましく、エチレン基がさらに好ましい。
(c2)式中、uは1~4が好ましい。
【0036】
(C)成分としては、本発明の効果が得られやすいことから、(c1)式で表されるポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤((c1)成分)、アルキル(ポリ)グリコシドが好ましく、(c1)成分がより好ましく、ガーベットアルコール型ノニオン性界面活性剤(例えば、ガーベット型アルコールエトキシレート)がさらに好ましく、2-プロピルヘプチルアルコールエトキシレートが特に好ましい。
(c1)成分におけるオキシエチレン基の平均繰り返し数は、6~14が好ましく、8~11がより好ましく、10が特に好ましい。
上述の(C)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0037】
(C)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、1~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、すすぎ時のヌルつきをより低減できる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、洗浄力をより高められる。
【0038】
<(D)成分>
(D)成分は、酵素(但し、カタラーゼを除く)である。液体洗浄剤組成物は、(D)成分を含むことで、優れた洗浄力を発揮する。
【0039】
(D)成分としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、リパーゼ等が挙げられ、中でも、アミラーゼ、プロテアーゼが好ましく、アミラーゼ及びプロテアーゼの組み合わせがより好ましい。
(D)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0040】
(D)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、タンパク質換算で720~3000質量ppmが好ましく、850~2400質量ppmがより好ましく、1100~1650質量ppmがさらに好ましい。(D)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。(D)成分の含有量が上記上限値以下であると、ヌルつきをより低減できる。
【0041】
酵素製剤としての(D)成分の含有量(製剤含有量)は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、酵素製剤として0.35~1質量%が好ましく、0.5~0.8質量%がより好ましい。(D)成分の製剤含有量が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。(D)成分の製剤含有量が上記上限値以下であると、ヌルつきをより低減できる。
【0042】
(D)成分がアミラーゼを含む場合、アミラーゼの含有量は、実施例に記載の測定方法により測定されるアミラーゼ活性で、0.44~1.25Uとなる量が好ましく、0.63~1.00Uとなる量がより好ましい。アミラーゼ活性が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。アミラーゼ活性が上記上限値以下であると、ヌルつきをより低減できる。
【0043】
(D)成分がアミラーゼを含む場合、アミラーゼ活性(U)に対する(D)成分の含有量(質量)の比(D/アミラーゼ活性比)は、0.15~0.21が好ましく、0.16~0.19がより好ましい。D/アミラーゼ活性比が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。D/アミラーゼ活性比が上記上限値以下であると、ヌルつきをより低減できる。
【0044】
(D)成分がプロテアーゼを含む場合、プロテアーゼの含有量は、実施例に記載の測定方法により測定されるプロテアーゼ活性で、0.18~0.45Uとなる量が好ましく、0.24~0.37Uがより好ましい。プロテアーゼ活性が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。プロテアーゼ活性が上記上限値以下であると、ヌルつきをより低減できる。
【0045】
(D)成分がプロテアーゼを含む場合、プロテアーゼ活性(U)に対する(D)成分の含有量(質量)の比(D/プロテアーゼ活性比)は、0.43~0.50が好ましく、0.44~0.47がより好ましい。D/プロテアーゼ活性比が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。D/プロテアーゼ活性比が上記上限値以下であると、ヌルつきをより低減できる。
【0046】
(D)成分がリパーゼを含む場合、リパーゼの含有量は、実施例に記載の測定方法により測定されるリパーゼ活性で、0.2~0.6Uとなる量が好ましく、0.25~0.55Uとなる量がより好ましい。リパーゼ活性が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。リパーゼ活性が上記上限値以下であると、ヌルつきをより低減できるである。
【0047】
(D)成分がリパーゼを含む場合、リパーゼ活性(U)に対する(D)成分の含有量(質量)の比(D/リパーゼ活性比)は、0.30~0.38が好ましく、0.32~0.36がより好ましい。D/リパーゼ活性比が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。D/リパーゼ活性比が上記上限値以下であると、ヌルつきをより低減できる。
【0048】
(D)成分がマンナナーゼを含む場合、マンナナーゼの含有量は、実施例に記載の測定方法により測定されるマンナナーゼで、0.35~1.1Uとなる量が好ましく、0.45~0.80Uとなる量がより好ましい。マンナナーゼ活性が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。マンナナーゼ活性が上記上限値以下であると、ヌルつきをより低減できる。
【0049】
(D)成分がマンナナーゼを含む場合、マンナナーゼ(U)に対する(D)成分の含有量(質量)の比(D/マンナナーゼ活性比)は、0.16~0.24が好ましく、0.18~0.22がより好ましい。D/マンナナーゼ活性比が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。D/マンナナーゼ活性比が上記上限値以下であると、ヌルつきをより低減できる。
【0050】
<(E)成分>
(E)成分は、下記(e1)式又は下記(e2)式で表されるイソチアゾリノン及びこれらの誘導体、並びに、(e3)式で表されるフェニルボロン酸及びその誘導体からなる群から選ばれる1種以上である。液体洗浄剤組成物は、(E)成分を含むことで、すすぎ時のヌルつきを低減できる。
【0051】
【化5】
【0052】
[(e1)式中、RはH又は炭素数1~8のアルキル基、RはH、CH、Cl、Br又はNH、RはH、CH、Cl又はCHNHである。]
【0053】
【化6】
【0054】
【化7】
【0055】
[(e3)式中、R、R及びRは、それぞれ独立にH、炭素数1~3の炭化水素基、Cl、Cl、F、OH、SCH、NH又はCOHである。]
【0056】
(e1)式中、Rは、CHが好ましい。
(e1)式中、Rは、Hが好ましい。
(e1)式中、Rは、Hが好ましい。
【0057】
(e3)式中、R、R及びRの少なくとも1つが炭化水素基である場合、炭化水素基は、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖のいずれでもよい。加えて、R、R及びRのいずれもが、Hでもよい。
【0058】
(E)成分の誘導体としては、メチルイソチアゾリノン(MIT)、クロロメチルイソチアゾリノン(CMIT)、1,2-ベンゾイソチアゾール-3-オン(BIT)、4-ホルミルフェニルボロン酸(4FPBA)が挙げられる。
(E)成分としては、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0059】
(E)としては、(e1)式中、RがCH、R及びRがHのイソチアゾリノン及びその誘導体、(e2)式で表されるイソチアゾリノン及びその誘導体、(e3)式中、R及びRがHで、RがCHOのフェニルボロン酸及びその誘導体が好ましく、(e2)式で表されるイソチアゾリノン及びその誘導体がより好ましい。
【0060】
(E)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.002~0.02質量%が好ましく、0.005~0.018質量%がより好ましく、0.009~0.015質量%がさらに好ましい。(E)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄力をより高め、すすぎ時のヌルつきをより低減できる。(E)成分の含有量が上記上限値以下であると、洗浄力をより高められる。
【0061】
(D)成分/(E)成分で表され、(E)成分に対する(D)成分の質量比(D/E比)は、4~130が好ましく、6~40がより好ましく。7~20がさらに好ましい。D/E比が上記下限値以上であると洗浄力をより高められる。D/E比が上記上限値以下であると、洗浄力をより高め、すすぎ時のヌルつきをより低減できる。
【0062】
<(F)成分>
(F)成分:乳酸、リンゴ酸及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上である。液体洗浄剤組成物は、(F)成分を含むことで、すすぎ時のヌルつきを低減できる。
【0063】
(F)成分の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
(F)成分としては、乳酸塩が好ましく、乳酸ナトリウムがさらに好ましい。
【0064】
上述の(F)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0065】
(F)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.1~2質量%が好ましく、0.5~1.5質量%がより好ましく、1~1.5質量%がさらに好ましい。(F)成分の含有量が上記下限値以上であると、すすぎ時のヌルつきをより低減できる。(F)成分の含有量が上記上限値以下であると、洗浄力をより高められる。
【0066】
(D)成分/(F)成分で表され、(F)成分に対する(D)成分の質量比(D/F比)は、0.04~3が好ましく、0.06~0.4がより好ましく、0.07~0.2がさらに好ましい。D/F比が上記下限値以上であると洗浄力をより高められる。D/F比が上記上限値以下であると、すすぎ時のヌルつきをより低減できる。
【0067】
<任意成分>
液体洗浄剤組成物は、(A)~(F)成分以外の成分(任意成分)を含んでもよい。任意成分としては、(A)~(C)成分以外の界面活性剤(任意界面活性剤)、カタラーゼ、防腐剤、無機ビルダー、ハイドロトロープ剤、香料、pH調整剤、水、色素等が挙げられる。
なお、(A)~(F)成分と任意成分との合計は、100質量%を超えない(但し、(D)成分は製剤含有量である)。
【0068】
≪任意界面活性剤≫
任意界面活性剤としては、両性界面活性剤等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボン酸塩型の両性界面活性剤、スルホン酸塩型の両性界面活性剤等が挙げられる。
カルボン酸塩型の両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルスルホベタイン等のベタイン型の両性界面活性剤が挙げられる。
スルホン酸塩型の両性界面活性剤としては、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン型の両性界面活性剤等が挙げられる。
これらの任意界面活性剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0069】
また、液体洗浄剤組成物は、高級脂肪酸(炭素数8~22の脂肪酸)及びその塩(即ち、石鹸)から選ばれる1種以上を含んでよい。高級脂肪酸塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。アルカノールアミン塩としては、モノエタノールアミン塩(モノエタノールアミン)、ジエタノールアミン塩(ジエタノールアミン)、トリエタノールアミン塩(トリエタノールアミン)等が挙げられる。中でも、高級脂肪酸塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
高級脂肪酸又はその塩の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0~3質量%が好ましい。
【0070】
(A)~(C)成分及び任意界面活性剤を含む総界面活性剤量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、5~50質量%が好ましく、15~25質量%がより好ましい。
また、(A)~(C)成分の合計量は、総界面活性剤量に対して、50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましい。
【0071】
≪カタラーゼ≫
カタラーゼは、過酸化水素を除去するために用いられる。カタラーゼの製剤含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、例えば、0.05~0.1質量%とされる。
【0072】
≪無機ビルダー≫
無機ビルダーとしては、金属酸化物等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等が挙げられる。
無機ビルダーの含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.05~0.5質量%が好ましい。
【0073】
≪ハイドロトロープ剤≫
ハイドロトロープ剤としては、例えば炭素数2~4の1価アルコール、炭素数2~4の2価アルコール、炭素数4~10のグリセリルエーテル等が挙げられる。
炭素数2~4の1価アルコールとしては、例えばエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
炭素数2~4の2価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。
炭素数4~10のグリセリルエーテルとしては、例えばグリセリン、ヘキシルグリセリルエーテル等が挙げられる。
ハイドロトロープ剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
ハイドロトロープ剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、1~5質量%が好ましい。
【0074】
≪pH調整剤≫
pH調整剤としては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫酸等が挙げられる。
pH調整剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0075】
≪香料≫
香料としては、通常、液体洗浄剤組成物に用いられるものを適用できる。香料としては、例えば、特開2020-132680号公報の表1~8に記載の調合香料組成物1~4が挙げられる。
【0076】
≪水≫
水としては、イオン交換水、純水等が挙げられる。
水の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、45~90質量%が好ましい。
【0077】
<物性>
液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、5~10が好ましく、6~8がより好ましい。
液体洗浄剤組成物のpHは、JIS Z 8802:2011「pH測定方法」に準拠した方法により測定される値である。
【0078】
液体洗浄剤組成物の粘度(25℃)は、30~300mPa・sが好ましく、60~120mPa・sがより好ましい。粘度(25℃)は、25℃で、B型粘度計を用いて、ローター番号No.1、ローター回転数60rpmで、ローターの回転の開始から60秒後に測定される値である。
【0079】
(製造方法)
本発明の液体洗浄剤組成物は、従来公知の液体洗浄剤組成物の製造方法に準じて製造できる。
例えば、溶媒である水に、前記(A)~(F)成分を添加し、必要に応じて任意成分を加え、これを混合する方法等が挙げられる。
【0080】
(使用方法)
本発明の液体洗浄剤組成物を用いて被洗物を洗浄する方法としては、例えば、液体洗浄剤組成物の原液又はその希釈液を含ませたスポンジ等で被洗物を擦って洗浄してもよい。あるいは、希釈液に被洗物を浸し、スポンジ等で擦って洗浄してもよい。この際、本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄力に優れるため、被洗物に付着した油脂、タンパク質等の汚れを良好に除去できる。
その後、被洗物を水ですすぐ。この際、本発明の液体洗浄剤組成物は、すすぎ水で希薄な濃度に希釈された状態では、ヌルつきを生じにくい。このため、使用者は、目視によって汚れの除去を確認しつつ、すすぎ時のヌルつきが抑制されたことから、洗浄力を実感できる。
被洗物としては、皿、箸、スプーン等の食器、鍋、包丁、まな板等の調理器具;レンジ、コンロ等の厨房器具;シンク等が挙げられる。本明細書では、これらを総称して「台所用品」ともいう。
【実施例0081】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0082】
(使用原料)
<(A)成分>
a-1:アルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、ライオン社製「BRES(1)」、(a1)式中のR11が炭素数12~14の直鎖のアルキル基、n=1、M=Naの化合物。
a-2:炭素数14~17の第2級アルカンスルホン酸ナトリウム(SAS)、クラリアントジャパン社製「HOSTAPUR(登録商標)SAS30A」。
a-3:炭素数14のα-オレフィンスルホン酸Na(AOS)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製「リポランLB-440」。
【0083】
<(A’)成分>
a’-1:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製「ライオンLH-200」。
【0084】
<(B)成分>
b-1:炭素数12の直鎖アルキル基を有するアルキルアミンオキシド(AAO)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製「カデナックス DM12D-W(C)」。
b-2:アミドプロピルジメチルアミンオキシド(APDMAO)、クラリアントジャパン社製「GENAMINOX AP」。
【0085】
<(C)成分>
c-1:炭素数10のアルキル基を有し、オキシエチレン基の平均繰り返し数が10であるガーベット型アルコールエトキシレート(AE(EO10))、BASF社製「Lutensol XP-100」。
c-2:炭素数10の分岐アルキル基を有し、オキシエチレン基の平均繰り返し数が5であるアルコールエトキシレート(AE(EO5))、BASF社製「Lutensol TO-5」。
c-3:炭素数12~14の第2級アルキル基を有し、オキシエチレン基の平均繰り返し数が9であるアルコールエトキシレート(AE(EO9))、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製「レオコール SC-90」。
c-4:炭素数12~14の直鎖アルキル基を有し、オキシエチレン基の平均繰り返し数が6であるアルコールエトキシレート(AE(EO6))、ライオン社製「BRE(6)」。
c-5:炭素数12~14の直鎖アルキル基を有するアルキルポリグリコシド(APG)、BASF社製「Glucopon 600CS UP」。
【0086】
<(D)成分>
d-1:アミラーゼとプロテアーゼの混合品(アミラーゼ/プロテアーゼ)、Novozymes社製「MedleyCore 210L」。
d-2:アミラーゼ、Novozymes社製「Achieve Alpha 100L」。
d-3:プロテアーゼ、Novozymes社製「Blaze Pro 100L」。
d-4:リパーゼ、Novozymes社製「Lipex Evity 200L」。
d-5:マンナナーゼ、Novozymes社製「Mannaway 200L」。
d-6:セルラーゼ、Novozymes社製「Carezyme Premium 4500L」。
【0087】
<(E)成分>
e-1:イソチアゾリノン、1,2-ベンゾイソチアゾール-3-オン(BIT)、クラリアントジャパン社製「NIPACIDE 20」。
e-2:フェニルボロン酸、4-ホルミルフェニルボロン酸(4FPBA)。
e-3:イソチアゾリノン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、ソージャパン社製「ACTICIDE M20」。
【0088】
<(F)成分>
f-1:乳酸ナトリウム(乳酸Na)、コービオンジャパン社製「発酵乳酸ナトリウム」。
f-2:リンゴ酸ナトリウム(リンゴ酸Na)、扶桑化学工業社製「DL-リンゴ酸ナトリウム」。
【0089】
<任意成分>
カタラーゼ:Novozymes社製「Terminox Ultra 50L」。
エタノール。
クエン酸。
パラトルエンスルホン酸(pTS)。
安息香酸ナトリウム(安息香酸Na)。
酸化亜鉛。
スルファミン酸。
香料。
水酸化ナトリウム(NaOH)。
水:イオン交換水。
【0090】
(測定方法)
<アミラーゼ活性>
以下の方法でアミラーゼ活性を測定した。
不溶性青色素含有架橋型スターチポリマーであるファデバスタブレット(Magle社製、アミラーゼ活性測定用Phadebas Amylase Test)をアルファアミラーゼで加水分解させ、水溶性化した青色素の吸光度(620nm)を測定し、アルファアミラーゼ活性を求めた。
亜硫酸ナトリウム(純正化学社製、試薬特級等)20.0g、リン酸二水素カリウム(林純薬工業社製、特級等)6.15g、リン酸水素二ナトリウム・12水和物(関東化学社製、特級等)10.86g、塩化カルシウム・2水和物(関東化学社製、鹿1級等)0.015g及びBrij35(MERCK社製、30%水溶液)0.75mLを精秤し、イオン交換水に溶解し、1Lに定容して、緩衝液を得た。各例の液体洗浄剤組成物0.5gを精秤し、これを上記緩衝液で溶解し100mLに定容して、試料溶液とした。試料溶液1mLを試験管(18mm×180mm)に入れた。予め37℃にした緩衝液5.0mLを、サンプルの試験管に入れ、次いでファデバスタブレットを1つ入れ、10秒間フラッシュミキサーで攪拌した後、試験管を37℃の水浴中に入れた。この操作を30秒間隔で各サンプルについて繰り返した。正確に15分後、1mol/L-NaOH溶液1.0mLを試験管に加え、フラッシュミキサーで10秒間攪拌し、室温で15分放置した後、ただちにろ紙でろ過した。濁りがある場合は、続いてろ過キットでろ過した。以上の操作で得られたサンプル及びブランク(酵素未配合組成)のろ液の吸光度を測定波長λ=620nmで測定した(1cm石英セル、スリット幅0.5mm)。下記式により。アミラーゼの酵素活性値を算出した。
酵素活性値(U)=(サンプルの吸光度)-(ブランクの吸光度)
【0091】
<プロテアーゼ活性>
以下の方法でプロテアーゼ活性を測定した。
ミルクカゼインに酵素を作用させ、未分解のタンパク質を、トリクロロ酢酸(TCA)を加えて沈殿させた後、ろ過を行った。このろ液の吸光度(λ=275nm)を測定することにより、フェニル基を有するアミノ酸(例えば、チロシン)の溶出量を求め、プロテアーゼ活性を算出した。ミルクカゼイン(CALBIOCHEM社製)1.2gを200mLのビーカーに正確にとり、1mol/L-NaOH6mLを徐々に加えながらガラス棒で手早く錬り膨潤させた。次に0.05mol/Lホウ酸溶液160mLを加え、スターラーで攪拌して分散させ、1mol/L-NaOHでpH10.5に調整後、200mLに定容した。各例の液体洗浄剤組成物1gを精秤し、イオン交換水で溶解し100mLに定容して、試料溶液とした。試料溶液1mLを試験管(18mm×180mm)に入れた。予め37℃にしたカゼイン溶液5.0mLを、サンプルの試験管に入れ、10秒間フラッシュミキサーで攪拌した後、試験管を37℃の水浴中に入れた。この操作を30秒間隔で各サンプルについて繰り返した。正確に30分後、0.44mol/L-TCA溶液5.0mLを試験管に加え、フラッシュミキサーで10秒間攪拌し、水浴中に30分放置後、ただちにろ紙でろ過した。続いてろ過フィルター(トムシック社製、NP-44525-ACF)でろ過した。
以上の操作で得られたサンプル及びブランク(酵素未配合組成)のろ液の吸光度を測定波長λ=275nmで測定した(1cm石英セル、スリット幅0.5mm)。下記式により。アミラーゼの酵素活性値を算出した。
酵素活性値(U)=(サンプルの吸光度)-(ブランクの吸光度)
【0092】
<リパーゼ活性>
以下の方法でリパーゼ活性を測定した。
基質(BALB)、SDS、エステラーゼ阻害剤(PMSF)をサンプルに加えて、PMSFとSDSでサンプル中のリパーゼ以外のエステラーゼを失活させると同時にSDSによってサンプル中のリパーゼを活性化させた。活性化されたリパーゼはBALBを水解してジメルカプロール(BAL)を生成させた。生成したBALはDTNBと定量的に反応し黄色の5-チオー2-ニトロ安息香酸(TNB)アニオンを生成した。反応停止液を加えることにより、リパーゼの反応を停止した。その吸光度(λ=412nm)を測定することによりリパーゼ活性を算出した。発色剤の入った容器に緩衝液2.4mLを加えて発色液を完全に溶解し、さらに精製水22mLを加えて発色原液を調製した。反応停止原液は、冷所保存下では固化しているため、加温(30℃、5~10分間)して融解した。次いで、その全量を500mL容のメスシリンダー中に精製水で洗浄しながら流し込み、精製水で最終容量を500mLとした後、三角フラスコに移した。1サンプルにつき、ガラス製試験管を2本用意し、1本を検体用(A)、もう1本はブランク用(B)とした。A、B両試験管に、発色液1mL、サンプル50μLを入れて混和した後、エステラーゼ阻害液20μL添加した。混和後、各試験管を恒温槽に入れ30±1℃で5分間加温した。5分後、恒温槽に入れたまま試験管Aにのみ基質液100μLを加え、混和後直ちに30±1℃で正確にインキュベートした。インキュベート終了後、恒温槽に入れたまま、直ちに試験管Aに反応停止液を添加した。次いで、試験管Bに反応停止液2mLを添加した。各試験管を恒温槽より取り出し、混和した後、試験管Bにのみ基質液100μLを加え、もう一度混和した。精製水を対照として検体用(A)及び、ブランク(B)の吸光度を波長412nmで測定した。
酵素活性値(U)=(サンプルの吸光度)-(ブランクの吸光度)
【0093】
<マンナナーゼ活性>
以下の方法でマンナナーゼ活性を測定した。
多糖(ガラクトマンナン)に液体洗剤中の酵素(マンナナーゼ)を作用させ、ガラクトンマンナンも還元末端をp-ヒドロキシベンズヒドラジド(PAHBAH)発色試薬で発色させ、その吸光度(λ=275nm)を測定することによりガラクトマンナンの分解度合を検出し、マンナナーゼ活性を算出した。
ガラクトマンナン(Megazyme社製)0.15gをイオン交換水で100mLにし、50℃の湯浴で透明均一になるまで攪拌した。攪拌後は、50℃の湯浴に静置した。リン酸水素二ナトリウム無水物(特級試薬、関東化学社製)46.85g、リン酸二水素ナトリウム二水和物(特級試薬、関東化学社製)9.4gをイオン交換水で1000mLになるように調製した。また、PAHBAH発色試薬は、Bismuth(3)acetate,99%(Alfa Aesar社製等)0.552g、p-ヒドロキシベンズヒドラジド(和光純薬社製等)2g、(+)-酒石酸ナトリウムカリウム四水和物(特級試薬、純正化学社製等)5gを0.5mol/LNaOHで計100mLに定溶した。全体をアルミホイルで覆い遮光を行いながら試薬が溶解するまで攪拌した。各例の液体洗浄剤組成物を0.07g精秤し、リン酸バッファーで溶解し、100mLに定容した。試料溶液2mLを試験管(18mm×180mm)に入れた。ガラクトンマンナン基質溶液5mLを、サンプルの試験管に入れ、10秒間フラッシュミキサーで攪拌し、50℃の水浴中に入れた。この操作を30秒間隔で各サンプルについて繰り返した。正確に30分後(ストップウォッチ使用)、PAHBAH発色試薬を4mL入れ、10秒間フラッシュミキサーで攪拌し、氷上に10分間放置した。この時ブランクにも同様にPAHBAH発色試薬を4mL入れ、フラッシュミキサーで10秒間攪拌させ、酵素を失活させる。その後、ガラクトマンナン基質溶液を5mL入れ、再び10秒間フラッシュミキサーで攪拌した後、氷上に10分静置した。次に発色操作に入る。PAHBAH試薬を入れた各試験管を10秒間隔で70℃の水浴中に入れ、正確に10分後取り出し氷浴中に静置した。その後、ただちに、ろ紙でろ過し、ろ液のOD値を、吸光度計を用いて測定波長λ=405nmで測定した(対象:リン酸バッファー)。
酵素活性値(U)=(サンプルの吸光度)-(ブランクの吸光度)
【0094】
≪酵素の定量方法(タンパク質換算値)≫
バイオラッド社製のDCプロテインアッセイキットを用いて、Ovalbumin(卵白を形成するタンパク質)を標準タンパク質とした。バッファーは0.1NNaOHとした。1mLの試薬A(アルカリ性銅酒石酸)に対してS試薬(表面活性剤溶液)20μLを加え、A’溶液を調製した。各例の液体洗浄剤組成物200μLを2.0mLのマイクロチューブに量り取った。そこにA’溶液100μL、試薬B(フォリン試薬希釈液)800μLを量り取り、よく攪拌した。その後、室温で静置した後、測定波長750nmで吸光度を1時間以内に測定した(1cm石英セル、スリット幅0.5mm)。濃度既知のOvalbumin溶液についても同様の処理を行って、検量線を作成した。測定サンプルの吸光度を用いて、検量線からタンパク質量を求め、これを酵素のタンパク質換算値とした。
【0095】
(評価方法)
<カルボナーラ洗浄力>
評価板SUS304(7.5cm×2.5cm)の重量(α1)を測定した。ミルクたっぷりカルボナーラ(日清製粉者製「Welna」)を600Wで2分間温め、具を除いたカルボナーラソースを薬さじで攪拌し、この0.5gを評価板に塗布し、130℃で5分間焼き付け、冷めるまで放置し、重量(β1)を測定した。各例の液体洗浄剤組成物を40℃で1カ月保管し、これを水道水で0.5質量%に希釈して洗浄液とした。この洗浄液に評価板を10分間浸漬した。その後、ビーカーにためた水道水で軽く洗い流し、乾燥させて重量(γ1)を測定した。下記式によりカルボナーラ洗浄力(小数点以下を四捨五入)を求め、その結果を下記評価基準に従って評価した。
【0096】
カルボナーラ洗浄力=(1―((γ1―α1)/(β1―α1)))×100
【0097】
≪評価基準≫
◎:カルボナーラ洗浄力が76%以上。
○:カルボナーラ洗浄力が51%以上75%以下。
△:カルボナーラ洗浄力が26%以上50%以下。
×:カルボナーラ洗浄力が25%以下。
【0098】
<カレー洗浄力>
評価板SUS304(7.5cm×2.5cm)の重量(α2)を測定した。ボンカレーゴールド(大塚食品)を600Wで2分間温め、具を除いたカレーを薬さじで攪拌し、この0.5gを評価板に塗布し、130℃で5分焼き付け、冷めるまで放置し、重量(β2)を測定した。各例の液体洗浄剤組成物を40℃で1カ月保管し、これを水道水で0.5質量%に希釈して洗浄液とした。この洗浄液に評価板を10分間浸漬した。その後、ビーカーにためた水道水で軽く洗い流し、乾燥させて重量(γ2)を測定した。下記式によりカレー洗浄力(小数点以下を四捨五入)を求め、その結果を下記評価基準に従って評価した。
【0099】
カレー洗浄力=(1―((γ2―α2)/(β2―α2)))×100
【0100】
≪評価基準≫
◎:カレー洗浄力が76%以上。
○:カレー洗浄力が51%以上75%以下。
△:カレー洗浄力が26%以上50%以下。
×:カレー洗浄力が25%以下。
【0101】
<すすぎ時のヌルつき>
汚れが付着していない直径21cmの陶器皿を用意した。100mLビーカーに水道水49.5g、各例の液体洗浄剤組成物0.5gを入れ、十分に攪拌して、希釈液とした。希釈液40gを陶器皿に滴下した。この陶器皿を指で10回擦った時のヌルつきの程度を、水道水40gを滴下した陶器皿のヌルつきの程度と比較し、下記評価基準に従って評価した。
【0102】
≪評価基準≫
◎:ヌルつかない。
○:ややヌルつく。
△:かなりヌルつく。
×:非常にヌルつく。
【0103】
(実施例1~46、比較例1~11)
表1~9に示す組成に従い、(A)~(F)成分及び任意成分を水に加え、混合して各例の液体洗浄剤を調製した。
なお、表中の配合量は純分換算値である((D)成分は、製剤含有量)。配合量の「適量」は、液体洗浄剤組成物を表中のpHに調整するのに必要な量であり、「バランス」は、液体洗浄剤組成物を100質量%にするのに必要な残部である。また、表中の配合量の「-」は、その成分が配合されていないことを示す。
各例の液体洗浄剤組成物について、カルボナーラ洗浄力、カレー洗浄力、すすぎ時のヌルつきを評価し、その結果を表中に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
【表3】
【0107】
【表4】
【0108】
【表5】
【0109】
【表6】
【0110】
【表7】
【0111】
【表8】
【0112】
表1~9に示すように、実施例1~46は、カルボナーラ洗浄力、カレー洗浄力及びすすぎ時のヌルつきの評価が、いずれも「△」「〇」又は「◎」であった。
(A)成分を欠く実施例1、(D)成分を欠く比較例5、(D)成分の含有量が695質量ppmである比較例6、D/E比が0.3である比較例10は、いずれもカルボナーラ洗浄力及びカレー洗浄力が「×」であった。
(B)成分を欠く比較例3、(C)成分を欠く比較例4、(D)成分の含有量が3117質量ppmである比較例7、(E)成分を欠く比較例8、(F)成分を欠く比較例9、D/E比が15.6である比較例11は、いずれもすすぎ時のヌルつきが「×」であった。
以上の結果から、本発明を適用することで、洗浄力に優れ、かつすすぎ時のヌルつきを低減できることが確認された。