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特開2025-6903超音波接合用チップを用いた超音波接合装置ならびに超音波接合方法
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  • 特開-超音波接合用チップを用いた超音波接合装置ならびに超音波接合方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006903
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】超音波接合用チップを用いた超音波接合装置ならびに超音波接合方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B23K20/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107945
(22)【出願日】2023-06-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】518347587
【氏名又は名称】株式会社LINK-US
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山内 基士
(72)【発明者】
【氏名】浅香 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山田 蓮
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167BE02
4E167BE03
4E167BE04
4E167BE06
4E167BE07
4E167BE10
4E167BE11
(57)【要約】
【課題】バリの発生を抑制することによりワーク同士の接合の質の向上を図りうる超音波接合用チップ、およびこれを用いた超音波接合装置ならびに超音波接合方法を提供する。
【解決手段】複数の突出部441および当該複数の突出部441を囲繞する環状突出部442がワークW1、W2に押し当てられた状態で、当該押し当て方向に対して垂直な方向に超音波複合振動が当該ワークW1、W2に印加される。この際、複数の突出部441によりワークW1、W2の一部の肉が外側に押しのけられるように移動するものの、当該ワークW1、W2の肉の移動が環状突出部442によりとどめられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面において指定パターンで配置され、かつ、当該端面から突出している複数の突出部と、
前記複数の突出部を囲繞し、かつ、前記複数の突出部がワークに対して押し当てられた際に当該ワークに対して押し当てられるように前記端面から突出している環状突出部と、を備えている
超音波接合用チップ。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波接合用チップにおいて、
前記環状突出部の、前記端面における延在方向に対して垂直な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭が連続凸曲線をなしている
超音波接合用チップ。
【請求項3】
請求項1に記載の超音波接合用チップにおいて、
前記端面において、前記環状突出部が、前記複数の突出部のすべてを、間隔をおいて囲繞するように形成されている
超音波接合用チップ。
【請求項4】
請求項1に記載の超音波接合用チップにおいて、
前記環状突出部の、前記端面における延在方向に対して垂直な任意の断面が、前記複数の突出部から離れる方向に傾倒した形状をなしている
超音波接合用チップ。
【請求項5】
請求項1に記載の超音波接合用チップにおいて、
前記複数の突出部のそれぞれの、前記ワークに対する押し当て方向に対して垂直な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭が連続凸閉曲線をなしている
超音波接合用チップ。
【請求項6】
請求項5に記載の超音波接合用チップにおいて、
前記複数の突出部のそれぞれの、前記ワークに対する押し当て方向に対して平行な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭が連続凸曲線をなしている
超音波接合用チップ。
【請求項7】
請求項6に記載の超音波接合用チップにおいて、
前記複数の突出部のそれぞれが、球欠状、球台状、上底面の縁が丸みを帯びた円錐台状、円錐台状、または、円錐台および当該円錐台の上底面と下面が共通する球欠または球台が同軸に積み重ねられた形状に形成されている
超音波接合用チップ。
【請求項8】
縦振動およびねじり振動を合成することにより複合振動を誘起する振動要素と、
超音波接合用チップと、
前記振動要素の複合振動を制御する制御装置と、を備えている超音波接合装置であって、
前記超音波接合用チップは、
端面において指定パターンで配置され、かつ、当該端面から突出している複数の突出部と、
前記複数の突出部を囲繞し、かつ、前記複数の突出部がワークに対して押し当てられた際に当該ワークに対して押し当てられるように前記端面から突出している環状突出部と、を備えている
超音波接合装置。
【請求項9】
縦振動およびねじり振動を合成することにより複合振動を誘起する振動要素と、前記振動要素に対して固定されているまたは着脱自在に取り付けられる超音波接合用チップと、を備えている超音波接合装置を用いて、一方のワークおよび他方のワークを接合する超音波接合方法であって、
端面において指定パターンで配置され、かつ、当該端面から突出している複数の突出部と、
前記複数の突出部を囲繞し、かつ、前記複数の突出部がワークに対して押し当てられた際に当該ワークに対して押し当てられるように前記端面から突出している環状突出部と、を備えているチップが前記超音波接合用チップとして用いられ、
前記超音波接合用チップが接合対象である前記一方のワークに当接している状態で、当該一方のワークの前記他方のワークに対する接合の進捗状況に応じて変化する指定パラメータの値に応じた信号に基づき、前記一方のワークと前記他方のワークとの接合が完了したか否かを判定する工程と、
前記一方のワークと前記他方のワークとの接合が完了したと判定された場合に前記振動要素の複合振動を停止させる工程と、を含んでいる
超音波接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動により金属製のワークを接合するための超音波接合用チップ、および、当該超音波接合用チップを用いた超音波接合装置ならびに超音波接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、EV向けの電池および/または電装部品の金属製電気接点部の接合プロセスにおいて、超音波接合技術が採用されているが、ホーンチップと言われる接合用のツールが使用されている。ホーンチップ(超音波接合用チップ)の超音波振動を接合対象材(ワーク)に対して確実に伝達させるため、ホーンチップの先端部分に凹凸構造をもたせることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6861017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気接点部にはアルミまたは銅などの金属材料のほか合金材料が使用されるが、超音波で接合する際、その摩擦によって金属バリが発生し、その金属バリが電気的接合の障害を発生させる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、バリの発生を抑制することによりワーク同士の接合の質の向上を図りうる超音波接合用チップ、およびこれを用いた超音波接合装置ならびに超音波接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の超音波接合用チップは、
端面において指定パターンで配置され、かつ、当該端面から突出している複数の突出部と、
前記複数の突出部を囲繞し、かつ、前記複数の突出部がワークに対して押し当てられた際に当該ワークに対して押し当てられるように前記端面から突出している環状突出部と、を備えている。
【0007】
当該構成の超音波接合用チップによれば、複数の突出部および当該複数の突出部を囲繞する環状突出部がワークに押し当てられた状態で、当該押し当て方向に対して垂直な方向に超音波振動が当該ワークに印加される。この際、複数の突出部によりワーク(一方のワーク、または、一方のワークおよび他方のワーク)の一部の肉が外側(超音波接合用チップの端面における複数の突出部が設けられている領域の外側)に押しのけられるように移動するものの、当該ワークの肉の移動が環状当接部によりとどめられる。これにより、当該ワークの肉の無制限な外側への移動によりバリが生じる事態が回避されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。
【0008】
前記構成の超音波接合用チップにおいて、
前記環状突出部の、前記端面における延在方向に対して垂直な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭が連続凸曲線をなしている
ことが好ましい。
【0009】
当該構成の超音波接合用チップによれば、環状突出部の、当該超音波接合用チップの端面における延在方向に対して垂直な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭に角または不連続箇所が存在しない。このため、超音波接合用チップの環状突出部の当該角によってワークの肉が削られるまたは押しのけられる事態が回避され、ひいては当該肉の移動によるバリの発生が抑制されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。
【0010】
前記構成の超音波接合用チップにおいて、
前記端面において、前記環状突出部が、前記複数の突出部のすべてを、間隔をおいて囲繞するように形成されている
ことが好ましい。
【0011】
当該構成の超音波接合用チップによれば、複数の突出部によりワークの一部の肉が外側に押しのけられて環状突出部によりとどめられるまでに移動可能なスペースが比較的広く確保される。このため、環状突出部により移動がとどめられたワークの肉の盛り上がりが抑制されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。複数の突出部によりワークの一部の肉が外側に押しのけられて環状突出部によりとどめられて、当該肉に作用する圧力が高まり、ワークの密度が上がることで電気導通性能の質の向上が図られる。また、当該圧力が高まることで消費接合エネルギーの低減が図られる。
【0012】
前記構成の超音波接合用チップにおいて、
前記環状突出部の、前記端面における延在方向に対して垂直な任意の断面が、前記複数の突出部から離れる方向に傾倒した形状をなしている
ことが好ましい。
【0013】
当該構成の超音波接合用チップによれば、複数の突出部によりワークの一部の肉が外側に押しのけられて環状突出部によりとどめられるまでに移動可能なスペースが比較的広く確保される。このため、環状突出部により移動がとどめられたワークの肉の盛り上がりが抑制されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。複数の突出部によりワークの一部の肉が外側に押しのけられて環状突出部によりとどめられて、当該肉に作用する圧力が高まり、ワークの密度が上がることで電気導通性能の質の向上が図られる。また、当該圧力が高まることで消費接合エネルギーの低減が図られる。
【0014】
前記構成の超音波接合用チップにおいて、
前記複数の突出部のそれぞれの少なくとも頂部の、前記ワークに対する押し当て方向に対して垂直な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭が連続凸閉曲線をなしている
ことが好ましい。
【0015】
当該構成の超音波接合用チップによれば、複数の突出部のそれぞれの、ワークに対する押し当て方向に対して垂直な任意の断面において、ワークに押し当てられる部位の輪郭に角または不連続箇所が存在しない。このため、超音波接合用チップの複数の突出部の当該角または稜線部分によってワークの肉が削られるまたは押しのけられる事態が回避され、ひいては当該肉の移動によるバリの発生が抑制されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。
【0016】
前記構成の超音波接合用チップにおいて、
前記複数の突出部のそれぞれの、前記ワークに対する押し当て方向に対して平行な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭が連続曲線をなしている
ことが好ましい。
【0017】
当該構成の超音波接合用チップによれば、複数の突出部のそれぞれの、ワークに対する押し当て方向に対して平行な任意の断面において、ワークに押し当てられる部位の輪郭に角または不連続箇所が存在しない。このため、超音波接合用チップの複数の突出部の当該角によってワークの肉が削られるまたは押しのけられる事態が回避され、ひいては当該肉の移動によるバリの発生が抑制されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。
【0018】
前記構成の超音波接合用チップにおいて、
前記複数の突出部のそれぞれが、球欠状、球台状、上底面の縁が丸みを帯びた円錐台状、円錐台状、または、円錐台および当該円錐台の上底面と下面が共通する球欠または球台が同軸に積み重ねられた形状に形成されている
ことが好ましい。
【0019】
当該構成の超音波接合用チップによれば、複数の突出部のそれぞれの、ワークに対する押し当て方向に対して垂直な任意の断面および水平な任意の断面において、ワークに押し当てられる部位の輪郭に角または不連続箇所が存在しない。このため、超音波接合用チップの複数の突出部の当該角によってワークの肉が削られるまたは押しのけられる事態が回避され、ひいては当該肉の移動によるバリの発生が抑制されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。
【0020】
本発明の超音波接合装置は、
縦振動およびねじり振動を合成することにより複合振動を誘起する振動要素と、
本発明の超音波接合用チップと、
前記振動要素の複合振動を制御する制御装置と、を備えている。
【0021】
当該構成の超音波接合装置によれば、超音波接合用チップの複数の突出部および当該複数の突出部を囲繞する環状突出部がワークに押し当てられた状態で、当該押し当て方向に対して垂直な方向に超音波複合振動が当該ワークに印加される。この際、複数の突出部によりワーク(一方のワーク、または、一方のワークおよび他方のワーク)の一部の肉が外側(超音波接合用チップの端面における複数の突出部が設けられている領域の外側)に押しのけられるように移動するものの、当該ワークの肉の移動が環状当接部によりとどめられる。これにより、当該ワークの肉の無制限な外側への移動によりバリが生じる事態が回避されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。
【0022】
本発明の超音波接合方法は、
縦振動およびねじり振動を合成することにより複合振動を誘起する振動要素と、前記振動要素に対して固定されているまたは着脱自在に取り付けられる超音波接合用チップと、を備えている超音波接合装置を用いて、一方のワークおよび他方のワークを接合する超音波接合方法であって、
端面において指定パターンで配置され、かつ、当該端面から突出している複数の突出部と、
前記複数の突出部を囲繞し、かつ、前記複数の突出部がワークに対して押し当てられた際に当該ワークに対して押し当てられるように前記端面から突出している環状突出部と、を備えているチップが前記超音波接合用チップとして用いられ、
前記超音波接合用チップが接合対象である前記一方のワークに当接している状態で、当該一方のワークの前記他方のワークに対する接合の進捗状況に応じて変化する指定パラメータの値に応じた信号に基づき、前記一方のワークと前記他方のワークとの接合が完了したか否かを判定する工程と、
前記一方のワークと前記他方のワークとの接合が完了したと判定された場合に前記振動要素の複合振動を停止させる工程と、を含んでいる。
【0023】
当該構成の超音波接合方法によれば、本発明の超音波接合用チップの超音波振動の振幅など、一方のワークおよび他方のワークの接合の進捗状況に応じて変化する指定パラメータの値の変化態様に応じて、当該接合が完了したか否かが精度良く判定されうる。そして、当該判定結果が一方のワークおよび他方のワークの接合が完了したことを示している場合、超音波接合用チップの超音波振動を停止させ、その結果として、超音波接合用チップを超音波振動させている期間が、一方のワークおよび他方のワークの接合の質の向上の観点から適当に制御されうる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】超音波接合装置の構成説明図。
図2】本発明の一実施形態としての超音波接合用チップの構成説明図。
図3】本発明の一実施形態としての超音波接合用チップの端部の構成説明図。
図4】本発明の超音波接合用チップの端部の構成例示図。
図5】本発明の他の実施形態としての超音波接合用チップの構成説明図。
図6】超音波接合装置の機能に関するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(構成)
図1に示されている本発明の一実施形態としての超音波複合振動装置1は、金属板等の接合対象物であるワークW1およびW2を後述する超音波複合振動を利用して接合する超音波接合装置の構成要素である。超音波接合装置は、例えば、リチウムイオン電池および/または半導体素子の電極、同種または異種の金属の接合に用いられる。
【0026】
図1に示されているように、超音波複合振動装置1は、略円柱状の第1振動要素11と、略円柱状、略円筒状または略有底円筒状の中間振動要素10と、略円筒状または略有底円筒状の第2振動要素12と、を備えている。第1振動要素11、中間振動要素10および第2振動要素12は「振動要素」を構成する。超音波接合装置は、超音波複合振動装置1と、ホーンチップ40(超音波接合用チップ)と、アンビル18と、を備えている。
【0027】
第1振動要素11および中間振動要素10が、超音波複合振動装置1の中腹部または中間部において、機械的連結機構(ボルトおよび/またはクランプ機構など)により同軸に連結されている。中間振動要素10および第2振動要素12が、超音波複合振動装置1の中腹部において、機械的連結機構により同軸に連結されている。第1振動要素11、中間振動要素10および第2振動要素12が機械的に連結されるのではなく、一体的に構成されていてもよい。
【0028】
中間振動要素10が第1振動要素11の構成要素であってもよい。すなわち、第1振動要素11が2つの振動要素により構成されていてもよい。この場合、第1振動要素11および中間振動要素10が機械的に連結されるのではなく、一体的に構成されていてもよい。中間振動要素10が第2振動要素12の構成要素であってもよい。すなわち、第2振動要素12が2つの振動要素により構成されていてもよい。この場合、第2振動要素12および中間振動要素10が機械的に連結されるのではなく、一体的に構成されていてもよい。
【0029】
図1に示されているように、第1振動要素11には、その軸線方向を圧電分極方向とする圧電体112が設けられている。
【0030】
図1に示されているように、中間振動要素10には、その軸線方向の中間位置において、全周にわたり径方向に張り出している、略円環板状の中間フランジ100が形成されている。中間振動要素10は、少なくとも中間フランジ100においてクランプ機構(図示略)により全周にわたりクランプまたは支持されるように構成されている。中間振動要素10が、機械的支持機構により支持されることが担保されている場合、中間フランジ100は省略されてもよい。図1に示されているように、中間振動要素10は、中間フランジ100より後方(図1の左方向)においては外径が軸線方向に略一定の略円筒状である。図1に示されているように、中間振動要素10は、中間フランジ100より前方(図1の右方向)においては先端部に向かって途中まで連続的に縮径した後、略一定の外径を有する略円筒状(略円錐台筒状および略円筒状が同軸に連結された形状)である。
【0031】
図1に示されているように、第2振動要素12には、その軸線方向の中間位置において、全周にわたり径方向に張り出している、隅角が丸い略正八角形状の周波数調整要素120が設けられている。周波数調整要素120により超音波振動の縦振動成分およびねじり振動成分の共振周波数が調整される。
【0032】
図1に示されているように、第2振動要素12には、周波数調整要素120より後方において、外側面に複数のスリット124が形成されている。複数のスリット124が、周波数調整要素120より前方において第2振動要素12の外側面に形成されていてもよい。スリット124は、第2振動要素12において、側方から見た際に斜めに延在するように、あるいは、同位相で周方向に変位しながら軸線方向に延在している。N本(N=2、3,‥)のスリット124は、第2振動要素12の中心軸線まわりのN回回転対称性(例えば、N=8、12または16)を有するように配置されていてもよい。
【0033】
図1に示されているように、第2振動要素12には、その軸線方向の先端位置において、全周にわたり径方向に張り出している、隅角が丸い略正八角形状の先端部126が設けられている。先端部126には、その周方向に離間した複数の箇所のそれぞれに穴128(または貫通孔)が形成されている。N個(N=2、3,‥)の穴128は、第2振動要素12の中心軸線まわりのN回回転対称性(例えば、N=4)を有するように配置されていてもよい。穴128の内側面にはメネジが設けられている。
【0034】
ホーンチップ40は、略円錐台状の基体部と、ワークW1およびW2のうち最も上にある一方のワークW1に対して当接する先端部とを有している。ホーンチップ40の基端部に設けられているオネジが、第2振動要素12の先端部126の穴128に設けられているメネジに螺合することにより、ホーンチップ40が第2振動要素12に対して取り外し可能に固定される。様々な形状のホーンチップ40が準備されることにより、接合対象となる金属の種類などに応じてホーンチップ40が適宜交換可能である。
【0035】
第2振動要素12の先端部126、ひいてはホーンチップ40における縦振動およびねじり振動の位相差を調整するためのバランサのオネジが穴128のメネジに螺着されることにより、当該バランサが第2振動要素12の先端部126に対して取り外し可能に固定されてもよい。
【0036】
アンビル18は、ホーンチップ40の先端部に対して鉛直方向に対向するように配置されている。アンビル18の上部表面には、例えば略平板状のワークW1およびW2が重ねて載置される。アンビル18は、ワークW1およびW2を介して受けるホーンチップ40の圧力に応じて上下に受動的または能動的に変位するように構成されていてもよい。
【0037】
図1に示されているように、超音波接合装置は、制御装置20と、高周波電源装置21と、加圧装置22と、状態センサ24と、インターフェース装置26と、をさらに備えている。
【0038】
高周波電源装置21は、商用電源(図示略)から供給された電力に応じて、第1振動要素11の圧電体112に高周波交流電圧を印加することにより、第1振動要素11を軸線方向に励振するように構成されている。加圧装置22は、加圧ブロックを備え、当該加圧ブロックにより中間振動要素10を支持しているクランプ機構等の支持機構を変位させることにより、ホーンチップ40からワークW1およびW2に対して圧力を加えるように構成されている。状態センサ24は、加圧装置22を構成する加圧ブロックの変位量に応じた信号を出力するストロークセンサのほか、ホーンチップ40の振幅(指定パラメータに該当する。)に応じた信号を出力する振幅センサを含んでいる。振幅センサは、撮像装置および当該撮像装置を通じて取得された撮像画像の解析により当該振幅を算定する機器とにより構成されるセンサモジュールであってもよい。
【0039】
インターフェース装置26は、例えば、ディスプレイにより構成され、当該ディスプレイに状態センサ24の出力信号に応じた加圧ブロックの変位量および/または圧力の時系列などを表示または出力する。当該ディスプレイがタッチパネル式のディスプレイにより構成され、ユーザにより目標圧力の時系列パターンを定める複数の接合モードのうちの一の接合モードなど、パラメータを直接的または間接的に指定させるための設定操作を受け付けるように構成されていてもよい。
【0040】
制御装置20は、マイクロコンピュータ、ひいては演算処理装置(S2PU、マイクロプロセッサ、プロセッサコアなど)および記憶装置(ROM、RS1Mなどのメモリ)により構成されている。制御装置20は、例えば、状態センサ24を構成するストロークセンサの出力信号により表わされる加圧ブロックの変位量の時系列に基づき、加圧装置22による当該加圧ブロックの変位動作を制御するように構成されている。制御装置20は、状態センサ24を構成する振幅センサの出力信号により表わされるホーンチップ40の振幅(指定パラメータに該当する。)に基づき、圧電体112に対する供給電力を制御し、ひいては振動要素(第1振動要素11、中間振動要素10および第2振動要素12)の超音波振動パワーおよびホーンチップ40の超音波振動パワーを制御するように構成されている。状態センサ24として、加圧装置22の加圧ブロックから中間振動要素10に作用する圧力(~ホーンチップ40がワークW1およびW2に加える圧力)に応じた信号を出力する圧力センサが設けられ、当該圧力センサの出力信号に基づき、当該圧力の時系列が一定にまたは指定態様に制御されるように制御装置20により制御されてもよい。
【0041】
図2に示されているように、ホーンチップ40は、取付部41、基部42およびロッド部44を備えている。取付部41は略円柱状に形成され、その外側面には第2振動要素12の先端部126の穴128に形成されているメネジに螺合するオネジが形成されている。基部42は、取付部41に対して同軸に連続し、当該取付部41よりも大径の略円柱状の第1部分と、当該第1部分と略同径の下底面を有する略円錐台状の第2部分と、を有している。ロッド部44は、基部42の第2部分に同軸に連続し、当該第2部分の上底面よりも小径に形成されている略円柱状に形成されている。
【0042】
取付部41が省略され、基部42の第1部分の端面から軸線方向にのびるにネジ穴が形成され、第2振動要素12の先端部126に対して螺着されたまたは固定されたボルトまたはオネジが当該ネジ穴のメネジに螺合されることにより、ホーンチップ40が第2振動要素12に対して取り付けられてもよい。
【0043】
基部42は略円柱状の第1部分および略円錐台状の第2部分の組み合わせとは異なる形状であってもよい。例えば、基部42が略円柱状、略角柱状、略円錐台状または略角錐台状であってもよい。ロッド部44の断面形状は略円形状のほか、略楕円形状、略矩形状(正方形状、平行四辺形状など)、略多角形状(例えば、正M角形(例えばM=8~16)、略星形M角形(例えばM=4~16))など、さまざまな形状であってもよい。ロッド部44は、軸線方向の断面形状が、当該軸線方向に沿って略円形状のほか、略楕円形状、略矩形状(正方形状、平行四辺形状など)、略多角形状(例えば、正M角形、略星形M角形)など、さまざまな形状にさまざまな順序で変化するように形成されていてもよい。
【0044】
図3に示されているように、ホーンチップ40は、そのロッド部44の略円形状の端面440(先端面)において、正方格子パターン(指定パターン)で配置され、かつ、当該端面440から突出している略四角錐台状の複数の突出部441と、端面440の周縁部に沿って複数の突出部441を囲繞するように略円環状に延在し、かつ、複数の突出部441がワークW1、W2に対して押し当てられた際に当該ワークW1、W2に対して押し当てられるように端面440から突出している環状突出部442と、を備えている。
【0045】
端面440の形状は、略円形状のほか、略長円形状、略楕円形状、略矩形状、略台形状、略平行四辺形状など、さまざまな形状であってもよい。環状突出部442が、ロッド部44の端面440の周縁部に沿って(または当該周縁部の形状とは関係なく)、略円形状のほか、略長円形状、略楕円形状、略矩形状、略台形状、略平行四辺形状など、さまざまな形状で延在していてもよい。端面440は平面状であってもよく、略球冠状または略球欠状に隆起する曲面状であってもよい。
【0046】
複数の突出部441は、正方格子パターンのほか、矩形格子パターン、斜方格子(菱形格子、中心矩形格子、二等辺三角格子)パターン、六角格子(正三角格子)パターン、平行体格子(歪斜格子)パターンなど、ホーンチップ40の端面440においてさまざまな指定パターンにしたがって配置されていてもよい。
【0047】
複数の突出部441のそれぞれは、すべてが同一形状であってもよく、一部の突出部441と他の突出部441との形状が相違していてもよい。複数の突出部441のそれぞれは、略四角錐台状のほか、略角柱状などのさまざまな形状に形成されていてもよい。
【0048】
複数の突出部441のそれぞれの、ホーンチップ40の軸線方向(ワークW1、W2に対する押し当て方向)に対して垂直な任意の横断面(ホーンチップ40の端面440に平行な断面)において、ワークW1、W2に押し当てられる部位の輪郭が連続凸閉曲線をなしていることが好ましい。例えば、複数の突出部441のそれぞれが、全体的にまたは少なくとも先端部において略円柱状、略楕円柱状、略円錐状、略円錐台状、略楕円錘台状、略球欠状、略楕円球欠状、略球冠状、略楕円球冠状、円錐台と球欠または球冠(当該円錐台の上底面と下面を共通にする)とが同軸に積み重ねられた形状などに形成されていてもよい。
【0049】
複数の突出部441のそれぞれの、ホーンチップ40の軸線方向(ワークW1、W2に対する押し当て方向)に対して平行な任意の縦断面(ホーンチップ40の端面440に垂直な断面)において、ワークW1、W2に押し当てられる部位の輪郭が連続凸曲線をなしていることが好ましい。例えば、複数の突出部441のそれぞれが、全体的にまたは少なくとも先端部において略円柱状、略楕円柱状、略円錐台状、略楕円錘台状、略球欠状、略楕円球欠状、略球冠状、略楕円球冠状、円錐台と球欠または球冠(当該円錐台の上底面と下面を共通にする)とが同軸に積み重ねられた形状などに形成されていてもよい。図4に示されているように、複数の突出部441のそれぞれの上端面が、ホーンチップ40の端面440に対して略平行な(または傾斜した)平面状である場合、当該上端面の周縁部が丸みを帯びるように形成されていてもよい。
【0050】
図4に示されているように、ホーンチップ40の任意の縦断面(ホーンチップ40の端面440における延在方向に対して垂直な任意の断面)において、環状突出部442のワークW1、W2に押し当てられる部位(先端部)の輪郭が連続凸曲線をなしていることが好ましい。例えば、環状突出部442の縦断面形状が、上底側の両角が丸みを帯びた略台形状のほか、同様に上辺側の両角が丸みを帯びた略矩形状、略弓型状(略半円形状)、略楕円弓型状(略半楕円球状)、台形および弓型(当該台形の上底と下辺を共通にする)が組み合わせられた形状をなしていてもよい。図4に示されているように、環状突出部442の当該断面が、複数の突出部441から離れる方向(図4の左方向)に傾倒した形状をなしていてもよい。
【0051】
図3に示されているように、ホーンチップ40の端面440において、複数の突出部441のうち一部に連続するように環状突出部442が形成されているほか、図5に示されているように、ホーンチップ40の端面440において、複数の突出部441のすべてを、間隔をおいて囲繞するように環状突出部442が形成されていてもよい。
【0052】
ホーンチップ40の任意の縦断面において、端面440を基準とした環状突出部442の高さH2(突出量)が、複数の突出部441のうち少なくとも一部の高さH1(突出量)と同一であってもよく、低くてもよく(例えば、H2=0.90H1~0.99H1)、高くてもよい(例えば、H2=1.01H1~1.10H1)。ホーンチップ40の端面440を基準とした複数の突出部441のすべての高さH1が同一であってもよく、一部の突出部441の高さH1と他の突出部441の高さH1とが相違していてもよい。ホーンチップ40の端面440を基準とした環状突出部442の高さH2が、全体的に同一であってもよく、部分的に異なって(突出部441の高さH1よりも高く/低く)いてもよい。環状突出部442の少なくとも一部が、ホーンチップ40の端面440においてその周縁部よりも内側に延在するように環状突出部442が形成されていてもよい。
【0053】
図5に示されているように、環状突出部442の高さH2が延在方向について一または複数箇所において局所的に低くなるように、当該環状突出部442の上部が延在方向について局所的に略半円形状に切り欠かれたような切欠部4420が形成されていてもよい。図5では、略円環状の環状突出部442の中心を基準として、2:45および3:15、5:45および6:15、8:45および9:15、ならびに、11:45および12:15(0:15)のそれぞれの位置に合計8個の切欠部4420が環状突出部442に形成されている。環状突出部442における切欠部4420の個数が8個より少なくてもよく、8個より多くてもよい。複数の切欠部442が、環状突出部4420の中心を基準とした回転対称性を有していない形態で配置されているなど、当該配置パターンがさまざまに変更されてもよい。切欠部4420の形状は、略半円形状のほか、略矩形状、略三角形状、略台形状など、さまざまな形状であってもよい。切欠部4420における環状突出部442の高さH2が、少なくとも一部の突出部441の高さH1より高くてもよく、同じであってもよく、低くてもよい。
【0054】
(作用)
超音波接合装置1によるワークW1およびW2の超音波接合方法の手順について説明する。基準振幅A0が設定される(図6/STEP01)。例えば、インターフェース装置26を構成するタッチパネル式のディスプレイを通じて、ユーザにより基準振幅A0を定める複数の接合モードのうちの一の接合モードなど、当該基準振幅A0が直接的または間接的に指定されていてもよい。
【0055】
加圧装置22により、第1振動要素11、中間振動要素10および第2振動要素12ならびにホーンチップ40が下方に動かされる(図6/STEP02)。ホーンチップ40の先端部(ロッド部44の自由端部)が、ワークW1およびW2から受ける圧力Pが状態センサ24を構成する圧力センサの出力信号に基づいて測定される(図6/STEP04)。ホーンチップ40の先端部が、ワークW1から離間している状態ではP=0であり、ワークW1に当接するとP>0となる。
【0056】
ホーンチップ40が受ける圧力Pが指定圧力P0以上になったか否かが判定される(図6/STEP06)。当該判定結果が否定的である場合(図6/STEP06‥NO)、加圧装置22により、加圧装置22により、第1振動要素11、中間振動要素10および第2振動要素12ならびにホーンチップ40が下方に動かされる(図6/STEP02)。これにより、ホーンチップ40の鉛直位置、ひいては当該ホーンチップ40の先端部からワークW1およびW2に加えられる静圧が指定静圧範囲(例えば、200N~800N)に含まれるように調節される。
【0057】
当該判定結果が肯定的である場合(図6/STEP06‥YES)、振動要素において超音波振動が発生される(図6/STEP08)。具体的には、商用電源(図示略)から高周波電源装置21に電力が供給されたことに応じて、高周波電源装置21によって第1振動要素11の圧電体112に対して高周波交流電圧が印加される。これにより、第1振動要素11が、例えば約20KHzでその軸線方向に振動し、超音波振動が発生する。第1振動要素11から中間振動要素10に対してその軸線方向に超音波振動が伝達され、当該超音波振動の振幅が増幅される。さらに、中間振動要素10から振幅が増幅された超音波振動が第2振動要素12に対してその軸線方向に伝達される。
【0058】
このように、第2振動要素12に対して伝達された超音波振動の縦振動成分(第2振動要素12の軸線方向成分)の一部が、第2振動要素12の外側面に形成されている複数のスリット124により、ねじり振動成分に変換される。そして、縦振動成分およびねじり振動成分が複合されることにより生じた複合振動が、第2振動要素12の先端部126に固定されたホーンチップ40に対して伝達される。
【0059】
これに応じて、ホーンチップ40の先端部が円軌道または楕円軌道を描くように水平方向に変位または振動する。これにより、図4に模式的に示されているように、振動開始時刻t=t0から、ホーンチップ40の振幅および超音波振動パワーが徐々に増大していく。この際、ワークW1およびW2の接触面の不純物が排除され、さらにワークW1およびW2の接触面の塑性変形が促進されうる。そして、図4に示されているように、ホーンチップ40の振幅および超音波振動パワーの増大率が時刻t=t1で大きく減少した後、ホーンチップ40の振幅および超音波振動パワーが徐々に増大していく。これは、一方のワークW1および他方のワークW2のそれぞれの接合面を構成する金属の酸化被膜等が除去され、当該接合面に清浄かつ活性化した金属原子が現れ、摩擦熱による温度上昇で原子の運動が活発となり、原子間の相互引力が発生したことに由来している。
【0060】
この際、ホーンチップ40によるワークW1およびW2の押し込み量および/またはワークW1およびW2にかける静圧が調整されながら、当該一方のワークW1およびW2に対して複合振動が与えられることでワークW1およびW2が固相接合されうる。
【0061】
状態センサ24を構成する振幅センサにより、ホーンチップ40の指定箇所(例えば、振幅が比較的大きい箇所)における振幅Aが光学的に測定される(図6/STEP10)。ホーンチップ40の振幅Aの時間微分δA(=今回振幅A(k)-前回振幅A(k-1))が負であり、かつ、振幅Aが基準振幅A0以下であるか否かが判定される(図6/STEP12)。当該判定処理に代えて、振幅Aが減少を開始した時点での極大値を基準として、当該振幅Aが基準振幅A0だけ(または極大値を基準とした基準比率)だけ低下したか否かが判定されてもよい。
【0062】
当該判定結果が否定的である場合(図6/STEP12‥NO)、振動要素において超音波振動が継続的に発生される(図6/STEP08)。その一方、当該判定結果が肯定的である場合(図6/STEP12‥YES)、振動要素において超音波振動の発生が停止される(図6/STEP14)。例えば、図4に示されているように、ホーンチップ40の振幅が増加から減少に転じ、かつ、基準振幅A0以下になった時刻t=t2の後、若干の応答遅れを伴ってホーンチップ40の超音波パワーが0になるように制御される。
【0063】
(効果)
前記構成の超音波接合用チップ40を備えている超音波複合振動装置1によれば、複数の突出部441および当該複数の突出部441を囲繞する環状突出部442がワークW1、W2に押し当てられた状態で、当該押し当て方向に対して垂直な方向に超音波複合振動が当該ワークW1、W2に印加される。この際、複数の突出部441によりワークW1、W2の一部の肉が外側に押しのけられるように移動するものの、当該ワークW1、W2の肉の移動が環状突出部442によりとどめられる。これにより、当該ワークW1、W2の肉の無制限な外側への移動によりバリが生じる事態が回避されるので、ワークW1、W2の接合の質の向上が図られる。
【0064】
(本発明の他の実施形態)
前記実施形態では、一方のワークW1および他方のワークW2の接合の進捗状況に応じて変化する指定パラメータとして、ホーンチップ40の振幅Aが測定されたが、他の実施形態として、振動要素(例えば、第2振動要素12)の軸線方向の変位量、変位速度および/または変位加速度が指定パラメータとしてその値が測定されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1‥超音波接合装置
10‥中間振動要素
100‥中間フランジ
11‥第1振動要素
112‥圧電体
12‥第2振動要素
120‥周波数調整要素
121‥円柱状部分
122‥円筒状部分
124‥スリット
126‥先端部
128‥穴
18‥アンビル
20‥制御装置
21‥高周波電源装置
22‥加圧装置
24‥状態センサ
26‥インターフェース装置
40‥ホーンチップ
41‥取付部
42‥基部
44‥ロッド部
440‥端面
441‥複数の突出部
442‥環状突出部
W1‥一方のワーク
W2‥他方のワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦振動およびねじり振動を合成することにより複合振動を誘起する振動要素と、
超音波接合用チップと、
前記振動要素の複合振動を制御する制御装置と、を備えている超音波接合装置であって、
前記超音波接合用チップは、
端面において指定パターンで配置され、かつ、当該端面から突出している複数の突出部と、
前記複数の突出部を囲繞し、かつ、前記複数の突出部がワークに対して押し当てられた際に当該ワークに対して押し当てられるように前記端面から突出している環状突出部と、
を備えている
超音波接合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波接合装置において、
前記超音波接合用チップの前記環状突出部の、前記端面における延在方向に対して垂直な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭が連続凸曲線をなしている
超音波接合装置
【請求項3】
請求項1に記載の超音波接合装置において、
前記超音波接合用チップの前記端面において、前記環状突出部が、前記複数の突出部のすべてを、間隔をおいて囲繞するように形成されている
超音波接合装置
【請求項4】
請求項1に記載の超音波接合超音波接合装置において、
前記超音波接合用チップの前記環状突出部の、前記端面における延在方向に対して垂直な任意の断面が、前記複数の突出部から離れる方向に傾倒した形状をなしている
超音波接合装置
【請求項5】
請求項1に記載の超音波接合装置において、
前記超音波接合用チップの前記複数の突出部のそれぞれの、前記ワークに対する押し当て方向に対して垂直な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭が連続凸閉曲線をなしている
超音波接合装置
【請求項6】
請求項5に記載の超音波接合装置において、
前記超音波接合用チップの前記複数の突出部のそれぞれの、前記ワークに対する押し当て方向に対して平行な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭が連続凸曲線をなしている
超音波接合装置
【請求項7】
請求項6に記載の超音波接合装置において、
前記超音波接合用チップの前記複数の突出部のそれぞれが、球欠状、球台状、上底面の縁が丸みを帯びた円錐台状、円錐台状、または、円錐台および当該円錐台の上底面と下面が共通する球欠または球台が同軸に積み重ねられた形状に形成されている
超音波接合装置
【請求項8】
縦振動およびねじり振動を合成することにより複合振動を誘起する振動要素と、前記振動要素に対して固定されているまたは着脱自在に取り付けられる超音波接合用チップと、を備えている超音波接合装置を用いて、一方のワークおよび他方のワークを接合する超音波接合方法であって、
端面において指定パターンで配置され、かつ、当該端面から突出している複数の突出部と、
前記複数の突出部を囲繞し、かつ、前記複数の突出部がワークに対して押し当てられた際に当該ワークに対して押し当てられるように前記端面から突出している環状突出部と、を備えているチップが前記超音波接合用チップとして用いられ、
前記超音波接合用チップが接合対象である前記一方のワークに当接している状態で、当該一方のワークの前記他方のワークに対する接合の進捗状況に応じて変化する指定パラメータの値に応じた信号に基づき、前記一方のワークと前記他方のワークとの接合が完了したか否かを判定する工程と、
前記一方のワークと前記他方のワークとの接合が完了したと判定された場合に前記振動要素の複合振動を停止させる工程と、を含んでいる
超音波接合方法
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、超音波振動により金属製のワークを接合するための超音波接合用チップを用いた超音波接合装置ならびに超音波接合方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
そこで、本発明は、バリの発生を抑制することによりワーク同士の接合の質の向上を図りうる超音波接合用チップを用いた超音波接合装置ならびに超音波接合方法を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の超音波接合装置は、
縦振動およびねじり振動を合成することにより複合振動を誘起する振動要素と、
超音波接合用チップと、
前記振動要素の複合振動を制御する制御装置と、を備えている超音波接合装置であって、
前記超音波接合用チップは、
端面において指定パターンで配置され、かつ、当該端面から突出している複数の突出部と、
前記複数の突出部を囲繞し、かつ、前記複数の突出部がワークに対して押し当てられた際に当該ワークに対して押し当てられるように前記端面から突出している環状突出部と、
を備えている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
当該構成の超音波接合装置によれば、超音波接合用チップの複数の突出部および当該複数の突出部を囲繞する環状突出部がワークに押し当てられた状態で、当該押し当て方向に対して垂直な方向に超音波振動が当該ワークに印加される。この際、複数の突出部によりワーク(一方のワーク、または、一方のワークおよび他方のワーク)の一部の肉が外側(超音波接合用チップの端面における複数の突出部が設けられている領域の外側)に押しのけられるように移動するものの、当該ワークの肉の移動が環状当接部によりとどめられる。これにより、当該ワークの肉の無制限な外側への移動によりバリが生じる事態が回避されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
前記構成の超音波接合装置において、
前記超音波接合用チップの前記環状突出部の、前記端面における延在方向に対して垂直な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭が連続凸曲線をなしている
ことが好ましい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
当該構成の超音波接合装置によれば、超音波接合用チップの環状突出部の、当該超音波接合用チップの端面における延在方向に対して垂直な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭に角または不連続箇所が存在しない。このため、超音波接合用チップの環状突出部の当該角によってワークの肉が削られるまたは押しのけられる事態が回避され、ひいては当該肉の移動によるバリの発生が抑制されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
前記構成の超音波接合装置において、
前記超音波接合用チップの前記端面において、前記環状突出部が、前記複数の突出部のすべてを、間隔をおいて囲繞するように形成されている
ことが好ましい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
当該構成の超音波接合装置によれば、超音波接合用チップの複数の突出部によりワークの一部の肉が外側に押しのけられて環状突出部によりとどめられるまでに移動可能なスペースが比較的広く確保される。このため、環状突出部により移動がとどめられたワークの肉の盛り上がりが抑制されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。複数の突出部によりワークの一部の肉が外側に押しのけられて環状突出部によりとどめられて、当該肉に作用する圧力が高まり、ワークの密度が上がることで電気導通性能の質の向上が図られる。また、当該圧力が高まることで消費接合エネルギーの低減が図られる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
前記構成の超音波接合装置において、
前記超音波接合用チップの前記環状突出部の、前記端面における延在方向に対して垂直な任意の断面が、前記複数の突出部から離れる方向に傾倒した形状をなしている
ことが好ましい。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
当該構成の超音波接合装置によれば、超音波接合用チップの複数の突出部によりワークの一部の肉が外側に押しのけられて環状突出部によりとどめられるまでに移動可能なスペースが比較的広く確保される。このため、環状突出部により移動がとどめられたワークの肉の盛り上がりが抑制されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。複数の突出部によりワークの一部の肉が外側に押しのけられて環状突出部によりとどめられて、当該肉に作用する圧力が高まり、ワークの密度が上がることで電気導通性能の質の向上が図られる。また、当該圧力が高まることで消費接合エネルギーの低減が図られる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
前記構成の超音波接合装置において、
前記超音波接合用チップの前記複数の突出部のそれぞれの少なくとも頂部の、前記ワークに対する押し当て方向に対して垂直な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭が連続凸閉曲線をなしている
ことが好ましい。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
当該構成の超音波接合用チップによれば、超音波接合用チップの複数の突出部のそれぞれの、ワークに対する押し当て方向に対して垂直な任意の断面において、ワークに押し当てられる部位の輪郭に角または不連続箇所が存在しない。このため、超音波接合用チップの複数の突出部の当該角または稜線部分によってワークの肉が削られるまたは押しのけられる事態が回避され、ひいては当該肉の移動によるバリの発生が抑制されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
前記構成の超音波接合装置において、
前記超音波接合用チップの前記複数の突出部のそれぞれの、前記ワークに対する押し当て方向に対して平行な任意の断面において、前記ワークに押し当てられる部位の輪郭が連続曲線をなしている
ことが好ましい。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
当該構成の超音波接合装置によれば、超音波接合用チップの複数の突出部のそれぞれの、ワークに対する押し当て方向に対して平行な任意の断面において、ワークに押し当てられる部位の輪郭に角または不連続箇所が存在しない。このため、超音波接合用チップの複数の突出部の当該角によってワークの肉が削られるまたは押しのけられる事態が回避され、ひいては当該肉の移動によるバリの発生が抑制されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
前記構成の超音波接合装置において、
前記超音波接合用チップの前記複数の突出部のそれぞれが、球欠状、球台状、上底面の縁が丸みを帯びた円錐台状、円錐台状、または、円錐台および当該円錐台の上底面と下面が共通する球欠または球台が同軸に積み重ねられた形状に形成されている
ことが好ましい。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
当該構成の超音波接合装置によれば、超音波接合用チップの複数の突出部のそれぞれの、ワークに対する押し当て方向に対して垂直な任意の断面および水平な任意の断面において、ワークに押し当てられる部位の輪郭に角または不連続箇所が存在しない。このため、超音波接合用チップの複数の突出部の当該角によってワークの肉が削られるまたは押しのけられる事態が回避され、ひいては当該肉の移動によるバリの発生が抑制されるので、ワークの接合の質の向上が図られる。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】