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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025069060
(43)【公開日】2025-04-30
(54)【発明の名称】プリント回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20250422BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20250422BHJP
【FI】
H05K3/28 A
H05K3/28 B
H05K1/09 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024164123
(22)【出願日】2024-09-20
(31)【優先権主張番号】10-2023-0138232
(32)【優先日】2023-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】韓 相願
(72)【発明者】
【氏名】鄭 相鎬
(72)【発明者】
【氏名】朴 昌華
(72)【発明者】
【氏名】李 鉉秀
(72)【発明者】
【氏名】趙 ▲徳▼▲ホン▼
(72)【発明者】
【氏名】朴 鍾殷
【テーマコード(参考)】
4E351
5E314
【Fターム(参考)】
4E351AA02
4E351AA03
4E351AA07
4E351AA13
4E351BB01
4E351BB35
4E351CC06
4E351CC07
4E351DD04
4E351GG20
5E314AA02
5E314AA03
5E314AA04
5E314AA32
5E314AA36
5E314AA41
5E314AA42
5E314BB02
5E314BB06
5E314CC11
5E314FF02
5E314FF03
5E314FF05
5E314FF17
5E314GG17
(57)【要約】
【課題】微細回路の形成時に、例えば、エッチング工程におけるアンダーカットの発生を防止することができるプリント回路基板を提供することである。
【解決手段】本発明は、絶縁層と、上記絶縁層上又は内に配置された配線パターンと、を含み、上記配線パターンは、第1金属層、上記第1金属層の上面上に配置された第2金属層、及び上記第2金属層の側面上に配置された無機酸化膜と、を含む、プリント回路基板に関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層上又は内に配置された配線パターンと、を含み、
前記配線パターンは、第1金属層、前記第1金属層の上面上に配置された第2金属層、及び前記第2金属層の側面上に配置された無機酸化膜と、を含む、プリント回路基板。
【請求項2】
前記第2金属層は前記第1金属層より厚く、
前記第1金属層は前記無機酸化膜より厚い、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項3】
前記無機酸化膜は厚さが100nm未満である、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項4】
前記無機酸化膜は、Al、TiO、ZnO、ZnO、ZrO、SnO、SnO、HfO及びSiOのうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項5】
前記第1金属層の側面の少なくとも一部は、前記無機酸化膜から露出した、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
前記無機酸化膜は前記第1金属層の側面と離隔し、
前記無機酸化膜は前記第2金属層の上面と離隔した、請求項5に記載のプリント回路基板。
【請求項7】
前記第1金属層の側面は前記第2金属層の側面より突出し、
前記無機酸化膜は前記第1金属層の突出した領域上に延びて配置された、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項8】
前記第1及び第2金属層はグレインの平均サイズが異なる、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項9】
前記第1金属層は化学銅を含み、
前記第2金属層は電気銅を含む、請求項8に記載のプリント回路基板。
【請求項10】
前記配線パターンを複数個配置し、
前記複数の配線パターンは、ライン(L)/スペース(S)が10μm/10μm未満である、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項11】
前記絶縁層は第1及び第2絶縁層を含み、
前記配線パターンは前記第1絶縁層の上面上に配置され、
前記第2絶縁層は前記第1絶縁層の上面上に配置され、
前記第2絶縁層は前記配線パターンの少なくとも一部を覆う、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項12】
基板(Substrate)と、
前記基板上に配置された第1金属層と、
前記第1金属層上に配置された第2金属層と、
前記第2金属層を囲むように配置され、下端部に積層方向と垂直な方向に少なくとも一部が突出した突出部を有するバリア層と、を含む、プリント回路基板。
【請求項13】
前記第1金属層は、前記第2金属層より断面上における幅が広く、
前記突出部は、前記第1金属層の上面の一部を覆い、且つ側面とは離隔した、請求項12に記載のプリント回路基板。
【請求項14】
前記第2金属層は前記第1金属層より厚く、
前記第1金属層は前記バリア層より厚い、請求項12に記載のプリント回路基板。
【請求項15】
前記バリア層は、厚さ100nm未満の無機酸化膜を含む、請求項12に記載のプリント回路基板。
【請求項16】
前記無機酸化膜は、Al、TiO、ZnO、ZnO、ZrO、SnO、SnO、HfO及びSiOのうち少なくとも一つを含む、請求項15に記載のプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能化されたプリント回路基板の作製が求められることにより、微細回路の実現がますます重要となっている。微細回路を実現するためには、均一でありながらも微細なライン(L:Line)及びスペース(S:Space)の確保が必要である。例えば、2.nDのようなハイエンド製品群の場合、L/Sはそれぞれ数マイクロ程度まで要求されることがある。但し、従来の微細回路形成工程の場合、シード層のエッチング時に微細回路パターンの下部にアンダーカットが発生する可能性があり、これは回路信頼性の不良につながる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明のいくつかの目的の一つは、微細回路の形成時に、例えば、エッチング工程におけるアンダーカットの発生を防止することができるプリント回路基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明を通じて提案するいくつかの解決手段のうち一つは、シードエッチング前の回路にALD(Atomic Layer Deposition)、MVD(Molecular Vapor Deposition)などの薄膜蒸着工法を用いてバリア層、例えば、無機酸化膜を形成し、回路の下端部におけるエッチングの影響を最小限に抑え、アンダーカットの発生を防止することである。
【0005】
例えば、一例に係るプリント回路基板は、絶縁層と、上記絶縁層上又は内に配置された配線パターンと、を含み、上記配線パターンは、第1金属層、上記第1金属層の上面上に配置された第2金属層、及び上記第2金属層の側面上に配置された無機酸化膜と、を含むものであってもよい。
【0006】
例えば、一例に係るプリント回路基板は、基板(Substrate)と、上記基板上に配置された第1金属層と、上記第1金属層上に配置された第2金属層と、上記第2金属層を囲むように配置され、下端部に積層方向と垂直な方向に少なくとも一部が突出した突出部を有するバリア層と、を含むものであってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の様々な効果のうち一効果として、微細回路の形成時に、例えば、エッチング工程におけるアンダーカットの発生を防止することができるプリント回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子機器システムの例を概略的に示すブロック図である。
図2】電子機器の一例を概略的に示す斜視図である。
図3】プリント回路基板の一例を概略的に示す断面図である。
図4a図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図4b図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図4c図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図4d図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図4e図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図4f図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図4g図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図4h図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図5】プリント回路基板の他の一例を概略的に示す断面図である。
図6a図5のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図6b図5のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図6c図5のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図6d図5のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図6e図5のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図6f図5のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図6g図5のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図6h図5のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図6i図5のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
図7】無機酸化膜の有無によるエッチングの影響を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して本発明について説明する。図面における要素の形状及びサイズなどは、より明確な説明のために誇張又は縮小することができる。
【0010】
電子機器
図1は、電子機器システムの例を概略的に示すブロック図である。
【0011】
図面を参照すると、電子機器1000はメインボード1010を収容する。メインボード1010には、チップ関連部品1020、ネットワーク関連部品1030、及びその他の部品1040などが物理的及び/又は電気的に連結されている。これらは後述する他の電子部品とも結合して様々な信号ライン1090を形成する。
【0012】
チップ関連部品1020としては、揮発性メモリ(例えば、DRAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM)、フラッシュメモリなどのメモリチップ;セントラルプロセッサ(例えば、CPU)、グラフィックプロセッサ(例えば、GPU)、デジタル信号プロセッサ、暗号化プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどのアプリケーションプロセッサチップ;アナログ-デジタルコンバータ、ASIC(application-specific IC)などのロジックチップなどが含まれるが、これらに限定されるものではなく、これら以外にもその他の異なる形態のチップ関連電子部品が含まれてもよいことは言うまでもない。また、これらのチップ関連部品1020を互いに組み合わせてもよいことは勿論である。チップ関連部品1020は、上述したチップや電子部品を含むパッケージ形態であってもよい。
【0013】
ネットワーク関連部品1030としては、Wi-Fi(IEEE 802.11ファミリなど)、WiMAX(IEEE 802.16ファミリなど)、IEEE 802.20、LTE(long term evolution)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPS、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth、3G、4G、5G、及びそれ以降のものとして指定された任意の他の無線及び有線プロトコルが含まれるが、これらに限定されるものではなく、これら以外にも、その他の異なる多数の無線又は有線標準やプロトコルのうち任意のものが含まれてもよい。また、ネットワーク関連部品1030をチップ関連部品1020と併せて互いに組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【0014】
その他の部品1040としては、高周波インダクタ、フェライトインダクタ、パワーインダクタ、フェライトビーズ、LTCC(low Temperature Co-Firing Ceramics)、EMI(Electro Magnetic Interference)フィルタ、MLCC(Multi-Layer Ceramic Condenser)などが含まれる。但し、これらに限定されるものではなく、これら以外にも、その他の異なる様々な用途のために使用されるチップ部品形態の受動素子などが含まれてもよい。また、その他の部品1040をチップ関連部品1020及び/又はネットワーク関連部品1030と互いに組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【0015】
電子機器1000の種類に応じて、電子機器1000は、メインボード1010に物理的及び/又は電気的に連結されているか又はされていない他の電子部品を含むことができる。他の電子部品の例としては、カメラ1050、アンテナ1060、ディスプレイ1070、バッテリー1080などがある。但し、これらに限定されるものではなく、オーディオコーデック、ビデオコーデック、電力増幅器、羅針盤、加速度計、ジャイロスコープ、スピーカ、大容量記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)、CD(compact disk)、DVD(digital versatile disk)などであってもよい。これら以外にも、電子機器1000の種類に応じて様々な用途のために使用されるその他の電子部品などが含まれてもよいことは言うまでもない。
【0016】
電子機器1000は、スマートフォン(smart phone)、個人用情報端末機(personal digital assistant)、デジタルビデオカメラ(digital video camera)、デジタルスチルカメラ(digital still camera)、ネットワークシステム(network system)、コンピュータ(computer)、モニタ(monitor)、タブレット(tablet)、ラップトップ(laptop)、ネットブック(netbook)、テレビ(television)、ビデオゲーム(video game)、スマートウォッチ(smart watch)、オートモーティブ(Automotive)などであってもよい。但し、これらに限定されるものではなく、これら以外にも、データを処理する任意の他の電子機器であってもよいことは言うまでもない。
【0017】
図2は、電子機器の一例を概略的に示す斜視図である。
【0018】
図面を参照すると、電子機器は、例えば、スマートフォン1100であってもよい。スマートフォン1100の内部には、マザーボード1110が収容されており、このようなマザーボード1110には、様々な部品1120が物理的及び/又は電気的に連結されている。また、カメラモジュール1130及び/又はスピーカ1140のようにマザーボード1110に物理的及び/又は電気的に連結されているか又はされていない他の部品が内部に収容されている。部品1120の一部は、上述したチップ関連部品であってもよく、例えば、部品パッケージ1121であってもよいが、これに限定されるものではない。部品パッケージ1121は、能動部品及び/又は受動部品を含む電子部品が表面実装配置されたプリント回路基板の形態であってもよい。あるいは、部品パッケージ1121は、能動部品及び/又は受動部品が内蔵されたプリント回路基板の形態であってもよい。一方、電子機器は必ずしもスマートフォン1100に限定されるものではなく、上述したように他の電子機器であってもよいことは言うまでもない。
【0019】
プリント回路基板
図3は、プリント回路基板の一例を概略的に示す断面図である。
【0020】
図面を参照すると、一例に係るプリント回路基板100Aは、第1絶縁層111、第1絶縁層111の上面上に配置された第1配線パターン121、及び第1絶縁層111の上面上に配置され、上記第1配線パターン121の少なくとも一部を覆う第2絶縁層112を含むことができる。第1配線パターン121は、第1絶縁層111上に配置されることができ、第2絶縁層112内に配置されることができる。第1配線パターン121は、第1金属層M1、第1金属層M1の上面上に配置された第2金属層M2、及び第2金属層M2の側面上に配置された無機酸化膜Aを含むことができる。第1配線パターン121は複数個であってもよく、複数の第1配線パターン121は、ライン(L)/スペース(S)が10μm/10μm未満、例えば、5μm/5μm以内、又は2μm/2μm以内の微細回路であってもよい。無機酸化膜Aは、厚さが100nm未満の薄膜であってもよい。このように、微細回路である第1配線パターン121を形成する際に、薄膜の無機酸化膜Aを配置することにより、後述するようにアンダーカットの発生を防止することができる。したがって、回路密着力及び回路安定性の確保が容易になり得る。また、ファインパターンの実現がより容易になり得る。
【0021】
一方、第1及び第2金属層M1、M2は、互いに別途形成された区別される層であってもよく、例えば、グレインの平均サイズが異なっていてもよい。このとき、第2金属層M2の厚さt2は、第1金属層M1の厚さt1より厚くてもよい。また、第1金属層M1の厚さt1は、無機酸化膜Aの厚さt3より厚くてもよい。例えば、第1金属層M1は、無電解めっきなどで形成されるシード層であってもよく、例えば、化学銅を含んでもよい。また、第2金属層M2は、電解めっき等で形成されるめっき層であってもよく、例えば、電気銅を含んでもよい。したがって、第2金属層M2の厚さt2は、第1金属層M1の厚さt1より厚くなる得る。また、無機酸化膜Aは薄膜蒸着工法で非常に薄く形成されることができる。したがって、無機酸化膜Aの厚さt3は、第1金属層M1の厚さt1よりも薄くなり得る。このような無機酸化膜Aは、ALDやMVDなどの適用が可能な材料、例えば、Al、TiO、ZnO、ZnO、ZrO、SnO、SnO、HfO及びSiOのうち少なくとも一つを含むことができるが、これに限定されるものではない。一方、ALDやMVDなどの薄膜蒸着工法で無機酸化膜Aを形成する場合、プラズマ蒸着などにより他の材料で保護膜を形成する場合に比べて、均一性(untiformity)やステップカバレッジ(step coverage)などにおいてより優れることができる。
【0022】
一方、第1金属層M1の側面の少なくとも一部は無機酸化膜Aから露出することができる。例えば、無機酸化膜Aは、第1金属層M1の側面と離隔することができる。また、無機酸化膜Aは、第2金属層M2の上面とも離隔することができる。例えば、無機酸化膜Aは、第2金属層M2の側面上にのみ配置されてもよく、第2金属層M2を囲むように配置されてもよい。無機酸化膜Aは、第2金属層M2の側面上に実質的に一定の厚さにコンフォーマル(conformal)に形成することができる。このような配置により、エッチングにおけるアンダーカットの発生を効果的に防止することができる。
【0023】
以下では、図面を参照して一例に係るプリント回路基板100Aの構成要素についてより詳細に説明する。
【0024】
第1及び第2絶縁層111、112はそれぞれ絶縁物質を含むことができる。絶縁物質は、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂、ポリイミドのような熱可塑性樹脂、又は樹脂と共に無機フィラー、有機フィラー、及び/又はガラス繊維(Glass Fiber、Glass Cloth、Glass Fabric)を含む材料を含むことができる。例えば、絶縁物質は、CCL(Copper Clad Laminate)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、PPG(Prepreg)などの非感光性絶縁材であってもよいが、これに限定されるものではなく、それ以外にも他の高分子素材が用いられてもよい。また、絶縁物質は、PID(Photo Imageable Dielectric)などの感光性絶縁材であってもよい。第1及び第2絶縁層111、112が同じ材料を含む場合、互いに一体化して一つの絶縁層を構成することができるが、これに限定されるものではなく、第1及び第2絶縁層111、112は互いに区分される層であることもできる。第1絶縁層111は、より広い意味では基板(Substrate)であることができ、基板は、上述した有機基板の他にも、ガラス基板、シリコン基板、セラミック基板など様々な材質を有することができる。
【0025】
第1配線パターン121は金属物質を含むことができる。例えば、第1及び第2金属層M1、M2は、それぞれ銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、錫(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、及び/又はこれらの合金などを含むことができる。好ましくは、第1及び第2金属層M1、M2はそれぞれ銅(Cu)を含むことができるが、これに限定されるものではない。第1配線パターン121は信号パターンであってもよく、必要に応じて、第1配線パターン121と同じ層にパワーパターン又はグランドパターンがさらに配置されてもよい。第1配線パターン121はラインパターンであってもよく、必要に応じて、第1配線パターン121と同じ層にプレーンパターンやパッドパターンがさらに配置されてもよい。第1配線パターン121は、多層の金属層で構成することができ、例えば、無電解めっき層(又は化学銅)である第1金属層M1及び電解めっき層(又は電気銅)である第2金属層M2を含むことができる。
【0026】
無機酸化膜Aは、上述したように、厚さ100nm未満、例えば、厚さ1nm~10nm程度の薄膜であってもよい。また、無機酸化膜Aは、ALDやMVDなどの適用が可能な材料、例えば、Al、TiO、ZnO、ZnO、ZrO、SnO、SnO、HfO及びSiOのうち少なくとも一つ、好ましくはAlを含むことができるが、これに限定されるものではない。無機酸化膜Aは、エッチングによるアンダーカットを防止するためのバリア層として用いられることができ、第2絶縁層112との密着力を改善するための接着層としても用いられることができる。
【0027】
図4a~図4hは、図3のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
【0028】
図4aを参照すると、第1絶縁層111上に無電解めっき等により第1金属層M1を形成する。第1絶縁層111は、有機基板、ガラス基板、シリコン基板、セラミック基板など様々な種類の基板であってもよい。第1金属層M1は化学銅を含むことができる。第1金属層M1はシード層であり得る。
【0029】
図4bを参照すると、第1金属層M1上にレジスト層210を形成し、フォトリソグラフィ工程でレジスト層210を露光及び現像して第1金属層M1の上面を露出させるパターニングされた開口Hを形成する。
【0030】
図4cを参照すると、第1金属層M1上に電解めっき等で第2金属層M2を形成して、パターニングされた開口Hの少なくとも一部を充填する。第2金属層M2は、実質的に微細回路となるめっき層であり得る。
【0031】
図4dを参照すると、レジスト層210を除去する。レジスト層210は、剥離液を用いて化学的に剥離するか、又は物理的に剥離することもできる。
【0032】
図4eを参照すると、第1及び第2金属層M1、M2上にそれらを覆う無機酸化膜Aを形成する。無機酸化膜Aは、ALD、MVDなどの薄膜蒸着工法を用いて薄い厚さで形成することができる。
【0033】
図4fを参照すると、エッチングを用いて第1及び第2金属層M1、M2のそれぞれの上面上に配置された無機酸化膜Aを除去する。例えば、無機酸化膜Aは、第2金属層M2の側面上にのみ残存することができる。エッチングとしては、プラズマエッチングのようなドライエッチングを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0034】
図4gを参照すると、エッチングを用いて第2金属層M2が形成された領域以外の他の領域における不要な第1金属層M1を除去する。例えば、第1金属層M1は、第2金属層M2の下側にのみ残存することができる。エッチングとしてはフラッシュエッチングのような湿式エッチングを用いることができるが、これに限定されるものではない。エッチング過程において無機酸化膜Aは、第2金属層M2の側面の下端部にアンダーカットが発生することを防止することができる。一連の過程を通じて、微細回路である第1配線パターン121を形成することができる。
【0035】
図4hを参照すると、第1絶縁層111上に第2絶縁層112を形成する。第2絶縁層112はラミネーション工程で形成することができる。第2絶縁層112は、第1配線パターン121を埋め込むことができる。一連の過程を通じて上述した一例に係るプリント回路基板100Aを製造することができ、その他の重複説明は省略する。
【0036】
図5は、プリント回路基板の他の一例を概略的に示す断面図である。
【0037】
図面を参照すると、他の一例に係るプリント回路基板100Bは、上述した一例に係るプリント回路基板100Aにおいて、第1配線パターン121の代わりに第2配線パターン122が配置されることができる。第2配線パターン122は、断面上において第1金属層M1の幅w1が第2金属層M2の幅w2より広くてもよい。例えば、第2配線パターン122は、第1金属層M1の側面が第2金属層M2の側面よりも突出していてもよい。このとき、第2配線パターン122は、無機酸化膜Aが下端部に積層方向と垂直な方向に少なくとも一部が突出した突出部APを有することができ、突出部APは第1金属層M1の上面の一部を覆い、且つ側面とは離隔することができる。例えば、第2配線パターン122の無機酸化膜Aは、第1金属層M1の突出した領域上に延びて配置されてもよい。この場合にも、上述したような技術的効果、例えば、微細回路である第2配線パターン122を形成する際に、薄膜の無機酸化膜Aを配置することにより、アンダーカットの発生を防止することができる。したがって、回路密着力及び回路安定性の確保がより容易になり得る。また、ファインパターンの実現がより容易になり得る。その他の内容は、上述した一例に係るプリント回路基板で説明したものと実質的に同一であるため、重複説明は省略する。
【0038】
図6a~図6iは、図5のプリント回路基板の製造工程の一例を概略的に示す工程断面図である。
【0039】
図6aを参照すると、第1絶縁層111上に無電解めっき等により第1金属層M1を形成する。第1絶縁層111は、有機基板、ガラス基板、シリコン基板、セラミック基板など様々な種類の基板であってもよい。第1金属層M1は化学銅を含むことができる。第1金属層M1はシード層であり得る。
【0040】
図6bを参照すると、第1金属層M1上にレジスト層210を形成し、フォトリソグラフィ工程でレジスト層210を露光及び現像して第1金属層M1の上面を露出させるパターニングされた開口Hを形成する。
【0041】
図6cを参照すると、第1金属層M1上に電解めっき等で第2金属層M2を形成して、パターニングされた開口Hの少なくとも一部を充填する。第2金属層M2は、実質的に微細回路となるめっき層であり得る。
【0042】
図6dを参照すると、ソフト剥離によってレジスト層210の一部を除去する。ソフト剥離には剥離液が用いられることができる。ソフト剥離によって第2金属層M2とレジスト層210との間に空間Gを形成することができる。
【0043】
図6eを参照すると、第1及び第2金属層M1、M2とレジスト層210上に、それらを覆う無機酸化膜Aを形成する。無機酸化膜Aは、第2金属層M2とレジスト層210との間の空間Gの壁面上にも形成されることができる。無機酸化膜Aは、ALD、MVDなどの薄膜蒸着工法を用いて薄い厚さで形成することができる。
【0044】
図6fを参照すると、エッチングを用いて第2金属層M2及びレジスト層210のそれぞれの上面上に配置された無機酸化膜Aを除去する。例えば、無機酸化膜Aは、第2金属層M2の側面上、第2金属層M2とレジスト層210との間の空間Gの壁面上、及び第1金属層M1の上面上にのみ残存することができる。エッチングとしては、プラズマエッチングのようなドライエッチングを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0045】
図6gを参照すると、レジスト層210を除去する。レジスト層210は、剥離液を用いて化学的に剥離するか、又は物理的に剥離することもできる。レジスト層210の剥離後に、無機酸化膜Aの下端部に第1金属層M1の上面の一部を覆う突出部APが残存することができる。
【0046】
図6hを参照すると、エッチングを用いて第2金属層M2及び無機酸化膜Aが形成された領域以外の他の領域における不要な第1金属層M1を除去する。例えば、第1金属層M1は、第2金属層M2及び無機酸化膜Aの下側にのみ残存することができる。エッチングとしてはフラッシュエッチングのような湿式エッチングを用いることができるが、これに限定されるものではない。エッチング工程において無機酸化膜Aは、第2金属層M2の側面の下端部にアンダーカットが発生することを防止することができる。一連の過程を通じて、微細回路である第2配線パターン122を形成することができる。
【0047】
図6iを参照すると、第1絶縁層111上に第2絶縁層112を形成する。第2絶縁層112はラミネーション工程で形成することができる。第2絶縁層112は、第2配線パターン122を埋め込むことができる。一連の過程を通じて、上述した他の一例に係るプリント回路基板100Bを製造することができ、その他の重複説明は省略する。
【0048】
図7は、無機酸化膜の有無によるエッチングの影響を示す断面図である。
【0049】
図面を参照すると、(A)のように酸化膜Aがない場合には、第1金属層M1を除去するためのエッチング過程において第2金属層M2の下端部にアンダーカットが発生することがある。一方、(B)のように無機酸化膜Aを形成する場合には、第1金属層M1を除去するためのエッチング過程において無機酸化膜Aは、第2金属層M2の下端部にアンダーカットが発生することを防止することができる。したがって、回路密着力及び回路安定性の確保がより容易になり得る。また、ファインパターンの実現がより容易になり得る。
【0050】
本発明において、「覆う」という表現は、全体的に覆う場合だけでなく、少なくとも一部を覆う場合を含むことができ、また直接覆う場合だけでなく間接的に覆う場合も含むことができる。また、「充填する」という表現は、完全に充填する場合だけでなく、少なくとも一部を充填する場合を含むことができ、また概ね充填する場合を含むこともできる。例えば、一部の空隙やボイドなどが存在する場合を含むことができる。また、「囲む」という表現は、完全に囲む場合だけでなく、一部を囲む場合及び概ね囲む場合を含むことができる。また、「露出させる」とは、完全に露出させる場合だけでなく、一部を露出させる場合も含むことができ、「露出」は、当該構成を埋め込むことから露出することを意味することができる。例えば、「開口がパッドを露出させる」とは、レジスト層からパッドを露出させることであることができ、露出したパッド上には表面処理層などがさらに配置されることができる。
【0051】
本発明において、実質的には製造工程上で発生する工程誤差や位置偏差、測定時の誤差などを含めて判断することができる。例えば、「実質的に垂直である」とは、完全に垂直な場合だけでなく、ほぼ垂直な場合も含むことができる。また、「実質的に共面をなす」とは、完全に同一平面上に存在する場合だけでなく、ほぼ同一平面上に存在する場合も含むことができる。
【0052】
本発明において、「同じ絶縁材」とは、完全に同一の絶縁材である場合だけでなく、同じタイプの絶縁材を含む意味であることができる。したがって、絶縁材の組成は実質的に同じであるものの、これらの具体的な組成比は少しずつ異なる場合がある。
【0053】
本発明において、断面上における意味は、対象物を垂直に切断したときの断面形状、又は対象物をサイドビューで見たときの断面形状を意味することができる。また、平面上における意味は、対象物を水平に切断したときの平面形状、又は対象物をトップビュー又はボトムビューで見たときの平面形状を意味することができる。
【0054】
本発明において、「下側、下部、下面」などは、便宜上、図面の断面を基準として下方向を意味するものとして使用し、「上側、上部、上面」などは、その反対方向を意味するものとして使用している。但し、これは説明の便宜上、方向を定義したものであり、特許請求の範囲の権利範囲がこのような方向に対する記載によって特に限定されるものではないことは勿論であり、上/下の概念はいつでも変更することができる。
【0055】
本発明において、「連結される」とは、直接連結されることだけでなく、接着剤層などを介して間接的に連結されることを含む概念である。また、「電気的に連結される」とは、物理的に連結される場合及び連結されていない場合の両方を含む概念である。さらに、「第1、第2」などの表現は、ある構成要素と他の構成要素とを区分するために使用されるものであって、当該構成要素の順序及び/又は重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲を逸脱しない範囲内で、第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、同様に、第2構成要素は第1構成要素と命名されてもよい。
【0056】
本発明で使用される「一例」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一例は、他の一例の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一例で説明された事項が、他の一例に説明されていなくても、他の一例において、その事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一例に関連する説明として理解することができる。
【0057】
本発明で使用される用語は、単に一例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0058】
1000:電子機器
1010:メインボード
1020:チップ関連部品
1030:ネットワーク関連部品
1040:その他の部品
1050:カメラ
1060:アンテナ
1070:ディスプレイ
1080:バッテリー
1090:信号ライン
1100:スマートフォン
1110:マザーボード
1120:部品
1121:部品パッケージ
1130:カメラモジュール
1140:スピーカ
100A、100B:プリント回路基板
111、112:絶縁層
121、122:配線パターン
M1、M2:金属層
A:無機酸化膜
AP:突出部
210:レジスト層
H:開口
G:空間
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図4h
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図6h
図6i
図7