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特開2025-6914液体吐出システム及びフィルタ状態判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006914
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】液体吐出システム及びフィルタ状態判定方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B41J2/175 201
B41J2/175 501
B41J2/175 301
B41J2/175 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107963
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(72)【発明者】
【氏名】押谷 優太
(72)【発明者】
【氏名】小林 昭博
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 健太
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA26
2C056EB03
2C056EB16
2C056EB21
2C056EB48
2C056EB51
2C056EC26
2C056FA04
2C056FA13
2C056HA05
2C056KA01
2C056KB04
2C056KB26
2C056KB37
(57)【要約】
【課題】ヘッド流路と供給流路とのそれぞれにフィルタが配置された液体吐出システムであって、いずれのフィルタに異常が生じているかを判別することのできる液体吐出システムを提供する。
【解決手段】液体を吐出する液体吐出システムは、ヘッド流路に位置する第1フィルタと、供給流路に位置する第2フィルタと、供給流路内の液体を流動させるポンプと、供給タンクに貯留された液体の量を検出する第1液量センサと、排出タンクに貯留された液体の量を検出する第2液量センサと、前記第1液量センサの検出値の所定期間における変化量である第1変化量又は前記第2液量センサの検出値の所定期間における変化量である第2変化量に基づいて前記第1フィルタの状態を判定し、且つ前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値又は前記ポンプの回転数に基づいて前記第2フィルタの状態を判定するコントローラとを備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出システムであって、
前記液体を吐出するように構成されたヘッドであり、前記液体を前記ヘッドに供給する供給口と前記ヘッドから前記液体を排出する排出口とを有するヘッドと、
前記供給口に接続された供給タンクと、
前記排出口に接続された排出タンクと、
前記供給タンクに前記液体を供給する供給流路内の前記液体を流動させるポンプと、
前記供給タンクから前記ヘッドを経て前記排出タンクに至るヘッド流路に位置する第1フィルタと、
前記供給流路に位置する第2フィルタと、
前記供給タンクに貯留された前記液体の量を検出する第1液量センサと、
前記排出タンクに貯留された前記液体の量を検出する第2液量センサと、
前記第1液量センサの検出値の所定期間における変化量である第1変化量又は前記第2液量センサの検出値の所定期間における変化量である第2変化量に基づいて前記第1フィルタの状態を判定し、且つ前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値又は前記ポンプの回転数に基づいて前記第2フィルタの状態を判定するコントローラとを備える液体吐出システム。
【請求項2】
前記コントローラは、新たに取得した前記第1変化量の過去に取得した前記第1変化量に対する減少量が減少量閾値以上である場合、又は新たに取得した前記第2変化量の過去に取得した前記第2変化量に対する減少量が前記減少量閾値以上である場合に、前記第1フィルタに関する報知を行う請求項1に記載の液体吐出システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1変化量又は前記第2変化量に基づいて前記第1フィルタの寿命を算出し、該算出した寿命が第1フィルタ用閾値より大きい場合は前記第1フィルタの状態が正常であることを表示する請求項1に記載の液体吐出システム。
【請求項4】
前記コントローラは、新たに取得した前記第1変化量の過去に取得した前記第1変化量に対する減少量が減少量閾値より小さい場合、又は新たに取得した前記第2変化量の過去に取得した前記第2変化量に対する減少量が減少量閾値より小さい場合に、前記第1フィルタの寿命を算出する請求項3に記載の液体吐出システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記算出した寿命が前記第1フィルタ用閾値以下であり、且つ前記第1フィルタ用閾値より小さい第1フィルタ用報知閾値以上である場合は前記算出した寿命を表示する請求項3に記載の液体吐出システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記算出した寿命が前記第1フィルタ用閾値より小さい第1フィルタ用報知閾値よりも小さい場合は前記第1フィルタに関する報知を行う請求項3に記載の液体吐出システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記第1変化量又は前記第2変化量が前記第1変化量又は前記第2変化量の初期値より小さい第1フィルタ用報知閾値以下である場合に前記第1フィルタに関する報知を行う請求項1に記載の液体吐出システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記第1変化量又は前記第2変化量が前記第1変化量又は前記第2変化量の初期値以下であり、且つ該初期値より小さい第1フィルタ用報知閾値よりも大きい場合に前記第1フィルタの寿命を算出し、該算出した寿命を表示する請求項1に記載の液体吐出システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第1変化量又は前記第2変化量の経時的変化の傾きに基づいて前記第1フィルタの寿命を算出する請求項3に記載の液体吐出システム。
【請求項10】
前記供給流路は貯留タンクに接続されており、
前記排出タンクは、前記排出タンク内の前記液体を前記貯留タンクに送る排出流路を介して前記貯留タンクに接続されており、
前記コントローラは、前記供給タンクに貯留された前記液体を前記ヘッド流路を介して前記排出タンクに送る時の前記第2変化量と前記貯留タンクに貯留された前記液体を前記供給流路及び前記ヘッド流路を介して前記排出タンクに送る時の前記第2変化量との比較に基づいて、又は前記供給タンクに貯留された前記液体を前記ヘッド流路を介して前記排出タンクに送る時の前記第1変化量と前記供給タンクに貯留された前記液体を前記ヘッド流路及び前記排出流路を介して前記貯留タンクに送る時の前記第1変化量との比較に基づいて、前記供給タンクと前記排出タンクとの間の差圧が正常であるか否かを判定する請求項1に記載の液体吐出システム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値に基づいて前記第2フィルタの寿命を算出し、該算出した寿命が第2フィルタ用閾値よりも大きい場合は前記第2フィルタの状態が正常であることを表示する請求項1~10のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記算出した寿命が前記第2フィルタ用閾値以下であり、且つ前記第2フィルタ用閾値より小さい第2フィルタ用報知閾値以上である場合は前記算出した寿命を表示する請求項11に記載の液体吐出システム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記算出した寿命が前記第2フィルタ用閾値より小さい第2フィルタ用報知閾値よりも小さい場合は前記第2フィルタに関する報知を行う請求項11に記載の液体吐出システム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値が前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値の初期値より小さい第2フィルタ用報知閾値以下である場合に前記第2フィルタに関する報知を行う請求項1~10のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【請求項15】
前記コントローラは、前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値が前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値の初期値以下であり、且つ該初期値より小さい第2フィルタ用報知閾値より大きい場合に前記第2フィルタの寿命を算出して該算出した寿命を表示する請求項1~10のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【請求項16】
前記コントローラは、前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値の経時的変化の傾きに基づいて前記第2フィルタの寿命を算出する請求項11に記載の液体吐出システム。
【請求項17】
前記コントローラは前記ポンプの回転数に基づいて前記第2フィルタの寿命を算出し、該算出した寿命が第2フィルタ用閾値よりも大きい場合は第2フィルタの状態が正常であることを表示する請求項1~10のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【請求項18】
前記コントローラは前記算出した寿命が第2フィルタ用閾値以下であり、且つ前記第2フィルタ用閾値より小さい第2フィルタ用報知閾値以上である場合は前記算出した寿命を表示する請求項17に記載の液体吐出システム。
【請求項19】
前記コントローラは前記算出した寿命が前記第2フィルタ用閾値より小さい第2フィルタ用報知閾値よりも小さい場合は前記第2フィルタに関する報知を行う請求項17に記載の液体吐出システム。
【請求項20】
前記コントローラは、前記ポンプの回転数が前記ポンプの回転数の初期値より大きい第2フィルタ用報知閾値以上である場合に前記第2フィルタに関する報知を行う請求項1~10のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【請求項21】
前記コントローラは、前記ポンプの回転数が前記ポンプの回転数の初期値以上であり、且つ該初期値より大きい第2フィルタ用報知閾値より小さい場合に前記第2フィルタの寿命を算出して該算出した寿命を表示する請求項1~10のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【請求項22】
前記コントローラは、前記ポンプの回転数の経時的変化の傾きに基づいて前記第2フィルタの寿命を算出する請求項17に記載の液体吐出システム。
【請求項23】
液体を吐出する液体吐出システムのコントローラが実行するフィルタ状態判定方法であって、
前記液体吐出システムは、
前記液体を吐出するように構成されたヘッドであり、前記液体を前記ヘッドに供給する供給口と前記ヘッドから前記液体を排出する排出口とを有するヘッドと、
前記供給口に接続された供給タンクと、
前記排出口に接続された排出タンクと、
前記供給タンクに前記液体を供給する供給流路内の前記液体を流動させるポンプと、
前記供給タンクから前記ヘッドを経て前記排出タンクに至るヘッド流路に位置する第1フィルタと、
前記供給流路に位置する第2フィルタと、
前記供給タンクに貯留された前記液体の量を検出する第1液量センサと、
前記排出タンクに貯留された前記液体の量を検出する第2液量センサとを備え、
前記第1液量センサの検出値の所定期間における変化量である第1変化量又は前記第2液量センサの検出値の所定期間における変化量である第2変化量に基づいて前記第1フィルタの状態を判定することと、
前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値又は前記ポンプの回転数に基づいて前記第2フィルタの状態を判定することとを含むフィルタ状態判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出システム及びフィルタ状態判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルを有するヘッドから媒体(用紙等)に液体(インク等)を吐出して、媒体上に画像を形成する液体吐出システムが用いられている。そのような液体吐出システムにおいては、液体に混入した異物等がノズルに至ることを抑制するために、液体をノズルに供給するための流路にフィルタが配置されている。
【0003】
液体吐出システムが有するフィルタの状態を把握し得る技術として、特許文献1は、「インク滴の体積の減少に基づいてフィルタの目詰まりの程度を推定する推定部」を備えたインクジェット式プリンタを開示している。また、特許文献2は、「インク供給チューブにおいてフィルタよりもインクカートリッジ側に位置する第1領域を流動するインクの流動圧と、インク供給チューブにおいてフィルタよりも記録ヘッド側に位置する第2領域を流動するインクの流動圧との間の圧力差に応じて、フィルタの目詰まりの程度を判別する制御部」を備えた液体噴射装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-112794号公報
【特許文献2】特開2010-228147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
供給タンクからヘッドを経て排出タンクへと液体を流すヘッド流路と、供給タンクへと液体を流す供給流路とのそれぞれにフィルタが配置された液体吐出システムが用いられている。このような液体吐出システムにおいてフィルタの状態を判定しようとする場合、特許文献1に記載された推定部を用いても良好な判定を行うことは難しい。インク滴の体積の減少がヘッド流路に配置されたフィルタの目詰まりにより生じているのか、供給流路に配置されたフィルタの目詰まりにより生じているのかが判別できないためである。
【0006】
また、特許文献2に記載された制御部を用いた場合も良好な判定を行うことは難しい。ヘッド流路周辺の限られた空間にセンサ等を配置して、ヘッド流路に配置されたフィルタの上流側、下流側におけるインクの流動圧をそれぞれ取得することは容易ではないためである。
【0007】
上記に鑑み、本発明は、ヘッド流路と供給流路とのそれぞれにフィルタが配置された液体吐出システムにおいて、いずれのフィルタに異常が生じているかを判別することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に従えば、液体を吐出する液体吐出システムであって、
前記液体を吐出するように構成されたヘッドであり、前記液体を前記ヘッドに供給する供給口と前記ヘッドから前記液体を排出する排出口とを有するヘッドと、
前記供給口に接続された供給タンクと、
前記排出口に接続された排出タンクと、
前記供給タンクに前記液体を供給する供給流路内の前記液体を流動させるポンプと、
前記供給タンクから前記ヘッドを経て前記排出タンクに至るヘッド流路に位置する第1フィルタと、
前記供給流路に位置する第2フィルタと、
前記供給タンクに貯留された前記液体の量を検出する第1液量センサと、
前記排出タンクに貯留された前記液体の量を検出する第2液量センサと、
前記第1液量センサの検出値の所定期間における変化量である第1変化量又は前記第2液量センサの検出値の所定期間における変化量である第2変化量に基づいて前記第1フィルタの状態を判定し、且つ前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値又は前記ポンプの回転数に基づいて前記第2フィルタの状態を判定するコントローラとを備える液体吐出システムが提供される。
【0009】
本発明の第2の態様に従えば、液体を吐出する液体吐出システムのコントローラが実行するフィルタ状態判定方法であって、
前記液体吐出システムは、
前記液体を吐出するように構成されたヘッドであり、前記液体を前記ヘッドに供給する供給口と前記ヘッドから前記液体を排出する排出口とを有するヘッドと、
前記供給口に接続された供給タンクと、
前記排出口に接続された排出タンクと、
前記供給タンクに前記液体を供給する供給流路内の前記液体を流動させるポンプと、
前記供給タンクから前記ヘッドを経て前記排出タンクに至るヘッド流路に位置する第1フィルタと、
前記供給流路に位置する第2フィルタと、
前記供給タンクに貯留された前記液体の量を検出する第1液量センサと、
前記排出タンクに貯留された前記液体の量を検出する第2液量センサとを備え、
前記第1液量センサの検出値の所定期間における変化量である第1変化量又は前記第2液量センサの検出値の所定期間における変化量である第2変化量に基づいて前記第1フィルタの状態を判定することと、
前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値、又は前記ポンプの回転数に基づいて前記第2フィルタの状態を判定することとを含むフィルタ状態判定方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体吐出システム及びフィルタ状態判定方法によれば、ヘッド流路と供給流路とのそれぞれにフィルタが配置された液体吐出システムのユーザは、いずれのフィルタに異常が生じているかを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態のプリンタの概略的な構成図である。
図2図2は、ヘッドシステムの斜視図である。
図3図3は、ヘッドシステムの筐体の側面図である。
図4図4は、サブタンクの分解斜視図である。
図5図5は、サブタンクの底面図である。
図6図6は、サブタンクの右端部近傍と、サブタンクに取り付けられた液面検出部の斜視図である。
図7図7は、ヘッド機構の斜視図である。
図8図8は、ヘッドの平面図である。
図9図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図である。
図10図10は、HPM(Hydraulic Pneumatics Module)の流路構成を示す概略説明図である。
図11図11は、ヘッドフィルタの状態を判定する状態判定プロセスを示すフローチャートである。
図12図12は、フィルタンクセンサとドレインタンクセンサの検出値の時間的変動を示すグラフである。
図13図13(a)はフィルタンクのインク貯留量の変化とフィルタンクセンサの検出値の傾きとの間の関係を説明するためのグラフである。図13(b)はドレインタンクのインク貯留量の変化とドレインタンクセンサの検出値の傾きとの間の関係を説明するためのグラフである。
図14図14(a)はヘッドフィルタの稼働時間とドレインタンクセンサの検出値の傾きとの関係を示すグラフである。図14(b)はヘッドフィルタの寿命の算出方法の一例を説明するための説明図である。
図15図15は、HPMフィルタの流量に基づいてHPMフィルタの状態を判定する状態判定プロセスを示すフローチャートである。
図16図16(a)はHPMフィルタの稼働時間とHPMフィルタの流量との関係を示すグラフである。図16(b)はHPMフィルタの寿命の算出方法の一例を説明するための説明図である。
図17図17は、ポンプの回転数に基づいてHPMフィルタの状態を判定する状態判定プロセスを示すフローチャートである。
図18図18(a)はHPMフィルタの稼働時間とポンプの回転数との関係を示すグラフである。図18(b)はHPMフィルタの寿命の算出方法の他の一例を説明するための説明図である。
図19図19は、ヘッドフィルタの状態を判定する状態判定プロセスの変形例を示すフローチャートである。
図20図20は、HPMフィルタの流量に基づいてHPMフィルタの状態を判定する状態判定プロセスの変形例を示すフローチャートである。
図21図21は、ポンプの回転数に基づいてHPMフィルタの状態を判定する状態判定プロセスの変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態]
実施形態に係るプリンタ1000(「液体吐出システム」の一例)について、図1図18を参照して説明する。
【0013】
<プリンタ1000>
図1に示す通り、プリンタ1000は、4つのヘッドシステム100、プラテン200、搬送ローラ301、302、インクタンク400、HPM(Hydraulic Pneumatics Module)500、空気圧調整器600、コントローラ700、及びこれらを収容する筐体800を主に備える。プリンタ1000は更に、筐体800の外面に位置する表示部900を備える。
【0014】
プリンタ1000に関しては、搬送ローラ301、302が並ぶ方向、即ち画像形成時に媒体PMが搬送される方向を「搬送方向」と呼ぶ。また、水平面内に延び且つ搬送方向と直交する方向を「媒体幅方向」と呼ぶ。
【0015】
4つのヘッドシステム100の各々は、いわゆるラインタイプのヘッド(ヘッドバー)であり、媒体幅方向の両端部においてフレーム100aに支持されている。ヘッドシステム100の具体的な構造、機能は後述する。
【0016】
フレーム100aは、4つのヘッドシステム100の各々の前後方向(後述)をプリンタ1000の搬送方向に一致させ、且つ4つのヘッドシステム100のノズル面40n(後述)をプラテン200の上面に対向させて支持する。
【0017】
プラテン200は、ヘッドシステム100から媒体PMに向けてインク(「液体」の一例)を吐出する際に、媒体PMをヘッドシステム100とは反対側(下方)から支持する板状部材である。
【0018】
搬送ローラ301、302は、プラテン200を搬送方向に挟んで配置されている。搬送ローラ301、302は、ヘッドシステム100が媒体PMに画像を形成する際に、媒体PMを所定の態様で搬送方向に送る搬送装置として機能する。
【0019】
インクタンク400(「貯留タンク」の一例)は、4色のインクを収容できるよう4つのメインタンク410に区分されている。4つのメインタンク410の各々はHPM500により4つのヘッドシステム100の1つに接続されている。
【0020】
HPM500は1つのメインタンク410と1つのヘッドシステム100とを接続するために1つ設けられており、合計で4つ設けられている。HPM500の具体的な構造、機能は後述する。
【0021】
本実施形態では、4つのメインタンク410の各々に互いに異なる4種類のインクが貯留され、4つのヘッドシステム100の各々が互いに異なる4種類のインクのいずれかを吐出する。この4種類のインクは、一例としてシアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクである。
【0022】
空気圧調整器600は、ヘッドシステム100のサブタンク20(後述)内の圧力を調整する機構であり、一例としてポンプである。空気圧調整器600も、1つのヘッドシステム100に対して1つずつ、合計4つ設けられている(図1では代表的に1つのみ図示している)。
【0023】
コントローラ700は、プリンタ1000の各部を全体的に制御することで、各部に媒体PMへの画像形成等を行わせる。コントローラ700は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、EEPROM(Electrically Eracable Programmable Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。なお、コントローラ700はCPU(Central Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備えてもよい。コントローラ700は、PC等の外部装置(不図示)とデータ通信可能に接続されており、当該外部装置から送られた印刷データに基づいてプリンタ1000の各部を制御する。
【0024】
表示部900は、ユーザに対する情報の提示を視覚的に行う装置である。表示部900は具体的には例えば液晶モニタである。
【0025】
<ヘッドシステム100>
図2に示す通り、4つのヘッドシステム100の各々は、筐体10、サブタンク20、液面検出部30、千鳥状に並ぶ10個のヘッド機構40、中継基板50、及び制御基板部60を主に備える。4つのヘッドシステム100は互いに同一の構成を有するため、以下では4つの内の1つに着目して説明する。
【0026】
以下の説明においては、10個のヘッド機構40が千鳥状(ジグザグ状)に並ぶ方向をヘッドシステム100の幅方向と呼び、10個のヘッド機構40とサブタンク20とが並ぶ方向を上下方向と呼ぶ。また、幅方向及び上下方向に直交する方向をヘッドシステム100の前後方向と呼ぶ。
【0027】
前後方向については、図2の紙面手前側、奥側を前後方向の前側、後側とする。幅方向については前後方向の前側から見た際の左側、右側を、幅方向の左側、右側とする。上下方向については、10個のヘッド機構40に対してサブタンク20が位置する側を上側、その反対側を下側とする。
【0028】
なお、ヘッドシステム100がプリンタ1000に搭載された状態においては、ヘッドシステム100の幅方向がプリンタ1000の媒体幅方向に一致し、ヘッドシステム100の前後方向がプリンタ1000の搬送方向に一致する。
【0029】
<筐体10>
筐体10は、例えば金属により形成し得る。筐体10は、第1筐体11と、第1筐体11に対して着脱可能な第2筐体12とを含む。
【0030】
第1筐体11は、天板11a及び底部11b、前壁(図2では第1筐体11の内部を示すために図示を省略している)、後壁11d、左壁11e、及び右壁11fを有する。第1筐体11の内部には、天板11a、底部11b、前壁、後壁11d、左壁11e、及び右壁11fに囲まれた空間S1が画定されている。
【0031】
天板11aは第1領域11a1と、第1領域11a1の右側に位置する第2領域11a2と、第1領域11a1と第2領域11a2との間の垂直領域11a3を有する。第1領域11a1は第2領域11a2より上方に位置している。
【0032】
図3に示すように、左壁11eの上部には電源コネクタCNが設けられており、電源コネクタCNの下方には、前後方向に並ぶ2つの空気流通口AP10が設けられている。2つの空気流通口AP10の下方には、前後方向に並ぶ2つのインク流通口IP10が設けられている。電源コネクタCN、2つの空気流通口AP10及び2つのインク流通口IP10図2では図示を省略している。
【0033】
図2に示す通り、第2筐体12は、天板12a、底板12b、前壁12c、後壁12d、左壁12e、及び右壁12fを有する。第2筐体12が第1筐体11に取り付けられた状態においては、第2筐体12の底板12bが第1筐体11の天板11aの第2領域11a2に当接する。
【0034】
<サブタンク20>
サブタンク20は、ヘッドシステム100に供給されたインクを受け取って、貯留する。サブタンク20に貯留されたインクは、複数のヘッド機構40の各々に分配される。
【0035】
図2に示す通り、サブタンク20は長尺形状を有しており、長手方向がヘッドシステム100の幅方向に一致するように空間S1に配置されている。
【0036】
図4図5に示す通り、サブタンク20は、本体部21と、天板22と、底板23とにより構成されている。底板23の下面にはヒータ24(図5)が貼り付けられている。
【0037】
本体部21は、一例として樹脂により形成されている。本体部21は、ヘッドシステム100の前後方向と直交する面に沿って延びる前壁21c、後壁21dと、ヘッドシステム100の幅方向と直交する面に沿って延びる左壁21e、右壁21fとを有する。本体部21の内部には、前壁21c及び後壁21dと平行な分離壁21wを有する。
【0038】
天板22は、一例として金属により形成された平板である。天板22の平面視形状は、上方から見た本体部21の輪郭の形状と同一である。天板22は、不図示のシールゴムを挟んで本体部21の上端部に固定されている。
【0039】
底板23は、金属により形成された平板である。底板23の平面視形状は、上方から見た本体部21の輪郭の形状と同一である。底板23は、不図示のシールゴムを挟んで本体部21の下端部に固定されている。
【0040】
図4に示すように、サブタンク20においては、本体部21の前壁21c、分離壁21w、左壁21e及び右壁21fと、天板22と、底板23とにより、フィルタンクFT(「供給タンク」の一例)が構成されている。また、本体部21の後壁21d、分離壁21w、左壁21e及び右壁21fと、天板22と、底板23とにより、ドレインタンクDT(「排出タンク」の一例)が構成されている。フィルタンクFTの内部空間INFTとドレインタンクDTの内部空間INDTはそれぞれ閉空間であり互いに対して分離されている。
【0041】
左壁21eには、2つのインク流通口IP20が前後方向に並んで形成されている。前方のインク流通口IP20はフィルタンクFTの内部空間INFTに連通している。後方のインク流通口IP20はドレインタンクDTの内部空間INDTに連通している。
【0042】
天板22には、2つの空気流通口AP20が前後方向に並んで形成されている。前方の空気流通口AP20はフィルタンクFTの内部空間INFTに連通している。後方の空気流通口AP20はドレインタンクDTの内部空間INDTに連通している。また、図10に示す通り、2つの空気流通口AP20はそれぞれ、管路ATにより、筐体10の後側の空気流通口AP10を介して空気圧調整器600に接続されている。
【0043】
底板23の下面には、10個のインク流通口セットSが設けられている(図5)。インク流通口セットSの各々は、1つのインク供給口SPと1つのインク排出口DPとを含む。10個のインク流通口セットSはヘッドシステム100の幅方向に沿って千鳥状(ジグザグ状)に配置されている。各インク流通口セットSにおいては、インク供給口SPとインク排出口DPとが幅方向に並んでいる。
【0044】
本体部21の内側の下部に形成された流路(不図示)により、フィルタンクFTの内部空間INFTが各インク流通口セットSのインク供給口SPと連通しており、ドレインタンクDTの内部空間INDTが各インク流通口セットSのインク排出口DPと連通している。
【0045】
<液面検出部30>
図6に示す通り、液面検出部30は、フィルタンクFTに貯留されたインクの液面の位置を検出するフィルタンクセンサ31(「第1液量センサ」の一例)と、ドレインタンクDTに貯留されたインクの液面の位置を検出するドレインタンクセンサ32(「第2液量センサ」の一例)とを含む。
【0046】
フィルタンクセンサ31、ドレインタンクセンサ32はそれぞれ公知の静電容量式の液面センサである。フィルタンクセンサ31は、サブタンク20の右端部近傍の前壁21cに取り付けられた平板状の検出電極31Eを主に有する。ドレインタンクセンサ32は、サブタンク20の右端部近傍の後壁21dに取り付けられた平板状の検出電極32Eを主に有する。
【0047】
フィルタンクセンサ31は、検出電極31Eとその近傍の接地された金属面とにより疑似的なコンデンサを構成する。接地された金属面は、例えば、フィルタンクセンサ31が内蔵する金属板であってよく、サブタンク20の天板22、底板23等であってもよい。同様に、ドレインタンクセンサ32は、検出電極32Eとその近傍の接地された金属面とにより疑似的なコンデンサを構成する。接地された金属面は、例えば、ドレインタンクセンサ32が内蔵する金属板であってよく、サブタンク20の天板22、底板23等であってもよい。
【0048】
フィルタンクセンサ31、ドレインタンクセンサ32において、疑似的なコンデンサの静電容量値は、内部空間INFTにおける液面の位置、内部空間INDTにおける液面の位置に応じて変化する。フィルタンクセンサ31、ドレインタンクセンサ32はそれぞれ、疑似的なコンデンサの静電容量値をコントローラ700に出力する。
【0049】
<ヘッド機構40>
図7に示す通り、互いに同一の構成である10個のヘッド機構40の各々は、上から順番に、接続プレート41、本体部42、ヘッド43を有する。ヘッド機構40は更に、接続プレート41の上方とヘッド43との間に渡って上下方向に延びる配線接続部WCを有する。
【0050】
接続プレート41には、インク供給管接続部ISC、インク排出管接続部IDCが設けられている。
【0051】
本体部42は、接続プレート41の下面に固定されている。本体部42は、内部に、インク供給管接続部ISCに供給されたインクをヘッド43に供給する流路、及びヘッド43において吐出されなかったインクをインク排出管接続部IDSに戻す流路を有する。
【0052】
ヘッド43は、本体部42の下面に固定されている。図8図9に示す通り、ヘッド43は、流路ユニット431と、圧電アクチュエータ432とを備える。
【0053】
図9に示す通り、流路ユニット431は、インク封止膜431A、プレート431B~431E、及びノズルプレート431Fが、上からこの順に積層された積層構造体である。図8に示す通り、流路ユニット431の内部には、流路CHが形成されている。
【0054】
流路CHは、8個のインク流通口IP43と、4本のマニホールド流路M1、M2、M3、M4と、48個の個別流路iCHとを含む。4本のマニホールド流路M1~M4の各々は、直線状の流路であり、両端部においてインク流通口IP43に連通している。4本のマニホールド流路M1~M4の各々には12個の個別流路iCHが接続している。
【0055】
8個のインク流通口IP43の各々には、ヘッドフィルタFHD(「第1フィルタ」の一例)が位置している。ヘッドフィルタFHDは、インクに混入した異物や気泡を除去するように構成されている。
【0056】
個別流路iCHの各々は、図9に示す通り、圧力室1、ディセンダ流路2、ノズル3を含む。圧力室1の上面はインク封止膜431Aにより形成されている。ディセンダ流路2は圧力室1からノズル3に向けて、上下方向に延びている。ノズル3は、インクを媒体PMに向けて吐出する微小開口であり、ノズルプレート431Fに形成されている。ノズルプレート431Fの下面がヘッド機構40の下面であり、ノズル面40nである。ノズル面40nには、マニホールド流路M1~M4が延びる方向に沿ってノズル列L図8)が形成される。
【0057】
圧電アクチュエータ432は、図9に示す通り、流路ユニット431の上面に設けられた第1圧電層L1と、第1圧電層L1の上方の第2圧電層L2と、第1圧電層L1、第2圧電層L2に挟まれた共通電極cETと、第2圧電層L2の上面に設けられた複数の個別電極iETにより構成されている。複数の個別電極iETは、複数の個別流路iCHの圧力室1の上方にそれぞれが位置するように、第2圧電層L2の上面に設けられている。第2圧電層L2のうち、共通電極cETと複数の個別電極iETの各々とに挟まれた部分は、厚み方向に分極した活性部ACとなる。
【0058】
圧電アクチュエータ432の個別電極iETの各々は、FPC(Flexible Printed Circuits、フレキシブルプリント回路基板)441を介してドライバICが実装された制御基板442に接続されている。制御基板442は本体部42の内部に配置されている。
【0059】
配線接続部WCは基板状である。配線接続部WCの上端部は、接続プレート41の上方に突出している。配線接続部WCは不図示のフレキシブル基板を介して中継基板50(後述)に接続されている。配線接続部WCの下端部は制御基板442に接続されている。
【0060】
ヘッド機構40の各々は、第1筐体11の底部11bに固定されている(図2)。この状態において、各ヘッド機構40のノズル面40nが筐体10の下方に向けて露出する。また、ノズル面40nのノズル列Lはヘッドシステム100の幅方向に沿って延びる。10個のヘッド機構40は、幅方向に沿って千鳥状(ジグザグ状)に配置されている。
【0061】
ヘッド機構40の各々とサブタンク20とは、インク管セットITS(図2)により接続されている。インク管セットITSは1本のインク供給管ISTと1本のインク排出管IDTとを含む。
【0062】
各インク供給管ISTの上端はサブタンク20の各インク流通口セットSのインク供給口SPに接続されている。各インク供給管ISTの下端はヘッド機構40のインク供給管接続部ISCに接続されている。各インク排出管IDTの上端はサブタンク20の各インク流通口セットSのインク排出口DPに接続されている。各インク排出管IDTの下端はヘッド機構40のインク排出管接続部IDCに接続されている。
【0063】
サブタンク20からインク供給管ISTを介してインク供給管接続部ISCに供給されたインクは、本体部42において分岐されてヘッド43のインク流通口IP43に流入する。
【0064】
本体部42の流路は、インク供給管接続部ISCに供給されたインクがマニホールドM1~M4を流れ、マニホールドM1~M4から排出されたインクがインク排出管接続部IDCに流れるように構成されている。マニホールドM1~M4の全てにおいて同一方向にインクが流れるように構成されていてもよく、マニホールドM1、M3におけるインクの流れる方向とマニホールドM2、M4におけるインクの流れる方向とが互いに反対向きとなるように構成されていてもよい。
【0065】
<中継基板50>
中継基板50は、制御基板部60(後述)とヘッド機構40の制御基板442との中継を主に行う。中継基板50は不図示のフレキシブル基板により、10個のヘッド機構40の各々の配線接続部WCに接続されている。
【0066】
中継基板50はまた、不図示の配線により筐体10の電気コネクタCNに接続されており、電気コネクタCNから供給された電力を制御基板部60等に分配する。
【0067】
図2に示すように、中継基板50は、天板11aの第2領域11a2の下面に、第2領域11a2と平行に取り付けられている。即ち、中継基板50の実装面は、第2領域11a2の上下面と平行であり、幅方向及び前後方向を含む面と平行である。
【0068】
<制御基板部60>
制御基板部60は、プリンタ1000のコントローラ700から印刷データ信号を受け取り、中継基板50を介して各ヘッド機構40の制御基板442に送る。制御基板部60は、筐体10の第2筐体12の内部に設けられている(図2)。
【0069】
第2筐体12の底板12bに設けられた開口(不図示)を介して、制御基板部60の端子(不図示)が下方に突出している。第1筐体11の天板11aの第2領域11a2に設けられた開口(不図示)を介して当該端子を中継基板50のコネクタ(不図示)に着脱することにより、第2筐体12の第1筐体11に対する着脱が行われる。
【0070】
<HPM500>
図1に示す通り、4つのHPM500(Hydraulic Pneumatics Moduleの略)の各々は、インクタンク400の4つのメインタンク410の1つと、4つのヘッドシステム100の1つとを接続する。4つのHPM500は互いに同一の構成を有するため、以下では4つの内の1つに着目して説明する。
【0071】
図10に示す通り、HPM500は、ポンプPと、脱気ユニットDUと、5つの流路(流路CH1~CH5)と、5つのバルブ(バルブV1~V5)と、HPMフィルタFHPM(「第2フィルタ」の一例)とを主に備える。
【0072】
流路CH1はメインタンク410とポンプPの吸入口PAとを繋ぐ。流路CH2は、筐体10の前側のインク流通口IP10とサブタンク20の前側のインク流通口IP20とを介して、ポンプPの排出口PBとフィルタンクFTとを繋ぐ。流路CH3は、筐体10の後側のインク流通口IP10とサブタンク20の後側のインク流通口IP20とを介して、流路CH2とドレインタンクDTとを繋ぐ。流路CH4は、流路CH1と流路CH3とを繋ぐ。流路CH5は流路CH2とメインタンク410とを繋ぐ。
【0073】
流路CH3は、流路CH2の分岐J1において、流路CH2に接続されている。流路CH4は、流路CH1の分岐J2において流路CH1に接続されており、流路CH3の分岐J3において流路CH3に接続されている。流路CH5は、流路CH2の分岐J4において流路CH2に接続されている。
【0074】
バルブV1は、流路CH1の、メインタンク410と分岐J2との間に位置する。バルブV2は、流路CH2の、分岐J1とフィルタンクFTとの間に位置する。バルブV3は、流路CH3の、分岐J1と分岐J3との間に位置する。バルブV4は流路CH4に位置する。バルブV5は流路CH5に位置する。バルブV1~バルブV5はそれぞれ、流路CH1~流路CH5の開閉を行う。
【0075】
脱気ユニットDUは、流路CH2の、ポンプPと分岐J4との間に位置する。本実施形態では脱気ユニットDUは、公知の脱気モジュールであり、脱気ユニットDUを通過するインクに含まれるエアなどのガスを取り除く。
【0076】
HPMフィルタFHPMは、流路CH2の、ポンプPと脱気ユニットDUとの間に位置する。
【0077】
以下の説明においては、メインタンク410から、流路CH1、流路CH2を経てフィルタンクFTに至る流路を供給流路SCHと呼ぶ。ドレインタンクDTから、流路CH3、分岐J3、流路CH4、分岐J2、流路CH1、流路CH2、分岐J4、及び流路CH5を経てメインタンク410に至る流路を排出流路DCHと呼ぶ。また、フィルタンクFTから、インク供給管IST、ヘッド43の流路CH、インク排出管IDTを経てドレインタンクDTに至る流路をヘッド流路HCHと呼ぶ。供給流路SCH、排出流路DCHには、HPMフィルタFHPMが位置する。ヘッド流路HCHには、ヘッドフィルタFHDが位置する。
【0078】
<印刷方法>
プリンタ1000による媒体PMへの画像形成は、コントローラ700がプリンタ1000の各部を制御することにより、次のようにして行われる。
【0079】
コントローラ700は、HPM500及び空気圧調整器600を制御することにより、メインタンク410のインクをヘッドシステム100に送る。一例として、コントローラ700は、HPM500の第1バルブV1、第2バルブV2を開き且つ第3バルブV3~第5バルブV5を閉じた状態でポンプPを駆動させることにより、メインタンク410のインクを供給流路SCHを介してフィルタンクFTに送る。
【0080】
空気圧調整器600は、フィルタンクFTの内部空間INFTの空気層(インクの液面の上側の空気が存在する領域)の空気圧が、ドレインタンクDTの内部空間INDTの空気層の空気圧よりも高くなるように調整する。これによりフィルタンクFTのインクは、ヘッド流路HCHに送られる。フィルタンクFTからヘッド流路HCHに送られたインクは、インク供給管ISTを介してヘッド43の流路CHに送られる。ヘッド43においてノズル3から吐出されなかったインクは、インク排出管IDTを介してドレインタンクDTに送られる。
【0081】
なお、ドレインタンクDTからインクを排出する場合は、コントローラ700は例えば、第4バルブV4、第5バルブV5を開き且つ第1バルブV1~第3バルブV3を閉じた状態でポンプPを駆動させる。これにより、ドレインタンクDTのインクが、排出流路DCHを経てメインタンク410に戻される。
【0082】
上記のインク供給と平行して、コントローラ700は、形成する画像に応じた印刷データを制御基板部60に送る。制御基板部60は、中継基板50、及びフレキシブル基板(不図示)を介して各ヘッド機構40の制御基板442に印刷データを送る。各ヘッド機構40の制御基板442は、印刷データに基づいた適切なタイミングで複数の圧電アクチュエータ432の各々を駆動し、適切なタイミングでノズル3からインクを吐出する。
【0083】
コントローラ700は、インク吐出と、搬送ローラ301、302を用いた媒体PMの搬送を交互に行うことにより、印刷データに応じた画像を媒体PMの上に形成する。
【0084】
<フィルタの状態判定>
本実施形態のプリンタ1000が実行するフィルタの状態判定について説明する。フィルタの状態判定は、ヘッドフィルタFHDの状態判定と、HPMフィルタFHPMの状態判定とを含む。ヘッドフィルタFHDの状態判定とHPMフィルタFHPMの状態判定とは、同一のタイミングに前後して行ってもよく、異なるタイミングに行ってもよい。
【0085】
(1)ヘッドフィルタFHDの状態判定
本実施形態のプリンタ1000が実行するヘッドフィルタFHDの状態判定について説明する。本実施形態では、コントローラ700が、状態判定プロセスP100(図11)を実行することにより、ヘッドフィルタFHDの状態判定及び判定結果に応じた情報のユーザへの提示を行う。コントローラ700は、定期的(例えば1日ごと)に状態判定プロセスP100を実行する。
【0086】
コントローラ700は、状態判定プロセスP100において、フィルタンクセンサ31の検出値(静電容量値)の傾き(勾配)X、又はドレインタンクセンサ32の検出値(静電容量値)の傾き(勾配)Yを、ヘッド流路HCHを流れるインクの流量を示す値として利用する。フィルタンクセンサ31の検出値の傾きXとは、フィルタンクセンサ(第1液量センサ)31の検出値の所定期間における変化量であり、「第1変化量」の一例である。ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYとは、ドレインタンクセンサ(第2液量センサ)32の検出値の所定期間における変化量であり、「第2変化量」の一例である。所定期間の長さは任意に設定し得る。フィルタンクセンサ31の検出値の傾きX、又はドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYをヘッド流路HCHを流れるインクの流量を示す値として用いることができる理由は次の通りである。
【0087】
図12において、実線のグラフはフィルタンクセンサ31の検出値(静電容量値)の時間的変動の様子を、破線のグラフはドレインタンクセンサ32の検出値(静電容量値)の時間的変動の様子をそれぞれ示す。図12の縦軸は検出値(静電容量値)であり、横軸は時間である。
【0088】
インクの誘電率は一般的に空気の誘電率よりも高いため、フィルタンクFT内のインクの貯留量が増えると(即ち、液面位置が上昇すると)、フィルタンクセンサ31が構成している疑似的なコンデンサの静電容量値(即ち、フィルタンクセンサ31の検出値)が大きくなる。反対に、フィルタンクFT内のインクの貯留量が減ると(即ち、液面位置が低下すると)、フィルタンクセンサ31が構成している疑似的なコンデンサの静電容量値(即ち、フィルタンクセンサ31の検出値)が小さくなる。この点は、ドレインタンクセンサ32の検出値についても同様である。
【0089】
したがって、図13(a)に示すように、期間PP(「所定期間」の一例。任意の長さであり得る)におけるフィルタンクFT内のインクの貯留量の増加幅が大きい場合は、フィルタンクセンサ31の検出値の増加幅も大きくなり、結果としてフィルタンクセンサ31の検出値の傾きXが大きくなる。期間PPにおけるフィルタンクFT内のインクの貯留量の増加幅が小さいと傾きXも小さくなり、期間PPにおけるフィルタンクFT内のインクの貯留量の増加がゼロであれば傾きXもゼロになる。また、期間PPにおいてフィルタンクFT内のインクの貯留量が減少する場合は、傾きXは負値となる。
【0090】
この関係は、ドレインタンクセンサ32についても同様である。図13(b)に示すように、期間PPにおけるドレインタンクDT内のインクの貯留量の増加幅が大きい場合は、ドレインタンクセンサ32の検出値の増加幅も大きくなり、結果としてドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYが大きくなる。期間PPにおけるドレインタンクDT内のインクの貯留量の増加幅が小さいと傾きYも小さくなり、期間PPにおけるドレインタンクDT内のインクの貯留量の増加がゼロであれば傾きYもゼロになる。また、期間PPにおいてドレインタンクDT内のインクの貯留量が減少する場合は、傾きYは負値となる。
【0091】
ここで、フィルタンクFTへのインクの供給及びヘッド43からのインクの吐出を停止した状態で、フィルタンクFTからドレインタンクDTにヘッド流路HCHを介してインクを供給する場合の傾きXの大きさを考える。この場合、傾きXはフィルタンクFTからの流出量、即ちヘッド流路HCHを流れるインクの流量に応じた大きさとなる。同様に、ドレインタンクDTからのインクの排出及びヘッド43からのインクの吐出を停止した状態で、フィルタンクFTからドレインタンクDTへとヘッド流路HCHを介してインクを供給する場合の傾きYの大きさを考える。この場合、傾きYはドレインタンクDTへのインクの流入量、即ちヘッド流路HCHを流れるインクの流量に応じた大きさとなる。
【0092】
このように、所定の状態における傾きX、Yの大きさは、ヘッド流路HCHを流れるインクの流量に応じた大きさとなる。よってコントローラ700は、フィルタンクセンサ31の検出値の傾きX、又はドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYをヘッド流路HCHを流れるインクの流量を示す値として用いることができる。
【0093】
以下では、ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYをヘッド流路HCHを流れるインクの流量を示す値として用いる場合を例として状態判定プロセスP100を説明する。状態判定プロセスP100は、フィルタンクセンサ31の検出値の傾きXをヘッド流路HCHを流れるインクの流量を示す値として用いる場合も以下の説明と同様の手順で実施することができる。なお、冗長性を持たせるため、フィルタンクセンサ31の検出値の傾きXを用いた状態判定プロセスP100の実行と、ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYを用いた状態判定プロセスP100の実行とを並行して、或いは前後して行ってもよい。この場合、一方の判定結果は、他方の判定結果にエラーや異常値等の不具合が生じた場合に予備として使用し得る。
【0094】
状態判定プロセスP100(図11)のステップS101において、コントローラ700は、フィルタンクFTとドレインタンクDTとの間の差圧PDが適切に制御されているか否かを判定する。
【0095】
コントローラ700は、差圧PDが適切に制御されているか否かの判定を、次の手順により行う。
【0096】
コントローラ700は、まず、HPM500と空気圧調整器600とを制御して、メインタンク410のインクを供給流路SCH及びヘッド流路HCHを介してドレインタンクDTに送る。この状態で、コントローラ700は、ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYを取得する。次いで、コントローラ700は、供給流路SCHからフィルタンクFTへのインクの供給を止め、空気圧調整器600を制御してフィルタンクFTのインクをヘッド流路HCHを介してドレインタンクDTに送る。この状態で、コントローラ700は、ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYを取得する。その後、コントローラ700は、メインタンク410のインクをドレインタンクDTに送りながら取得した傾きYと、フィルタンクFTのインクをドレインタンクDTに送りながら取得した傾きYとを比較し、両値が等しければ差圧PDが適切に制御されていると判断する。フィルタンクFTへのインクの供給の有無(換言すれば、フィルタンクFTの液面変化の有無)に拘わらずドレインタンクDTに送られるインクの量が同一であれば、差圧PDが適切に制御されていると考えられるためである。一方で、両値が異なる場合は差圧PDが適切に制御されていないと判断する。
【0097】
なお、コントローラ700は、フィルタンクFTのインクをドレインタンクDTに送りながら取得した傾きXと、フィルタンクFTのインクをヘッド流路HCHと排出流路DCHを介してメインタンク410に送りながら取得した傾きXとの比較に基づいて、差圧PDが適切に制御されているか否かを判定してもよい。この場合も、両値が等しければ差圧PDが適切に制御されていると判断する。
【0098】
コントローラ700は、差圧PDが適切に制御されていないと判定した場合(ステップS101:NO)は、差圧PDの制御に異常が生じていることを示す情報を表示部900に表示し(ステップS107)、状態判定プロセスP100を終了する。
【0099】
コントローラ700は、差圧PDが適切に制御されていると判定した場合(ステップS101:YES)は、ステップS102において、ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYについて、前回の状態判定プロセスP100実行時からの傾き減少量が減少量閾値THΔYよりも小さいか否かを判定する。傾き減少量が減少量閾値THΔYよりも小さいことは、ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYが前回の状態判定プロセスP100実行時と比較して、大幅に減少していないことを意味する。なお、このようなドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYの短期間での大幅な減少は、比較的大きい異物をヘッドフィルタFHDが捕捉した場合等に生じ得る。
【0100】
コントローラ700はまず、前回の状態判定プロセスP100実行時に取得したドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYを傾きY0、今回の状態判定プロセスにおいて新たに取得したドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYを傾きY1として、式(1)により傾き減少量ΔYを算出する(なお、傾きY0、傾きY1はそれぞれ、ヘッド流路HCHの流量に応じた値となるような状況で取得された値である)。
ΔY=Y0-Y1 … 式(1)
【0101】
その後、コントローラ700は、算出した傾き減少量ΔYを、減少量閾値THΔYと比較する。コントローラ700は、傾き減少量ΔYが減少量閾値THΔY以上である場合(S102:NO)は、プロセスをステップS108に進め、ヘッドメンテナンスアラート(「第1フィルタに関する報知」の一例)を行う。具体的には、コントローラ700は、ヘッド43のメンテナンス(具体的には例えば、ヘッドフィルタFHDの交換、ヘッド43の交換等)が必要であることを示す情報を表示部900に表示する。なお、コントローラ700がステップS108において行うヘッドメンテナンスアラートは、傾きY(即ち、ヘッド流路HCHを流れるインクの流量)の急な減少に基づくものであり、緊急性の高いものであると考えられる。そのため、コントローラ700は、ユーザに即時の交換を促す旨の情報を表示してもよい。その後、コントローラ700は状態判定プロセスP100を終了する。
【0102】
コントローラ700は、傾き減少量ΔYが減少量閾値THΔYより小さい場合(S102:YES)は、プロセスをステップS103に進める。ステップS103において、コントローラ700は、ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYに基づいて、ヘッドフィルタFHDの寿命(残り寿命。残存する使用可能期間)を算出する。
【0103】
コントローラ700は、本実施形態では、次の手順によりヘッドフィルタFHDの寿命を算出する。
【0104】
図14(a)に示す通り、ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きY(ヘッド流路HCHの流量に応じた値となるような状況で取得された値)は、プリンタ1000の稼働時間(ひいてはヘッドフィルタFHDの稼働時間)が増えるに従って小さくなる。これは、ヘッドフィルタFHDに使用に伴う劣化又は微小な目詰まりの蓄積等が生じ、ヘッドフィルタFHDを流通するインクの量、換言すればヘッド流路HCHを流れるインクの量が減少するためである。そしてドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYが閾値THまで低下した時点で、ヘッドフィルタFHDが使用に適さない状態になったと考えることができる。
【0105】
ここで、現在の稼働時間を稼働時間OH1、ドレインタンクセンサ32の検出部の傾きYが閾値THまで低下した時点の稼働時間を稼働時間OH2とすると、稼働時間OH1から稼働時間OH2までの期間がヘッドフィルタFHDの寿命LTHDに相当する。
【0106】
上記に鑑み、コントローラ700は、これまでに実行した状態判定プロセスP100において蓄積した傾きY(ヘッド流路HCHの流量に応じた値となるような状況で取得された値)の時系列データSDに基づいて、ヘッドフィルタFHDの寿命LTHDを算出する。コントローラ700は例えば、時系列データSDに基づいて傾きYの経時的変化の傾きを求めることにより、寿命LTHDを算出する。コントローラ700は、具体的には例えば、図14(b)に示すように、傾きYの時系列データSDを通る直線を最小二乗法等の線形近似手法により求め、当該直線が示す傾きYの値が閾値THに一致する点A1を求める。そして、ヘッドフィルタFHDの寿命LTHDを、点A1が示す稼働時間OH2と現在の可動時間OH1との差分として算出する。
【0107】
コントローラ700は、ステップS103においてヘッドフィルタFHDのフィルタ寿命LTHDを算出した後、ステップS104において、フィルタ寿命LTHDが第1閾値TH1HD(「第1フィルタ用閾値」の一例)以下であるか否かを判定する。第1閾値TH1HDは、一例として数か月~数年程度とし得る。
【0108】
コントローラ700は、フィルタ寿命LTHDが第1閾値TH1HDよりも大きい場合(S104:NO)は、ヘッドフィルタFHDの状態が正常であることを示す情報を表示部900に表示し(S109)、状態判定プロセスP100を終了する。ヘッドフィルタFHDの状態が正常であることを示す情報は例えば、「正常」である旨の文字情報やアイコンであってよい。フィルタ寿命LTHDが第1閾値TH1HDよりも大きい旨の表示も、ヘッドフィルタFHDの状態が正常であることを示す情報の表示の一例である。
【0109】
コントローラ700は、フィルタ寿命LTHDが第1閾値TH1HD以下である場合(S104:YES)は、ステップS105において、フィルタ寿命LTHDが第2閾値TH2HD(「第1フィルタ用報知閾値」の一例)よりも小さいか否かを判定する。第2閾値TH2HDは第1閾値TH1HDよりも小さい値であり、一例として数日~数週間程度とし得る。
【0110】
コントローラ700は、フィルタ寿命LTHDが第2閾値TH2HD以上である場合(S105:NO)は、ステップS103で算出したフィルタ寿命LTHDを表示部900に表示し(S110)、状態判定プロセスP100を終了する。なお、ステップS110において、コントローラ700は、フィルタ寿命LTHDをヘッド42の寿命として表示してもよい。コントローラ700は、フィルタ寿命LTHDが第2閾値TH2HDより小さい場合(S105:YES)は、プロセスをステップS106に進め、ヘッドメンテナンスアラート(「第1フィルタに関する報知」の一例)を行う。具体的には、コントローラ700は、ヘッド43のメンテナンス(具体的には例えば、ヘッドフィルタFHDの交換、ヘッド43の交換等)が必要であることを示す情報を表示部900に表示する。なお、コントローラ700がステップS106において行うヘッドメンテナンスアラートは、傾きY(即ち、ヘッド流路HCHを流れるインクの流量)の予め想定された漸次的な減少に基づくものであり、ステップS108において行うヘッドメンテナンスアラートと比較すると緊急性は高くないと考えられる。そのため、コントローラ700は、ステップS108とは異なる態様の表示を行なって良く、例えば、ユーザに近日中の交換を促す旨の情報を表示してもよい。その後、コントローラ700は状態判定プロセスP100を終了する。
【0111】
(2)HPMフィルタFHPMの状態判定
本実施形態のプリンタ1000が実行するHPMフィルタFHPMの状態判定について説明する。本実施形態のプリンタ1000は、HPMフィルタFHPMの流量Qに基づくHPMフィルタFHPMの状態判定と、ポンプPの回転数に基づくHPMフィルタFHPMの状態判定との少なくとも一方を実行する。
【0112】
(2-1)HPMフィルタFHPMの流量Qに基づく状態判定
まず、HPMフィルタFHPMの流量Qに基づくHPMフィルタFHPMの状態判定について説明する。プリンタ1000は例えば、ポンプPの回転数がフィードバック制御されておらず、HPMフィルタFHPMの状態にかかわらずポンプPの回転数が一定である態様において、HPMフィルタFHPMの流量Qに基づくHPMフィルタFHPMの状態判定を行い得る。本実施形態では、コントローラ700が、図15のフローチャートに示す状態判定プロセスP200を実行することにより、HPMフィルタFHPMの状態判定、及び判定結果に応じた情報のユーザへの提示を行う。コントローラ700は、定期的(例えば1日ごと)に状態判定プロセスP200を実行する。
【0113】
ステップS201において、コントローラ700は、HPMフィルタFHPMの流量Qを推定する。コントローラ700は、具体的には例えば、次の方法により流量Qを推定する。
【0114】
コントローラ700はまず、HPM500と空気圧調整器600とを制御して、メインタンク410のインクを、供給流路SCH及びヘッド流路HCHを介してドレインタンクDTに送る。この時、コントローラ700は、ドレインタンクDTから排出流路DCHへのインクの排出は行わない。この状態で、コントローラ700は、フィルタンクセンサ31の検出値の傾きXと、ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYとを取得する。
【0115】
図10に示すように、所定期間に供給流路SCHからフィルタンクFTに流入するインクの流量を流入量QFIN、所定期間にフィルタンクFTからヘッド流路HCHに流出するインクの流量を流出量QFOUTとすると、所定期間におけるフィルタンクFT内のインクの貯留量の変化量ΔQFは、式(2)で表される。
ΔQF=QFIN-QFOUT … 式(2)
【0116】
また、所定期間にヘッド流路HCHからドレインタンクDTに流入するインクの流量を流入量QDIN、所定期間にドレインタンクDTから排出流路DCHに流出するインクの流量を流出量QDOUTとすると、所定期間におけるドレインタンクDT内のインクの貯留量の変化量ΔQDは、式(3)で表される。
ΔQD=QDIN-QDOUT … 式(3)
【0117】
ここで、メインタンク410のインクを供給流路SCH及びヘッド流路HCHを介してドレインタンクDTに送る場合、ヘッド42からの液体の吐出を行わないため、流出量QFOUTと流入量QDINとは互いに等しい。また、ドレインタンクDTから排出流路DCHへのインクの排出を行わないため流出量QDOUTはゼロである。これらの条件と式(2)、式(3)とに基づき式(4)を得ることが出来る。
ΔQF+ΔQD=QFIN … 式(4)
【0118】
式(4)の左辺は、所定期間におけるフィルタンクFT内のインクの貯留量の変化量ΔQFと所定期間におけるドレインタンクDT内のインクの貯留量の変化量ΔQDの和である。この値(ΔQF+ΔQD)は、図13(a)、図13(b)に示す対応関係に基づき、フィルタンクセンサ31の検出値の傾きXとドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYとの和に応じた値となる。一方で、式(4)の右辺は供給流路SCHからフィルタンクFTに流入するインクの流量であり、HPMフィルタFHPMの流量Qに等しい。
【0119】
したがって、コントローラ700は、メインタンク410のインクを、ドレインタンクDTから排出流路DCHへのインクの排出を行わない状態で、供給流路SCH及びヘッド流路HCHを介してドレインタンクDTに送りながら、フィルタンクセンサ31の検出値の傾きXとドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYとを取得する。そして、取得した傾きXと傾きYとの和に基づいてHPMフィルタFHPMの流量Qを推定する。傾きXと傾きYとの和は、「第1変化量と第2変化量とに基づく値」の一例である。なお、「第1変化量と第2変化量とに基づく値」は、傾きXと傾きYとの単純和の他、例えば流量Qの推定値の精度をより高めるために傾きX及び/又は傾きYに係数を掛けて補正した値等であってもよい。
【0120】
なお、コントローラ700は、フィルタンクFTのインクをヘッド流路HCH及び排出流路DCHを介してメインタンク410に送りながらフィルタンクセンサ31の検出値の傾きXと、ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYを取得してもよい。この時、コントローラ700は、供給流路SCHからフィルタンクFTへのインクの供給は行わない。この場合は、流入量QFINはゼロとなり、流出量QFOUTと流入量QDINとは互いに等しくなる。これらの条件と式(2)、式(3)とに基づき、式(5)を得ることが出来る。
-(ΔQF+ΔQD)=QDOUT … 式(5)
【0121】
式(5)の右辺はドレインタンクDTから排出流路DCHに流入するインクの流量であり、HPMフィルタFHPMの流量Qに等しい。したがってコントローラ700は、取得した傾きXと傾きYとの和に基づいてHPMフィルタFHPMの流量Qを推定し得る。
【0122】
ステップS202において、コントローラ700は、推定したHPMフィルタFHPMの流量Qに基づいてHPMフィルタFHPMの寿命を算出する。コントローラ700は、状態判定プロセスP100のステップS103と実質的に同一の手法により、HPMフィルタFHPMの寿命を算出し得る。
【0123】
具体的には、図16(a)に示す通り、HPMフィルタFHPMの流量Qは、プリンタ1000の稼働時間(ひいてはHPMフィルタFHPMの稼働時間)が増えるに従って小さくなる。これは、HPMフィルタFHPMに使用に伴う劣化又は微小な目詰まりの蓄積等が生じ、HPMフィルタFHPMを流通するインクの量、換言すれば供給流路SCH及び排出流路DCHを流れるインクの量が減少するためである。そしてHPMフィルタFHPMの流量Qが閾値THまで低下した時点で、HPMフィルタFHPMが使用に適さない状態になったと考えることができる。
【0124】
ここで、現在の稼働時間を稼働時間OH1、HPMフィルタFHPMの流量Qが閾値THまで低下した時点の稼働時間を稼働時間OH2とすると、稼働時間OH1から稼働時間OH2までの期間がHPMフィルタFHPMの寿命LTHPMに相当する。
【0125】
上記に鑑み、コントローラ700は、これまでに実行した状態判定プロセスP200において蓄積したHPMフィルタFHPMの流量Qの時系列データSDに基づいて、HPMフィルタFHPMの寿命LTHPMを推定する。コントローラ700は例えば、時系列データSDに基づいて流量Qの経時的変化の傾きを求めることにより、寿命LTHMPを算出する。コントローラ700は、具体的には例えば、図16(b)に示すように、HPMフィルタFHPMの流量Qの時系列データSDを通る直線を最小二乗法等の線形近似手法により求め、当該直線が示す流量Qの値が閾値THに一致する点A2を求める。そして、HPMフィルタFHPMの寿命LTHPMを、点A2が示す稼働時間OH2と現在の稼働時間OH1との差分として算出する。
【0126】
ステップS203において、コントローラ700は、算出したフィルタ寿命LTHPMが第1閾値TH1HPM(「第2フィルタ用閾値」の一例)以下であるか否かを判定する。第1閾値TH1HPMは、一例として数か月~数年程度とし得る。
【0127】
コントローラ700は、フィルタ寿命LTHPMが第1閾値TH1HPMより大きい場合(S203:NO)は、HPMフィルタFHPMの状態が正常であることを示す情報を表示部900に表示し(S206)、状態判定プロセスP200を終了する。HPMフィルタFHPMの状態が正常であることを示す情報は例えば、「正常」である旨の文字情報やアイコンであってよい。フィルタ寿命LTHPMが第1閾値TH1HPMよりも大きい旨の表示も、HPMフィルタFHPMの状態が正常であることを示す情報の表示の一例である。
【0128】
コントローラ700は、フィルタ寿命LTHPMが第1閾値TH1HPM以下である場合(S203:YES)は、ステップS204において、フィルタ寿命LTHPMが第2閾値TH2HPM(「第2フィルタ用報知閾値」の一例)よりも小さいか否かを判定する。第2閾値TH2HPMは第1閾値TH1HPMよりも小さい値であり、一例として数日~数週間程度とし得る。
【0129】
コントローラ700は、フィルタ寿命LTHPMが第2閾値TH2HPM以上である場合(S204:NO)は、ステップS202で算出したフィルタ寿命LTHPMを表示部900に表示し(S207)、状態判定プロセスP200を終了する。コントローラ700は、フィルタ寿命LTHPMが第2閾値TH2HPMより小さい場合(S204:YES)は、プロセスをステップS205に進め、HPMメンテナンスアラート(「第2フィルタに関する報知」の一例)を行う。具体的には、コントローラ700は、HPM500のメンテナンス(具体的には例えば、HPMフィルタFHPMの交換)が必要であることを示す情報を表示部900に表示する。その後、コントローラ700は状態判定プロセスP200を終了する。
【0130】
(2-2)ポンプPの回転数に基づく状態判定
ポンプPの回転数に基づくHPMフィルタFHPMの状態判定について説明する。プリンタ1000は例えば、ポンプPの回転数がフィードバック制御されており、HPMフィルタFHPMの状態に応じてポンプPの回転数が変化する態様においては、ポンプPの回転数に基づくHPMフィルタFHPMの状態判定を行い得る。本実施形態では、コントローラ700が、図17のフローチャートに示す状態判定プロセスP300を実行することにより、HPMフィルタFHPMの状態判定、及び判定結果に応じた情報のユーザへの提示を行う。コントローラ700は、定期的(例えば1日ごと)に状態判定プロセスP300を実行する。
【0131】
ステップS301において、コントローラ700は、ポンプPの回転数を取得する。具体的には例えば、ポンプPに内蔵されたエンコーダ(不図示)等のセンサからポンプPの回転数を示す信号を受信する。
【0132】
ステップS302において、コントローラ700は、ポンプPの回転数に基づいてHPMフィルタFHPMの寿命を算出する。コントローラ700は、状態判定プロセスP100のステップS103と実質的に同一の手法により、HPMフィルタFHPMの寿命を算出し得る。
【0133】
具体的には、図18(a)に示す通り、ポンプPの回転数は、プリンタ1000の稼働時間(ひいてはHPMフィルタFHPMの稼働時間)が増えるに従って大きくなる。これは、HPMフィルタFHPMに使用に伴う劣化が生じ、HPMフィルタFHPMを流通するインクの量を一定に保つためにポンプPの回転数を上げる必要が生じるためである。そしてポンプPの回転数が閾値THまで上昇した時点で、HPMフィルタFHPMが使用に適さない状態になったと考えることができる。なお、コントローラ700は例えば、供給流路SCHに位置する流量計(不図示)の検出値、又はフィルタンクセンサ31の検出値の傾きXとドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYの和などに基づいて、HPMフィルタFHPMを流通するインクの量が一定に保たれていると把握することが出来る。
【0134】
上記に鑑み、コントローラ700は、これまでに実行した状態判定プロセスP300において蓄積したポンプPの回転数の時系列データSDに基づいて、HPMフィルタFHPMの寿命LTHPMを推定する。コントローラ700は例えば、時系列データSDに基づいてポンプPの回転数の経時的変化の傾きを求めることにより、寿命LTHMPを算出する。コントローラ700は、具体的には例えば、図18(b)に示すように、ポンプPの回転数の時系列データSDを通る直線を最小二乗法等の線形近似手法により求め、当該直線が示す回転数の値が閾値THに一致する点A3を求める。そして、HPMフィルタFHPMの寿命LTHPMを、点A3が示す稼働時間OH2と現在の稼働時間OH1との差分として算出する。
【0135】
ステップS303において、コントローラ700は、算出したフィルタ寿命LTHPMが第1閾値TH1HPM(「第2フィルタ用閾値」の一例)以下であるか否かを判定する。第1閾値TH1HPMは、一例として数か月~数年程度とし得る。
【0136】
コントローラ700は、フィルタ寿命LTHPMが第1閾値TH1HPMより大きい場合(S303:NO)は、ヘッドフィルタFHPMの状態が正常であることを示す情報を表示部900に表示し(S306)、状態判定プロセスP300を終了する。HPMフィルタFHPMの状態が正常であることを示す情報は例えば、「正常」である旨の文字情報やアイコンであってよい。フィルタ寿命LTHPMが第1閾値TH1HPMよりも大きい旨の表示も、HPMフィルタFHPMの状態が正常であることを示す情報の表示の一例である。
【0137】
コントローラ700は、フィルタ寿命LTHPMが第1閾値TH1HPM以下である場合(S303:YES)は、ステップS304において、フィルタ寿命LTHPMが第2閾値TH2HPM(「第2フィルタ用報知閾値」の一例)よりも小さいか否かを判定する。第2閾値TH2HPMは第1閾値TH1HPMよりも小さい値であり、一例として数日~数週間程度とし得る。
【0138】
コントローラ700は、フィルタ寿命LTHPMが第2閾値TH2HPM以上である場合(S304:NO)は、ステップS302で算出したフィルタ寿命LTHPMを表示部900に表示し(S307)、状態判定プロセスP300を終了する。コントローラ700は、フィルタ寿命LTHPMが第2閾値TH2HPMより小さい場合(S304:YES)は、ステップS305においてHPMメンテナンスアラート(「第2フィルタに関する報知」の一例)を行う。具体的には、コントローラ700は、HPM500のメンテナンス(具体的には例えば、HPMフィルタFHPMの交換)が必要であることを示す情報を表示部900に表示する。その後、コントローラ700は状態判定プロセスP300を終了する。
【0139】
本実施形態のプリンタ1000、及びフィルタの状態判定の有利な効果を以下にまとめる。
【0140】
本実施形態のプリンタ1000においては、コントローラ700が、状態判定工程P100と、状態判定工程P200又は状態判定工程P300とを実行する。したがって、ヘッドフィルタFHDの状態とHPMフィルタFHPMの状態とを互いに対して独立して判定することができ、ヘッドフィルタFHDとHPMフィルタFHPMの内のいずれのフィルタに異常が生じているかを判別することができる。
【0141】
本実施形態のプリンタ1000においては、ヘッドシステム100の液面検出部30(即ち、フィルタンクセンサ31及びドレインタンクセンサ32)及び/又はHPM500のポンプPの回転数を用いて状態判定プロセスP100と状態判定プロセスP200又は状態判定プロセスP300とを実行する。したがって、ヘッドフィルタFHDの状態、HPMフィルタFHPMの状態を判定するための専用のセンサ等を設ける必要がなく、プリンタ1000の小型化及びプリンタ1000の製造コスト低減の点において有利である。また、ヘッドフィルタFHDの状態、HPMフィルタFHPMの状態を判定するための専用の構造を要さないため、流路構造が複雑にならない。
【0142】
本実施形態のプリンタ1000において、コントローラ700は、差圧PDが適切に制御されているか否かの判定(状態判定プロセスP100、ステップS101)を行い、差圧PDが適切に制御されていると判定した場合にヘッドフィルタHFDの寿命を算出する(状態判定プロセスP100、ステップS103)。したがって、より高い精度で寿命の算出を行うことができる。差圧PDが適切に制御されているか否かの判定を行わない場合、ヘッド流路HSCの流量の変化が、ヘッドフィルタHFDの状態変化ではなく、空気圧調整器600が適切に制御されていないことに起因する可能性が生じ得る。そのため、算出された寿命の精度、信頼性等が低下し得る。
【0143】
本実施形態のプリンタ1000において、コントローラ700は、フィルタンクセンサ31の検出値の傾きX、又はドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYが、短期間に急激に減少したか否かの判定を行う(状態判定プロセスP100、ステップS102)。したがって、異物の混入等によるヘッドフィルタFHDの目詰まりの発生を適切に検出することができる。
【0144】
[変形例]
上記実施形態において、次の変形態様を用いることも出来る。
【0145】
(変形例1)
上記実施形態においては、コントローラ700は状態判定プロセスP100(図11)を実行することによりヘッドフィルタFHDの状態判定を行う。しかしながら、ヘッドフィルタFHDの状態判定を行うための工程は様々であり、状態判定プロセスP100に従うものには限られない。
【0146】
具体的には例えば、コントローラ700は、図19に示す状態判定プロセスP400を実行することによりヘッドフィルタFHDの状態判定を行い得る。状態判定プロセスP400の、状態判定プロセスP100に対する主な相違点は、ヘッドフィルタFHDの寿命と閾値の比較ではなく、フィルタンクセンサ31の検出値の傾きX又はドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYと閾値との比較に基づいて表示部900に対する表示内容を決定する点である。状態判定プロセスP400の、状態判定プロセスP100に対する主な相違点は、図11のフローチャートと図19のフローチャートとに着目すると、ステップS103~S105に代えてステップS403、S404を行う点である。
【0147】
以下では、ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYをヘッド流路HCHを流れるインクの流量を示す値として用いる場合を例として状態判定プロセスP400を説明する。状態判定プロセスP400は、フィルタンクセンサ31の検出値の傾きXをヘッド流路HCHを流れるインクの流量を示す値として用いる場合も以下の説明と同様の手順で実施することができる。
【0148】
状態判定プロセスP400のステップS401において、コントローラ700は、フィルタンクFTとドレインタンクDTとの間の差圧PDが適切に制御されているか否かを判定する。ステップS401は具体的には、状態判定プロセスP100のステップS101と同一とし得る。
【0149】
コントローラ700は、差圧PDが適切に制御されていないと判定した場合(ステップS401:NO)は、差圧PDの制御に異常が生じていることを示す情報を表示部900に表示し(ステップS406)、状態判定プロセスP400を終了する。
【0150】
コントローラ700は、差圧PDが適切に制御されていると判定した場合(ステップS401:YES)は、ステップS402において、ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYが、前回の状態判定プロセスP400実行時と比較して、大幅に減少したか否かを判定する。ステップS402は具体的には、状態判定プロセスP100のステップS102と同一とし得る。即ちコントローラ700は、傾き減少量ΔYが減少量閾値THΔYより小さいか否かの判定を行う。
【0151】
コントローラ700は、傾き減少量ΔYが減少量閾値THΔY以上である場合(S402:NO)は、プロセスをステップS407に進め、ヘッドメンテナンスアラート(「第1フィルタに関する報知」の一例)を行う。具体的には、コントローラ700は、ヘッド43のメンテナンス(具体的には例えば、ヘッドフィルタFHDの交換、ヘッド43の交換等)が必要であることを示す情報を表示部900に表示する。なお、コントローラ700がステップS407において行うヘッドメンテナンスアラートは、傾きY(即ち、ヘッド流路HCHを流れるインクの流量)の急な減少に基づくものであり、緊急性の高いものであると考えられる。そのため、コントローラ700は、ユーザに即時の交換を促す旨の情報を表示してもよい。その後、コントローラ700は状態判定プロセスP400を終了する。
【0152】
コントローラ700は、傾き減少量ΔYが減少量閾値THΔYより小さい場合(S402:YES)は、ステップS403において、ドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYが初期値IVより小さいか否かを判定する。ここで、初期値IVとは、ヘッドフィルタFHDの使用開始時におけるドレインタンクセンサ32の検出値の傾きYの値である。初期値IVは例えば、新しいヘッドフィルタFHDをヘッド43に取り付けた後、或いは新しいヘッド43をプリンタ1000に取り付けた後、初めてヘッドフィルタFHDにインクを流した時の測定により取得され得る。
【0153】
コントローラ700は、傾きYが初期値IV以上である場合(S403:NO)は、ヘッドフィルタFHDの状態が正常であることを示す情報を表示部900に表示し(S408)、状態判定プロセスP400を終了する。コントローラ700は、傾きYが初期値IVより小さい場合(S403:YES)は、ステップS404において、傾きYが第3閾値TH3HD(「第1フィルタ用報知閾値」の一例。第3閾値TH3HDは初期値IVより小さい値である)以下であるか否かを判定する。
【0154】
傾きYが第3閾値TH3HDより大きい場合(S404:NO)は、コントローラ700は、ステップS409において、ヘッドフィルタFHDの寿命を算出して当該算出した寿命を表示部900に表示する。なお、ヘッドフィルタFHDの寿命の算出は、状態判定プロセスP100のステップS103と同様の手順により行い得る。ステップS409において、コントローラ700は、フィルタ寿命LTHDをヘッド43の寿命として表示してもよい。コントローラ700は、ステップS409の実行後、状態判定プロセスP400を終了する。
【0155】
傾きYが第3閾値TH3HD以下である場合(S404:YES)は、コントローラ700は、ステップS405においてヘッドメンテナンスアラート(「第1フィルタに関する報知」の一例)を行う。具体的には、コントローラ700は、ヘッド43のメンテナンス(具体的には例えば、ヘッドフィルタFHDの交換、ヘッド43の交換等)が必要であることを示す情報を表示部900に表示する。なお、コントローラ700がステップS405において行うヘッドメンテナンスアラートは、傾きY(即ち、ヘッド流路HCHを流れるインクの流量)の予見された漸次的な減少に基づくものであり、ステップS407において行うヘッドメンテナンスアラートと比較すると、緊急性は高くないと考えられる。そのため、コントローラ700は、ステップS407とは異なる態様の表示を行なって良く、例えば、ユーザに近日中の交換を促す旨の情報を表示してもよい。その後、コントローラ700は状態判定プロセスP400を終了する。
【0156】
(変形例2)
上記実施形態においては、コントローラ700は状態判定プロセスP200(図15)を実行することにより、HPMフィルタFHPMの流量Qに基づくHPMフィルタFHPMの状態判定を行う。しかしながら、HPMフィルタFHPMの流量Qに基づくHPMフィルタFHPMの状態判定を行うための工程は様々であり、状態判定プロセスP200に従うものには限られない。
【0157】
具体的には例えば、コントローラ700は、図20に示す状態判定プロセスP500を実行することによりHPMフィルタFHPMの状態判定を行い得る。状態判定プロセスP500の、状態判定プロセスP200に対する主な相違点は、HPMフィルタFHPMの寿命と閾値の比較ではなく、HPMフィルタFHPMの流量Qと閾値との比較に基づいて表示部900に対する表示内容を決定する点である。状態判定プロセスP500の、状態判定プロセスP200に対する主な相違点は、図15のフローチャートと図20のフローチャートとに着目すると、ステップS202~S204に代えてステップS502、S503を行う点である。
【0158】
状態判定プロセスP500のステップS501において、コントローラ700は、HPMフィルタFHPMの流量Qを推定する。ステップS501の具体的な手順は、状態判定プロセスP200のステップS201と同一とし得る。
【0159】
ステップS502において、コントローラ700は、ステップS501で推定したHPMフィルタFHPMの流量Qが初期値IVより小さいか否かを判定する。ここで、初期値IVとは、HPMフィルタFHPMの使用開始時における流量Qの値である。初期値IVは例えば、新しいHPMフィルタFHPMをHPM500に取り付けた後、初めてHPMフィルタFHPMにインクを流した時の測定により取得され得る。
【0160】
コントローラ700は、流量Qが初期値IV以上である場合(S502:NO)は、HPMフィルタFHPMの状態が正常であることを示す情報を表示部900に表示し(S505)、状態判定プロセスP500を終了する。コントローラ700は、流量Qが初期値IVより小さい場合(S502:YES)は、ステップS503において、流量Qが第3閾値TH3HPMQ(「第2フィルタ用報知閾値」の一例。第3閾値TH3HPMQは初期値IVより小さい値である)以下であるか否かを判定する。
【0161】
流量Qが第3閾値TH3HPMQより大きい場合(S503:NO)は、コントローラ700は、ステップS506において、HPMフィルタFHPMの寿命を算出して当該算出した寿命を表示部900に表示する。なお、HPMフィルタFHPMの寿命の算出は、状態判定プロセスP200のステップS202と同様の手順により行い得る。コントローラ700は、ステップS506の実行後、状態判定プロセスP500を終了する。
【0162】
流量Qが第3閾値TH3HPMQ以下である場合(S503:YES)は、コントローラ700は、ステップS504においてヘッドメンテナンスアラート(「第2フィルタに関する報知」の一例)を行う。具体的には、コントローラ700は、HPM500のメンテナンス(具体的には例えば、HPMフィルタFHPMの交換)が必要であることを示す情報を表示部900に表示する。その後、コントローラ700は状態判定プロセスP500を終了する。
【0163】
(変形例3)
上記実施形態においては、コントローラ700は状態判定プロセスP300(図17)を実行することにより、ポンプPの回転数に基づくHPMフィルタFHPMの状態判定を行う。しかしながら、ポンプPの回転数に基づくHPMフィルタFHPMの状態判定を行うための工程は様々であり、状態判定プロセスP300に従うものには限られない。
【0164】
具体的には例えば、コントローラ700は、図21に示す状態判定プロセスP600を実行することによりHPMフィルタFHPMの状態判定を行い得る。状態判定プロセスP600の、状態判定プロセスP300に対する主な相違点は、HPMフィルタFHPMの寿命と閾値の比較ではなく、ポンプPの回転数と閾値との比較に基づいて表示部900に対する表示内容を決定する点である。状態判定プロセスP600の、状態判定プロセスP300に対する主な相違点は、図17のフローチャートと図21のフローチャートとに着目すると、ステップS302~S304に代えてステップS602、S603を行う点である。
【0165】
状態判定プロセスP600のステップS601において、コントローラ700は、ポンプPの回転数を算出する。ステップS601の具体的な手順は、状態判定プロセスP300のステップS301と同一とし得る。
【0166】
ステップS602において、コントローラ700は、ステップS601で算出したポンプPの回転数が初期値IVより大きいか否かを判定する。ここで、初期値IVとは、HPMフィルタFHPMの使用開始時におけるポンプPの回転数の値である。初期値IVは例えば、新しいHPMフィルタFHPMをHPM500に取り付けた後、初めてHPMフィルタFHPMにインクを流した時の測定により取得され得る。
【0167】
コントローラ700は、ポンプPの回転数が初期値IV以下である場合(S602:NO)は、HPMフィルタFHPMの状態が正常であることを示す情報を表示部900に表示し(S605)、状態判定プロセスP600を終了する。コントローラ700は、ポンプPの回転数が初期値IVより大きい場合(S602:YES)は、ステップS603において、ポンプPの回転数が第3閾値TH3HPMP(「第2フィルタ用報知閾値」の一例。第3閾値TH3HPMPは初期値IVより大きい値である)以上であるか否かを判定する。
【0168】
ポンプPの回転数が第3閾値TH3HPMPより小さい場合(S603:NO)は、コントローラ700は、ステップS606において、HPMフィルタFHPMの寿命を算出して当該算出した寿命を表示部900に表示する。なお、HPMフィルタFHPMの寿命の算出は、状態判定プロセスP300のステップS302と同様の手順により行い得る。コントローラ700は、ステップS606の実行後、状態判定プロセスP600を終了する。
【0169】
ポンプPの回転数が第3閾値TH3HPMP以上である場合(S603:YES)は、コントローラ700は、ステップS604においてヘッドメンテナンスアラート(「第2フィルタに関する報知」の一例)を行う。具体的には、コントローラ700は、HPM500のメンテナンス(具体的には例えば、HPMフィルタFHPMの交換)が必要であることを示す情報を表示部900に表示する。その後、コントローラ700は状態判定プロセスP600を終了する。
【0170】
(その他の変形例)
上記実施形態及び変形例のプリンタ1000において、コントローラ700は、状態判定プロセスP100~P600を定期的に実行する。しかしながらこれには限られない。コントローラ700は、任意のタイミングで状態判定プロセスP100~P600の少なくとも1つを実行し得る。任意のタイミングは例えば、所定の処理(メンテナンス処理等)が終了したタイミング、状態判定プロセスを実行する旨の指示をユーザから受けたタイミング等である。
【0171】
上記実施形態及び変形例のプリンタ1000において、コントローラ700は、状態判定プロセスP100~P600における情報の表示や報知を表示部900を介して視覚的に行っているがこれには限られない。情報の表示や報知は、ユーザが知覚し得る任意の態様であってよく、例えば音声表示部(不図示)を介して聴覚的に行われるものであってもよい。
【0172】
上記実施形態及び変形例において、状態判定プロセスP100~P600の各ステップは、適宜省略し得る。具体的には例えば、状態判定プロセスP100のステップS101、S102、状態判定プロセスP400のステップS401、S402は実行されなくてもよい。
【0173】
上記実施形態及び変形例においては、ヘッドシステム100の液面検出部30が備えるフィルタンクセンサ31、ドレインタンクセンサ32はそれぞれ静電容量式の液面検出センサであるが、これには限られない。フィルタンクセンサ31、ドレインタンクセンサ32はそれぞれフィルタンクFT、ドレインタンクDT内の液面の位置を検出し得る任意の液面検出センサ(例えば、フロート式、光学式、電波式等)であってよい。また、フィルタンクセンサ31、ドレインタンクセンサ32はそれぞれ液面検出センサには限られず、フィルタンクFT、ドレインタンクDT内の液量を検出し得る任意の液量センサであってもよい。液量センサは、任意の液量センサであってよく、例えば、フィルタンクFT、ドレインタンクDT内の液体の質量に基づいてフィルタンクFT、ドレインタンクDT内の液量を検出する構成であってよい。なお、液面検出センサは液量センサの一態様である。
【0174】
上記実施形態及び変形例においては、HPM500の供給流路SCHにおいて、ポンプPとフィルタンクFTとの間にHPMフィルタFHPMが設けられているが、これには限られない。供給流路SCHにおいて、メインタンク410とポンプPとの間にHPMフィルタHPMを配置してもよい。その他、ヘッドフィルタFHDはヘッド流路HCH内の任意の位置に、HPMフィルタFHPMは供給流路SCH内の任意の位置に、それぞれ配置し得る。
【0175】
上記実施形態及び変形例においては、プリンタ1000が備えるコントローラ700が状態判定プロセスP100~P600を実行するが、これには限られない。プリンタ1000とは異なる外部装置(例えばPC)がコントローラとして機能し、状態判定プロセスP100~P600を実行してもよい。この場合は、プリンタ1000と当該外部装置とにより液体吐出システムが構成される。また、状態判定プロセスP100~P600における情報の表示や報知を、表示部900ではなく当該外部装置を介して行ってもよい。
【0176】
以上、ヘッドシステム100からインクを吐出して媒体PMに画像形成する場合を例として実施形態及び変形例を説明した。ヘッドシステム100は、画像成形のために任意の液体を吐出する液体吐出システムであってよく、画像を形成される媒体PMは、例えば用紙、布、樹脂等であってもよい。
【0177】
本明細書に記載の実施形態は、全ての点で例示であって、限定的なものではないと考えられるべきである。例えば、プリンタ1000におけるヘッドシステム100の数、構成等は変更し得る。プリンタ1000が同時に印刷可能な色の数も限定はされず、単色印刷のみが可能な構成であってもよい。また、個別流路iCHの数、配置等も適宜変更し得る。また、各実施形態及び変形例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができる。プリンタ1000は、ヘッドシステム100に代えて、走査方向に移動しながら液体の吐出を行うシリアル式のヘッドを備えてもよい。
【0178】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【0179】
(付記)
上記実施形態及びその変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0180】
(項目1)
液体を吐出する液体吐出システムであって、
前記液体を吐出するように構成されたヘッドであり、前記液体を前記ヘッドに供給する供給口と前記ヘッドから前記液体を排出する排出口とを有するヘッドと、
前記供給口に接続された供給タンクと、
前記排出口に接続された排出タンクと、
前記供給タンクに前記液体を供給する供給流路内の前記液体を流動させるポンプと、
前記供給タンクから前記ヘッドを経て前記排出タンクに至るヘッド流路に位置する第1フィルタと、
前記供給流路に位置する第2フィルタと、
前記供給タンクに貯留された前記液体の量を検出する第1液量センサと、
前記排出タンクに貯留された前記液体の量を検出する第2液量センサと、
前記第1液量センサの検出値の所定期間における変化量である第1変化量又は前記第2液量センサの検出値の所定期間における変化量である第2変化量に基づいて前記第1フィルタの状態を判定し、且つ前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値又は前記ポンプの回転数に基づいて前記第2フィルタの状態を判定するコントローラとを備える液体吐出システム。
【0181】
(項目2)
前記コントローラは、新たに取得した前記第1変化量の過去に取得した前記第1変化量に対する減少量が減少量閾値以上である場合、又は新たに取得した前記第2変化量の過去に取得した前記第2変化量に対する減少量が前記減少量閾値以上である場合に、前記第1フィルタに関する報知を行う項目1に記載の液体吐出システム。
【0182】
(項目3)
前記コントローラは、前記第1変化量又は前記第2変化量に基づいて前記第1フィルタの寿命を算出し、該算出した寿命が第1フィルタ用閾値より大きい場合は前記第1フィルタの状態が正常であることを表示する項目1又は2に記載の液体吐出システム。
【0183】
(項目4)
前記コントローラは、新たに取得した前記第1変化量の過去に取得した前記第1変化量に対する減少量が減少量閾値より小さい場合、又は新たに取得した前記第2変化量の過去に取得した前記第2変化量に対する減少量が減少量閾値より小さい場合に、前記第1フィルタの寿命を算出する項目3に記載の液体吐出システム。
【0184】
(項目5)
前記コントローラは、前記算出した寿命が前記第1フィルタ用閾値以下であり、且つ前記第1フィルタ用閾値より小さい第1フィルタ用報知閾値以上である場合は前記算出した寿命を表示する項目3又は4に記載の液体吐出システム。
【0185】
(項目6)
前記コントローラは、前記算出した寿命が前記第1フィルタ用閾値より小さい第1フィルタ用報知閾値よりも小さい場合は前記第1フィルタに関する報知を行う項目3~5のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【0186】
(項目7)
前記コントローラは、前記第1変化量又は前記第2変化量が前記第1変化量又は前記第2変化量の初期値より小さい第1フィルタ用報知閾値以下である場合に前記第1フィルタに関する報知を行う項目1又は2に記載の液体吐出システム。
【0187】
(項目8)
前記コントローラは、前記第1変化量又は前記第2変化量が前記第1変化量又は前記第2変化量の初期値以下であり、且つ該初期値より小さい第1フィルタ用報知閾値よりも大きい場合に前記第1フィルタの寿命を算出し、該算出した寿命を表示する項目1、2、7のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【0188】
(項目9)
前記コントローラは、前記第1変化量又は前記第2変化量の経時的変化の傾きに基づいて前記第1フィルタの寿命を算出する項目3~6、8のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【0189】
(項目10)
前記供給流路は貯留タンクに接続されており、
前記排出タンクは、前記排出タンク内の前記液体を前記貯留タンクに送る排出流路を介して前記貯留タンクに接続されており、
前記コントローラは、前記供給タンクに貯留された前記液体を前記ヘッド流路を介して前記排出タンクに送る時の前記第2変化量と前記貯留タンクに貯留された前記液体を前記供給流路及び前記ヘッド流路を介して前記排出タンクに送る時の前記第2変化量との比較に基づいて、又は前記供給タンクに貯留された前記液体を前記ヘッド流路を介して前記排出タンクに送る時の前記第1変化量と前記供給タンクに貯留された前記液体を前記ヘッド流路及び前記排出流路を介して前記貯留タンクに送る時の前記第1変化量との比較に基づいて、前記供給タンクと前記排出タンクとの間の差圧が正常であるか否かを判定する項目1~9のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【0190】
(項目11)
前記コントローラは、前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値に基づいて前記第2フィルタの寿命を算出し、該算出した寿命が第2フィルタ用閾値よりも大きい場合は前記第2フィルタの状態が正常であることを表示する項目1~10のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【0191】
(項目12)
前記コントローラは、前記算出した寿命が前記第2フィルタ用閾値以下であり、且つ前記第2フィルタ用閾値より小さい第2フィルタ用報知閾値以上である場合は前記算出した寿命を表示する項目11に記載の液体吐出システム。
【0192】
(項目13)
前記コントローラは、前記算出した寿命が前記第2フィルタ用閾値より小さい第2フィルタ用報知閾値よりも小さい場合は前記第2フィルタに関する報知を行う項目11又は12に記載の液体吐出システム。
【0193】
(項目14)
前記コントローラは、前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値が前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値の初期値より小さい第2フィルタ用報知閾値以下である場合に前記第2フィルタに関する報知を行う項目1~10のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【0194】
(項目15)
前記コントローラは、前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値が前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値の初期値以下であり、且つ該初期値より小さい第2フィルタ用報知閾値より大きい場合に前記第2フィルタの寿命を算出して該算出した寿命を表示する項目1~10、14のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【0195】
(項目16)
前記コントローラは、前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値の経時的変化の傾きに基づいて前記第2フィルタの寿命を算出する項目11~13、15のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【0196】
(項目17)
前記コントローラは前記ポンプの回転数に基づいて前記第2フィルタの寿命を算出し、該算出した寿命が第2フィルタ用閾値よりも大きい場合は第2フィルタの状態が正常であることを表示する項目1~10のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【0197】
(項目18)
前記コントローラは前記算出した寿命が第2フィルタ用閾値以下であり、且つ前記第2フィルタ用閾値より小さい第2フィルタ用報知閾値以上である場合は前記算出した寿命を表示する項目17に記載の液体吐出システム。
【0198】
(項目19)
前記コントローラは前記算出した寿命が前記第2フィルタ用閾値より小さい第2フィルタ用報知閾値よりも小さい場合は前記第2フィルタに関する報知を行う項目17又は18に記載の液体吐出システム。
【0199】
(項目20)
前記コントローラは、前記ポンプの回転数が前記ポンプの回転数の初期値より大きい第2フィルタ用報知閾値以上である場合に前記第2フィルタに関する報知を行う項目1~10のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【0200】
(項目21)
前記コントローラは、前記ポンプの回転数が前記ポンプの回転数の初期値以上であり、且つ該初期値より大きい第2フィルタ用報知閾値より小さい場合に前記第2フィルタの寿命を算出して該算出した寿命を表示する項目1~10、20のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【0201】
(項目22)
前記コントローラは、前記ポンプの回転数の経時的変化の傾きに基づいて前記第2フィルタの寿命を算出する項目17~19、21のいずれか一項に記載の液体吐出システム。
【0202】
(項目23)
液体を吐出する液体吐出システムのコントローラが実行するフィルタ状態判定方法であって、
前記液体吐出システムは、
前記液体を吐出するように構成されたヘッドであり、前記液体を前記ヘッドに供給する供給口と前記ヘッドから前記液体を排出する排出口とを有するヘッドと、
前記供給口に接続された供給タンクと、
前記排出口に接続された排出タンクと、
前記供給タンクに前記液体を供給する供給流路内の前記液体を流動させるポンプと、
前記供給タンクから前記ヘッドを経て前記排出タンクに至るヘッド流路に位置する第1フィルタと、
前記供給流路に位置する第2フィルタと、
前記供給タンクに貯留された前記液体の量を検出する第1液量センサと、
前記排出タンクに貯留された前記液体の量を検出する第2液量センサとを備え、
前記第1液量センサの検出値の所定期間における変化量である第1変化量又は前記第2液量センサの検出値の所定期間における変化量である第2変化量に基づいて前記第1フィルタの状態を判定することと、
前記第1変化量と前記第2変化量とに基づく値又は前記ポンプの回転数に基づいて前記第2フィルタの状態を判定することとを含むフィルタ状態判定方法。
【符号の説明】
【0203】
20 サブタンク
30 液面検出部
31 フィルタンクセンサ
32 ドレインタンクセンサ
40 ヘッド機構
43 ヘッド
100 ヘッドシステム
400 インクタンク
500 HPM
700 コントローラ
1000 プリンタ
DT ドレインタンク
HD ヘッドフィルタ
HPM HPMフィルタ
FT フィルタンク
P ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16
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図18
図19
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