IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 明正工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-建材パネル 図1
  • 特開-建材パネル 図2
  • 特開-建材パネル 図3
  • 特開-建材パネル 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006941
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】建材パネル
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/292 20060101AFI20250109BHJP
   E04B 1/80 20060101ALI20250109BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
E04C2/292
E04B1/80 100Q
E04B1/94 W
E04B1/94 X
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107996
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】596066482
【氏名又は名称】明正工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】永上 修一
【テーマコード(参考)】
2E001
2E162
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001DE01
2E001DE04
2E001FA04
2E001FA16
2E001GA42
2E001HA32
2E001HA33
2E001HB02
2E001HB03
2E001HD02
2E001HD03
2E001HD04
2E001HD09
2E001HD11
2E162CA31
2E162CA33
2E162CB02
2E162CB05
2E162CB06
2E162CB07
(57)【要約】
【課題】断熱性および耐火性を高レベルで兼ね備える建材パネルを提供する。
【解決手段】互いに対向配置される一対の面材21、22と、一対の面材21、22の間に挟まれて配置される芯材30と、を備える建材パネル10Aであって、芯材30は、無機材料による少なくとも1つの無機系芯材31と、有機材料による少なくとも1つの有機系芯材32とが、重ねられている構成を有する。パネル10Aは、一対の無機系芯材31の間に、有機系芯材31が挟まれており、四辺の端面に、耐火シール材60が配置されている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向配置される一対の面材と、一対の前記面材の間に挟まれて配置される芯材と、を備える建材パネルであって、
前記芯材は、無機材料による少なくとも1つの無機系芯材と、有機材料による少なくとも1つの有機系芯材とが、重ねられていることを特徴とする建材パネル。
【請求項2】
一対の前記無機系芯材の間に、前記有機系芯材が挟まれていることを特徴とする請求項1に記載の建材パネル。
【請求項3】
一対の前記有機系芯材の間に、前記無機系芯材が挟まれていることを特徴とする請求項1に記載の建材パネル。
【請求項4】
前記芯材で形成される端面に、耐火シール材が配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の建材パネル。
【請求項5】
前記無機系芯材は、ロックウール、グラスウールのうちの少なくとも一種であり、
前記有機系芯材は、イソシアネートヌレート、フェノール、ウレタン、ポリスチレンのうちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の建材パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等の屋根や外壁等を、複数の建材パネルを接合することによって簡易に施工する場合がある。例えば、一対の金属板からなる面材の間に耐火性あるいは断熱性を有する芯材を挟んだ金属サンドイッチパネルは、密閉性や断熱機能に優れるとともに、施工性が良好である(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-7874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の金属サンドイッチパネルにおいて耐火性や断熱性は芯材の機能によるところが大きいが、幅広い温度帯域で断熱性を発揮するとともに十分な耐火性も兼ね備える芯材を備えた建材パネルの開発が望まれている。
【0005】
本発明は、断熱性および耐火性を十分に兼ね備える建材パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の建材パネルは、互いに対向配置される一対の面材と、一対の前記面材の間に挟まれて配置される芯材と、を備える建材パネルであって、前記芯材は、無機材料による少なくとも1つの無機系芯材と、有機材料による少なくとも1つの有機系芯材とが、重ねられていることを特徴とする。
【0007】
(2)本発明の建材パネルは、一対の前記無機系芯材の間に、前記有機系芯材が挟まれている形態を含む。
【0008】
(3)本発明の建材パネルは、一対の前記有機系芯材の間に、前記無機系芯材が挟まれている形態を含む。
【0009】
(4)本発明の建材パネルは、前記芯材で形成される端面に、耐火シール材が配置されている形態が好ましい。
【0010】
(5)本発明の建材パネルにおいて、前記無機系芯材は、ロックウール、グラスウールのうちの少なくとも一種であり、前記有機系芯材は、イソシアネートヌレート、フェノール、ウレタン、ポリスチレンのうちの少なくとも一種である形態を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、断熱性および耐火性を十分に兼ね備える建材パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る建材パネルを接合して構築される外壁の一部を概略的に示す斜視図である。
図2】実施形態に係る建材パネルの横断面図であって、接合構造を含む図である。
図3】実施形態に係る建材パネルの概略正面図である。
図4】他の実施形態に係る建材パネルの横断面図であって、接合構造を含む図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、実施形態の複数の建材パネル(以下、パネル)10Aを横方向に接合して構築される外壁1の一部を示している。パネル10Aは長手方向を有する長方形の形状を有し、長手方向を上下方向に沿った状態で外壁1として組み込まれる。図2は、横方向すなわち幅方向に接合される一対のパネル10Aの接合端部40、50どうしが接合された状態を示す横断面図である。
【0014】
図2に示すように、パネル10Aは、互いに対向配置される一対の金属製の面材21,22と、一対の面材21、22の間に挟まれて配置される芯材30と、を有する。すなわちパネル10Aは、2枚の面材21、22の間に芯材30が挟まれた金属サンドイッチパネルである。図3に示すように、芯材30は、1つのパネル10Aの長手方向に複数(この場合、3つ)が配置されて、突き合わされる端面が互いに接している。隣り合う芯材30の端面は、例えばウレタン系やエポキシ系等の樹脂系接着剤により接合される場合がある。なお、1つのパネル10A内に配置される芯材30の数や配列に関しては、図3は一例であってこれに限定されない。また、芯材30はパネル10Aのサイズを有する1つのものであってもよい。
【0015】
金属製の面材21、22は、例えば、カラー鋼板、フッ素鋼板、塩ビ鋼板、溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板(登録商標))、SUS等のステンレス板等の弾性を有する薄板材であるが、これらに限定されない。面材21、22の厚さは、例えば0.25~1.2mm程度であるが、この範囲に限定されない。
【0016】
芯材30は、所定の長さ寸法、幅寸法、厚さ寸法を有するパネル状に成形されている。芯材30は、無機材料による少なくとも1つの無機系芯材31と、有機材料による少なくとも1つの有機系芯材32とが、重ねられて構成されている。実施形態の芯材30は、一対の無機系芯材31の間に1つの有機系芯材32が挟まれた三層構造を有している。
【0017】
2つの無機系芯材31のそれぞれは、芯材30の外側部分を構成し、面材21、22に、例えばウレタン系やエポキシ系等の樹脂系接着剤により接合されている。2つの無機系芯材31の厚さは同じであり、その厚さは、芯材30全体の例えば10~30%程度であるが、これに限定されない。なお、2つの無機系芯材31の厚さは異なる場合があってもよい。無機系芯材31は、例えばロックウール、グラスウールのうちの少なくとも一種が用いられるが、無機材料によるものであって芯材の機能を有していればこれに限定されない。例えばロックウールの場合には、フェノール樹脂等のバインダ樹脂を適宜な割合で含侵し、例えば120~220kg/m程度の高密度に圧縮したものが用いられる。
【0018】
2つの無機系芯材31の間に挟まれた1つの有機系芯材32は、芯材30の厚さ方向の中央に配置されている。有機系芯材32の厚さは、芯材30全体の例えば40~60%程度であるが、これに限定されない。有機系芯材32は、例えばイソシアネートヌレート、フェノール、ウレタン、ポリスチレン等の樹脂材料のうちの少なくとも一種が用いられるが、有機材料によるものであって芯材の機能を有していればこれに限定されない。例えば有機系芯材32は、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、イソシアネートヌレートフォーム、ポリスチレンフォーム等の樹脂発泡体が好ましく用いられる。有機系芯材32は、その両面に無機系芯材31が例えばウレタン系やエポキシ系等の樹脂系接着剤により接合されている。なお、無機系芯材31と有機系芯材32とは接合されず、単に重ね合わせた状態であってもよい。
【0019】
パネル10Aの全体寸法は任意であって、施工する外壁1に対応したものとされるが、例えば、長手方向(外壁1での上下方向)の寸法が900~12000mm程度、幅方向の寸法が400~1200mm程度、厚さが25~300mm程度であるが、これに限定されない。
【0020】
図2に示すように、パネル10Aは、幅方向の一端側(図2で右端側)および他端側(図2で左端側)のそれぞれに、第1の接合端部40および第2の接合端部50を有する。第1の接合端部40および第2の接合端部50のそれぞれは、互いに篏合する形状を有する。1枚のパネル10Aの第1の接合端部40に、そのパネル10Aに隣接させた他のパネル10Aの第2の接合端部50を篏合させて、パネル10Aどうしが接合される。
【0021】
第1の接合端部40には、パネル10Aの長手方向(図2で紙面表裏方向)に沿って延びる溝状の凹部41が形成され、さらに凹部41の底部に、長手方向に沿って延びる断面台形状の内側凸部42が形成されている。凹部41は、面材21、22の各突片部21a、22aにより形成されている。凹部41内の底部および内側凸部42は、芯材30の有機系芯材32の端面を加工することにより形成されている。各突片部21a、22aは、面材21、22のそれぞれの幅方向の端部が内側に折り返し加工されることにより形成されている。内側凸部42は、パネル10Aの厚さ方向の中央に配置されている。内側凸部42の高さは、各突片部21a、22aの突出長さよりも小さく、凹部41から幅方向外側に突出してはいない。
【0022】
第2の接合端部50には、パネル10Aの長手方向に沿って延びる凸部51が形成され、さらに凸部51には、長手方向に沿って延びる断面逆台形状の内側凹部52が形成されている。凸部51は、パネル10Aの厚さを、厚さ方向の両側から減じることで形成されている。内側凹部52は、パネル10Aの厚さ方向の中央に配置されている。内側凹部52は、芯材30の有機系芯材32の端面を加工することにより形成されている。
【0023】
図2に示すように、パネル10Aの、芯材30で形成され端面に、耐火シール材60が配置され、その端面が耐火シール材60で覆われている。図3に示すように、耐火シール材60は、パネル10Aの四辺の端面のいずれにも配置されている。すなわちパネル10Aの四辺の端面は、耐火シール材60で覆われ、芯材30は露出しないか、あるいは一部が露出する。耐火シール材60は、例えば、加熱により発泡する樹脂または黒鉛を含む熱膨張性発泡材料が用いられるが、これに限定されない。この種の発泡材料は、粘着シール状のもので対象面に粘着させることにより配置するタイプや、塗料の状態のものを対象面に塗布して配置できるタイプなどがある。
【0024】
パネル10Aどうしの接合は、一方のパネル10Aの第1の接合端部40に、当該一方のパネル10Aに隣接させた他方のパネル10Aの第2の接合端部50を篏合させる。詳しくは、第1の接合端部40の凹部41に第2の接合端部50の凸部51を嵌合させるとともに、第2の接合端部50の内側凹部52に第1の接合端部40の内側凸部42を嵌合させる。これにより、パネル10Aどうしが幅方向に接合される。この接合を幅方向に連続させて所定数のパネル10Aを接合し、外壁1が構築される。
【0025】
接合されたパネル10Aの接合部分である目地には、耐火シール材60が充填された状態となる。目地に耐火シール材60が充填された状態とするには、接合する2つのパネル10Aのうちの、少なくとも一方側に耐火シール材60があればよい。したがって、第1の接合端部40および第2の接合端部50のうちの一方側のみに耐火シール材60を設けておき、接合した状態で目地に耐火シール材60が充填されるようにしてよい。この耐火シール材60により、例えば火災発生時にはパネル10Aの接合部分において遮熱効果が発揮され、耐火性が向上する。また、耐火シール材60によりパネル10Aどうしの接合部分が塞がれることにより、水、その他の液体、あるいは蒸気を含む水分の通過が阻止され、外壁1の耐水性や耐蒸気性が確保される。
【0026】
実施形態のパネル10Aは、互いに対向配置される一対の面材21、22と、一対の面材21、22の間に挟まれて配置される芯材30と、を備え、芯材30は、無機材料による少なくとも1つの無機系芯材31と、有機材料による少なくとも1つの有機系芯材32とが、重ねられている。詳しくは、実施形態の芯材30は、一対の無機系芯材31の間に1つの有機系芯材32が挟まれている構成を有する。
【0027】
実施形態のパネル10Aによれば、無機系芯材31により、高い耐火性が発揮される。一方、有機系芯材32は、例えば超冷凍域(-55℃程度)から定温(15℃程度)、そして定温を超える温度までの幅広い温度帯域で断熱性を発揮することが可能である。これにより、パネル10Aは、断熱性および耐火性十分に兼ね備えるパネルとして有効に利用され得る。
【0028】
実施形態のパネル10Aにおいては、芯材30で形成される端面に、耐火シール材60が配置されている。これにより、パネル10Aの接合部分において遮熱効果が発揮され、耐火性が向上する。
【0029】
図4は、本発明の他の実施形態の建材パネル10Bを示している。
このパネル10Bは、1つの無機系芯材31と、1つの有機系芯材32とが、重ねられて構成された二層構造を有している。各芯材31、32の厚さはほぼ同じであるが、両者の厚さは異なっていてもよい。パネル10Bは、上記パネル10Aと同様の第1の接合端部40および第2の接合端部50を有しており、パネル10Bどうしの接合構造は共通している。
【0030】
この実施形態のパネル10Bも、無機系芯材31と有機系芯材32とを備えることにより、断熱性および耐火性十分に兼ね備えるパネルとして有効に利用され得る。
【0031】
本発明の建材パネルは、本発明の構成を具備するものであれば、上記実施形態のパネル10A、10Bの形態に限定されない。例えば、上記パネル10Aとは逆の積層パターンであって、一対の有機系芯材32の間に無機系芯材31が挟まれている構成も、本発明の建材パネルに含まれる。さらに、無機系芯材31と有機系芯材32の数や積層パターンは任意であり、例えば各芯材31、32が2つずつ交互に積層されていたり、いずれか一方が3つ、他方が2つで交互に積層されていたりするなどの層構成であってもよい。また、耐火シール材60を有さない構成であってもよい。
【0032】
本発明の建材パネルは、上記実施形態のように外壁を構築するものに限らず、内壁、間仕切り壁等の各種壁や、天井等を構築するパネルに適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
10A、10B…建材パネル、21、22…面材、30…芯材、31…無機系芯材、32…有機系芯材、60…耐火シール材。
図1
図2
図3
図4