(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006945
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20250109BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20250109BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N23/68
H04N23/50
G03B5/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108002
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中村 真太郎
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005AA20
2K005BA31
2K005CA14
2K005CA23
2K005CA27
2K005CA34
2K005CA38
5C122EA41
5C122EA55
5C122GA01
5C122GA23
5C122GC76
5C122GE11
5C122HA75
5C122HB01
5C122HB09
(57)【要約】
【課題】ジャイロセンサの未使用アドレスを使用してデータを送受信し、配線数を減らした半導体装置を提供する。
【解決手段】X軸と、X軸に直交するY軸と、X軸及びY軸に直交するZ軸と、を制御して手振れ補正を行うカメラレンズと、カメラレンズのX軸とY軸のデータを受信する第1の半導体チップと、カメラレンズのZ軸のデータを受信する第2の半導体チップと、手振れ状態のデータを取得するジャイロセンサと、を備え、第2の半導体チップは、第1の半導体チップとSPI通信のチップセレクト信号線、データ信号線、及びクロック信号線を介して接続され、第2の半導体チップは、ジャイロセンサと、SPI通信の前記チップセレクト信号線、データ信号線、及びクロック信号線を介して接続され、第2の半導体チップは、ジャイロセンサの記憶部にSPI通信を介してZ軸の位置データを送信する、半導体装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸と、X軸に直交するY軸と、X軸及びY軸に直交するZ軸と、を制御して手振れ補正を行うカメラレンズと、
前記カメラレンズの前記X軸と前記Y軸のデータを受信する第1の半導体チップと、
前記カメラレンズの前記Z軸のデータを受信する第2の半導体チップと、
前記手振れ状態のデータを取得するジャイロセンサと、を備え、
前記第2の半導体チップは、前記第1の半導体チップとSPI(Serial Peripheral Interface)通信のチップセレクト信号線、データ信号線、及びクロック信号線を介して接続され、
前記第2の半導体チップは、前記ジャイロセンサと、前記SPI通信の前記チップセレクト信号線、前記データ信号線、及び前記クロック信号線を介して接続され、
前記第2の半導体チップは、前記ジャイロセンサの記憶部に前記SPI通信を介して前記Z軸の位置データを送信する、半導体装置。
【請求項2】
前記ジャイロセンサの記憶部は、第1の領域と第2の領域を備え、
前記第1の領域は、前記手振れ状態のデータが記憶され、
前記第2の領域は、前記Z軸の位置データが記憶される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の半導体チップは、プライマリであり、
前記第1の半導体チップは、セカンダリである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の半導体チップは、HOSTコントローラに接続され、
前記第2の半導体チップは、HOSTコントローラに接続される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の半導体チップは、前記第2の領域のZ軸の位置データを読み込んで、補正処理を行う、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の半導体チップは、前記手振れ状態のデータを読み込んで、前記X軸と前記Y軸の前記カメラレンズの目標位置を算出し、
前記第2の半導体チップは、前記手振れ状態のデータを読み込んで、前記Z軸の前記カメラレンズの目標位置を算出する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2の半導体チップは、前記手振れ状態のデータを読み込んで、前記Z軸の前記カメラレンズの目標位置を算出し、前記第2の領域に出力し、
前記第1の半導体チップは、前記第2の領域の前記Z軸の位置データと前記Z軸のカメラレンズの目標位置を読み込んでEIS(Electronic Image Stabilizer)データを記憶する、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の領域は、前記第2の領域の後に連続している、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
X軸と、X軸に直交するY軸と、X軸及びY軸に直交するZ軸と、の3軸のうち2軸を制御する第1のカメラレンズと、
前記X軸と、前記Y軸と、前記Z軸と、の3軸のうち2軸を制御する第2のカメラレンズと、
前記第1のカメラレンズを制御する第1の半導体チップと、
前記第2のカメラレンズを制御する第2の半導体チップと、
手振れ状態のデータを取得するジャイロセンサと、を備え、
前記第1のカメラレンズ及び前記第2のカメラレンズは、手振れ補正に用いられ、
前記第1の半導体チップは、前記第2の半導体チップと、SPI通信のチップセレクト信号線、データ信号線、及びクロック信号線を介して接続され、
前記第1の半導体チップは、前記ジャイロセンサと、前記SPI通信の前記チップセレクト信号線、前記データ信号線、及び前記クロック信号線を介して接続され、
前記第1の半導体チップは、I2C(Inter-Integrated Circuit)通信を介してHOSTコントローラに接続され、
前記第1の半導体チップは、前記ジャイロセンサの記憶部に前記SPI通信を介して前記HOSTコントローラからのコマンドを送信する、半導体装置。
【請求項10】
前記ジャイロセンサの記憶部は、第1の領域と第2の領域を備え、
前記第1の領域は、前記手振れ状態のデータが記憶され、
前記第2の領域は、前記HOSTコントローラからのコマンドが記憶される、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2の半導体チップは、前記第1の半導体チップから、前記SPI通信を介して前記HOSTコントローラのコマンドを受信する、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2の半導体チップは、複数あり、
前記第2のカメラレンズは、複数あり、
複数の前記第2の半導体チップの一つは、複数の前記第2のカメラレンズの一つと接続されている、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2の半導体チップは、前記手振れ状態のデータを取得し、前記第2のカメラレンズの目標位置を算出する、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記HOSTコントローラは、前記手振れ状態のデータを取得し、前記第1及び第2のカメラレンズの目標位置を算出する、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1の半導体チップは、プライマリであり、前記第2の半導体チップは、セカンダリである、請求項9に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラまたはデジタルカメラでは、OIS(Optical Image Stabilizer(光学式手振れ補正))とEIS(Electronic Image Stabilizer(電子式手振れ補正)のいずれかまたは両方を用いた手振れ補正が実施されている。
【0003】
特許文献1では、OISと、EISと、を併用する場合に、OIS及びEISのいずれかが補正可能範囲外となるリスクを減らす半導体装置が開示されている。半導体装置は、光学式手振れ補正に使用する補正レンズの位置調整を、補正レンズの現在位置の情報とともに、撮像素子によって撮影された撮影画像に対する電子式手振れ補正の出力画像の位置情報に基づいて行う。これによって、補正レンズの動作マージンを確保するとともに電子式手振れ補正の補正マージンを確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2つの半導体チップの通信にチップセレクト信号線を用いたSPI通信を用いて該2つの半導体チップのデータを共有することが可能であるが、配線が増えてしまうという問題があった。そこで本開示の目的は、ジャイロセンサの未使用アドレスを使用してデータを送受信し、配線数を減らした半導体装置を提供することである。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置は、第2の半導体チップがジャイロセンサの記憶部にSPI通信を介してデータを送信し、第1の半導体チップが該データを利用する。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施の形態によれば、ジャイロセンサの未使用アドレスを使用してデータを送受信し、配線数を減らした半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる2軸用OIS-IC(Integrated Circuit)を2つ使って3軸用OISレンズを制御する手振れ補正装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1にかかるOIS処理のシーケンス図である。
【
図3】実施の形態1にかかるOIS処理のZ軸のレンズ位置を使ったX軸の補正処理を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態1にかかるOIS処理のジャイロセンサのデータアドレスの未使用領域を示す概略図である。
【
図5】実施の形態1にかかるOIS処理の2軸用OIS-ICのプライマリの半導体チップの動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態1にかかるOIS処理の2軸用OISのICのセカンダリの半導体チップの動作を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態2にかかるOIS処理のシーケンス図である。
【
図8】実施の形態2にかかるOIS処理の2軸用OIS-ICのプライマリの半導体チップの動作を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態2にかかるOIS処理の2軸用OISのICのセカンダリの半導体チップの動作を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態2にかかるOIS処理のHOSTコントローラの動作を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態2にかかるEISデータの内容例を示す図である。
【
図12】関連する技術にかかるEISデータの内容例を示す図である。
【
図13】実施の形態3にかかるOIS処理のシーケンス図である。
【
図14】実施の形態3にかかるOIS処理のジャイロセンサのデータアドレスの未使用領域を示す概略図である。
【
図15】実施の形態4にかかる複数の2軸用OIS-ICと2軸用OIS-ICのそれぞれに接続された2軸用OISレンズを制御する手振れ補正装置の構成を示すブロック図である。
【
図16】実施の形態4にかかるOIS処理のシーケンス図である。
【
図17】実施の形態4にかかるOIS処理の2軸用OIS-ICのプライマリの半導体チップの動作を示すフローチャートである。
【
図18】実施の形態4にかかるOIS処理の2軸用OISのICのセカンダリの半導体チップの動作を示すフローチャートである。
【
図19】実施の形態4にかかるOIS処理のジャイロセンサのデータアドレスの未使用領域を示す概略図である。
【
図20】実施の形態4にかかるOIS処理のHOSTコントローラの動作を示すフローチャートである。
【
図21】実施の形態4にかかるOIS処理にかかる時間と関連する技術にかかるOIS処理にかかる時間を示す図である。
【
図22】実施の形態5にかかるOIS処理のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
(実施の形態1にかかる手振れ補正装置の説明)
図1は、実施の形態1にかかる2軸用OIS-ICを2つ使って3軸用OISレンズを制御する手振れ補正装置の構成を示すブロック図である。
図1を参照しながら、実施の形態1にかかる手振れ補正装置を説明する。手振れ補正装置100は、撮像装置に用いられる手振れを補正する半導体装置である。手振れ補正装置100は、2軸用OIS-ICを2つ用いて3軸用OISレンズの手振れを補正する。
【0012】
図1に示されるように、実施の形態1にかかる手振れ補正装置100は、3軸用OISレンズ(以下、カメラレンズという)101と、No.1の2軸用OIS-IC(以下、第1の半導体チップという)103と、No.2の2軸用OIS-IC(以下、第2の半導体チップという)102と、ジャイロセンサ104と、ジャイロセンサの記憶部105と、を備える。さらに手振れ補正装置100は、HOSTコントローラ106と、を備える。
【0013】
カメラレンズ101は、X軸と、X軸に直交するY軸と、X軸とY軸に直交するZ軸を備える3次元座標で制御されるレンズである。カメラレンズ101は、X軸の位置センサ112(X-Lens Positionセンサ)、X軸のアクチュエータ113(X-VCM(Voice Coil Motor))を備える。カメラレンズ101は、Y軸の位置センサ114(Y-Lens Positionセンサ)、Y軸のアクチュエータ115(Y-VCM(Voice Coil Motor))を備える。カメラレンズ101は、Z軸の位置センサ110(Z-Lens Positionセンサ)、Z軸のアクチュエータ111(Z-VCM(Voice Coil Motor))を備える。
【0014】
X軸の位置センサ112及びX軸のアクチュエータ113は、第1の半導体チップ103と接続され、第1の半導体チップ103によって制御される。また、Y軸の位置センサ114及びY軸のアクチュエータ115は、第1の半導体チップ103と接続され、第1の半導体チップ103によって制御される。また、Z軸の位置センサ110及びZ軸のアクチュエータ111は、第2の半導体チップ102と接続され、第2の半導体チップ102によって制御される。
【0015】
第2の半導体チップ102は、プライマリの半導体チップである。第2の半導体チップ102は、上記3軸用OISレンズ101との接続によりZ軸の位置データ107を保存し、カメラレンズ101のZ軸を制御する。第2の半導体チップ102は、IIC(Inter-Integrated Circuit)通信またはI3C(Improved Inter-Integrated Circuit)通信により、HOSTコントローラと接続されている。
【0016】
第2の半導体チップ102は、ジャイロセンサ104とSPI(Serial Peripheral Interface)通信のチップセレクト信号線、データ信号線、及びクロック信号線を介して接続される。また、第2の半導体チップ102は、第1の半導体チップ103と、SPI通信のチップセレクト信号線、データ信号線、及びクロック信号線を介して接続される。なお、図面上データ線は1本で表されているが、実際には2本以上であってもよい。
【0017】
第2の半導体チップ102は、ジャイロセンサの記憶部105にSPI通信を介してZ軸の位置データ107を送信する。第2の半導体チップ102は、手振れ状態のデータを読み込んで、カメラレンズ101のZ軸の目標位置を算出する。
【0018】
第1の半導体チップ103は、セカンダリの半導体チップである。第1の半導体チップ103は、上記カメラレンズ101との接続によりX軸とY軸の位置データ108を保存する。また、第1の半導体チップ103は、カメラレンズ101のX軸とY軸を制御する。第1の半導体チップ103は、IIC通信またはI3C通信により、HOSTコントローラと接続されている。
【0019】
第1の半導体チップ103は、SPIデータを常に監視する。そのため、第1の半導体チップ103は、Z軸の位置データ109を取得できる。Z軸の位置データ109は、SPI通信を介してジャイロセンサの記憶部105に保存されているZ軸の位置データから取得される。第1の半導体チップ103は、ジャイロデータを読み込み、Z軸の位置データで補正してカメラレンズ101のX軸とY軸の目標位置を算出する。
【0020】
ジャイロセンサ104は、手振れ状態のデータであるX軸、Y軸、Z軸のジャイロデータを取得する。ジャイロセンサ104は、SPI通信を介してジャイロデータを第1の半導体チップ103及び第2の半導体チップ102に送信する。手振れ補正は、手振れ状態のデータを用いて第1の半導体チップ103及び第2の半導体チップ102で実行される。ジャイロセンサ104は、ジャイロセンサの記憶部105を備える。ジャイロセンサの記憶部105は、第1の領域と第2の領域を備える。第1の領域は、手振れ状態のデータが記憶され、第2の領域は、Z軸の位置データが記憶される。
【0021】
HOSTコントローラ106は、接続されている第2の半導体チップ102と第1の半導体チップ103から手振れ状態のデータ及びX軸、Y軸、Z軸の位置データを取得する。HOSTコントローラ106は、手振れ状態のデータ及びX軸、Y軸、Z軸の位置データをEISに用いる。
【0022】
このような構成により、第2の半導体チップ102と第1の半導体チップ103を接続するチップセレクト信号線がなくともジャイロセンサの未使用アドレスを使用してSPI通信によりZ軸の位置データを送受信できる。
【0023】
(実施の形態1にかかるOIS処理の説明)
図2は、実施の形態1にかかるOIS処理のシーケンス図である。
図3は、実施の形態1にかかるOIS処理のZ軸のレンズ位置を使ったX軸の補正処理を示すブロック図である。
図4は、実施の形態1にかかるOIS処理のジャイロセンサのデータアドレスの未使用領域を示す概略図である。
図5は、実施の形態1にかかるOIS処理の2軸用OIS-ICのプライマリの半導体チップの動作を示すフローチャートである。
図6は、実施の形態1にかかるOIS処理の2軸用OISのICのセカンダリの半導体チップの動作を示すフローチャートである。
図2乃至
図6を参照しながら、実施の形態1にかかるOIS処理を説明する。
【0024】
図2に示されるように、手振れ補正装置100は、以下のようなシーケンスで動作する。
(1)HOSTコントローラ106は、第2の半導体チップ102にスタートコマンドを送信する。
(2)HOSTコントローラ106は、第1の半導体チップ103にスタートコマンドを送信する。
(3)第2の半導体チップ102は、SPIラインにZ軸のレンズ位置を出力する。このとき、出力は、未使用アドレスとZ軸のレンズ位置である。ジャイロセンサ104は、未使用アドレスなのでNOP(No Operation)動作する。第1の半導体チップ103は、アドレスがZ軸のID(Identification)なのでZ軸のレンズ位置の情報と認識する。第1の半導体チップ103は、Z軸のレンズ位置の情報を目標位置の算出に使用する。
(4)第2の半導体チップ102は、SPIラインにジャイロセンサ104の駆動コマンドを出力する。駆動コマンドは、ジャイロセンサのIDである。ジャイロセンサ104は、ジャイロセンサのIDであると認識する。第1の半導体チップ103は、ジャイロセンサのIDと認識する。
(5)ジャイロセンサ104は、SPIラインにジャイロデータを出力する。第1の半導体チップ103は、X軸とY軸の目標位置を算出する。第2の半導体チップ102は、Z軸の目標位置を算出する。
【0025】
図3に示されるように、シーケンス(5)の第1の半導体チップの目標位置の算出において、Z軸のレンズ位置は、X軸の補正処理に用いられる。ここではX軸を例に挙げるがY軸も同様である。
【0026】
X軸のジャイロセンサの生データ301が、Z軸のレンズ位置308を用いたクロストーク補正と、リミット値の補正を受けて、X軸目標位置が算出される。
【0027】
Z軸のレンズ位置によりX軸のレンズ位置がシフトしてしまうアクチュエータの場合、以下のようなクロストーク補正が必要になる。
X‘=Xの計算結果+(Z軸のレンズ位置-Z軸の中心)×係数1
【0028】
Z軸のレンズ位置によりX、Y軸のリミットレンズ位置がシフトしてしまうアクチュエータの場合、以下のようなリミット値の補正が必要になる。
Max=Normal Limit Max+Z軸のレンズ位置×係数0
Min=Normal Limit Min+Z軸のレンズ位置×係数0
【0029】
図4に示されるように、シーケンス(3)の第2の半導体チップ102のSPIラインにZ軸のレンズ位置を出力することが行われる。例えば、未使用アドレス0x03アドレスと、Z軸のレンズ位置のデータが、SPIチップセレクト信号線による通信開始後のSPIクロックにのって、SPIデータ信号線に送信される。なお、未使用領域とは、ジャイロセンサの記憶部105の領域の一部であって、命令データ、プログラムデータ、ステータスを表すデータなど、ジャイロセンサの動作に関係するデータを格納するよう設計されていない領域を示す。そのため、仮に未使用領域にデータを格納した場合でも、そのデータに基づいてジャイロセンサが動作を変更することはない。未使用領域は「RESERVED AREA」「UNUSED AREA」とも称される。また、未使用アドレス「UNUSED ADRRESS」とは、未使用領域に含まれるアドレスを示す。
【0030】
図5に示されるように、第2の半導体チップ102は、以下のように動作する。ここでは、OIS処理は、1kHzで動作している。まず、OIS開始から1m秒経過したか否か判定される(ステップS501)。1m秒経過していない場合(ステップS501のNOの場合)はOIS開始に戻る。1m秒経過した場合(ステップS501のYESの場合)は、第2の半導体チップ102は、チップセレクト信号線0(CS(Chip Select)0)からZ軸のレンズ位置データを送信する(ステップS502)。Z軸のレンズ位置データは、未使用アドレス0x03とZ軸のレンズ位置データである。次に第2の半導体チップ102は、チップセレクト信号線0でジャイロセンサ104のデータを取得する(ステップS503)。最後に第2の半導体チップ102は、Z軸の目標位置を算出する(ステップS504)。そして、OISが動作している間、ステップS501からステップS504が繰り返される。
【0031】
図6に示されるように、第1の半導体チップ103は、以下のように動作する。まず、第1の半導体チップ103がチップセレクト信号線0から信号を受信したか否か判定される(ステップS601)。信号を受信しない場合(ステップS601のNOの場合)、OIS処理を終了するか否か判定する(ステップS607)。信号を受信した場合(ステップS601のYESの場合)、アドレスがジャイロセンサの未使用アドレスか否か判定される(ステップS602)。未使用アドレスでない場合、例えば第1のアドレスである0xA2だった場合、
図3に示す目標位置(クロストーク補正を含む)を算出する(ステップS603)。次にリミット値を更新する(ステップS604)。未使用アドレスであり、例えば第2のアドレスである0x03だった場合、Z軸のレンズ位置データであると認識してZ軸のレンズ位置データのデータを保持する(ステップS605)。次にZ軸のレンズ位置によるリミット値を更新する(ステップS606)。ステップS604とステップS606の後、OIS処理を終了するか否か判定される(ステップS607)。OIS処理を終了する場合(ステップS607のYESの場合)、OIS処理を終了する。OIS処理を終了しない場合(ステップS607のNOの場合)、OIS処理の開始(ステップS601)に戻る。
【0032】
このようにして、第2の半導体チップ102と第1の半導体チップ103を接続するチップセレクト信号線がなくともジャイロセンサの未使用アドレスを使用してSPI通信によりZ軸の位置データを送受信できる。
【0033】
(実施の形態2にかかるOIS処理の説明)
図7は、実施の形態2にかかるOIS処理のシーケンス図である。
図8は、実施の形態2にかかるOIS処理の2軸用OIS-ICのプライマリの半導体チップの動作を示すフローチャートである。
図9は、実施の形態2にかかるOIS処理の2軸用OISのICのセカンダリの半導体チップの動作を示すフローチャートである。
図10は、実施の形態2にかかるOIS処理のHOSTコントローラの動作を示すフローチャートである。
図11は、実施の形態2にかかるEISデータの内容例を示す図である。
図12は、関連する技術にかかるEISデータの内容例を示す図である。
図7乃至
図12を参照しながら、実施の形態2にかかるOIS処理を説明する。
【0034】
実施の形態2にかかる手振れ補正装置は、実施の形態1の手振れ補正装置100と同じ構成である。実施の形態2は、HOSTコントローラ106がEIS処理を行う点で実施の形態1と異なる。
【0035】
図7に示されるように、実施の形態2にかかる手振れ補正装置100は、以下のようなシーケンスで動作する。
(1)HOSTコントローラ106は、第2の半導体チップ102にスタートコマンドを送信する。
(2)HOSTコントローラ106は、第1の半導体チップ103にスタートコマンドを送信する。
(3)第2の半導体チップ102は、SPIラインにジャイロコマンドを出力する。出力はジャイロセンサのIDである。ジャイロセンサ104は、コマンドをジャイロセンサのIDと認識する。第1の半導体チップ103は、コマンドをジャイロセンサのIDと認識する。
(4)ジャイロセンサ104は、SPIラインにジャイロデータを出力する。第2の半導体チップ102は、Z軸の目標位置を算出する。第1の半導体チップ103は、X軸とY軸の目標位置を算出する。
(5)第2の半導体チップ102は、SPIラインにZ軸のレンズ位置と目標位置を出力する。第1の半導体チップ103は、Z軸のレンズ位置と目標位置を取得する。
(6)HOSTコントローラ106は、IIC通信を介して第1の半導体チップ103から、X軸、Y軸、Z軸のEISデータを取得する。
【0036】
第2の半導体チップ102と第1の半導体チップ103は、ジャイロセンサ104と例えば1kHzなどの演算周期で手振れ状態のデータ、レンズ位置のデータ、目標位置のデータのやり取りを行い、EISデータを蓄積する。HOSTコントローラ106は、例えば30fpsなどの画像読み取り周期でEISデータを読み取り、EIS処理を実行する。
【0037】
図8に示されるように、第2の半導体チップ102は、以下のように動作する。ここでは、OIS処理は、1kHzで動作している。まず、OIS開始から1m秒経過したか否か判定される(ステップS801)。1m秒経過していない場合(ステップS801のNOの場合)はOIS開始に戻る。1m秒経過した場合(ステップS801のYESの場合)、第2の半導体チップ102は、チップセレクト信号線0(CS0)からZ軸データを送信する(ステップS802)。Z軸データは、0x03-レンズ位置データ及び目標位置データである。次に第2の半導体チップ102は、チップセレクト信号線0でジャイロセンサ104のデータを取得する(ステップS803)。最後に第2の半導体チップ102は、Z軸の目標位置を算出する(ステップS804)。そして、OISが動作している間、ステップS801からステップS804が繰り返される。
【0038】
図9に示されるように、第1の半導体チップ103は、以下のように動作する。まず、第1の半導体チップ103は、チップセレクト信号線0から信号を受信したか否か判定される(ステップS901)。信号を受信しない場合(ステップS901のNOの場合)、OIS処理を終了するか否か判定される(ステップS907)。信号を受信した場合(ステップS901のYESの場合)、アドレスがジャイロセンサの未使用アドレスか否か判定される(ステップS902)。未使用アドレスでない場合、例えば第1のアドレスである0xA2だった場合、
図3に示す目標位置(クロストーク補正を含む)を算出する(ステップS903)。次にリミット値を更新する(ステップS904)。未使用アドレスであり、例えば第2のアドレスである0x03だった場合、Z軸のデータであるため保持する(ステップS905)。次に、Z軸のレンズ位置及び目標位置によるEISデータを更新する(ステップS906)。ステップS904とステップS906の後、OIS処理を終了するか否か判定される(ステップS907)。OIS処理を終了する場合(ステップS907のYESの場合)、OIS処理を終了する。OIS処理を終了しない場合(ステップS907のNOの場合)、OIS処理の開始(ステップS901)に戻る。
【0039】
図10に示されるように、HOSTコントローラ106は、以下のように動作する。まず、HOSTコントローラ106は、IIC通信を介してプライマリである第2の半導体チップ102にスタートコマンドを送信する。また、HOSTコントローラ106は、IIC通信を介してセカンダリである第1の半導体チップ103にスタートコマンドを送信する(ステップS1001)。次にHOSTコントローラ106は、画像を1フレーム取得したか否か判定される(ステップS1002)。取得した場合(ステップS1002のYESの場合)、EIS処理を行う(ステップ(S1003)。HOSTコントローラ106は、第1の半導体チップ103からX軸、Y軸、Z軸のEISデータを取得する。取得しない場合(ステップS1002のNOの場合)及びステップS1003を終了した場合、HOSTコントローラ106は、カメラ機能を終了するか否か判定される(ステップS1004)。終了しない場合(ステップS1004でNOの場合)、ステップS1002に戻る。終了する場合(ステップS1004でYESの場合)、HOSTコントローラ106は、IIC通信を介してプライマリである第2の半導体チップ102にストップコマンドを送信する。またHOSTコントローラ106は、IIC通信を介してセカンダリである第1の半導体チップ103にストップコマンドを送信する(ステップS1005)。最後に、HOSTコントローラ106は、OIS処理を終了する。
【0040】
図11に示されるように、30fpsで画像を取得する場合、1枚あたりの撮影時間は、33.3ミリ秒である。4ミリ秒に一度レンズ位置などのデータを取得する場合、1枚あたりのデータ数は、約8個である。レンズ位置データ、目標位置データ、ジャイロ生データの3つが取得される。
図12に示されるように、同じく30fpsで画像を取得する場合、第1の半導体チップ103と第2の半導体チップ102のそれぞれに対してレンズ位置データが発生する。
図12の表に追加して、目標位置とジャイロ生データも同様に発生する。
【0041】
そのため、実施の形態2のデータの数は3×4×8=96であり、関連する技術のデータの数は、3×3×8+3×2×8=120である。したがって、実施の形態2は、データ数を削減できる。1Mbpsでの通信時間理論値を2.22msecから1.76msecに短縮できる。また、2つのIIC通信でデータを取得するタイミングが異なる場合があり、EISの処理が難しくなる。実施の形態2の方法は、全軸のデータが正確に同期する。
【0042】
このようにして、1つの半導体チップから全ての軸のデータが取得できるため、EISのデータ通信量を減らすことができる。
【0043】
(実施の形態3にかかるOIS処理の説明)
図13は、実施の形態3にかかるOIS処理のシーケンス図である。
図14は、実施の形態3にかかるOIS処理のジャイロセンサのデータアドレスの未使用領域を示す概略図である。
図13及び
図14を参照しながら、実施の形態3にかかるOIS処理を説明する。
【0044】
実施の形態3にかかる手振れ補正装置は、実施の形態1にかかる手振れ補正装置100と構成が同じである。実施の形態3にかかるOIS処理は、実施の形態1にかかるOIS処理と、ジャイロセンサ104がZ軸の位置データとジャイロデータを同時に第1の半導体チップ103に送信している点で異なる。
【0045】
図13に示されるように、手振れ補正装置100は、以下のようなシーケンスで動作する。
(1)HOSTコントローラ106は、第2の半導体チップ102にスタートコマンドを送信する。
(2)HOSTコントローラ106は、第1の半導体チップ103にスタートコマンドを送信する。
(3)第2の半導体チップ102は、SPIラインにZ軸のレンズ位置を出力する。このとき、出力は、UNUSED ADDRESSとZ軸のレンズ位置である。ジャイロセンサ104は、未使用アドレスなのでデータを格納する。第1の半導体チップ103は、第2の半導体チップ102からのデータを無視する。
(4)第2の半導体チップ102は、SPIラインにUNUSED ADDRESSのアドレスを出力する。
(5)ジャイロセンサ104は、UNUSED ADDRESSのデータとジャイロセンサのデータを出力する。第1の半導体チップ103は、UNUSED ADDRESSのデータとジャイロセンサのデータと認識する。第1の半導体チップ103は、これらのデータに基づいて、目標位置の算出を行う。第2の半導体チップ102は、Z軸の目標位置を算出する。
【0046】
図14に示されるように、ジャイロセンサの記憶部105は、未使用領域の第2の領域と、手振れ状態のデータが格納される第1の領域が連続している。第1の半導体チップ103は、ジャイロセンサ104からジャイロデータと未使用領域のデータを取得するために未使用領域のアドレス(0x20)+(0x80)をSPIラインに送る。すると第1の半導体チップ103は、UNUSED ADDRESSのZ軸のレンズ位置データと、ジャイロデータを取得できる。
【0047】
このようにすることで、ジャイロセンサの未使用アドレスを使用してSPI通信によりZ軸の位置データを送受信できるだけでなく、通信回数を少なくできる。
【0048】
(実施の形態4にかかる手振れ補正装置の説明)
図15は、実施の形態4にかかる複数の2軸用OIS-ICと2軸用OIS-ICのそれぞれに接続された2軸用OISレンズを制御する手振れ補正装置の構成を示すブロック図である。
図15を参照しながら、実施の形態4にかかる手振れ補正装置を説明する。手振れ補正装置1500は、撮像装置に用いられる手振れを補正する半導体装置である。手振れ補正装置1500は、2つ以上の2軸用OIS-ICと2つ以上の2軸用OISレンズを用いて手振れを補正する。
【0049】
実施の形態4にかかる手振れ補正装置1500は、第1の2軸用OISレンズ(以下、第1のカメラレンズという)1501と、第2の2軸用OISレンズ(以下、第2のカメラレンズという)1502と、No.1の2軸用OIS-IC(以下第1の半導体チップという)1505と、No.2の2軸用OIS-IC(以下、第2の半導体チップという)1506と、ジャイロセンサ1509と、HOSTコントローラ1510と、ジャイロセンサの記憶部1511と、を備える。また、実施の形態4にかかる手振れ補正装置1500は、第3の2軸用OISレンズ(以下、第3のカメラレンズという)1503と、第4の2軸用OISレンズ(以下、第4のカメラレンズという)1504と、No.3の2軸用OIS-IC(以下、第3の半導体チップという)1507と、No.4の2軸用OIS-IC(以下、第4の半導体チップという)1508と、を備えてもよい。
【0050】
第1のカメラレンズ1501は、X軸と、X軸に直交するY軸と、X軸とY軸に直交するZ軸を備える3次元座標のうち2軸で制御されるレンズである。カメラレンズ1501は、2軸の位置センサ、2軸のアクチュエータを備える。3軸のうち2軸の位置センサ及び2軸のアクチュエータは、第1の半導体チップ1505と接続され、第1の半導体チップ1505によって制御される。
【0051】
第1の半導体チップ1505は、プライマリの半導体チップである。第1の半導体チップ1505は、第2の半導体チップ1506と、SPI通信のチップセレクト信号線、データ信号線、及びクロック信号線を介して接続される。また、第1の半導体チップ1505は、ジャイロセンサ1509と、SPI通信のチップセレクト信号線、データ信号線、及びクロック信号線を介して接続される。第1の半導体チップ1505は、IIC通信を介してHOSTコントローラ1510に接続される。
【0052】
第1の半導体チップ1505は、上記HOSTコントローラ1510との接続により、コマンドを受信する。第1の半導体チップ1505は、ジャイロセンサの記憶部1511にSPI通信を介してHOSTコントローラからのコマンドを送信する。
【0053】
第2のカメラレンズ1502は、X軸と、X軸に直交するY軸と、X軸とY軸に直交するZ軸を備える3次元座標のうち2軸で制御されるレンズである。3軸のうち2軸の位置センサ及び2軸のアクチュエータは、第2の半導体チップ1506と接続され、第2の半導体チップ1506によって制御される。
【0054】
第2の半導体チップ1506は、セカンダリの半導体チップである。第2の半導体チップ1506は、ジャイロセンサ1509とSPI通信のチップセレクト信号線、データ信号線、及びクロック信号線を介して接続される。また、第2の半導体チップ1506は、第1の半導体チップ1505と、SPI通信のチップセレクト信号線、データ信号線、及びクロック信号線を介して接続される。第2の半導体チップ1506は、IIC通信により、HOSTコントローラ1510と接続されている。
【0055】
また、第2の半導体チップ1506は、SPIデータを常時監視する。SPIのデータのアドレスがジャイロのアドレスの場合、ジャイロデータと認識して目標位置の計算に使用する。コマンド情報であることを示す未使用アドレスの場合、コマンドとして使用する。すなわち、HOSTコントローラ1510が複数の半導体チップに送信するコマンド数は、1回である。
【0056】
ジャイロセンサ1509は、手振れ状態データであるX軸、Y軸、Z軸のジャイロデータを取得する。ジャイロセンサ1509は、SPI通信を介してジャイロデータを第1の半導体チップ1505及び第2の半導体チップ1506に送信する。実施の形態5のようにジャイロセンサ1509は、SPI通信を介してジャイロデータをHOSTコントローラ1510に送信してもよい。
【0057】
第3のカメラレンズ1503及び第4のカメラレンズ1504は、第2のカメラレンズ1502と同様の構成を備えるため、説明を省略する。第3の半導体チップ1507及び第4の半導体チップ1508は、第2の半導体チップ1506と同様の構成を備えるため、説明を省略する。このように、複数の半導体チップの一つは、複数のカメラレンズの一つと接続されている。第3のカメラレンズ1503と第3の半導体チップ1507の組及び第4のカメラレンズ1504と第4の半導体チップ1508の組の数に制限はない。
【0058】
このような構成により、HOSTコントローラは、1回のコマンド送信だけで複数の半導体チップに命令できる。そのため、コマンド送信時間が短縮される。
【0059】
(実施の形態4にかかるOIS処理の説明)
図16は、実施の形態4にかかるOIS処理のシーケンス図である。
図17は、実施の形態4にかかるOIS処理の2軸用OIS-ICのプライマリの半導体チップの動作を示すフローチャートである。
図18は、実施の形態4にかかるOIS処理の2軸用OISのICのセカンダリの半導体チップの動作を示すフローチャートである。
図19は、実施の形態4にかかるOIS処理のジャイロセンサのデータアドレスの未使用領域を示す概略図である。
図20は、実施の形態4にかかるOIS処理のホストコントローラの動作を示すフローチャートである。
図21は、実施の形態4にかかるOIS処理にかかる時間と関連する技術にかかるOIS処理にかかる時間を示す図である。
図16から
図21を参照しながら、実施の形態4にかかるOIS処理を説明する。
【0060】
図16に示されるように、手振れ補正装置1500は、以下のようなシーケンスで動作する。
(1)HOSTコントローラ1510は、第1の半導体チップ1505にスタートコマンドを送信する。
(2)第1の半導体チップ1505は、SPI通信を介してジャイロセンサの記憶部1511の未使用領域にスタートコマンドを送信する。第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507、及び第4の半導体チップ1508は、SPI通信を監視し、スタートコマンドを受信する。第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507及び第4の半導体チップ1508は、処理を開始する。ジャイロセンサは、未使用領域のアドレスなので動作しない。
(3)第1の半導体チップ1505は、SPIラインにジャイロセンサ1509の駆動コマンドを出力する。駆動コマンドは、ジャイロセンサのIDである。ジャイロセンサ1509は、コマンドをジャイロセンサのIDであると認識する。第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507及び第4の半導体チップ1508は、コマンドをジャイロセンサのIDであると認識する。
(4)ジャイロセンサ1509は、SPIラインにジャイロセンサ1509のデータを出力する。第1の半導体チップ1505は、ジャイロデータを取得し、2軸の目標位置を算出する。第2の半導体チップ1506は、ジャイロデータを取得し、2軸の目標位置を算出する。第3の半導体チップ1507は、ジャイロデータを取得し、2軸の目標位置を算出する。第4の半導体チップ1508は、ジャイロデータを取得し、2軸の目標位置を算出する。
(5)HOSTコントローラ1510は、第1の半導体チップ1505に例えば撮影条件の変更などのモード変更コマンドを送信する。
(6)第1の半導体チップ1505は、SPI通信を介してジャイロセンサの記憶部1511の未使用領域にモード変更コマンドを送信する。第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507、及び第4の半導体チップ1508は、SPI通信を監視し、モード変更コマンドを受信する。第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507及び第4の半導体チップ1508は、モードを変更する。ジャイロセンサは、未使用領域のアドレスなので動作しない。
(7)HOSTコントローラ1510は、第1の半導体チップ1505にストップコマンドを送信する。
(8)第1の半導体チップ1505は、SPI通信を介してジャイロセンサの記憶部1511の未使用領域にストップコマンドを送信する。第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507、及び第4の半導体チップ1508は、SPI通信を監視し、ストップコマンドを受信する。第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507及び第4の半導体チップ1508は、処理を停止する。ジャイロセンサは、未使用領域のアドレスなので動作しない。
【0061】
図17に示されるように、HOSTコントローラ1510は、以下のように動作する。まず、カメラ機能を開始し、IIC通信で第1の半導体チップ1505のみにスタートコマンドを送信する(ステップS1701)。次に、HOSTコントローラ1510が画像を1フレーム取得したか否か判定される(ステップS1702)。取得した場合(ステップS1702のYESの場合)、HOSTコントローラ1510はEIS処理を実行する(ステップS1703)。取得していない場合(ステップS1702のNOの場合)及びEIS処理を実行した(ステップS1703)後、HOSTコントローラ1510は、カメラモードを変更するか否か判定される(ステップS1704)。変更する場合(ステップS1704のYESの場合)、HOSTコントローラ1510は、IIC通信で第1の半導体チップ1505のみにモード変更コマンドを送信する(ステップS1705)。変更しない場合(ステップS1704のNOの場合)及びモード変更コマンドを送信した(ステップS1705)後、ステップS1702に戻る。
【0062】
図18に示されるように、第1の半導体チップ1505は、以下のように動作する。まず、IICからコマンドが送信された否か判定される(ステップS1801)。送信されない場合(ステップS1801のNOの場合)、第1の半導体チップ1505は、待機する。送信された場合(ステップS1801のYESの場合)、第1の半導体チップ1505は、SPIラインからコマンドを送信する(ステップS1802)。コマンドは、
図19に示されるように例えばジャイロセンサの未使用領域であるアドレス0x04と、コマンドIDと、コマンドデータである。次に第1の半導体チップ1505は、IICのコマンドがいずれであるか判定する(ステップS1803)。コマンドIDが0x11であった場合、OISのハードウェア(HW)を開始して、スタートフラグを1にする(ステップS1804)。コマンドIDが0x22であった場合、OISのHWを停止して、スタートフラグを0にする(ステップS1805)。コマンドIDが0x33であった場合、OISモードを変更し、モードにコマンドデータを入力する(ステップS1806)。次に、スタートフラグが1で、時間が経過したか否か判定される(ステップS1807)。スタートフラグが1で時間が経過した場合、第1の半導体チップ1505は、ジャイロセンサ1509からデータを取得する(ステップS1808)。最後に第1の半導体チップ1505は、2軸の目標位置を算出する(ステップS1809)。そして、スタートフラグが1でないまたは時間が経過していない場合(ステップS1807のNOの場合)及び目標位置を算出した(ステップS1809)後、ステップS1801に戻り、OISが動作している間、ステップS1801からステップS1809が繰り返される。
【0063】
図20に示されるように、第2の半導体チップ1506は、以下のように動作する。まず、SPIラインにコマンドが送信されたか否か判定される(ステップS2001)。送信されていない場合(ステップS2001のNOの場合)、第2の半導体チップ1506は、待機する。送信された場合(ステップS2001のYESの場合)、第2の半導体チップ1506は、SPIデータが例えばアドレス0x04でコマンドを示すか否か判定する(ステップS2002)。コマンドを示さない場合(ステップS2002のNOの場合)、ステップS2001に戻る。コマンドを示す場合(ステップS2002のYESの場合)、第2の半導体チップ1506は、コマンドデータ1がいずれであるか判定する(ステップS2003)。コマンドIDが0x11であった場合、OISのハードウェア(HW)を開始して、スタートフラグを1にする(ステップS2004)。コマンドIDが0x22であった場合、OISのHWを停止して、スタートフラグを0にする(ステップS2005)。コマンドIDが0x33であった場合、OISモードを変更し、モードにコマンドデータを入力する(ステップS2006)。次に、SPIデータ0がジャイロIDで、スタートフラグが1であるか否か判定される(ステップS2007)。ジャイロIDでスタートフラグが1である場合、第2の半導体チップ1506は、2軸の目標位置を算出する(ステップS2008)。そして、SPIデータ0がジャイロIDでないまたはスタートフラグが1でない場合(ステップS2007のNOの場合)及び目標位置を算出した(ステップS2008)後、ステップS2001に戻り、OISが動作している間、ステップS2001からステップS2008が繰り返される。
【0064】
このようにすることで、
図21に示されるように、HOSTコントローラ1510がIICで1つの半導体チップにコマンドを送る時間を38μ秒とする。HOSTコントローラ1510が4つの半導体チップに送信する場合、関連する技術では152μ秒かかっていたが、本開示の方法では、40.4μ秒に短縮できる。
【0065】
(実施の形態5にかかるOIS処理の説明)
図22は、実施の形態5にかかるOIS処理のシーケンス図である。
図22を参照しながら、実施の形態5にかかるOIS処理を説明する。
【0066】
実施の形態5にかかる手振れ補正装置は、実施の形態4にかかる手振れ補正装置1500と構成が同じである。実施の形態5にかかるOIS処理は、実施の形態4にかかるOIS処理と、HOSTコントローラ1510が目標位置を算出している点で異なる。
【0067】
図22に示されるように、手振れ補正装置1500は、以下のようなシーケンスで動作する。
(1)HOSTコントローラ1510は、第1の半導体チップ1505にスタートコマンドを送信する。
(2)第1の半導体チップ1505は、SPI通信を介してジャイロセンサの記憶部1511の未使用領域にスタートコマンドを送信する。第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507、及び第4の半導体チップ1508は、SPI通信を監視し、スタートコマンドを受信する。第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507及び第4の半導体チップ1508は、処理を開始する。ジャイロセンサは、未使用領域のアドレスなので動作しない。
(3)HOSTコントローラ1510は、第1の半導体チップ1505にジャイロ読み取りコマンドを送信する。
(4)第1の半導体チップ1505は、SPI通信を介してジャイロセンサ1509に読み取りコマンドを送信する。
(5)第1の半導体チップ1505は、SPI通信を介してジャイロセンサ1509からデータを読み取る。
(6)HOSTコントローラ1510は、IIC通信により第1の半導体チップ1505からジャイロデータを取得する。HOSTコントローラ1510は、各レンズの目標位置を算出する。
(7)HOSTコントローラ1510は、第1の半導体チップ1505に各レンズの目標位置を送信する。
(8)第1の半導体チップ1505は、ジャイロセンサの記憶部1511の未使用領域を用いて第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507及び第4の半導体チップ1508に目標更新のコマンドを送信する。第1の半導体チップ1505、第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507及び第4の半導体チップ1508は、接続されている各レンズの位置を制御する。
(9)HOSTコントローラ1510は、第1の半導体チップ1505にストップコマンドを送信する。
(10)第1の半導体チップ1505は、SPI通信を介してジャイロセンサの記憶部1511の未使用領域にストップコマンドを送信する。第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507、及び第4の半導体チップ1508は、SPI通信を監視し、ストップコマンドを受信する。第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507及び第4の半導体チップ1508は、処理を停止する。ジャイロセンサは、未使用領域のアドレスなので動作しない。
【0068】
このようにすることで、第1の半導体チップ1505、第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507、第4の半導体チップ1508が目標位置を算出しない構成にできる。HOSTコントローラ1510は、第1の半導体チップ1505にだけ高速に目標位置を送信できる。
【0069】
上述した第1の半導体チップ103、第2の半導体チップ102、第1の半導体チップ1505、第2の半導体チップ1506、第3の半導体チップ1507、第4の半導体チップ1508は、プログラムを用いて処理が実行される。HOSTコントローラ106及びHOSTコントローラ1510プログラムは、プログラムを用いて処理が実行される。様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0070】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0071】
100 手振れ補正装置、101 カメラレンズ、102 第2の半導体チップ、103 第1の半導体チップ、104 ジャイロセンサ、105 ジャイロセンサの記憶部、106 HOSTコントローラ、107 Z軸の位置データ、108 X軸とY軸の位置データ、109 Z軸の位置データ、110 Z軸の位置センサ、111 Z軸のアクチュエータ、112 X軸の位置センサ、113 X軸のアクチュエータ、114 Y軸の位置センサ、115 Y軸のアクチュエータ、1500 手振れ補正装置、1501 第1のカメラレンズ、1502 第2のカメラレンズ、1503 第3のカメラレンズ、1504 第4のカメラレンズ、1505 第1の半導体チップ、1506 第2の半導体チップ、1507 第3の半導体チップ、1508 第4の半導体チップ、1509 ジャイロセンサ、1510 HOSTコントローラ、1511 ジャイロセンサの記憶部