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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006949
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】蓄電セルおよび電極体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108007
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和仁
(72)【発明者】
【氏名】後藤 孝章
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 正宜
(72)【発明者】
【氏名】船戸 峰洋
(72)【発明者】
【氏名】金子 剛
(72)【発明者】
【氏名】横井 友香
【テーマコード(参考)】
5H028
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028AA06
5H028AA07
5H028BB04
5H028BB05
5H028CC07
5H028CC08
5H028CC15
5H028HH05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電極体の内部において、電解液の染み込みが不均一になり難い蓄電セルを提供すること。
【解決手段】電極体100は、複数の正極電極、複数の負極電極、セパレータを備え、電極体は、厚さ方向よりも幅方向に長い形状を有し、電極体は、上部11と、底部12と、幅方向の一端に位置する第1端部13と、他端に位置する第2端部14と、を含み、複数の正極電極は、第1端部から突出する正極タブ112pを含み、複数の負極電極は、第2端部から突出する負極タブ122nを含み、正極タブよりも下方に位置する部分には、第1溶着部15が形成され、負極タブよりも下方に位置する部分には、第2溶着部16が形成され、底部において、第1溶着部に接する第3溶着部17と、前記第2溶着部に接する第4溶着部18と、が形成され、前記第3溶着部および前記第4溶着部は、前記底部の中央部分を間に挟んで、間隔を空けて配置されている、蓄電セル。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、前記電極体を収容するためのセルケースと、前記セルケース内に収容された電解液と、を備え、
前記電極体は、厚さ方向に並ぶように配置された複数の正極電極および複数の負極電極と、各正極電極および各負極電極を絶縁するためのセパレータと、を備え、
前記電極体は、前記厚さ方向よりも、前記厚さ方向および上下方向の双方と直交する幅方向に長い形状を有し、
前記電極体は、上部と、底部と、前記幅方向の一端に位置する第1端部と、前記幅方向の他端に位置する第2端部と、を含み、
前記複数の正極電極は、前記第1端部から突出する正極タブを含み、
前記複数の負極電極は、前記第2端部から突出する負極タブを含み、
前記第1端部において、前記正極タブよりも下方に位置する部分には、第1溶着部が形成されており、
前記第2端部において、前記負極タブよりも下方に位置する部分には、第2溶着部が形成されており、
前記底部において、前記第1溶着部に接する第3溶着部と、前記第2溶着部に接する第4溶着部と、が形成されており、
前記第3溶着部および前記第4溶着部は、前記底部の中央部分を間に挟んで、間隔を空けて配置されている、蓄電セル。
【請求項2】
前記第1溶着部の高さおよび前記第2溶着部の高さは、それぞれ前記電極体の高さの3分の1以上2分の1以下である、請求項1に記載の蓄電セル。
【請求項3】
前記第3溶着部の幅方向の長さおよび前記第4溶着部の幅方向の長さは、それぞれ前記電極体の幅方向の長さの4分の1以上3分の1以下である、請求項1または2に記載の蓄電セル。
【請求項4】
正極電極と負極電極とがセパレータを介して並ぶように配置された電極体の製造方法であって、
前記セパレータを準備する工程と、
前記セパレータ上に前記正極電極を配置する工程と、
前記セパレータを折り返すことによって前記セパレータに対する前記正極電極の位置決めを行う折返し部を形成するとともに、前記正極電極上に前記セパレータを配置する工程と、
前記セパレータを加熱することによって、前記セパレータを前記正極電極に溶着する工程と、
前記正極電極上に溶着された前記セパレータ上に前記負極電極を配置する工程と、
前記セパレータを折り返すことによって前記セパレータに対する前記負極電極の位置決めを行う折返し部を形成するとともに、前記負極電極上に前記セパレータを配置する工程と、
前記セパレータを加熱することによって、前記セパレータを前記負極電極に溶着する工程と、を備える、電極体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電セルおよび電極体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2009-88279号公報)には、バインダを含む電極を、セパレータ介して積層した電極体において、電極のバインダと同種の成分を主体とする接着剤にて、電極とセパレータ、またはセパレータ同士を接着する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-88279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電極体は、充放電を繰り返すことによって、膨張および収縮を繰り返す。その際に、電解液が電極体の周囲から出入りする。横長に形成された電極体においては、電極体の周囲からの出入りにより、その周囲部分では電解液は浸透した状態が維持される。一方、時間の経過と共に、電極体の内部、特に中心部では電解液が枯渇し易くなる。その結果、電極体の内部において、電解液の染み込みが不均一になるおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、電極体の内部において、電解液の染み込みが不均一になり難い蓄電セルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕 電極体と、前記電極体を収容するためのセルケースと、前記セルケース内に収容された電解液と、を備え、
前記電極体は、厚さ方向に並ぶように配置された複数の正極電極および複数の負極電極と、各正極電極および各負極電極を絶縁するためのセパレータと、を備え、
前記電極体は、前記厚さ方向よりも、前記厚さ方向および上下方向の双方と直交する幅方向に長い形状を有し、
前記電極体は、上部と、底部と、前記幅方向の一端に位置する第1端部と、前記幅方向の他端に位置する第2端部と、を含み、
前記複数の正極電極は、前記第1端部から突出する正極タブを含み、
前記複数の負極電極は、前記第2端部から突出する負極タブを含み、
前記第1端部において、前記正極タブよりも下方に位置する部分には、第1溶着部が形成されており、
前記第2端部において、前記負極タブよりも下方に位置する部分には、第2溶着部が形成されており、
前記底部において、前記第1溶着部に接する第3溶着部と、前記第2溶着部に接する第4溶着部と、が形成されており、
前記第3溶着部および前記第4溶着部は、前記底部の中央部分を間に挟んで、間隔を空けて配置されている、蓄電セル。
【0007】
電極体は、充放電を行うと膨張および収縮を行う。電極体の膨張および収縮により、電解液が電極体から出入りする。一方、溶着部分においては、セパレータの微孔が閉じられており、電解液は通ることができない。したがって、電極体の幅方向の両端の下部と、電極体の底部の幅方向の両端に溶着部を形成することにより、溶着部における電解液の出入りが遮断される結果、電極体の底部の角部に電解液が染み込んだ状態を維持することができる。したがって、電極体の内部において、電解液の染み込みが不均一になり難くなる。
【0008】
図1は、溶着部が形成されていない電極体において、電解液の浸透程度を示した模式図である。図1において、左右方向は電極体の横長方向を、上下方向は電極体の上下方向を示す。上述のように、電極体の底部の角部に染み込んだ電解液が、図1の中心部の電解液が染み込みにくい領域Zに時間の経過と共に染み込んでいくことで、電解液の染み込み度合いのバラツキが抑制されるものと考えられる。
【0009】
〔2〕 前記第1溶着部の高さおよび前記第2溶着部の高さは、前記電極体の高さの3分の1以上2分の1以下である、〔1〕に記載の蓄電セル。
【0010】
〔3〕 前記第3溶着部の幅方向の長さおよび前記第4溶着部の幅方向の長さは、前記電極体の幅方向の長さの4分の1以上3分の1以下である、〔1〕または〔2〕に記載の蓄電セル。
【0011】
〔4〕 正極電極と負極電極とがセパレータを介して並ぶように配置された電極体の製造方法であって、
前記セパレータを準備する工程と、
前記セパレータ上に前記正極電極を配置する工程と、
前記セパレータを折り返すことによって前記セパレータに対する前記正極電極の位置決めを行う折返し部を形成するとともに、前記正極電極上に前記セパレータを配置する工程と、
前記セパレータを加熱することによって、前記セパレータを前記正極電極に溶着する工程と、
前記正極電極上に溶着された前記セパレータ上に前記負極電極を配置する工程と、
前記セパレータを折り返すことによって前記セパレータに対する前記負極電極の位置決めを行う折返し部を形成するとともに、前記負極電極上に前記セパレータを配置する工程と、
前記セパレータを加熱することによって、前記セパレータを前記負極電極に溶着する工程と、を備える、電極体の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、電極体の内部において、電解液の染み込みが不均一になり難い蓄電セルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、溶着部が形成されていない電極体において、電解液の浸透程度を示した模式図である。
図2図2は、実施形態1における蓄電セルを概略的に示す斜視図の一例である。
図3図3は、図2に示される蓄電セルの断面図である。
図4図4(a)および(b)は、実施形態1における電極体を概略的に示す斜視図の一例である。
図5図5は、実施形態2における電極体を概略的に示す図である。
図6図6は、実施形態2における電極体の製造方法を概略的に示す図である。
図7図7は、実施形態2における電極体の製造方法を概略的に示す図である。
図8図8は、実施形態2における電極体の製造方法を概略的に示す図である。
図9図9は、実施形態2における電極体の製造方法を概略的に示す図である。
図10図10は、実施形態3における電極体を概略的に示す図である。
図11図11は、実施形態3における電極体の製造方法を概略的に示す図である。
図12図12は、実施形態3における電極体の製造方法を概略的に示す図である。
図13図13は、実施形態3における電極体の製造方法を概略的に示す図である。
図14図14は、実施形態3における電極体の製造方法を概略的に示す図である。
図15図15は、実施形態3における電極体の製造方法を概略的に示す図である。
図16図16は、実施形態3における電極体の製造方法を概略的に示す図である。
図17図17は、実施形態4における電極体を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
本実施形態における蓄電セルについて、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0015】
図2は、本実施形態における蓄電セルを概略的に示す斜視図の一例である。図3は、図2に示される蓄電セルの断面図である。図4(a)および(b)は、本実施形態における電極体を概略的に示す斜視図の一例である。
【0016】
図2および図3に示されるように、蓄電セル1は、電極体100と、セルケース200と、一対の外部端子300と、一対の連結部材400と、絶縁部材500と、電解液(図示略)と、を備えている。
【0017】
電極体100は、厚さ方向(図2におけるT)に並ぶように配置された複数の正極電極110および複数の負極電極120と、各正極電極110および各負極電極120を絶縁するためのセパレータ130と、を備えている。電極体100は、厚さ方向よりも、厚さ方向および上下方向(図2におけるH)の双方と直交する方向(図2におけるW)に長い長方形形状に形成されている。電極体100は、上部11と、底部12と、幅方向の一端に位置する第1端部13と、幅方向の他端に位置する第2端部14と、を含んでいる。
【0018】
各正極電極110は、幅方向に長い長方形形状に形成されている。各正極電極110は、正極集電箔と、正極集電箔の両面に設けられた正極活物質層と、を有している。正極電極110、具体的には正極集電箔は、第1端部13から幅方向における一方側に向かって突出する正極タブ112pを含む。正極タブ112pには、正極活物質層が設けられていない。
【0019】
各負極電極120は、幅方向に長い長方形形状に形成されている。各負極電極120は、負極集電箔と、負極集電箔の両面に設けられた負極活物質層と、を有している。負極電極120、具体的には負極集電箔は、第2端部14から幅方向における一方側に向かって突出する負極タブ122nを含む。負極タブ122nには、負極活物質層が設けられていない。
【0020】
第1端部13において、正極タブ112pよりも下方に位置する部分には、第1溶着部15が形成されている。第2端部14において、負極タブ122nよりも下方に位置する部分には、第2溶着部16が形成されている。底部12において、第1溶着部15に接する第3溶着部17と、第2溶着部16に接する第4溶着部18と、が形成されている。このような構成により、第1溶着部15、第2溶着部16、第3溶着部17および第4溶着部18における電解液の出入りを遮断することができる。その結果、底部12の角部(第1溶着部15と第3溶着部17とが接する付近および第2溶着部16と第4溶着部18とが接する付近)に電解液が染み込んだ状態を維持することができる。したがって、電極体100の内部において電解液の染み込みが不均一になり難くなる。
【0021】
第1溶着部15、第2溶着部16、第3溶着部17および第4溶着部18は、例えば、樹脂により形成されていてもよい。第1溶着部15、第2溶着部16、第3溶着部17および第4溶着部18は、互いに同じ樹脂で形成されてもよいし、互いに異なる樹脂で形成されてもよい。
【0022】
第1溶着部15の高さH1および第2溶着部16の高さH2は、それぞれ電極体100の高さの3分の1以上2分の1以下であることが好ましい。このような高さとすることにより、電解液の染み込みがより均一になることが期待される。
【0023】
第3溶着部17および第4溶着部18は、底部12の中央部分を間に挟んで、間隔を空けて配置されている。底部12全体に溶着部が形成されると、底部12からの電解液の出入りができなくなるためである。
【0024】
第3溶着部17の幅方向の長さW1および第4溶着部18の幅方向の長さW2は、それぞれ電極体100の幅方向の長さの4分の1以上3分の1以下であることが好ましい。このような長さとすることにより、電解液の染み込みがより均一になることが期待される。
【0025】
セパレータ130は、正極電極110および負極電極120間を絶縁している。セパレータ130は、絶縁材料からなり、イオンの透過を許容する微小な空隙を有している。
【0026】
セルケース200は、電極体100を収容している。セルケース200には、図示略の電解液が収容されている。セルケース200は、密封されている。セルケース200は、ケース本体210と、蓋220と、を有している。
【0027】
ケース本体210は、上向きに開口する開口部を有している。ケース本体210は、アルミニウム等の金属からなる。図3に示されるように、ケース本体210は、底壁212と、周壁214と、を有している。底壁212は、矩形かつ平板状に形成されている。周壁214は、底壁212から起立している。周壁214は、四角筒状に形成されている。幅方向における周壁214の長さは、厚さ方向における周壁214の長さよりも長い。高さ方向における周壁214の長さは、厚さ方向における周壁214の長さよりも長い。
【0028】
蓋220は、ケース本体210の開口部を閉塞している。蓋220は、溶接等によって開口部に接続されている。蓋220は、平板状に形成されている。蓋220は、アルミニウム等の金属からなる。蓋220は、圧力解放弁222と、封止部材224と、を有している。
【0029】
圧力解放弁222は、蓋220の中央部に形成されている。圧力解放弁222は、セルケース200の内圧が所定圧以上となると破断するように形成されている。圧力解放弁222が破断することで、セルケース200内のガスが当該圧力解放弁222を通じてセルケース200外に放出されるため、セルケース200の内圧が低下する。
【0030】
封止部材224は、蓋220に形成された注液口hを封止している。注液口hは、蓄電セル1の製造過程において、セルケース200内に電解液を注入するための貫通孔である。注液口hは、当該注液口hを通じてケース本体210に電解液が注入された後、封止部材224によって封止される。
【0031】
一対の外部端子300は、セルケース200上に固定されている。一対の外部端子300の一方は、正極の外部端子であり、他方は、負極の外部端子である。各外部端子300は、後述の上絶縁部510を介して蓋220の上面に固定されている。各外部端子300は、アルミニウム等の金属からなる。各外部端子300は、例えば、直方体形状に形成される。各外部端子300には、図示略のバスバーが溶接等によって接続される。
【0032】
一対の連結部材400は、複数の電極タブ112p,122nと外部端子300とを連結している。一方の連結部材400は、複数の正極タブ112pと正極の外部端子300とを連結しており、他方の連結部材400は、複数の負極タブ122nと負極の外部端子300とを連結している。一対の連結部材400の各々は、実質的に互いに同じ構造を有しているため、以下では一方の連結部材400について説明する。
【0033】
連結部材400は、集電タブ410と、サブタブ420と、連結ピン430と、を有している。
【0034】
集電タブ410は、側方部412と、上方部414と、を有している。側方部412は、幅方向における電極体100の側方に位置している。上方部414は、電極体100の上方に位置している。上方部414は、側方部412の上端から幅方向における内側に向かって延びている。
【0035】
サブタブ420は、複数の正極タブ112pを集電タブ410に接続している。サブタブ420の一端部422は、溶接等によって複数の正極タブ112pに接続されており、サブタブ420の他端部424は、溶接等によって集電タブ410の側方部412に接続されている。
【0036】
連結ピン430は、集電タブ410と外部端子300とを連結している。連結ピン430は、上方部414と外部端子300とを連結している。具体的に、連結ピン430の下端部は、上方部414設けられた貫通孔に挿入された状態で上方部414に溶接等によって接続されており、連結ピン430の上端部は、外部端子300に設けられた貫通孔に挿入された状態で溶接やカシメ等によって外部端子300に接続されている。
【0037】
絶縁部材500は、セルケース200と連結部材400との間を絶縁している。絶縁部材500は、上絶縁部510と、下絶縁部520と、インシュレータ530と、絶縁板540と、を有している。
【0038】
上絶縁部510は、蓋220の上面に固定されている。上絶縁部510は、蓋220と外部端子300との間に配置されている。上絶縁部510には、連結ピン430を挿通させる挿通孔が設けられている。
【0039】
下絶縁部520は、蓋220の下面に固定されている。下絶縁部520は、蓋220と、上方部414および連結ピン430の下部と、の間に配置されている。下絶縁部520には、連結ピン430を挿通させる挿通孔が設けられている。
【0040】
インシュレータ530は、連結ピン430と蓋220との間に配置されている。インシュレータ530は、筒状に形成されており、連結ピン430を包囲している。
【0041】
絶縁板540は、上方部414の下面に固定されている。絶縁板540は、電極体100の上方に配置されている。絶縁板540のうち圧力解放弁222の下方に位置する部位、および、注液口hの下方に位置する部位には、貫通孔が設けられている。
【0042】
以上に説明したように、本実施形態における蓄電セル1では、電極体100の幅方向の両端に位置する第1端部13および第2端部14の下方に、第1溶着部15および第2溶着部16がそれぞれ形成されている。また、電極体100の底部12の両端に第3溶着部17および第4溶着部18がそれぞれ形成されている。このような構成により、第1溶着部15、第2溶着部16、第3溶着部17および第4溶着部18における電解液の出入りを遮断することができ、電極体100の内部において電解液の染み込みが不均一になり難くなる。
【0043】
<実施形態2>
本実施形態では、実施形態1で用いることができる電極体および電極体の製造方法について、図面を参照して説明する。なお、実施形態1と同じ内容については、重複した説明を省略する。
【0044】
図5は、本実施形態における電極体を概略的に示す図である。本実施形態における電極体100は、厚さ方向に並ぶように配置された複数の正極電極110および複数の負極電極120と、つづら折り状に形成されており、各正極電極110および各負極電極120を絶縁するためのセパレータ130と、を備え、厚さ方向よりも、厚さ方向および上下方向の双方と直交する幅方向に長い形状を有し、上部11と、底部12と、幅方向の一端に位置する第1端部13と、幅方向の他端に位置する第2端部14と、を含み、複数の正極電極110は、第1端部13から突出する正極タブ112pを含み、複数の負極電極120は、第2端部14から突出する負極タブ122nを含む。セパレータ130は、第1折返し部131および第2折返し部132を有する。第1折返し部131は、第1端部13に形成されている。第2折返し部132は、第2端部14に形成されている。第1折返し部131は、正極電極110に溶着されている。第2折返し部132は、負極電極120に溶着されている。
【0045】
本実施形態における電極体100のセパレータ130は、各正極電極110および各負極電極120の間につづら折り状に形成されており、正極電極110の端部および負極電極120の端部と溶着されている。このようにすることにより、セパレータ130に対して、正極電極110および負極電極120が位置ずれすることを抑制することができる。
【0046】
次に、電極体100の製造工程について説明する。本実施形態における電極体100の製造方法は、正極電極110と負極電極120とがセパレータ130を介して並ぶように配置された電極体100の製造方法であって、セパレータ130を準備する工程(準備工程)と、セパレータ130上に正極電極110を配置する工程(正極電極配置工程)と、セパレータ130を折り返すことによってセパレータ130に対する正極電極110の位置決めを行う第1折返し部131を形成するとともに、正極電極110上にセパレータ130を配置する工程(第1折返し工程)と、正極電極110上に配置されたセパレータ130上に負極電極120を配置する工程(負極電極配置工程)と、セパレータ130を折り返すことによってセパレータ130に対する負極電極120の位置決めを行う第2折返し部132を形成するとともに、負極電極120上にセパレータ130を配置する工程(第2折返し工程)と、第1折返し部131および第2折返し部132を加熱して、正極電極110および負極電極120に溶着させる工程(溶着工程)と、を含んでいる。
【0047】
準備工程では、長尺状のセパレータ130が準備される。
【0048】
正極電極配置工程では、セパレータ130上に、正極電極110が配置される。なお、図6は、正極電極配置工程後の状態を示している。
【0049】
第1折返し工程では、正極電極110上にセパレータ130が配置されるようにセパレータ130が折り返される。これにより、セパレータ130に第1折返し部131が形成される。この第1折返し部131により、セパレータ130に対する正極電極110の位置決めが行われる。すなわち、この工程では、セパレータ130を折り返すことによってセパレータ130に対する正極電極110の位置決めを行う第1折返し部131を形成するとともに、正極電極110上にセパレータ130を配置する。なお、図7は、第1折返し工程後の状態を示している。
【0050】
負極電極配置工程では、正極電極110上に配置されたセパレータ130上に、負極電極120が配置される。なお、図8は、負極電極配置工程後の状態を示している。
【0051】
第2折返し工程では、第1折返し工程と同様に、セパレータ130を折り返すことによってセパレータ130に対する負極電極120の位置決めを行う第2折返し部132を形成するとともに、負極電極120上にセパレータ130を配置する。なお、図9は、第2折返し工程後の状態を示している。
【0052】
その後、正極電極配置工程、第1折返し工程、負極電極配置工程および第2折返し工程がこの順に繰り返される。
【0053】
溶着工程では、第1折返し部131および第2折返し部132を加熱して、正極電極110および負極電極120に溶着させる。加熱方法は、特に制限はないが、例えば、ヒータ等が挙げられる。
【0054】
溶着工程では、さらに上部11および底部12からなる群から選択される少なくとも一方を加熱して、セパレータ130を正極電極110および負極電極120に溶着させることが好ましい。電極体100は、例えば、車に搭載される。車載時に、振動は上下方向に加わることが多い。したがって、電極体100において、その上下方向である上部11および底部12からなる群から選択される少なくとも一方を加熱することにより、セパレータ130に対する正極電極110および負極電極120の位置ずれがより抑制される。溶着工程では、上部11および底部12を加熱して、正極電極110および負極電極120に溶着させることがより好ましい。
【0055】
上部11および底部12は、全体を加熱してもよく、一部のみを加熱してもよい。上部11および底部12は、全体を加熱することが好ましい。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態における電極体100およびその製造方法では、セパレータ130の第1折返し部131および第2折返し部132を加熱して溶着させることによって、セパレータ130に対して正極電極110および負極電極120が位置決めされるため、セパレータ130に対する正極電極110および負極電極120の位置ずれ抑制が達成される。
【0057】
<実施形態3>
本実施形態では、実施形態1で用いることができる電極体および電極体の製造方法について、図面を参照して説明する。なお、実施形態1および2と同じ内容については、重複した説明を省略する。
【0058】
図10は、本実施形態における電極体を概略的に示す図である。本実施形態における電極体100は、実施形態2と同じ構造を有する。
【0059】
本実施形態における電極体100の製造方法は、実施形態2と一部異なる。本実施形態における電極体100の製造方法は、正極電極110と負極電極120とがセパレータ130を介して並ぶように配置された電極体100の製造方法であって、セパレータ130を準備する工程(準備工程)と、セパレータ130上に正極電極110を配置する工程(正極電極配置工程)と、セパレータ130を折り返すことによってセパレータ130に対する正極電極110の位置決めを行う折返し部131を形成するとともに、正極電極110上にセパレータ130を配置する工程(第1折返し工程)と、第1折返し部131を加熱して、正極電極110に溶着させる工程(第1溶着工程)と、正極電極110上に配置されたセパレータ130上に負極電極120を配置する工程(負極電極配置工程)と、セパレータ130を折り返すことによってセパレータ130に対する負極電極120の位置決めを行う折返し部132を形成するとともに、負極電極120上にセパレータ130を配置する工程(第2折返し工程)と、第2折返し部132を加熱して、負極電極120に溶着させる工程(第2溶着工程)と、を含んでいる。
【0060】
本実施形態における電極体100の製造方法は、第1溶着工程および第2溶着工程を有する点で実施形態2と異なる。以下、第1溶着工程および第2溶着工程について説明する。なお、図11は、正極電極配置工程後の状態を、図12は、第1折返し工程後の状態を、図14は、負極電極配置工程後の状態を、図15は、第2折返し工程後の状態を、それぞれ示している。
【0061】
第1溶着工程では、第1折返し部131を加熱して、正極電極110に溶着させる。なお、図13は、第1溶着工程後の状態を示している。
【0062】
第2溶着工程では、第2折返し部132を加熱して、負極電極120に溶着させる。なお、図16は、第2溶着工程後の状態を示している。
【0063】
本実施形態においては、正極電極配置工程、第1折返し工程、第1溶着工程、負極電極配置工程、第2折返し工程および第2溶着工程がこの順に繰り返される。
【0064】
本実施形態においては、上部11および底部12からなる群から選択される少なくとも一方を加熱して、セパレータ130を正極電極110および負極電極120に溶着させる第3溶着工程を含んでいてもよい。第3溶着工程では、上部11および底部12を加熱して、正極電極110および負極電極120に溶着させることが好ましい。
【0065】
上部11および底部12は、第1溶着工程および第2溶着工程において第1折返し部131および第2折返し部132を加熱するのと同時に加熱して、セパレータ130を正極電極110および負極電極120に溶着させてもよい。すなわち、図13および図16に示す場合において、第1折返し部131および第2折返し部132を加熱するのと同時に、電極体形成過程で順次上部および底部を加熱することによってセパレータ130を正極電極110および負極電極120に溶着させてもよい。
【0066】
以上に説明したように、本実施形態における電極体100およびその製造方法では、セパレータ130の第1折返し部131および第2折返し部132を加熱して溶着させることによって、セパレータ130に対して正極電極110および負極電極120が位置決めされるため、セパレータ130に対する正極電極110および負極電極120の位置ずれ抑制が達成される。
【0067】
<実施形態4>
本実施形態では、実施形態1で用いることができる電極体および電極体の製造方法について、図面を参照して説明する。なお、実施形態1~3と同じ内容については、重複した説明を省略する。
【0068】
図17は、本実施形態における電極体を概略的に示す図である。本実施形態における電極体100は、厚さ方向に並ぶように配置された複数の正極電極110および複数の負極電極120と、つづら折り状に形成されており、各正極電極110および各負極電極120を絶縁するためのセパレータ130と、を備え、厚さ方向よりも、厚さ方向および上下方向の双方と直交する幅方向に長い形状を有し、上部11と、底部12と、幅方向の一端に位置する第1端部13と、幅方向の他端に位置する第2端部14と、を含み、複数の正極電極110は、第1端部13から突出する正極タブ112pを含み、複数の負極電極120は、第2端部14から突出する負極タブ122nを含む。セパレータ130は、第1外部セパレータ133、第2外部セパレータ134、内部セパレータ135、第1外部折返し部136および第2外部折返し部137を含む。第1外部折返し部136は、第1外部セパレータ133と内部セパレータ135とを接続する。第2外部折返し部137は、第2外部セパレータ134と内部セパレータ135とを接続する。内部セパレータ135は、第1折返し部131および第2折返し部132を有する。第1折返し部131、第1外部折返し部136および第2外部折返し部137は、第1端部13に形成されている。第2折返し部132は、第2端部14に形成されている。第1外部折返し部136および第2外部折返し部137は、面取り形状を有する。
【0069】
本実施形態における電極体100のセパレータ130は、図17に示すように、電極体100の厚さ方向における最外部に配置された第1外部セパレータ133および第2外部セパレータ134と、内部に配置された内部セパレータ135と、第1外部セパレータ133および内部セパレータ135を接続する第1外部折返し部136と、第2外部セパレータ134および内部セパレータ135を接続する第2外部折返し部137と、を含む。第1外部折返し部136および第2外部折返し部137は、面取り形状を有する。このような形状を有する電極体100において、面取り形状を有する第1端部13からセルケースに挿入することで、電極体100をスムーズにセルケースに挿入することができる。なお、セパレータ130は、第1外部セパレータ133、第1外部折返し部136、内部セパレータ135、第2外部折返し部137および第2外部セパレータ134が一繋がりとなって構成されている。
【0070】
面取り形状は、特に制限はなく、鋭利な角部分ではなく、角度のある平面(丸みのある平面)形状であればよい。
【0071】
本実施形態における電極体100の製造方法は、正極電極110と負極電極120とがセパレータ130を介して並ぶように配置された電極体100の製造方法であって、セパレータ130を準備する工程(準備工程)と、セパレータ130上に正極電極110を配置する工程(第1正極電極配置工程)と、セパレータ130を折り返すことによってセパレータ130に対する正極電極110の位置決めを行う第1外部折返し部136を形成するとともに、正極電極110上にセパレータ130を配置する工程(第1外部折返し工程)と、正極電極110上に配置されたセパレータ130上に負極電極120を配置する工程(負極電極配置工程)と、セパレータ130を折り返すことによってセパレータ130に対する負極電極120の位置決めを行う折返し部132を形成するとともに、負極電極120上にセパレータ130を配置する工程(第2折返し工程)と、負極電極120上に配置されたセパレータ130上に正極電極110を配置する工程(第2正極電極配置工程)と、セパレータ130を折り返すことによってセパレータ130に対する正極電極110の位置決めを行う第2外部折返し部137を形成するとともに、正極電極110上にセパレータ130を配置する工程(第2外部折返し工程)と、第1外部折返し部136および第2外部折返し部137を加熱して、面取り形状を形成する工程(面取り工程)と、を含んでいる。
【0072】
本実施形態における電極体100の製造方法は、面取り工程を有する。以下、面取り工程について説明する。
【0073】
面取り工程では、第1外部折返し部136および第2外部折返し部137を加熱して、面取り形状を形成させる。面取り形状は、加熱により形成、すなわち、セパレータが加熱により硬化してなるものである。これにより、電極体100をセルケースに挿入する際に、セルケースと電極体100の面取り形状部とが接触した場合であっても、電極体100の面取り形状部以外の部分が損傷することが抑制される。
【0074】
以上に説明したように、本実施形態における電極体100およびその製造方法では、電極体100の厚さ方向における最外部に配置された第1外部セパレータ133および第2外部セパレータ134の第1端部13に、第1外部折返し部136および第2外部折返し部137が設けられ、第1外部折返し部136および第2外部折返し部137が面取り形状を形成している。このような形状を有する電極体100において、面取り形状を有する第1端部13からセルケースに挿入することで、電極体100をスムーズにセルケースに挿入することが達成される。また、面取り形状は加熱により形成されることから、電極体100をセルケースに挿入する際に、セルケースと電極体100の面取り形状部とが接触した場合であっても、電極体100の面取り形状部以外の部分が損傷することが抑制される。
【0075】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 蓄電セル、11 上部、12 底部、13 第1端部、14 第2端部、15 第1溶着部、16 第2溶着部、17 第3溶着部、18 第4溶着部、100 電極体、110 正極電極、112p 正極タブ、120 負極電極、122n 負極タブ、130 セパレータ、131 第1折返し部、132 第2折返し部、133 第1外部セパレータ、134 第2外部セパレータ、135 内部セパレータ、136 第1外部折返し部、137 第2外部折返し部、200 セルケース、210 ケース本体、220 蓋、300 外部端子、400 連結部材、410 集電タブ、420 サブタブ、430 連結ピン、500 絶縁部材、510 上絶縁部、520 下絶縁部、530 インシュレータ、540 絶縁板、H1 第1溶着部の高さ、H2 第2溶着部の高さ、W1 第3溶着部の長さ、W2 第4溶着部の長さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17