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特開2025-6957検査実績管理装置、検査実績管理方法、及び検査実績管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006957
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】検査実績管理装置、検査実績管理方法、及び検査実績管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20250109BHJP
   G06Q 10/10 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q10/10 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108029
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻上 脩平
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA07
5L049AA07
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低作業負荷で正確な検査実績を取得する検査実績管理装置、検査実績管理方法及び検査実績管理プログラムを提供する。
【解決手段】検査実績管理装置において、検査結果集約部は、製造実績データを参照して、出荷実績データの出荷される品番の製品について、ロットトレースし、各製造工程の品番とロット番号を取得し、製造工程の下流側を上位の階層として、上位の階層順に、各製造工程の製造品の品番、階層、ロット番号を含むロットトレース情報を作成し、当該ロットトレース情報の品番及びロット番号をキーとして、前記検査実績データから検査項目と検査結果を取得し、検査項目毎の検査結果の集約データを作成し、その際、重複する検査項目の検査結果については、下流工程の階層が高い工程の検査結果を採用する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備え、製品の製造工程での検査結果を管理するための検査実績管理装置であって、
前記制御部は、
得意先、納入先、見積先、品番、受注数を含む受注実績データと、
得意先、納入先、見積先、品番、ロット番号、出荷数を含む出荷実績データと、
各製造工程で入力される、原材料を含む投入品の品番、そのロット番号、及び当該投入品により製造される製造品の品番、そのロット番号を含む製造実績データと、
各製造工程で製造される製造品についての検査結果であり、品番、検査パターン、ロット番号、検査項目、検査規格、検査結果を含む検査実績データと、
にアクセス可能に構成されており、
前記製造実績データを参照して、前記出荷実績データの出荷される品番の製品について、ロットトレースし、各製造工程の品番とロット番号を取得し、製造工程の下流側を上位の階層として、上位の階層順に、各製造工程の製造品の品番、階層、ロット番号を含むロットトレース情報を作成し、当該ロットトレース情報の品番及びロット番号をキーとして、前記検査実績データから検査項目と検査結果を取得し、検査項目毎の検査結果の集約データを作成し、その際、重複する検査項目の検査結果については、下流工程の階層が高い工程の検査結果を採用する検査結果集約手段を備えたことを特徴とする検査実績管理装置。
【請求項2】
前記検査実績データの検査項目及び検査規格は、社内規格であることを特徴とする請求項1に記載の検査実績管理装置。
【請求項3】
前記受注実績データは、得意先、見積先、又は納入先を含む検査成績書宛先を含み、
前記制御部は、更に、
品番と対外製品規格パターンを関連づけて登録した品番マスタと、
対外製品規格パターンと、得意先、見積先、納入先、又は共通を含む検査成績書宛先と、検査項目及び検査規格を含む社外規格と、を関連づけて登録した対外製品規格パターンマスタと、
にアクセス可能に構成されており、
前記受注実績データの品番をキーとして前記品番マスタから対外製品規格パターンを取得し、取得した対外製品規格パターンと前記受注実績データの検査成績書宛先をキーとして、前記対外製品規格パターンマスタから社外規格を取得し、前記受注実績データ、前記出荷実績データ、前記取得した社外規格、及び前記検査結果の集約データに基づいて、検査成績書データを作成し、当該検査成績書データに基づいた検査成績書を出力する検査成績書出力手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の検査実績管理装置。
【請求項4】
前記検査成績書出力手段は、前記受注実績データの検査成績書宛先をキーとして前記対外製品規格パターンマスタに該当するデータがない場合は、前記対外製品規格パターンマスタから検査成績書宛先が共通となっている社外規格を取得することを特徴とする請求項3に記載の検査実績管理装置。
【請求項5】
前記受注実績データは、検査成績書言語を含み、
前記検査成績書出力手段は、前記受注実績データの検査成績書言語で前記検査成績書を出力することを特徴とする請求項3に記載の検査実績管理装置。
【請求項6】
前記製品の製造工程は、はんだの製造工程を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の検査実績管理装置。
【請求項7】
制御部を備えた情報処理装置が実行する検査実績管理方法であって、
前記制御部は、
得意先、納入先、見積先、品番、受注数を含む受注実績データと、
得意先、納入先、見積先、品番、ロット番号、出荷数を含む出荷実績データと、
各製造工程で入力される、原材料を含む投入品の品番、そのロット番号、及び当該投入品により製造される製造品の品番、そのロット番号を含む製造実績データと、
各製造工程で製造される製造品についての検査結果であり、品番、検査パターン、ロット番号、検査項目、検査規格、検査結果を含む検査実績データと、
にアクセス可能に構成されており、
前記制御部において実行される、
前記製造実績データを参照して、前記出荷実績データの出荷される品番の製品について、ロットトレースし、各製造工程の品番とロット番号を取得し、製造工程の下流側を上位の階層として、上位の階層順に、各製造工程の製造品の品番、階層、ロット番号を含むロットトレース情報を作成し、当該ロットトレース情報の品番及びロット番号をキーとして、前記検査実績データから検査項目と検査結果を取得し、検査項目毎の検査結果の集約データを作成し、その際、重複する検査項目の検査結果については、下流工程の階層が高い工程の検査結果を採用する検査結果集約工程を含むことを特徴とする検査実績管理方法。
【請求項8】
制御部を備えた情報処理装置が実行するための検査実績管理プログラムであって、
前記制御部は、
得意先、納入先、見積先、品番、受注数を含む受注実績データと、
得意先、納入先、見積先、品番、ロット番号、出荷数を含む出荷実績データと、
各製造工程で入力される、原材料を含む投入品の品番、そのロット番号、及び当該投入品により製造される製造品の品番、そのロット番号を含む製造実績データと、
各製造工程で製造される製造品についての検査結果であり、品番、検査パターン、ロット番号、検査項目、検査規格、検査結果を含む検査実績データと、
にアクセス可能に構成されており、
前記制御部において実行される、
前記製造実績データを参照して、前記出荷実績データの出荷される品番の製品について、ロットトレースし、各製造工程の品番とロット番号を取得し、製造工程の下流側を上位の階層として、上位の階層順に、各製造工程の製造品の品番、階層、ロット番号を含むロットトレース情報を作成し、当該ロットトレース情報の品番及びロット番号をキーとして、前記検査実績データから検査項目と検査結果を取得し、検査項目毎の検査結果の集約データを作成し、その際、重複する検査項目の検査結果については、下流工程の階層が高い工程の検査結果を採用する検査結果集約工程を実行するための検査実績管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査実績管理装置、検査実績管理方法、及び検査実績管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、はんだの製造を行う場合には、各製造工程で検査が行われる。この場合、各製造工程で検査項目が異なり、また、次工程に進むにつれてロットが細分化されていくため、その都度で検査実績入力を行う必要があり、入力の負荷が大きく、また、不整合データが発生していた。従来、製造検査に関するシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7158777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、製品の検査成績書の発行対象である品番・ロット番号に対して、ロットトレース(トレースバック)を行い、発生した品番・ロット番号に対しての検査実績を取得・集約して、低作業負荷で正確な検査実績を取得することに関して、何ら記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、製品の検査成績書の発行対象である品番・ロット番号に対して、ロットトレースを行い、発生した品番・ロット番号に対しての検査実績を取得・集約して、低作業負荷で正確な検査実績を取得することが可能な検査実績管理装置、検査実績管理方法、及び検査実績管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備え、製品の製造工程での検査結果を管理するための検査実績管理装置であって、前記制御部は、得意先、納入先、見積先、品番、受注数を含む受注実績データと、得意先、納入先、見積先、品番、ロット番号、出荷数を含む出荷実績データと、各製造工程で入力される、原材料を含む投入品の品番、そのロット番号、及び当該投入品により製造される製造品の品番、そのロット番号を含む製造実績データと、各製造工程で製造される製造品についての検査結果であり、品番、検査パターン、ロット番号、検査項目、検査規格、検査結果を含む検査実績データと、にアクセス可能に構成されており、前記製造実績データを参照して、前記出荷実績データの出荷される品番の製品について、ロットトレースし、各製造工程の品番とロット番号を取得し、製造工程の下流側を上位の階層として、上位の階層順に、各製造工程の製造品の品番、階層、ロット番号を含むロットトレース情報を作成し、当該ロットトレース情報の品番及びロット番号をキーとして、前記検査実績データから検査項目と検査結果を取得し、検査項目毎の検査結果の集約データを作成し、その際、重複する検査項目の検査結果については、下流工程の階層が高い工程の検査結果を採用する検査結果集約手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記検査実績データの検査項目及び検査規格は、社内規格であることにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記受注実績データは、得意先、見積先、又は納入先を含む検査成績書宛先を含み、前記制御部は、更に、品番と対外製品規格パターンを関連づけて登録した品番マスタと、対外製品規格パターンと、得意先、見積先、納入先、又は共通を含む検査成績書宛先と、検査項目及び検査規格を含む社外規格と、を関連づけて登録した対外製品規格パターンマスタと、にアクセス可能に構成されており、前記受注実績データの品番をキーとして前記品番マスタから対外製品規格パターンを取得し、取得した対外製品規格パターンと前記受注実績データの検査成績書宛先をキーとして、前記対外製品規格パターンマスタから社外規格を取得し、前記受注実績データ、前記出荷データ、前記取得した社外規格、及び前記検査実績の集約データに基づいて、検査成績書データを作成し、当該検査成績書データに基づいた検査成績書を出力する検査成績書出力手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記検査成績書出力手段は、前記受注実績データの検査成績書宛先をキーとして前記対外製品規格パターンマスタに該当するデータがない場合は、前記対外製品規格パターンマスタから検査成績書宛先が共通となっている社外規格を取得することにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記受注実績データは、検査成績書言語を含み、前記検査成績書出力手段は、前記受注実績データの検査成績書言語で前記検査成績書を出力することにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、前記製品の製造工程は、はんだの製造工程を含むことにしてもよい。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置が実行する検査実績管理方法であって、前記制御部は、得意先、納入先、見積先、品番、受注数を含む受注実績データと、得意先、納入先、見積先、品番、ロット番号、出荷数を含む出荷実績データと、各製造工程で入力される、原材料を含む投入品の品番、そのロット番号、及び当該投入品により製造される製造品の品番、そのロット番号を含む製造実績データと、各製造工程で製造される製造品についての検査結果であり、品番、検査パターン、ロット番号、検査項目、検査規格、検査結果を含む検査実績データと、にアクセス可能に構成されており、前記制御部において実行される、前記製造実績データを参照して、前記出荷実績データの出荷される品番の製品について、ロットトレースし、各製造工程の品番とロット番号を取得し、製造工程の下流側を上位の階層として、上位の階層順に、各製造工程の製造品の品番、階層、ロット番号を含むロットトレース情報を作成し、当該ロットトレース情報の品番及びロット番号をキーとして、前記検査実績データから検査項目と検査結果を取得し、検査項目毎の検査結果の集約データを作成し、その際、重複する検査項目の検査結果については、下流工程の階層が高い工程の検査結果を採用する検査結果集約工程を含むことを特徴とする。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置が実行するための検査実績管理プログラムであって、前記制御部は、得意先、納入先、見積先、品番、受注数を含む受注実績データと、得意先、納入先、見積先、品番、ロット番号、出荷数を含む出荷実績データと、各製造工程で入力される、原材料を含む投入品の品番、そのロット番号、及び当該投入品により製造される製造品の品番、そのロット番号を含む製造実績データと、各製造工程で製造される製造品についての検査結果であり、品番、検査パターン、ロット番号、検査項目、検査規格、検査結果を含む検査実績データと、にアクセス可能に構成されており、前記制御部において実行される、前記製造実績データを参照して、前記出荷実績データの出荷される品番の製品について、ロットトレースし、各製造工程の品番とロット番号を取得し、製造工程の下流側を上位の階層として、上位の階層順に、各製造工程の製造品の品番、階層、ロット番号を含むロットトレース情報を作成し、当該ロットトレース情報の品番及びロット番号をキーとして、前記検査実績データから検査項目と検査結果を取得し、検査項目毎の検査結果の集約データを作成し、その際、重複する検査項目の検査結果については、下流工程の階層が高い工程の検査結果を採用する検査結果集約工程を実行するための検査実績管理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、製品の検査成績書の発行対象である品番・ロット番号に対して、ロットトレースを行い、発生した品番・ロット番号に対しての検査実績を取得・集約して、低作業負荷で正確な検査実績を取得することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、はんだの製造工程のイメージを示す図である。
図2図2は、本実施の形態に係る検査実績管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、品番マスタ、対外製品規格パターンマスタ、受注実績データ、出荷実績データ、ロット詳細、製造実績データ、検査実績データ、検査成績書データ等のデータ相関図を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の全体の処理の概略の一例を示すフロー図である。
図5図5は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図6図6は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図7図7は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図8図8は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図9図9は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図10図10は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図11図11は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図12図12は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図13図13は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図14図14は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図15図15は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図16図16は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図17図17は、本実施形態に係る検査実績管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0017】
[1.概要]
本実施の形態の概要を、(背景・課題)、(着目点)、(本実施の形態の機能概要)、(本実施の形態の効果)の順に説明する。
【0018】
(背景・課題)
例えば、はんだを製造する際には以下の背景・課題がある。
(1)各製造工程にて検査項目が異なり、かつ、次工程に進むにつれ、ロットが細分化されていく。
検査成績書は最終製品に対しての検査実績データが必要となる為、細分化されたロットに対しての検査実績の登録が必要となる。このため、入力の手間やデータ不整合になる可能性が高い業務である。
【0019】
(2)各製造工程での検査は社内規格で検査実績管理が必要で、検査成績書は送付先毎の言語及び社外規格での発行が必要となる。
検査成績書の対象となる最終製品の工程では社外規格で検査実績管理が必要となる為、社内規格での検査実績管理ができていない。検査実績管理の内容は、原材料は金属成分の配合率管理や副原材料は含有量管理等である。
【0020】
(着目点)
図1は、はんだの製造工程のイメージを示しており、(A)はコイル式や棒はんだの場合、(B)は、ソルダペーストの場合の一例を示している。
【0021】
コイル式や棒はんだの場合は、図1(A)に示すように、(1)配合工程で複数の金属の原材料を配合し、ビレットを生成し、(2)押出工程で押出加工を行い、(3)伸線工程で伸線加工を行い、(4)巻取・切断工程では、形状に合わせて成型する。
【0022】
ソルダペーストの場合は、(1)噴霧工程で複数の金属の原材料を配合し、微粒化し、(2)分級工程で、ふるいにかけて所定の粒子径以下とし、(3)混錬工程で均一に混ざった状態にする。
【0023】
本実施の形態では、以下2点に着目した。
(1)配合や噴霧の工程では、金属の原材料の配合を行い、以降の工程では形状の変更を行っていくため、金属成分(配合率)は変わらない。伸線や分級の工程では、フラックスなど金属以外の副原材料の追加投入を行う。上記工程で管理される検査実績を検査成績書へ集約する。
【0024】
(2)検査実績は社内規格で実績管理を行い、検査成績書は送付先毎の言語及び社外規格で発行を行う。
【0025】
(本実施の形態の機能概要)
(1)検査成績書発行時に、対象の品番・ロット番号を基に、ロットトレース(トレースバック)を行い、発生したロット番号に対して、検査実績を取得し、集約する。この場合、前提条件としてロット番号は一意とする。
【0026】
(2)社外規格に従って、(1)の検査実績を取得する。トレースバックをした際に階層(最終製品の階層=0とし、製造工程の下流側を上位の階層とし、最終製品の階層=0を最上位階層とする)をカウントし、検査項目に対して、実績が重複した場合、階層が若い(上位の階層)検査実績を採用する。
【0027】
(本実施の形態の効果)
(1)検査成績書を発行する際には、製品検査を実施する必要があるが、重複していた業務を改善できる。また、不整合データ登録のリスクを低減することができる。
(2)社内規格に対しての検査実績管理を行う。社内規格は社外規格よりも厳密な設定となるため、検査実績管理の精度をより向上させることができる。
【0028】
本実施の形態の検査実績管理装置は、製造工程で配合+加工がある業界・業種等で広く適用可能であり、例えば、はんだ業界や化学業界など成分による品質管理が必要な業界・業種等に適用可能である。
【0029】
[2.構成]
図2を参照して、本実施の形態に係る検査実績管理装置100の構成の一例について説明する。図2は、検査実績管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態の検査実績管理装置100は、例えば、はんだの製造についての検査実績管理に適用でき、これ以外の製品の製造についても適用可能である。
【0030】
検査実績管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、検査実績管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0031】
検査実績管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。検査実績管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0032】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、検査実績管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、検査実績管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0033】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及び、マイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112又はマウス112として記載する場合がある。また、モニタ114に情報を表示して、ユーザが入力装置112を操作すること等を、「UIを介したユーザ操作」と記載する場合がある。
【0034】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、品番マスタ106a、対外製品規格パターンマスタ106b、受注実績データ、出荷実績データ、ロット詳細、製造実績データ、検査実績データ、検査成績書データ等を格納する。図3は、品番マスタ106a、対外製品規格パターンマスタ106b、受注実績データ、出荷実績データ、ロット詳細、製造実績データ、検査実績データ、検査成績書データ等のデータ相関図を示す図である。
【0035】
品番マスタ106aは、品番、対外製品規格パターンを関連付けて登録したテーブル等で構成することができる。「対外製品規格」は、「社外規格」ともいう。
【0036】
対外製品規格パターンマスタ106bは、対外製品規格パターン、検査成績書宛先、取引先CD、社外規格(検査項目、小数点以下桁数、検査規格)を関連付けて登録したテーブル等で構成することができる。
【0037】
受注実績データは、例えば、受注ヘッダデータ(受注番号、得意先、納入先、見積先)と、受注明細データ(品番コード、品番、検査成績書宛先、検査成績書言語)等を含むことにしてもよい。
【0038】
出荷実績データは、出荷実績データは、出荷ヘッダデータ(出荷番号、受注番号、得意先、納入先、見積先)、出荷明細データ(品番コード、品番、出荷日)、出荷詳細データ(出荷数、ロット番号)を含むことにしてもよい。
【0039】
ロット詳細データは、品番コード、品番、ロット番号、製造日、有効期限を含むことにしてもよい。
【0040】
製造実績データは、各製造工程における、投入品の品番(原材料、副原材料、資材、副資材、仕掛品)・そのロット番号、及び当該投入品により製造される製造品の品番(仕掛品、最終の製品)・そのロット番号を含むことにしてもよい。
【0041】
検査実績データは、検査ヘッダデータ(検査No)、検査明細データ(品番、検査パターンコード、ロット番号)と、検査詳細データ(検査項目、小数点以下桁数、検査規格、検査結果)を含むことにしてもよい。ここで、検査項目、小数点以下桁数、検査規格は、社内規格を使用する。社内規格は、社外規格より厳格となっているので、精密に検査実績の管理を行うことができる。
【0042】
検査成績書データは、検査成績書データは、受注番号、得意先、納入先、見積先、品番コード、品番、検査成績書宛先、検査成績書言語、出荷番号、出荷日、出荷数、ロット番号、製造日、有効期限、社外規格(検査項目、小数点以下桁数、検査規格)、検査結果を含むことにしてもよい。
【0043】
制御部102は、検査実績管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0044】
制御部102は、記憶部106に格納されている、品番マスタ106a、対外製品規格パターンマスタ106b、受注実績データ、出荷実績データ、ロット詳細、製造実績データ、検査実績データ、検査成績書データ等にアクセス可能に構成されている。なお、品番マスタ106a、対外製品規格パターンマスタ106b、受注実績データ、出荷実績データ、ロット詳細、製造実績データ、検査実績データ、検査成績書データは、他の場所(例えば、サーバ200)に設けられていてもよく、制御部102がアクセス可能な構成であればよい。
【0045】
制御部102は、機能概念的に、受注入力部102aと、出荷入力部102bと、製造実績入力部102cと、検査実績入力部102dと、検査結果集約部102eと、検査成績書出力部102fと、画面表示制御部102gと、マスタメンテ部102hと、を備えている。
【0046】
受注入力部102aは、例えば、モニタ114に表示される不図示の受注入力画面上でのオペレータの操作に応じて、受注実績データを入力して記憶部106に登録する。
【0047】
出荷入力部102bは、例えば、モニタ114に表示される不図示の出荷入力画面上でのオペレータの操作に応じて、出荷実績データを入力して記憶部106に登録する。
【0048】
製造実績入力部102cは、各製造工程について、例えば、モニタ114に表示される不図示の製造実績入力画面上でのオペレータの操作に応じて、製造実績データを入力して記憶部106に登録する。
【0049】
検査実績入力部102dは、各製造工程で製造された製品について、例えば、モニタ114に表示される不図示の検査実績入力画面上でのオペレータの操作に応じて、検査実績データを入力して記憶部106に登録する。
【0050】
検査結果集約部102eは、製造実績データを参照して、出荷実績データの出荷される品番の製品について、ロットトレースし、各製造工程の品番とロット番号を取得し、製造工程の下流側を上位の階層として、上位の階層順に、各製造工程の製造品の品番、階層、ロット番号を含むロットトレース情報を作成し、当該ロットトレース情報の品番及びロット番号をキーとして、検査実績データから検査項目と検査結果を取得し、検査項目毎の検査結果の集約データを作成し、その際、重複する検査項目の検査結果については、下流工程の階層が高い工程の検査結果を採用する。
【0051】
検査成績書出力部102fは、受注実績データの品番をキーとして品番マスタ106aから対外製品規格パターンを取得し、取得した対外製品規格パターンと受注実績データの検査成績書宛先をキーとして、対外製品規格パターンマスタ106bから社外規格を取得し、受注実績データ、出荷データ、取得した社外規格、及び検査結果の集約データに基づいて、検査成績書データを作成して記憶部106に登録すると共に、当該検査成績書データに基づいた検査成績書を出力(印刷出力及び/又は表示出力)する。
【0052】
検査成績書出力部102fは、受注実績データの検査成績書宛先をキーとして対外製品規格パターンマスタ106bに該当するデータがない場合は、対外製品規格パターンマスタ106bから検査成績書宛先が共通となっている社外規格を取得してもよい。
【0053】
検査成績書出力部102fは、受注実績データの検査成績書言語で検査成績書を出力してもよい。
【0054】
画面表示制御部102gは、モニタ114に表示する各種画面(例えば、各種入力画面、マスタメンテ画面等)の表示及びその入力を制御する。
【0055】
マスタメンテ部102hは、例えば、モニタ114に表示される不図示のマスタメンテ画面上でのオペレータの操作等に応じて、品番マスタ106a及び対外製品規格パターンマスタ106bに対して、データの入力・追加・変更・更新等の設定を行う。
【0056】
[3.具体例]
図2図17を参照して、本実施の形態における検査実績管理装置100の制御部102の処理の具体例について説明する。
【0057】
(3-1.全体の処理)
図4は、本実施の形態における検査実績管理装置100の制御部102の全体の処理の概略を説明するためのフローを示す図である。図4を参照して、本実施の形態における検査実績管理装置100の制御部102の全体の処理の概略を説明する。
【0058】
図4において、まず、製品の製造を受注する。受注入力部102aは、受注入力処理を実行する(ステップS1)。具体的には、受注入力処理では、受注入力部102aは、例えば、モニタ114に表示される不図示の受注入力画面上でのオペレータの操作に応じて、受注実績データを入力して記憶部106に登録する。
【0059】
受注した製品について、各製造工程で製造が行われる。製造実績入力部102cは、製造実績入力処理を実行する(ステップS2)。具体的には、製造実績入力処理では、製造実績入力部102cは各製造工程について、例えば、モニタ114に表示される不図示の製造実績入力画面上でのオペレータの操作に応じて、製造実績データを入力して記憶部106に登録する。
【0060】
各製造工程で製造された製品について、所定の検査項目の検査が行われる。検査実績入力部102dは、検査実績入力処理を実行する(ステップS3)。具体的には、検査実績入力処理では、検査実績入力部102dは、各製造工程で製造された製品について、例えば、モニタ114に表示される不図示の検査実績入力画面上でのオペレータの操作に応じて、検査実績データを入力して記憶部106に登録する。
【0061】
製造した製品を出荷する。出荷入力部102bは、出荷入力処理を実行する(ステップS4)。具体的には、出荷入力処理では、出荷入力部102bは、例えば、モニタ114に表示される不図示の出荷入力画面上でのオペレータの操作に応じて、出荷実績データを入力して記憶部106に登録する。
【0062】
出荷する際には、検査成績書が必要になる。まず、検査結果集約部102eは、検査結果集約処理を実行する(ステップS5)。具体的には、検査結果集約処理では、検査結果集約部102eは、製造実績データを参照して、出荷実績データの出荷される品番の製品について、ロットトレースし、各製造工程の品番とロット番号を取得し、製造工程の下流側を上位の階層として、上位の階層順に、各製造工程の製造品の品番、階層、ロット番号を含むロットトレース情報を作成し、当該ロットトレース情報の品番及びロット番号をキーとして、検査実績データから検査項目と検査結果を取得し、検査項目毎の検査結果の集約データを作成し、その際、重複する検査項目の検査結果については、下流工程の階層が高い工程の検査結果を採用する。
【0063】
検査成績書出力部102fは、検査成績書出力処理を実行する(ステップS6)。具体的には、検査成績書出力処理では、検査成績書出力部102fは、受注実績データの品番をキーとして品番マスタ106aから対外製品規格パターンを取得し、取得した対外製品規格パターンと受注実績データの検査成績書宛先をキーとして、対外製品規格パターンマスタ106bから社外規格を取得し、受注実績データ、出荷データ、取得した社外規格、及び検査結果の集約データに基づいて、検査成績書データを作成して記憶部106に登録すると共に、当該検査成績書データに基づいた検査成績書を出力(印刷出力及び/又は表示出力)する。
【0064】
(3-2.サンプルデータ)
図5図17、本実施の形態における検査実績管理装置100の制御部102の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。図5図17を参照して、本実施の形態における検査実績管理装置100の制御部102の処理の具体例を説明する。
【0065】
(前提データ)
図5は、品番マスタ106aの構成例を示す図である。品番マスタ106aは、品番と対外製品規格パターンの項目を備えている。品番マスタ106aは、顧客へ送付する検査成績書の検査パターンを設定するためのものであり、品番毎に、対外製品規格パターンを設定している。同図に示す例では、「製品001」についての対外製品規格パターンを設定したもので、品番「製品001」、対外製品規格パターン「S00001」が設定されている。
【0066】
図6は、対外製品規格パターンマスタ106bの構成例を示す図である。対外製品規格パターンマスタ106bは、対外製品規格パターン、検査成績書宛先、取引先CD、社外規格(検査項目、小数点以下桁数、検査規格)の項目を備えている。対外製品規格パターンマスタ106bは、検査成績書宛先が指定されたパターンと、検査成績書宛先が指定されていない共通のパターンが用意されている。
【0067】
受注実績データの品番をキーとして品番マスタ106aから取得した対外製品規格パターンと、受注実績データの検査成績書宛先で指定される得意先、納入先、or見積先をキーとして、対外製品規格パターンマスタ106bから社外規格(検査項目、小数点以下桁数、検査規格)を取得する。データを取得できなかった場合は、共通宛先のデータを再取得する。
【0068】
図6(A)は、検査成績書宛先が指定されたパターンの例であり、例えば、対外製品規格パターン「S00001」、検査成績書宛先「見積先」、取引先CD「見積先C」となっており、検査項目「A」について、小数点以下桁数「3」、検査規格「75.000~85.000」、検査項目「B」について、小数点以下桁数「1」、検査規格「8.0~12.0」、検査項目「C」について、小数点以下桁数「3」、検査規格「~10.000」、検査項目「D」について、小数点以下桁数「3」、検査規格「~10.000」、検査項目「E」について、小数点以下桁数「4」、検査規格「24.0750~25.0250」となっている。例えば、受注実績データの検査成績書宛先が見積先に指定されている場合は、見積先をキーとしてこのデータが取得される。
【0069】
図6(B)は、検査成績書宛先が指定されていない共通のパターンの例であり、例えば、対外製品規格パターン「S00001」、検査成績書宛先「共通」、取引先CD「-」となっており、検査項目「A」について、小数点以下桁数「3」、検査規格「75.000~85.000」、検査項目「B」について、小数点以下桁数「1」、検査規格「8.0~12.0」、検査項目「C」について、小数点以下桁数「2」、検査規格「~10.00」、検査項目「E」について、小数点以下桁数「4」、検査規格「20.000~30.0000」となっている。上記でデータが取得できなかった場合は、このデータ取得される。
【0070】
(データ情報)
図7は、受注実績データのデータ例を示す図である。受注実績データは、受注ヘッダデータ(受注番号、得意先、納入先、見積先)と、受注明細データ(品番コード、品番、検査成績書宛先、検査成績書、言語)を備えている。同図に示す例では、受注番号「J0001」、得意先「得意先A」、納入先「納入先B」、見積先「見積先C」、品番コード「S001」、品番「製品001」、検査成績書宛先「納入先」、検査成績書言語「日本語」となっている。
【0071】
図8は、出荷実績データとロット詳細データの例を示す図である。出荷実績データは、出荷ヘッダデータ(出荷番号、受注番号、得意先、納入先、見積先)と、出荷明細データ(品番コード、品番、出荷日)、出荷詳細データ(出荷数、ロット番号)と、を備えている。同図に示す例では、出荷番号「S0001」、受注番号「J0001」、得意先「得意先A」、納入先「納入先B」、見積先「見積先C」、品番コード「S001」、品番「製品001」、出荷日「2023/03/20」、出荷数「100.000kg」、ロット番号「0000111123」となっている。
【0072】
ロット詳細データは、品番コード、品番、ロット番号、製造日、有効期限の項目を備えている。ロット詳細データには、各製造実績入力にて伝票登録することで、品番毎ロット番号毎に製造日や有効期限の情報を保持される。同図に示す例では、品番コード「S001」、品番「製品001」、ロット番号「0000111123」、製造日「2023/03/10」、有効期限「2023/09/09」となっている。
【0073】
(S5:検査結果集約処理)
図9図13を参照して、検査結果集約処理の具体例を説明する。出荷実績データに対して、検査成績書を発行するが、その前段として、検査結果集約処理が実行される。検査結果集約部102eは、製造実績データを参照して、出荷実績データの出荷される品番の製品について、ロットトレースし、各製造工程の品番とロット番号を取得し、製造工程の下流側を上位の階層として、上位の階層順に、各製造工程の製造品の品番、階層、ロット番号を含むロットトレース情報を作成し、当該ロットトレース情報と各製造工程の検査実績データを紐づけ、検査項目毎の検査結果の集約データを作成し、その際、重複する検査項目の検査結果については、下流工程の階層が高い工程の検査結果を採用する。
【0074】
(1)製造実績データを参照して、出荷実績データの出荷される品番について、ロットトレースし、各製造工程の品番とロット番号を取得してロットトレース情報を作成する。
【0075】
図9(A)~図9(D)は、配合工程(フラックスなどを投入)、大型伸線工程、巻取工程(コイル用のボビン、梱包ケースを投入)の製造実績データの例を示している。図9(E)は、ロットトレース情報の一例を示す図である。以下の例では、図8の出荷実績データの品番「製品001」のロットトレース情報を作成する場合を説明する。
【0076】
製造実績データは、図9(A)~(D)に示すように、各製造工程における、投入品の品番(原材料、副原材料、資材、副資材、仕掛品)・そのロット番号、及び当該投入品により製造される製造品の品番(仕掛品、最終の製品)・そのロット番号を含んでいる。
【0077】
図9(A)に示すように、配合工程での製造実績データは、(製造品)品番:仕掛品101、ロット番号:0000100023、(投入品)品番:原材料001、ロット番号:0003950123、・・・となっている。
【0078】
図9(B)に示すように、大型伸線工程での製造実績データは、(製造品)品番:仕掛品201ロット番号:0000110023、(投入品)品番:仕掛品101、ロット番号:0000100023となっている。
【0079】
図9(C)に示すように、小型伸線工程での製造実績データは、(製造品)品番:仕掛品301、ロット番号:0000111023、(投入品)品番:仕掛品201、ロット番号:0000110023、品番:副原料001、ロット番号:0005221123となっている。
【0080】
図9(D)に示すように、巻取工程での製造実績データは、(製造品)品番:製品001、ロット番号:0000111023、(投入品)品番:仕掛品301、ロット番号:0000110023品番:副資材001、品番:副資材002となっている。
【0081】
出荷実績データの出荷される品番「製品001」について、図9(A)~(D)の製造実績データをロットトレースし、各製造工程の品番とロット番号を取得し、製造工程の下流側を上位の階層として、上位の階層順に、各製造工程の製造品の品番、階層、ロット番号を含むロットトレース情報を作成する。なお、ロットトレースでは、実績(製造実績、仕入実績、出荷返品、移動自動、棚卸実績などの受払)系情報を全て取得する。
【0082】
図9(E)は作成されるロットトレース情報の例を示している。ロットトレース情報は、各製造工程の製造品・投入品を階層化したものであり、構成(各製造工程の製造品・投入品の品番)、階層、ロット番号の項目を備えている。同図に示す例では、最上位の階層が、出荷品である製品001で、階層「0」、ロット番号「0000111023」となっている。最下位の階層が、原材料001で、階層「4」、ロット番号「0003950123」となっている。
【0083】
図10は、ロット番号の採番ルールを説明するための図である。ロット番号は自動採番される。ロット番号は、例えば計10桁とする。上位5桁は、通し連番とする。中位3桁は、工程毎にカウントアップする。品番マスタ106aにて、カウントする桁数を指定する。払出品目の1行目の1つ目のロットを対象とする。下位2桁は、製造開始日の西暦下2桁とする。コイル式や棒はんだのロット番号採番例と、ソルダペーストのロット番号採番例を図示している。
【0084】
(2)ロットトレース情報と各製造工程の検査実績データを紐づけ、ロットトレース情報の品番及びロット番号をキーとして、各製造工程の検査実績データから検査項目及び検査結果を取得して、検査項目毎の検査結果の集約データを作成する。
【0085】
図11図13を参照して、ロットトレース情報と検査実績データの紐付けを説明する。ロットトレース情報と検査実績データは、品番及びロット番号で紐づけを行う。
【0086】
図11(A)は、ロットトレース情報、図11(B)は、巻取工程の検査実績データの例を示している。検査実績データは、検査ヘッダデータ(検査No)と、検査明細データ(品番、検査パターンコード、ロット番号)と、検査詳細データ(検査項目、小数点以下桁数、規格、検査結果)と、を備えている。
【0087】
同図に示す例では、検査No「003」、品番「製品001」、検査パターンコード「00001」、ロット番号「0000111123」、検査項目「E」、小数点以下桁数「4」、規格「24.0750~25.0250」、検査結果「25.1000」となっている。
【0088】
ロットトレース情報の品番「製品001」及びロット番号「0000111123」をキーとして、巻取工程の検査実績データから検査項目「E」、検査結果「25.1000」を取得する。
【0089】
図12(A)は、ロットトレース情報、図12(B)は、小型伸線工程の検査実績データの例を示している。同図に示す例では、検査No「002」、品番「仕掛品301」、検査パターンコード「00002」、ロット番号「0000111123」、検査項目「E」、小数点以下桁数「4」、規格「24.0750~25.0250」、検査結果「25.1250」となっている。
【0090】
ロットトレース情報の品番「仕掛品301」及びロット番号「0000111123」をキーとして、小型伸線工程の検査実績データから検査項目「E」、検査結果「25.1250」を取得する。
【0091】
図13(A)は、ロットトレース情報、図13(B)は、配合工程の検査実績データの例を示している。同図に示す例では、検査No「001」、品番「仕掛品101」、検査パターンコード「00003」、ロット番号「0000111123」について、検査項目「A」について、小数点以下桁数「3」、検査規格「78.000~82.000」、検査結果「80.000」、検査項目「B」について、小数点以下桁数「3」、検査規格「9.000~11.000」、検査結果「10.000」、検査項目「C」について、小数点以下桁数「3」、検査規格「~6.000」、検査結果「5.000」、検査項目「D」について、小数点以下桁数「3」、検査規格「~6.000」、検査結果「5.000」となっている。
【0092】
ロットトレース情報の品番「仕掛品301」及びロット番号「0000111123」をキーとして、小型伸線工程の検査実績データから、検査項目「A」、検査結果「80.000」と、検査項目「B」、検査結果「10.000」と、検査項目「C」、検査結果「5.000」と、検査項目「D」、検査結果「5.000」とを取得する。
【0093】
図13(C)に示すように、上記で取得した検査項目及び検査結果を、各検査項目について、階層毎に検査結果を集約し、図13(D)に示すように、重複する検査項目の検査結果については、下流工程の上位の階層のものを採用する。この例では、検査項目「E」については、階層「1」の検査結果「25.1250」と、階層「0」の検査結果「25.1000」が重複しているので、下流工程の上位の階層「0」の検査結果「25.1000」を採用する。
【0094】
(S6:検査成績書出力処理)
図14図17を参照して、検査成績書出力処理の具体例を説明する。検査成績書出力部102fは、受注実績データの品番をキーとして品番マスタ106aから対外製品規格パターンを取得し、取得した対外製品規格パターンと、受注実績データの検査成績書宛先で指定される得意先、納入先、or見積先をキーとして、対外製品規格パターンマスタ106bから対外製品規格(検査項目、小数点以下桁数、検査規格)を取得する。受注実績データの検査成績書宛先で指定される得意先、納入先、or見積先をキーとして、該当するものがない場合は、対外製品規格パターンマスタ106bから宛先が「共通」となっている対外製品規格(検査項目、小数点以下桁数、検査規格)を取得する。
【0095】
図14(A)は、対外製品規格パターンマスタ106bにおいて、「宛先」が「見積先」に指定されているパターンの例であり、図14(B)は、「宛先」が「共通」に指定されているパターンの例である。
【0096】
図7の受注実績データの品番「製品001」をキーとして、図5の品番マスタ106aから対外製品規格パターン「S0001」を取得し、対外製品規格パターン「S0001」と図7の受注実績データの検査成績書宛先「納入先」をキーとして、対外製品規格パターンマスタ106bから社外規格(検査項目、小数点以下桁数、検査規格)を取得する。図14(A)の対外製品規格パターンマスタ106bのパターンでは、宛先が「見積先」のため該当しないので、宛先が「共通」となっている図14(B)から社外規格を取得する。
【0097】
検査成績書出力部102fは、受注実績データと、出荷データと、ロット詳細データと、対外製品規格パターンマスタ106bから取得した社外規格(検査項目、小数点以下桁数、検査規格)と、検査結果の集約データに基づいて、検査成績書データを作成する。
【0098】
図15は、検査成績書データの一例を示す図である。検査成績書データは、受注番号、得意先、納入先、見積先、品番コード、品番、検査成績書宛先、検査成績書言語、出荷番号、出荷日、出荷数、ロット番号、製造日、有効期限、対外製品規格(検査項目、小数点以下桁数、検査規格)、検査結果の項目を備えている。なお、検査結果に関して、小数点以下桁数による桁溢れ時は、まるめ処理(四捨五入)を実施してもよい。
【0099】
検査成績書出力部102fは、受注実績データの「検査成績書言語」で、検査成績書データに基づいた検査成績書を出力する。図16は、日本語の検査成績書の例を示している。図17は、英語の検査成績書の例を示している。なお、検査成績書は帳票形式として、Excel帳票としてもよい。例えば、ひな型のExcelデータを取得し、指定セルに取得したデータをセットしてもよい。Excel帳票とすることで、レイアウト変更やレイアウト追加に対応し、拡張性を考慮することができる。
【0100】
以上説明したように、製造実績データを参照して、出荷実績データの出荷される品番の製品について、ロットトレースし、各製造工程の品番とロット番号を取得し、製造工程の下流側を上位の階層として、上位の階層順に、各製造工程の製造品の品番、階層、ロット番号を含むロットトレース情報を作成し、当該ロットトレース情報の品番及びロット番号をキーとして、前記検査実績データから検査項目と検査結果を取得し、検査項目毎の検査結果の集約データを作成し、その際、重複する検査項目の検査結果については、下流工程の階層が高い工程の検査結果を採用する検査結果集約部102eを備えているので、製品の検査成績書の発行対象である品番・ロット番号に対して、ロットトレースを行い、発生した品番・ロット番号に対しての検査実績を取得・集約して、低作業負荷で正確な検査実績を取得することが可能となる。
【0101】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0102】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0103】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0104】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0105】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0106】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0107】
また、検査実績管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0108】
例えば、検査実績管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU及び当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて検査実績管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0109】
また、このコンピュータプログラムは、検査実績管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0110】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0111】
また、「プログラム」とは、任意の言語又は記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成及び読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0112】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0113】
また、検査実績管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータ又はワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、検査実績管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0114】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0115】
100 検査実績管理装置
102 制御部
102a 受注入力部
102b 出荷入力部
102c 製造実績入力部
102d 検査実績入力部
102e 検査結果集約部
102f 検査成績書出力部
102g 画面表示制御部
102h マスタメンテ部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 品番マスタ
106b 対外製品規格パターンマスタ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
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