(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006964
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】灯具制御システム、制御装置、および灯具
(51)【国際特許分類】
H05B 47/185 20200101AFI20250109BHJP
【FI】
H05B47/185
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108038
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津ノ井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】菅野 孝一
(72)【発明者】
【氏名】照井 敏生
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 幸士
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA06
3K273QA29
3K273QA39
3K273RA16
3K273SA19
3K273SA36
3K273SA60
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA52
3K273TA53
3K273TA66
3K273UA17
3K273UA27
(57)【要約】
【課題】各灯具の識別、すなわちIDの割り当てを容易に行うことが可能な灯具制御システム、制御装置、および灯具を提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る灯具制御システムは、制御装置と、灯具を具備する。上記制御装置は、灯具の各々を識別可能とする識別信号を出力する出力部と、上記灯具から上記識別信号に対する応答信号を受信する受信部とを有する。上記灯具は、上記応答信号を出力する応答部と、上記応答信号を出力したタイミングに基づいて、リレーを閉じるリレー操作部とを有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具の各々を識別可能とする識別信号を出力する出力部と、
前記灯具から前記識別信号に対する応答信号を受信する受信部と
を有する制御装置と、
前記応答信号を出力する応答部と、
前記応答信号を出力したタイミングに基づいて、リレーを閉じるリレー操作部と
を有する灯具と
を具備する灯具制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の灯具制御システムであって、
前記識別信号は、前記灯具を識別可能とする固有の番号を含み、
前記応答部は、前記応答信号を出力した場合、前記固有の番号を前記灯具に設定する
灯具制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の灯具制御システムであって、
前記出力部は、前記固有の番号が設定された灯具を確認する確認信号を出力する
灯具制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の灯具制御システムであって、
前記応答部は、前記確認信号の確認する前記固有の番号と、前記灯具に設定された固有の番号とが一致する場合、前記確認信号に対する応答を行う
灯具制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の灯具制御システムであって、
前記出力部は、出力された前記確認信号に対する前記応答部からの応答が受信された場合、前記確認信号の確認する前記固有の番号とは異なる番号を確認する確認信号を出力する
灯具制御システム。
【請求項6】
請求項1に記載の灯具制御システムであって、
前記出力部は、前記識別信号を送信することを通知する通知信号を出力する
灯具制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載の灯具制御システムであって、
前記リレー操作部は、前記通知信号が受信されたタイミングに基づいて、リレーを開く
灯具制御システム。
【請求項8】
請求項7に記載の灯具制御システムであって、
前記通知信号は、前記リレーを開くまでの時間を遅延させる遅延時間を含み、
前記リレー操作部は、前記通知信号が受信され、前記遅延時間を経過したタイミングで、リレーを開く
灯具制御システム。
【請求項9】
請求項8に記載の灯具制御システムであって、
前記出力部は、前記通知信号を複数回出力する
灯具制御システム。
【請求項10】
請求項9に記載の灯具制御システムであって、
前記出力部は、前記通知信号を所定の時間間隔で出力し、
前記遅延時間は、前記所定の時間間隔に基づいて、設定される
灯具制御システム
【請求項11】
請求項6に記載の灯具制御システムであって、
前記識別信号は、前記灯具を識別可能とする固有の番号を含み、
前記応答部は、前記応答信号を出力した場合、前記固有の番号を前記灯具に設定し、
前記通知信号は、前記灯具に設定された前記固有の番号の初期化を含む
灯具制御システム。
【請求項12】
請求項2に記載の灯具制御システムであって、
前記出力部は、出力された前記固有の番号を含む前記識別信号に対する応答信号が受信されない場合、前記固有の番号と同じ固有の番号を含む識別信号を所定の回数出力する
灯具制御システム。
【請求項13】
請求項12に記載の灯具制御システムであって、
前記出力部は、前記所定の回数分出力された前記固有の番号と同じ固有の番号を含む識別信号に対する応答が行われない場合、前記識別信号の出力を停止する
灯具制御システム。
【請求項14】
請求項2に記載の灯具制御システムであって、
前記応答部は、前記灯具に前記固有の番号が設定された場合、前記応答信号の出力を停止する
灯具制御システム。
【請求項15】
請求項1に記載の灯具制御システムであって、
前記識別信号は、アドレスおよびデータを含み、
前記応答部は、前記アドレスと前記アドレスの反転、および、前記データと前記データの反転との照合が一致する場合、前記応答信号を出力する
灯具制御システム。
【請求項16】
灯具の各々を識別可能とする識別信号を出力する出力部と、
前記灯具から前記識別信号に対する応答信号を受信する受信部と
を有する制御装置。
【請求項17】
灯具の各々を識別可能とする識別信号に対する応答信号を出力する応答部と、
前記応答信号を出力したタイミングに基づいて、リレーを閉じるリレー操作部と
を有する灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトンネル等に配置される複数の灯具を制御する灯具制御システム、制御装置、および灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル等に配置される複数の灯具の制御を行う際、各々の灯具を識別するための番号が割り当てられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、トンネルの入口付近に配置される入口照明と、トンネル内部に一定の間隔で配置される基本照明とを備えるトンネルにおけるトンネル照明システムが記載される。このトンネル照明システムでは、トンネルコントローラによってアドレス設定指示が、先頭の照明器具から順次下流側の照明器具に送られ、自動的にアドレスが設定されることについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、トンネルコントローラの側から順にアドレスが単調に増加または減少するように各照明器具が自動的に設定され、またアドレス設定指示を受信した照明器具が上流側の照明器具に対して受信応答が送信される。すなわち、全ての照明器具のアドレス設定が完了した場合にアドレスが正常に設定されたかが判定されるため、照明器具が膨大である場合、時間がかかってしまう。また上流から下流の照明器具の中で照明器具が故障した場合に、再度アドレスの設定を行う必要がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、各灯具の識別、すなわちIDの割り当てを容易に行うことが可能な灯具制御システム、制御装置、および灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る灯具制御システムは、制御装置と、灯具を具備する。
上記制御装置は、灯具の各々を識別可能とする識別信号を出力する出力部と、上記灯具から上記識別信号に対する応答信号を受信する受信部とを有する。
上記灯具は、上記応答信号を出力する応答部と、上記応答信号を出力したタイミングに基づいて、リレーを閉じるリレー操作部とを有する。
【0008】
上記灯具制御システムにおいて、灯具の各々を識別可能とする識別信号を出力する出力部と、灯具から識別信号に対する応答信号を受信する受信部とを有する制御装置と、応答信号を出力する応答部と、応答信号を出力したタイミングに基づいて、リレーを閉じるリレー操作部とを有する。これにより、IDの割り当てを容易に行うことができる。
【0009】
上記識別信号は、上記灯具を識別可能とする固有の番号を含み、
その場合、上記応答部は、上記応答信号を出力した場合、上記固有の番号を上記灯具に設定してもよい。
【0010】
上記出力部は、上記固有の番号が設定された灯具を確認する確認信号を出力してもよい。
【0011】
上記応答部は、上記確認信号の確認する上記固有の番号と、上記灯具に設定された固有の番号とが一致する場合、上記確認信号に対する応答を行ってもよい。
【0012】
上記出力部は、出力された上記確認信号に対する上記応答部からの応答が受信された場合、上記確認信号の確認する上記固有の番号とは異なる番号を確認する確認信号を出力してもよい。
【0013】
上記出力部は、上記識別信号を送信することを通知する通知信号を出力してもよい。
【0014】
上記リレー操作部は、上記通知信号が受信されたタイミングに基づいて、リレーを開いてもよい。
【0015】
上記通知信号は、上記リレーを開くまでの時間を遅延させる遅延時間を含み、
その場合、上記リレー操作部は、上記通知信号が受信され、上記遅延時間を経過したタイミングで、リレーを開いてもよい。
【0016】
上記出力部は、上記通知信号を複数回出力してもよい。
【0017】
上記出力部は、上記通知信号を所定の時間間隔で出力し、
その場合、上記遅延時間は、上記所定の時間間隔に基づいて、設定されてもよい。
【0018】
上記識別信号は、上記灯具を識別可能とする固有の番号を含み、
その場合、上記応答部は、上記応答信号を出力した場合、上記固有の番号を上記灯具に設定し、
その場合、上記通知信号は、上記灯具に設定された上記固有の番号の初期化を含んでもよい。
【0019】
上記出力部は、出力された上記固有の番号を含む上記識別信号に対する応答信号が受信されない場合、上記固有の番号と同じ固有の番号を含む識別信号を所定の回数出力してもよい。
【0020】
上記出力部は、上記所定の回数分出力された上記固有の番号と同じ固有の番号を含む識別信号に対する応答が行われない場合、上記識別信号の出力を停止してもよい。
灯具制御システム。
【0021】
上記応答部は、上記灯具に上記固有の番号が設定された場合、上記応答信号の出力を停止してもよい。
【0022】
上記識別信号は、アドレスおよびデータを含み、
その場合、上記応答部は、上記アドレスと上記アドレスの反転、および、上記データと上記データの反転との照合が一致する場合、上記応答信号を出力してもよい。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る制御装置は、出力部と、受信部とを具備する。
上記出力部は、灯具の各々を識別可能とする識別信号を出力する。
上記受信部は、上記灯具から上記識別信号に対する応答信号を受信する。
【0024】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る灯具は、応答部と、リレー操作部とを具備する。
上記応答部は、灯具の各々を識別可能とする識別信号に対する応答信号を出力する。
上記リレー操作部は、上記応答信号を出力したタイミングに基づいて、リレーを閉じる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、IDの割り当てを容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】制御装置と灯具群との通信方式を模式的に示す図である。
【
図3】伝送フォーマットの構成を模式的に示す図である。
【
図4】伝送フォーマットの構成を模式的に示す図である。
【
図9】灯具の応答出力を示すフローチャートである。
【
図10】各灯具へのID割り当てを示すシーケンス図である。
【
図11】灯具1台が再起動した場合のID割り当てを示すシーケンス図である。
【
図12】灯具2台が再起動した場合のID割り当てを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る灯具制御システムを模式的に示す図である。
図1Aは、灯具制御システムの機能的な構成を示すブロック図である。
図1Bは、制御装置と灯具群との構成例を示す図である。
【0029】
図1に示すように、灯具制御システム100は、商用電源10、制御装置20、及び灯具群30を有する。
【0030】
商用電源10は、制御装置20へと交流電圧を出力する。例えば、商用電源10は、電圧が200V、周波数が50または60Hzの電源である。本実施形態では、商用電源10からの電圧が通信変換部23へと供給される。
【0031】
制御装置20は、操作部21、制御部22、及び通信変換部23を有する。本実施形態では、制御装置20は、後述する灯具群30の各々を識別するための番号(ID)を割り当てる。例えば、1台目の灯具を灯具1、1台目の灯具に連なる2台目の灯具を灯具2というように各灯具に対してIDを割り当てる。
【0032】
操作部21は、ユーザ等の操作が入力されることで、各灯具へID割り当て等の制御を行うことができる。本実施形態では、操作部21は、ユーザのPC等による遠隔操作により入力された、ID割り当てを実施する旨の制御信号等を制御部22に出力する。例えば、ユーザがID割り当てを実行するコマンドの入力を行うことで、操作部21は、上記制御信号を制御部22に出力し、自動的に灯具にIDが割り当てられる。これに限定されず、例えば、操作部21は、「ID割り当て開始」等の所定のスイッチを押下することで自動的にID割り当てが行われてもよい。また例えば、操作部21は、タッチパネル等であり、ユーザは該タッチパネルを介して、各灯具に対して手動(一つ一つ手作業)でIDを設定できてもよい。これ以外にも、操作部21は、各灯具のIDの確認、ID(灯具)の総数、IDの割り当てが行われていない灯具がいないか等の種々の灯具のID割り当てに関する状況が表示されるディスプレイでもよい。またIDの割り当てにユーザの操作が入力されなくてもよい。例えば、制御部22(または灯具制御システム100)の起動時に自動的にID割り当てが行われてもよい。
【0033】
制御部22は、灯具のID割り当てを行う。本実施形態では、制御部22は、灯具の各々を識別可能とする識別信号を出力する。例えば、制御部22は、ID=1を割り当てる旨の識別信号を灯具へと出力し、その識別信号を受信した灯具はID=1が割り当てられた灯具となる。なお灯具に割り当てられるIDは、連番に限定されず、空き番号があってもよい。
【0034】
また制御部22は、灯具に対して、割り当てられたIDを確認する確認信号を出力する。例えば、ID=1と割り当てられた灯具に対して、その灯具がID=1であるかを確認する確認信号が出力される。
【0035】
また制御部22は、識別信号を送信することを通知する通知信号を出力する。本実施形態では、通知信号は、所定の時間間隔で3回送信される。本実施形態では、識別信号、確認信号および通知信号は、通信変換部23により、以下に記載の通信方式に基づき変換される。
【0036】
通信変換部23は、制御部22から出力された識別信号、確認信号および通知信号を電文に変換する。本実施形態では、通信変換部23は、商用電源10に同期して、電文を灯具群30へと出力する。本実施形態では、電文は、「1」と「0」で構成される。また電文は、灯具の最大接続台数100台を想定した8bitのアドレスと、電文に要求する機能の数や固有データサイズに基づく12bitのデータで構成される。具体的な電文の例は
図2~
図4を用いて説明する。
【0037】
灯具群30は、複数の灯具から構成され、信号変換部から出力される電文に基づいて、灯具のID割り当てが行われる。
【0038】
例えば、灯具群30は、一般道や高速道路のトンネル等の複数の灯具が配置される箇所に設けられる。灯具群30がトンネルに設けられる場合、
図1Bに示すように、トンネル入口付近に設けられる灯具を入口照明5、トンネル内部に設けられる基本照明6と分類することができる。
【0039】
灯具制御システム100では、ケーブルの芯数が、信号線1が1本、電源線2が2本(Live、Neutral)、接地線(図示せず)が1本である。信号線1を介し、制御装置20から出力された電文を取得することで各灯具のID割り当てが行われる。具体的なID割り当ての例については、
図10~12で説明する。
【0040】
なお灯具群30における入口照明および基本照明の分類は限定されない。典型的には、明るさ等のトンネル外部の環境により影響が与えられる箇所に配置される灯具を入口照明とする。以下、灯具群30に含まれる各灯具に対して、同様の符号を付与することがある。
【0041】
このような灯具制御システムにおける、制御装置20と灯具群30との通信方式について、以下
図2~
図4を用いて説明する。
【0042】
[通信方式]
図2は、制御装置20と灯具群30との通信方式を模式的に示す図である。
【0043】
図2に示すように、本通信方式では、商用電源10の交流電圧の周波数に同期して通信が行われる。送信側である制御装置20は、交流電圧の負の半波に同期してデータパルス25を出力する。また受信側である灯具30は、同期を行っている間のデータパルス25を有効なデータとする。
【0044】
本実施形態では、受信側が同期を行うために、灯具30に供給される電文内に開始符号(例えば「1」および「0」、以下「10」と記載)が用いられる。また、無通信状態における信号の状態は「0」とするため、受信側は、電文内の開始符号「10」が追加されることにより「0」から「1」の変化を電文の開始として検出することで、同期を開始する。
【0045】
なお本実施形態における電文の構造は、固定長であり、アドレス(正論理、8bit)、アドレス反転(負論理、8bit)、データ(正論理、12bit)、データ反転(負論理、12bit)で構成される。ここでアドレス反転とは、アドレスの各bitを反転した値である。データ反転とは、データの各bitを反転した値である。
【0046】
また本実施形態では、アドレスは、各灯具を識別するための番号(ID)を含む。例えば、灯具が100台配置される場合、100台の灯具の各々に番号が振り分けられる。またこれ以外にも、グループアドレスやブロードキャスト等がアドレスに含まれてもよい。
【0047】
また本実施形態では、データは、4bitの機能コードと、機能コードに対応する8bitの固有データで構成される。例えば、機能コードには、灯具のID割り当て、調光制御、灯具の状態の監視等が含まれる。もちろん、要求される機能の種類や固有データのサイズに応じて任意のビット数が設定され、機能の種類及び固有データのサイズを足したデータのビット数が設定されてもよい。
【0048】
また本実施形態では、電文中の「0」から「1」の変化を開始符号と誤検知する可能性を排除するために、電文と電文との間に21bit以上の無通信期間が設けられる。
【0049】
例えば、アドレスが「11111111」、アドレス反転が「00000000」、データが「000000000000」、データ反転が「111111111111」とする。このように電文に含まれる中で、最も「0」が連続する可能性がある期間(例えばアドレス反転とデータとの間)は、20bitが限度である。すなわち、20bitを超えて「0」が連続した後の「10」を開始符号とすることで、誤検知を排除することができる。
【0050】
また受信側である灯具30は、アドレスおよびアドレス反転と、データおよびデータ反転とを比較照合して、データに誤りがないかを確認する。また灯具は、負の半波に同期してアンサーバックを出力する。
【0051】
ここで上記の通信方式における伝送データのフォーマット構成を
図3および
図4を用いて説明する。
【0052】
図3は、伝送フォーマットの構成を模式的に示す図である。
図4は、伝送フォーマットの構成を模式的に示す図である。
【0053】
図3および
図4における伝送される電文のフォーマットは、開始符号、アドレス(A0~A7)、アドレス反転、データ(D0~D11)、データ反転、休止サイクル(2bit)、アンサーバック(2bit)、および休止サイクル(2bit)である。すなわち、電文の長さは、48bitであり、開始符号を除けば46bitとなる。
【0054】
図3に示すように、データ伝送の商用電源10は、AC200V、50Hzまたは60Hzの電源である。また
図3に示すように、信号26は、商用電源10と同期を取る。1bitは、電源サイクルの1サイクルの負の半波に同期して送受信される。またアドレスは、16bit固定で下位から順次出力される。またデータは、24bit固定で下位から順次出力される。また休止27は、6bit固定で、3bit目および4bit目の電源の負の半波に同期させてアンサーバック35が出力される。
【0055】
本実施形態では、灯具30がアンサーバック35を制御装置20に返すことで要求に対するYESを表す。また灯具30がアンサーバック35を制御装置20に返さないことで要求に対するNOを表す。すなわち、制御装置20による要求(例えば、灯具のIDの確認等の電文の出力)に対して応答するか応答しないかの2値の応答を行う。
【0056】
また
図3に示すように、信号ビット構成28は、商用電源10の負の半波側に同期させてデータビットが送られる。正論理ビットアドレスを8bit送出後、正論理の補数をとった負論理ビットアドレスが8bit送出される。また正論理ビットデータを12bit送出後、正論理の補数をとった負論理ビットデータが12bit送出される。
【0057】
受信側は、送信側から送られたデータビットから、アドレスを正論理と負論理とに分け、データも正論理と負論理とに分ける。分けられた各信号は、それぞれ全ての正論理ビットに対し、反転負論理ビットで構成されているかが照合される(
図3の信号照合36を参照)。
【0058】
信号照合が取れた場合、正論理データを正規のデータとする。
図3では、アドレスA0~A7である「11010100」と、データ「111001001101」とが正規のデータ37となる。
【0059】
また
図4に示すように、電文の終了から次の電文の始まりまで最低21bitの待ち時間が設けられる。電文が始まる前は電源の負の半波に同期させて、「10」の順番で受信した場合、その後が電文の始まりとなる。
【0060】
図5は、灯具30の構成を模式的に示す図である。
図5Aは、灯具30の機能的な構成を示すブロック図である。
図5Bは、灯具30の構造を模式的に示す図である。
【0061】
図5Aに示すように、灯具30は、通信基板31、電源32、及びLED基板33を有する。
【0062】
通信基板31は、制御装置20と灯具30との通信を行う。本実施形態では、通信基板31は、信号変換部23により出力された電文を取得する。また本実施形態では、通信基板31は、電文に対する応答(アンサーバック)を信号変換部23へと出力する。
【0063】
また通信基板31は、電文内に開始符号「10」、及び電文と電文との間に21bit以上の無通信期間が含まれているかを判定する。具体的な灯具の状態遷移については
図8を用いて説明する。
【0064】
また通信基板31は、電文に基づいて、灯具のリレー回路の開閉制御を行う。例えば、通信基板31は、通知信号を受信することで、リレー回路を開く。また例えば、通信基板31は、識別信号を受信し、その識別信号に対して応答をした場合、リレー回路を閉じる。
【0065】
また通信基板31は、識別信号に対して応答をした場合、通信基板31を有する灯具のIDを識別信号に含まれるIDに設定する。
【0066】
また通信基板31は、電文に基づいて、電源32のPWMのデューティ比を決定する。例えば、通信基板31は、調光率0%や調光率100%に対応するPWMのデューティ比を決定する変換テーブルを有してもよい。
【0067】
電源32は、通信基板31から出力されたデューティ比に基づいて、灯具30の調光制御を行う。例えば、電源32は、LED基板33を定電流制御にて調光する。
【0068】
LED基板33は、電源32からの電流により発光する。
【0069】
また
図5Bに示すように、灯具30には、ケーブル38、およびケーブル38と灯具30とを繋げるコネクタ39が接続される。なお
図5Bでは、
図1Bと同様に、ケーブルの芯数が、信号線1が1本、電源線2が2本である。また接地線(図示せず)も設けられる。
【0070】
なお信号線1および電源線2は、一体の配線構造、または別々の配線構造でもよい。
【0071】
また
図5Bでは、電源32(電源基板)の電源入力が通信基板31を経由して配線されるが、これに限らず、灯具30に入った電源線2を通信基板31と電源32とに分岐して配線されてもよい。
【0072】
図6は、灯具制御システム100の構成例を示す図である。
図6Aは、灯具制御システム100の構成の一例を示す図である。
図6Bは、灯具制御システム100の構成の一例を示す図である。
図6Cは、灯具制御システム100の構成の一例を示す図である。
【0073】
なお、
図6では、灯具群30は、100個の灯具で構成される。
【0074】
図6Aに示すように、電圧が200V、周波数が50または60Hzの電源である商用電源10からの電力線42は、単相2線であり、照明分電盤40を介し、制御装置20、および灯具群30の各々に電力を供給する。また制御装置20から各灯具30へと通信線41が接続されており、この通信線41から各灯具30のIDの割り当てが行われる。
【0075】
もちろん
図6Aの例に限定されない。例えば、
図6Bに示すように、照明分電盤40から各灯具30へと電力線42が結ばれず、照明分電盤40からの電源が制御装置20に入力され制御装置20から灯具30へと分配されるような構成でもよい。また、
図6Cに示すように、照明分電盤40の内部に制御装置20が内蔵され、照明分電盤40の内部で電力が分配され、各灯具30へと供給されてもよい。
【0076】
図7は、灯具30の配線パターンを示す図である。
図7Aは、灯具30の配線パターンの一例を示す図である。
図7Bは、灯具30の配線パターンの一例を示す図である。
【0077】
図7Aでは、灯具30に、AC-L、AC-N、および信号を示す配線が接続される。AC-Lの配線50、およびAC-Nの配線51は、
図7Aに示す灯具30(N番目)と該灯具30に連なる図示しない灯具(N+1番目)へと繋がっており、各灯具において分岐している。
【0078】
信号を示す配線52は、制御装置からの識別信号、確認信号および通知信号に関する電文が送られ、灯具へと供給される。
図7Aでは、信号を示す配線は、灯具(N番目)を介して、灯具(N+1番目)へと接続される。例えば、N番目の灯具にID=Nを割り当てる旨の電文(識別信号)が送信され、続けて(N+1)番目の灯具にID=(N+1)を割り当てる旨の電文が送信される。
【0079】
また
図7Aでは、通信基板31(図示せず)は、信号に応じて、リレー回路の開閉制御を行う。すなわち、
図7Aに示す配線パターンでは、灯具から次の灯具への信号をカット、または伝達することができる。例えば、全ての灯具の回路が開いている場合、1番目の灯具にID=1を割り当てる旨の電文が送信され、1番目の灯具のリレー回路が閉じる。続けて、2番目の灯具にID=2を割り当てる旨の電文が送信され、2番目の灯具のリレー回路が閉じる。この動作を順次繰り返すことで、全ての灯具にIDが割り当てられる。
【0080】
もちろん、
図7Aに示す例に限定されず、様々な配線パターンが設定されてもよい。例えば、
図7Bでは、灯具30から次の灯具への配線(AC-L50、AC-N51、および信号52)を分岐させないことで、灯具30と次の灯具とを繋ぐケーブルを順々に継ぎ足した配線でもよい。すなわち、
図7Bの例は、分岐したケーブルを用いる必要がなく、施工性に優れる。
【0081】
図8は、灯具30の受信処理における状態遷移図である。
【0082】
図8に示すように、ステップ101では、灯具30(通信基板31)は、データパルスの受信禁止状態である。この受信禁止状態は、電文内の「1」の受信、または「0」の受信かつ連続21bit未満の電文が灯具へと出力されている間継続される(ステップ101からステップ101)。具体的な処理としては、「1」が受信された場合、受信カウンタがクリアされ、「0」が受信された場合、受信カウンタがインクリメントされる。
【0083】
また電文内の「0」を受信、かつ、受信された「0」が上記の受信カウンタが20bitまでカウントされていた場合、すなわち、連続で21bitの「0」が受信された場合、受信可能状態へと遷移する(ステップ101からステップ102)。
【0084】
ステップ102では、「1」が受信された場合、開始符号待ち状態へと遷移する(ステップ102からステップ103)。また「0」が受信された場合、受信可能状態を継続する(ステップ102からステップ102)。
【0085】
ステップ103では、既に「1」を受信しているため「0」を受信した場合、開始符号「10」を検出したこととなり、受信中状態へと遷移する(ステップ103からステップ104)。また「1」が受信された場合、開始符号が検出されなかったため、受信禁止状態へと遷移する(ステップ103からステップ101)。
【0086】
ステップ104では、固定長40bitの電文(アドレス、アドレス反転、データ、およびデータ反転)の受信が行われる。40bit受信された場合、応答出力状態へと遷移する(ステップ104からステップ105)。40bit受信されていない場合、電文の全てを受信できていないため、受信中状態が継続される(ステップ104からステップ104)。
【0087】
ステップ105では、電文に応じた応答出力が行われる。応答出力の具体的な処理は、
図9のフローを用いて説明する。
【0088】
図9は、灯具30の応答出力を示すフローチャートである。
【0089】
通信基板31により、
図8のステップ104で受信された電文が、正常か異常かが判定される(ステップ201)。本実施形態では、通信基板31は、正論理のアドレスおよび負論理のアドレス反転の照合と、正論理のデータおよび負論理のデータ反転との照合を行う。アドレスおよびデータの両方の照合が正しい場合、正常と判定される(ステップ201のYES)。またアドレスおよびデータの両方の照合が正しくない場合、異常と判定され、応答出力が行われない(ステップ201のNO、ステップ206)。
【0090】
正常と判定された正規の電文(アドレスおよびデータ)のうち、アドレスの判定が行われる(ステップ202)。本実施形態では、アドレスの示す灯具のIDが、そのアドレスを受信した灯具のIDと一致する場合、受信されたアドレスがその灯具宛てに送信されたと判定される(ステップ202のYES)。またアドレスがブロードキャストの場合、受信されたアドレスがその灯具宛てに送信されたと判定される(ステップ202のYES)。またアドレスの示す灯具のIDが、そのアドレスを受信した灯具のIDと一致しない場合、受信されたアドレスがその灯具宛てではないため、応答出力が行われない(ステップ202のNO、ステップ206)。
【0091】
アドレス判定の結果、指定された灯具により、電文に応じた処理が実行される(ステップ203)。例えば、ID=1を割り当てる旨の識別信号が出力された場合、1番目の灯具(例えば、制御装置20に最も近い灯具)がその識別信号に対して応答を行う(ステップ204のYES、ステップ205)。
【0092】
また例えば、全ての灯具へ、ID=3であるかを確認する確認信号が出力された場合、ID=3の灯具がその確認信号に対して応答を行い(ステップ204のYES、ステップ205)、またID=3ではない灯具は、その確認信号に対して応答を行わない(ステップ204のNO、ステップ206)。
【0093】
また例えば、通知信号が出力された場合、全ての灯具はその電文に対して応答を行わない(ステップ204のNO、ステップ206)。
【0094】
ステップ205では、灯具から制御装置20へと処理を実行したことを示す応答の出力処理が行われる。本実施形態では、休止サイクルである6bitの時間のうち、3bit目および4bit目に「1」をアンサーバックとして制御装置20に送信する。
【0095】
ステップ205またはステップ206により応答出力が終了した場合、灯具は受信禁止状態へと遷移する(
図8のステップ105からステップ101)。
【0096】
ここで
図10~12を用いて、ID割り当ての具体例を説明する。
【0097】
図10は、各灯具へのID割り当てを示すシーケンス図である。
図10では、説明のため3台の灯具のみ図示しており、識別のために灯具群30の各灯具に灯具A、灯具B、灯具Cと記載する。また
図10は、システム起動直後のID割り当てのシーケンスであり、起動した直後の各灯具のリレー回路は、開いている状態とする。
【0098】
図10に示すように、制御装置20は、灯具全体に対して通知信号を出力する。本実施形態では、制御装置20は、通知信号を3秒間隔で合計3回送信する(ステップ301~ステップ303)。なお、全ての灯具のリレー回路が開いているため、通知信号が灯具Aのみに届く。またリレー回路が閉じている場合は、通信基板31は、通知信号を受信することでリレー回路を開く。
【0099】
また本実施形態では、通知信号は、リレー回路の開閉制御を行うまでの遅延時間を格納する。
図10に示すように、1回目に送信された通知信号(以下、第1の通知信号と記載)は、遅延時間が6.1秒に設定される。すなわち、灯具Aは、第1の通知信号を受信した後、6.1秒後にリレー回路を開く。なお、灯具のリレー回路が既に開いている場合は開の状態を維持する(何もしない)。
【0100】
同様に2回目に送信された通知信号(以下、第2の通知信号と記載)は、遅延時間が3.1秒に設定される。また3回目に送信された通知信号(以下、第3の通知信号と記載)は、遅延時間が0.1秒に設定される。
【0101】
上記のように、第1、第2、第3の通知信号に設定される遅延時間T1、T2、T3は、T1>T2>T3の条件で送信される。このように遅延時間は、通知信号の送信周期(例えば、3秒)の単位でカウントダウンする値に設定される。またこれらの通知信号が1回でも受信されることで、全灯具がほぼ同時にリレー回路を開く。
【0102】
また通知信号には、既に割り当てられた灯具のIDを初期化(クリア)する信号を含んでもよい。なお通知信号の送信周期や送信回数は任意に設定されてよい。ただし、送信周期は、制御装置20と灯具との送信の衝突を回避するため、通信速度および電文の長さに基づく最低送信間隔以上とする。
【0103】
制御装置20から、ID=1を割り当てる旨の識別信号が送信される(ステップ304)。具体的には、アドレスがグループアドレス(ブロードキャストのみ)であり、機能コードがID割り当ての電文が送信される。本実施形態では、灯具Aのリレー回路が開いているため、この識別信号は、灯具Aのみに受信される。
【0104】
灯具Aは、電文に対する応答をし、リレー回路を閉じる(ステップ305)。これにより、灯具Aは、ID=1の灯具となる。
【0105】
制御装置20は、ID=1の識別信号に対する応答を受信した場合、同様に、制御装置20から、ID=2を割り当てる旨の識別信号が送信される(ステップ306)。ステップ305により、灯具Aのリレー回路が閉じたため、識別信号が灯具Bに受信される。なお、この識別信号(ID=2要求)に対して既にIDを割り当てられた灯具Aはこの識別信号を無視する。もしID=1の識別信号が再度送られたとしても、既にIDを割り当てられた灯具Aは応答をしない。
【0106】
灯具Bは、電文に対する応答をし、リレー回路を閉じる(ステップ307)。これにより、灯具Bは、ID=2の灯具となる。
【0107】
同様に制御装置20から、ID=3を割り当てる旨の識別信号が送信され(ステップ308)、灯具Cにより電文の応答、およびリレー回路が閉じる(ステップ309)。これにより、灯具Cは、ID=3の灯具となる。
【0108】
これらのステップを繰り返し、識別信号に対する応答が返ってこなくなるまで、IDをインクリメントしながら、識別信号が送信される。
【0109】
制御装置20は、ID=4を割り当てる旨の識別信号を送信する(ステップ310)。本実施形態では、灯具が3台のため、ステップ309の時点でIDの割り当てが完了している。すなわち、ID=4を割り当てる旨の識別信号に対する応答が返ってこない。
【0110】
制御装置20により、再度ID=4を割り当てる旨の識別信号が送信される(ステップ311)。また制御装置20により、3回目のID=4を割り当てる旨の識別信号が送信される(ステップ312)。上記のように本実施形態では、制御装置20は、識別信号の応答が来ない場合、その識別信号を3回繰り返して送信する(ステップ310~312)。3回目の識別信号に対して応答が来ない場合、ID割り当てが終了となる。
【0111】
なお、制御装置20は、灯具の最大数(例えば、100台)に対応するID(=100)を割り当てる旨の識別信号を送信し、その識別信号に対して応答が行われた場合、ID=101以降の識別信号を送信しない。すなわち、その時点でシーケンスが終了となる。
【0112】
図11は、灯具1台が再起動した場合のID割り当てを示すシーケンス図である。
図11では、説明のため3台の灯具のみ図示しており、識別のために灯具群30の各灯具に灯具A、灯具B、灯具Cと記載する。
【0113】
また
図11では、灯具Bが再起動し、リレー回路が開いた状態とする。すなわち、灯具Aおよび灯具Cのリレー回路は閉じた状態で、かつ既にIDが割り当てられている。
図11では、灯具AはID=1、灯具CはID=3と割り当てられている。
【0114】
図11に示すように、制御装置20は、灯具全体に対して通知信号を3秒間隔で合計3回送信する(ステップ401~ステップ403)。本実施形態では、灯具Aのリレー回路が閉じているため、灯具Bまで通知信号が届く。また通知信号を受信した灯具Aの通信基板31は、自身のID(=1)をクリアし、遅延時間に従ってリレー回路を開く。
【0115】
制御装置20から、ID=1を割り当てる旨の識別信号が送信される(ステップ404)。灯具Aは、この識別信号に対して応答を行い、リレー回路を閉じる(ステップ405)。
【0116】
また制御装置20から、ID=2を割り当てる旨の識別信号が送信される(ステップ406)。灯具Bは、この識別信号に対して応答を行い、リレー回路を閉じる(ステップ407)。
【0117】
また灯具Cは既にID=3が割り当てられているため、応答が行われない。よって、制御装置20は、ID=3を割り当てる旨の識別信号を3回送信し(ステップ408~410)、3回目の識別信号に対して応答が来ない場合、ID割り当てを終了とする。
【0118】
なお、
図11の例では、ID=3の識別信号の応答がないため、制御装置20が灯具の台数を2台と誤認する可能性がある。この場合、制御装置20は、灯具が何台接続されているかを記憶する記憶部を有してもよい。また規定のタイミング等の条件に基づいて、ID割り当てが再実行されてもよい。この場合、時間はかかるが最終的に接続されている灯具の台数を把握することができる。
【0119】
図12は、灯具2台が再起動した場合のID割り当てを示すシーケンス図である。
図12では、説明のため4台の灯具のみ図示しており、識別のために灯具群30の各灯具に灯具A、灯具B、灯具C、灯具Dと記載する。
【0120】
また
図12では、灯具Bおよび灯具Dが再起動し、リレー回路が開いた状態とする。すなわち、灯具Aおよび灯具Cのリレー回路は閉じた状態で、かつ既にIDが割り当てられている。
図11では、灯具AはID=1、灯具CはID=3と割り当てられている。
【0121】
この場合、
図10や
図11のシーケンスだと、同じID(例えば、ID=3)の灯具ができてしまい、出力が衝突する可能性がある。よって、
図12では、制御装置20から確認信号が出力される。
【0122】
なお
図12では、
図11におけるステップ401~403の通知信号、およびステップ408~410の3回繰り返される識別信号の記載を省略している。
【0123】
図11のステップ401~403と同様に、制御装置20は、灯具全体に対して通知信号を3秒間隔で合計3回送信する。本実施形態では、灯具Aのリレー回路が閉じているため、灯具Bまで通知信号が届く。また灯具Aの通信基板31は、通知信号を受信した後に遅延時間に従い、自身のID(=1)をクリアし、リレー回路を開く。
【0124】
また
図12に示すように、制御装置20は、灯具全体に対して、ID=1が割り当てられた灯具であるかを確認する確認信号を出力する(ステップ501)。通知信号により灯具Aのリレー回路が開いているため、この確認信号は灯具Aのみに届く。
【0125】
灯具Aは、ステップ501で出力された確認信号に対して、応答を行わない。制御装置20は、灯具からの応答が受信されないことで、ID=1の灯具が存在しないと判定する。
【0126】
制御装置20から、ID=1を割り当てる旨の識別信号が送信される(ステップ502)。灯具Aは、この識別信号に対して応答を行い、リレー回路を閉じる(ステップ503)。
【0127】
同様に制御装置20から、ID=2が割り当てられた灯具であるかを確認する確認信号を出力する(ステップ504)。この確認信号に対して、灯具Aおよび灯具Bは、ID=2ではないため、応答を行わない。
【0128】
制御装置20から、ID=2を割り当てる旨の識別信号が送信される(ステップ505)。灯具Bは、この識別信号に対して応答を行い、リレー回路を閉じる(ステップ506)。
【0129】
また制御装置20から、ID=3が割り当てられた灯具であるかを確認する確認信号を出力する(ステップ507)。本実施形態では、灯具CにID=3が割り当てられているため、灯具Cから確認信号に対する応答が行われる(ステップ508)。
【0130】
制御装置20は、ID=3が割り当てられた灯具であるかを確認する確認信号の応答があったため、既にID=3が割り当てられていると判定し、ID=3の識別信号を送信しない。このため、制御装置20から、ID=4が割り当てられた灯具であるかを確認する確認信号を出力する(ステップ509)。
【0131】
ID=4の灯具が存在しないため、各灯具は確認信号に対して応答を行わない。よって、制御装置20から、ID=4を割り当てる旨の識別信号が送信される(ステップ510)。灯具Dは、この識別信号に対して応答を行い、リレー回路を閉じる(ステップ511)。
【0132】
このように、IDを割り当てる識別信号を送信する前に、該当するIDを持つ灯具が存在しないかを確認信号により確認することで、IDの重複を回避することができる。
【0133】
以上のように、制御装置と灯具群とが上記通信方式に従い、各灯具を精確に識別できるため、IDの重複や重複による出力の衝突を防ぐことができる。
【0134】
また各灯具へのID割り当てを遠隔で行うことができるため、灯具が設けられるトンネルでIDを割り当てる必要がない。このため、人員によるコストや時間の削減ができる。
【0135】
また確認信号により、既にIDが割り当てられている灯具に対して、再度識別信号を出力する必要がないためIDの重複を防ぐことができる。
【0136】
また本実施形態では、識別信号により灯具のIDが設定されたが、これに限らない。例えば、識別信号には、入口照明または基本照明かを示す灯具の種別が設定されてもよい。この識別信号を灯具が受信することで、灯具のIDおよび灯具が入口照明または基本照明のどちらかに設定されてもよい。
【0137】
また本実施形態では、通知信号により灯具のIDがクリアされたが、これに限らない。例えば、通知信号には、入口照明または基本照明かを示す灯具の種別がクリアにされてもよい。
【0138】
また本実施形態では、通知信号により灯具のリレー回路が開くように設定されたが、これに限らない。例えば、通信基板31が既にリレー回路を閉じるまでのタイマが動作している場合、後に通知信号が受信された時間で遅延時間に基づくタイマが動作してもよい。
【0139】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論であり、各実施形態及び変形例の構成を組み合わせてもよい。例えば、本実施形態では、トンネル等の複数の灯具を一括に制御する灯具制御システムについて説明したが、例えば、複数の照明が設けられた会場等の複数の灯具に対してID割り当てを行う場合に本灯具制御システムが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0140】
10…商用電源
20…制御装置
22…制御部
23…通信変換部
30…灯具群
31…通信基板
100…灯具制御システム