(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006966
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】車両用充電管理装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20250109BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250109BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20250109BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20250109BHJP
B60L 53/60 20190101ALI20250109BHJP
【FI】
H02J7/04 H
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L3/00 S
B60L53/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108043
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 仁美
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA08
5G503CB06
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125BC21
5H125DD02
(57)【要約】
【課題】充電中にコンテンツが再生される際に、適切な充電制御を行う。
【解決手段】車両用充電管理装置は、一または複数のプロセッサと、一または複数のプロセッサによって実行されるプログラムが記憶された記憶媒体と、を備え、プログラムは一または複数の命令を含み、命令は、一または複数のプロセッサに、車両のバッテリの目標容量までの充電残時間を取得する処理と、車両でのコンテンツの再生終了までの再生残時間を取得する処理と、充電残時間が再生残時間より短い場合にはバッテリの充電速度を低下させる制御を行う充電速度制御処理と、を実行させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数のプロセッサと、
前記一または複数のプロセッサによって実行されるプログラムが記憶された記憶媒体と、を備え、
前記プログラムは一または複数の命令を含み、
前記命令は、前記一または複数のプロセッサに、
車両のバッテリの目標容量までの充電残時間を取得する処理と、
前記車両でのコンテンツの再生終了までの再生残時間を取得する処理と、
前記充電残時間が前記再生残時間より短い場合には前記バッテリの充電速度を低下させる制御を行う充電速度制御処理と、を実行させる
車両用充電管理装置。
【請求項2】
前記命令は、前記充電速度制御処理として、
前記充電残時間が前記再生残時間より短い場合には、前記充電残時間と前記再生残時間の差分に応じた充電速度を設定する制御を行う処理を、
前記一または複数のプロセッサに実行させる
請求項1に記載の車両用充電管理装置。
【請求項3】
前記命令は、
前記充電残時間よりも長い再生残時間を持つコンテンツの再生を推奨する推奨提示処理を、
前記一または複数のプロセッサに実行させる
請求項1又は請求項2に記載の車両用充電管理装置。
【請求項4】
前記命令は、
前記充電残時間が前記再生残時間より短くない場合には、前記充電残時間よりも長い再生残時間を持つコンテンツの再生を推奨する推奨提示処理を、
前記一または複数のプロセッサに実行させる
請求項1又は請求項2に記載の車両用充電管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用充電管理装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気自動車の充電中の待ち時間に、例えば電気自動車の充電状況情報に応じてコンテンツ等のサービスをユーザに提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の充電完了前にユーザが車両へ戻ってきた場合には、充電完了までにユーザの待ち時間が発生する。このような待ち時間に、車両のバッテリの電力を利用してコンテンツを再生することがある。この際にコンテンツの再生時間が充電完了までの所要時間よりも長い場合には、充電完了後もコンテンツが再生されることで、コンテンツの再生終了時にはバッテリの充電容量が目減りしている場合がある。また、一般的に、急速充電はバッテリへの負荷が大きく、バッテリの劣化を招くことが知られている。
そこで、本発明は、充電中にコンテンツが再生される場合に、充電容量の目減りやバッテリへの負荷を考慮した適切な充電制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施の形態の車両用充電管理装置は、一または複数のプロセッサと、前記一または複数のプロセッサによって実行されるプログラムが記憶された記憶媒体と、を備え、前記プログラムは一または複数の命令を含み、前記命令は、前記一または複数のプロセッサに、車両のバッテリの目標容量までの充電残時間を取得する処理と、前記車両でのコンテンツの再生終了までの再生残時間を取得する処理と、前記充電残時間が前記再生残時間より短い場合には前記バッテリの充電速度を低下させる制御を行う充電速度制御処理と、を実行させるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、充電残時間が再生残時間より短い場合には、バッテリの充電速度が低下されて充電残時間が延びることになる。これによって、充電中にコンテンツを再生する場合においても適切な充電制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態の車両構成のブロック図である。
【
図2】実施の形態の車両用充電管理装置の処理例のフローチャートである。
【
図3】実施の形態の車両用充電管理装置の処理例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<車両構成>
図1は、本実施の形態の車両用充電管理装置10を搭載した車両1を示している。車両1は、電気自動車またはハイブリッド車である。
車両1は、車両用充電管理装置10、車載バッテリ11、PCU(Power Control Unit)12、モータ13、操作部14、表示部15、音声出力部16、コネクタ部17、通信部18を備えている。
なお
図1は車両1が備える一部の構成のみを示したものであり、車両1は走行や運転のための各種の構成を備えることは言うまでもない。
【0009】
車両用充電管理装置10は、1または複数のプロセッサで構成される。具体的には車両1における1又は複数のECU(Electronic Control Unit)によって構成されている。車両1が備えるECUとしては、走行制御ECU、車載バッテリ11の充電制御などを行う充電制御ECU、エンジン制御ECU、車両1が備える表示デバイス(メータ等も含む)についての表示制御などを行う表示制御ECU、運転支援ECU、自動運転ECU、空調制御ECUなど、各種のものが含まれ得る。これらの車両内のいずれかのECU、或いは本実施の形態の機能に特化されたECUにおいて車両用充電管理装置10が構成されればよい。
そして車両用充電管理装置10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ、入出力インタフェースなどを備えて構成されている。CPUは、ROMや不揮発性メモリに記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAMにはCPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどが適宜記憶される。
【0010】
車載バッテリ11は、車両1の走行に用いられる高電圧のバッテリとされている。車載バッテリ11は、車輪の駆動に用いられる電力や車両1の空調機器の動作に用いられる電力やその他の機器の動作に用いられる電力の供給を行う。
図1は、車載バッテリ11から車輪の駆動に用いられる電力供給や表示部15に対する電力供給について示したものであり、その他の各部の動作に用いられる電力供給についての図示は省略している。
【0011】
車載バッテリ11は、PCU12から供給された電流により充電される。
車載バッテリ11は、PCU12に対してモータ13の駆動のための電源電圧を供給する。
【0012】
PCU12は、モータ13を駆動するためのインバータやDC/DCコンバータ等を備えて構成されている。
PCU12は、供給された上記の電源電圧に基づいてモータ13を駆動するための交流電流を生成し、モータ13に供給する。PCU12は、交流電流の制御によりモータ13のトルク制御を行う。また、PCU12は、回生ブレーキ機能を備えることにより回生エネルギーを利用したエネルギー効率の最適化機能を備えていてもよい。
【0013】
モータ13は、発電機能を備えたモータジェネレータとして構成されており、供給された交流電流に基づいて車輪の駆動を行う。
【0014】
操作部14は、例えば、車両1の運転席の前方に配置された各種のボタンやレバー等の操作子を含む。また、タッチパネル機能を有したMFD(Multi Function Display)やナビゲーション装置の表示部などが操作部14に含まれてもよい。
【0015】
表示部15は、例えば運転者の前方に設置されているMFDや運転者に情報提示を行うためのその他の表示デバイスを包括的に表したものである。表示部15では、車両1が備える各種のセンサで検出した検出信号に基づく表示がなされる。表示部15には、自車両の総走行距離や外気温、瞬間燃費等といった各種の情報が適宜表示される。ほか、表示部15には、地図情報や抽出されたルート情報などが表示可能とされている。また、表示部15には、後述するコンテンツの表示が可能とされている。
【0016】
音声出力部16は、車室に設置された各種スピーカー等の音声出力デバイスを包括的に表したものである。音声出力部16は、表示部15で表示されるコンテンツに応じた音声出力を行うことが可能とされている。
【0017】
コネクタ部17は、充電器等の充電設備が備える充電プラグを差し込み可能な構造を備えている。コネクタ部17は、差し込まれた充電プラグを介して供給された交流電圧をPCU12に出力する。PCU12は、AC/DCコンバータを備えることにより変換した直流電圧を車載バッテリ11に供給することにより車載バッテリ11の充電を行う。
【0018】
通信部18は、車両外部との通信機能を備えており、インターネット等のネットワーク通信、車車間通信や路車間通信など、各種の伝送路を介した通信を行う。
【0019】
<処理例>
上記した車両用充電管理装置10において実現される実施の形態の処理について説明する。実施の形態の処理は、充電中の車両1において車載バッテリ11の電力を使用してコンテンツが再生される状況を想定し、そのような状況で適切な充電制御を実現する。
【0020】
車両1は例えば充電器が設置された駐車場に駐車されており、コネクタ部17が充電器の充電プラグと接続された状態で車載バッテリ11への充電が実行されているものとする。充電は、ユーザの所望の目標容量(例えば満充電容量)まで充電が実行されることで完了する。
ここで、車両1のユーザ(乗員)が、車載バッテリ11の充電完了前に車両1に戻ってくる場合がある。
実施の形態の処理では、このようにユーザが車両1に乗車した時点で充電が完了していない場合に、車両用充電管理装置10が表示部15にコンテンツの再生を実行させる。コンテンツとは、所定の時間(再生時間)をかけて再生されるコンテンツであり、例えば動画コンテンツである。後述するように、車両用充電管理装置10は、目標容量までの充電に要する充電残時間に鑑みて、充電残時間より長い再生残時間を有するコンテンツの再生を推奨する。
また車両用充電管理装置10は、コンテンツの再生が実行されることに応じて、車載バッテリ11の充電速度を管理する。後述するように、車両用充電管理装置10は、充電残時間がコンテンツの再生残時間より短い場合には、再生残時間に鑑みて充電残時間が延びるように充電速度を低下させる制御を行う。
コンテンツの再生が終了した段階では、例えば、目標容量までの充電が完了すると共に、ユーザは車両1を駆動し駐車場から出発することが想定されている。
【0021】
図2は、車載バッテリ11への充電が行われている状態で、車両用充電管理装置10が実行する、コンテンツの再生を実行させる処理例である。
【0022】
ステップS101で車両用充電管理装置10はユーザが車両1に乗車したか否かを判定する。例えば車両用充電管理装置10は、車両1のシートにかかる荷重を検出するセンサの検出値や車室内を撮像する撮像装置の撮像データに基づいて、乗車判定を行う。また車両用充電管理装置10は、ユーザの操作により車両1に電源が投入されたことに応じてユーザが乗車したと判定してもよい。乗車判定の方法は上記に限られず、車両1の構成に応じて適宜変更可能である。
【0023】
ステップS101でユーザが車両1に乗車していないと判定された場合には、車両用充電管理装置10は
図2の処理を終了する。なお車両用充電管理装置10は、ユーザの乗車が判定されるまで
図2の処理を例えば所定時間ごとに定期的に実行する。
ステップS101でユーザが車両1に乗車したと判定された場合には、車両用充電管理装置10はステップS102に進む。
【0024】
ステップS102で車両用充電管理装置10は、車載バッテリ11の充電残時間を取得する。充電残時間とは、目標容量までの充電に要する残り時間である。車両用充電管理装置10は、例えば車載バッテリ11の現在のSOC(State of Charge)、目標容量のSOC、現在の充電速度(単位時間当たりの充電量)等の情報に基づいて充電残時間を算出して取得する。なお、車両用充電管理装置10は、充電残時間を自ら算出する代わりに、車両1が備える他のECUまたは充電器の制御装置など外部装置から算出済の充電残時間を取得してもよい。
【0025】
ステップS103で車両用充電管理装置10は、コンテンツの推奨提示処理を実行する。コンテンツの推奨提示処理は、充電残時間より長い再生残時間を持つコンテンツを再生するようにユーザに推奨する処理である。
具体的には、車両用充電管理装置10は、コンテンツの推奨提示処理として、ステップS102で取得した充電残時間より長い再生残時間を持つコンテンツを抽出し、抽出したコンテンツの再生を推奨する提示を表示部15に実行させる制御を行う。
コンテンツの再生残時間とは、コンテンツの再生が終了するまでに要する残り時間である。再生残時間は、再生中のコンテンツの残り時間でもよく、これから再生されるコンテンツの残り時間でもよい。コンテンツが再生されていない状態であるステップS103でコンテンツ抽出の条件となる再生残時間は、これから再生されるコンテンツの残り時間であり、例えば一つのコンテンツ全体の再生時間や、過去に途中まで再生されたコンテンツの再生終了までの残り時間である。これにより、例えば、充電残時間より長い再生時間を持つコンテンツや充電残時間より長い残り時間を持つ再生途中のコンテンツが抽出される。
車両用充電管理装置10は、コンテンツを抽出する際に、例えば通信部18を介してネットワーク通信により外部装置からコンテンツを取得する。これにより、例えばユーザが契約するサブスクリプション・サービスにより提供される動画コンテンツを車両1において再生することができる。また、車両用充電管理装置10は、車両用充電管理装置10や車両1が備えるECUの記憶部に予め記憶されたコンテンツ群からコンテンツを取得してもよい。
車両用充電管理装置10は、抽出したコンテンツの再生を推奨する提示として、例えば、表示部15に再生用のコンテンツをユーザが選択可能な画面を表示させ、抽出した少なくとも一つのコンテンツを当該画面上に選択可能な状態で提示させる。
【0026】
ステップS104で車両用充電管理装置10は、ユーザによるコンテンツの選択操作を受け付ける。
ここでユーザは、車両用充電管理装置10から推奨されたコンテンツの中から再生するコンテンツを選択してもよく、また他の任意のコンテンツを選択してもよい。
【0027】
ステップS105で車両用充電管理装置10は、ユーザの選択操作に応じて選択されたコンテンツを再生させる制御を行う。例えば車両用充電管理装置10は、表示部15にコンテンツの表示を実行させ、音声を伴うコンテンツについてはさらに音声出力部16に音声出力を実行させる。
車両用充電管理装置10は、S105でコンテンツを再生させる制御を行うと、
図2の処理を終えて、車載バッテリ11の充電速度を管理する処理に進む。
【0028】
図3は、車両用充電管理装置10が実行する、コンテンツの再生残時間に応じて車載バッテリ11の充電速度を管理する処理例である。
【0029】
ステップS201で車両用充電管理装置10は、車載バッテリ11の充電残時間が再生中のコンテンツの再生残時間より短いか否かを判定する。
このとき車両用充電管理装置10は、ステップS201の判定時点で車載バッテリ11の充電残時間を新たに取得して判定に用いる。車両用充電管理装置10は、充電残時間を新たに取得する代わりにステップS102で取得した充電残時間を判定に用いてもよいが、ユーザがコンテンツの選択に時間をかける場合があるため、判定時点で新たに取得した充電残時間を用いることでより精度の高い制御を実現することができる。
また、このとき車両用充電管理装置10は、ステップS201の判定時点で、再生されているコンテンツの判定時点での再生残時間を取得して判定に用いる。コンテンツが再生されている状態であるステップS201における再生残時間は、再生中のコンテンツの残り時間であり、具体的には判定時点からコンテンツの再生が終了するまでに要する残り時間となる。例えば、判定時点で再生開始されたばかりのコンテンツについては、再生残時間がコンテンツ全体の再生時間と略等しくなる。判定時点で途中まで再生されているコンテンツについては、判定時点からコンテンツの再生が終了するまでに要する残り時間が再生残時間となる。
【0030】
ステップS201で充電残時間が再生残時間より短くないと判定された場合には、車両用充電管理装置10は
図3の処理を終了する。
ステップS201で充電残時間が再生残時間より短いと判定された場合(例えば、充電残時間が5分、再生残時間が10分である場合)には、車両用充電管理装置10はステップS202に進む。
【0031】
ステップS202で車両用充電管理装置10は、充電残時間と再生残時間の差分(時間)を算出する。例えば、充電残時間が5分、再生残時間が10分である場合には、「5分」が差分として算出される。
【0032】
ステップS203で車両用充電管理装置10は充電速度制御処理を行う。充電速度制御処理は、充電残時間と再生残時間に鑑みて、車載バッテリ11の充電速度(単位時間あたり充電量)を低下させる制御を行う処理である。即ち充電残時間を延ばす処理である。
【0033】
具体的には、車両用充電管理装置10は、ステップS202で算出した充電残時間と再生残時間の差分に基づく制御情報を充電制御ECUに送信し、車載バッテリ11の充電速度を低下させる制御を行う。このとき車両用充電管理装置10は、例えば、充電制御ECUに車載バッテリ11の充電電流を低下させる設定を指示する。これにより、例えば、充電残時間が5分、再生残時間が10分、差分が5分であった場合には、充電残時間があと5分延びるように、車載バッテリ11の充電速度が低下される。この場合、充電残時間は「10分」となり、再生中のコンテンツの再生残時間と略一致する。
なお、このとき車両用充電管理装置10は、充電残時間と再生残時間の差分そのものを制御情報として充電制御ECUに送信してもよく、差分から算出した情報を制御情報として充電制御ECUに送信してもよい。例えば、車両用充電管理装置10は充電残時間と再生残時間の差分に応じた充電速度を設定する制御を行い、設定した充電速度を制御情報として充電制御ECUに送信してもよい。
【0034】
充電制御ECUは、車両用充電管理装置10から受信した制御情報に基づいて車載バッテリ11に流す充電電流を制限し、充電速度を低下させる。
例えば充電制御ECUは、車両用充電管理装置10が設定した充電速度で充電が行われるように充電速度を低下させる。あるいは、充電制御ECUは、車両用充電管理装置10から受信した差分に応じて充電速度を設定し、設定した充電速度で充電が行われるように充電速度を低下させる。
なお、車両用充電管理装置10が充電制御ECUを備えて構成されている場合には、車両用充電管理装置10から充電制御ECUへ制御情報を送信する必要がないことは言うまでもない。この場合には、車両用充電管理装置10が制御情報に基づいて、車載バッテリ11に流す充電電流を制限し、充電速度を低下させる。
【0035】
ステップS204で車両用充電管理装置10は、再生中のコンテンツが中断または変更されたか否かを監視する。また、続くステップS205で車両用充電管理装置10は、コンテンツの再生が終了したか否かを判定する。
車両用充電管理装置10は、ステップS205でコンテンツの再生が終了したと判定するまでステップS204及びステップS205の処理を繰り返す。
ステップS204でコンテンツの再生終了までに再生中のコンテンツが中断または変更されたと判定した場合には、車両用充電管理装置10は、ステップS204からステップS201に戻り、ステップS201以降の処理を繰り返す。
具体的には、ステップS204でコンテンツが中断されたと判定された場合には、車両用充電管理装置10は、中断されていたコンテンツの再生が再開されたことに応じてステップS201の処理を実行する。ステップS201では、コンテンツ再開時点でのコンテンツの再生残時間と判定時点での充電残時間とを取得して処理を行う。
また、ステップS204でコンテンツが変更されたと判定された場合には、車両用充電管理装置10は、変更後のコンテンツが再生されることに応じてステップS201の処理を実行する。ステップS201では、変更後のコンテンツの再生残時間と判定時点での充電残時間とを取得して処理を行う。
【0036】
ステップS205でコンテンツの再生が終了したと判定されると、車両用充電管理装置10は
図3の処理を終了する。
【0037】
以上の実施の形態では次のような効果が得られる。
実施の形態の車両用充電管理装置10は、車両1のバッテリ(車載バッテリ11)の目標容量までの充電残時間を取得する処理と、車両1でのコンテンツの再生終了までの再生残時間を取得する処理と、充電残時間が再生残時間より短い場合にはバッテリ(車載バッテリ11)の充電速度を低下させる制御を行う充電速度制御処理と、を実行する(
図3のステップS201からS203参照)。
これにより、充電残時間が再生残時間より短い場合には、車載バッテリ11の充電速度が低下されて充電残時間が延びることになる。これによって、充電中にコンテンツを再生する場合においても適切な充電制御を行うことができる。
具体的には、充電残時間よりも再生残時間が長い場合には、充電完了後にもコンテンツが再生されることで、コンテンツの再生終了時点で充電容量が目減りしている虞がある。一方、実施の形態では、充電速度制御処理により充電残時間が延びることで、コンテンツの再生終了時点での充電容量の目減りを低減することができる。さらに、充電速度制御処理により低速充電が行われることにより、車載バッテリ11への負荷が軽減され車載バッテリ11の劣化を抑制することができる。
加えて、例えば所定の給電能力を持つ充電ステーション等の充電設備において、急速充電が必要な車両が周囲にいる場合に、自車両の充電速度を低下させることで自車両への電力供給量を減少させる状況が考えられる。このような状況で充電速度制御処理を行うと、急速充電が必要な車両に優先的に電力を供給することが可能になる。なお車両用充電管理装置10は、通信部18を介して他の車両や充電設備の制御装置と通信することでこのような充電制御に必要な情報を送受信することが考えられる。
【0038】
また実施の形態では、充電速度制御処理として、充電残時間が再生残時間より短い場合には、充電残時間と再生残時間の差分に応じた充電速度を設定する制御を行う例を挙げた(
図3のステップS202からステップS203参照)。
これにより、充電残時間と再生残時間の差分に応じて、当該差分を解消するように充電速度を設定することで、充電残時間と再生残時間が略一致する。これにより、コンテンツの再生終了と略同時に車載バッテリ11への充電が完了するため、コンテンツの再生終了時の充電容量の目減りを一層低減することができる。従って、ユーザは出発時の車載バッテリ11の充電容量を希望通りに管理することができる。
【0039】
また実施の形態では、車両用充電管理装置10は、充電残時間よりも長い再生残時間を持つコンテンツの再生を推奨する推奨提示処理を実行する例を挙げた(
図2のステップS103参照)。
これにより、充電残時間よりも長い再生残時間を持つコンテンツの再生が推奨される。ユーザが当該コンテンツを再生する場合には、
図3のステップS203の充電速度制御処理が実行されて車載バッテリ11の充電速度が低下される。従って、車載バッテリ11の劣化抑制を一層図ることができる。
【0040】
なお実施の形態では、車両用充電管理装置10は、
図3のステップS201で充電残時間が再生残時間より短くないと判定された場合(即ち充電残時間が再生残時間と比べて等しいか長い場合)には、
図3の処理を終了する例を挙げた。
他方、ステップS201で充電残時間が再生残時間より短くないと判定された場合には、車両用充電管理装置10は、
図3の処理を終了する代わりに、充電残時間よりも長い再生残時間を持つコンテンツの再生を推奨する推奨提示処理(
図2のステップS103参照)を実行してもよい。
これにより、充電残時間が再生残時間と比べて等しいか長い場合においても、充電残時間よりも長い再生残時間を持つコンテンツの再生が推奨され、ユーザが当該コンテンツを再生する場合には、充電速度制御処理が実行され車載バッテリ11の充電速度が低下されて充電残時間が延びることになる。
充電残時間がユーザの選択したコンテンツの再生残時間と比べて等しいか長い場合には、ユーザの観点からは充電残時間を延ばす必要はない。しかし、車載バッテリ11への劣化を防ぐ観点や、前述の充電設備において他の車両への急速充電を実現する観点から、バッテリの充電速度を低下させることが好適である場合が考えられる。
【0041】
なお実施の形態では充電残時間と再生残時間の差分に応じた充電速度を設定する制御を行う例を挙げたが、バッテリの劣化を抑制する観点からは、充電速度を低下させる制御であれば、必ずしも充電残時間と再生残時間を略一致させる充電速度を設定しなくてもよい。例えば、充電残時間が再生残時間より長くなるように充電速度を設定することも考えられる。
【符号の説明】
【0042】
1…車両
10…車両用充電管理装置
11…車載バッテリ