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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006967
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/239 20180101AFI20250109BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20250109BHJP
   F21S 43/27 20180101ALI20250109BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250109BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20250109BHJP
【FI】
F21S43/239
F21S43/237
F21S43/27
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108044
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 正崇
(57)【要約】
【課題】視覚的効果の高い発光状態を実現可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具は、光源と、光源からの光を導光して出射する導光体と、光源及び導光体を支持するインナーパネルとを備え、導光体は、インナーパネルの開口から灯具前方に突出して形成され、光源からの光が入射する入射面と、入射面に対向し入射面から入射した光を出射する出射面と、非発光部である上面及び下面とを有し、インナーパネルの開口の縁部は、導光体の非発光部に対応する位置に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を導光して出射する導光体と、
前記光源及び前記導光体を支持するインナーパネルと
を備え、
前記導光体は、前記インナーパネルの開口から灯具前方に突出して形成され、前記光源からの光が入射する入射面と、前記入射面に対向し前記入射面から入射した光を出射する出射面と、非発光部である上面及び下面とを有し、
前記インナーパネルの前記開口の縁部は、前記導光体の前記非発光部に対応する位置に配置される
車両用灯具。
【請求項2】
前記導光体は、
前記光源からの光を導光するクリア部と、
前記上面及び前記下面の少なくとも一方に配置された有色部とを有し、
前記有色部は、前記光源の発光色とは異なる色に形成される
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光源からの光を導光して前記導光体に向けて出射する導光棒を更に備え、
前記導光棒の径は、前記導光体の前記クリア部の厚みに対応して形成される
請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記導光棒は、前記光源からの光を平行光として前記導光体の前記入射面に向けて出射する
請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記入射面は、入射光が前記出射面に向けた平行光となるように設けられる
請求項3に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
光源からの光を棒状の導光体で導光し、導光体から車両正面に出射する構成の車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-115397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車両用灯具においては、視覚的効果の高い発光状態を実現することが求められる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、視覚的効果の高い発光状態を実現可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用灯具は、光源と、前記光源からの光を導光して出射する導光体と、前記光源及び前記導光体を支持するインナーパネルとを備え、前記導光体は、前記インナーパネルの開口から灯具前方に突出して形成され、前記光源からの光が入射する入射面と、前記入射面に対向し前記入射面から入射した光を出射する出射面と、非発光部である上面及び下面とを有し、前記インナーパネルの前記開口の縁部は、前記導光体の前記非発光部に対応する位置に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、視覚的効果の高い発光状態を実現可能な車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す正面図である。
図2図2は、図1におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。
図3図3は、図1におけるB-B断面に沿った構成を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る導光体の一例を示す斜視図である。
図5図5は、本実施形態に係る車両用灯具の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る車両用灯具の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
本実施形態において、正面側及び背面側の各方向は、例えば車両に搭載された状態(車両搭載状態)における方向であるとする。例えば、車両の前部(フロント)に搭載された状態では、前方が正面方向(正面側)であり、後方が背面方向(背面側)である。また、車両の後部(リア)に搭載された状態では、後方が正面方向(正面側)であり、前方が背面方向(背面側)である。また、車両の側部(サイド)に搭載された状態では、車両外側が正面方向(正面側)であり、車両内側が背面方向(背面側)である。なお、本実施形態において、正面方向は、車両用灯具の灯具前方と表記することができる。
【0011】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具100の一例を示す正面図である。図2は、図1におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。図2は、導光体40を装着した状態と導光体40を取り外した状態とを併せて示している。図3は、図1におけるB-B断面に沿った構成を示す図である。図1から図3に示すように、車両用灯具100は、光源10、20と、導光棒30と、導光体40と、インナーパネル50とを備える。
【0012】
光源10、20は、例えばLED等の半導体型光源、レーザ光源等が用いられる。光源10、20は、光を出射する発光面11、21を有する。光源10と光源20とは、互いに異なる色の光を発光する。
【0013】
導光棒30は、例えば直線方向に延びる棒状である。導光棒30は、長手方向の両端にそれぞれ入射面31、32を有する。入射面31は、光源10の発光面11に対向する。入射面31は、光源10からの光が入射する。入射面32は、光源20の発光面21に対向する。入射面32は、光源20からの光が入射する。
【0014】
導光棒30は、側面33の背面側にプリズム部34を有する。プリズム部34は、入射面31、32から入射した光を正面側に内面反射する。
【0015】
導光棒30は、側面33の正面側が出射面35となっている。出射面35は、入射面31、32から入射した光を平行光として正面側に出射する構成であってもよい。
【0016】
導光体40は、導光棒30から出射された光を導光して正面側に出射する。導光体40は、例えば平面視で矩形の平板状である。なお、導光体40は、平面視における形状が矩形に限定されず、他の形状であってもよい。
【0017】
図4は、本実施形態に係る導光体40の一例を示す斜視図である。図4に示される各方向は、導光体40がインナーパネル50に装着された装着状態における方向を示している。導光体40は、入射面41と、出射面42と、上面43と、下面44とを有する。入射面41は、背面側に向けられる。入射面41は、導光棒30の出射面35に対向して配置される。入射面41は、導光棒30の出射面35から出射される光が入射する。導光棒30の出射面35から出射される光が平行光である場合、入射面41は、導光棒30の出射面35から出射される光を平行光として入射する。この場合、入射面41は、例えば平面状とすることができる。なお、導光棒30の出射面35から出射される光が平行光とは異なる場合、入射面41は、導光棒30の出射面35から出射されて当該入射面41に到達する光、すなわち入射光が出射面42に向けた平行光となる形状に形成することができる。
【0018】
出射面42は、正面側に向けられる。出射面42は、入射面41と対向する。出射面42は、入射面41から入射して導光体40の内部を進行する光を正面側に出射する。出射面42は、例えば平面状である。入射面41に入射する入射光が平行光である場合、又は平行光とは異なる入射光が入射面41において平行光となって導光体40の内部を進行する場合、出射面42からは平行光が出射される。
【0019】
上面43及び下面44は、例えば平面状であり、互いに対向する。上面43及び下面44は、非発光部である。すなわち、導光体40は、上面43及び下面44から光が出射されないように形成される。
【0020】
導光体40は、クリア部45及び有色部46を有する。クリア部45は、光源10、20からの光を透過可能であり、例えば無色透明の材料を用いて形成される。クリア部45を構成する材料としては、例えば樹脂等が挙げられる。クリア部45は、矩形の平板状に形成される。本実施形態において、クリア部45の背面側の端面が上記した入射面41である。また、クリア部45の正面側の端面が上記した出射面42である。また、クリア部45の上側の端面が上記した上面43である。
【0021】
上記した導光棒30の径は、クリア部45の上下方向の寸法(厚み)に対応して形成される。つまり、導光棒30から出射される光が入射面41に対して無駄なく入射するように、導光棒30の径及びクリア部45の厚みが設定される。
【0022】
有色部46は、クリア部45の上側の端面及び下側の端面の少なくとも一方の端面上に配置される。すなわち、有色部46は、導光体40の上面43及び下面44の少なくとも一方に配置される。本実施形態において、有色部46は、導光体40の下面44に配置される。換言すると、有色部46は、クリア部45の下側の端面上に配置される。有色部46の下側の端面は、上記した下面44である。有色部46は、正面側の端部に面取り部46aが形成される。
【0023】
有色部46は、例えばクリア部45と2色成型された構成であってもよい。また、有色部46は、クリア部45の上側の端面及び下側の端面の少なくとも一方の端面に形成された塗装層であってもよい。有色部46は、光源10、20の一方又は両方の発光色と異なる色に形成することができる。有色部46の色としては、例えば車体の色、車両用灯具のアウターレンズの色等に設定することができる。
【0024】
インナーパネル50は、光源10、20及び導光棒30を保持する。インナーパネル50は、導光体40を着脱可能に支持する。
【0025】
インナーパネル50は、ベース部51及び装着部52を有する。ベース部51は、光源10、20及び導光棒30を保持する。装着部52は、導光体40を装着する。装着部52は、開口52aを有する。開口52aは、縁部52bが導光体40の非発光部である上面43及び下面44に対応する位置に配置される。
【0026】
装着部52は、突き当て部52c(図2参照)を有する。突き当て部52cは、装着部52に導光体40を装着する際に導光体40の奥行方向(背面方向)の移動を規制する。導光体40が突き当て部52cに当接するまで装着部52に差し込まれることで、導光体40が装着部52に装着される。突き当て部52cは、上下方向の高さが有色部46の厚さに対応して設定される。つまり、導光体40が突き当て部52cに当接した状態において、突き当て部52cにより有色部46の背面側の端面が覆われる。この構成により、導光棒30の出射面35から出射される光が、有色部46の背面側の端面には入射しないようになっている。
【0027】
装着部52は、導光体40が装着された状態で、当該導光体40がインナーパネル50から正面側に突出するように形成される。この構成により、装着部52に装着した状態の導光体40を視認することができる。
【0028】
次に、上記のように構成された車両用灯具100の動作を説明する。図5は、本実施形態に係る車両用灯具100の動作の一例を示す図である。以下の例では、光源10を点灯させる場合を例に挙げて説明するが、光源20を点灯させる場合にも同様の説明が可能である。光源10を点灯させることにより、発光面11から光が出射される。発光面11から出射された光は、導光棒30の入射面31から入射し、プリズム部34により正面側に内面反射される。
【0029】
図5に示すように、プリズム部34により内面反射された光Lは、出射面35から正面側に平行光、すなわち水平方向に沿ってに進行する光として出射され、導光体40の入射面41に入射する。入射面41に入射した光Lは、クリア部45内を正面側に進行する。このとき、光Lは、水平面に沿って進行するため、有色部46の影響を受けることなく出射面42に到達し、出射面42から正面側に出射される。
【0030】
この場合、上面43及び下面44からは光Lが出射されることが無く、出射面42から光Lが出射される。したがって、上面43及び下面44は非発光部となり、出射面42が発光部となる。このように、導光体40のうち一部の面(出射面42)のみを発光させ、他の面(上面43、下面44)を発光させないようにすることで、視覚的効果の高い発光状態を実現可能である。
【0031】
また、観察者が例えば正面側の斜め上方等から導光体40を見た場合、クリア部45を透過して有色部46の色が視認される。正面側の斜め上方に限られず、クリア部45を透過して有色部46の色が視認される角度、又は有色部46が直接視認される角度から導光体40を見た場合、有色部46の色が導光体40の色として視認される。これに対して、導光体40の出射面42から出射される光Lは、有色部46とは異なる発光色である。したがって、観察者に対して、導光体40を見たときに視認される色とは異なる色の光が出射面42から出射されるという更に視覚的効果の高い発光状態を実現することができる。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る車両用灯具100は、光源10、20と、光源10、20からの光を導光して出射する導光体40と、光源10、20及び導光体40を支持するインナーパネル50とを備え、導光体40は、インナーパネル50の開口52aから正面側に突出して形成され、光源10、20からの光が入射する入射面41と、入射面41に対向し入射面41から入射した光を出射する出射面42と、非発光部である上面43及び下面44とを有し、インナーパネル50の開口52aの縁部52bは、導光体40の非発光部に対応する位置に配置される。
【0033】
この構成によれば、導光体40がインナーパネル50の開口52aの縁部52bに保持され、開口52aから正面側に突出した状態でインナーパネルに装着される。このため、観察者は、インナーパネル50に装着された状態で導光体40の複数の面を視認可能となる。これにより、光源10、20を発光させて導光体40の入射面41に入射させ、例えば導光体40のうち出射面42のみを発光させ、他の面(上面43、下面44)を発光させないようにすることで、視覚的効果の高い発光状態を実現可能である。
【0034】
本実施形態に係る車両用灯具100において、導光体40は、光源10、20からの光を導光するクリア部45と、上面43及び下面44の少なくとも一方に配置された有色部46とを有し、有色部46は、光源10、20の発光色とは異なる色に形成される。
【0035】
この構成によれば、観察者に対して、導光体40を見たときに視認される色とは異なる色の光が出射面42から出射されるという視覚的効果の高い発光状態を実現することができる。
【0036】
本実施形態に係る車両用灯具100において、光源10、20からの光を導光して導光体40に向けて出射する導光棒30を更に備え、導光棒30の径は、導光体40のクリア部45の厚みに対応して形成される。
【0037】
この構成によれば、光源10、20からの光を効率的に導光体40に入射させることができる。
【0038】
本実施形態に係る車両用灯具100において、導光棒30は、光源10、20からの光を平行光として導光体40の入射面41に向けて出射する。
【0039】
この構成によれば、導光体40の入射面41に平行光を入射させることができるため、クリア部45で導光する際の光の減衰を抑制できる。
【0040】
本実施形態に係る車両用灯具100において、入射面41は、入射光が出射面42に向けた平行光となるように設けられる。
【0041】
この構成によれば、導光体40の入射面41に入射した光が平行光としてクリア部45を進行するため、クリア部45で導光する際の光の減衰を抑制できる。
【0042】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、光源10、20からの光を導光棒30で導光体40に導光する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、導光棒30が設けられず、光源10、20からの光が直接的に導光体40に入射する構成であってもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、光源10、20の2種類の光源が設けられる場合を例に挙げて説明したが、この構成に減点されない。1種類の光源のみが設けられた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
L…光線、10,20…光源、11,21…発光面、30…導光棒、31,32,41…入射面、33…側面、34…プリズム部、35,42…出射面、40…導光体、43…上面、44…下面、45…クリア部、46…有色部、50…インナーパネル、51…ベース部、52…装着部、52a…開口、52b…縁部、52c…突き当て部、100…車両用灯具
図1
図2
図3
図4
図5